7.自己紹介

「飴は最後まで舐める派? それとも途中で噛み砕く派? ぼくはねぇ、噛み砕く人としか友達になれない気がするんだ」


 小学校の時。四月の自己紹介で俺はこんなことを言った。今でもそれを覚えているのは、その直後にたちまち教室内で大ブーイングが起こったからだ。


 どうやら、みんなは最後まで舐める派らしい。先生はみんなの興奮を鎮めようと、大きく両手を振っている。


「みんな! あーもう、分かったから。みんな、落ち着いて! 先生はねぇ、噛み砕く派です」


 そう言って、彼女は舌をぺろりと出し、破片になった、原型を留めていない飴玉をみんなに見せつけた。

 いやな大人の笑顔だった。

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