咲いた血液
三日月静
咲いた血液
私は昔から花が好きだった
桜、向日葵、朝顔、パンジー、ビオラ、百合など
花ならなんでも好きだった
花特有の可憐さや儚さは彼女達にしか表現出来ないものに私は心奪われた
彼女達はいつでも凛としていてお淑やかに咲いている
そんな彼女達のことを私は愛していた
彼女達を愛せば愛するほどそれに答えてくれるかのように彼女達はより一層可憐に咲いた
だけど彼女達の時間は短い
1度咲いて仕舞えば枯れてしまう
2度と同じ花を咲かせることはない
私はそれが嫌だった
だから私は彼女達の1番美しい状態を永久に保存出来ないのかと考えた
ハーバリウム、しおり、ポプリなどたくさん試したが、どれも私が求める彼女達ではなかった
私は何とかして彼女達を保存する方法を考えた
何年も何十年も何百年も考え、研究しつづけた
そうしてようやく保存する方法に辿り着いた
気づいた頃には私は動くことすら出来なかった
だけど、1番近い場所で、1番美しい状態の彼女達を見ることができるだけで幸せだった
唯一、成功出来なかったのは色の調整だけだった
でも、私はこの色が好きだったから余り気にする事はなかった
彼女達はいつでもいつまでも美しい状態で可憐な花弁を見にまとい、儚さの化粧を施し、凛としてお淑やかな淑女のように今日も私を愛してくれている
そんな彼女達のことを私は今日も愛している
END
咲いた血液 三日月静 @hakumukagamiya
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