2、風になれたら

さくさくと

野原を歩く

さくさくと

薄の穂をかき分けながら

さくさくと

ここに あそこに いずこに

さくさくと

どこにでも


咎人が

潜み

息を殺し


咎人は

何に

怯え


いずれ自分の

首が晒されるかもしれない

この河原で


ざわざわと

風が吹き

ざわざわと

薄の穂を倒し

ざわざわと

ここへ あそこへ いずこへ

ざわざわと

どこへでも


風になれたら

不意に思って彼は

ざっと

くさむらを蹴って走り出す


やがて彼は

都大路の暗闇を

風のように駆け抜けることになる

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