107.マスク
マスクは盾だった。ウレタン製とか不織布とかはこのさい関係ない。不都合な真実を隠すための武器だった。目元だけで美醜が判断された。
けれど、失われたものもあった。
笑った時にちらりと覗かせる八重歯に萌えるシチュエーション。唇の動きだけで「すき」と伝える恋愛の一場面。細目の人が本当に笑っているのかを確かめる手段。はぁーと白い息を吐いて、冬だなと感じる瞬間。
どれも輝いていた。マスクとの大事な思い出のひとつだった。
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