114.逆あっちむいてほい

「僕はね、未来を見ることができるんだ」


「ねえ、なんで私にそんな大事なこと教えてくれなかったのよ」


「証明してみせてよ、私の愛を」と懇願するような圧のある口ぶりだなと思いながら、僕は微笑みを浮かべ、彼女に説明する。


「言っても、信じてくれるかどうか不安だったんだ。でも、今きみが信じてくれるっていう未来が見えたからこうして話してる。それに、手の内は信用してる人にしか見せたらいけないからね」


「ふうん。じゃあ、未来が見えるなら『逆あっちむいてほい』しない?」


「逆、あっちむいてほい……?」


「うん。私が顔を向ける方向が分かるってことは、それとは違う方向で指さしてみてよ。できるでしょ? まぁ、後出しじゃんけんみたいなものだと思って」

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