137.試合終わり

「いやー惜しかったね。ほんとに僅差だったんだけどね」というコーチからの同情に満ちた言葉を聞いて、どういう顔すればいいのか僕らはいつも困った。本当は僅差なんかじゃないくせに。負けは、負けだ。熱い主人公だったら、ここで「そんなんじゃダメなんだよ」と言って、勝利を渇望するし、その先には成長が約束されている。そんなシーンになるはず。だけど、僕らは弱小チーム。周りの期待に応えようとして自滅しちゃったんだ、という体でみんな下を向いたまま黙って、やり過ごす。そんな夏の終わり。

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