68.推しが消えた夜
推しが消えますように。
我ながら、ひどく物騒な願いごとだと思った。市立図書館の七夕コーナーに設置された笹に、私は短冊を括りつける。
ふと、友達のタイムラインに流れてきたつぶやき。〈自分以外の誰かの存在を無かったことにできるなら誰を選ぶ?〉
私の頭に真っ先に思い浮かんだのは、推しだった。推しの存在をなかったことにして、かつ私の記憶が残るとすれば、「私の記憶の中だけで生かされる推し」というパーフェクトな檻が完成するから。独占欲の最上級ともいえる、全てのファン待望(?)の願いを込めて、私は油性ペンを握った。
推しが星になって、夜空に消えればいいのにと思いながら。
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