28.雨女
降水確率という言葉が嫌いだった。みんな、その言葉があくまで確率でしかないことを忘れていて、まるでそれが全能であるかのように信じていて、0%って言ってたのにな、と勝手に期待して、落胆して、その繰り返し。
自称雨女として知られるぼくのお母さんは地元のテレビ局に勤めるお天気キャスターだった。月・水にお母さんがテレビに出るとき、晴れている日をぼくはほとんど見たことがなかった。
雨が降ったら、みんなお母さんのせいにする。ぼくはいつもお母さんをなぐさめる。お母さんはかすかな、今にも消えてしまいそうな笑顔を見せる。
「太陽はやさしいね。お母さん、別に気にしてないよ」
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