ヘリオトロープ

@rurosan

第1話 4月19日 くじら座 カイトス (過去)

今日はやけに冷える

まぁただコンビニに行くだけだし、そんな厚着じゃなくても大丈夫だな

そういや別の部屋の奴に握り飯頼まれてんだよな……それくらい自分で買ってこいよ


あ?なんだあの少女 コンビニの隅でうずくまってんじゃねぇか 薄着だし風邪ひくぞ

カイトス「おい」

少女「………」

カイトス「ガキ、そんな薄着して何してんだ。親は?」

少女「………」

体の至る所にアザ、傷跡がある

もう夜だし虐待っていったところか

カイトス「親から逃げてきたのか」

少女「……(コクッ」

どうしたもんかなぁ…このまま交番にいっても解決するか分かんねぇ こういうの初めてなんだよ俺 ガキも好きじゃねぇ

カイトス「取り敢えず冷えるだろ これ羽織って待ってろ」

取り敢えず羽織ってた上着を被せる

何か温かいものでも買ってくるかね


女のガキって何食うんだ……?おでんとか食うか?アメリカンドッグはハードル高いか…?どうしよ 取り敢えず肉まんにしとくか。あと何か飲み物


少女は上着を羽織って下を向き震えている

まぁ、こんな歳した少女からしたら俺なんて恐怖の対象でしかねぇか

カイトス「おい」

そう言って蜂蜜レモンと肉まんが入った袋を差し出す

カイトス「これでも食ってろ、風邪ひくぞ」

少女は袋を持ち中を見る

俺は取り敢えず少女の隣に座る

カイトス「ないよりはマシだろ、それ食って少し元気出せよ」

少女「……」

少女は首を横に振った

カイトス「肉まん嫌いか?」

初めてその少女は口を開いた

少女「食べれません、こんな高価なもの 私には…」

成程ねぇ、普段良いもの食わせてもらえねぇんだろうな。だからって飢え死にされても困るしな

カイトス「いいんだ、お前に買ってきたんだから食え。」

少女はそう言われると肉まんを持ち、目から涙を流した

黙ったまま、泣いたまま、肉まんを少しずつ食べた。見るだけでも心臓が痛い

いや、今更か


カイトス「じゃ、俺は帰るわ」

少女は驚いた様子で俺を見る。悪いな、ずっと傍には居られねぇ

カイトス「交番にでも逃げ込みな、多分警察が親からは離してくれるだろうよ」

そう言って俺は立ち去ろうとした


………

カイトス「ガキ、何処までついてくる気だ」

しつこいな…!餌付けした訳じゃないぞ…

この少女を俺の軍にまで連れてく訳にもいかねぇしな……。

カイトス「俺についてこない方がいいぞ、俺は軍の者。人を殺め領地を奪う、血と火薬の匂いがする戦場で戦うんだ。お前みたいなガキが来るとこじゃねぇ」

そう言っても少女は1歩もひかねぇ

参ったな、少し可哀想だが俺の足にはついてこれねぇだろ。

いきなり走り出し複雑な道を走る

こっちは2マイル(3.2km)を13分で走ってたんだ、追いつける訳がねぇ。まぁ軍の基地からは少し遠ざかってしまったが仕方ない。少女の姿もねぇ、どうにか幸せに暮らしてくれや。


基地にやっと戻ってきた

思ったより時間かかったな…

「あ、おいカイトス。お前に客が来てるぞ」

は?急に嫌な予感がしてきた。まさかあの少女か?いや 時々外国の上官が来る事もあるし考え過ぎだな


少女「………」

…………

カイトス「いい加減にしろ!帰れ!」

カフ「嫌です!」

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