迷宮都市と美しい彼女

closet

第1話

 背中と腰に痛みと冷えを感じて目が覚めた僕――神楽坂舜二かぐらざか・しゅんじは、周囲を見て驚いた。

 なんということだ!

 僕はついさっきまで彼女の東雲優希子しののめ・ゆきこと大学近くの映画館で映画を見ていたはずなのに、ここは――


「大学の図書館?! 何でだ?!」


 横を見れば、すぐそばに黒猫がいて、更に驚いた。


「やあ、青年。目が覚めたようだね」

「黒猫が、しゃべった?!」

「我の名はジョン。君の彼女は、我が住む迷宮都市で消えたよ」

「彼女って、まさか?!」

「そう、そのまさかだ」

「彼女は無事なのか?!」

「我が見たときは元気そうだった」

「どうしたらその迷宮都市とやらへ行ける?」


 ジョンがにたりとわらった。


「さては、彼女を捜すのだな?」

「当たり前だ!」

「なら、我についてくるがよい」


 舜二はジョンの後ろについていった。




 着いた先は、謎の扉の前。


「僕、大学2年だけど、こんなとこにこんな扉なんて一度も見たことがないよ」

「早く彼女に会いたければその扉を開くがいい、青年よ」

「わかった」


 舜二は扉を開いた。


 扉の向こうは迷宮都市に続く門の前だった。

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