2、風になれたら
芝生広場の片隅にある
アスレチックを次から次へと飛び回り
綱橋渡りも軽々と
ネット登りもひょいひょいと
ジグザグ平均台もサーっと駆け抜け
ぽかんと見入っていたわたしに気づき
その男の子はにかっと笑った
あんなふうに動けたら
さぞかし気持ちいいだろうな
思うわたしの目の前で
男の子はくいっと上を見上げた
芝生の真ん中で
小さな男の子とお父さんらしい人が
ふたりで糸を握っている
ひゅうっと風が吹いて
凧が風に流される
かと思うと
勢いよく
一段上へと空を上がっていく
凧ってさ
風のおかげで飛ぶんだぜ
風ってすげえよな
風になれたらな
風?
ん、風になれたら
オレが好きなところに運んでやる
わたし重たいよ?
ヘーキさ
風だからな
男の子はきししと笑い
丸太の山に向かって
風みたいに
走っていった
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