この異世界の神は私よ~好みのカプとハーレムゲス神話~

紅茗ミヨ-Koutyamiyo-

プロローグ

 今思うと、笑える前世の死に方だったと思う。

 人間死因は様々だ。

 でも、これは笑い話にしないとやってけない。



 ベロベロに酔っぱらった新卒入社営業部達が力試しと

 マンホールを開けて遊んでいた。

 自分奢りの飲み会の会計を済ませ店の外に出た私は

 部下たちの開けたマンホールに見事ドポンと落ちた。


 苦しい。臭い。息を吸えば吸うほど耐え難い匂いと汚水が口の中に入る。

 口の中いっぱいになる、普段なら目も覆いたくなる汚いもの。

 酒を飲みすぎた私が悪いのか。それとも、部下と部下がワチャワチャしてるのを

 尊い楽しい幸せと思ってゲスなナマモノカプ作っていたのが悪かったのか。

 新卒OLちゃんが可愛く酒で顔を真っ赤にしているのを私の家に泊めようとした事。

 どれが悪かったの?全部か、この心の汚さは汚水をもって償えということなのか…

 走馬灯の寂しいオタクボッチ人生を見ながら、

 一縷の光がないか探しつつ、苦しんで苦しんでもがいて苦しんで私は、死んだ。


 享年34歳、独身、中堅会社営業部主任。

 年齢=恋愛未経験

 乙女ゲーギャルゲーエロゲでしか、異性と行為をしてない。


 ――可哀そうに…

 ものすごい同情の声が聞こえた。


 だって、仕方ないじゃない。

 自分が誰かの隣に寝るなんて、想像すらできなかったんだから。


 女神は私を別の世界へ飛ばしてくれるらしい。

 だが、その前に酔いが抜けていないのか走馬灯を見てしまったのか、

 切り替えができてなかった私は……


 愚痴り倒した。

 ひどい卑猥な妄想ゲスな言動もいろいろ言ったと思う。

 女神相手に何言ってるんだろうと正気に戻りかけた時もあったが、

 それよりも熱量が勝ってしまった。


 だが、ものすごくずっと頷いて聞いてくれた女神。

 さすが女神様だと思った。


 こんなおっぱい、こんなスタイルときれいなヘソ。

 えっちな衣装に、Tバックで秘境がいまにも見えそうな下半身の衣装。

 そんな素晴らしいものを着こなして自信をもって生きてるんだろうな。

 一度抱きたいまたはその布取って添い寝してほしい姿をしている。


 あわよくば、この逆の性別も見てみたい。

 きっとイケメンないい息子をお持ちだったんだろうな。

 いいないいな……神っていいな……


 全てを話し終え、異世界へ行く心の準備が整った。


 あまりにも私が荒んでたのか、哀れに思ったのか

 女神が異世界へ転生するときに、『聖女』+追加条件をくれた。


 聖女はジョブとして極め、人も魔物も救い懸け橋となり信仰を集めれば

『神』になれる条件だ。


 女神からは

「善い行いを日々続けることが重要です。

 ゲスな事を思ってもいい、妄想してもいいです」


 私は頷く。


「大事なのは、しっかりと世界を救って人の心を自分の虜にすることです」

「姿については安心してください、貴方の希望に沿わせます」

「聖女の時にもスキルを得れば、姿はいくらでも変えられますから」


 すごく丁寧だ。

 こんなにケアしてくれるのか。


「神になれるということは、その世界を掌握できるということ。

 好きなだけ、自分のあれやこれやをできるということ…?」


 苦笑いしながら、女神は頷いて頭を撫でてくれる。

 その際、ふっくら柔らかな胸が顔を掠める。


 ゲスな妄想は女神様に見えてしまっているのだろう。

 ――申し訳ないが、これだけは止められないんです。



 向かう世界への希望しかない。

 どれだけ難易度の高い世界だろうと、

 やりたいことできるなら頑張れる。



 ありがとう女神様。

 私、次の世界で頑張ります!


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