閑話 アナスタシアから見たセラ
私は、冒険者ギルドの受付嬢アナスタシア。
今日は、そんな私が冒険者登録を担当したセラという少女の話をしようと思う。
私は、その日いつもと変わらない日常を送っていた。
クエスト案内や、クエスト完了の手続きや、冒険者登録の手続きといったいつもの仕事だ。
「はい、依頼の完了を確認しました。報酬はこちらになります」
「ハンスさん。本当にいいのか?」
「ええ、構わないですよ」
「じゃあありがたく……」
今ここで依頼を済ませたのはハンスさん。
ここジザール村で一番大きな商店をしている人だ。
「アナスタシアさん。また後程」
「はい?」
暫くすると可愛い女の子を連れてハンスさんは戻って来た。
「あらっハンスさん。まだ何か御用ですか?」
「ああ、こちらのセラさんの冒険者の登録にな」
「まあ、可愛い子ですね、よろしくね」
「はい、よろしくおねがいします」
本当に可愛い女の子ね、健康的な褐色な肌で銀髪で黒目、年齢は14、5歳くらいかな?
「アナスタシアさん冒険者登録は銀貨七枚だったね?」
「銀貨七枚ですよ。……はい銀貨七枚確かに受け取りました」
「あ、あの登録料まで良いんですか?」
「セラさん。これくらいはさせてください」
ハンスさんはこの子の登録費用も持っている、一体この子をどうしたいんだろうか? まさか愛人として囲うつもりだろうか?
そう思ったが、私はおくびにも出さず粛々と手続きを進める。
愛人を囲う事なんて、お金持ちの商人ならやっている人も多いし、関係者でも無い私が口を出す事でもないしね
「それではこちらの書類に必要なことを記入してください」
書類を渡すと女の子は記入を始める、少しして女の子がこちらに話しかけてきた。
「あの、すいません」
「どうしました?」
「役割が全部出来る場合は全部書くんですか?」
「一つだけで構いませんよ。ただ……全部を
「一つで良しと……あ、それから全部出来ますよ」
この子は何を言ってるんだろうか? 前衛、中衛、後衛、狙撃手、斥候は自称でも可能だ。
でも
そう私が口にしようとした時にハンスさんが口にした。
「アナスタシアさん。セラさんは全部出来ますよ」
「ハンスさん……本当ですか?」
「多分アナスタシアさんが気にされてるのは荷物持ちとヒーラーでしょう?」
「はい、荷物持ちなら怪力だったり、アイテムボックス。ヒーラーなら回復魔法や状態異常を治す魔法ですけど本当に使えるんですか?」
「間違いないよ。直に見てるからね」
「へぇ……そうなんですね」
サポーターのスキルやヒーラーの回復まで? ハンスさんの様子からしても嘘ではなさそうだけどそんな事がありえるのだろうか?
ここから先の事は特に何事もなく手続きが進んでいったのだが……最後の最後でとんでもない物を目の当たりにする。
それは手続きも一通り終わり、カードの機能をセラさんに教えていた時だった。
「セラさん。まずはカードオープンと言ってください」
「「カードオープン」これはお金とか預けれるんですかね?」
「その通りです」
「お金を入れれるのは便利かも……」
「じゃあ続いてステータスオープンと言ってください」
「ステータスオープン」
「これが能力値になりま……す」
名前:セラ
出身:南の国カント・南端の街サンドラ
年齢:15歳
性別:女
役割:前衛
戦闘技能のタイプ:召喚士
所属:なし
二つ名:なし
功績値:0
ランク:F
能力値
HP 218
MP 8912
力 167
体力 122
魔力 304
敏捷 196
運 7
攻撃 167(+0)
防御 124(+2)
魔防 304
なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
「あ、あのアナスタシアさん?」
「あ……ええと、これで登録は終了です。それから今日は説明しませんでしたが、ギルドで分からない事があったら、気軽にお声かけ下さい」
「分かりました。今日はありがとうございました」
平静を装って対応するが、明らかに15歳の女の子の能力じゃないよ。特に異質なのはMPだ! おかしすぎるよ。
Sランクの冒険者でようやく700くらいだから、それの十倍以上のMPがあるあの子は一体何者なんだろうか?
この日私が担当したセラという少女は、とんでもなくやばかった。
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