物書き屋~つくもがみものがたり~
鈴木しぐれ
序
序
『陰陽雑記に云、器物百年を経て、化して精霊を得てより人の心を誑す。これを付喪神と号すといへり』
――――――――御伽草子の一つ「付喪神記」冒頭より
人の手により作られた『物』は百年この世に在り続けると、命を得て人の姿をもった付喪神となる。その姿はかつて関わりのあった人間に似ていたり、いなかったり。
人の姿で、人の世の中で、人と同じように暮らしている。
これは、付喪神が語る、ものがたり。
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