星を見る夢
文月 翠
第1話
僕は何かを思い出したかのように目を覚ました、ピントが合わない目を擦り起き上がるとそこは知らない場所だった。
取り敢えず周りを見渡し確認する、大きいベット、作りの凝った椅子とテーブル、高そうなカーペット、外を一望できる窓、まるで別世界かのような場所だった。
僕はベットからおりて窓を開けた、入ってくる風が暖かいので心地よく感じる、見渡すとそこには辺り一面草原が広がっている、花が咲木には葉が生い茂る、私が外の光景に浸っているところに。
「やっと目が覚めた」と声が聞こえてきた、私は不意な問いかけに驚き、瞬時に声の聞こえる方へ振り向いた、そこには、私と同じくらいの女の子が居た。
「なんでそんなに驚いてるの?」
彼女は首を傾けてそう言う、初対面で知らない場所で知らない人が突然後ろから声をかけられたら驚くでしょうが……初対面だよね?
「まぁいいわ、まずは自己紹介からかしら、私の名前は結星、貴方をここに運んだこの館の主人、これからよろしく。」
そう言って彼女は手を差し伸べる、やはり初対面だったようだ。
「紬星です、よろしく、僕家に帰りたいんですが、これからってどうゆうことですか?」
そう言い彼女の手を掴み握手する。
「どうゆうことって貴方帰れるの?ここどこだか分かってる?とゆうか名前以外分からないんじゃないの?」
「う……分からないです……」
そう、分からない名前以外何も、ここは何処なのか、どうやって来たのか、来る前何をしていたのか、何処で暮らしていたのか、家族の名前、顔自分の苗字でさえ思い出せない、ここまで覚えていないと逆に名前だけ覚えているのが不思議なくらいに、ここまで分からないとパニックになってもおかしくないと思うのだが、なぜか冷静にこの事を受け止めていた、まるでそうなる事を知っているかのように。
「なら、思い出せるまで私が一緒に居てあげる。」
そんな事をノリノリで話す彼女に対して私は。
「それはなんと言いますか、少し申し訳ないといいますか。」
流石にそこまでさせるのも良くないと思っている自分がいた。
「……そんな畏まらなくていいのに、別に私がやりたくてやってるだけだから貴方が気にしなくていいの、私はすっごいお節介なのよ、絶対最後まで思い出させて家に帰して見せるわ、そうしないと私の気がすまないの、そうとなればまずはこの館を紹介するから、着いてきて〜」
彼女は笑いながらそう言いい扉を勢いよく開け外へ出ていく、そんな彼女の笑顔が懐かしいと思ってしまったのは気のせいなのだろうか。
星を見る夢 文月 翠 @Rai220
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