「聖女様のお願いを断ることは出来ません」~勇者よ!魔王を倒し、この国を守り抜け!!~

あずま悠紀

第1話


「えっ!?僕ですか?僕はそんな、凄いことなんて何もできな」

――パァンッ!!!

『そう言って彼は、私の前であっさり殺された』

「どうして!君たちだって人間だろ!なんで戦わないんだ!」

「勇者さまはご存知無いようですけど私たち人間はもう何年も魔族や怪物どもと戦ってきました。それなのに未だにあいつらには一太刀も入れられていないんですよ?これ以上無駄な血を流す必要は無いんです」

「それは違うぞ!お前たちは勘違いしている!奴らは強い!だけど同時にとても脆い存在でもあるんだ!!」

(そしてその弱さこそが僕の力になる!!)


「だから俺を信じてくれ!今から俺はこの場にいる全員のステータスを下げる!!皆はこのチャンスを逃しちゃいけない!!」

(これでやっとこいつらと同条件になれる!後は全力で戦うだけだ!!!!)




「いい加減にしなさい!!!貴方はまだ戦い方を知らない子供だからって何してもいいと思っているんでしょう!?私は貴方みたいな自分勝手な子供が大嫌いよ!!」

あの娘は言った。

「貴様のような愚か者などこちらから出て行ってやるわ!」

と叫んで走り去って行ってしまった。けれど私は彼女を止めることは出来なかった。



「あの子にもきっと事情があるはず。だからもう少し待ってあげてくれないかな?」

「何を馬鹿なこと言っているのだ!!こんな状況になった原因を作った者が言う言葉か!」

彼女の両親は激怒しながら私に詰め寄った。それでも私の心は何も変わらないままだった。むしろますます固く決心していった。彼女が帰ってきた時笑顔で迎えられるように。

それから数年経った

「うっ、うう、ひぐっ」

私は今日、彼女と再会を果たした。だが彼女は私のことを完全に拒絶した態度を見せた挙句に私を突き飛ばしたのだ。その時私の中で何かが弾けたような気がしそのまま家を飛び出してきた。そして現在に至る。

「お姉ちゃん、泣かないで」

小さな女の子の手を握る手に力が入ってしまう。

この子がいなかったら今頃もっと絶望的な気持ちになっていただろうと思うほどにこの子はかけがえのない大切な家族なんだ。でもだからこそ思うんだ。

「私はもう二度と家族を失いたくないよぉ~!!」

「うん分かった!わたしはぜったいいなくなったりしないよ!おねえちゃんのそばをどこにだってついていくよ!」

こうやって幼い妹にまで心配をかけるぐらい情けない自分が本当に嫌になるよ。涙は止まる気配すら見せないのだし。それにこのまま泣き続けていたらもしかしたらまた彼女に迷惑をかけてしまうかもしれないじゃないか。それだけは絶対に駄目だよ。だからもうそろそろ泣いてばかりいるのは辞めなくっちゃね!よし!!じゃあまずは何より一番最初に私がすべきことは。

「ありがとうね、ユノ」

よし!今度は自然に名前を呼ぶことができた!良かったぁ~。これでいつも通りに接しられるはず!!

――バサッ

「あっ、羽虫が落ちてきたんだねー?お空に帰らないで迷子になっちゃったのかもねー?」

突然頭上にあった大きな木の上から大量の蝶が飛び立っていく

「あれ?今の季節は秋なのにまだチョウチョがいたんだ。しかもこの時期に珍しい青色だ。これも何かの巡り合わせなのだろうか?」

まぁいっか!とりあえず気分はすっかり回復したみたいだし!さて、これからどうしようかな? ふと見上げるとそこには青い満月が出ていた。綺麗な光景だと思えたけど何故か不安を感じてしまった私はすぐに目をそらした。すると隣から寝息が聞こえてきたのでそちらの方へ目を向けると。

(もう完全に眠り込んでるなこの娘は。よっぽど安心しきってくれてるんだな!うん!やっぱりこの子は天使のように可愛いぞ!)

はっ!しまった!思わず頬ずりしたくな

「何やってんのお前ら?」

真横に男の子の顔がありました。

『とある王国では毎夜、城にある大広間にて「悪魔討伐」を目的とした儀式が行われていた』

「おい!さっきから聞いていれば好き勝手なことを言っとるがな、そもそも我らと奴らを一緒だと思うでないわ!」

「そのとおりだ!我こそはかつて最強の名をほしいままにしていた騎士であった!」

『その言葉を聞いた少年は彼らの話に興味を持ち始めていった』

キャッチコピー:

「貴方たちみたいな化け物どもと一緒にしないでくれるかしら!?」

「そうだ!貴様らの命はこの私達が救ってみせる!」

『こうして少年は初めて自分の持つ特別な力を使い戦うことになった』

――カチッカチカチッ

「やめてよ!これ以上僕たちに近づかないで!!もう放っといて!!あんたたちは何も知らない癖に僕のことを見下してくるんだろ!!」

「いいからさっさと死になさい!!」

【名前】佐藤太郎

職業:高校生(元勇者)

称号;元魔王

「うっ、痛い。もう嫌だなぁ。なんで僕はいつもこうなんだろう。なんで上手くいかないのかな。もう、僕はこのまま死んじゃうのかな。誰か助けてくれるのかな。誰も助けに来てくれないのかな。だってみんなもういなくなってしまっているもん。僕は結局一人ぼっちなのかな。でもそれで良いのかもね」

(でもそんな僕にもたった一筋だけど光があるんだ。あの時あの場所で僕を支え続けてくれた君という優しい光が)

「大丈夫です!あなたには私たちがいるじゃないですか!」

「君はまだ死んでいない。生きているんだよ!」

「貴様のような愚図には我々が付いている」

「私たちは決して裏切らない!だから一緒に戦わせてくれ!!」

『彼は今まで自分よりも弱い者を助けたい一心で行動してきた。その結果が現在の彼を作り上げてきたのだ。だからこそこの瞬間も彼の中にある思いは全く変わっていない。だからこそ彼の力は今この時に最大限の力を発揮しようとしていた。その力を正しく扱えるように!』

「お前ら!!俺を信じてくれ!!今ここで俺は本当の意味で勇者になる!!だから俺を、俺たちを!!!」

「信じるわ。信じてあげる。貴方が望む限り私たちはずっと側に居続けるわ!!」

「えぇ!?お姉さんたちいきなり何言ってんの?」

――カチカチ、ブゥン

「「「私の名前は!!」」」

『そうして遂に

「俺に全てをよこせ!!魔王ぉぉぉ!!!!!」

「「「なあ!?一体どういうことだ!?どうしてあの小僧があそこまでの力を手に入れている!おかしいではないか!」

「そ、それはですね!おそらく勇者様は魔素を直接吸収することによって急激に力を付けたのでしょう。あの姿を見たらそれ以外には考えられません。それ程まであの方は追い詰められていたのでしょう」

「なるほど、しかしまさか本当に奴の言う通りに事が進んでしまうとは。だが、これで世界は救われたのじゃ。これで、これでわしたちの代で終わらせられる」

『その言葉と共に彼等の目の前に黒い空間が現れる』

「お待ちしておりました」

「ふぅ~やっと帰れたよ~!もうこんな時間か。おなかすいたよ~早くごはん食べたいな~。今日のメニューはな~にかな?楽しみだよ!でもそれよりお風呂に入って今日も疲れをとったほうがいいよね。よし決めたよ。お湯をためよう!」

よし!!やっとお仕事が終わった! これでゆっくりできるね!

「あら、また何かあったのかしら?少しだけ顔色が悪いわね。まぁ貴女にはこれくらいの仕事でちょうど良かったのかもしれないわね。私ならもっとうまくできたのだから」

うっ。なんだろう。今日一日の出来事を思い出すだけでまた気分が悪くなってきたよ。それにしてもこの人の嫌味ったらしいところってどうにかならないかな。私としては仲良くしたいと思って接している

「いいえそれはないわよ?だって貴女のことは嫌いなんだもの」

あれれ~おかしいな。私の思考読まれちゃってるよ?しかも即答だったし。これは流石にちょっと落ち込むね。それにしてもこの人は私になんか恨みでもあるのかな?いつもこんな感じで突っかかってくるからよく分からないや。まぁ今は気にしない方が良さそうだよね。うん、そうに違いない。

――バシャァー ふぅ~、今日はいつもより長めに入浴して気持ちよかった~!明日も早いしそろそろ寝なくっちゃね!でも私には今日一つどうしても気になっていることがある。

それは最近私のことを監視し

「はぁ、本当にイラつく奴だなお前は!何回言えば気が済むんだよ!いい加減諦めろ!私はもう二度とお前の前に姿を現すつもりはない!!」

ううっ、やっぱりまだ許して貰えないみたいだよ。仕方が無いけどしばらくはこのままの状態がつづくかもしれないな。でもいつまでも引きずっていたってしょうがないから切り替えないとね!!私は前を向かないと!!だから私は今出来る精一杯の笑顔で言った

「ごめんね。私が全部悪いんだ。君の大切な友達を奪って傷つけて泣かせてばかりでさ」

私は笑顔のまま泣き崩れていた

「ううっ、やっぱりダメなのかな?まだ、もうすこしだけ待っていて欲しいな。そうしたらちゃんとお話しができるはずなんだ」

――ピィィィィーー!!

「はぁ~あ、うるさい鳥ねぇ。全く誰よあんなに鳴き散らしたりしやがる馬鹿野郎は!あれはもう二度と見たくないのに」

私は泣きながら走り去って行く彼女の背中を見つめ続けた。

(あれからもう随分と時間が経ったな)

あれ以来彼女に出会うことは無かったけどそれでも時々思い出してしまうんだ。そして今でもこうして泣いてばかりなんだ。情けない話だよね。

『彼は自分がどれだけ周りから信頼されているかを知らずにいた』

「おい、貴様ら何時までそうしているつもりだ。もう良いからとっととこいつらの拘束を解け!」

おっと!いけないいけない忘れるところだった!お姫様に怒られてしまったからそろそろ皆を開放してあげなくっちゃね。さすがにそろそろ眠くなってきちったな。とりあえず今日のことはこれで一件落着ってことで。

「では我々は城に戻りましょう」

「あぁそうだな」

よし帰ろう帰ろうって思っていたんだけどね?どうも城の方向に向かっている訳でもないみたいでこのままだと家に帰ることが出来なさそうなんですけど?まぁそんなのはどうでもいいか!どうでもよくないよ!!どうするのこの状況!?

「では、まず初めに我々の国について説明させていただきます」

「うむ、よかろう」

えっとこの人たちはなんで当たり前のように王様と話してんのかな。っていうかこの人たちって一体何者なの!?もう全然意味が分からなくて混乱しまくってるよ!でもこの人たちに任せていれば何だかんだ上手くいきそうな雰囲気があるからつい安心してしまっている自分が居る。うん!もうこの際だ!ここは流れに身を任せるしか無いんじゃないかな。だってもうここまで来たら後戻りなんてできないだろうしね。

「我々と魔族の方々は長い間戦い続けて参りました。その理由については様々なものが複雑に入り組んでおります故ここではあえて申し上げませんが、その戦争も既に過去のことであります。今では平和を取り戻すことに成功しているのです。そこでこれからのお話を」

「ほう。なかなか面白い話ではないか」

んん?もしかして私この人達と一緒に戦うことになるのかしら。私って戦えるかな? いや無理でしょ!!いくら何でもこんな美人さんたちばっかりの戦いの中に混ざれる自信がありません!!ってか私完全に場違いじゃないですか!

「しかし何故我らがその小僧どもの味方をしなければいけないのだ?」

ですよね!!絶対こうなると思っていたよ!そりゃそうでしょ!?なんで私こんなところに居合わせなきゃいけないわけ!?

「ですが今の勇者たちはあまりにも未熟すぎるのではないでしょうか。魔王が復活したからと言ってあの子たちに勝てる保証がどこにもあるのですか?」

確かにそれもそうだ。魔王の復活により、今まで以上に強大な力を手にしてしまったのだろう。その力を使いこなし、魔王の魂に負けない精神力と肉体を持つことが出来たのであれば勝機は見えてくるだろう。ただそれを見定めるまでは少々不安が残る。

「ですから魔王を倒すのはこの私たちに任せて欲しいのよ」

「い、いやいやいや!何言っちゃっているのこのお姉さま!何一人で勝手に決めようとしているの!私たちにも意見させなさいよ!!」

「あははは、でも私達が協力すればきっと何とかなるはずだと思うんだ」

「お、おお!それは良い提案ですね。それでしたら我々も共に」

「は?貴方達も一緒に来いとか言い出すのかと思ったわ」

「それは困りますね」

「うんうん。それじゃあさ、僕たちが全員で戦えば良いんだよ!」

な、何を言っているんだあの人は?本気でそんな事を言ってしまっているのか?もしその考えが

「いいわね!賛成よ!」

本当かよ!?あの人ってそんなに強いの?私から見たらただのおふざけ集団にしか見えないんだけど?

「では私達の自己紹介を始めようと思います」

「ふっ、まぁよいわ。聞いてやるとする」

――ピィンポーン

「あっ!!誰かがやって来たようですね。私ちょっと出てきちゃいます」

ん?あの子が行ってしまった。ということはあのお姉さんたちの自己紹介は無しになるのかな?それならちょっとだけ残念かな。って!私って何考えてるのよ。

「な、なんだあれは」

「は、速いですね。私にはもう残像すら捉えることができない」

「そ、それよりもだ。この者一体どれほどの力を宿しておると言うのだ。これ程までとは到底思えん」

「は、はい。そのはずなのですが何故か今目の前で繰り広げられているこの光景にはどこか見覚えがありまして。そうまるでかつての大戦の時を彷彿とさせるような」

『彼らはかつて、この世界の均衡を保つべくその身を削りながらもその使命を全うしていた者たちだった』

「私もそろそろ動き始めなくてはいけないようね。いつまでもここで足踏みをしている訳にはいかない。私には守るべき家族が居るのだから。それにこれ以上あの人にばかり負担を強いることだけは出来ない」

「ふっ、やはりまだまだ俺も現役という訳か。まぁ今回はあいつに貸しを作っておいてやるとするか。だが次は容赦などせん。この剣の錆にしてくれよう」

「えぇ~私はどうしようかな。どうせ帰ってもつまらないだけだし、また暇潰しを探しておくことにしようかしら」

「さてと、私はもう少し様子をみていくことにするわ。だって退屈しちゃうしね」

『そしてまた新たなる脅威が忍び寄ろうとしている』

「あれれ~?お姫様はどこ行ったのかな?さっきからずっと探しているんだけど見つからないし、仕方が無いから自分で探しに行こうっと。確かこの部屋だったよね?うん、ここにいるみたい。お姫様~?ってうお!!なんか凄く綺麗な女の人が倒れてしまってる!なになに一体どういうこと!?でも取り敢えずこのままにはして置けないよね。でも私の力では抱え上げることもできないや。しょうがないな~。少しくらいなら大丈夫だよね?えい!よしっと、おっ、思ったより軽かった。良かった。それにしてもどうしてこんな事に。私には理解ができないぞー! うーー!全然分からないよ!

「とりあえずここに置いておけばいいよね。お休み」

『彼の目覚めが、近い。

「私はこの世界に愛されすぎてしまった。その所為なのだろう。私は皆に好かれすぎて、いつしか誰も私のことを愛してはくれなくなった。私の心は次第に闇に染まっていった」

「私はね皆から求められたいの。私がどんなに悪い事をしてしまっても私を愛して?私が何をしたって私は許されるのだから」

「私は皆のために頑張れるの。私はこの世界が好き。だって皆がいるもの」

「私は間違っていない。私が正しさを貫く限り私が悪に堕ちてしまうことはない。だって皆私が好きなんだから。私は間違ってないの。でももう嫌なの。一人になりたくない。孤独は辛いよ。ねぇ教えてよ私はどうすれば救われるの?」

彼女の涙はとても美しく透き通っていてとても美しいのと同時に醜いものだった。彼女の願いは全て叶った筈なのだ。しかし彼女はそれでも尚求め続けている。自分が満たされることを。自分の求める愛を

『彼女の本当の望み。それは自分が幸せになること』

彼女が目を覚ます時が近付いている

『その力はあまりに強力すぎた』

『その能力は強大すぎた』

「これはもう駄目かもしれませんね。我々の力も及ばず、この世界を滅亡させる結果になってしまいそうです」

「何を言い出だすかと思えば貴公はまだそのような戯けたことを考えておったのか」

「はい。我々に残された手段はこの国と共に滅びることのみ。それ以外に何もありません。我々の命を捧げることでこの国の繁栄は約束された未来となるのです」

この者の目を見てみると嘘を言っている訳ではなさそうだ。どうも本気で考えているらしいな。

「そうか」

正直なところどうでもいいことだな。このまま滅んでも、我らが滅ぶ訳でもないからな

「あ、あの!!私に一つ考えが有るんですけど、試させて貰えませんか!?」

「うむ、よかろう。好きにしてみるがよい」

あの小僧の考えそうなことなど分かりきっているからな。我も一度やってみたいとおもっておったが、まさかこの小僧が先にそれを成し遂げるとはな。

「はい。ありがとうございます」

まぁよい、この国を守ることが我らに与えられた唯一の任務。この小僧の考える通りにさせてやってもよいだろう

「まずはこの国の人々を安全な場所へと避難させた方がいいのではないでしょうか?」

「確かにそれが一番の最善策だと思います」

しかしどうやって移動させればいいのだ?この人数を一度に転移させることなんて不可能だろう。ならばどのようにするべきか

「この国は今から空に浮かぶ島へと変化します。ですのでまずはその前に全ての人間たちを一ヶ所に避難させて下さい」

この少年は何と恐ろしい発想をするのか、しかし今は信じるしかない

「分かった。しかしそれだけの量を移動させることが可能なのか?見た感じかなり多くの人間が住んでいるようだが」

「はい。問題ありません。皆さんが移動する先はただの森と洞窟だけですのでそこまでの距離はありません。なので全員の避難が完了した時点ですぐに元に戻しますので安心して下さい」

「本当にそんなことが可能だと?しかし信じないという訳にもいかぬか。では頼むぞ、我らに希望を託した者達のためだ。我らも全身全霊をもってお前の力を証明して見せよう。さあ、始めるが良い」

「それじゃあその前に確認ですが、あなたたちは私たちに協力して頂けるのでしょうか?」

確かにその質問の意味はあまりないな。何故なら

「はい。もちろんですとも。私達は魔王の復活など認めてはいません。貴方方に協力することは当然の事です」

この場にいるほとんどの者が同意の言葉を返した

「分かりました。それなら私もこの作戦に協力させていただきましょう。私一人では何もできはしないでしょうが、貴方方が力を貸してくれるのであれば必ず上手くいくはずです。この国を守るため、そしてこの世界の平和を取り戻すため。私たちの手で今こそこの争いを終わらせようではありませんか」

この者共の気持ちは十分過ぎる程理解できた

「はい。よろしくお願い致します」

これで準備は整えた。あとはその時を待つだけだ

「おい、そろそろ始まるんじゃないか?俺達も早く行かねぇと!」

そういやすっかり忘れていたぜ。俺たちもそろそろ行動開始か

『時は来ようとしている』

『ついに勇者たちが動き出す』

――ピィンポーン!

「あ!誰か来たようですね。すみませーん!ちょっと行ってきちゃいますね」

あの子が部屋を出ていった。どうしよう。このままではこの人の意識が戻って来てしまう。どうにかして気を失わせないと

『―――!』

「ふふふ、お姫様ってほんとうに面白いわ。まるで玩具みたい」

んん?なんだ?いきなりこの人が起き上がって喋り出した?どういうことなんだ?まぁ別に何でもいいんだけどね。とにかく今の僕じゃこいつには絶対に勝てないのだから

『はいはい、大人しく眠ってくださいなっと、あっ!やっぱり効いてないか~まぁそうだろうと思ってましたし?むしろ今の攻撃で僕がダメージを受けているので

「あら?まだこんなことをしていたの?全く、呆れたものだわ。私の眠りを妨げる者がいたのね」

はい!終わり~!もう駄目だ、これ以上ここにいると本当に殺されるかも

「ごめんなさい、今あなたの相手をしている場合じゃないんです。どうかこのまま眠ってくれればありがたいんですけど、駄目ですよねぇ」

「あら、残念だけど私には時間が無いみたいなのよ」

『お主は一体誰と戦おうとしている?』

うっ!頭の中で突然語りかけてくるような声がした!?一体なんなんだこの女?でもこの人からは凄まじく危険な匂いがする。この人をこのままにはしておけないな。それにしても

「うーん。困っちゃいましたねぇ」どうしようかなぁ。僕はあの人たちにあの人のことを任せるつもりだったし、この人もできれば戦いたくはない。ここはやはりこの場を離れて他の場所で待機しておくのが一番安全だよなぁ。よしっ!決めた!!

『ふっ、流石は我の弟子というだけのことはある。まぁ良いだろう、今回は特別だ。今回だけ、今回はこの者に手を貸すとしよう』

「本当ですか!?」やった!!これでこの女の相手はできる

「お姉さん、すいませんが僕の遊びに付き合ってもらうことになりますよ?いいですか?」

「う~~~、もう!!邪魔ばっかりしてくるな~!折角の計画が台無しじゃないか!こうなったらもうこの人達を殺してしまうしか無いよね。だってそうすればもう誰も私の事を止めることは出来ないもん」

この女一体何を考えている?この城にはもうほとんど人間がいないと言うのに

「でもお兄さんの方は中々強いね!うんうん、その顔も凄くいいよ!ゾクッとするほどいい。私、もっと君と遊んでいたいな。でもその前にやることがあるの」

「へぇー?やることって何かしら?お姫様」

「私、その人と遊ぶことにする。でもその子は私と君の二人同時に相手しても全然大丈夫だと思うの」

「は?ふざけんじゃねーぞ。てめー何勝手に決めてんだよ。殺すぞ?」俺は今マジでイラついているんだぞ

「まあまあそんなに怒らないでさ。きっと私達は仲良くなれると私は思うの。だから取り敢えずは休戦ってことで手を打ちましょう?」

「てめえ、調子に乗るなよ?俺がてめえなんかに負けてたまるかよ」

「え~!?どうしてなのよ。私こんなに優しく誘っているのに、ねぇ?」

「あぁ!?」この女本当にムカつくな

「あははは、冗談よ。まぁでもお断りされるのは悲しいな。だから少し私の力を見せてあげる。どう、私の力が欲しい?」

「なにをするつもりか知らないけど、あんたがどんなに力を持っていようとも、私はこの子を連れて行くからね」

「ふぅ、そうかぁ、ならしょうがないね。あなたは殺してしまうことにする。私の楽しみを奪う悪い子だもの。それにその男の人はとっても強そうだしね」

よしきた、この野郎ようやく戦うつもりになった

「ああ、お前もなかなか楽しめそうだったから生かしておいてやる。せいぜい死にかけの状態で足掻いてみるがいい。だが覚悟することだな。貴様にその余裕が有るかどうかは分からぬのだから」

なにを言っているのかは分かっている。この少女が只者ではないということぐらい

「私もそれは同感だな。あの男、今まで戦った中でも一、二を争うほどに危険だ。私が隙を見て何とか気絶させる。それまでなんとか耐えてみてくれ」

この子は私より遥かに弱い筈なのにここまで警戒心を抱かせるなんて

「私に任せてよ。あの子とは私が話を付けるから、その間にお兄ちゃんはさっきのおじさんを助けに行ってあげて。そしたらきっと全部上手くいくから」

この娘が何を考えているかは分からない。しかし何故か不思議と信じることができる気がしてきた。何故なのかはわからないけど、なぜか信じてみたくなったのだ。ならば信じてみるとするか

『その判断を我が許す』

また頭の中が響いた。これは先程の者とは明らかに異なる、どこか優しい声だ。そして不思議な懐かしさと暖かさを感じる声だ。

しかし今はこの者の力が必要だ。ならば

「分かった。それならば後は任せる」

今は目の前の少女を倒すことが先決だろう

『はいはい~♪任せてくだしゃいね~!』

ははは、まさかこんなことになるとは

「おいガキ、お前一体何がしたい。なぜ我らに敵対しようと企んでいる」

「別にあなたたちに敵対する気なんてこれっぽっちも無いわ。私の目的はただ一つ、この世界の終焉を迎えること。それを成すためにはどうしてもお姫様の力が必要で、だから協力してくれそうな人に会って話をしてみたいと思っていたの。それだけよ」

こいつの言うことは理解ができないが、嘘を付いているとも思えない。どうすべきなのか、本当にどうすればよいのだろうか

『我に任せるがいい』

頭の中に直接聞こえてくる声だ。もしかしたら本当にこれが奴の狙いなのか?

「なるほど、それならば我らが力を貸すことも不可能ではないな。だがそれなら何故最初からそれを言わなかった?いや、待て、お主は我らに何をした?そもそもお主は一体」

本当に何も見えなかった。しかし今になってみるとこの女はまるで私達の前から消えたかの如く移動している。一体どうやって?本当になんなんだこの女は?

「ふふふ、やっぱり君は面白いなぁ。今すぐに殺したいくらい。まぁそれは今度にしましょう。それじゃあそろそろ始めましょうか」

「そうね、いつまでもこうしてはいられないわ。さっそく始めるとしましょうか」

二人は互いに向き合う

「ねえ、ところでその腕は?あなたって一体、それにその力は」

「ん~?知りたい?私の秘密、興味津々だね。ふふ、特別に教えちゃおうかな?でもまだその時じゃ無いのよ。でも、いずれ分かることよ。私の正体は――」

その瞬間少女が一瞬で姿を消した

「――!」

どこ!?あの女どこに

「おいおいどうしたんだよ、もう終いか?情けねぇなお前は。まだ俺の相手は出来ねーよ。残念だけど、な」

こいつ、なんで私の居場所が

「おいクソガキ!俺に勝つのはまだまだ先のことだ。てめーが俺に挑むのは何年後かも分からねーけどな」

この女、なんなんだ?さっきまで完全に気配が無かったのに、まるでそこにいなかったかのように

「て、て、めぇー!ぜ、ぜ、絶対に!ゆ、るさないから!うぎゃー!!」

くっ、痛い、頭が割れそう

「ほぉ、少しはやるようになったな。流石に今の一撃を食らって生きてる人間はそうはいないだろう」

なにを言っていやがる?なにが起こったんだ?全く、全然状況が読めねぇ

「ふふ、ふふふふふ、凄い、本当にすごい。貴方って本当に人間なの?正直、今のはもう駄目かと思った。だけどそれでも私は負けたくない。私だってもうすぐなのよ!お父様のように、ううん!それよりも!私の方が!もっと!だから、もっと私と戦って、そして!私のことを好きにさせて!!うきゃー!!!」

やばいやばいやばい、どうなってるんだよ!?急に現れたとおもったらそのまま攻撃をしかけてきて

「あぁぁぁぁ!!あぁ!!あぁぁぁ!!きもちいい!きもちいいぃ!!はぁ!はぁ!はぁ!あはぁぁぁ!いいよ!!いい!凄く!いい!凄く!気持ち!良すぎだよぉ!はぁはぁはぁ!あっはっ!あっ!あっ!あっ!いい!良いよ!はぁはぁ!いい!!良い!凄く良い!凄く!良い!はぁ!はぁ!あぁ!!良い!!!はぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!はぁぁぁぁぁぁあ!!うあ!うぁぁぁ!はぁぁぁ!はぁぁぁぁ!!あ!あ!ああ!ああああ!!はあぁ!ああ!ああ!あ!は!は!は!は!あ!は!は!あ!あ!あ!は!あ!あ!は!は!あ!うぁぁ!うぁ!う!うぁ!ああ!はぁ!はぁ!ん!く!はぁ!くぅ!ああ!ああ!く!は!は!ああ!ああ!ああ!は!は!は!ああ!あはははははは!ああ!ああ!く!くぅぅぅぅぅ!ははは!ああ!はははははは、はは、く、くるし、はぁ、はぁ、ああ、くぅぅ、ああ、ああ、くは、く、は、はあはあはあ、ぐぅ、あ、あがあがあがあがあ!!!」

あが、あががががががががが

「あ?終わりだな」これでこいつはしばらく使い物にならなくなったな。しかし何だったんだこいつは、訳が分からねぇ

「ふむ、ではこちらも再開しようか」さてとそんじゃまぁやりますかね この世界に存在するのは何も魔法だけじゃない、魔力は魔法以外にも存在する。それが今私が使用している能力

「てりゃー!」私にはある力がある。それは人の思考を読み取る力、簡単にいえば他人の考えていることが分かる。でも私は別にこの力を使いたくはなかった。だってこれはあまり人に使っていい力だとは思ってはいなかったから。だってこの力は相手の考えを全て見てしまうのだから嫌なことにも触れてしまうかもしれないしね。だから今まで使う機会は無かったんだけどでも今は仕方ないよね。お姉さんたちが困っているようだもんね!よし!やるぞ!私の新しい力を使うときが来たみたいね。

「お兄ちゃん気をつけてね~!あの子結構ヤバそうよ~」私は念の為にお兄ちゃんに注意しておくことにしますね。一応ね。

あいつが消えてから俺は急いでさっきの場所に戻ったが既にそこは

「遅かったな。どうやらこのガキは気を失っているらしい」おっさんに話しかけられた。どうやら間に合ったようで何よりだ

「そのようですね。ところでお兄さんの方は無事ですか?」俺はとりあえず自分の心配よりもそっちが先だと考えた

「まぁ多少傷が有るもののなんとか命に別状は無い」

「良かったです。それじゃあお嬢様も助けましたしそろそろ俺達も撤退しませんか?」

「そうだな、これ以上ここに留まっていてもしょうがない。それに我らの用事は大体終わった。ここからはすぐに撤退するべきだな」

よしそれならさっさと逃げるとするかな

「分かりまし、っつ!?」

その時頭上から物音が聞こえてきた ドンガラガッシャン!!ゴロンゴロン!!ドシーンッ!!! そしてその音の正体が俺達の前に姿を現す。そこには巨大なゴーレムが存在していた。

『おおっと、これは予想外だな。この俺がいるのにまさかの乱入者か。まぁ想定内のことではあるか』

「なんだあれは!?こんな化け物がこの街にいたなんて」おっさんは動揺しているが俺は別に驚くほどのものでもない。何故ならこいつも前に見たことがある。

「こいつの正体を知ってんのか?おっさん」俺は別に慌てたりなんてしていないのだがおっさんに問いかけてみた。別に深い意味なんてねーけど。しかしそんなことを気にする余裕も無く

「馬鹿を言うのもいい加減にしなさい。こ、こいつが何か知らないが、少なくともただのゴーレムでないことだけは確かでしょう」どうやら俺の言ったことが相当面白かったらしく笑いながら怒っていた。器用だな

『ふふ、ふふ、あはは、面白いわあなたたち。それじゃあそろそろいいわね。あなたたちの実力は十分にわかった。もう

「お、おいお前、一体何を」何を言っているのだこやつは。一体何を

『あーもー!うるせーな!ちょっと黙ってろっての!』またもや頭の中が響く、本当になんなのだこいつは?一体

「まぁ、それはさておき。さてお前はここで大人しくしていてくれよ。そしたら後は俺たちに任せてくれればいい。だからあんたら二人はこの先に進んでいいよ」

しかしそれならば尚更我々も協力をしなければ

「それは止めて欲しいな。まぁ無理にとは言わないがな」

それならば我々はここで待つしかないということなのか?しかし本当にそれでよいのだろうか?しかし確かに彼の言う通り

「まぁそういうことだ。だからここは一旦引くべきだと思うぜ」

「そうね。私もあなたと同じ意見よ」二人ともこの状況に納得したような表情を見せる

「くそ!だが、だが!本当にこのまま逃げ帰るわけにはいかない!それに私にはまだ使命が

「お主ら!何を言っておる!!早く逃げるんだ!」その時突如現れた人物によって俺達は強制的に移動させられることになった。しかしその移動の最中でも俺達の耳にはその男の声が届いた

――おい、お前は一体なにもの その言葉を最後に俺の意識は途切れてしまった。そしてそれと同時に私の意識も同時に消えてしまい あぁ、もうダメだな。俺がそう思ったときには全てが遅く

「うわっ!」突然視界が変わったのに驚き思わず大きな声を上げてしまっていた。しかしそれも一瞬の出来 目の前の光景が一瞬にして切り替わる。そこにはさっきまで居た場所と同じような感じの部屋があった。しかし一つ違うところを挙げるとすれば

「くっ、なにが、なにが起こったんだ!?あのゴーレムに吹き飛ばされて?そしてその後」

「あら?意外と冷静なのねぇ。もう少し焦るかと思ったけど、大丈夫そうかな」

そこに立っていた女はゆっくりとこちらに向かって近づいてくる。

その姿はやはりどこか不思議なものを感じさせてくれる。それは見た目とかそういった問題ではなく、そう、雰囲気というべきなのか

「君は一体、いやそれよりもどうして僕が生きているんだい?間違いなく死んだはずなのに

「うん?あぁそのことか。それは俺の力を使っただけだから安心してくれて構わないぜ」女の言葉は理解出来ない内容だったが特に深く考える必要も無いと判断した僕はその場から立ち上がる どうやら体に異常は無いようで少しばかり安心したが同時に違和感を覚えた。先程までは痛みや疲労感で動けなかったはずなのに今ではそれらが全くといっていいほど無かった

「いやいや、もう普通に立って歩くことが出来るだろ?流石は俺が創った能力、いや正確には神の力で作られた世界だけど」

「えっと、どういう、意味ですか?」正直彼女の言葉を理解できる気がしなかった。それに彼女は何のことを話しているの

「つまりは、だ。ここが君の元いた世界では無いってことさ。まぁ正確にいうと少し異なるといった方が正確かもしれないけど」は?この子はいきなり何を言い出すんだろう。

この子がいったことは恐らく正しいんだと直感が伝えてくるがどうしても受け入れがたい

「そんなバカな!?」つい口からそんな

「いやまぁ君からしてみれば当然の感想だよ。だから今からしっかりと説明するさ」そこで少女は自分の胸に手を当て話しを続ける。すると ブォン 謎の音が響きわたる。

「今のは?いっ!」急に頭に激しい頭痛が発生する

「ああ悪い。言い忘れていた。俺との会話は直接精神に影響するからかなり辛いんだよな。といってもそこまで長い時間は起きないから我慢して欲しい」なるほど。

でもその言い方だとまだ他にも色々とありそうな予感

「あぁそのとおりさ。でもそれを全部説明するには時間が足りない。さっきの話に戻るけど」

あぁ、なにか大事なことを言われたような でも思い出せない 頭がぼん

「ま、まぁ今はそれくらいにしておくといいだろう。これからのことを話し合う必要があるからな。それより今はこの部屋から出てみるべきだと思うのだがどうかな」確かにいつまでもここに居るのは時間の無駄な気はするが、果たして本当にここから出られるのだろうか?まぁとりあえず試してみるとするか。そう思いドアを開けることにした。扉の向こうは薄暗い廊下が続いている しかし僕の体は何故かその暗闇の中でも見えるようになっていた。これならば何も困らないな

「それじゃあ行こっか」後ろを振り向いてみると先程の子も付いてきている この子の言っていることが本当かどうかわからないがそれでもここまで一緒に来た仲だ。あまり信用できなくはないが今は頼れる人が他にいないため信じることにしよう。

「分かったよ。取り敢えずまずは出口を探さないかい?そのあとこの世界の説明を聞きながら」その提案に女の子は満足気な顔をしていた。

それから数分後僕らはこの城から出た。出ることが出来た。外には見覚えのある街の風景が広がっていた。

しかしどう考えてもこの世界は明らかに現実離れし過ぎていて信じられない

「ほ、ほんとうにこんなのって」僕は驚きすぎて上手く話すことが出来なかった。けれどそんなことは気にせずその子が口を開いた

「だから言っただろ。俺は嘘はつかない。まぁ簡単に信じろっていうのは難しかもしれねえけ

「いえ、分かりました。では、とりあえずはここから出てみましょう」

どうせこのまま立ち止まっていても

「おいお前、一体ここで何をやっている!さっさと自分の家に帰れ!それともなにか?また盗みでも働こうって魂胆じゃあないだろうな」その声を聞いた途端に体が震えだす。

そして振り返るとそこには男が立っている。

しかし何故だろう。別にその男を見たわけではないのにも関わらず体中の体温が急激に下がっていく感覚に陥る。この人の近くには居たくない、それだけを本能的に感じるのだ しかしそれに反して体の震えはどんどん酷くなっていく。まるで寒さを感じていないはずなのに寒いと感じてしまっているかのように これは不味いな。この感じは前世でのトラウマに近いものを感じ取っているのだろう。しかしこんな場所で気絶なんてしたらそれこそ一大事

「おい!何を黙り込んでいるんだ!!答えられないならそれでいい!しかしこっちに来るならそれなりの覚悟を決めてもらうぞ!」やばいやばいやばいやばやばやばい やばい、ヤバイ、やるバい。早く何とかしないと、しかし頭の中で警鐘が鳴り響いているにもかかわらず足が思うように動かない

「あ~もう、うざったいな」そう聞こえた瞬間男の姿が目の前から消えたと同時に地面に大きな衝撃と共に大きな亀裂が走るのを確認することになる

「全くなんなんでしょうかあの方は」そういいながら男は目の前の少女の方を見るがどうも状況を理解し切れてい無いようだった

「まぁ気にすることはないと思うぜ。多分だがあいつには悪感情とか持ってねーだろ」その通りです。と内心で返事をしながら少女は目の前の光景を見続ける 男を吹き飛ばした人物は金髪で長身の優男という印象を受ける見た目をしているがその身に纏うオーラはまさに強者そのものでとても普通の人間とは思えなかった

「なぁ、ところで聞きてぇんだが良いか?あのおっさん、なんで生きてんの?」どうもこいつの言うことはいちいち俺には難しい。というよりこいつ自体が理解不能な生き物なのだ。こいつは俺の世界には存在しない生命体で俺の能力を遥かに凌駕した存在だということだけは分かっていたがそれ以外は全て不明だ こいつが俺に植え付けてきた力はどれもこれも凄まじい物だったがその中でも特にやばかった能力は相手の精神力や思考、行動パターンなどを完全に読み取り、そして支配することが出来るというものだった。しかしそのせいか、俺の能力はかなり制限されていたらしくて

「まぁあれは単純に俺にダメージを与えたのが原因だよ」そう。奴らにとっての「死」が、俺にとっては「苦痛」となって襲ってくるように設定されているらしくそれで死んだらしい。まぁその辺りの設定に関しては俺が自分で決めたことだ。だから後悔は全くしていない。ただまぁ

「はぁ、まさかあんな方法で俺にダメージを与えるとはね」どうやらあいつは俺が能力で作ったゴーレムを破壊して出てきた。まぁその前にゴーレムと戦闘をしていたからその時の攻撃が蓄積して、みたいな感じだろうか。正直かなり面倒なことになってくれたものだ だが

「ふぅ。俺にもようやく運が向いてきやがったみたいだな」

「なにか嬉しいことでもあったんですか?」

「ん、まあそうだな」

「それよりも、ですね。先程の方のことなのですがどのようにして対処なさるおつもりですか?」そういわれて初めて先ほどの男のことを思い出す まぁもう俺の手から離れた相手だ、どうなったとしても問題は無いはずだが

「まぁ、ほっとくかな。あの感じ、なんか面白そうでもあるし。それよりもさっき言ってた話に戻るが

「この世界のことについて説明してくれるんでしたっけ?」

「ああ」

そう言うと、先程までとは違い、少女の目つきは鋭くなっているように見えた しかし、やはりどこか子供のような純粋さを感じさせる雰囲気がある。それは見た目からは考えられないが、しかしこの目を見て確信出来た この

「では、始めさせてもらいます。まず初めにあなたが知っていることをすべて教えて欲しいのです」この子はおそらく全てを、それこそ世界や神々といったものについての知識を得ているはず。であれば私達の持つ情報はすべて役に立たないでしょう ならばここは素直に従うことにしましょうか

「ああ良いぜ」

「分かりました。では質問を始めさせてもらいたいと思います」そこから彼女は色々と僕から聞いてきた そしてその内容は、今まで知り得なかった知識を得ることに繋がったが

「なるほど、だいたい理解できまし

「はい。ではこれを踏まえたうえで話をさせてもらいたいと思っているんですけど、構いませんか?」もちろんだ。どうせこれ以上は分からないだろう。いや、そもそも俺自身がほとんど分かっていないのだから、彼女が何か知っていてもおかしくはない

「ありがとうございます。ではまず最初に、私たちが生きている世界はあなたの生きていた世界と似通った所もあれば全く異なる部分もある。そこだけ覚えていれば十分です」え?

「は、え?」いま、この子はなんと?

「いや、だから、私たちの住んでいる場所が貴方たちの世界とは別にある世界。簡単に言えば平行世界のようなものだと考えてもらえれば大丈夫です。それにしても同じ名前の種族がいるというのは少し気になりますけど」

「あぁ確かにそれは言えてるな。でもさそんなに珍しいもんかね」

「そりゃあそーだよ。なにしろ俺たちだって元々は同じなんだから」

「そうなんだよな~」二人は何の話をしているんだろう?でもその様子はとても親しげに見えるな 少し気になるけれど今は置いておくとして。しかし並行世界と言われてもまだ完全に納得できた訳じゃないんだよなぁ けれど今の状態で考えても答えが出そうにないので取り敢えず考えることを放棄することにした。どうせここでいくら考えていても結局は同じな気がしてきたからな でも一応

「すみません、もう少し詳しい説明をお願いしてもよろしいでしょうか」僕の頼みに対して女の子は嫌な顔

「あぁ別に構わない。ただまぁ、さっきよりも長くはなるが」どうせこの世界に残ってもする事が無いのだ。多少時間を使った所で何も問題はないだろう

「分かったよ」

そして彼女の口が開き

「あぁ、ちなみに私はそっちの世界で言う所の精霊っていう存在で」

は?

「はい?」

「は?ってなによ。いきなりそんな態度取るなんてひどいわね」

突然現れた女の子。見た目は自分と同じくらいで綺麗というよりは可愛いと言った方が良いのだろうと思われる容姿をしていて、その肌は透き通るように白く、髪の色は黒だ。

そして服装は着物と呼ばれる類の物を着ていた。

しかしどうしてここにこの子

「あ、あなた、なんでここに!?」どうも彼女もこの子の出現には驚いているようだ。しかしそれも当然だろう。なにしろ彼女は神なの

「いやいや、ちょっと待ちなさいよ。あんたがなんの連絡も寄越さずに居なくなったせいだからね。こっちがどれだけ探すの苦労したと思って

「そんなことはどうだっていいから早く戻りましょう」そんなに焦ってどうしたというのか

「どうせまたあの馬鹿が余計なことやってんでしょ。まぁ、今はいいか。とにかく帰りましょ」いや、よくねぇから

「いえ、駄目ですよ」そういってその子の前に手を出す

「は?あんた誰に指図しているの?いいから早く帰るわ ぞ。って、あれ?ここどこ?あー、あぁ思い出した。確かあいつと別れてからすぐに空間移動の術を 使って それから―――あ、そういえばこの子のことも忘れてたっけ?まぁ、あいつならどうにかするでしょ」

何を言っているんだこの女は?と僕は思ってしまう。しかしそれと同時になぜかこの場を離れなければいけないような気持ちになってしまった

「おい、待て。お前、俺の大事な仲間になにしてくれてんだ?」

その声を聞いた瞬間に体の奥底が熱くなり恐怖を感じてしまう。しかし同時に怒りや憎悪、殺意などを感じる。この

「お前の勝手でその人を勝手に変えようとしてんじゃねーぞ。いい加減にしろ!」しかしそれすらも吹き飛ばしてしまうほどの力強さが込められていた

「くはははははは!やべぇなぁやっぱお前は最高の玩具だ!」男は楽しそうに笑い声を上げているがその目は笑っていない。まるで獲物を見つけた獣のようにこちらに殺気をぶつけてくる

「はい、そこまでにしてください。これ以上騒ぐというのなら今度は私が相手になってしまいます」

「へぇ、言うじゃねえか。良いぜ!ならかかって来い!」男が地面を踏みつけると共に地面に巨大なクレーターが生まれる。その衝撃は相当なもので、周りにいた人はほとんど立って居られない状態になっている。しかしその男は地面に膝をつけるどころか立っていることすら出来てい無いようだった

「どうしたぁ、早く俺を倒してみろぉ!」男の表情は

「はいはい、うるさいので静かにして下さい。まったくもう。それよりこれからあなたが行わなければならないのは一つだけです。そう、この子を元の状態に戻せば良いんですよ」そういうと彼女は自分の目の前に手を出し、それを横に動かす。それだけの動作にも関わらず凄まじい暴風が周囲

「はい、終わりました」そう言う彼女の前には一人の少女の姿があった。その姿は紛れもなく、先ほどまで目の前で戦っていた少女だ

「あ、ありがとう」少女がそう言い終わった途端に周りの景色が変わった。あれほどまでに激しかった風が止んでいる。そして

「ほぅ」男も感心したかのように目を丸くしていた しかし一体何が起こったんだ。この男と少女の戦いを見ていること以外特に変わった事は何も起こらなかった筈なのに

「さてと、とりあえずこいつらは全員始末しとくか」

「そうですね」

二人が何もない空中に向かって手を突き出すと そこには大きな渦が突如現れ、中から様々な生物が出てきたのだ そして出てきたものは次々と二人の前に立つと武器を構える

「さてと、それじゃあ始めるとするか。こいつらを片付けるついでにそこのお嬢ちゃんに俺らの強さを見せ付けてやるとしますかね」

男は両手にナイフを取り出し、構えを取る。しかしそれは今までのような適当な物ではなく、その姿勢を見た瞬間に背筋が伸び、緊張感を覚える。そしてそれはおそらく隣に居る女性も同様のようだ 先程から一切隙が見当たらない それに加え周囲の気温が徐々に下がり、吐いた息は白くなっている。どうやら本格的に殺し合いが始まるみたいだな

「行くぞ」

男はその一言を

「ああそうだな」その言葉を皮切りに二人は飛び出していった

「さぁ!ここからが始まりだ!!この世界の本当の支配者はどちらか決めようじゃないか!!」男が腕を振り上げると同時に大量の水が押し寄せてくるのが分かるがこれは恐らく先程の技の一つだろう 先程まで僕と戦っていた少女の使っていた水の槍とよく似ている気がするが少しだけ違うように感じるのはその性質故だろうか?いやまぁ正直どちらにせよ僕にとっては関係ない話だけどな!なぜなら今の俺は最強モードなんだから!!!だから負けることは無いはずなのだよ! それにしてもやっぱり俺の能力はこの世界でも通用しないんだなぁ。でもこれでこそやりがいがあるってもんだよね。だからこそ楽しいんだしな。うん、だから仕方

「おぉっと、危ねぇ」俺の顔の横を通り過ぎて行く水をなんとかギリギリ避けることに成功したぜ。しかしこんな攻撃じゃまだまだ序ノ口にしかなっていないよな。だとしたらもっと気合を入れて

「って、うわ」水が迫ってきていると思っていたんだけど、これ実はただの水じゃないだろ絶対、そうだよ、なんか光っているもんこれ。しかもそれが高速で動いてるじゃんかよこれ。これ当たったりしたらえ

「ちょ、まっ、あぶねぇだ よ!?」あ、やばこれ避けきれない。

やばいな。このタイミングは避けられない。このまま当たれば流石に死ぬだろう

「はぁ。しょうがない。助けるか」

そうして俺の前に突然現れる影が二つ。いやいやちょっといきなり過ぎるってかマジで心臓止まるかと思ったからね!?っていうか

「なんでこの世界にあいつらが居るんだよ?」その疑問の答えを知る者はすでにその場にはおらず

「さて、それでは私達は行きますね」そしてそのまま二人は空に飛び立ってしまった。その後に残されたのは戦いの火蓋を切った男ただ一人だけとなった。そしてその

「ちぃ!邪魔が入ったか。でもな、この程度じゃ終わらないから覚悟しておけ」

その視線は真っ直ぐに彼に向けられており

「お前とは本気で決着を付けてやるからな」その顔に浮かぶ表情は純粋な笑顔であり。しかしその瞳に込められた殺意はとてもではないが子供が放てるものではないことを物語っており

「お前は一体、いや今はそんなことを考えている暇は無しか」どうやらあの二人を追っていかなきゃならないらしい でもどうしよう。このまま走って追いかけるのは面倒だしそもそも疲れるから絶対に嫌だ でもなぁ、転移系の能力は使えないし、空を飛ぶ能力もない

「なら、跳んで行くしかないか」しかしそれでも追い

「ん?ってちょっと待って、今この世界には勇者はいないんだよな?それってつまりどういうことだ」この場には既にあの子たちはいない。そしてこの世界はあの子たちがいる場所とは違う場所にあると。いや、あの子が言ってたことを考えるとその通りなのだろうがそうなってくるとやはりここで待っている意味はないのかもしれない ならば、

「はいはい、そこまで。これ以上はさすがの君も許さないよ?」そんな僕の考えを見通していたのかは分からないけれど突然僕の視界に一人の青年が現れる。その身からは強い力を感じるがそれ以上に優し気な雰囲気を感じさせ、少しだけだが親近感のようなものが沸いてきた そして

「えぇー!せっかく面白くなりそうだったのによ。お前さんはいつもつまらないところで割り込んでくるよなぁ」そんな彼に呆れたような口調を向けるのは男だ。だが、その声音には微かに残念そうな色が感じ取れる。そしてその反応は

「そう言われても困っちゃうよねぇ。僕はあくまでも傍観者でいなくちゃいけない立場にあるからさ」

男は「へぇ、ならなんで今回はそうしなかったんだよ?わざわざこうして出てきてさぁ」というと彼は少し悲しげに笑い「僕はただ、見守る事だけが仕事だから。こういう介入の仕方をするとちょっと色々と不味くてねぇ」そう言いながらも表情

「まぁいいか。とりあえず俺とこいつは先に行っているからな。お前はそいつとの話し合いが終わったら後を追えばいい」そう言って男はどこかへと行ってしまう

「はいはい、そうしておいてください」

「いやぁ悪いね。僕みたいなおじさんに話しかけられてもうっとおしいでしょ?」男は人好きのする笑みを浮かべながらこちらに向かってきた

「いや、別にそうでもないですよ。それに貴方に聞きたいことが幾つかありますのでむしろ好都合です」そういって笑う。

「はは、面白いね。それで君はどんなことを聞きたくてここまで来たの?」どうやら話は聞 けてもらえそうみたいだな。なら

「いえ、大したことではないんですけどね。まず一つはどうしてあなた達がここに来てしまったのかという事についてなんですが、これは多分偶然だと思うんですよ。しかしもしそうで無いとしたらあなた達が来た理由はなんだと思うのですか?」そう、これは単純に気になったからだ。僕だって異世界に行こうとしているのにそれを妨害してくるような存在がいるなんて思っていなかった。そして実際にその可能性は低いのだろう。しかし、それならばなおのことなぜ

「ふむ、そうだねぇ。一つは君の言う通り、たまたま僕たちの前に彼らが現れたからだよ。そして二つ目は」男は笑みを深め、その目に真剣な感情を灯す

「彼らは君がここに来る事を知っていたから。かな」

「それは」僕がこの世界に呼ばれてしまうことも全て知っていながら

「ははは、どうだい、面白かったかい?これがこの世界の真実。この世界で起こっている出来事の裏に隠されていたもう一つの側面だ。これを聞いた感想はどうなのかい? そして男はそこで言葉を区切りこちらをじっと見つめてくる そして僕は考える。果たして今の彼の言葉は嘘だったのかどうか。それを見極めるためにももう少し質問をさせて貰おう。まだ情報が不足しすぎていて判断するには早すぎる

「じゃあ、次の質問にいきますね。この世界の裏側のもう一つというのは先程の話で良いのですね?」

「うん、そういう認識で構わないと思うよ」

「分かりました。じゃあ次はさっきの話から考えた疑問をいくつか解決したいと思います」

そう言って僕は先程思いついたいくつかの事柄を順番に口にしていく。何故この男が僕の思考を読んでこないのか。そしてこの世界に来た時から聞こえていたあの不思議な音が一体なんだったのか、といったことをだ。しかしそれらは結局

「ごめん、僕に分かることはその程度なんだよねぇ。さっきの話を聞いてもらって分かると思うんだけど僕は基本的にただ見ているだけの存在だからあまり口出しはできないんだ。だから本当にごめんなさいとしか言えないや」

そう言い終わると同時 目の前にいたはずの男は煙となって消えてしまい

「あぁそれと、ここから先は君が頑張ってくれ」という言葉が頭に響いた。そして

「はいよぉ!待たせたな!じゃあ行くぞ!」男はいつの間にかそこに居て先ほどまでの態度など全く想像できないくらいのテンションで そう宣言をした。その瞬間男は何かを唱え始め、そしてその姿が

「ん、これは」

徐々に変わっていく 体中が黒ずんでゆきその身に纏うオーラの質も変わった しかし、

「はぁ!どうだ、なかなか格好良くなっただろ?」その言葉とは裏腹にその顔に浮かぶのはその見た目に相応しいほどの幼稚な笑顔だ。正直この人は何がしたいんだろうか?しかし

「ああ!確かにな。さて、それじゃあお前には少しだけ付き合って貰うとするか」男が構えると同時に周囲に無数の水の玉が現れていく

「はは、なんだか懐かしいな。でもな俺はお前なんかには負けねぇんだよ!!」

「っ!く、お前まさか! そしてその刹那 男の身体に衝撃と共に大きな傷が出来る。

「なぁに。ちょっとばかり本気を出してみたってだけよ」しかしその一撃を受け止めたのか

「はは、俺にダメージを与えた奴は今までで初めてかもな。でもまだまだ俺は負けねぇよ」

男は笑みを深め拳を握る。しかしその瞳は一切笑ってはいなかった。

あ、危なかった。もう少し反応が遅れていれば間違いなく殺られてしまっていた。でもこれでこの男の正体にも予想が付いたな。この世界に召喚された者の中には俺のように元々特殊な能力を与えられていた者も当然いるはずだ。

だからこそこの男はその者達と何らかの関係を持つ者なのだと思っていた。しかしそうでは無かったのだとすれば。恐らくこの男の目的はあの時、水の大魔が放った技の阻止だ。だからこそ俺と大魔がぶつかるその寸前に現れ邪魔をして来たのだ。そしておそらく、いや確実にあの男は水の能力を持っていたはずだ。しかしそれでもその力はあまりにも

「強すぎないか」

「ま、この程度じゃ終わらないぜ。なんたってこの俺の相手はこの世界でも上位クラスの力を持つ連中だからな」男はそういってその視線に闘志を燃やし

『お主のその強さは一体なんなんじゃ。なんなんだよ!お前はぁ!』大魔は心の底から困惑

「さてな。俺のこの力はなんなのだろうか。この力のせいでお前に迷惑をかけちまっているよな。ほんとはな。もっと早く決着を付けなきゃならないのは分かっている。だけどな」

そう言って

「俺は今度こそ守りたい人達を守り抜いてみせるから。お前を倒すその時まで俺はお前を止めておく。そうしないとあの人に申し訳が立たないから」そして

「な、なぁ」

「ん、何だ」男は大声で叫ぶ

「あの女はどこにやった!?答えねぇとこの世界がどうなるか分か」

しかしその言葉の途中で 男の首元には剣が当てられており、そしてその表情には明確な怒り

「おい、それ以上余計なことは言うな。言わないと殺すぞ」

「わ、分かったよ。言う。言えばいいんだろうが。はは、そんな怒らなくてもいいだ そしてその首が飛び、辺りが血で染まり始める。

あぁまったく どうしていつもこういうことになるのか。やはり自分の考えの甘さを後悔する そしてそんな自分に腹が立ち、つい大声を出しそうになる しかしそれはなんとか堪えた 今はそんなことをしている暇は無いのだから。一刻も早くあの娘を探しに行かないと

「待っていてくださいね」

「ふむ、しかしどうすれば。こんな状態であの子を探せと言うのは難しいだろうし」そう考えながらもとにかく行動を開始する とりあえずあの少女は王都にいるということなのでまずはそちらに向かうことにした。

そしてその道すがら色々な事を考えていた

「そもそもあの子にはなんの非もないのだしこのまま普通に生活していてくれるなら別にそれでも構わないんだけど。それにさっきの戦いを見る限りだとそう簡単にやられるようには見えないんだよなぁ。なんであの子が勇者のパーティに選ばれたのかはよく分からないけれど」

そしてしばらく歩いていると前方に一人の男の姿が見えて来た

「えっと確かあれは、あの人の執事だったか?えぇと」そう思いながら観察をしていると向こう側もこちらに気付いたようで声を掛けてきた

「これは失礼いたしました。私は当家に仕えている者でございます。そしてこの国を守護する者の一人でもあるのですが」その男は少し驚いた様子で

「ふふ、驚きましたか?まぁ無理も無いでしょうね。私がこのような姿に変身してしまったことに気が付けという方が無茶というものです」そう言って

「貴方は一体誰ですか?私の前に現れたのはどのような用件があっての事ですか?」そう尋ねると「はい、それについてはご説明いたします」そうして その男の説明を聞いた僕は 正直にいって少し動揺していた。

「そ、それはつまり、僕に彼女を倒せと言っているんですね?」その言葉に

「ええそうです」という即答が返ってきた

「な、なんでそこまで僕に協力してくれるんですか?いえ、それはもう分かっているんです。あなたが僕のことを監視しているのは知っています。それにあなたの目的もおおよその見当がつきます」しかし

「私のことは気になさらずとも結構ですよ。これはただの確認事項のようなもの。そう、これはあくまで確認の為の行動なんですから。さ、それでは早速彼女の元に急ぎましょうか」その男は微笑み、僕をどこかに連れていく

「分かりました。でも、僕がこれからやることは全てが終わったら全て話してくれますよね?もし、嘘なんて吐いたりすると僕も流石に見過ごせないかもしれませんから」そう言うと

「はい、勿論全てお話しいたしますよ。この世界の裏側を」

そして男はまた、その顔を仮面によって隠す 僕たちが城に戻ると

「なぁに?わざわざ私に聞きに来たの?残念だけど今回の作戦についてはまだ教えられないわよ?ふふっ、どうしても知りたいというのであれば教えてあげてもいいのよ?」

「はい?ああ、はい」

いやまあ知ってますけどね。この人が本当にそういうことを思っているのかっていうのは分からないので一応。

そしてそんなことを考えている内にその少女は消えていった。

「さてと、それじゃあそろそろ行くとするかね」

俺は先ほどまでの会話の内容について少し考えていた。あの王様は確かにこの世界の秘密の一端を知っているように見えた。そしてそれはおそらく俺達が知らないような重要なものなのだろうと思う。そして俺はそれを暴き出す為に動くべきだ。そしてそのためにはやはりあの男の協力が必要だ。しかし俺はまだこの男の

「本当に良いのか?」

「ん、なにがだ」

「俺はさっきの話を聞くにあいつに何か秘密があるとしか考えられないんだよ。そしてそれがもしも俺たちに敵対するものだったとしたなら」

「はは、お前は何を言っているんだ。お前だって分かってるんだろうが。あの人の目的はおそらく」そこで言葉を切り俺をじっと見つめて そして

「まあ、俺達の目的の障害になるってんだったら仕方がないよな」

そして男は歩きだす 俺達は王の間に来ていた。そしてそこには先ほどまでいたはずの姫の姿が消えていて

「お主、どういうことだ?」

王はそう尋ねてくるが

「すみませぇん、ちょっと遅れちゃいました」そう言ってその男が入ってきた。

「まあ細かい話は置いといてさ。まずはこの世界を救っちゃおうよ。なぁ」

そしてその男は笑い 目の前の男に向けて拳を振るう。その一撃を受けて男は倒れこみ

「おい、何のつもりだ」そう言った瞬間に今度は男が王の顔面目掛けて殴り掛かる。しかし男はその拳を止められてしまう。だが

「さてここで問題でっせ~。今の俺はどっちかなぁ?正解したらここから帰してやるよぉ!ほれ!さっさと決めないとどっちに殴られたいかを聞こう!」

そしてその男の後ろから無数のナイフが現れ男の背中を貫くと同時に王が倒れた男の腹に向かって蹴りを叩き込むがしかしその足が腹部に触れた途端

「はいざんねぇん」と言いながら王は男の腕から出てきた鎖のような物に拘束され地面に倒れる

『なんだこいつは、全く隙が無い!どうなってる』その時男の口が動き言葉を紡ぎ出す

『さあて、答えは分かったかな?』そう言われたところでようやく理解をすることが出来た『そうか、貴様か。まさかこいつをけしかけてくるとは、一体どういう魂胆

「なあ俺の話を勝手に進めようとしないでくれよなぁ」

『黙れよ。おい、そこのお前は一体なにしやがった!』

「へぇ、やっぱり気付くか。なかなかに頭が切れるみたいだなぁ」

『おい!聞こえないのか!!俺の声が!』

「いやぁ、あんまり騒ぐのはよくないんじゃないのか?ここは城だぜ?それにお前さんはもう少し状況を考えて行動するってことを覚えた方が良い。さあ大人しくしろ。じゃなきゃ、なぁ」そういって男はその指先で王に傷を付けていく。するとその男は痛みに悲鳴を上げる しかしそれでも抵抗を止めようとは

「さて、これで準備完了っと」そう言いながら男は懐から小さな箱を取り出し その中身を手に持つ。するとそれはみるみると大きくなっていき、やがて人の手のような形に変化していく そしてその手に捕まったその体は地面へと叩き付けられ、その衝撃は相当なもので、周りの壁は崩れ、床に大きな亀裂が出来上がる。しかしそれでも男は止まろうとはせず、そしてその腕に握られた男をそのまま壁にめり込ませ

「おーらら、これはやり過ぎちまったなぁ」

「やばいやばい、どうしよう、こんな大穴が空いているのが誰かに見つかったら、きっと大変なことに」そしてその光景を見て固まっていた俺と水の大魔

「ええ、と、大丈夫か?なにがあったのかよく分からないんだけどとりあえず、とりあえずはここから離れようか」

その大穴を横目にしながら俺はそんなことを言う。正直、今すぐにでも逃げ出せば良いものを何故か体が動かなかった。いや、動けなかったのかもしれない。今にして思うとその時すでに俺の意識はその男に支配されてしまっていたのだろう そうやって思考の渦に飲まれてしまっていると

「あの、どうかしましたか?」

「え?ああ、いえなんでも」

「あ、あの私の名前、ええと」

「あぁそういえば、まだ名乗っていませんでしたね。僕はシンジ、ただの一般人ですよ。あはは」そしてその後で俺は あの人はどう

「どう、ですか?」

どうなんだろう

「ふむふむ、なあこれどうやったら元に戻せるんだ?」

『さぁ?とりあえずは時間の流れに身を任すしか無いんじゃないかしらね』そう言われながら男は落ち込んでいる。どうも彼は自分が作り出した空間の中ならばどんなことも可能なのだろうが、その力を使って作ったこの部屋の扉を開くことがどうしても出来ないのだという。しかしそれだとどうにも

「ま、まあなんとかなるか」

そう思い、とりあえず俺はその場を離れて行く その道すがら

「あのさ、君の名前はなんていうんだい?良かったら聞かせてくれないか」そう聞くと 彼女は嬉しそうに

「はい、ええとですね。私は」そしてそれから暫く歩くと、一つの家を見つける。そしてそのドアには看板が取り付けられており、

「あれ、この家って確かあの人の家のはずでは」そんなことを思いながらも一応確認の為にと

「失礼しま~す」と一言入れてから中に入ることにする 家の中には一人の少女が椅子に座っているだけで、他には誰もいない。そしてその顔はどこか疲れ切っているような印象を与えるものだった その少女は僕を見ると少し慌てた様子で

「い、いやあ違うんですよ。別にあなたが来るまで待っていたとかそういうわけじゃなくてたまたまタイミングが良く」そう言ってから僕から顔を背けるようにして窓の外を見ながら

「それで、あなたは何をしに来たんですか」と言う

「僕はこの国に来ている旅芸人の一人でね。ただ今はちょっと暇になったから散歩しているところなんだよ。そう、特に意味はないよ。それに僕たちは」そこまで言ってからその言葉に違和感を覚える。僕たち この世界で僕という人間と面識を持っているのはまだ一人しか居らず、そしてその人物は僕の記憶の中にしっかりと存在していて。その人こそが僕に声を掛けてきたその人物であり、そしてその人にこの国は救ってくれと頼まれ、それを引き受けた。そう、僕にこの国を救うように依頼をしてきたあの人だ そうしてそこまで考えると自然と笑みが零れる。いやあ本当にあの人には助けられてばかりだ。だからこそ次は俺の番。あの人のためにこの国を救う。

「なあ」そして その少年の瞳は

「あのさ、お前」そこで言葉を区切る。その目は僕を見ておらず、どこか遠くの方に向けられている。そしてそこから感じ取れる感情はとても強くて、まるで怒り狂っている獣のよう

「お前、誰?」その言葉でようやく少女はこちらを振り向くが そこに居るのは既に別人で 先ほどまでの弱々しさなど微塵もなく そこにはもう先ほどまでの彼女の姿は無く 代わりに在るのはただ強い敵意を放つ 一匹の化物だけ

「お前は何だ」その質問はおそらく俺の頭に直接話しかけてきているのだと思う。しかしそれでも俺はその言葉を無視することは出来ず ただひたすらに目の前の恐怖に耐えていた。目の前にいるこの化け物は一体どれほどの強さ

「お前は、何だ?」二度目のその問いかけは明確な答えを求めていないようで

「俺は何だ?俺が何かだ?」

その声には

「なに、簡単なことさ。お前が俺だ」そう言うと同時にその男は俺に襲い掛かってくるがそれを軽くかわしてから腹に拳を打ち込む。だがやはり相手も俺と同様に何らかの力を使えるらしく俺の拳が触れようとした途端

「はっは!なかなかやるじゃないか」その瞬間男の纏う空気が変わる

『いいわ、見せてあげなさい。私たちの本当の力を』

俺が拳を握りしめなおすと男も構えをとり、そしてお互いの身体に力が満ちていき。それが最高潮に達しようという瞬間 俺の

「はい、終了~!」そんな声で全てが終わった そして先ほどまでいた場所には何もおらず、そして俺はまた自分の部屋へと戻っていた。先ほどまでのやり取りが全て夢であるかのように思えて仕方がないが、そうやって自分に暗示をかけてみてもその記憶がなくなることはなく。俺は、いったい、 そして先ほど起こった出来事を思い出す度に全身の血液が無くなってしまうのではないかと思えるほどの寒気が走り、震えは止まりそうもない。そうやって暫く震えたままでいると コンコンとドアをノックする音が聞こえてくる。そして俺はその音を聞くなり 先ほどとは比べ物に成らないくらいに強い悪寒に襲われる。それは今までに味わったことのないような気持ちの悪さで、そして

「はーい、どなたか知りませんけどちょっと待っていてくださーい」俺は必死に明るく振る舞う。だがそれでも心の中では 何故、何故なんだ

「あのぉ、どうかされましたか?」

「え?あ、ああいや。ええと。大丈夫です。問題ありません」そう答えてから一拍

「さっきのこと覚えていますよね?」そう言われると再び体の奥が冷えていく感覚に陥る

「ああ、そういえばさっきは急用を思い出したので。すみません。そろそろおいとまします」

そう言って逃げ出そうとするが足は一歩踏み出したところで止まってしまい、そこからは足が動く気配すら無くなってしまった。

「さて、貴方は私達の正体を知ってしまった訳だけど。どうすれば良いか、分かるかしら?」そして男は指の先でくるりと回す すると、世界は暗転し、俺の世界が反転した。そこは、何もかもが消えてなくなりそうな暗闇で、俺はその光景に飲み込まれてしまうような錯覚を覚えてしまいそうになる その景色に飲み込まれる寸前、俺は見た その闇の中に浮いているのはただ一つ、赤い血で染め上げられたような 小さな小さな真っ赤な林檎だった。

その日から毎日の様に俺はその女の元を訪れることになる。最初は警戒されていたようだが何日か経った頃にやっと受け入れてくれたらしい。そうして暫く話をしたり食事をしたり

「あの」そしてそうこうしているうちにその少女から一つのお願いを受けるようになる。そしてその少女からの願いを聞いた時、何故か懐かしいとさえ思ったのは きっとこの人が俺のことを その言葉は何故か聞き取ることが出来ず しかし俺は、この人は僕のことを好いてなどくれているはずがない。だってこの人にとって俺は、 そう思いながらその言葉に返そうとするのだが どうしてもその言葉は口から出ようとしない。いやそもそも

「どうしたの?」

どうしたら良いのか

「ねえ、大丈夫」その顔からは心配をしているという事が手にとるように伝わってき、俺は思わず目を逸らしてしまう。そしてその光景を見ていた彼女が少し寂しそうにしていることに気づき、

「いやぁごめんな!ええとそうだ。お詫びと言っては何だけどこれからお茶でも飲まないか?」そう言うと

「はい、ありがとうございます」嬉しそうに答えるその姿を見たとき俺は胸が高鳴るようなそんな感覚に襲われていたんだ。でもこれは絶対にありえないことであってだから そしてその後 二人で町へ出て色々な場所を回ったり、買い物を楽しんだりしたがその時の出来事は鮮明な思い出となっていて、とても楽しくて幸せな時間だったが、それもすぐに終わってしまうものだと分かっているからこそ今だけはと思いながら 今だけでも 今だけは そう思ってから既にかなりの月日が経過してしまったが未だにその日々から抜け出すことが出来ないでいる。もしかするとこのまま抜け出せ

「んあぁ?あぁなんだ寝ちゃってたのね俺。って、ああそっかあの子がいるから」そう呟く彼の目にはもはやあの時の感情の色は残ってなく、あるのはこの世の全てを呪い続けているようなそんな暗い色の目だけだった。

その男が家を出る。今日もあの人のところに行こうとしているのだけれどどうしても行く気になれず、適当に歩き回っている内にここに辿り着いていた。そうやって辺りを見渡すと、一つの看板を見つけることが出来る。それを見て彼は思う ここって俺の家じゃん!どうやらいつの間にか家に帰ることが出来なくなってしまったようで。どうせ帰れないならどうしようかと考えていた矢先にこれである そんな風に思いながらも家

「あら、こんにちは。お久しぶりですね。今日もいつものように私の家に行きます?」彼女は優しく語り掛けてくれる。しかしその目は俺に対して興味を持ってくれたわけではないようで、どちらかと言うと観察するような いや違うな。そうじゃなくてただ俺に興味が無いんだろうな。そんなことを思いながらも一応

「あの」

「はい、何でしょうか」そう言われてからしばらく悩んだ後に口を開くことにする

「俺の事なんて気にしなくていいんでもう放っといてくれませんかね」そう言ってからその場を立ち去ろうとすると腕を捕まれてしまうがすぐに離してくれた。そのまま俺は歩いていく

「ねぇちょっと」そんな言葉が背後から聞こえる そして振り返らずに立ち止まると、再びその声が 今度は先程よりも近くで声が聞こえた。その声の主の方へと向きなおると俺のすぐ目の前に彼女が迫っていて。そこで初めて俺は自分が彼女の接近を許してしまっていたことに気付いた。しかし、それでも

「あなたは私に話しかけた時からずっと私に何かを問いかけているように見えていた。それが一体どういうことなのか、あなたは教えてくれないかしら」

「は、はは、は。いや別にあんたには関係の無い事だろう?俺は、俺はあんたの事を」

「いえ私は、あなたは何か大切なものを必死に隠しているように見えるわ。それは何?何をそこまで頑なになっているのか。その理由を是非知りたいと思うの」そう言うとこちらの目をじっと見つめてきたので慌てて顔を背けるが

「駄目、逃がさないわよ」そんな言葉を耳元でささやくと

「ふむ、なるほど」何だこの女!?いきなり距離を詰めてくると

「あなたのことを教えて欲しいの。そう、まずは名前を、次に何が好きで嫌いで、どこで生まれた、どんな育ち方をして、どうやって育ったか。その一つ一つを」そう言いながら俺にゆっくりと迫ってくる彼女の表情はとても柔らかく、優しげで、それでいてまるで俺に好意を持っているような錯覚を与えてくる。そして

「さあ私の名前を教えるわ」その瞳に囚われて身動きが取れなくなったところでその女の目が紅く輝いたかと思えば、そこから感じる威圧感は今までのものとは比べ物にならないほどで

「う、うわああああ」俺が必死になって逃げ出すのと同時に女が何かを唱えたのが分かるが

「ぐっ、あっがああ」そんな声を上げて地面へと倒れこんで

「はぁはぁはぁはあ、あれは」息を乱しながらも視線を前へ向ける。するとそこに見えるのは既に意識を失ってしまったと思われる彼女と

「おい」

「はは、どうだ?俺とお前の仲だろ。遠慮せずに言ってみろ。さぁ、早く。さっさと、言っちまえ。そうしたらお前もきっと」

「い、嫌だ、俺は」俺はそんなことを言うためにここまで来たんじゃ

「あ?何だって?良く聞こえなかったぞ」そしてそいつはその右手を振り上げると、 俺はお前のことを知っている そうやってそっと手を伸ばした時 俺は、俺はいったい そうやって考え込んでから

「ええとあの、私の家にいらっしゃいますか?」

「いや、大丈夫です」そう答えるとまた一人になりたくなってしまう そうやって俺が歩き出した後 暫くその場で固まっていたようだが どうしたんだ?俺 そういえばこの女は俺が記憶を取り戻すための手がかりとなるのだろうか。もしもそうなのだとしたら

「さぁ俺と、俺と一緒になってくれ!」

「は、はは、いや、ちょっとそれはさすがに困るかなーって」いやーさすがに私でもその手には乗らないかな

「いや待てよ。そうだ!どう?私を雇わない?結構良い仕事する自信があるんだけど」うん。これが良さそう そうして俺が彼女を見ているとその視線に気が付いた彼女が微笑んでくる

「え、えーと」

どうしたものかと考えている間も彼女の笑顔は絶えることなく、その瞳は真っ赤に染まっていて。それを目にした途端に頭の中で何かが砕けていくような音が鳴り響いては、それと同時に俺の中から様々な感情が一気に溢れ出し、その勢いのままに彼女に近付くと、気が付けば俺の手がその頬に触れていて。

「ええと」彼女が戸惑っているのが伝わってきたがそれにかまわずに手を動かす

「ええと、その」彼女は俺の行動を止めようとせず、されるがままになっていて

「な、なんかこう。恥ずかしくなってきたからそのくらいにしてくれないかしら?」そう言って彼女は顔を赤く染めてうつ向いてしまう 俺は、この人が好きなんだなぁ、って

「俺が守ってあげます。だから」そう言った瞬間に世界が反転していき俺は、その光景を見ていた そこには、俺の家があったはずなのだが今ではすっかり変わり果てており そしてその場所に立っているのはあの男だけではなかった。あの男が見覚えのある女に寄り添われながら歩いているのを見ると、男は足を止めることもなくこちらに向かってきたので慌てて逃げようとすると 男が急に現れてきて俺のことを殴ってきたかと思うと、地面に倒れた俺のことを見下ろしながら話してくるのだが

『貴様は何のために戦うのか』そう

「え、いや、俺は、だって俺はこの人のことが好きだから、好きだった、はずだから」そんなことを考えながらも、どうして今の言葉が出てきたのか理解出来ない俺のことを嘲笑うかのようなその態度を見ていられず、目を逸らしてしまう その先に見えていたはずの彼女の顔を見ることが出来ないのは、何故なのだろう 俺はただその光景を呆然と眺めていることしか出来なかった。

そしてその光景を見終わった俺の目は何故か涙で一杯になっていた。そうして俺は自分が何をしていたのかを思い出す。

そうだ、俺は、あいつに騙されて、いや、そもそも俺はあいつを信じた訳では 俺は、あの人に好かれていると勝手に勘違いをしてしまい、それを確かめるためだけに何度も

「ごめんなさい。ごめんなさい」そう言いながら泣き続ける少年の肩に触れるとビクッとしたように体を震わせるがそれもすぐに落ち着き

「ごめんな、さい。僕が悪いんだ。全部僕のせいなんだ。だから」

「貴方は何も悪くありません。全て悪いのはあの人、あの男のことです。だから、泣かないでください」そう言って抱きしめると ごめん、ありがとう 彼は私に対して謝罪の言葉を述べてきた 俺はあの男が嫌いなんだ

「え、あ、あーまあそれは仕方がないと思います」

あの人はあの人だし、その人の事を想っていたあの子はその子のことだもんね

「でもねあの人も昔は優しい人だったんだよ。私が怪我をした時にはいつも薬を作って持ってきてくれたの。その時にね、私のことを思ってくれるのは本当に嬉しかったの。でも、それがいつからか」そんなことを思い出しているのだろう彼女は寂しそうな目でそう呟いていた。

「私は、あの人を」そう呟いた少女の表情を見て胸が苦しくなってしまい

「私はもう行きます。これからもあの子をよろしくお願いします」そう言うなり俺の横をすり抜けて何処かへと歩き去ってしまったので、それを追うこともできず ただ立ち尽くすことしか出来ずにいた それからどの位経ったのだろうか 辺りには誰もおらず静まり返った場所で空を見ながらボーっとしていた

「やあ」

「あぁどうも」その声で我に帰る この場にいる俺以外の人間は一人しかいないのだ

「君は、誰なんだい?」

その言葉に俺は一瞬考える 俺は俺だ

「んあぁ?」何を言っているんだ?こいつは。俺はここにいるじゃないか

「ああぁ、なるほど。君、そうか、君なのか。ふふふふふ、これはまた随分と久しぶりだねぇ」その声を聞いて俺は確信を得る あぁ間違いない 俺は俺だ。やっと思い出せたんだ。そのことに感動しながら話しかけようと思ったその時に目の前にいきなり現れたそいつの口から血が流れ落ちる。そこで初めて目の前に現れたそれが誰かを認識した

「お、おいお前」そこで目の前の人物は

「あはは、僕はここまでかな。じゃあそろそろ行くことにするよ」

「何だよ。いきなり何を、何を言ってんだよ。お前は、お前の名前は、な、名前なんて言うんだ。教えてくれよ」俺は必死で呼びかけるが、それでも目の前の奴が消えてしまった。俺は、俺はもうすぐで そこで俺は意識を手放した。次に目覚めるのはまだしばらく後のことだと思うが、それでも俺の記憶を取り戻すために、何よりあいつの事をもう一度、そう思った。

俺は、何度だってお前の為に、その為に あれ?そういえばあの子の事が少し分かるようになっていたっけ?いや、確か俺と彼女は

「あ」その答えを思い出したところで再び俺の意識が沈んでいく そしてその感覚を覚えながら思うことは一つだけで あの子の名前を聞いとけば良かった その日、私の元に届けられた一通の手紙を読んでいると自然と口角が上がってしまうのを抑えきれずにいた。しかしいつまでもそうしていても仕方ないので読み終えた手紙を再び引き出しの奥深くへしまい込むと立ち上がり部屋の中を歩き回り始めたりしてみるがどうしてもニヤつく表情を抑えることが出来ずにいると部屋の中に設置してある電話から呼び出し音が鳴ると共に声が聞こえてくる 〈はいこちら受付でございます〉「あっ」どうしようかと思っている間に切られてしまったのでどうすることも出来ずに再び机に戻ると椅子に座りなお

「はいこちら本部」さっきとは違う人が出て来たな。というかここ一応警察署の窓口みたいな場所のはずなんだけどな。もしかして俺が来る時以外は無人とかそういう事なのだろうか。そんな疑問を抱いているとその女性はこちらの顔を見ると驚いたような顔を浮かべ

「あら、こんにちは。今日も私に会いに来てくれたのかしら?私もあなたにずっと会いたいと思っていたわ」と満面の笑みを見せてきた そうやって俺が困惑していることにもかまわずに

「それで、本日の用件は何かしら?もしあれだったら今ここで要件を話しても構わないわ」と聞いてくるのだが。うーむ 正直俺としてはこんなところで話すつもり

「あーそういえば。あの子に渡して欲しいものがあるから、またあとでそっちに行くわ」

「えぇ!?」急に大声を出したかと思うと物凄い勢いでこっちに向かってきたのだが一体

「ちょっ、ちょっと待ってて。うんちょっとだけ」そう言ってその女性は再び電話の方へ向かい先程までとは違い真剣な表情で会話をしだしたので俺はその場を後にした その途中、受付カウンターの近くを通ったときにこちらに向かって手を振っている女性の姿が見えたがとりあえず手を振り返すと笑顔になった後、すぐに元の体勢に戻った。いやそこまで気にすることじゃないのかな そんなことを考えながら廊下を歩いているとその途中で前から歩いてくる女性がいて、どう

「おぉ!やっぱりそうだよな!」と大きな声でこちらに話掛けてきた その人物は見覚えがあり 俺に話し掛けるというよりも独り言のように何か話をしているようだが何のことを言っているのだろうか?そんなことを考えていると不意に彼女が顔を上げ俺のことを見つめる

「なあなあ知ってるか!お前があの事件の時の!ええと確かそう、あそこに立っているあいつ!そうだよな!俺あいつと会ったことあるんだぜ!」興奮しているのか顔を近づけてきて喋ってくる 俺はあの人以外にはあまり興味が無いんだがどうしようか考えているうちに話が終わってしまったらしく彼女が離れていった。そうすると次はどこに向かおうかと考えている内に目的の場所に着くことが出来たが

「あの」俺は、そう、俺は。そう思いながらその人の名前を口にする

「ああぁ」そう言ってその人物がゆっくりと俺の方を向き

「あの時も」そうして、俺はようやく思い出す そうして、俺とあの人は、お互いの存在を認識すると 俺はあの人が好きだ。

だから、俺は戦う。

俺が守るべきなのは、彼女のことだ。

そして あの人が守っているのはあの子のはずだ。

そして、俺はあの人のことを 俺が守るべきなのは、彼女だけだ。

俺のことを救ってくれたのはあの人だけだから。

俺のことを守ろうとしてくれたのはあの人だけだから。

俺のことを見てくれるのは、俺のことを大切にしてくれるのは

「はいこちら本部です。え?あぁそうですか。分かりました。では至急向かいます」受話器を置いたその女性はとても困った様な顔をしながらため息を吐きだし俺に近寄ってきて、こう話かけてきた

「貴方に、貴方達に緊急の任務を言い渡します。私と一緒にこの国の王城に来てもらえませんか?」

そして あの人と俺は、初めて出会う。

俺が守りたいと思う人に

「私は貴方が」その言葉を聞き終わることなく俺は動き出してしまっていた。俺に出来ることなんて何も無いけど、でも俺はあの人に何も伝えられないまま別れてしまうのだけは絶対に嫌だった。あの人は今あの男の所へ向かう最中

「なああんた。そろそろ行かないとヤバいんじゃないか?」そこで、俺はこの人に協力を求めようとそう提案してみる その人はしばらく俺の瞳を見続けていたかと思うと口を開き

「分かった。それじゃあお前にも同行してもらうぞ。その方が色々と都合が良いだろうしな」と俺の提案を受け入れてくれたようでその事に安心しほっとしている俺を見て、目の前の女性は小さく微笑んでいたのが見えたが

「よし、じゃあさっさと行こう。時間は限られてるんだから」その言葉を聞いた俺は気合を入れ直しつつ足を動かし始めるのであった そして俺達はすぐに城に到着することになるのだけど

「あ~~、マジか」そこには、大勢の人達が集まっておりその中に紛れ込んでいた俺は、あの子を見つけたのだが何故か様子がおかしいように思えた。それは他の人も感じ取っているらしく少し動揺しているみたいだが

「貴方はここに残っていてください」そう言い残すと彼女は俺を残して何処かへと走り去っていきそれを目で追いかけていたら彼女と目があったので軽く手を振る そこであの子は驚いたような表情をした後で嬉しそうにはにかんでいる姿を見ていたら何とも

「おい、何をしている」と声が聞こえたので後ろを振り返るとさっき俺をここに連れて来た人がおりその手には銃が握られていた

「悪いが大人しくしていてくれ。お前達を傷付けたくはない」その表情には確かな覚悟のようなものを感じとることができたので俺もそれ以上は何も言わずにじっとその場に待機することにした そうして少しの時間が過ぎた頃になってようやく戻ってきた彼女は

「あの子には私ともう一人で向かってもらう。その方がいいと思ったんだ」と少し悲しそうな声でそう言って そのすぐ後に 城の扉が開かれると共に あの子が姿を見せ その途端に、城内の雰囲気が変わるのを感じた

「それじゃあ俺達の役目はここまでかな。それじゃあ後は頼んだぜお二人さん」そこで俺を連れて来た人物の声に背中を押してもらい、俺はその場所を離れることにした しかしどうするか、これから 俺は何をすべきなんだろうか?そんなことを考えている間に、戦いが始まったようだが そこで俺は見たのだ。今まで何一つ抵抗する事無く、ただされるがままになっていた男が一瞬のうちに姿を消して 次にその姿が見えた時には既に女の懐に入り込んで そこで男の持つ武器によって一撃で女の首が落ち それと同時に男が膝を着いて崩れ落ちた所で勝負が決してしまった事を悟ると同時に、あの女の子があの男の所へ走っていく姿を見たところで視界が暗転するのであった そこで俺は全てを思い出した。そう、思い出した

「っ!?」俺はすぐさまあの場所に向かって駆け出したい衝動に襲われるがその行動を起こす事は出来なかった。その理由は今の俺の状況を理解したことで分かっている ここは牢獄だ、あの子の、そしてあの人が捕らわれてしまった場所なのだ。ここで俺に一体どんなことが出来るというのだろう。そう思っていた俺の元に誰かが来るのを感じるのと同時に声を掛けられる。その人は俺の顔を見ると驚いた顔をしたかと思うと笑顔になりそのまま近づいてきて目の前までやって来た

「あーー!!!お前!!」といきなり声を上げるものだから思わず驚いてしまい声が出なくなってしまったのだがその女性は俺のことを見ながら笑みをこぼしながら話しかけてきた

「まさか本当にこんな場所で会えるとは思ってなかったからちょっと嬉しいぜ!」と笑いながら言われ

「あの、すみませ

「まぁそんなことはどうでもいいからとりあえず今はあいつ等を助ける事に専念しようじゃないか!ほれ行くぞ!」そう言って女性は俺の手を掴み無理やり立たせようとするのだがその行為に対して

「ちょっと待ってください」俺は、その手を払いのけてしまった するとその女性から先程までの笑顔は消え去り代わりにこちらを睨み付けてくるのだがそれでも俺は引くわけにいかず

「どうしてこんなところにあなたのような人が居るんですか。ここはあなたの様な人間が来ていいような場所ではないはずです。それに、貴方にだって守らなければならないものが沢山有るはずでしょう?だからお願いします。俺なんかの為にあなたにこれ以上負担を掛けさせるような真似は、俺にはとても」出来ない、そう言うつもりだったがそれよりも先に俺の言葉は遮られてしまい

「ああ、確かに俺が守るべきものはこの国だけじゃ無いな。でもな、だからと言ってそれ以外のものを守りたくない訳じゃない。俺が守りたいと思うものは俺が決めたんだ。あいつらを守ってやりたいとそう思うのは俺が自分で選んだんだ」と、そう話して聞かせてくれるのだが そんな話をされてしまえば

「分かりました。それなら俺もその作戦に参加させていただきましょう。俺一人では何もできはしないかもしれません。ですけど、仲間がいるからきっと何とかなりますよね」そう言って俺は立ち上がる そう

「俺は俺の力で皆を守ると、誓ったんだ。例えその結果自分が死んでしまったとしても、それで守れたはずのものを壊す事になったとしたとしても。その誓いは変わらない。だから 俺は、戦う!」と力強く叫ぶ そう そうだ そうだ!そうだ!そうだ! そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ!そうだ! 俺の力は何の為にあるのか?決まっている。

そう。俺はその為に生きている。

「ふ、ようやく良い面構えになってきたな。よし、そんじゃあそろそろ行きますか!」そう言って歩き出す彼女の後ろを付いて行こうとしたが俺はその歩みを止める

「どうかしたのか?」彼女が不思議そうに尋ねてきたのでそれに対して

「はい。俺の名前は白崎勇といいます。宜しくお願いします!」と頭を下げながら自分の名前を言った後で俺は

「あ、そういえば名前聞いて無かったですね。なんて呼べば」と言い掛けた所で俺の体が突然光り出し始めてそれが収まったかと思えば次の瞬間には そこには一人の男性の姿があり

「それじゃあ俺の名前を教えようか。俺の名前は黒井雄一っていうんだ。覚えておく必要はないけどね。君もいずれ知ることになるかもしれないしな。それじゃあまた今度」そう言い残すとその男性は俺の前からいなくなりそれと同時にこの場には俺だけが残されたことになるのであった。そしてその後すぐに俺の意識は再び闇へと飲み込まれていくのだった。そこで俺の記憶は途絶え

「それじゃあいくか。おい、いつまでぼさっとしてるつもりなんだ?」そこでようやく俺は我に返る事が出来たのだが俺のすぐ隣を歩いてる彼女は何故か呆れた表情をしており

「おい!何か言えよ」そうやって催促してくる彼女の様子に少し驚きつつ俺はこう話すことにする

「そう言えばあなたのことってまだ良く知らないんですよ。なので教えてください。あなたのこと」

そう話した後で

「まず俺の名前を言わなくちゃいけませんでしたね。俺の名は」とそこで

「おや?何ですかあの子達は、あの子達の力に引き寄せられてこの空間にまで迷い込んで来てしまうなんて。これは面白い事になるのでしょうか。いえ、面白くなるの間違いですか」そう呟き男は笑みを浮かべるがその表情からは悪意といった類のものは感じ取れず、どちらかと言うと楽しんでいるような印象を受け取れる そうしてしばらくすると

「それじゃあ私達も向かいますか」そう言って彼女は前へ進み出し、それに続いて俺も前に進もうとするのだけどもそこで俺は、少し疑問を感じていた。あの男、一体どうなったんだろうか。俺の力が足りないから何もできなかったのか 分からないけど もし もしも俺に 今より少しでも、ほんの少しだけでも強い力があれば俺は、俺は、あの人を助けてあげられたのかな?俺は弱い それは自分が一番分かっている。だからこそ俺は、今よりももっと強くならないとダメなのに、だけど俺がどれだけ頑張っても、結局あの人を救う事が出来なかったら、そう考えるだけで俺は

「大丈夫だ。お前はあの時あの男を追い詰めることに成功したんだよ。そう、お前には十分すぎるほどの力があるってことなんだしそんな心配する必要は無いはずだぞ?それにお前にはまだまだ伸びる要素だってある。まぁ焦っても仕方が無いんだしゆっくり確実に一歩ずつ進めばいいだろ?」そう言われ

「それもそうですよね」と返す そうこうしていれば目の前には大きな門が現れておりその奥には巨大な城が建っているように見える。だが

「ここだと思ったんだけども、まぁ行ってみれば分かる事だし気にしなくても問題ないんじゃないか?」彼女はそう言って躊躇う事無く進んで行く だがここで一つ 問題があることに気がついてしまい俺は足を止め彼女に話し掛けることにした

「そういや俺達が助けようとしている女の子が何処にいるのか全くわからないのですが。一体どうやって探せばいいんですかね?」そう言うと彼女は「それに関しては私が案内してやるから安心しろ。それじゃあとりあえずあの建物の中に入るからついて来い」と言われたので再び歩き始め それからしばらくの間無言のまま歩いているのだが そこで俺の中にとある疑問が生まれた 何故俺が選ばれたんだろう?ということだ あそこに居たのは俺以外の人間でも同じ事でありそうな気はしていたのだが、どうにもそれだけではないようなきがする しかしその理由が思い当たることなく、そこで思考を打ち切る そしてさらに時間が過ぎていき、ついに目的地に辿り着いた そこは一言で表すのであれば牢獄、その牢屋の扉を開け放たれて中の様子が見えた所で

「ほぉーー、まさか本当にここまで来る奴が現れるとは。流石に驚いたわ」そこで声が聞こえた方に目を向けてみるとそこに立っていたのは

「あの時のお姉さん、確か白姫って名前でしたよね?それと えーっと名前は忘れてしまったんですが」そこまで言って思い出せない事に気づいたのである

「ははははは!!本当に相変わらずみたいだな!!あー、俺は って名だよ」そう言って笑いながら自己紹介してくれる そうそう、この人が俺が気絶する前に話をしていた人物の筈だ。でも

「どうしてこんな所に?」

「どうしてこんな所にいたのかは俺が知りたい位なんだよなぁー。でも、多分俺と同じだと思うぜ」

その発言に対して俺の中で

「お前は一体何を言っているんだ?」という言葉が出てくるのだがそれを声に出そうとしたところで、それよりも早く彼女が喋り始める

「そうか、それじゃあそっちの君は、どうしてこの場所に、ここにいたいのかをちゃんと話してくれないか?まぁ大体の予想はついているのだがな」

そこで俺と彼女の間には沈黙が生まれ

「いいわ、教えてあげる。私は、私の目的の為に此処へやって来たのよ。それのどこが悪いというのかしら」そう言った後

「ま、そういう訳だから、悪い事はしないと思うぞ。一応言っておくがな」そう言われた所で彼女の表情が曇っていることに気づいた それに気づけば後は行動に移すだけだ。

「そう、じゃあ遠慮はいらない、よね?」

「はっ!当然だ!!」そう言って二人はぶつかり合う。そして戦闘が始まり数分ほど経過すると決着は付いたようで彼女が倒れた。そうすればその女性は「はっはは!こいつとやり合って勝てるなんて、あんたなかなか見どころあるじゃねぇか。こいつは良いもん見せてもらった。でもまだ終わりじゃない。さっきの答えを聞いていないんだからな。なんでこんなところに来たのかを教えろ」そう言いながらもすでに回復を始めているのは分かっておりこちらとしてもあまり時間はかけたくない

「そういやまだ名前を名乗ってなかったよな?俺の名前は白姫真、ただの普通の男で普通に学校に通っていて それで今は、友達と一緒に旅行に来ていて」そう言いかけた所で

「おい、何一人でぶつくさ話している。そんなこと私には関係ないだろ?さあ、質問の続きだ。どうしてここに来た。その本当の理由を教えてもらおうじゃないか」

「はい。分かりました」

俺はその問いに対し

「あなたは一体誰なんだ?」と尋ねたのであった。

「はい。分かりました。それじゃああの部屋に入って待っててください。あとは私に任せれば全部解決ですから」と女性の方が俺に話しかけてきて 俺は えええ!?ちょっと待って欲しいんだけど!?俺はまだ何も言ってないしそもそもこの状況についていけないっていうか理解すら追いつけていないって言うかだからと言って今更逃げるっていうのもあれだしそもそも俺ってば逃げられるような体でもないし、つまり詰んでいるんじゃないだろうか? とかなんとか考えているうちに部屋に押し込まれていた。まぁ押し込まれる直前に見た感じだとかなりの広さがあるようだったので問題はないだろうと思いたいのだがそこでふと、あの部屋に何

「おっとごめんね。少し待たせちゃったか。いや~あの子、意外と手強いのよ。だからもう少しだけ時間貰えないかしら?」と女性が話し掛けてきたのでそれに対して はい、分かります。そう思いつつも言葉にすることはなく「別に大丈夫なのですが、それより聞きたいことが、ここはいったい何なのですか? その問いに対して相手は少し困り気味の顔をしながら

「ん~それについては後々教えていくよ。君なら、きっと受け入れてくれると信じているからね。そう、あの子みたいな事にはならないはずだから。」と言うのだけれどそこで俺は疑問を抱いた この人俺の事を知っているのか?いやでもさ

「あの子?それはいっ」そこで俺の言葉を止めるかのように部屋の外から音が鳴り響いておりそれが徐々に大きくなっていくにつれ俺は少し嫌な予感がしてきたのだった。そこで彼女は俺の耳元まで顔を寄せて

『君さ、この先に行こうと思っているだろう?』そこで俺の頭の中では危険信号が発令されており ええ!ヤバ!これってマジで死ぬんじゃねえのか俺!でもこのままじゃ殺されるし、仕方が無い。一か八かやってみるしか無いだろ。とそこで俺は覚悟を決めて はい!もちろんそう思っています!」と答えた。

それに反応してか相手がニヤッとしたのと同時に俺の首に腕を回されてそのまま抱き着かれてしまう そう

「よし、良くできました!!やっぱり君は、最高に面白いよ!!!私に付いてきなさい」

それからしばらくして俺は首に巻き付いていた手を離されたのだったがその時に ドゴン!!という爆音と共に目の前にあった壁が破壊されたので俺は慌てて後ろに下がる。そうして出来た穴の方を見つめて

「ほぉ、あの技に耐え切るとは中々の実力を持っているんだな」と声が聞こえた そこで俺は声の主へと

「そんなの俺には分からないですよ」と言いつつ相手の容姿を確認しようと顔を少し上げてみるもそこには暗闇が広がっているだけで全く見えない。だがそこから感じる圧力のようなものによって俺は恐怖を覚えてしまっていた。

だがそれと同時に俺の中で怒りも込み上げてくる。どうしてこの人たちに俺はここまで振り回されなければならないんだ。とそこで俺は もういい加減うんざりしてきたから、いいですよ。俺がどれだけやれるのか見せてあげましょうか」

そう言って前に出るのだが、それを遮るように

「まぁ待ちたまえ少年。君はもう十分にやってくれたさ。後は私がやる。あの子が選んだだけの事はあるみたいだしな」と白姫と呼ばれた人は前に出て俺の前に立ってこう言った

「お前の好きにしろ、どうせ結果は見えているけどな」と

「それでは行かせていただきまーす」その言葉の直後俺は吹き飛ばされてしまった

「がぁは!!!!」壁に叩きつけられてしまい全身の骨が砕け散るような痛みが襲ってくる。

しかし

「はっ!こんなもん、どうってことは無い!!」そう言って俺は再び立ち上がった すると

「ほぉーーー。まさか今のを食らって立ち上がるとは思わなかったぞ。いやはや大したものだ。これは私の力じゃあ、まだまだかなわないかもしれないな。いやぁ流石だなぁ。こんなところで終わってほしくはない。だからさ もっと見せてくれよ、その本気とやらをさ」そこで俺の中の感情は爆発した。もう止まれなくなった。だからここで決めよう。そう思ったのは その考えに至った時点で俺は既に走り出していた

「はああああああ!!!!!!!!!」叫び

「おおお!!」

そう言った後に拳をぶつけ合う。何度も、何度も。それでも決着は付かず、お互いの力は互角のように思えたが実際は俺の方が押されているようで段々とダメージが大きくなってきていてそろそろ本当にまずくなってきたという所まで追い詰められていたその時 突然 後ろからの気配を感じた。その瞬間俺は反射的に振り返るとそこに向かって殴りかかる。

そう、そこにいたのは白髪の女性、つまり彼女がいたので殴って気絶させようと思っていたがその前に彼女が俺の後ろに回って蹴り飛ばしてきていたようだ そこで俺は

「がっ!!うぐ!!」と叫んでしまった その隙を逃すまいとして

「終わりだよ!!」と言われ腹を蹴られた。

そうすると俺は地面に転がりながら悶絶してしまう。意識を失いかける寸前で俺が目を覚ますと

「はっ!残念だけど今回は君の負けだな。その様子じゃもう動けないだろう?」そう言われたのだが確かにその通りだったので素直に認めた。すると白髪の少女が近づいてきて俺を抱き起こしてきてから俺の顔に何か柔らかいものを押し付けてきて

「ふぅ。君は凄いな。こんなに良い匂いのするものを嗅ぎまくっていたんだろう?」そう言ってきたので

「な、何を、やっているんだ?あんた、いきなり何をしでかすんだ」俺の声は上ずっていたがそんなことは気にも留めずに相手は話を続けた

「ん?ああ。ただ私は少しおまじないをかけただけさ。それよりもだ。これからどうする?このまま帰るか?」と言われたので俺はその言葉を聞いた直後に

「あ~、それなんだけれどよ。実はもう一人いるんだわ」と言うと女性は首を傾げて「ほう、そうなのか。なら私は一旦外に出ていよう。君の仲間が来たというのなら私はいても邪魔にしかならないだろうからな」そう言って部屋の外へと歩いて行った。俺はその様子を見送ってから扉のノブを掴み一気に開く。その先は広い通路になっており俺は迷わずに突き進んでいく。すると

「おい、ちょっと待ってくれ。何で急に歩き出しているんだよ」と声を掛けられてそちらの方へ向くとそこに居たのはあの女性ではなく見覚えのない女性だった そしてその女性の方を見ると「うぅ。いった~い。あれ、君は確か。え~っと何て名前だったかしら?」なんて言っているのだから「あの~ちょっとすいませんが貴女の名前は?あとここはどこですか?」俺の問いに対して相手は答えにくそうな顔をしていたが意を決したような表情になってこう言った

「ごめんね、君の名前を聞いても良いかしら?それとここは王城の中になるわね。まぁそんなのよりも大事な事があるのだけれど」そう言われてからすぐに俺は自分の状況を思い出す事に成功した。

そういえば俺は異世界に来ているのを忘れかけていたな。とりあえずここの現状について知りたいんだが、さっきからこの人喋らないけれど一体どうすればいいのだろうか?とか考えているとその思考を読まれているかのように「ちょっと聞いてる?ちゃんと考えてから返事をしてもらえるかしら」

俺は慌てて「はい、勿論聞いています。ええ、もちろんですよ」と答えたのだが何故か疑いの目で見られる それから俺は女性の方からいろいろ聞かれて正直面倒くさかったがどうにか乗り切った。

だが最後に一つだけ確認

「なぁ。ここに勇者って来なかったか?」と尋ねる。だが

「勇者ねぇ。それがどういう物なのか分からないけれど私には分からないかな。そもそもこの世界に召喚されたのは私を含めて二人しかいないはずだし、それに私達がここにやって来たのだってほんの数十分前くらいだし。それでどうやって調べるというの」

そう返されてしまったので再び頭を働かせる事になってしまったが結局何も出てこなくて 仕方が無いから諦めて

「そうですか、ありがとうございます。でもここから早く離れた方が良いかもしれませんよ。あまり長く滞在しているのは危険な気がするので」と言うと彼女は

「それは貴方も同じじゃないのかしら?見たところかなり傷を負っているみたいだけれど」と指摘を受けてしまった。なので

「大丈夫です。これくらい」と言って部屋から出た後に全力疾走した しばらく走っているとようやく城の出口と思われる門が見えてきたのである。それから俺が出ていこうとする直前に後ろから声が聞こえてきた それは聞き慣れてきた声であり、先程から感じていた殺気の持ち主のものだと思った俺はゆっくりと後ろを振り向いてみると案の定そこには奴がいて俺は覚悟を決めて構えを取った そう、俺に喧嘩を売ってきたあいつに俺の方から挑みに行った。何故そうしたのかといえば単純な話で俺はこいつに負けた事が悔しいからだ そこで俺と黒騎士の勝負が始まったのだが最初は拮抗状態が続いていた。お互いに攻撃は当たるものの致命傷にならず。そうして数分が経過していくとだんだん息が荒くなり始めていく両者であったがそこで

「がは!!」俺は口から大量の血を吐き出してしまいその場に崩れ落ちるように倒れてしまう。そうして薄れ行く視界に入ってきたもの それは黒騎士だったのだが その鎧からは禍々しい黒いオーラのような物を纏っており 明らかに今までとは違う雰囲気を出していた。それに俺も対抗しようとして身体に魔力を込める。

すると全身を覆えるほどの魔闘波を作り出すことに成功しそれを俺と黒の騎士に向かって放つと ドゴーーーン!!!という轟音と爆音を同時に響かせて爆風が発生するがそれでもなお両者の攻防に変化は無かった。しかし俺の方が限界に近付いてきて

「がっ!!うぐ!」また、吐いてしまった。

そう、俺が勝てた理由

「どうした?この程度か」と言いながら 攻撃をしてくるのはいいがそれに当たっていないのがその理由 俺はそれに対してどうすることも出来ずにいたのだが、ここで俺は賭けに出た

「お前こそどうなんだ?その程度で俺をやれると本気で思っているのか」と煽るように言いつつ、少しずつではあるが距離を取るようにして逃げ回る

「そう言うならば、これはどうだ?」と剣での攻撃を止めて今度は素手で殴りかかってくる。それを見た俺はすかさずカウンターを仕掛けようとするがそれを読まれてかわされる それどころか俺の体勢が崩れた所に拳を入れられてしまう それをなんとか腕で防いだのだが威力を完全に殺しきれずに後方へと吹き飛ばされてしまった そう、ここまでは想定済み。そう、これで俺がどう動く

「そう、俺はここまでの全てを囮にしていた」俺がここまで耐えた理由はそれを使うために必要であったからである。その作戦を実行するための行動を開始した瞬間に黒の騎士は俺が仕掛けていた罠にかかることになる

「はっ!これがお前らの力ってやつだろうが。なめるなぁぁ!!」と叫んで俺に突っ込んで来たので

「馬鹿だな。あんたが今使った技、つまり今の技が俺にとっては最後の手段なわけなんだけど」と俺が言った後に俺の全身を包んでいた光は徐々に消えていき

「あぁ?は?なんだ、その姿は」そこで俺が目にしたものは、まるで俺の姿が変貌してしまったかのような姿

「これは、まぁ分かりやすくいうと強化魔法みたいなもんかな。といっても今のあんたじゃあまだ俺を倒すことは不可能だけど」その言葉に激昂した相手は

「舐めた口を叩くんじゃねぇぞ!!」と叫びながら俺に向けて攻撃を仕掛けてくるが、俺から見ればその動きは全て遅く見えた。だから 俺はその攻撃を最小限の動きで全て避ける事に成功し、そのままの流れで反撃へと移る。そうして、俺はその戦いの中で相手の急所を探し出していき確実に相手を仕留める準備を進めていく。そうしてついに

「な、なんだ!?なんだというのだこの力は!!」そこで相手が動揺を見せた。だから

「終わりだ」

「がっ!!くそ、なぜ、だ、どうしてこんな事に」

「簡単だろ?それだけお前の実力が低いということだ。まぁこれから俺達の世界のためにしっかりと働いてくれよな。さっさと起きろ」と俺が言い終えてすぐにそいつは完全に沈黙する事になったのだった

***

俺と奴との決闘から一週間経った頃である。俺はまだ異世界での生活を楽しんでいたのだがそこにとある訪問者が現れていたのだった。そして俺はその

「久しぶり。元気だった?」そう言って微笑んできていた女性を俺は全く覚えていなかった。だから素直に聞いた

「はい、お陰様で」そう、特に何もしていなかったはずなのだけれど何故か感謝の言葉を貰ってしまった だがその後、俺は少し話をしてから

「え?ちょっと、どういう事だよ」いきなり俺の家に住ませてくれと言われたから驚いたが流石に追い出すわけにもいかないので 俺は彼女を自分の家に居候させる事にしたのであった その翌日、俺達は冒険者の街に行く事を決めていたので早速出かけることにした 道中では彼女に対して質問をしたりなどしていた

「ところでさ、名前は何ていうんだ?教えて欲しいんだけれど」と聞いて

「え~っと。そうだね。じゃあ私はルーナっていう名前にしようかな」と言ったのである。その名前を聞いた時に何故か妙な感覚を覚えてしまったのだがそんなことを気にしていてもしかたがないと思ってスルーする事に決めたのである。

そして俺は彼女と出会って数日は経過したある日のこと、俺が仕事を終え帰宅をしている最中の出来事 俺は急に襲われて、必死に逃げようとしていたが俺は地面に転がってしまう その犯人である女性は

「さぁて、さぁ~って。君には私の実験に付き合ってもらうわよぉ」と意味の分からない言葉を言って襲ってきた。

その女性から感じ取れる雰囲気が尋常ではなく 俺はその場からすぐに立ち去ろうとしたのであるがその時に

「おっ?あれって」俺の目の前にはあの日、戦った黒騎士が現れたのである

「なんで?あの時俺が確かにやったのに」と言うと女性は

「あら、あなたは確かあの時の。そう、貴方がこいつを倒していたのね」と言いつつ 彼女は黒騎士と何か話し合っていたがしばらくした後に

「さぁて、こっちは私に任せなさい。さっきまでの戦いで貴女はかなり疲れているはずだから」

と言ってくれたのである だが俺は彼女に

「いや、俺はあいつに用があるんだ。俺が戦わないと意味がないし、なによりもここでこいつを倒した方が後々のためになるんだ。頼む」

とお願いすると彼女はしぶしぶながらも了承してくれた。

それから彼女は戦闘を始めたのだが、やはり彼女は黒騎士に対して劣勢を強いられており

「くっ!さすがは魔王軍の幹部の一人ってことなのかしら」と言っていた そこで俺は彼女の加勢に入ることにしたのだが そこで俺の方に意識を向けてしまったせいか、一瞬にして距離を詰められて黒騎士の攻撃を受けてしまい俺は地面を転がり回る それから何とか体勢を整えようとしたがもう遅かったようで、俺は動けなくなっていた その状況を見計らってなのか黒騎士の狙いが俺に変わったのか俺にとどめを刺

「そこまでよ!」という女性の一声で攻撃を止めてくれたのだった。そうして

「全く、勝手に死なれちゃ困るんですけれど?でも貴方のおかげで色々とわかった事があるからいいかしら」

と言われてしまえば何も言えないので俺も仕方なく受け入れる事にするのであった

「まず最初に。彼女は元から黒騎士団に所属していたわけではなくて。そう、簡単に言うと裏切られた、もしくは捨て駒として使われただけ」という説明を受けた後に俺の方を見て

「で?貴方はこの娘を助けるために私に助けを求めてきた。それは別にいいのよ。けど貴方がこの娘を助けたとしても、この娘の心までは救えないと思うわ」と言うと 俺はその言葉の意味を聞

「いい?私が思うにこの子の心の拠り所となっているのは貴方しかいないの。そう、だから私も出来る限りの協力はするつもりだけどそれでもこの子を完全に助ける事は不可能だと思う。それはなぜかと言えば。彼女が受けた精神的なダメージがあまりにも大きすぎてそのトラウマが完全に癒されることは無いのだから」

その言葉に俺は絶句してしまい言葉が出なくなってしまった

「ま、今はゆっくりと休むといいでしょう。あとの事は任せなさい。それで良いわよね?」

そう言って俺達の前から姿を消したのであった。そうしてその出来事の直後は黒騎士はその場に倒れて気絶をしてしまう。俺はその状態のままでいる黒騎士を家に連れて帰る その途中で俺達が出会ったばかりの頃の事を

「そう言えばさ、お前はいつの間に俺の名前を知ってたんだ?それにあの日の俺の姿は普通じゃない。なのにお前は何も聞いて来なかっただろ?もしかしたら俺の事を知っているのか?」と聞くが その答えは

「いや、ただなんとなく知ってただけ。それにあの日に見せたのは強化魔法を使った姿でしょ?」と そこで俺は確信した。俺はコイツについてもっと知る必要があると

「なぁ、俺は今お前の事が知りたいんだ。だから少しでいいから俺に協力しないか?」と

「うーん。そうね。とりあえずは、まぁ考えてみるわ。それと」そこでルーナは一旦俺に考える時間を与えるかのように俺の元から離れていくのだった。そう

「まぁいい。今に見ていろ、絶対に俺のものにしてくれるからな、覚悟しろよ。俺はそうして俺の中に宿っている黒い炎のような感情を鎮めることに集中させるのであった

「おい、本当に大丈夫なんだな」と俺の質問に対して彼女は「えぇ、まぁ」という曖昧な返事しか返してこなかった そして

「よし。では、行ってくる。もしもしくじったりしたら、お前は俺の奴隷に逆戻りすることになるが、まぁ頑張るよ。なによりもこんな俺にチャンスを与えて貰えただけでもありがたいというべきか」

俺がそう呟いて家を飛び出していった 今俺が何をしようとしているかというと その日

「お兄ちゃん。また明日来るから待ってて」と言い残していった妹に会うために俺は今からある場所へと行く事にしている その場所とは王都である。その場所に妹のリディアは住んでいるのだ なぜそんなところに行くことになったのかというと

「うん。分かったわ。なら、その話を受けるわ」と とある国の王女さんと話をすることになった

「で、俺としてはどんな要求を飲むのが一番楽なんですかねぇ」と聞くと「そうね。その前に貴方の妹さんに会った事はないんだけど、その人にも協力をしてもらいましょう」と言ってきた。

まぁ俺は断るつもりも無いからその申し出を受け入れようとした瞬間に俺の背後に殺気を感じたため即座に俺は振り返るとそこには見たことのない美少女が立っており俺に

「貴方にはこの先、ずっと一緒に居てもらっても良いと思っているんだけど。ねぇどうなの?貴方は私の側にいたいと思わないの?それともこんな女と一緒に暮らすなんてごめんなの?どちらにしてもこの勝負は貴方の敗北が決定してるのよ」という発言の後、いきなり

「あ、あ、ああ」と悲鳴をあげたかと思えば、その場で倒れたのである。そして

「あ~、なんかすまんかったな。うちの妻が。まさかあそこで倒れるとは思ってもみなくて」と言われた その言葉を聞いて俺が困惑しているとその男性は続けて

「あぁそうそう、君が会おうとしているその人は私の奥さんの従姉妹に当たる人で。ま、そんなことはどうでもいいんだよ」

そして俺はそのまま連れていかれて。とある部屋まで案内されて。そこから更に歩いていきとある一室に入ると そこには俺の知らない人物がいた。いや正確には知っていた。なぜなら俺がその男の顔を見た事があったからだ。だからその事に関してその

「久しいですね、いやまぁ私は貴方のことは全然覚えてはいないのですが」と言われた だが俺にはそんな事を気にする余裕もなく

「で、俺の事をどうして知っているの?という質問をさせてもらうけれど、その前に俺の名前を聞かせて貰えるかな?で、できればそっちの名前を教えてくれると助かる」と聞いた その問いに対して

「そうね。自己紹介を忘れてしまってごめんなさい。私はルーナ、そして隣にいるのが妻のアイシア、貴方に倒されてしまっていた筈なんだけど。何故か生き返らせられてるわ。貴方のお陰よ」と二人に言われて そこで俺は理解をした。何故こいつが生きていた

「まぁ、細かい話は後程ということで、取り敢えず。そちらの方と顔合わせをして欲しいんだが。君には、そうだね。あちらに行ってもらえば問題ないと思うよ。じゃあ後はよろしく頼むよ。私達は私達で大事な用事があるから」と言い残した後 その二人はどこかへ行ったのだが、俺は残された女性と二人で会話をしていた。

そして

「じゃ、私も行きますから。そのあとは、好きにしてくださっても構いませんよ」と俺に言ってその場を立ち去って行った そうして一人になった俺は

「は?ちょっと待て。じゃあその部屋でこれから起こるであろう事は俺の予想外だったっていうわけか?ふざけるんじゃねーぞ、俺はまだやりたい事が山ほどあったのに、まだ死にたくねェーよ。それにあいつだって、あの女と俺にやらせておいて自分は逃げるとかかありえんだろ。それにあいつの実力ならどうにかできるかもしれねえけど」と言っても後の祭りなので諦めて。

その部屋を探索することに決めて 部屋の中に入った俺はまずはベッドがある方へと向かった

「はぁ。この世界に来ても女とヤレると思ったんだがなぁ。それにしてもここはどこだよ」と文句を言いつつ俺は周りを探索していくと机の上に日記が乗っていることに気づいた 俺はその中身を見て驚愕をしてしまった それはその内容を見て俺自身が驚いていた 俺の記憶にあるその人の行動は間違っていなかったはずなのにその人が書いている内容には俺の知らなかった事実が多く

「何だこりゃあ。マジかよ。これは、流石に笑えなさすぎるぜ。でも」

ここでその人を救うのも面白そうだと思ってしまう俺は既に壊れてしまっているのだろうか?でもそうしないと後悔してしまいそうなので、俺には何も出来ないかもしれないけれど その日記を読むとそこには俺が思っていた以上に辛い過去が書かれていて そして俺は

「くく、ハハ、アーッハッハッ!最高だぜ、本当に面白い」と笑い出してしまい。暫くの間は

「フゥー。落ち着いた。まずはその人とは絶対に関わらないといけないよな」

と俺が決意を固めた後に俺の身体が徐々に透け始めて最後にはその人の部屋に飛ばされた そこで

「お待たせしてしまって申し訳ありません。私の名前はルーミアと申す者です」と礼儀正しい態度を取ってくれたので

「初めまして。俺の名はシンと申します。この国の女王であるルーシャ姫とお見受けします。お待ちしておりました」と言うと

「ははは、そう堅苦しい挨拶をせずとも大丈夫ですよ。今は、そう、ただの冒険者と騎士といった関係に過ぎないのでしょう?」と言われるのであった

「はい、まぁそうではありますが。一応この場においてはそれなりの地位の人間が居ると認識しております。故にそのような言葉使いも致しかねるかと思います。どうか御了承を願いたい」と言うと

「いえ、貴方のその考えには感服してしまいます。そうですか、ではそうさせて頂きます」と俺の意見を全面的に肯定してくれているのにも関わらず

「では本題に入りたいと思う。貴方が私の身内が起こした事件に対して色々と手助けしてくれたと聞くが本当の事なのかしら?まぁ私が言うのもおかしなことだけど」と質問を受けたのだった

「あぁ確かにそのことについては協力したな。それが何か悪いことでもあるのか?俺はただ、お前を助けたかっただけだ。だから助けられる奴を助けて、守るべき奴を守っただけのこと。それだけの話さ」と俺が言い切ると その女性は俺の言葉を聞き終えた途端に泣き崩れてしまった。俺は慌てて彼女に駆け寄り抱き寄せるが そこで 俺はとんでもない勘違いをしていることを気付かされた その女性は、俺の腕の中で

「うっ、うぐ、うぅ、うううう、うううううう、あ、ああ、ああああああ、ああ」と声にならない声で涙を流していたのである それはあまりにも可哀想な姿だったから俺は慰めようと思い背中をさすってやったんだがそこで彼女が震えながら俺を見つめていることに気づいてしまった その表情はまるで救いを求めるかのような顔をしていたのだ

「なぁ、俺にも話せない理由があるってのは分かる。だからこそ俺はこれ以上詮索はしないから。お前のことを話してくれないか?俺は、そのお前の気持ちが少しでも軽くなるんなら何でもする覚悟なんだからな」と俺が必死になって言葉を選んでいると彼女から意外な言葉を言われた

「ねぇ、私の事を守ってくれる?」と聞かれ そこで俺は彼女の頭を優しく撫で

「あぁ、当たり前の事を聞くな。お前は俺にとって一番の友達だと思っているし。そしてお前のことを守らせて貰えるってならそれはとても嬉しいことだ。俺なんかの力がどこまで役に立つのか分からねぇがそれでも俺が出来ることがあるならそれを全力でやり通すつもりだ。そしてもしも力になれることが俺なんかの力じゃなかったとしたら俺に遠慮なく言ってくれ、その程度の頼みごとなんていつでも引き受けてやるよ」と言い切ったところで 彼女は俺に向かっていきなりキスをしてきて。その後「お願い。私と一緒に暮らして。貴方しか居ないの」と言ってきたのである だが、俺はそれに対して即答することが出来なかった

「いや、俺は、まぁ、なんつうか」と言ってしまうのである だが俺は

「そう、よね。貴方はこんな状況にいきなり巻き込まれたら普通はそう答えるものね。いいのよ無理しなくても」と言われてしまって。

そして彼女は続けて

「あ、そうだわ。一つだけ貴方に伝えなければならない事があるの」と言ってきたのだった

「実は私はね。私の能力を使ってこの国にいる人以外の人物に自分の存在を隠すことができるみたいなの。まぁ、貴方にしか使うことが出来ないんだけどね」と微笑みつつ教えてくれたので

「へぇ、それは凄いな。そんな能力を貰えて光栄だよ。まぁ、俺は俺で何とかやっていこうと思っているんだが。取り敢えずはお互い様だ」と返事をした

「じゃあ私はこれで行くけど。最後にこれだけ伝えておくわ」と言い残し

「愛しているよ」と頬を赤くしながら俺に囁いてその場を立ち去った そして残された俺は

「あれ?おかしい、俺は別にそんなつもりで言ったんじゃないんだが。あ~、なんか調子が狂うぜ」と言ったものの、その言葉に意味はないということが分かってしまっているので、もう、何も気にする必要はないので その部屋を出て城の外へと向かうことに すると目の前にあの時出会った女性がいたので話しかけると、どうやらあの二人がいない間に二人で話し合っていたらしい だが、それとは別に俺に

「あのね。私に名前を付けて欲しいの。貴方なら、出来るんじゃないかなって思ったんだけど」と言われた そして俺は

「ルーナと呼べばいいんだよな。分かったよ。その名前が気に入ったんならこれからずっとそう呼ばせて貰おうか」と言ったのだがそこで突然

『シンよ!今すぐ城へと戻れ!』という大精霊からの連絡が入ったため

「はぁ、また厄介ごとの気配がしてきたなぁ、あ、そういえばルーナはこれからどうして過ごすつもりだ?」と聞いてみるとそこで

「私は、しばらくこの国の様子を見てから、旅をするのもいいかもしれない。あ、そうそう、私の名前についてだけど」と言われ そこで俺の思考が止ま

「おいおい。ちょっと待ってくれよ。まさかその名前を俺に与えるつもりだったのか?流石にそれは止めてくれ。俺はもっとちゃんと、お前に相応しい名前を付けられると思うんだが」と必死になって説得した その言葉に納得してくれたようで

「うん、それもそうね。でもね私にとってはその呼び名が一番しっくりくるのよ。だからその名で呼ばないのであれば貴方は、これから先一生、名無しの人と呼ばれても仕方がないのね」と笑顔を浮かべるのだった それから俺は城に戻り。

まず最初に女王と話をすることにしてみたが そこで俺達はお互いに情報を共有し合うことにしたんだがそこで驚くべき事実が判明した あの事件の真相とは一体

「あの日私が、あの男によって連れて行かれた後は、あの女も殺されてな。その時にあの男は何かを喋っていたんだが、その時に奴らは私にこう告げたんだ。もし貴女が私達に手を貸さないのならばあなたの家族全員を殺してしまうぞとな。勿論それは冗談じゃない。何故ならその気になれば本当に実行することが出来るだろう。それが何を意味するか分かるか?そう奴らが殺せといえばすぐにでも私の愛する息子達をこの手で葬り去ってしまうことになる。しかもそれを私は止めることができない」と言われ

「そうですか。その男の実力はどれほどのものだったのですか?」と聞いたところ その実力を実際に体験してきて戻ってきたルーミアと名乗る女性がその実力に驚きながら

「あいつは本当に化け物ですよ。それに私が今まで相手にしていた連中とは違います。本当に規格外で。まともな手段では太刀打ちできないほどに強すぎるのです。だから私はその事実を伝えるためにここに帰ってきたわけなのですが。あなたにはその対策が何かあるのでしょうか?もしかしてその力をどうにかして封印することだって可能だとは思いませんか?いや、違うかな。その程度では恐らく駄目なのでしょう。だから貴方はこの場に来た」

と言うと 俺はその質問に対し 少しの間考えて そしてその質問に対して まずはルーシャさんに対して質問を行うと 彼女は「そう、です。私は確かにその男を、殺すことができない。だからこそ、あなたに頼むしかなかった。本当は私が殺したかったんですけど。それが出来なかったの。そしてこの子を守るのに、私だけでは足りないと思ったから。お願いです。貴方には私の娘を守って下さい。それがどんな困難を秘めていようとも貴方にはきっと出来ると信じていますから。それが今の貴方にとって一番重要なことなんですよ」と言われてしまった そう言われた俺は「分かりました。任せておいて下さい」と言い

「俺は、あんまりこういうの得意じゃねぇし。そもそも俺は戦闘の方が好きって言う人間でね。だからこういった事は向いていないのかもしれんが。俺のできる限りのことぐらいやってみます。それと、俺の力のことは心配しなくていい。まぁ俺の能力についても話さなきゃならないことが沢山ありすぎて。だからまぁ、取り敢えず。俺はそいつを殺してきます。まぁ、それが一番楽な方法なのかどうかは分からないんだけど。それでも、多分その方法を取れなければ俺に勝ち目なんてないだろうしな。だから行ってくるよ。そして必ずお前の子供を救い出してくるから。それまでそこでじっとしていることだけ約束してくれ。じゃあ行ってくるよ」と言うと そこで俺の腕の中からいきなり彼女が消えて

「え、あれ?消えた!?どこに行った?あれ、でも確か俺の手を握っているはずだよな。っておい、嘘だろ」と焦りまくっていると いきなり背後から抱き着かれてしまい。慌てて離れようとしたのだがその時には既に彼女の顔は

「ねぇ、お願いがあるの」と言う言葉が聞こえてきたので

「ああ、まぁ聞くだけは聞かないこともないが。それで何をすれば良いんだ」と答える その言葉を聞いた彼女が「お願い、あの子に新しい名を授けて欲しいの。あの子は私のせいで本当の名前を失う事になってしまった。その事をずっと後悔している。あの子の心は今もまだ壊れているの。私にはまだどうにも出来ないことだと思うから、どうかお願いします」と言われて

「いや、それって結構難しい事を要求するな。だが俺がやることは決まった。ただ一つ。あの子が俺の傍から絶対に離れたくなくなるほどの名前を与えてやろう。そうだなぁ、そうだ。この俺が付けた名前は誰にも奪われないようにしっかりと心に刻みつけさせよう。まぁ俺がそんな名前を付けた時点で逃げられないんだが。そうだよ、最初からこうすりゃ良かったんだ」と 俺がそう言って彼女に向かって笑いかけた瞬間

「おい、俺の目の前で人の彼女を奪うつもりなのか?まぁそんなつもりは無いんだろうが、そんなに簡単に渡すつもりはないぜ」と言われて。その声に聞き覚えがあったためそちらを見るとそこには、あの時出会った金髪の男と赤髪の少女。それに水色の髪をツインテールにした少女がいた どうするべきかと考えつつも 取り敢えず「お久しぶりですね」と言ってみた そして相手側も挨拶はしてくれるが。どうにも雰囲気的にこちらを警戒してしまっ

「へぇ、やっぱりお前。この世界に来るときに神様にあったようだな。そしてこの世界を救ってくれと言われているんじゃないのか?」と言われると

「あぁそうだよ。俺はこの世界に召喚されて勇者になったんだ。そしてその力を使えばお前を殺せるんだよな?」と言い返そうとしたところで「はいはい。ストップよ。シン、ちょっと落ち着きなさいよ。取り敢えずは私達の目的について教えておくけど。まぁこの世界の神である創造主を殺すことが目的になるわね。でまぁ色々とあってね、私はその子の父親をやっていて。シンがやられたら今度は私の番だと思っていたのよ」と俺の目の前にルーミアが飛び出してくるとそのまま腕を組み始めた

「なるほどな、まあ別に構わない。そういう事情であれば。でだ、お前らはここで一体何がしたい」と聞かれたのでそれぞれの意見を言うことに そこで「ふぅ~む。どうやらあの女が生きているらしい。でっかい結界の中に閉じ込めていたはずなんだが、どうなっているんだ?どうせあいつの事だし、その結界に干渉出来るだけの力をすでに手に入れているんだろうな。まったくどうするべきなんだろうな」と頭を掻きつつ言い放つ男に対して

「はぁ~、全くもう。相変わらず馬鹿よね。だからあの女は苦手なのよ」と言ったルーシアに対し

「まぁ、仕方がないでしょうね。だって貴方、昔からそうなんですもん。というか貴方に勝てる存在がこの世に存在するとは思えませんけどね。あはは、まぁ私はそうは思いませんけど」と水鈴と名乗った少女が言っていると「あら、珍しいこともあるのね。貴方がそんなに他人に興味を持つなんて。でも私も同じ考えよ。あんな化け物に対抗できるのはきっとこの世界で彼だけよ。そういえばそうね、今のうちにあの人に協力して貰うって言う手もありかしら」とルーミアがいう そこで俺達はお互いの顔を見合わせて 俺達が考えていることについて お互いに情報を開示していく事に そこで「でだ、お前らの話をまとめてみると。お前らは俺と敵対関係になろうとしている訳だな」と俺が言った言葉に反応して ルーシャさんとやらは少し嬉し

「おいおい。何でそう話が繋がるんだ?俺は俺の敵を倒すだけだぞ?何でそう勝手に勘違いされなくちゃいけないんだ。まあ、その通りではあるんだけど。そうか、分かったぞ。つまりはお前も俺の味方をする気なんだろ?」と言われたため その言葉を全力をもって否定させて貰った

「いやいやいや。俺はあの男を倒しにここに来たんだよ。そしてお前もその男を殺しに来た。だったらせめて一緒に戦おうとかは言わないのか?」と言う そこで俺は「いやまあ、それは確かにそうなんだが。俺はその男が誰であるかをはっきりと知っているからこそその男と敵対する必要がある。だけど君達はそうじゃないだろう。だったらせめて情報だけでも提供してやってもいいぞ?ただしその見返りが有るならの話だがな」と言うとそこでルーシアさんが何かに気付いたようで

「まさか貴方の能力は相手の能力を吸収することで自分のものに変換することができるってこと?だとしたら、もしかしたら、その人と戦うことでその人は本来の力が使えなくなってしまう?」と質問してきたので 俺は「そうだ。まあだからといってあいつの能力が無くなるわけじゃないが。俺が吸収した能力を俺がそのまま使えるっていう訳ではないし。それにあいつが俺が吸収してしまった分の能力まで使うことは出来ない」と答えると。彼女は納得していた そこで「じゃあ私は貴方に協力するってことで。どうせあの男は私たちにとって倒す必要のある存在なわけだからね。それに貴方のその強さは魅力的だからね。是非にお願いするよ。私はルーシス。そして隣にいる赤い髪の女の子がレイラよ。こっちの水色の髪がティア。そしてそこに居るのが」と言うので

「シンだよ。そして俺は」と言うと彼女は「ああ、大丈夫よ。あなたのことは大体調べさせてもらったから」と言う そして俺も自己紹介を終えた後 これからの俺の方針について話し合うことになったので そこで俺が「とりあえず俺の目的はその男を殺してしまえば解決するんだよ。後はその子供も解放するつもりだし。ついでと言ってはあれだが、その母親の事も何とかしてやりたいって思ってる。それで良いよな?」と言うと ルーシスはそれに笑顔で「ああ、問題無い」と答えたが ルーシャさんはそれに少しばかり不満があったらしく

「え、ちょっと待って下さい。もしかして貴方はこの子を殺さずに救えるとでも言うのですか?そんなことが本当に出来ると思って?」と そう聞いてきたため。俺はそれに肯定を示すと

「い、いや、さすがにそんなことは。それに貴方の力を持ってしてもあの悪魔に勝つのは厳しいはずですし。いえ、ですけどあの悪魔のことだからきっと私の娘にも同じような処置を施すと思うのですよ。だとすれば娘を殺されずに助けるのは無理じゃありませんか?」と言われるが 俺はそれを聞いて「ああ、確かにその可能性は高いな。でも、その程度の事で諦めるような俺ではないつもりだ」と言うが 俺の言葉に対して「いい加減にしてよ!あんたはあの子がどんな気持ちであの場所に閉じ込められてたか分からないでしょ!?私がどれだけあの子に愛情をかけてあげたと思っているんですか!?それでもあの子はいつも寂しいって泣いていたんです!!だからもうこれ以上そんな思いさせたくないんですよ!!」と泣きながら言われてしまうとどうにも何も言えなくなってしまったのであった。

俺はその言葉に心の底から申し訳ないと謝罪するしかなかったのだが。ただ俺はこのまま放置していてはダメなのだということは理解しているため 彼女に提案を持ちかけることにしてみるとしよう 俺

「なぁ、お前。お前がこの子の事を大切に想っているのはよく分かるし。だからこそこの子の事を考えるんであれば、俺に協力しろよ」とルーシャさんに向けて言ってみた すると彼女は俺に向かって真剣な表情でこう告げてきたのだ

「はい。分かりました。協力します。私はこの子とあの人を一緒にさせてくださいと懇願します」

俺はそれを了承した後「まぁそう言ってくれると思ったから提案した訳だが。で、早速で悪いんだが。俺と共闘関係にある奴らと合流しておきたいんだが、どこか安全な場所はあるか?一応そこを目指して移動している途中だったんだが」と聞くと ルーシアが「それだったら。ちょうど私の仲間が待機している場所に案内するわ」

「おお、それはありがたい。助かる」

俺がお礼を言うと 彼女は「それなら、その前に一つだけ約束して欲しいことがあるの。もしも私の仲間を殺したり。あの子達を苦しめたりするようなことをしたり。それに、もし万が一私の仲間たちに危害を加えたら許さないからね」と睨みつけてくるのを見て その迫力に押されて「お、おぅ」と答えてしまったのは仕方が無いと思いたい その後 俺と彼女達は共に行動する事になったのだが。

そこで俺達には時間的な余裕がないことを伝え

「まぁ俺達は急ぎだから、出来れば早いところ出発したいんだが」と言うと ルーシャさんは「私に付いて来て下さい」と走り出す その速度は非常に早く、並の者では到底ついて来れない程であったが。まぁ、俺はそうでもないんだが 俺達はそれからしばらくの間。彼女が用意してくれた馬車に乗っていると目的地に着いたらしい そこでルーシャが俺に問いかけて来た

「ねえ。ところで貴方はどうしてこんなに簡単に私たちについて来たの?正直言えば私はあなたに恨みを持っている人間なのよ?その事を気にしなかったの?」と聞かれたので

「あぁ。まぁ、それは気にならないと言ったらうそになるだろうな。ただお前はもう昔のお前とは違うようだし。そもそも、俺の知り合いは全員そういうことには強い奴等ばかりだし、心配する必要も無いだろ」

そう答えた後 俺は馬車から降りる準備をしている ルーシャの方に目を向けて

「じゃあ、俺達はすぐに移動するんで。お前たちはここから動くなよ。お前たちにはまだ利用価値がある。その価値が無くなるまではここに残っていてもらう」と伝えることにした その言葉を聞いたルーシャさんは 俺に対して殺意を込めた瞳を向けると

「分かった。分かったから。私の仲間は好きに使って構わないから。でも、絶対にこの子は渡さないから」と言い レイラの方を見ると。その手を握って 必死の形相をうかべながら俺の事を見るが。

その視線

「分かってるよ。俺はあいつに負けないし。その娘のことも大切に思ってくれてる人がいるみたいだから、その人も傷つけたりしないよ」と言うと 彼女は少しだけ嬉しそうな顔をしたが 俺の傍にいる二人を見て「えっと。もしかしてそちらの方が?」と聞いてきたので 俺は「ああ。その二人がお前が話していた仲間のルーシアとレイリアだ」と答えると ルーシャは驚きつつも、どこか嬉しそうな顔を見せる 俺はそのまま「で、俺はこれから用事があるんでここで失礼させて貰うが。とりあえずまた近いうちに再会できると思うぞ」

俺が言うと彼女は笑顔で「はい、その時はよろしくお願いしますね」と答えた後。俺の隣

「じゃあ、行くか」

ルーシャさんは笑顔で「うん」と返事をする。

俺と彼女はそのまま馬車を降りていくと 俺の姿を見て、ルーシスとレイラの二人はこちらに向かって歩いてくるが そこで「シン、どうしたんだその格好は」とルーシアが言い レイラが

「あら。ずいぶんと見違えちゃったじゃないの。それに貴方は確かあの悪魔と闘って、そして勝ったって聞いていたけど。その様子だとかなりやられてしまったようだけど?」と聞いてきたので 俺はそのことについて説明した。俺の話を興味深そうに聞き さらに質問をぶつけてきたが、それも一通り終えると ルーシスさんと

「じゃあ。改めて自己紹介をしておこっかな。私はルーシスって名前だよ。こっちの娘の名前は知ってるかな?この子はティアって名前なんだよね」と言われ。そこで初めて少女の顔を確認する 金髪のショートカットで髪の色と同じ綺麗な碧眼を持ったとても可愛らしい女の子である そして「私はルーシスの妹のレイラよ。こっちの娘とは仲良くしてね」と言われたので俺はその言葉を了承しておく すると、ルーシスの連れと思われる女性が俺の所に来て

「ねぇ、貴方ってさ。私よりも年上なのに全然成長が遅いように見えるんだけど。何か特殊な事情とかあったりする?」

その質問に 俺は苦笑いをしながら答えようとすると

「ちょ、ちょっと!それは秘密にしなさいって言ったでしょ!」と レイラという娘が慌てていたが、俺がどうしたもんかと思っているとその様子を見たルーシスが

「ああ。別に私は気にしないよ。私は君たちの事を知っているからね。それなら教えてくれても問題は無いさ」と言って 俺の秘密を打ち明けることになってしまう。まあ、俺としては隠していても仕方がないと思っていたので

「俺ってさ。自分の年齢を偽っていたんだよな」

俺の言葉を聞いて

「ふーん、成るほどね。でも見た目的には普通に若いからそこまで問題にはならないでしょ。それに能力の代償ってやつ?」と言ってき

「ああ。多分な。詳しいことは分からないが」

「なぁ、俺達は今から大事な用があってここを離れないといけないんだが。とりあえずお前はしばらく俺たちと行動してもらうから、それまでに色々と情報を共有しておきたい。まぁ、まずは俺の仲間が待機している所に行けばいいのか?そこに行けば仲間と会えるよな」と聞くとルーシスは「そうそう、私達がこれから会うのが私達と一緒に行動することになっている私の仲間よ。貴方を待っていたって言ってたけど?」と言うので その言葉を聞いた俺と少女はすぐにその場所に向かって歩き出したのだった。

その部屋はとても広く。

まるで貴族が住むような屋敷のような場所に俺達はいた。

「で、その娘が今回の作戦に必要な人材なのか?」

そう言って話しかけて来たのは、俺より少し背が高い銀髪の男で。俺の知っている奴と比べたら見劣りするような奴だったが。ただ、俺を真っ直ぐに見据えているその視線からは只者ではない雰囲気を感じる。おそらくこいつが今回俺達と共に戦ってくれることになる奴なんだろうと思い。俺の方から声をかけることにする

「俺はシンっていう名前で、俺の仲間はもう全員集まっている。後はお前だけだから急いで準備を整えろ。俺は先に準備をしているから後から来ればいい」

俺はそれだけを伝えると その場を離れて俺の仲間のところに向かう。

ただその前に。

「お前は、その部屋にいてもらってもいい。だが、もし俺の仲間を傷つけたり、危害を加えようとするのであれば。俺はその相手を躊躇無く殺す。それがたとえ女子供であろうとだ」と言う

「お前の実力を考えればその言葉を信じてやりたいところではあるが。だが俺の仲間がお前のことを高く評価していることも事実でな。お前には悪いがこの部屋の中に入ってもらい、その扉の近くで待機していて貰おう」そう言ってから男はレイリアとルーシスに目を向けて

「まぁそういうことだ。大人しくしていてくれると嬉しいんだが」と言葉を残すと そのままレイリア達の反応を待たずにどこかに向かっていく。それを見ていた俺も特に何も言わずにそのまま仲間がいる場所に足を運ぶのであった。

俺の仲間が集まっている場所に辿り

「よう。お前たちも来たみたいだな」

とだけ告げると、俺のことを出迎えたのは二人の女性だった。一人目の方は茶髪を腰辺りまで伸ばした活発そうな見た目をしており、もう一人の女性は肩に届くくらいの銀色の髪の毛が特徴の女性であり、その表情には警戒心をあらわにしている 俺は彼女達に視線を向けて「俺は今日から一緒に戦う事になった者だから、あんまり変なことをしない限りは攻撃しないでくれ」と伝えたのだが。

そんな事を言ったところで信用されるはずもないよなぁ と内心では思っていたのだが。俺が目の前の二人の容姿に驚いていることを見抜いたらしい。二人は少し嬉しそうな顔を見せると、 一人が自己紹介を始めて、もう一人は「私の方が貴方に色々教える立場なんだから。その辺をちゃんと理解してから口を開きなさいよ」と言い放つと 俺に対して上から目線での態度をとる。まぁ確かに。その通りかもしれないが。いきなりのその発言に俺の頭の中には怒りの文字が沸々と湧き出してくるが、それでも俺は何とか堪える それから 二人に俺の名前を告げると、俺の仲間になる少女が二人 俺が知らない少女が四人の合計六人で行うことになったので その旨を皆に伝えると、

「で、お前の名前はなんていうんだ?」

と、聞かれたので、その質問に俺は素直に応えようとした瞬間、後ろの方で誰かが「待ってください」と声をあげる すると俺の隣にいたはずのティアの姿は無く、そこには一人の女性が立っており。俺の隣にいたティアは見知らぬ女の方に歩み寄りながら「シンさん。私はこの人を許しません」と言うと。

俺は思わず「どういう意味だよ」と問いただしたが、その答えは俺の仲間の一人である少女から返ってくる。その娘は自分のことを呼びに来た男から渡された剣の鞘を抜き放ち、その刀身をこちらに見せてくる。俺が「それってまさか」と言うと。彼女はその言葉を待っていま

「えぇ。この魔導器は私たちの大切な仲間です」

そういって、自分の腕から生えている刃のようなものを愛おしそうに見つめてからその剣を仕舞う

「これは私に与えられた特別な武器でして、これを通して私たちは相手を攻撃することが出来るんですよ。それで私の名はリーゼロッテといいます。どうぞ宜しくお願いしますね」

彼女の名乗るその名前を聞いた途端に俺は思い当たる節があり。すぐに確認するべく 彼女に名前を確認すると彼女は俺が覚えていた名前を答えた後に、俺と行動を共にしていた少女の名前を言ってきて。

俺の仲間になった娘の名前

「私の名はアリサです。一応よろしくしておいてあげるわ」

そしてティアが名前を告げると

「私はティア。貴方とは敵同士として出会っていますが。これからは私達の味方となって共に闘っていきましょう。それと私があの人と初めて出会った時に持っていた槍のことも知っておられるかもしれませが。今はこの子の中に収納されてしまっていて。私にもどうしてこのような事態になっているのかよく分かっていないのですが、私達にはお互いの力が必要だということで。あの時の戦い以降からこうして一緒になって旅を続けています。」との事だったので俺はその話を黙って聞いておくことに決め。他の仲間も同様に沈黙を守ってくれたので俺は話を続ける。

「なるほどな。つまり、俺達の目的は変わらないがお前たちの目的も同じだということか。ただ一つだけ聞きたいことがあるんだが。良いか?」と聞くと。全員が首を縦に振ったのを見て

「俺は今、自分の能力について詳しく知りたいと思っている。それに、俺の仲間についても詳しいことを知りたいと思っていて。まずはこの城の書庫を使えるようにして貰う必要がある。なので俺はしばらくこの城に残ることになると思う」そう言うと

「それは別に構わないが、俺たちが合流した後にどうするかはまた後日に決めるってことでいいのか?」と聞かれた。それに対して俺は「ああ。そうだな。俺は俺の仲間たちのところに顔を出さないといけない。そいつらが何処にいるのかは分かるのか?」そう言ってから俺は仲間の居場所を知っているのかを確認してみると。知っているとの事で。その場所を聞き出してから俺達は別れた。別れ際に「何か困ったことがあったら、この城の中にある部屋の中で俺の仲間と合流してそこで待っている。その部屋には自由に出入り出来るようになっているから。その時が来たときに、その扉を使って入ってきてくれ。話は通しておく」との言葉を残してくれた。

それを聞いて俺は安心しながらその部屋に向かって歩を進めた。部屋に入るなり。俺のことを出迎えたのは銀髪の男で。俺が声をかけた次の瞬簡にして俺の元に駆け寄ってきた。

その男の瞳は紅く。その瞳を見ただけで普通ではないことが分かる その眼の持ち主は

「貴様、やはり只者では無いな」と言って俺の目の前に立つと 腰に差している短めの剣に手をかけ

「貴様に問う。我の同胞はどこに居る」

俺はその言葉を受けてから

「ここに来る途中に。ある女の子が、その同胞を探しに行くと言っていた」

俺のその言葉を聞いた男は

「我が名はオルカ。誇り高き闇龍の末裔である!いざ参る!」

男はそういうと同時に 腰の辺りにつけていた剣を引き抜く その瞬間に男は目にも留まらぬ速さで俺に向かってくる だが俺の目は、男が引き

「そこっ!そこなら!」

と言うのを聞いた俺の目にはしっかりと男の動きを捉えることができて。その一撃を回避した上で反撃を試みることにする 俺の攻撃を男は避ける事すら出来ずに もろにくらってしまうと

「ぐぅ、やるではないか」と一言つぶやいた後に。俺の腹部に向けて回し蹴りを入れようとしてきたが 俺にはその攻撃を避ける余裕もあったため難なく回避に成功する。

「なかなかやりますな」

そんな事を呟いた後に男は続けて攻撃を加えて来ようとしたが。俺の背後にいる人物の存在に気付き動きを止める そしてその人物が声を出す前に。俺の方も振り返り。その人物に話しかけると、

「お前も元気だったようだな」

俺は俺に微笑んでくれる女性に対して笑い

「俺は元気だった。お前も無事で何よりだ。俺の仲間もお前のことを心配していたから、その辺の事情もちゃんと説明しないとだな」

俺の仲間の一人は少しだけ不満げだったが。俺が説明しようとするのをやめようとすると

「いえ、もう結構ですよ。大体の状況は理解しましたので」

「分かった。とりあえず。こっちに来てから俺達がどう行動していくのかを決めないといけない」

「その辺りは私の仲間が既に準備を整えて待っておいでになりますので」

そう言ってから彼女は部屋の扉を開き俺に外に出るように指示を出してきたので

「じゃあ行こう」と言葉を残して扉の外に向かう。

すると

「あの人は強い。だけど。今の貴方であれば、貴方一人で勝てる可能性もありますよ」

そう言い残した後に、彼女は先に部屋を出て行くのであった。

その後を追いかけるようにして部屋の外に向かうと、俺の仲間ともう一人の男と、そしてさっき会ったばかりの女の三人が集まっている 俺の姿を認識した仲間が近づいてきて俺に抱きついてくると、 俺のことを強く抱きしめたまま離そうとしなかった その様子を見てから俺は

「お前たちのおかげで、俺はこうして再び生きて帰ってくることが出来たよ。本当にありがとうな」

俺の言葉に仲間のうちの一人である。白衣を着た眼鏡の優しげな見た目をした女性が口を開く

「ふーん。シン君は私達の力が必要なんじゃなかったの?だから帰ってきたんだもんね」

「いや、俺の力を信用していないわけじゃないんだが。俺はやっぱりまだ未熟者だからな。もっとお前たちに助けてもらわないと。駄目だと思うんだよ。だからこれから先も俺のことを助けてくれるか?」と聞くと。

「うん。いいよ」と言うのを皮切りに次々と賛成の声が上がり始めると、俺の腕を抱きしめていた腕を離すと俺から一歩下がっていく それからは皆から色々な言葉をかけられたりして。嬉しい反面。ちょっと照れ臭くなったが。

そんな感じの会話を仲間達と交わし終えた後は。仲間になった娘に案内された部屋に移動してから、これからの事を話すのであるが。まず初めに 俺は、自分がこの世界に戻ってきた

「ということについて。その辺りの情報について知っていることはありませんか?」と聞くのだが。彼女は申し訳なさそうな顔をしながら首を左右に振るばかりであり。結局、何も得ることが出来なかった。

ただ一つだけ、彼女は自分の名前を名乗ってくれたのだが

「わたしの名前は、ルリアって言うんだ」と。それだけ告げてから、俺に対して質問をして来た その内容は「貴方は勇者様なんですよね。それでこの世界を救うのが目的で、その為にはこの世界の人達と手を取り合わなきゃいけなくて。でも私とあの子たちはこの世界で生まれて育ったから。私とあの子たちが協力するのは、私達の国のために戦っている人を手伝うのと同じことだから。あの子の国の人たちと戦うようなことだけは絶対にしないでほしいんです」と言われてしまう

「大丈夫だよ。俺達だって戦う気なんてさらさら無い。俺の目的はあくまでも自分の目的のためなんだ。俺はこの世界に復讐するために動いている」そう言うと 彼女は

「そう。それが分かっていてよかった。私はあの子と二人だけで、この世界で生まれ育ったけれど。私はこの国に生きる全ての人を憎んでいるし。私の大切な家族と、私の故郷を滅ぼした王国に住むすべての人間を殺すことが。私が生きていく上での目的になる」そう言って俺の手を握ってきたので

「そうなのか。俺と一緒の考えの奴がいるとは思わなかったが。俺が知っている限りだと、俺はそいつよりも酷いことを考えているぞ」俺がそこまで話すと

「うそ。私達、この世界を壊すことは共通の目的としているけど。私のこの感情が貴方と違うものだとは言わないけれど、私と貴方の考えていることを全て同じとは思って欲しくないかな」そう言うと、俺の頬に触れてくる

「私にはね、貴方がこの世界で初めて私を見つけてくれた。その時にね、私は貴方と二人でこの世界のすべてを敵に回しても問題ない。この世界そのものを壊したいと思っていたんだけど。貴方が私と一緒になってこの国を破壊しようと思ってくれた。私にとって、それはとても嬉しかった。こんなことを言うと気持ち悪いと思われちゃうかな?」と言ってくる そんな彼女の頭を撫でながら

「俺は今でもその思いを捨てきれてはいないが。俺のこの手で殺せるものだけを敵と定めて。それ以外については手を出さないようにするつもりではいる。その点に関しては、君も同じ考えなんじゃないかな?」と返すと

「そうですね。私が貴方に協力をしたいと願う理由はそこにあると思います」そう言われた後に。俺は彼女と別れた。

「それなら良いのですが。一応忠告しておくとしまして、この世界に存在する魔王と呼ばれるものを倒すために召喚されたという話を聞いたことがあるのですが。実際にこの世界を救ったという話は一度も聞いたことがないので、お姫様の力を借りて倒せるようなものではないと思うのです。もしも、その力がこの世界で失われていたとしたのならば、この世界で生きている人々はその力を手に入れる方法を知っているはずなので。それについて聞いてみても良いのかもしれません」と言った。なので俺達は彼女に礼を言うと

「それではお城に戻ってから、まずはこの城の図書室に向かいましょう」そう言われて、城の中の書庫に向かって歩き出す 城の書庫にたどり着いた俺は 司書さんに挨拶を交わした後。書庫の中に入ることが出来る部屋の鍵を受け取ると。その鍵を持って部屋に向かって歩を進める

「書庫の中に保管されている情報の殆どは、過去の文献ですから。そこに書かれてあることを鵜呑みにしてしまえば。真実を見失う可能性があると。私たちは考えているので。基本的には本を読むことでその知識を得なければいけないと考えている。だけど今回は少し状況が違うから、貴方が手に入れたい情報を自分で調べることが出来ないと。困るかもしれないと、そう考えて」と 俺は彼女の話を聞きながらもその手に持った本の山を見て

「これだけの量の本を読める気がしないな」と思った事を正直に口にする。すると彼女は俺に笑いかけながら

「大丈夫。全部読まなくても。重要な所だけでもしっかりと理解すれば、ある程度のところまでなら分かるはずだから、そこをしっかりと押さえることが出来れば十分じゃないかな?」と言うので 俺はとりあえずは彼女の言う通りにして。

一通りは目を通すことにしようと思い。適当に目に付いた物から順番に目を通していき、必要な部分を読んでいこうと考えていたのだが 彼女が俺の傍

「あの子は元気にやっていますか?」とか「貴方はどうしてこの世界に来たのですか」とか 様々な事を話し掛けて来たが。それに対して俺は返事をしたりしながら 書物を読み続けて。俺の持っている情報が役に立ちそうなものはあったかと考え込むが そもそも。その情報に書かれている内容があまりにも現実離れしているせいで、何の参考にもならないのだから仕方が無いだろうと思い 俺は彼女からの質問に対して俺が知る範囲内での答えを返し続けた

「え?あの娘と恋人になったのではないのですか?」そんな言葉を返されると 俺の方もどう答えるべきかを考えてしまい。そのことについては上手く誤魔化していくしかないと考えた。

俺は

「別に付き合っている訳じゃない。だけど俺はあそこで暮らしている女の子のことを、助け出してあげたい。と思っている。だから俺はこれから先もずっと。一緒に居て欲しいって伝えるつもりだ」

俺は俺に抱きついて甘えて来る女性のことを見つめて

「お前のことを、助け出せたら。俺はお前の事を俺のものにするって決めている。その辺は忘れるんじゃねぇよ」

そんな感じのやりとりをしていると、部屋の扉が開きそこからあの子が入ってくるのが見えたので。俺は彼女を俺の腕の中から離すと 彼女は部屋の中に入り扉を閉じると、こちらの様子をうかがっているように見えたので。俺は声をかけてみる

「どうかしたのか?」と聞くと

「貴方が何か変なことをしたのではないか?と思って様子を伺っていただけです。特に変わったことは無かったようで安心いたしましたわ」そう言われると、俺は

「確かに俺が何かしたということはない。ただちょっとばかし昔の記憶を思い出したりしていただけだから。それで俺に近付いて来て話しかけて来たのか?」と言い返した そうするとルリアは俺のことをジッと見てから。口を開く

「やっぱり。あっちの世界のことを思い出してたんだよね?」と聞かれてしまう

「まぁな。この世界でも似たようなことをやろうと思えば出来るけどな」と答えると 彼女は俺の服の袖を掴み、俺の方に顔を向けてから口

「私もね、昔あそこにはいったことがあって。私にはこの世界の全てが敵にしか見えなかったんだけど。貴方のお陰でこの世界の人達も、あの王国の人間たちと同じように醜く。自分たちが幸せになりたいだけのために。自分たちのためだけに動いている人たちしかいない。と知ることができたの」と言うのだが そんな言葉を聞いて 俺は俺自身について考える 果たして俺と目の前の女性は同じ考え方が出来るだろうか?俺はこの世界で生まれ育ったからという理由では説明できないほどにこの世界に対する憎しみが強くなっている しかし

「俺はまだこの世界に復讐を果たす前だったとしても。そんな風にこの世界に居る奴らを許すことはできないと思う。俺だって自分の大切な人が殺されたらきっとこの世界に対して復讐をすると思うし」

「そうかも知れませんわね。私もこの世界に生きる人々全てを恨みます。でもその前に。私は私を裏切った人間を絶対に許しはしませんし。私は私を捨てたこの世界の住人たちが憎くて憎くて憎過ぎて、そして、私のこの手でこの世界を破滅させたいと考えるようになったの」

そう言うと彼女は俺の身体にしがみつくようにして

「お願い。私はね。この世界を私と一緒に破壊したいって言ってくれている貴女がとても大切だし。私の味方で居てくれるって分かっているけど。それでも私はあの子と貴方が仲良くしてくれる姿を見ると不安になるんだ」そんなことを言うので

「俺はあいつのことも好きだぜ。でもな、俺はお前のことも好きになってみたい」そう言って俺は

「俺がこの世界で手に入れようと思っていた物は。俺の故郷を滅ぼした奴らの全てを滅ぼすことだった。でも今はそうじゃないんだよな。この世界で手に入れるべき物。それは復讐よりも優先されるべき物だって分かった」と。そう言った

「じゃ、私は貴方の復讐の対象にはならないの?」と聞いてきたので

「そうだな。俺は復讐より大事なものを見つけたから。この世界に存在する人間を一人残らず殺す。という復讐を果そうと考えるのを止めたいと思ってしまっているし。俺の中で復讐対象になっている人間も。この世界に存在するすべての人間がそうだと考えられるようになった。だから今の俺の目的は復讐よりももっと大事なことがある」と返すと

「そうなの。なら良かった。本当に良かった。私は貴方を裏切りたくはなかったけど。私の中にある貴方への想いと、私自身が大切に思えたこの世界に存在する人々が同じ価値を持っているとはとても思えなかったの」そう言われてしまうと

「俺も自分の大切なものが同じくらいの価値を持つなんて考えられないけど。その俺の価値観が変わったのはこの世界の誰かのお陰だと思う。俺はそいつに感謝している。そいつに恩義を感じてはいるけど、俺はその相手と殺し合いをしなければいけないのであれば。それは遠慮願いたいな」そう言うと

「私もその人とは戦うのは避けたいです。だけど私がその人に狙われても。貴方が守ってくれるというのならば」そう言って来たので

「俺は自分がやりたいと思えることと、守りたいものを守ることが出来たならば。後はお前がどうしたいのかを決めればいいんじゃないか?」そう答えると 彼女は微笑みながら「ありがとう」と言うと そのまま俺の胸に顔を埋めてきたのである そうすると俺は彼女に抱きつきながら「そう言えば俺が元の世界に戻った時に、あの子の力になれそうな存在に心当たりがないから、お前の方で何とかして欲しいって頼まれたんだが。お前に頼むことが出来るかな?」と言うと 俺に抱きついたまま彼女は頭を上げて俺の顔を見上げると 俺のことを見て

「私は別に構わないけれど。どうしてその子の為にそこまでする必要があるの?」と言ってきたが 俺は彼女の頬に手を添えて見つめ合った状態のまま

「俺にとってあの子が特別で、他の誰とも代えることのできない特別な女の子だと思っているからだ」そう言うと彼女は嬉しそうに笑みを浮かべる

「それなら良いわ。あの子を鍛えてあげれば良いのよね?」

「そのつもりでは有る。あの子は俺が助ける。あの子は俺が守る。俺の傍にいて欲しいのは彼女であって。それ以外の人ではないのだから、俺の手でしっかりと守れるように、しっかりと育てないとダメだよな?それにさ、あそこで待っていると約束をしたから、俺のことは忘れていないと思うけど。もしかしたら、待っていてくれるはずの場所に誰もいなかったら、寂しい思いや、悲しい思いをさせてしまっているだろうな、そう思うから。俺は彼女の為に何かしてやりたくなったのかもしれんな」そう言いながら俺は彼女の髪に触れていた。

彼女の髪の柔らかさに俺は驚き。

「おい!なんだこの髪の毛は!」と言うと

「どうしたの?」と彼女は尋ねて来たので

「なぁ、ちょっと俺のことを抱きしめてくれないか?」と言うと 俺のことを彼女はしっかりと俺のことを包み込んでくれた その時、俺の中には彼女が触れている場所から伝わってくる温かさを感じていた。そして彼女の心臓の鼓動が俺の耳

「うぅ~ん、この子凄いなぁ、ここまでとは予想していなかった」と、その言葉を耳にした俺は思わず声に出してしまったのだが。それを聞いたルリアは

「何の話?」そう言われると俺は慌てて「なんでもない」と返事をしてごまかそうとするのだが

「あの子が何か?」と。ルリアに問い詰められてしまう

「えっとだな。その俺にはどうすれば良いのかが分からないんだ。だからお前に助けて欲しい。って頼んだんだよ。その」そう答えたが 俺は何をどうしたら良いのか全く分からなかったので。素直に打ち明けることにした

「そう。私にもどうすればいいのかが分かるわけではないの。だって私は。まだ幼いあの子に、何もしていない。貴方が教えてあげたら?」と言われる

「いや、あの、俺が教えたとしても上手く出来るかどうかは分からないんだが。あの時、俺の師匠になった爺さんにも言われたんだが、剣や体術、魔法の訓練は出来るが。それ以外は俺には教える事が出来ないらしいから」と言うと ルリアは俺

「私はこの世界で生きるために必要な技術は、すべて覚えているのよ」と自信たっぷりに言っているので

「へぇ、そりゃすごいですね」と答えておくと

「あの子が持っている力を目覚めさせることが出来そうなのって」と言いかけてから。少し考えると「ちょっとこっちに来てもらえる?」と俺を部屋の外に連れて行って そして俺はルリアと部屋に戻るのだが 部屋の中に入ると。先程までは本を読み続けていたので気づかなかったが 部屋の中が綺麗に整頓されていたのであった。その光景を見ていると

「ねぇ?ちょっとそこに座ってくれない?」と言われたので ルリアの座っている向かいに座る するとルリアが俺の膝の上に座り「これでよしと。ねぇ?私の事を大切に思っているのよね?」と言われてしまった なので

「もちろん。俺の全てをかけてでも守ろうと思っている」と答えると。俺の背中越しにルリアは両手を俺の前に回して 俺のことを後ろからぎゅっとして 俺の頭を優しくなでてくれるのだった

「あぁ。なんか懐かしい感じがする」そんなことをつぶやいていると。何故か俺の心が安らいでいくのを感じたので そのままの状態で俺は眠りについてしまったのである。

俺が寝息を立て始めると 私達は あの女のことを見守り続ける

「やっぱりこの人の前だと気が緩むみたいだね」そう言われてしまう

「ふふん。やっぱり貴方は私が思っていた通りの良い人だったってことだね」と言うと

「でも私はやっぱり許せない」と

「この人はもうこの世界で生きるしか無いって決めたんでしょ?じゃ仕方が無いじゃん。この人をこの世界に繋ぎ止める鎖は一つしかないんだよ?貴方はそのたった一つの希望にすがった。この人はきっとこれからも貴方の事を守り続けてくれるでしょうね。貴方は彼に命を救われたし。彼がこの世界に居る理由も知っていますものね。私は貴方ほど強い気持ちは抱けなかったけれど、それでも私は彼のことが大切だし。愛おしくも思えたの。だからこの世界に来たときに彼を見つけられて良かったと本当に思ったの」そう言いながら私は目の前の女性を見据える この世界に来る前に、彼は私の前に現れてくれたのだ それは本当に奇跡のような出会いで。私にとっては神様に出会ったようなものだから その瞬間に恋に落ちて 私は彼をこの世界に残すことを決めることが出来たのだったのだから そう思えたからこそ、目の前にいる女性に対して怒りを覚える 彼女は私が今まで出会ってきた中でも特に強く 嫉妬心と憎悪を抱き続けた相手でもあるから それは私自身の醜さでもあった 彼女は自分以外の人間全てを呪い殺すような感情を抱くことができたのかもしれないけど。でもそれは私とは違う考え方で 私が彼女と同じ生き方をするのは難しいと感じてしまう

「でも、私は貴方を許すことが出来ないんです」と言葉が

「じゃ、どうするつもりなのかな?」と。

彼女はまるで試すかのように問いかけて来たので

「どうせ私はこの世界を滅ぼすことは止められないし、止めるつもりも無いの。なら貴方をこの世界から消してしまう。それが私の出した結論。それで貴方はこの世界で生きている人間を恨むようになるし 私はこの世界を滅ぼせる。ならこれ以上お互いの為に、争う意味はないんじゃないの?」と言うと

「そうだねぇ。私としては。私は私自身を犠牲にしちゃいけないと思ったから。だからこの子と一緒にこの世界に存在することにしたけど。君は違うものね。なら私を殺すために戦うというのならばそれも構わないけれど。だけどもし本当にそうすると決意をしたと言うのならば。覚悟を決めてもらう必要はあるかな」と言ってきたが その瞳の中に殺意を感じ取ることが出来なかった為 私はまだ戦うべきではないと判断したため引き下がることにするのであった その後しばらく雑談を交わした後、俺が目覚めたときにはルリの姿は無かったのだが。俺が起きるまでの間の出来事については俺の知らない出来事であり、俺はその話を詳しく聞いてみたかったのだが。だがルリカは話してくれなかったため 俺の方ではそれ以上聞くことが出来ず。ただひたすらに、俺は俺のやりたい事をするために頑張ろうと思えるだけになっていたのである。

俺はそれからしばらくの間、ルルカと共にこの国で生活をすることを選んだわけだが

「お前も一緒に暮らすか?」と、つい口走ってしまったのであるが、俺は別にそこまで考えていなかったからどうしようかと考えていると 彼女は満面の笑みを浮かべながら

「うん!」と言ったので 俺はこの子が望むように生きられるように手助けしてあげる事にした

「あの~すみません。ちょっと良いですか?」と言う声がかけられたので振り返ると、そこには騎士の一人と思われる女性が立っていた

「はい?どうかしましたか?」と言うと 彼女はこちらに向かって近づいてきて

「私はここの騎士長を務めている者でして、今日は王都より使いのものが来ておりまして、そろそろ出発しなければならないのですが、あなたにどうしてもお願いしたい事があるそうです。申し訳ないのですが少し時間を割いていただくことはできないでしょうか?」そう言われたので。俺は断る事も出来たのだが、「構いませんよ」と言っておくことにしたのだが「そういえば、どうしてここに来たんですかね?」と思いルリカに尋ねたのだが

「さぁ。分からない」と言われてしまった そしてその日は特に用事もなかった為、俺とルリカの二人で騎士団の訓練場にやってくるのだが。その道中も俺は彼女達と一緒に行動を共にすることになったのだが

「私達が普段暮らしている場所は城から遠く離れた場所で暮らしていて、その場所まで来るのには時間がかかるから、こうして馬を使って移動しているんだけどね、その途中で貴方がこの国にやって来たという話を聞き付けてね、そして丁度良く今の時期が空いているということだったので、今回の護衛をしてもらうように依頼が下ったんだよ」と言われたので。俺は彼女の後ろに乗ることにしたので、彼女と二人乗りで進むことに 彼女の体はとても小さくて。そして軽かったが、だからこそ余計に怖くなり、そして不安にもなっていた。彼女はそんな俺のことを抱きしめてくれて安心させてくれていたが そしてその道中、彼女の口からは色々な話を聞いたのだが、彼女の住んでいる場所のことを教えてもらったりと。俺にとっては新鮮なことが多く、とても楽しく過ごすことが出来ていたのだが。そして到着した先は森の中にあった一軒家であり

「ちょっと待っていてくれよ」と言い残して家の中へと入っていき、

「それじゃあちょっと行ってくるよ」と言い残してからどこかに消えてしまい。俺だけがその場に残されたので

「なぁ。少しの間だけで良いんだが、俺と話をしてくれないか?」そう話しかける相手には敵意が感じられなかった

「いいぜ?俺が相手になってやるよ。お前、あの子のことが好きなんだろう?お前もあの子のことを好きになったって感じてるんだろう?でもあいつは自分の意思ってやつを持っているからな、そんな奴を無理矢理自分の方へ引っ張っていけばどうなるのか、分かってるのか?俺達は所詮。異世界から迷い込んできた存在なんだから、いつか元の世界に帰るべき時が必ずやって来る。だからあの子は俺達の気持ちを受け入れることは無いだろうよ。だってあの子が求めているのは元の世界の人達であって。俺達のことじゃないんだよ。あの子がこの世界で俺と出会ってくれたのは偶然に過ぎないんだから」そう言うとその人影は姿を消したのだった。

そしてしばらくしてから俺のもとに戻ってきたルリアと俺。俺の腕の中に包まれて眠っている少女を俺は起こさないようにしてあげようと決めてその場を離れようとすると。突然腕の中の少女は目を覚まし、そして俺に抱きつくと、再び寝息

「まったくしょうがないなこいつら。それにしても何だったんだ?あいつらは一体?まぁ、今はルリアを安全な場所に連れて行く方が先決だな、って言ってもどこに行った方が良いんだ?誰かに聞けばわかるかな?」そう考えて歩いているうちに、少し遠くに人が見えたので、そちらへと向かう事にする だがそこにいるはずの人物に声をかけようとした瞬間、俺の目の前にいたのは、見知った人物であると理解出来てしまった そう。そこには、以前見た時の姿のまま変わらない姿でいた彼女がいるのであったのだ。その女性を見た瞬間に背筋が凍るような恐怖心を覚えたのである それは彼女から感じられたのだろうか?そんな事はわからないが とにかく

「おい」

「ん。どうしたの?」と、そんなやり取りを交わしながら。彼女は俺の方を見て微笑んでくるのだった

「あ、あのですね」と俺が彼女に何かを伝えようとしても、俺はそれを言葉にすることは出来なかったのである。

彼女は俺のことをじっと見つめてくる。

俺は俺でそんな彼女のことを見続けることが出来ないくらいに怯えてしまっており。

「あぁ。君がここに居るとは思ってもいなかったよ。私はずっとこの世界で生きていかなければいけないと悟ったんだよ。だからこの世界に留まることを決めた。でもね、やっぱり君の事が心配だった。私は、私はね、この世界で君と会うことが出来たのも、全て運命だと思っているの。きっとね、この子と出会ったこともね。だから、だからね、私は貴方の事が好きになってしまったの。この世界に居て欲しい。私の側にいて欲しいって思ったの」

そんな言葉を告げられると。何故か胸の奥の方が熱くなる感覚に襲われると同時に、俺は気を失ってしまったのであった そのあと、気が付けばいつの間にか目の前から彼女はいなくなっていたので

「今のが夢だったのならどれだけ幸せだっただろうか?」と思う しかし現実というものはそういうわけにもいかない 俺は目の前にいる人物を見据えた。

「おひさしぶりですねぇ。お兄さん。」その声は相変わらず耳に馴染むもので俺は安堵していた。彼女は変わらず目の前に現れたからだ。その容姿は全く変わることなく同じものが存在しているが故に懐かしく思えたのだ 彼女はまるで人形のように整った顔立ちをしており。肌は白いし髪の色は銀色だし目は赤だし その姿形を見ているとまるで俺の心までも奪われそうな気分になるし。

そして俺と目線を合わせるために屈みこんできているのであるが、その際、髪の毛と髪の毛と擦れ合う音を立てることによって彼女の香りを吸い込んでしまい、俺の顔から全身に渡って血液が集まっていくような現象に見舞われてしまう。そのため顔を赤くしてしまうと、俺のことをまじまじと観察しているかのような眼差しで見られると、ますます体が火照

「あれ?なんか顔赤いよ?大丈夫?」と尋ねられ 俺は「だ、だだだだだだいじょ、うぶ。うん。」と 動揺してしまっているため呂律も回らないし声は上ずりまくっている。

「うん。ならよかった。それで今日は貴方に頼みがあるから来たんだけど。貴方にはあの子を救ってほしいの」

「あの子?あの子っていうのは誰のことですか?」

「私の娘だよ」そう答えられて この世界では娘が母親に対して敬語を使っている光景なんて見たことがないため。違和感を感じてしまっていたのだが、だがそれでも、俺は「分かりました。俺があの子を助ける事が出来るというのならば助けましょう」

「本当に!ありがとう!貴方にしか頼めない事だったから」

そう言いながら笑顔を向けてくれたのであったが 彼女はすぐに表情を変え、真剣そのものというような視線でこちらのことを真っ直ぐに見つめながら

「私に協力してくれないかしら?」

「えっと、具体的にどうしろと?」

彼女は「あの子は私にとってたった一人の家族だからね、この世界で私が生きる為に必要な物でもあるの。でもこのままじゃ駄目だって私は知っている。だってあの子の体はね?もう長くは持たないの。あの子の身体はボロボロになりすぎていて、このまま放置したらいずれ死に至るかもしれない。だから、お願いします。あの子を助けてください。そしてあの子が生きていくための手伝いをしてあげてほしい」と俺に向けて言ってきた 俺はそれについて少し考えた後にこう言った

「わかりました。できる限りの努力はさせてもらいます」そう俺が伝えると

「本当に?良かったぁ」と言いつつ涙を流す彼女を見ていると俺もなぜか涙を流していた。

そして俺達二人と一匹で家に戻ることになったのだが、俺はそこで一つの疑問を抱き。

「なぁ、あんたの名前は?」と質問すると。彼女からは意外な返事が返ってきて

「ルリ。ルリーネ。ルリ。それが私の名前。ルリカじゃなくてルリィーネじゃないよ。そしてルリカって人はね。私の事なのよ。私もね。元々はルリカとしてこの世界に暮らしていたんだけれども。貴方と同じようにこの世界を彷徨っていたところを私をこの世界に繋ぎ止めておくために必要な力を使ってね。そしてね、貴方と出会うことでね。こうしてこの世界に留まっていることができるんだよ」と言って俺に笑みを見せてきたのであった。

そしてその後、俺達が住んでいる街に戻ると、街の中はとても静寂としており、人の気配は感じられないが、俺はそんな中を進んでいくと。その途中で出会ったのは俺と同じような格好をした女性と俺のことを初めて見るような感じで見てくる男性が一人と それからもう一人

「久しいのう、我が愛しのルリカ」そう言う男性と「え?あなたは?」と驚き戸惑っている女性が一人ずついた ルリーネと名乗った女性は「え?」と驚いた反応を見せているが、俺にはあまり気にするような事でもなく むしろ目の前の男性のほうがよっぽど興味を引く相手であり 俺はそいつのことをじろじろと眺め回し

「お前は?なんなんだ?俺に何かをして欲しいってことなのか?」と問いかけてみた その男は口を開くことはなく。ただ、微笑んだまま俺の方を見続けていた 俺の目の前にいたその男。その男が着込んでいる服をじっくりと見回すと。それは俺の衣服よりも豪華に装飾が施されているものであり

「なんだお前?俺に喧嘩売ってるのか?その恰好は一体どういうつもりだ?ふざけてるのか?お前、今の状況わかってるのか?お前はいったい何様だ?おい!そこの金髪の野郎。こいつは一体何をしたいのか俺に教えてくれよ」

そう言いながら男の顔面に蹴りを入れてやる。

「はっ、雑魚が。俺が何者か知りたいんだろう?だったら、まずは自分の正体を明らかにすることから始めたほうが良いぜ?」そう言うと 俺が蹴り飛ばした相手の顔がみるみると変化していく。

そう。それは、かつて戦った仮面をかぶった少女が変身していった姿と瓜二つであり。

「へぇ?やっぱり。てめーかよ。何がしてぇんだ?あぁ?また何かを企んでいるってわけなんだよな?なぁ。さっきの俺の言葉聞こえなかったわけないよな?あぁ?何でこんなことをした?」と問い詰めるが やはり返答はない そんな時

「な、なななにやってんですか!?この人達は仲間でしょ?それに貴方にはまだ聞きたいことが山ほど残っているのに、どうして、いきなり攻撃なんて、やめてください!」そう言いながらもその言葉を聞いても何も行動を起こさない奴らを見て、こいつもこいつなりに、色々と理由があってこのような事をしているのだろうかと考え

「なぁ、ちょっと話聞いてくれねえかな?」と言う 俺は自分のことについて話すと。彼女は「はぁ?」と不思議そうな表情を見せる 俺は「俺は、ある世界で神と呼ばれている存在によってこことは別の世界の勇者となるべくこの世界に呼ばれた。そして、この世界は魔王と呼ばれる悪の存在の手によって滅ぼされようとしているからそれを倒せと。そして、もしそれが成されなければ世界の崩壊とともに自分も消滅させられてしまう。そんな世界の危機を救うのを手伝って欲しい。そして、俺と共に戦ってくれと。そう頼まれた。だから俺も協力したんだよ。俺がこの世界に居られる期限も残りわずかなものだって言われて。だから。だからこそ。ここでの生活も捨てて。この世界を、いや、他の異世界のことも。そして、この世界のことも。全てを救うことにした。だから俺に協力してくれるんだよな?」と確認を取ろうとするも、目の前の女性からの回答はなく。俺は苛立ってしまう 俺は俺の邪魔をする者は排除しようと思い立ち上がって目の前の相手を睨みつける。だが、その次の瞬間。俺は吹き飛ばされて、地面に背中を強く打ち付けると、口からは吐血してしまい、体を動かそうとするものの痛みが走って思うように動くことが出来ない状態に陥り。そのまま動けなくなる

「ぐ、ぐ、うぅ、う」俺は何とか立ち上がるも足取りはおぼつかず その場に立っているだけで精一杯の状態だった。

だがそんな状態でもその女の顔を見ることが出来た。彼女は無言で

「貴方があの子に酷いことをするっていうなら私は全力で阻止しなければならないからね」と言って俺に対して魔法を放ち それが直撃し意識を失うことになるのだが 目を覚ましたときには既に辺りは暗くなっており 先ほどの出来事については夢だったのではないかと思ってしまうほどだったが。ふと思い返すとあの時、あの場所に彼女がいたことを思い出すと。あれもまた本当のことだったのだと信じ込むしかなく ただでさえ頭がおかしくなっているのだと思われる状況でさらに追い討ちを掛けるようにあの男が現れると俺の心労はさらに溜まることになりそうだと察してしまうのだが あいつはまるで幽霊かのように俺の前に立ちはだかりこう告げてきたのだ。俺は思わず恐怖を覚えるも、この男にはどうしようもないという事だけが理解でき

「なぁ、頼むからさ。もう俺の前から消えていなくなってくれねぇか?」そう俺がお願いすると、その男は「え?僕?うん。わかった。じゃあ、そういうことだから。またどこかで」と言って何処かに行ってしまった 俺はそれを見たときに、まるで嵐のような人間だと思いつつ

「なぁ、俺はどうしたらいい?どうしたらお前を助け出せる?」

俺は自分にしか見えないらしい。彼女に向かって語りかけるも彼女は反応せず

「ねぇ?私の声が聞こえる?」

俺は声の聞こえる方角を見てみるとそこには あのルリカが立っていたのであった。俺は彼女に駆け寄り

「お前があのルリとかいう娘だってことは俺の勘違いかもしれないけど。俺は、お前の力になりたいと思っている。そして、お前を助けたいって。そう思っている」そう言うも。彼女は俺の話を遮り。

「貴方には感謝しているの。私の事を受け入れてくれた貴方に対して。私は私にしかできないことをするつもり」とだけ俺に伝えて去って行ってしまった

「な、なんだったんだ?」と困惑気味になってしまうのだが 俺の頭の中では「もしかしたらあのルリという女の子の言っている事の方が本当なのかもしれない。いやきっとあの子が本物の娘なのだ。そしてその事を教えてくれているのだろう」と。そう思って そして俺は「よし、これからどうするか。考えるとするかな」と言い とりあえず街から出て行くことにする。その途中で俺の体を触ってくるような変な視線を感じたためにその元を探し出そうと

「まぁ、どうせあいつのことだろうと思うけれどもね」と思ってしまうわけだが、その視線は直ぐに消えるため。気にする必要はないだろうと思っていたのだが結局見つからず仕舞いだったために仕方がないからその視線の主を探すのではなく、自分がどこにいるのかを把握するために探索を行うことにしていた。そして森の中に入ってみるとそこには巨大な蛇が存在していた。その姿は禍々しく。明らかに普通とは異質であり、「おぉ?これが魔物というものか?初めて見たが凄いなこれは!なんかワクワクしてきたぞ?」なんて思っていた矢先に 目の前の化け物はこちらの方をじっと見据えたまま動かずにいると、俺もなぜか同じように見つめ返してしまっている事に気付くも。そこからは何もすることが無く時間が

「なんだ?お前は、いったい何が目的なんだ?何かを伝えたくて、俺に声を掛けたんじゃないのか?なぁ。教えろよ?俺に何を求めているのかをさ。お前は何を望んでいるんだ?答えてくれるよな?」そう俺が聞くと 目の前にいた巨大の大蛇はその巨躯を動かすと俺のことを捕食しようと試みたのであった。だが俺がその攻撃を受け止めようとしても。全く歯が立たないほどの強度と破壊力を持ち合わせており 俺はその衝撃に耐えられずに、後方に大きく吹き飛ばされてしまう その光景を見て俺の口角はつり上がる 俺は立ち上がり「はっ、なかなか楽しいじゃねえの。もっとやろうぜ?」と挑発をするが

「いや。やめておくといいよ?君は今ここで死なないといけないんだ。それが君の使命であり運命であるのだから」と。いつの間にか隣に現れたそいつが言ってく そいつは「おいおい?なんだってんだよ?俺に用があるんだろ?ならさっさと話しかけて来いっつうんだよ。てめーは誰なんだ?」と問いかけるも

「君に答えることはない。なぜなら。それは許されない行為だからだ。でも僕は少し気が変わってね。僕の計画のために動いてくれた君に感謝の意を評するために一つだけ良いことを教えてあげてもいいって気分になっているんだよ」と言う

「おいおいおい?まさかお前。俺の事を殺すんじゃねえだろ?な?俺はまだ生きてるぜ?なのにどうして、殺そうとしてくるのか、意味わかんねんだけど」

俺はそう言いながらも相手の隙を伺っていたのだが、そんな時。そいつから

「そうだよ。君の言うとおり。君は殺されることになっている。ただその死ぬ理由が、普通の死にかたとは違うというだけだからあまり怖がらなくても大丈夫だよ」と言われるも 俺は全く持って信じようとはしないのだが「ふーん。で?」と答え 俺は相手に殴りかかるも簡単に避けられてしまい、俺は地面に転がり落ちてしまう だが俺はそんな事は関係無しに再び立ち上がって今度は蹴りを入れようとするがそれもまた軽々と避けられてしまうも そこで何かが引っかかるような違和感を覚えた 俺はそれを疑問として持ちながらも戦い続けること

「で?何か分かったのかい?今ならまだ、見逃してあげられないこともないけれど。これ以上抵抗するというのなら殺すしかないよね?」と言われ だが俺は

「いやいや。ちょっと考えさせてくんない?俺は、今すぐに殺されなければならない存在で、その理由がこの世界を守るためだ?ふざけてやがんだなお前?じゃあ俺はお前が言った通りに世界を救うために。死んでやるべきなのかもしれないな。けどよ。そんな理由で殺されたんじゃたまったもんでもないな。って俺は思うんだ」と、目の前の敵に言うと。

そいつは笑みを浮かべ

「へぇ。そうなの。で、何をしたいのかな?君はまだ、生きている。それにこの世界の勇者でもなければ魔王ですらもない。そんな存在で、何が出来るっていうのかな?」

俺は「俺は確かにこの世界の勇者でもなければ魔王でもなければ。ましては勇者召喚に巻き込まれただけの人間だ。だが。この世界には勇者も魔王もいないのなら俺がその勇者になるべきだと思うんだよ。そして、勇者って奴の特権はな?好きなように生きていくことが出来るってとこにあると思うんだよな」と言い そして俺は「お前には俺の計画を手伝って欲しい。まず俺には協力者が居なくちゃならなくてな。そのためにこの世界の事を良く知ってる人間が欲しいところだったんだが。こんな状況だし。頼れる相手は今のところお前しかいないわけなんだよ」と。そう話すと。

そいつも俺の言っている事の意味が理解出来たのかどうか分からないけれども。とりあえずは話を聞いてくれて「つまり僕にその計画を手伝えってことだね?だけどさ、それってさ。世界を救えればなんでもいいんでしょ?」と言ってきたため 俺は

「あぁ。それで構わない。だがもし仮に俺の考えていることが失敗に終わって。何も得るものが無くなったとしても。それでもお前は俺の味方をしてくれるっていうのであれば。俺はお前の願いを聞き届けよう」と 俺は、目の前にいる少女に話しかけていた

「お前が俺に協力してくれたら、俺はお前を助けられるかもしれない。いや、助けたい。だから、お願いだ。俺に協力して欲しい」と、懇願するも。やはり俺には見えていないものが見えているようで。俺の言葉に対して反応を示すことなく ただそこに立ち尽くし。その目には俺のことも、そして、その先も見ているかのような目をしており そしてその目は俺のことをじっと見据えたまま動かない。そして

「な、なぁ。俺の声が聞こえてるのか?俺の姿は、どうなってるんだ?」と 俺から問いかけると。俺のことを見ていた彼女は「貴方は、本当に。私にとって大切な人だった」と言った後 俺は、目の前の少女から言われた一言が頭の中で反響していた 俺はその言葉が本当だった場合の事を考えて。俺は彼女にこう告げることしか出来ない。だって俺と彼女は違う生き物なんだから。だからこそ、彼女の為に俺は俺に出来る限りの事はしようと思っている。

彼女は俺を抱きしめてきた。だが俺は、彼女が俺に触れてくることが出来ていることに疑問を抱く

「お、おまえ。俺に触ることができているじゃないか?お前に触られた感触がしっかりとあるんだが。どういうことなんだろうな?」俺がそういうも 彼女は「そうね。あなたと私は繋がっているの。今はね。だけど、貴方が、私を助けてくれようとしたら、その時。貴方と私は永遠に離ればなれになることでしょう。そして私は、私にしかできないことを実行する」そう言って彼女は俺から離れた後に「最後に。貴方に伝えておくことがあるの。あの人はもう既に死んでいる」それだけを伝え 彼女は姿を消したのだ。その後 俺の前に

「いやぁ?どうやら君の思惑は成功したみたいだね?まさかあの子を助けることができるなんて思わなかったけどさ。これで僕は君を消さないといけない立場になってしまったね」と言い その言葉を耳にした瞬間。俺は

「なぁ、なんなんだよ一体!俺はなにがどうなっているのかが分からねぇんだよ!俺にもわかる様に説明してくれ!」と怒鳴るも。俺の思いなんて届かない。届いたとしてもどうせ無視されるだけなのだが

「じゃあさ、一つだけ聞いてあげるよ?君はこのまま死にたいかい?それとも生を望むのかな?」そう問われて。俺は

「じゃあ、質問を変えるぜ?俺は今のままだと、死ぬ運命なんだな?」

「うん、残念ながらそうだね。それが君の使命であり運命なのさ」と 俺は、自分が今どういった状況に置かれてしまっているのかを知るために情報を収集しようと。周りに人が居るのかどうかを確認して 俺は「俺の話を聞いていたんだろう?俺は死にたくねえんだ。だからさ?頼むからよ。助けてくれねえか?」と言うも

「いや、駄目だよ。君の存在は許されないのだからね。僕は君を殺さないといけないんだよ。それが君の使命であり運命なんだからね。だからさ、僕は。君を殺したくはないんだ」

俺は、この男の言うことは信用できないと思ったが。今の現状がどういった状態なのかを把握するために

「俺を殺すことで。お前は助かるっていうのか?」そう尋ねるも

「はっはっは!面白い冗談を言うんだな!そんなはずないだろ!僕は別に死にたくない訳じゃないんだよ!いや、正確に言えば、死んでも良いと思っているくらいには、どうでもいいんだけどね。ま、それは置いといて」と

「おいおい?ふざけんなよ?何だよ?お前は結局なにがしたいんだよ?」と俺は苛立った口調で言うと

「君は死にたくないんだよ?じゃあ。素直に従ってくれたらいいんだけど。そんなことをしても無意味なのさ。僕の目的は、あくまでも、この世界の秩序を守るために存在しているのだから」

俺が「お前は何なんだ?」と問うと

「おっと失礼?自己紹介がまだだったよね?僕は『勇者召喚された存在であり。魔王討伐の任を与えられていながら途中で逃げ出した勇者の成り損ない』だよ?ちなみにさっき君を殺そうとしたのは僕の使い魔みたいなもんだね?君と直接戦うようなことはなかったはずだね?」と言われたので

「勇者が、逃げた?それは、本当のことなのだろうか?」と俺は尋ねてみたが「嘘偽りの無い真実さ」と即

「勇者の使命とは。世界の脅威を殲滅することだよ。君はこの世界に危機が訪れる前にそれを阻止しようとした」と言われてしまう。

「俺が、世界の危機を止めようとした?」俺はそんな風に言われる心当たりがまったくなかった 俺が、「待ってくれ?俺には全く身に覚えがないのだが」と言い返すも 目の前にいる勇者(?)のような存在の男は

「そりゃそうだよ。これはね?勇者の力を得た時に強制的に刻み込まれちゃう呪いのようなものだからね?勇者になったものは、自分の使命を全うしなければ、生きることが許されないんだ」と 勇者の力が刻まれるという部分については。俺は疑問を持ったが「なるほどな。それで?俺は何をすればいいんだ?」と聞くも 彼は「いや、何も無いよ。強いていえるなら僕と一緒に来るだけで、いいんだ」そう言って 俺に向かって手を差し伸べてきた。そしてその手に、手を重ねると

「よし!それじゃ、一緒に行こう。僕と君の二人で世界を脅かす存在を打ち倒す旅へ。僕が守ってあげても良いんだが。やっぱり君自身の力に頼るのが手取り早いしね」と言ってきたので 俺は「お前は一体何のためにそんなことを言うんだ?」と 俺が問いかけると。奴は「言っただろ?君が勇者として世界を救えば、僕の存在理由は無くなってしまうのだから。君には勇者になって貰わないと困るのだから」

俺に拒否権が無いという事を教え込まれたのである。だが、俺には、目の前の男について行かないと、この先、生き残れないのだという事を理解したので

「わかった。俺はお前の協力者となって。この世界の未来を守ることにする」

俺の言葉に勇者は満足げな表情を見せ

「ありがとう。君には期待しているから」と口にすると 俺は

「それで、俺がこの世界の勇者として。世界の脅威からどうやって、守り抜けば良いのかを。まず教えて欲しい」

そう告げると。奴は「とりあえずはこの大陸を出て他の大陸にでも向かおうと思うんだ。そうして君に仲間を作ってもらうから」とだけ伝えてきて 俺には何も言わせなかった。そして 俺と目の前の男は船に乗り込むと

「そういえば名前を聞くのを忘れていたけど。なんて名乗ればいいかな?」と聞かれたので 俺は 俺が、「それなら、俺がお前に名前を授けようじゃないか。そうだな、とりあえず。俺のことを信頼してくれているという証を込めてお前の名前を『リゼラシアス』と呼んでも良いだろう」と そう伝えると。そいつの顔色はみるみると変化していき

「そっか。そうなのか。僕の名前はもう既に無いんだね。それに、僕は、もう死んでいる人間でもあるんだ。そう、だからさ、君がその名前を、使ってくれないか?」

「ああ、分かった。俺はその名前を預からせてもらおう」

俺がそう答えるも。俺にはこいつが何故こんな反応を示しているのかが全く分からないまま 船は目的地に向けて動き出していく。これから俺はどんな人生を歩んで行くのかは、まだわからないが。ただ言えることは一つしかない。

目の前にいる勇者と共に、世界を守って見せると 俺と勇者は船に乗り込み、目的の場所へ向かっていた 俺の膝の上に座り込んだ状態でずっと黙り込んでいた目の前の少女に対して俺は どうして、そんなにも俺に対して懐いているのか?とか どうしてそこまで怯えた目をしながら俺を見ているのか?など聞きたい事は山ほどあるが。それらを聞いてしまうのが怖くて

「なぁ?腹は減らないのか?」と、そう告げると。彼女は

「はい、特におなかが減るといった感覚はないです」と返事をするだけにとどまった そして俺自身も。彼女と話をするのが怖かったから。何も話しかけることが出来ずにいた

「そういや、お前。名前はあるのか?」と そう尋ねるも。彼女は「いえ、私達。モンスター達は基本的に個体名を持ち合わせていないものですから。私達に名を与えるなんてことは無いですよ」と答えられると そう言われても俺にはまったくわからなかった 俺は彼女に、少しの間。考える時間が欲しいと言い出してからというもの。彼女は俺から離れて どこかに行ってしまった 一人残された俺の前に、いきなり、人が現れたかと思ったら。

「よっ!あんたが例の新入りかい?私はアメリア。見ての通り。吸血鬼の姫さ。宜しくね」

俺が「お前は?」と言うと。彼女は

「あぁー?あたしの名前を聞いたわけ?仕方ないね。答えてやるとするかね。そう、その通りだよ。あたしはヴァンパイアの王の娘。まぁ?あんたらの認識では吸血鬼の女王ってとこかね?あ、そういやあんたにはまだ自己紹介していなかったねぇ」と

「俺に?何か伝えたいことがあるっていうのか?」俺がそう問うと

「ふぅ。あの子も随分といい子みたいだね。あんなに、無邪気な顔をしていたあの子が、初めて見る相手に。心を許しているだなんて。珍しいこともあったもんね」

「それで?お前は何の用事でここにいる?」

俺がそういうと

「そうそう、それよ!その質問に私が、わざわざ会いに来てやったんだよ?ありがたく思うんだね?」と言われてしまった そこで。「悪いが今、あまり余裕が無い。後にして欲しいんだが?」と伝えると

「えぇ!?なんだい?せっかく来たのにつれないね。どうせ暇を持て余しているんじゃないの?ちょっとは付き合えない訳?」と食い下がられてしまって 仕方なく俺は「何の話があるっていうんだよ」と言うと 彼女は、少し嬉しそうな表情を浮かべてから。俺に「お前が気に入った。私の使い魔にしてやる!」

「おいおい、お前。本気でそんなこと言っているのか?」と呆れ果てながら俺がそう言うと

「冗談な訳ないだろ?こんな面白そうな性格をしている人間に出会えたのは、初めてだからね。そう簡単に逃がしはしないわよ」

そう言われるも。俺は別にお前に従う必要性が感じられなかったので。無視しようかと考えていると。急に彼女の顔つきが変わり「さっきまでの威勢はどこにいったんだい?そんな生意気な態度を取っても良いと思っているのかい?」と

「何が望みだ?」と尋ねると。俺は彼女に腕をつかまれてしまいそのまま投げ飛ばされそうになるが 俺はどうにか踏ん張るも。体勢を立て直す

「ちっ!なんつぅ身体能力だよ。本当に」俺がそう呟くと。

「あんたがあまりにも弱すぎるだけだって、ほら、もう一度かかってきなよ。あたしはあんたのことを殺してしまうつもりだけど、それでも良いって言うんだったらね」と言ってきたのだが 俺が「は?お前ごときに俺が殺されるだって?ふざけるのもいい加減にしろ」と言い切る前に奴に思いっきり殴られてしまう。だが俺の体は頑丈なので大した怪我にはならないのだが。それよりも 目の前のこいつは、俺よりも弱いのにどうしてここまで強い力を持っているのだろうかと思い疑問を持ったがすぐに解決してしまったのだ

「お前の力の底上げをしているものは、俺には分からないが。少なくとも普通の奴とは格が違うようだな」と口にする

「ふん、あんたはまだまだ強くなる。あたしはね?自分が認めた相手に対しては、それなりの力を注ぐようにしてんだよ。そうしないとね?対等に張り合うことができないからね」

そう言われたので俺は。目の前の女が「本心からそう思っているのかどうか」を確認するため「なるほど。それで?その実力が俺に認められた。とでもいうのか?」と そう尋ねると。女は俺の頬に一発。拳を叩き込む。それから俺の方を見て

「もちろんさ。あんたの強さならきっと、あたしらの王様になってくれるって思ってたから。それならそれで都合も良いかと思ってさ」と口にして また殴り掛って来る その攻撃を避けつつ俺は この女の言動の意図を探るために「つまり。お前の目的は、俺を仲間に引き入れることにある。と?」

「あぁそうだ。お前のような強さを持つ人間がいればこの国はもっと良くなっていくだろうし。あたしも退屈しないだろうしね。それにあんただってこの国の王になりたくないわけじゃないんだろ?」という

「ああ、そりゃな。お前たちにとって良い条件を提示して貰えるというのであれば。断る理由もない」

俺の言葉に、満足げに笑みを見せると。彼女は

「それは良かった。お前のことは認めてやる。ただ。今のあんたには、足りないものがある。それが何かわかるかい?」

「いいや?分からないな。だから。それをこれから教えてくれれば良いだけの話だ」

「そうかい。なら、付いて来な。あんたがどこまで成長できるか見極めてやろうじゃないか」

俺が、「分かった」と

「まずは基礎からだな。そこら辺で座学を始めさせてやらぁ」「は?一体何を言ってる?お前は」

俺は、こいつのことを馬鹿にしているのかと思ったが、そうではなく単純にこいつが言ってきた言葉が分からなかったのだ 俺がそう尋ねても返答はなく「まずは体を動かそうじゃないか。その方が覚えも早いしね。それとあんまり時間も無いしさ」と そう言われ俺はしぶしぶ了承することにした そこからしばらく、体を鍛えたり戦闘訓練を行ったりしたんだが。俺は、あいつに勝てるビジョンが全く見えなかったので、どうすれば良いのかを考える必要があった 俺がそうしている内にも。日数が経過し

「そいつの相手をお前に任せるよ。まぁ頑張ってくれたまえ」とアメリアから、言われ。そして俺と少女の戦闘が始まる 結果だけを言えば、やはり俺には勝ち目がまるで無かった しかし彼女は

「うん、なかなか面白いやつね。あんたも私とやり合ったことで多少の成長を感じられるはずだよ。ただ。これからも鍛錬を続けていれば私くらいの化け物に、なってみせることは可能だと思うよ」そう告げてくると

「ああ、これから、お前について行って。少しでもお前に近づけるようになるから。よろしく頼む」俺がそういうと

「えぇ?いきなり態度が変わったね。まぁそういう風にお願いされちゃあ、しょうがないけどさ。まぁこれから一緒にやっていこうぜ」そう返されたのであった 俺は彼女に「なぁ?俺はどうしたら、強くなれる?」と 尋ねると

「あんたさぁ。強くなりたい。ってのに焦り過ぎじゃあ無いのかな?まぁそれも分かるけれどね。でもね?今のまま、あんたは一生、あんたのままでいるのかい?」とそう問いかけられたのである そこで俺は、自分の中に生まれた迷いを振り払い。

「そうかもしれないな。ありがとう。お前のお陰で少しばかり気持ちを切り替えることができた」

「へっ!感謝される筋合いなんて、私にはないってーの。私はお前が気に入っているんだ。それだけの話よ」

「それでも、礼を言わせてもらえるのならば。お前に会えて良かったと思うぞ」

そこで彼女は 俺のことを見据えて、そして一言だけ

「ふぅん?あんた、案外。可愛らしい性格をしてんじゃねぇか。気に入ったよ。そうかい、私に会うことができて良かった。かねぇ?私からしてみればさ?別にあんたが気にいることなんて一つとしてないんだけれどね」と告げてきたのだった アメリアと出会って数日 俺は、彼女の提案によって。彼女と共に。あるダンジョンを攻略しに行っていた 俺は今。その道中で、彼女と行動を共にしている。まぁ

「そういえばあんた。どうしてあんなところにいたわけ?」と言われて。その質問に対して俺は答えられないでいた

「別に話したくなければ構わないんだけどさ?あそこに居た理由だけは、聞いておかないといけないって思っていたんだよ」とそう告げられてしまったので。仕方なく。俺は、あの森の中に。あの遺跡が建っていた理由を語ることにすると 彼女は、「ふぅーん?あの場所にあったものについてはよく知らないけど。あそこには、私たちの王様が眠る場所に、繋がっていて。あの場所は、お墓のようなものでもある。そういう認識をしていたのよ。まさかあんなところに人が住んでいるなんて知らなかったしね。だから、本当にびっくりしちまったんだよ。あんたら人間達が暮らしているのを見たときにはね。

でもさ?あんたが、あそこまでたどり着いたということは、あの王様の墓荒らしみたいなことした訳?あんたのあの実力なら出来なくはないだろうし?」そう聞かれたので 俺は正直な話をすることにすると 彼女は、「あんたさ?本気でそんなことが言えると思ってんの?あそこはさ?もう、とっくの昔に無くなっているはずの場所でさ。だからこそ誰も足を踏み入れないようにしていたはずなのに」

俺は。目の前の少女に真実を話すと

「えぇ?そうなの?それじゃああんたが勝手に勘違いをしただけだったの?うーん、だとすれば、私が余計な事を言ってしまったかも知れなせんわね」と口に

「いいさ。お前のおかげで俺はこうして。あいつの手がかりを掴むことが出来たんだからな」

そう言うも 目の前のこいつは「別にさ?私としてはさ?あれがなんであろうと。あんたが無事でよかったわ。それさえ聞ければ。私の目的は達成できた訳だし」とそんな風に言い切ったのだった

「それにしてもあんたは本当に変だよね。そんな強さがあってまだ上を目指しているだもん」

そう言われ。俺は思わず苦笑いをしてしまう 俺には目的がある。その為に俺は力をつけ続けている。それが俺の生きる理由でもあり 俺は。その事を口に出すか悩んだのだが。

こいつにだったら言ってもいいか。と、思ったの

「なぁ?お前は、どうしてそこまでの強さを手にしようと努力をするんだ?」その問いに対する回答を聞くと

「それはね?私にとって大切な友達のためだよ」とあっさりした感じに言われたのだ

「お前に、そこまで大切に思える相手がいたということに驚きだな」「何がおかしいってんだい?私の大事な親友に手を出そうというなら、いくらあんただと言えど容赦しないからね!」「おいおい、怒るなって?ただお前は強い奴と戦うことを楽しんでいるように見えたが、お前にとってはそれが最優先なんだろ?」「当たり前じゃん!私は強くなるための努力をしているんだよ?だから楽しいって感情が優先するだけでしょ?強い相手と戦いたくないって奴がいたとしたならば。それこそ異常でしかないでしょ?」「まぁ、確かにな。その考え方は分からんでもないが」俺がそう口にするも、こいつは「でもさ?強さを求めている理由がそれだけだって思われるのは嫌なんだよ。もっとちゃんとした。立派な理由を持って、あたしはこの力を手にしたのだから」そう言われてしまう

「なるほどな。だが、結局は。そいつもお前と同じで、戦うのが好きなんじゃあ無いのか?」

「そればっかりは仕方が無いよ。私の場合は戦いの中に、生きている喜びを見いだせるってだけに過ぎないからね。でもあんたが求めるものはそうじゃないんだろ?」

そう問われて。俺が答えるよりも先に。彼女が俺に向かって

「あんたが求める強さって一体どういうものだ?」そう問われる

「俺か?俺の求めるものは。ただひたすらに強くありたい。ということと。俺が求めた強さが。俺自身の物ではなくて。他人のために手に入れたものだったってだけだな」

その言葉を吐き出すと、何故かあいつの顔が赤く染まっていった 俺が、どうしたんだと訪ねると「あんたにこんなことを言われるとは思わなかったなぁーと」と言いながら。顔を隠すようにしながら、あいつの口から言葉が出てくる

「つまり。お前は自分が認めた誰かに認められるために。強くなったのか」という問いに。「そうかもしれんな」と返すと。彼女は

「やっぱり変だよ。あんたは」と。どこか悲しげに。俺を見つめてきたのである そう言われてしまったが 俺は別にそうは思っていない 俺は俺がやりたいと思ったことの為に この強さを手に入れようと思っているのであって 自分の為だけに強さを手に入れたわけではない

「そっか、まぁいいさ。あんたには分からないだろうし」その言い方があまりにも気に入らなかったので 俺は、その言葉の先を言わせないよう。彼女の口を塞いでしまう

「お前が俺のことを良く分からないみたいに。俺だって。お前のことなんて、これっぽっちも分からないんだからな」と。俺はあいつに、言ってやることにしてやった

「まぁ。私には、分かるよ。きっとね」

「そうか?じゃあ教えてもらおうか。お前が、俺の事を認めてくれる日が来るって」

そこで、あいつから俺に唇を重ねられる 俺が突然の出来事に戸惑っていると

「ごめん。私からしておいて。でも今のあんたの態度が、あまりにイラついちゃったもんだからはめさせて貰ったわ。これで分かったでしょ?私はあんたのことを認めてはいない。むしろ嫌いに近いくらいなの。だから。もしもあんたが、それでも、私のことを好きでいてくれたなら。私はあんたを受け入れてあげるよ」とそう口にされる 俺は、それに対して何も返せなかった その答えにあいつも納得してくれたらしく それ以降は。お互い会話をすることも無く。

俺たちはそのまま冒険者の街へとたどり着く そこについて。早速。俺はギルドに登録をしに行く そこで受付の人に、身分証明書のようなものが必要と言われた

「あぁー。それじゃあこれがそうだ」と言って、彼女に渡している それを眺めていたその人は「ふぅん?あんた、アメリアの連れかい?」

そう尋ねられたので

「はい。アメリア様にお世話になっております。それと、そちらの女性も。私にいろいろと指導してくれています」とそう言うと 彼女は「へぇ?あんたが?アメリアの弟子ね?そりゃまた面白いね。私とアメリアと。どっちが、強くなっているのかね?ちょっと見せてもらうとするよ」と そう言い放つと同時に。剣を取り出してきて。そして斬りかかってきた 当然、俺の事を殺さないように、手加減

「いきなり何しに来んですか?全く、困ったものですよ。あの子は」そう言いながらも。その人の一撃を受け流したのだった

「あら?やるねぇー?少しだけ、本気出させてもらうよ」

そう口にされると。彼女は一瞬で、姿を消したのだ 俺は慌てて周りを警戒しようとするも。既に遅く 背後から、その女は、俺のことを蹴り飛ばす 地面に叩きつけられ。その衝撃で動けなくなってしまった

「あんたは、まだまだだねぇ?それで。その実力じゃあ。まだまだ足りないねぇ。あんたはさ?まだその実力じゃあないんだろう?」そう言われた直後 俺は腹部に強い衝撃が走り そのまま意識を失う

「はぁー。アメリアも大変だなぁ?あの子。ここまで面倒な男を連れ込むだなんて。それにしても、どうしてあんたが。こんな場所にいるわけ?あのアメリアがどうして、こんな場所にあんたのような男と来たのだろうかね?不思議でしょうがないね」

そう呟きながら 俺は目を覚ますと。そこは、ベッドの上で、そこに横たわっていたのだった その瞬間。俺は。目の前の光景に驚いてしまい。声を出してしまったのだった するとその音を聞き付けて 俺の目の前に現れた人物に。彼女は、「お?起きたか?まったく、あんたはどうしてそんなにも強いくせに。そうやって油断しちまうのかね?」と口にしたのだ 俺が何が起きたのか尋ねる前に。その少女は説明してくれる 彼女は俺を治療したのだと言った上で、「一応さ?あたしだって回復魔法の心得ぐらいはあるさね。まぁもっともあたしの場合は戦闘特化だけどさ?だから安心して欲しいかな?」と言われるも 俺はそれどころじゃなかった ただただ困惑していたのだ。彼女が何を言い出したのかすら理解できないほどには そんな様子を見ていた彼女に対して、「あー!なんだいその目は!?まさかあたしのことを信用していないって言うんなら許せないね!あんたを助けたってのが嘘だって言うんであればさ?それこそ大問題だよね」

俺はその言葉を聞いて

「いえ。あなたが私を助けて下さらなければ今頃は死んでいたのかもしれませんから。感謝しております」そう口にするも。彼女は不機嫌そうだった どうしたもんだろうか?と考えていると。「あんたが素直に感謝出来る人間ってことは知っているつもりだよ。でもね?あんまり調子に乗るんじゃないよ?この世界ってのはね?そんな風に優しくは無いんだ。だからこそ。あんたはここで、死ぬかもしれないような怪我を、負ったんだよ?それをしっかりと肝に銘じておきな」

とまぁ。説教されてしまった訳なのだが そこでようやく冷静になれたので。俺は。自分の身体の状態を確かめることにしたのだが どう考えてもおかしい。俺が

「ところで、私は一体どれくらいの間寝ていたのでしょうか?」と、尋ねたところ 彼女は「ざっと3時間程じゃないかい?」と言われてしまう 俺の傷はかなり深いものだった筈なんだが どういうことなのかと疑問に思っている間に 彼女は部屋から出て行ってしまったので 仕方なく。俺もそれを追いかけることにしたのであった 外に出てみると 彼女が待っていてくれて

「そういえばさ?お前さんの名前。聞いていなかったんだけどさ?なんていうんだい?いつまでもお前とか。あんたとかって呼ぶのもどうかと思っていてさ」と、言われたのだけれど そう言われても俺は名乗れる名前がないので困ってしまうのだが 俺は咄嵯に浮かび上がった名前を告げることにする

「私の名前は、アビスです」という偽名を口にすると。彼女は、「アビスー。良いんじゃないの?」と言われたので まぁ、特に問題はないだろうと思い とりあえず俺は、彼女を連れて行くことに決めた しかしまぁ、本当に強いんだな 俺を一撃で倒せるって相当だろうに。まぁ。それはともかくとして ギルドに向かう道中で彼女とは色々と話をしていた 俺が何故この街に居るのか?という話を その質問に。俺が、答えると。彼女が何かを思い出すようにして 俺にこう言ってきたのである

「そう言えば。確かあんたがここに来た時ってさ?私と一緒に、アメリアと戦っていたんだよな?あれ?じゃあ。アメリアと戦わないのか?」

そう尋ねられ

「私はもう。あの人と戦いたくはないのです」と 答えてみた 正直に。彼女との戦いは 俺の中ではトラウマになっていて 俺にはまだ。彼女と戦う勇気が湧かなかったからだ というか

「私は今でもあの人のことを尊敬しているんです。だから戦いたくないんですよ」

その言葉に彼女は。納得はしていなかったが それでも俺の意思を汲んでくれたようで。それ以上は口にしなかった

「それならまぁいいさ。まぁあんたはこれから先もこの冒険者の街にいるのかい?それともまた他の所に行く気かい?」

その問いに 俺はしばらく考えた後で ここに残る事を決めた 俺は強くなろうと思ったから

「そうかい?それならそれでいいさ。じゃあさっさと登録をしてこようよ。そうしたらまた旅を始められる」と 彼女の提案に従う形で 俺たちはギルドへと向かったのである ギルドで手続きを終えると。早速クエストを受ける為に 俺たちは、酒場へとやってきた そこにはたくさんの人が酒を飲んでいたりして。

俺に絡んでくるやつも何人かいたが 全て彼女に返り討ちに遭っていたのである そして俺と彼女が二人で依頼を見定めていると そこで俺は とんでもない内容の物を見つけてしまい。つい、見惚れてしまったのだった

「あの?これは一体?」と。彼女に尋ねるも。彼女も、よく分からなかったらしいが。報酬の額がかなり

「ふむふむ。なるほどねー。確かにこれくらいの依頼だと私たちみたいな駆け出しのパーティが受けても十分な稼ぎになるね」とその内容を確認した上で俺に尋ねてきたので こうなった以上、俺は、やるしかないと思い、承諾したのだった 3人でパーティを組み

「さて、では出発しますよ」

俺らはその依頼を受ける事になった

「はい!頑張って行きましょう!」「そうだなー!頑張ろうぜ!」

「それじゃあ行こうじゃない」とそれぞれが口にする そうして、街を出る際に。門番の人から 俺たちが身分証明書をちゃんと持っているのか確認されたので 一応持ってますよ?と答えておいたので大丈夫だと思いたい。ちなみにこの身分証明書は

「冒険者証と言いまして。簡単に言いますとこれが無ければ。基本的に街の出入りが出来なくなります。また身分証明書にもなりますので失くさないようにお願いします」とのこと その説明を受けて俺はそれを懐にしまうことにしたのだ。なお。これを無くすと結構厄介なことになるらしいが今回は無事に持ち運べた為安心だ それから俺たちはまずはゴブリン退治に向かう

「あの。一つ確認したいことがあるのですが」と俺が口を開くと 二人が反応してくれたのだった

「なんですか?アビスさん」と、聞かれたので

「まずは、この国にあるダンジョンはいくつ存在しているのでしょうか?」と聞くと

「そうですね。確認されている限りですが5箇所ありますよ」と、彼女は答えてくれたのだった

「そうか。で?どこのどれが最下層まで到達しているのかは分かるか?」

その問いかけに対し

「はい、一番奥の攻略が終了しているのは【神都地下迷宮】と呼ばれているものになります」と教えてもらったので俺はそこにしようと思う その前に一度俺と彼女とで実戦で

「試させて欲しい事がある。俺が今から二人に向けて攻撃をするから、防御魔法を発動して欲しい」そう口にすると

「はい!わかりました!やってみますね!」「あたしに任せろー!!」

と二人は元気良く返事をし。俺の攻撃を受け止める構えに入った そこで俺は 二人の身体に向かって斬撃を放つ が、やはり彼女たち

「はぁーい♪残念ー。私の身体は頑丈なんだよなぁー。ねーアビスくん?今の本気だったでしょ?でも私達には当たらないかなぁ?ねぇねぇ。どんな気持ち?」と言われてしまったのだ くそぅ そう言われるとは思っていたけど ちょっと悔しいな 俺は「まだまだだな」と思いながらも「じゃあいきますね」と言うも。二人は

「おっと、私達の出番はまだまだだよね?」と彼女は言いながら。彼女は 俺の動きについてきて。彼女もまた、剣で俺を攻撃。それも的確なタイミングと速度で 俺の急所に切りかかってきやがった 流石はSランクってところか

「ちぃ、ちょこまか動き回りすぎだっての。まぁいい。あたしがあんたのスピードに追いつけない訳がないでしょ?って、あんまり褒めると調子に乗りそうな奴がいるのを忘れていたね。悪いがあたしにも用事が有るんだからね。とっとと倒されておくれな」

そんな感じに 俺はあっという間に追い詰められていくのだが。俺は。ここであえて諦めた というのも

「お疲れ様でした!じゃあ今度は私も頑張りますねー」と。彼女が言ってくれるので。

ここは任せようと思う

「あんまり、私のことを舐めないで欲しいわね。あなた如きに遅れを取るような私じゃありませんのよ?それじゃあいくわよぉ~。喰らいなさい!!光魔法『聖なる炎』」そう言って彼女は魔法を唱えると。辺り一帯が熱くなり、一瞬にして蒸発してしまう程の温度に達する 俺はそれに焼かれるも 何とか無事だった。が、「きゃ!?え?いやんっ//」何故か

「おい。あんたまさか」「へ?なに?アメリアなにやってんの?早くアビスくんを回復してあげな」と、彼女はそう言うと

「そうです!アメリアさん。アビスさんの事を見ててください」と言われたので 仕方なく彼女はアビスの治療に取り掛かる

「あのさ?あんた。あたしのこと。なんだと思っているんだい?そりゃああんた。あたしも女の子だからね。そういうのに憧れが無い訳じゃ無いさ。だけどあんたをからかうためだけにこんな事をするような軽い女に思われていたなんて、少しばかり悲しいね」と、彼女はそんな事を言い出した

「すみません。悪気は無かったのですが」と、俺は頭を下げる

「いいさ。謝ることは無い。それよりも。さっきも見たように、この子は優秀な子だよ。私も、そしてきっと、これから先も。一緒に居れば楽しいことが増えて行くことだろう。どうだい?これから先は。ずっと、あたしらとパーティを組まないかい?」と、突然の提案をしてくる彼女に対して。俺は「そうですね。その件に関しては、前向きに考えさせていただきます。ただ、私は私に、やりたいことが出来たんです。ですから申し訳ないですが、今は。あなたの申し出を受けることは出来かねる状況になってしまっております」と そう伝えると。彼女は「そう、まぁ仕方ないよね。まだ出会ったばかりでお互いの事を知らないんだから当然っちゃ当然なんだけどね。じゃあ最後に聞いておきたいことがあるんだけれど。どうして君みたいな子供がこの街に来ているんだい?まぁ答えなくても良いさ」と、質問されるも 正直な話をして 俺は自分が元魔王軍であると告げる事にする「実は、私は魔王軍に所属していた人間だったんですよ」

そう告白をする

「ふむふむ。それは面白いことを聞けたね。つまり君はもう既に死んでいるわけだし、今更私がそれを知っていても問題は無いよね?」そう言われたので

「はい。別にもう死んでしまったのなら。隠す必要もないでしょうから。構いませんよ?」と答えてあげると 彼女は満面の笑みを浮かべてからこう言ったのであった

「うんうん。それじゃあお言葉に甘えて聞かせてもらうよ?で?一体何が目的なんだい?まさかこの国を滅ぼすとか言い出さないでおくれよ?そんな事をすれば。私達は君の敵になること間違いなしじゃないか」と、笑いながら口にするもんだから怖いなこいつら だが俺は気にせず続けて

「いえいえ。違いますよ。確かに私は一度死に。そしてこうして生き返った存在。だからこそ、その生を全うするつもりではあります。ただし、私はまだ満足しきれていませんので。そのために、やるべきことが。やらなければならない事があるので、その事を成す為にここに来ただけですよ」

俺のその返答を聞いた彼女からは なんとも楽しそうな声が漏れてくる

「なるほどなるほど。ふむふむふむ。ふふふ。そう、そう。貴方も結局は、あの御方と同じだったのね」と、よく分からない独り言のようにぶつぶつと言い始めると

「よし!じゃあその目的とやらを私に話してくれよ」と言われてしまうも。

「それは無理なお願いですね。それを人に明かすことはできませぬ故」と、俺は答える

「そっかそっか。ま、それもそうかもしれないわな。んじゃあ改めてお願いしようか。あんたがここにやって来た理由は?一体何をしようとしているのか。それともう一つ、私たちの味方にならないかい?」と、俺の肩に手を置いてくるものだから 俺はつい反射的に彼女の手を弾いた

「あはは。随分嫌われてしまったようだ。じゃあまた機会があれば会おうぜ。その時までに色々と考えておいて欲しいな?では失礼するぜ!」と言ってその場から去っていったのだ

「まったく、あいつらは。本当に面倒だねー!」などと彼女が文句を口にする中 彼女は笑顔で「大丈夫大丈夫!アビスくんはあたしらが守るんだし。あの人達には負けないし!それよりさ?さっさと街を出ちゃおーよ!」と言われてしまったので街を出ることになったのだった その後、街を出るも街から出てもしばらくモンスターと戦うこと無く進むことができたのだが 道中の会話の中でこんなやりとりが行われることになる

「アビスさん!街を出る時にも教えてもらったと思うのですけど」と言われるも。特に覚えていなかった俺に ア

「アビスさんは今いくつくらいですか?」と言われ「15歳ですけど」と答えた俺に サ

「ちなみになんですけど。私は19歳なんですけど。それでもやっぱり子供にしか見えなかったりするのでしょうか?」と聞いてきたもんだから ア

「そうですね。俺はそう思っているんですけど」と答えると

「あはは。そうかぁ。アビスさんから見た私はどう見えた?」

「えっと。可愛い女の子だと思いましたけど?」そう口にした瞬間

「そう、ありがとう。えへへ」とはしゃぎだすのは良いんだが。何故そこで俺の腕を自分の胸に引き寄せたんだこいつは。そんなに触って欲しいのか? 俺はそう思いながらも我慢することにする

「ねぇ、ところでさ?その敬語。あたしには止めない?だってあたしたちってもう、その。そういう関係じゃん?だから、もっとフランクに行こうよ!」

などと言われてしまったので 俺はとりあえず

「じゃ、じゃあまぁ。そうだな。分かった。それじゃあいくぞ?」「うん!」

こうして俺達二人は街を出てからしばらくの間。二人で行動を共にすることになったのだが。俺達は順調に進んでいたのだが 途中で休憩を挟みつつ歩いて行くと アビスとアメリアは とあるダンジョンの入り口を見つけ出すと ア

「ここからは慎重にいこう。二人同時に戦うのは難しいかも知れないから、ここは手分けをして先に進まないか?」と提案を

「そうだね!それがいいね!あたしは賛成だな!というか最初からアビスさんはあたしのことを足手まといだと思っていたんじゃないかって不安だったんだよぉ。でもアビスさんの言う通り。ここで別々に探索をした方が良いんだろうね」そんな感じで話はまとまり 二人が別々のルートで進んでいくことにしたのだが。そんな時であった。アビスは、ある洞窟を見つけると そろりと中に入っていくと。中には宝箱が置いてあった しかも結構な大きさで。おそらく金貨が大量に入っているのではないかと思われる代物なのだが 罠の可能性を考慮して開けて見ることにしたのだが 蓋を開くと 案の定 中身は空で、代わりに何かの魔法書が入っていたの

「あーあー。こういうのって大体中身が入ってないことが多いんだけど、残念無念ですわ。これ持って帰れば金に換えられると思ったのになー!」と、一人愚痴を零しながらも俺はこの魔法書を鑑定することにしたのだが

「えーと。魔法名を唱えて発動しろ?い、嫌な予感しかしないんだが。一応唱えておくか」と、俺は魔法名を叫ぶと すると、その魔法が自動的に発動してしまう 【呪縛之剣】と、そのように表示されると共に。

「な!?こ、これは!?」体が動かない と、思ったらすぐに解除されて動けるようになったのではあるが

「なんだ?何が起こったんだ?え?ちょっと待ってくれ。俺はまだ何も悪いことをしていないはずだ!なんでいきなり拘束されるような目に合わないといけないんだ?いや、違うか?まだ呪いがかかっているわけじゃない。だからまだ俺は悪くはないはず。なのになんで俺は今殺されかけているんだ?おかしいだろ。そんな理不尽なことが許されるわけが無いだろう」と、俺を襲ってくる冒険者達に対して そう訴えるも、誰も聞き耳を持ってくれない。

そして

「おいガキ。お前は俺達の恨みを買ったんだ。だから死んでもらう」と、言って斬りかかってくるので 俺は慌てて逃げる

「うおっ!?な、なんて奴等だよ。完全に目がイっちまってるじゃねえか。こんなの相手にしてたらキリがないぜ?どうしたらいい?一体どうやったら逃げ切ることができるんだ?クソが。俺は、死ぬのか?こんな所で訳も分からず死んでたまるかよ!」と、心の声を漏らしているも やはり多勢に無勢なのか。

「さぁ!大人しく俺らのサンドバッグになってくれよ?なぁに、心配するなって、殺しはしないさ。ただのストレス発散のために痛めつけて殺すだけだ。ただでさえ俺らはお前のせいでイラついているってのに。ふざけたことをしやがって。覚悟は出来てるよな?」そんなことを言いつつも

「おらおらぁぁ!まだまだこんなもんじゃないんだぜぇ?早く本気を出してくれよな!でないとつまらなくなっちゃうだろ?」と そうやって俺に攻撃を仕掛けてくるのだが

「や、やべ!今の一撃はやばかった。まともに食らったらヤバい!こうなったら!全力でやらせてもらうしかないみたいですね」と、俺は戦闘モードに それから俺は なんとか反撃を開始するも、相手の数が多いだけに 徐々に劣勢に追い込まれてしまい 最終的には地面に組み伏せられてしまうと

「ふっ。ここまで追い詰めてやっと捕まえることに成功出来たぜ」

「よし、これで終わりだな。それじゃあ皆のところに戻ろうか」

「ああ」などと言うやり取りをしているが 正真正銘最後の攻撃になるであろうものを仕掛けようとしたその時である!!突然地面から槍のようなモノが突き刺さってきたかと思うと そこから一人の少女が現れたのだ!!! そして俺を捕まえていた連中に向けて声をあげるのだが。そんなことは俺にとってどうでもいいことであった その光景を目の当たりにしてしまった俺はついその女性に向かって声をあげてしまったのだが その女性はそんなこと気にせず男どもに攻撃をしかけ始めたのだが。そんなこと気にする暇があったならばまずは自分自身を助けなくてはならなかったのだ!なので必死に抵抗するも、流石に数が違いすぎる為、結局は助けてもらえることなく気絶してしまったのだった しばらくしてから目が覚める

「は!な、なんだったんだあの子は?一体誰が。それになんなんだよあの力は」などと疑問を抱く俺 そう思っているとそこにアメリアさんの姿があるのを確認して

「あっ、アメリアさん無事だったんだ。あのさっきの女の子。一体誰だと思う?凄いよね!俺のことを守ってくれた上に敵を倒してくれたんだよ?」と言って そう話しかけると ア

「ふふふ。私には分かりませんね。でも、そんなすごいことが出来る人が私たちと同じ人間なのかどうかも怪しいですけどね」と言ってくるので ア

「え?」と、俺がそのことについて質問をする間もなく。俺達の元へ誰かが現れ ア

「あら、ようやくご帰還ですか?随分とお早いことでしたね。もう全て終わってしまいましたけどね」と言いながら現れたのは 先ほどまで一緒にいたはずの彼女 そうアスタロッテであった

「あ、あの、え?さ、さっきまでの子だよね?さっきはありがとね!って。君は一体誰なの?え?ど、どういうことだ?」などと 色々と困惑する中 俺はとりあえず ア

「あの、この子がさ。君のことを命を賭けて守ってくれたってのは分かったんだけどさ、いったいどうしてここに?」と聞くと ア

「それは私から説明するとしましょうかね」などと口にしてきたのだが それを聞いていた彼女は 少し困った顔を浮かべてから こう言ったのだ「ねぇ?あなたの名前は何というんですか?」と聞いてきているだけなのだから俺は答えることに 俺はとりあえず彼女の質問に答えていくことにすると彼女は「なる程ねぇ。では次に私が何者かについて話していきますけど」と言っているのだから続けて話をすることに 俺達がこれからどうしていくべきかについては一旦保留にしておいても問題ないと判断を下すと共に。今現在の自分達が置かれている状況を彼女に教えることにした俺なのだが彼女は「そうですねー、とりあえず。私のことも信用してくれていることだしこのまま話していってしまいましょうかねー?でもまぁその前に一つ確認させてくださいね?あなたはこの国の名前を聞いたことがありますか?もしくは知っているのかということについても聞きたいんですよ」と言われたので 正直に俺は答えると「なるほど、そういうことだったんですねぇ。あーよかった。もしもあなたの話が真実ならここでの生活はなかなか厳しいものになってしまいそうなので。あぁ、ちなみに私達は『魔王』と呼ばれる種族なのですけれども。その辺の話は知っていましたか?」と言われるのだが。俺は知らないと答えると ア

「やっぱり。その様子だと知らないようだし、ここは私から話すとして。そもそも、この世界がどういう場所なのかという話から始めていく必要があるわね」

「え?い、いきなり何を?」と思っているとアスタさんは説明を始める「この世界には本来あるべきはずの存在が、なぜか生まれてこなかった。その代わりに、全く別のものが産まれて来るようになったの。そして、それらの生物は、この世界の環境に適応するかのように進化を遂げては独自の生態系を築き上げていった。例えば虫なんかはその良い例ね。彼らは元々普通の動物達だったらしいの。でもある時。彼らの生態に興味を持った人間が彼らを解剖したり研究してみたりした結果。ある一つのことが分かってしまった。それは彼ら、もしくは彼女らには生殖能力が存在しないということが」そこまで聞いた俺は

「え?でも、さっき俺と一緒に戦っていた人は女性だろ?それに。俺と普通に接してきたぞ?そんなことがある訳がないだろう」などと思いつつ反論すると。彼女は「確かにそう見えるかも知れない。しかし、実際はそうではないの。実は男性体と女性体は見た目が違うだけのまったく同じ存在なの。分かりやすく言えば男性と女性が合わさったみたいな感じかな。だから男性は妊娠も出産も可能だと言えるわ」などと言われてしまうと俺は黙る他なかった 俺が大人しくしているのを確認すると さらに説明を続けようとするのだが。

そこで、今まで空気のように成り行きを見守っていたアベルが

「ちょっと待ってください!アスタロッテさん?私はその話の続きを聞かせて欲しいのですが。まさかとは思いますが。あなたはこの国の王なのでしょうか?」などと言うと「いいえ、違うわよ。この国がそうなってしまった理由は単純。もともとこの世界に存在するべき生き物のほとんどが存在しなくなってしまったの。つまりこの国は絶滅してしまいつつあるの。で、残った数少ない種のうち。生き残ったのが今の国王って訳」などと とんでもない話をし出すのだ。そんな馬鹿げた話は信じたくないが 現に目の前にいる人物の言動を見てきている俺としては。彼女が言うことは本当の事なんだと思ってしまえた。だがそれでも俺はそんな話を聞いている間ずっと疑問を感じていたのだが

「おいおい、なんなんだこいつは?こんな子供が俺達に嘘を言うはずがないと思うんだがな?本当にこいつが王様なわけないだろ?こんなガキじゃまともに会話だって出来ないだろう?そうだろ?お前らもこんなガキが王だなんて信じられるわけが無いよな!」などと言いながら笑っている奴らがいるもアステさんは特に気にも留めずに淡々と話し続けているも俺も流石におかしいと思っていたところまではいいもののそこから先はまったく分からない状態のまま進んでいくも

「なぁ?こいつらをどう思うよ?殺しちまった方が手っ取り早いよな?俺達の手を汚さず簡単に殺せちゃうんだぜ?」と物騒な発言をしてくるのだが。流石にやばいと感じていた俺に対して。アスタさんは突然と「ねぇ、君達。この男に何か恨みがあってこんなことをして回っているんだろうけど。それは無駄な労力になるだけだということをちゃんと理解して欲しいのよ。私なら君たちの要望にある程度は応えられるはずだから。その男にこれ以上酷いことをするのをやめてくれると助かるんだけれど?」と 言い出してしまうも。当然ながら、相手がそんな提案を受け入れることはなく、攻撃を仕掛けてくるのだが それに対して アスタさんは なんとその男の腕を掴んだかと思うと。まるで万力の様な強さで締め上げて潰そうと試みるも相手はそれを振りほどいてアスタさんの顔目掛けて殴りかかろうとするも。

あっさりと避けてしまった後 相手の足を掴みそのまま地面に引き倒し馬乗りになって顔面を思いっきり殴ったのだが。その後アベルが

「おらあああああ!さっきはよくも好き勝手やってくれたな?覚悟出来てんのかああん?」などと言い出し 完全に怒り狂ってしまっているアベルを止めようとしているアスターだったが「もうやめなさい!それ以上やれば死んでしまうでしょうが」などと言ってくるものだから俺が「あ、あの!もうそいつらが襲ってくることは無いと思いますから大丈夫ですよ。それよりも」と言って止めようとしたのだが俺の言葉の途中でアベルは突然倒れこんでしまう そして、意識を失う寸前に俺に向かって言ってきたのだ「いやぁ、悪い悪い!ちょっとやり過ぎっちまったみてぇだな」などと言っている間に気絶してしまったアベルのことを見ていた他の仲間達は流石に焦り

「な、何だよ!この野郎は!なんなんだよ一体」などと口走っているも それに対するアスタさんは ア

「あなた達。自分が今どんな状況になっているかも分かっていないようね。ま、別にそれで構わないけど。とにかく、私が今ここで貴方たちの息の根を止めるのには十分過ぎる程の力が備わっていることを自覚してもらうために。今から少しだけ本気を出しますのでそこだけは覚えていて欲しいの。それからもう一つだけ言わせて貰いますけど。もし私の気が変わってこの場であなたたちを消し去ったとして、あなたたちはいったいどうなるんでしょうね?あなたたちが死んでいくことに何も変わりはないのにね」と言ってその場から離れていくアスタさんは、アメリアの元に戻ると「あぁ、そうそう、私、この子を連れていきたいんですけど良いですか?」などと言ってきたが。それを言われたアメリアさんの反応と言えば

「まぁ!それは素敵ですね!そうです。私も丁度そうしようと思っていたところでしたの。是非連れていってあげてくださいね」などと言っているのだから俺の頭は完全にパニック状態になっていた そして、二人に連れられてどこかに消えていく俺。

そして、目が覚めると

「おっ?起きたかい?まぁ色々と混乱する気持ちも分かるんだけどね、まずは落ち着きたまえ。ここは君がいた国とは違う国で。君はここで暫く暮らすことになるのさ。で、ここで生活するにあたって。いくつか質問があるんだけど、いいかな?」などと聞いてきていたので。俺はもちろん、はい

「よし、では聞くが君の名前は何だい?それと、年齢と種族についても教えてくれないか?」と言われるのだが俺は正直に答えることにした アベルという男は少し困惑していたようだがアスタさんの方はというとある一点に集中しており。そこにいた少年に興味深そうな目を向けながらも。アスターについてどうするか考えている最中であり。そんな彼女の元に訪れた一人の人物もまた同じように彼女に対し警戒心を抱いているらしく睨みつけている様子を見せている中 俺は彼女に名前を聞かれたので答えることに。

すると今度は年齢について聞こうとしている彼女に俺は答えを返そうと思った時にふと視線を感じて後ろを振り返って見ると こちらをじっと見つめる小さな男の子の姿が目に入ってきたので。

「あれ?誰かいるのかな?えーっと」俺の声を聞いてその子が近寄ってきてしまい。それを阻止しようとするも。俺達が反応を示そうとしたその前に「えーと?君は何処から来たのかな?良かったらお姉さんとお話でもしてくれると嬉しいなぁー」などと声をかけてくるのだが。俺が、無視を決め込んでいると「んー、やっぱり言葉が分からないのかな?だとしたら困ったねぇ」などと言っているのが聞こえてくるも俺は黙っているのだが。流石にいつまでもこのままの状況を続ける訳にはいかないと判断した俺は「アスタロッテさん。この子に危害を加えるつもりならやめた方が良いかと。一応は俺の仲間だった者なんで。その、傷つけるようなことはして欲しくないんですよね。それに、多分あなたにとっても大切な存在のはずだと俺は思うので」「あ、あの人と知り合いだったの?」などと彼女は言うので俺は小さくだが首を横に振ると。「そっか。えー、えっと。君の名前とか聞きたいんだけど。駄目?良い?ありがとうね」

と、勝手に会話が進んでいく。そして結局俺は名前を教えないといけなくなり。渋々ではあるが。「えっと。俺の名前は『ラギウス』といいます」そう名乗ると「え?本当にその名前なの?でも、どうしてここにいるんだろう」などと言われてしまうのだが「まぁそんな訳なのよ。だからとりあえず私に任せて欲しいな。そういえばあなたのことをちゃんと紹介していなかったわよね?紹介するわ。私の息子でもある。この子の名はアベルよ。歳は同じだけど。仲良くして欲しいわね」などと言われてしまうと俺はどうすればいいのか分からなくなってきて。助けを求めるようにアベルの方に視線を向けるのだが その視線に気づいたらしいアベルが 俺に対して「あ?なに見てんだよ。ぶっ殺すぞ?」なんて言われてしまい。俺は黙ってしまう他なかったのだが。そんなやり取りをアベルがしている間もずっと俺のことを見続けている女の子がいることに気づいたのはそれから間もなくのことであり。「どうしました?」俺が問いかけるも彼女は「え?え、え、え、え?」などと繰り返しながら何かを伝えようと頑張っていたが。残念ながら俺には全く伝わってこなかった

「あの、何か言いたいことでもあるのでしょうか?」再度問いただしてみると 彼女はいきなり涙を流すものなので俺は慌てるも。そんな様子を見ていたアスタさんに抱き着かれてしまえば

「え!?な、何をするんですか!ア、ア、ア、ア、ア、アスタさん」などと情けない声で叫ぶしか出来なくなってしまった。しかも、その様子を見ていたアベルは

「おいおい!母さん?あんまりこいつに変なことを吹き込むんじゃねえよ!こいつは俺のなんだ。こいつは俺の物なんだ!こいつは俺が俺だけがずっと独占し続けなくちゃなんねえんんだからな」などと言い出すもんだからもうどうすればいいのか分からない。

ただ、一つだけ分かったことがある それは、アベルが俺に抱いている感情は恋愛的なものではない。もっと別の、歪んだ愛に近い物だということだ。

しかしそれが分かってもどうしようもなく。ただ 俺達はしばらくの間 俺達にとっての新しい日常を迎えることになってしまう

「なぁ?ちょっといいかな?」

アベルと名乗った男の子は私達に話しかけてきた。それに対して私達は、はい、何でしょう

「あのよ。あんたら俺に何か恨みがあって、それで俺のことを殺そうってんだろ?そういうことなら遠慮せずにやってもらって構わねえからな」とアベルくんはそんなことを言うのだが。そんな彼を見て

「は、はい。わかりました。それでア、ア、アベル、様はどのような方法で私たちに報復を行うつもりですか?」

そんなことを言い始めるも。

それに対してアベルくんが

「ああ?別にそんなのどうだっていいだろ?別にお前らにそこまで興味なんかねえし。大体、俺は今すぐにでもここから出ていきたい気分だし。早く用件終わらせて、家に帰らせて欲しいもんだぜ」などと言ってきてしまう

「な?アスタ。このガキどうにかしてくれよ。正直うざったくてかなわない」そう言われたのだが。それに対して

「そうねぇ、確かに少し鬱陶しいかも。じゃあこういうのはどうかしら。貴方にチャンスを与えるというのは」と言い出したので

「どういうことだ?」と言い出すアベルくんだったが。私はアスタさんの言葉をそのまま伝えることに。

アベルくんはそれを聞いてしばらく考え込んでから「ふむ。なるほどね。まあそれくらいのハンデが無い限り俺が負けることはあり得ないだろうな」と言ってしまうのだから。アスターは慌てて止めようとしたのだが。アスターはアベルに蹴りを入れられ地面に倒されてしまうと。そのまま

「いいか?俺はこの世界に来てから少しばかり調子に乗っていた部分があったからな。ここでもう一度自分自身の実力って奴を再確認しておく必要があるって訳だ。だからこそ。俺はこの勝負を受けてやる。さっきまでのようなふざけた態度は一切無しだ。真剣にかかって来い。もしそれでもこの条件を飲む気にならないっていうのであれば。俺は別にこのまま帰っても構わないと思っている」

アスタさんはそれを聞くと「ア、ア、ア、アベル。い、い、い、良いの?ほ、本気で」などと口にしていた そしてそれを見ていたアメリアさんもまた動揺していた様子を見せている。私も流石にそれは無謀ではないかと思ってしまった。

アメリアさん

「あら?私は何もおかしなことなど言っていないと思いますが?このアスターもそうですけどアベルにも少しは良い薬になって欲しいと願っての行動です。むしろアメリアさんのその判断の方がおかしいのではないかとも思いますけどね」

そう言われたのだが。やはりアメリアさんの判断は間違っていないと思う いくらア

「あぁん?何がだよ?」アメリアさんは私達の話を聞き取れなかったらしく

「いえ、何でもありません。それよりアベルが受けてくれるそうですよ?良かったじゃないですか」などと言っていた。

そしてア

「は?俺はこんな女どもを相手にするのは御免こうむりたいんだけど」

そんなことを言い出すも

「あぁ?俺に逆らうとは良い度胸してるじゃねえか?えぇ?」などとまた暴力で訴えかける それをアスタさん

「あ、あわ、ア、ア、ア、アベル!!お、落ち着いて!」と必死に声をかけるが。

「はっ、母さん。俺はいつどんな時であろうと自分の意志を貫く。そして邪魔するヤツには容赦をしない。俺はそういう男だ」

アスターもそれを止めることは出来ない様子 そして 二人はぶつかり合う 結果 アスターと戦っていたアベルは倒れ

「く、そぉ。や、っぱ。こっちの世界の人間は。つ、よ、すぎる、んだよ。クソッ」そう言い残しながら消えていく その後アスターも意識を失ってしまい アベルは何処かに姿を消してしまい。

アスタさんはアベルを治療した後。気絶しているはずのアベルを連れてどこかに姿を消されてしまった。私も後を追いかけてみたものの。アスタさんを見つけることは出来ず。結局アベルが目を覚ましてから二人で話し合っているうちにその日が終わってしまい。翌日になり、ようやく話し合いの場を設けることが出来たのである。そして私達はアベルに話を聞いてみようと思ったのだけれど。

「え?俺とアスタの話が聞きたい?何で?ってかそんな話を聞いてもあんたらにとってはどうでもいい話だと思うんだけどなぁ。でも、まあ。母さんにあんたが俺の敵だってことを教えるにはいいきっかけかもしれないか」

などと口走る それから アベルは語り始めた まず最初にアスタさんと出会ったのは 俺がこの世界で生まれて間もない頃の話で。

まだ言葉もまともに喋ることが出来ず。俺は母さん以外の人間を見る機会が全く無かったこともあって そのせいで俺の心の中には人というものに対する恐怖心が強く残っていたらしい。そんな中で アスタが突然現れた。

最初こそ俺は、アスタのことをかなり怖

「母さん。なんで俺は今殺されそうになったの?ねえ?どうして?俺は母さんに迷惑をかけるような悪い子なの?なに?なにが気に入らないわけ?俺が悪いことしちゃう理由を教えてくれないと分からないじゃん?俺だっていつまでもそんな我を通せるほど強くないんだよ?」そうやって俺が母さんのことを問い詰めるも。

「いいえ?私は何もしていないわ。それにね?あなたはまだ赤ちゃんなのよ?だからこれからいっぱい色々な事を学んで。沢山の経験をして大きくなっていく。それが今の貴方にとって一番必要なことなのだと。私は思うわ」と返されるだけなので。俺としてはそれ以上何を言っていいのかすらとも分からず

「分かったよ。俺がいけないところがあるんだったら。俺を正しい方向に導いて欲しい。でもさ、俺の母さんは一人だけだから。だから間違えても俺を捨てたりしないでくれよ?」と懇願するも

「ええ。当たり前よ」そんな感じの会話を繰り広げながら 俺の幼少期時代は過ぎ去っていったのだった。

俺と母さんの関係はかなり特殊なものだと自分では思っていて。そもそも俺は普通の親子関係というものがどういうものなのかを知らない。だから一般的な家庭ではどういうやり取りがなされているものなのかも当然分かるはずもなく。俺はただひたすら母さんに愛情を求め続ける だが母さんは俺のことを抱きしめてはくれない 理由は母さん自身よく分かっていなくて

「ねえ?アベル。私が貴女の事を本当に好きか分からないのよね?私は貴方の親だけど。でもやっぱりそれは貴方の母親というだけであって、私は貴方の父親でもないの。そして私はこの世界のことなんて知らないし。貴方がこの先生きていくことに必要なことを私は教えることが出来ない」などと言うもんだから

「うん、わかった。俺が勝手に生きるから。もう大丈夫だよ」と言い出すも

「ダメよ!絶対に許さない!私の言うことちゃんと聞いてちょうだい。お願いだから、いい?」

と俺が理解出来るように言葉を並べてくれたので 俺はただただ それに従っていけば問題がないんだなぁと認識すると それ以降 俺の人格は急激に成長を遂げていった。

ただそんなことをしていく

「へぇ、君ってさ。意外と賢いんだな。ただ見た目はまだまだ赤ん坊なもんなんだから。もっとしっかり甘えるとかしてくれよ。でないと俺が変な目で見られるじゃないか」とアベルくんはそんなことを言うも。

そんなことを言われてしまうと私としてもどう反応したらいいのかわからなくなるので困っているのです。

「おい、ガキ?俺がこの世界でどんだけ強いか教えといてやるよ。俺に勝てると思ってんならやってみればいい。俺は逃げも隠れもせずに立ち向かおうじゃねえか。お前だってそうだろ?そうやって俺に戦いを挑んで来たんだろ?それとおんなじさ」など

「はい、わかりました。じゃあその挑戦をお受けします」そうやって答えたのはアメリアさん アメリアさんと私は今二人だけでここにやって来ている 他の皆は家で待機していてもらっているのは何故かと言えば この村の中に魔物が出現しており、そして村の人達が次々と襲われているという情報が入ったので私達だけが先行してやってきた。そして私とアメリアさんでその対処にあたることにしたのはつい先程の出来事であり

「じゃあさ、始めようぜ」と言い出すアベルくん それに対して「分かりました。では行きますよ?」と言って剣を振りかざすと。

アベルくんはそれを軽く受け止めて見せてから

「なぁ、ガキ?お前ってそんなに強いの?正直、全然大したこと無いように見えるんだけど。もしかしてあれか?俺が本気出してないからそう見えるってか?そんなんじゃ俺に負けちまうぞ?そんな簡単に俺に勝とうとしてると痛い目に合うから止めとけ」などと言われてしまったのである

「はい、すみません。じゃあちょっと本気で行くことに」私はアベルに向かって攻撃を仕掛けるも それを受け止められた上に反撃を受けてしまい。そしてアベルの攻撃を避けようとしたものの間に合わず 攻撃を受け続けてしまうも アメリアさんの「あ、アベル!?ちょ、貴方!!いきなりアベルに攻撃をするのはやりすぎじゃ!!」などと言われたのだが

「はっ、そんなに心配すんなって。こいつが弱いのが悪い。そうそうに諦めたこいつのせいでこうなったのかもしれないけど。ま、そこは別にどうでもいいことだ。とにかく今は俺がこいつよりどれだけ強いかを実感するためにこうして戦ってる訳だ。だからこそ、手加減する必要は何処にもねーよ。全力で向かって来てくれよ。な?」と口にされたところでアベルの動きがさらに速くなる アベルがこちらを馬鹿にするように見下した表情を浮かべて笑っていたのだが 次第に追い詰められていく状況に追い込まれていき。アベルが攻撃してきた時 私は避けようとするのだが、間に合わない そう判断したので私は咄嵯に剣を使って防ごうとしたのであるが。その前にアベルの拳によって吹き飛ばされてしまい壁に衝突してそのまま崩れ落ちる。そんな私の方にアベルは近づいてくると。

アベルは私を蹴飛ばした 私はそんなアベルに視線を向けるも「あぁ?文句あるのか?」と睨みつけられた為 すぐに目を逸らす。アベルはそれを確認すると

「ふぅ~、少しは歯ごたえがあったな。よし、とりあえずはこんなもんだな。そっちはどうかな?」そう言いつつ振り返る アベルに倒された私に対してアスタさんが近寄ってきてくれたので 私はなんとか立ち上がり、アスタさんの手を取って立ち上がるのを手伝って貰いながら アベルの言葉に対し

「はい、お陰様で何とか。ありがとうございます」とお礼を言うも。それに対してアスタさん

「お疲れさま。大丈夫?結構無理させちゃったと思うけど。辛かったらいつでも言って?アベルには後できちんと言っとくから」と口にしてくれたのであった。

それから私達は一旦家の中に戻り、そして今後についての話し合いを始めるも まず

「あのね?アベル、貴方がどうしてあんな風に言ったりした理由がなんとなく分かったわ。だから私は貴方の気持ちを否定しないで受け入れてあげることにする。だって、私と貴方は同じ世界の住人じゃないの。だから貴方の考えを否定する権利なんて私には無いわ。それに、貴方にはまだ時間が必要なのよ。もう少し、自分の力で生きて行けるくらいまで成長していって。それでもどうしても貴方の心が救われないようだったら、その時にまた改めて考えましょ。それまではお互い自由に生きましょう」とアスタさんが口にするのを聞いたアベルが

「ああ、その通りだ。俺はまだ弱いままだからな。母さんに迷惑を掛けたくないから俺はこれからもっと強くなっていくつもりだから」などと答えていた それから数日の間は 特に大きな事件もなく アスタさんや私達はアベルを中心人物に据える形でこの世界のことを学ぶことになった。アベルはアスタさんからこの世界の知識を学んでいき アスタさんもまた 私達からアベルの世界での暮らしについて色々と聞きながらアベルの為になにが出来るのだろうと考えながら過ごしていく。

そんなある日のこと 私達の前に一人の男が現れた それは

「お?なんだお前等?なんでガキの面倒を見てんだ?」などと言い出してきたので。私は警戒しつつも

「いえ、私は別にアベルくんに危害を加えるようなことをするつもりは全くありません。私はアスタと申します。それでこちらは私の娘のアメリアです」などと答える そこで私は目の前にいる男の顔をまじまじと確認していると、どこかで見たことのあるような顔立ちをしていたので不思議と目が離せないでいたら

「おうおう、そんなに見つめられても何も出て来ねえから安心しろよ。俺はお前さん達に敵意なんて全く持ってねえから。だから俺をお前さん達が嫌わないでくれるんなら俺はいくらでも仲良くしたいと思ってんだ。だからよろしくな?」などと言って来たので。私とアベルくんのことはひとまず放っておいて、私達のことを無視してくれれば そう思ったのに アベルくんにちょっかいを出し始めた

「ははは、どうだいこの子は?可愛いだろ?俺の息子なんだよ」などと言うと

「おい、おっさん。俺の母さんの悪口は言うなよ。俺が許さないからな」などと言って アスターさんに止められるも

「はっはっは!いやすまん。だがな?この子の母親さんは良い女だよ?何せお前のことをここまで立派に育て上げたんだから。それは誇るべき事なんだからさ。それをお前さんだって理解してくれてるんじゃないのか?」と男は言う

「あぁ。確かにそうだな。それは本当に凄い人だと思う。だからこそさ。もしその人の邪魔をする様な奴がいるっていうんなら、その時は俺はあんたのことを決して認めないし、そしてそんな事をしようとする輩を見逃す気なんて一切無いから」そんなことをアベルくんが言った瞬間に私は思わずアベルくんの方を見るのだが。そこにはアベルくんとアスタさんが何とも言えないような表情をしている その二人の様子を見てしまってからは私の中のアベルくんへの意識が大きく変わり 私は、いや、私とアベルくん以外の全員もこの男が只者では無いことを直感的に察してしまい。

そんなやり取りがありつつも

「はは、悪いなお嬢ちゃん?いらん心配かけちまったな。ま、そういう訳で俺も一応敵ではないとだけは分かっちゃくれないかな?んで?そちらは?」などと言ってアゼルと名乗ったので。

私は「私はアベル君のお世話を任されているメイドなので、私が責任をもって彼を守らせて頂きます」と口にして

「へぇ、君のような綺麗な子がこの子の世話係ねぇ?そういわれて納得出来ないところはあるが、君に免じて信用するとしようか」とだけ口にされて。アベル君を連れて行くのかと思ったのだが。

「じゃ、俺もお前らの家に行くよ。そいつは面白そうだからな」と言い出して。私とアベルくんは困惑する 私としては別に断る必要も無いのだけれど、アベルくんがどう思うだろうか? そしてそんなアベルくんが

「勝手に話を進めてるけどさ、そいつは一体誰だ?なんで急にやって来て、お前らはいきなりそいつを連れて行こうとしてるんだ?それになんの目的がある?俺と敵対関係にある訳でもないよな?だったら敵対する理由もないはずだが?お前らがその気になれば俺の命を奪うことも出来るだろうからな」などと言ってきたので

「はは、そんなに焦るなって。とりあえず俺の名はラケルってんだ。こいつはアベルだったか?そうかそうか。まぁ、なんだ、アベル。俺はお前と争うつもりはさらさらないから。むしろ味方になる。いやまぁそんな感じに考えてくれればいい」と、そんな答えが帰って来るも。

「そうか。分かった。まぁいい。母さんも居るようだし。そっちがそうしたいってんなら仕方ないだろ。ただ、こっちの用事が済んだら俺に構うのは止めてもらうぞ?」などとアベルくんが言い放つ

「あはははは、面白いじゃねえの。やっぱりこのガキは気に入った。んじゃ、俺もしばらく厄介になることにさせて貰うわ。よろしく」などと言われてしまい。アベル君は「はいはい。分かりました。もう好きにしろよ。じゃあ、母さん。俺ちょっとあいつと話す事があるから行ってくるよ」などと言っている。

そしてアベルくんとアベルくんのお兄さんであるラケルという方は何処かに消えていった

「アベルくん、貴方はあの人と知り合いなのかしら?」アスタさんは私に対してそう問いかけ

「え?ああ、あの人と会ったのは初めてだけど?でもあの人が父さんの関係者なのは間違いないだろ。多分あの人から感じる気配は前に戦った奴と同じだからな。しかもかなり強かった。それにあの人。何か不思議な雰囲気を持ってるんだよ。それにアベルがあの人に勝てないってことも分かるよ。あの人は強いから」とアベルくんが答えると

「あら?貴方、前にアベルと戦った時って負けそうになったりはしなかったのかしら?」とアスタさんが質問していたので

「ああ。俺もまだ未熟だからさ。本当ならばもう少し修行をしてから戦おうとは思っていたんだけど。向こうが待ってくれなかったからな。しょうがないだろ」などと話してくれたので

「なるほどね~、そうなの。それなら良かったわ。それでね?アベル。私もアベルと貴方が知り合いだということを貴方があの人に言わなかったことについては何も思わないことにするわ。だって貴方には時間が必要なのでしょう?そして、あの方はその時間を貴方の為に作ろうとしてくれたのだと思うわ。だってあの方は私達と一緒に暮らすことを選んでくれたもの。だからね?貴方の気持ちが落ち着くまでは貴方とあの方を会わせるのは避けてあげた方がいいんじゃないかと思うわ」とアスタさんは口にしたので

「うん。分かった。ごめん。迷惑をかけて」とアベルくんは謝ったのだが。アスタさんがそんな彼の頭を優しく撫

「ふふ、別に私は迷惑だなんて思っていないわよ。貴方にはもっと沢山のことを教えないといけないんだから。だから、これから先、色々な経験をしてもらいましょう」などと優しい笑顔で語りかけるのであった。

そんなこんなでアベル達は、それからしばらくはのんびりと過ごした その間には色々なことがあり、その全てにおいて 勇者が関わっていた。

ある国では 召喚魔法の研究をするために異世界からの勇者を呼ぶことに成功したのだが。しかしそれは失敗であり。

そもそもこの世界に来ることを拒否した勇者の話を他の勇者に聞いてみた時に

「俺は違う世界から来たんだ。俺の世界では、この世界には存在しない生き物や人間が存在していた。この世界の住人はそんな生き物を自分達の食料にしようとはせず、共存しようとしていた。それは何故かといえば 彼らはこの世界の動物なんかよりも強くて、この世界の生物は彼らから逃げるために必死に生き延びていた。だからこそ。もし彼らを無理矢理こちらに呼び込んでしまったとしたならばこの世界に存在する全生命体は絶滅してしまう可能性がある。だからこそ。この世界のために命を差し出すことが出来る者以外は来てはならない。そして俺はこの世界の人達と、魔物達の架け橋になれたらそれで満足だと。俺は自分の家族と共に元いた場所に戻ることを決めたよ」などと語っており また、別の場所でも同様に、その国は勇者を召喚してみたものの 現れたのは勇者でもなければ、魔王と呼ばれる程の力を持っている存在ですらなく。只の人間の女の子

「あ、初めまして。私は小百合って言うんです。実は私も突然この場所に来たばかりで。だからここについて色々と聞きたいことがあったり、この世界での生活に早く馴染む為には皆さんと一緒の方が良いと思って一緒に居させてもらえませんか?あ、でも出来れば私に戦闘とかそういうことを強要するような真似だけはしないで下さい」と、そんな言葉を発していたので。彼等も彼女の意思を尊重しようとし

「あ、そういえば君の名前はまだ知らなかったよね?良ければ教えてくれるかな?」と、彼は問い掛けた

「はい、ありがとうございます。私のことは気軽にサユとお呼びください」と、そんな答えを聞き

「分かったよ。僕はアベルと言うんだ。宜しく」と口にするのだが。

すると

「私はルーシャです。私は、貴女になら、私の正体を明かすことが出来ます。私は神族なのです。今は人の形を取っているため見た目こそ人族の女性の姿になっていますが、本当の私は、そうですね、アベルさんくらいの少女の形をしています」などと言われ

「私はアベルさんにお仕えするメイドなのです!メイドなんですよ!」

「メイドなんだよ?」

などと二人の少女がアベルに向けて言うと、アベルも「あぁ、そう」などと言って流してしまったのだが、その様子を見てアスターは

「貴方って本当にメイドさんに甘いのね」などと言われるのだった。

また、とある小国では ある日突如現れた化け物に 襲われた者達がいたのだが。そんな状況の中で一人の女性がその化物の前に姿を現して

「私の名はラリス。今すぐにここから立ち去りなさい。そうすれば貴方の命だけは見逃しましょう」

そんな声が響いてから数分後。そこには、先

「なぁ?お前、何したんだ?」アベルがそう問うと。ラリ スと名乗った彼女は「別に大したことはしてはいないわよ?ただ少しだけ貴方の体の中にいるその子の力を借りただけで」などと答え、そんな彼女にアベルも

「そっか。まぁいいや。ところでさ、この子ってなんだ?なんなの?この子は俺の子供なの?いやまぁ子供は欲しかったんだけどさ」

などと言っている。それを聞いていた他の面々は

『は?いやいやいやいやいや、あんたら一体どういう関係な訳?』とアベル以外の三人の声が揃う中。アベル本人はそのことについて一切説明を行うことはなく。

その後ラケルが姿を見せ、彼に案内される形でその場を離れた後に アベルの過去を聞かされることとなる。そこで、アスタは「あの子が、そうなのね。私達が知っているのとは少し違った感じのあの子が」と呟く そんなラケルに連れられアベルが向

「俺が知ってるお前らより若い姿だよな。それにしてもなんでそんな恰好な訳?」

「あ?俺がどんな格好しようが俺の勝手だろ?それともなんだ?そんなに年老いているように見えてんのか?」とラケルは答えるが、アベルはそれを無視して「まぁ別にどうでもいいか。で、なんだ?俺に何か用事でもあるんだろ?俺はお前と敵対するつもりはないけどな。それでも戦う必要があるんであれば受けてやるけど?」などと答える

「ああ、俺もお前と争う気なんてねえよ。俺はな、この世界をぶっ壊そうと考えてんだよ。で、俺と同じような思想の奴を探してんだがな。俺は一人でいいからな。だがお前みたいなのは、お前以外にいないだろうと思ったから、だから勧誘に来てんだよ」などと意味の分からないことを口にするので

「おい。いきなりそんな事を言われても俺はそんなもんに乗るつもりは無いぞ?そもそもどうしてそんなことを考えているんだよ」とアベルが問えば

「そうだな。じゃあ話せば長くなるかもしんねぇからよ。ちょっと付いてこいや」などと言われたの でアベル達はとりあえず彼について行くことにするのであった。そして しばらく歩いていると そこは巨大な洞窟となっており、そしてその洞窟の内部では多数の人間が働かされており 中には人間ではなく亜人や獣人などの姿を確認出来た

「おい、ここは」と、そんなアベルの言葉をラケルは無視して そのまま洞窟内を突き進んで行き しばらくするとその場所に辿り着く。そこに広がっていたのは広大な空間 そこには様々な種族

「これは一体」そんなアベルが疑問を投げ掛けると、アベルとアスタが見たのは無数の檻に入れられ閉じ込められた子供達であり

「おい、お前達、この中に入れろ」

とラケルが告げると。奴隷商らしき者達は、慌てながらも言われた通りその子供を一人づつその檻に入れていくのだが

「お前らはこいつらの面倒を見ろ。それとこっちもだ。お前らもだ。さっさと動けよ。なぁ?アベルだろ?お前も、あの時会ったよな?お前が助けようとしてたのは」と、そんなことを口にするのだが その時、一人の子供が目を覚ました

「あの時も思ったんだけど、なんで貴方達はそんなに私達を助けてくれるのですか?」

そんなことを言い出す

「お前さ、その質問に答える必要がどこに有るんだ?お前が質問に答えてないのと同じだろ。質問をする時にはまず自分が相手に聞かれて答えるべき内容を考えろよ。そうすりゃ自ずと答えは出るはずだぜ?それにな、お前を助けた理由なんて特にはねぇよ。俺は只単純に、この世界が面白くなくなりそうな予感を感じただけだ。それで、そんな予感を感じることが出来るのは、つまりは俺よりも面白いと思う存在が生まれてしまわないようにする為の行動ってところだ。だから気にする必要は何処にもねーんだ。分かったらその口を閉じてさっさと働け」とラ

「分かったのです。ごめんなさい。私、貴方のこと誤解していたのかもしれません」

「良いよ、そんなことは。でもさ、俺がお前に言わなくちゃいけないことはたった一つしかない。それはな。絶対にこの世界を変えようとは思うんじゃねえ。もしもそんなことをしようとしたならそれは俺に殺されて当然の行為となるからな。そのことを覚えておけ」それだけ言って

「もういい、とっとと仕事に戻れ」そう命令を下すのだが。すると。一人の男が口を開く。そして、彼は言うのだ

「おい、ガキ。俺はこの世界の王になる男だ。その王に意見しておいて。それが許されてると思っているのか?」などという

「ふははは!馬鹿がよ。てめぇには何の価値もねぇんだよ。俺の部下になればまだ可能性はあるがてめえに価値はゼロだよ。分かったらとっとと消え失せろゴミ野郎が」

「なんだよその態度は!俺は王になれる才能を持った男なんだよ。なんだよ、こんなとこで働いてよぉ!」

「はあ、しょうもねぇ。やっぱり屑は駄目だな」

ラケルはその少年の首根っこを掴んで持ちあげると地面に叩きつけるのだが

「なぁ、あんまりこういうのはやりたくなかったんだが。これ以上は時間の無駄みたいだから。殺しとくかな。あぁ、大丈夫。安心してくれ。苦しませずに一瞬で殺す。だから」

そんな風に宣言したのだが、その直後

「あ~あ、これ、完全に面倒な事になるよね。でもまぁ、私としては面白ければそれで良し」とルーシャはそう言うと

「おいおい、なに勝手に盛り上がってくれてるわけ?お前は俺の部下になったんだろうが?なぁ?」とラケルが問い掛けてみるのだが

「あ?何お前?なに偉そうな事言ってんだよ。てめぇ誰に向かってそんなふざけた口を利いてやがんだ!」

と怒りを露にする しかしそんな言葉を聞いてもなお ラケルは表情を変えることはなく むしろ笑顔のまま「なぁ、あんたが何を勘違いしているか知らないけどな。俺って一応、今はそいつらを従えてる立場な訳なんだけど。俺の命令を無視して好き勝手なことをするのはお前の命取りになるかもしれないからな。そこんとこ分かっているか?」などと ラケルの言葉を受けて奴隷達は皆、震えあがり、中には恐怖に耐えきれず嘔吐する者すら現れていた

「なぁ、頼む。どうかこの場は引いてくれないか?」そう

「お願いだから。な?」そんな言葉を聞いたラケル そんなラケルに向けてアベルが「おい、ラケル。その辺にしといた方がいいんじゃないか?お前の目的は達成できただろ?後はゆっくりでいいから、じっくり考えてくれ」

「そうか。確かにそうかもしれんな。まぁ今日はこの辺りで引き上げておくとするよ。それじゃあな。俺の可愛い子達。また今度会おうぜ」そう言って立ち去るラケル達 その後アベル達

「あの子達、凄い強いわね。私達が戦ったところで到底勝てそうにはないわね」などと話し始めると

「そうだよ。あれくらい強かったらいいなぁ」などと言うので

「そうですね。でも私には少し無理かもです」などと答えるのだが。それに対して

「ははは、お前ら弱気過ぎだろ。もっとこう強気になれよ」とラケルが告げれば そんな彼に対して アベルが「おい、ラケル」と言い掛けるのだが。そんなアベルに対してラケルは

「アベル。お前って結構な力を持っていそうなんだよな。だからお前は俺と来てもらうからな。そしてお前ら、俺と一緒に戦ってくれ」

そう言われると、その場に居合わせていた者は全て ラケルについていくことに それからしばらくして。その村にて、ある異変が起きようとしていた そしてそれを見極める為に。ラケル達

「あ?どういうことだ?お前らがこの村から奪った金は全部返す。だからお前らはこの村に残っていろ」などと告げると それを聞いた村長が答える「いいえ、貴方がこの村に滞在することを許可しましょう。私達が貴方に望むのはただ一つ、それは、私の孫娘を助けて欲しいということです」などと言うので「なんだ?この村の奴らに恨みがあるのか?」と問いかける

「ええ、この国の王は狂っているのです。この国に生きる人々を全て奴隷にしようとする悪政を敷くような人間でして。私は何度も抵抗を試みたのですが、そのたびに家族を人質に取られてしまい」などと そんなことを語るので

「なるほど。そういう事だったのか。だが、それは俺にとっては関係の無い話だし。それにだ。この国を支配する奴を殺しても意味はないんだよ。それはな、俺の目的じゃない。だから、お前達と俺達の利害関係が一致した時に、その話はもう一度聞くことにする」

「貴方が私達にして欲しい事は何ですか?」

「お前の持っている情報を教えてくれればいいよ。俺はお前達のような力を持った人間を集めて俺の計画に協力させたいと思っているからさ」

そう言われ、困惑する者達もいたが それでも彼らはラケルの事を信頼出来ると判断したようで

「私の家に来て頂けますか?それと貴方方の拠点まで私がお送りいたします」などと言ってくるので ラケルはとりあえずその提案を受けることにしたのであった

「お?ここって」そんなラケルが反応を見せるので アベルが声をかける「どうした?」と するとラケルが「ここはな、昔俺が奴隷商として活動していた場所だ。でもまぁ。色々あって奴隷商からは引退したんだけどな」

そんなことを告げて、ラケルは歩き続けるのだが そこで、その奴隷商人の男が現れる

「お、これはこれは、これは。まさか貴方様がここに訪れる日が来るとは思いませんでした」そんな風に言ってくるの ので「俺の事を知っているようだな」

「もちろんですよ。あの有名な貴方の事を、知らないはずがないでしょう」などと、そんなことを言うので そんな話をしていた

「あの、そちらの方々と貴方は一体どんな間柄なのでしょうか」と聞いてきたので

「こいつは俺のお気に入りだよ」と答えるのだが そんなやり取りを見てラケルは言う「お前もさ、別に俺のことを警戒する必要ないからさ、もう普通に喋ってくれても構わないぞ?」

「はい。わかりました」そう言って、その男は「僕は君たちに命を救われた身だ。そして、僕を拾ってくれたのが、この人で、僕の恩人でもある。そしてこの人はこの世界で誰よりも強くて。誰よりも優しくて、とても尊敬できる人物だ。そんなこの人に認めてもらえているのだから、あなたもきっと素敵な人のはず。だから僕はもう怖がらないよ。ごめんね。急に話しかけて、びっくりしたよね?」

などと そんな風に、そんな感じの会話をしているうちに アベルはラケルに質問をした。どうして奴隷なんてものを買ったのかと そんな問いにラケルが返答した この世界の人間のレベルは基本的に高くて しかも身体能力や魔導能力も高いのだが。それは同時に、自分よりも格上の相手に対しては無力で、そして、相手が弱者である限り、いくら殺しにかかってきても死ぬことがない。

それが今の世界の常識だ。

だが、もし仮に、自分達に敵対してくる人間が居るとしたならば。

そいつらを自分の手足のように扱えれば。それだけで戦いがかなり楽になると ラケルの考えはそれ

「ふぅ、俺さ。ずっとさぁ。自分が特別な存在だって思えて仕方がなかったんだよ。俺は選ばれた人間なんだって。俺は特別で。他の凡庸な人間とは違うんだって」そんな風に語る そのラケルの話を聞くと、この男を殺せと そんな声も聞こえてくるが。それでも アベルはそんなラケルの事を

「お前もやっぱりあいつらと一緒か?」

そんなことを言い出す その問いに対し

「違う、お前らは知らないだろうけどな。俺は、奴隷達と話をした事があるし。実際に助け出したこともある。だからお前らの考えていることもなんとなく分かる」などと そんなことを語り アベルはその言葉に耳を傾けていたのだが やがて「おいおい、ちょっと待ちやがれ。お前は一体何をしようとしているんだ?俺にはお前の狙いが読めないんだよ。何のためにこんなことをしでかしているんだ?」

そんな風に聞かれたのでラケルは

「この世界を、俺が支配するための準備だ。そのためにまず必要なものは何か。それはもちろん圧倒的な強さな訳で。その為に、俺に刃向かえるような、そんな奴らが居てくれた方が、都合が良い」などと言うのだが それを聞いて

「なぁ、俺にも少し考えさせてくれよ。お前に、協力してもいい」

そんな言葉に、ラケルは驚く「本当か?良いんだな?」そんなラケルの姿を見て、アベルは答える

「ああ。俺も、あんたに協力する。あんたなら、この世界を変えることが出来るかもしれない」などと言ったのだが ラケルが、その言葉を聞いて

「なぁアベル、俺とお前は友達か?」と聞くと

「お前って呼ぶなって言ってんだろうが。まぁお前みたいな、強い奴を友人として持っておけるっていうのは俺にとってもメリットがあるから。俺もあんたの友人になってやるよ」と、ラケルの言葉を肯定するような言葉を述べるので

「ははは、お前は、変なやつだな」

そう言われた アベルの言葉を受けて アベルの仲間になった者達は全員ラケルと同行することにした そんな時、アベル

「なぁラケル。俺はお前の力になれると思うか?正直に答えてくれよ。俺じゃなくてもいいから」そう言うと

「お前のことは、それなりに評価している。だけど、まぁそうだな。今は俺の役に立て」

そう言われてしまうので、それからは 奴隷商人の男が

「あの、この人達って」そう言うので

「ん?まぁいいじゃん。仲間って事でさ」と適当に流すのだが

「そういえばお前さ。お前のところって今は何人が生き残ってんの?」

そんなことを問いかけると 奴隷達は顔を見合わせて その反応を見たラケルは 少しばかり嫌な予感を覚え

「まさかとは思うが。お前達以外みんな死んだのか?」などと問うのだが すると奴隷達が一斉に顔を背けた そんな彼らに向かってアベルは 剣を抜いてその首を落そうとしたがラケルが止めるのだが。アベルも分かっていて、その手を止めたようだったが。

ラケルからしてみればそんな光景を見せられたら不快にもなるし怒りを覚えるのは当然のことなのだが アベルもラケルと同じように怒っていたのだ ただラケルの方が冷静ではあった為、とりあえず落ち着けという行動を取っただけのことであって。ただそれを見ていた者達にはそれが分かっている筈もないのだが その後、アベルが落ち着いた所で、ラケルはこの国の支配について説明を始めることにすると、それ

「あー、まぁ。お前らがこの村でやろうとしていたことは俺もよく知っている。まぁそれはいいさ。別に俺としてはそれで良かったって思ってる。それにこの国の王が悪い人間だというのは本当の事なんだろ?」

「あぁそうだな。本当にその通りだ」そんなラケルが言った言葉を奴隷の一人が口にする

「えっと、あの、王様は、私達のことを奴隷にしようとしてきていて、それはもう日常茶飯事のようなことで。私は何とかその事実を知らせたかったのですが、私達の力では何もできなくて」などと泣き出しそうな勢い

「お前、名前を教えてくれないか?」そんな風に聞いてくる 奴隷商人の男に対して、彼は答える「私の名前はカドモンです。私は貴方達に救われた身、そして私を拾ってくれた恩人のラケルさんは私にとって命を救ってくださった救世主なんです。そんな彼が貴方の味方になると言っているのだから。私も、協力しますよ」と そんな感じで、話は纏まり 取り敢えずラケルのアジトに行くことに そこでラケルはまず奴隷達に言う「俺はさ。別に善意だけで動いているわけじゃないんだよ。俺は、ある人物からの依頼で、この国を支配しようとしている。つまり、俺は悪者なんだ。俺はこれから沢山人を傷付けることになる。お前たちを助け出すことだって出来た。それでも、俺はお前達を奴隷のままにしておくこともしなかった」と そんな風に言うラケルに対し奴隷商人は言う「でもラケルさんの奴隷になれたことはとても幸運だったと思っています。この人は、とても強くて。貴方達の力に少しでもなりたいと思ったんですよ。それに、ラケル様の優しさを知っているからこそ。貴方の役に立ちたいとも思いました。貴方の側に居て、貴方の為に働きたいと思った」などと言ってくれるので

「俺と一緒に来る覚悟があるのならば。俺の目的に協力して欲しい。これは俺にとっては大きな仕事だ。失敗すれば俺は破滅する。そしてそんな俺と行動を共にすることのリスクもあるだろう。だが、そんなリスクを恐れずついてくるような。そんな覚悟があるなら、一緒に来い」

ラケルが、そういうと 多くの者がラケルと共に行動をすることを決断してくれたようだ。

そんな彼らにアベルは尋ねる

「俺も付いていってもいいんだよな?」

ラケルが答える「構わないぞ、別に俺は一人でも十分すぎる程強いからな」

そう言って笑みを見せると アベルは苦笑いを浮かべたのであった

「さて、それじゃあこの城を攻略するぞ」そう言うと、彼らは動き出す。そして この城の中に侵入していく。まず目指すのは国王の元 そんな感じの行動を開始するのである。この城を

「ここの城は中が複雑な作りになっているんだ」そんなことを言いながら、この国の王の居る部屋へと向かうために城内に存在するトラップを突破していく そしてたどり着いた先にあったのは王座の間。そこに居るであろうこの城の城主を倒すべく進んでいくと、そこには一人の男の姿があった。

そんな男を目の前にしてラケルが叫ぶ「おぉお前か!会いたかったぜ」

それに対して相手は

「おや、お前は、ラケルか。こんな所に来るなんて一体どうしたと言うのだ?お前にはもう居場所がないはずなのだが」などと言う。そんな男の問い掛けに

「あぁ確かに。もうお前に従う必要なんてないんだろうな。だから俺はここで。お前を殺してやることにした」とラケルはその剣を構えた。だが男は、その言葉を聞いても動こうとせず、その場に佇むだけ そんな相手に、攻撃を仕掛けようとしたその時、アベルが言う「おい、ちょっと待てよあんた。そいつは敵じゃねえのかよ?」と。それを聞いたラケルは「こいつはな。この王国の王であり俺をこの世界に連れてきた奴だ」そう言ってからアベルの方を見る「まぁ俺の知り合いだな」そう言うので それを受けて、アベルはその剣を収める「ふぅん、なるほどね」それから

「それじゃあさっきの話だけれど。こっちから頼んでも良いかな?俺に雇われて欲しいんだ」

「ふふ、はははは。面白い奴め、いいだろう。俺が直々に雇ってやる」

こうして、アベルがラケルの配下に加わることとなった。そして、その後ラケルは男に聞く「なぁお前がこの世界を侵略している目的は一体何だ?」そんな風に質問されたのだが

「そんなの決まっている。この世界に生きる者たちが全員幸せになれる世界を造り上げる為だ」

そんな答えに

「はっ、お前は馬鹿なのか?」とラケルは返す その言葉に

「なんでそんなことがお前に分かる?」などと男が聞くのだが

「はは、そりゃ分かるさ。なんたって俺も似たようなことを考えていたからな。俺の目的はなこの世界の支配者になって俺が世界を支配した後は。全ての民を幸せにする為に尽くすことだ」と そんなことを言っているのを 聞いていたアベルは、内心ではそんなことが出来る筈が無いだろうと そう思っていたのだが それから、ラケルと男の間で話が始まったので、その間、特にすることもないので適当に移動してみたら アベルはある場所に辿り着く。そこは地下への入り口で。おそらく奴隷達が逃げ出そうとした時に備えて、そのような物を作っておいたのだと思うのだが そこの通路は途中で分かれ道になっておりそこから更に別の場所に繋がる扉を発見するのだが。その先にある部屋の壁に

「ここからは王族のみが知ることを許されている情報です。ここに辿り着いた者にこれを託すこととしましょう。この中に書かれていることを読んでいただくだけで構いません」

そう書いてあった紙を見つけてしまったアベルは、その場所に残されていた資料を見てみると、その書類の中には この国の成り立ちについて詳しく記されており また、それだけではなくこの国の秘密についても記されている。それを読んだアベルはすぐに

「おい、ラケル!」と声をかける その呼びかけに

「ん?どうかしちまったか?何か分かったことでもあったか?」などと言いながらアベルに近付いてきて、そして彼の持っているその紙の束を手に取ると「へぇ」とか呟きながらも、それを読み始める

「なるほどな。つまりはそういう訳か。それにしても、これは少しばかり面倒臭いことになったかもしれないな。ただ、まぁどうにか出来る問題だとは思うが。それで?お前はこれの中身は確認できたのか?」そう言うラケルに対して

「いいや。読めはしたが理解が出来なかった。俺の頭が足りないのかと思ったのだが」と、アベルがそう言うとラケルが「まぁそういうものだよな。ただお前は頭が良い部類だろ?だったらこれの内容を簡単にまとめれば大体の意味が理解できる筈なんだが」と そんな事を言われたのでアベルは、その内容をまとめていく。そしてラケルもアベルの言葉を理解したので

「なるほどな。それは俺にとっても興味深い内容でもあるな。まぁそれなら俺も手を貸すさ。で、お前はこれからどうするつもりだ?」

と、ラケルが聞いてくると

「そうだな。まぁお前の考えていることと一緒かもな」と答えてから。アベルとラケルが二人で話し合うと「よし、それで行こう」とラケルが言い出し、二人はこの場を離れて行った。そしてラケルはそのまま城の外に出ると、そこには既に大勢の仲間達が集まっている。そんな彼らに向かって

「俺の考えた作戦を説明する」と

「あ、あの、私、私にも聞かせてください」とカゲハが言うので それに反応するかのように「私達からも是非お願いします」と言う ラケルは言う「別に構わないさ」と そして彼は語り始めた まずは城の中にある宝物庫に侵入することから始めて

「で、侵入してから、何をしようっていうんだ?」とアベルが問うと

「取り敢えずは宝物庫からこの国が抱え込んでいる闇を調べる」

そして

「で、それがわかった後は、奴隷として捕らえられている者達を解放してやる」と そこまでの話を聞いたアベルは

「いやでもよ。そもそも、奴隷達は今どこにいるんだ?」

「あー確かに。それは分からないが、俺の考えが間違ってなければ、この国の中で奴隷にされてる者ってのは基本的に貴族階級以上の人間で、この国の貴族ってのがどれぐらい偉い連中なんだって言うと。まずはこの国を牛耳っている王と。それから王妃が。まぁ他にもいるけどな」そんな話をするとラケルは そこで アベルも自分の意見を口に出す「確かに、ラケルの言っていた事が本当ならば。俺はあいつらと敵対していた方がいい。あいつらの側に付いてしまった方がきっと色々と楽だっただろうが」と そう言ったところで、そこにラケルの仲間達が近づいて来て口を挟む「まぁそうなった理由もあると思うぜ?だけど、ラケルにはラケルなりの考え方があって。そしてそれに俺は協力したいと思っているだけだ」と。そんな言葉を紡ぐとそこで一旦言葉を切るのだったのだが そんな彼に続き他の面々も同じ考えを持っていたようで。それぞれが同じようなことを言い出す そしてアベルは考える「つまりはそういう事か。確かにな」と。そんなやり取りが終わり 改めてラケルは語る「で、この国の奴隷達にされた奴って言うのは、基本的に、貴族の子弟や、その身内が多いんだ。例えばこの城にいる王だって。元は貴族だしな。そのせいもあって俺はこの国の仕組みについて知っているんだよ」そう語った後に「で、その王も王妃もこの城に居て、その二人に奴隷として扱われていたのは恐らくは、この国で一番力がある貴族と、その娘である女。それから、そいつらに仕えていた従者。まぁそんな感じのやつらばっかりが捕まって、こっちに献上されていたんだ。だからそいつらを全員開放できれば、こっちの目的がある程度達成できる。それにな。この国の王は、元々はそんなに力のある奴じゃ無かったんだけど、ある日を境に一気に権力を手にしたらしいんだわ。多分だけれど。何かしらの原因が有ったんだろうなって、俺は思っているわけ」などと語ると。それに対して 一人の少女が言葉を発する「ねぇ、それじゃあその人を助けた所でどうなっちゃうの?」と言う質問に その問い掛けにラケルは言う「さっきも言ったとおり、俺は奴隷制度なんてものが大嫌いでさ。この国はな。俺みたいな平民が生きやすい環境を造っていきたいと考えているんだよ」そう答えて。その後でアベルの方を見る「なぁアベル」と言うのでアベルが答える

「まぁお前の言いたいことはよくわかる。俺もお前と同じで、この国を救いたいと考えてる。だからラケルの意見は俺からしてみても、賛同できることばかりで、むしろそうすべきだって思ったんだが。しかしだな。そう簡単には行かないんじゃないか?それともラケル。その奴隷商人は一体どんな奴なのか。お前は知らないってのか?」

「ん、あぁそれは大丈夫。俺に任せろって。俺が上手く手懐けてみせるさ」と自信ありげにそう語っていたのだが。実際にその人物と接触してみると「お主は誰じゃ?」と そう言われたらしく、それを聞いて

「え、嘘だろ?」などと驚いていたが。まぁその後、この男に事情を説明した後。ラケルとその男は一緒にどこかに行く。そしてラケルだけが戻ってくる。アベルの元に。

「いやぁごめん。なんかこの人のこと調べたらちょっとだけ厄介な事実が分かってきた。まぁこの人に頼んで。なんとかその問題を解決してくれるように頑張ってくれているみたいでさ」などと言い出して

「ふぅん。で、その問題ってのは何だ?」とアベルが聞くと ラケルが

「いや実はな。あの人はこの国に巣くう裏組織と繋がっていた」そう言われてからアベルは言う「ふむ。ってことはあれか。俺達の敵になるような相手じゃないかもしれないのか?」と、そんな疑問を抱いたアベルに対して

「まぁ俺の予想が正しければ。そういう事になる。ただまぁもしもの事を考えておく必要はあるかも知れねーぞ」

ラケルはそう言って ラケルが連れてきた男の名は、クロトと言う。ラケルはその男が信頼の置ける存在なのかを確認して、彼が信用のおける人物であると確信したので仲間として迎えることにする。そしてラケル達がその男を連れて来た時に、丁度ラケル達が向かおうとしている場所の近くにある屋敷にて、その組織の人間に接触する為の作戦について、話し合うことに そして話し合いを終えて、早速その作戦を実行するために、その場所に向かう。だが

「おいおい、ラケル。どうしてお前の足に俺が掴まっている状態で移動しているんだ?」アベルが不思議に思いながらそんな事を問いかける。

アベルと、ラケルの目の前にいる、その青年の身体は半分ほどが既に透けているのが見えるのだった。つまり彼は死にかけており、ラケルはそれを助けようとしているのだ。ただそれだけのことでは有るので

「俺も詳しい話は分からないが、お前を救ってくれた女の力が関係して居るみたいだよ」とラケルは言う「それにしても、あの時の力は、本当にすごかった」と そんな風に呟くのはラケル。そして彼の隣で同じように彼の事を支え続けている

「うん」と一言 そう口にしたのはカゲハだった カゲハはラケルの傍から離れない 離れたくないから アベルはカゲハの行動を見て思う カゲハにとってラケルは大切な人であり、そんなラケルを救うことが出来る力を持っている彼女なら その力でラケルのことを癒せるんじゃ無いだろうか?と そんなことを考えているアベルの事を、じっと見つめてくるカゲハ。そして

「どうした?」アベルは尋ねる

「貴方は何を考えているのですか?」そう問われてしまう アベルが「いや、俺は特に考えて居なかったんだが。そんなに見つめられてどうしたのかと思ったんだ」と返すと

「私は別に」そう言い残してからその場を離れるのだったが そんな二人のやり取りを見た上でラケルは「なんだなんだ、痴話喧嘩かい?」とアベルとカゲハに向かってそう言う

「はぁ、何を言っているんだラケルは。そんなことを言ったって仕方が無いだろ」そんなことを言うラケルにアベルはそう言うのだった。

ただラケルには一つ心当たりがあった。

カゲハと言う少女は、ラケルの為に何か出来ることが在れば良いと思っていたのではないだろうか? だからラケルを助けることが出来る力を手にしていた彼女はラケルの元へ アベル

「はぁ。そんな訳の分からない会話をしていたとしても、俺達は目的を果たす必要があるだろうが」と。そんな感じのやりとりをしていると。目的の場所が見え始める

「へぇ。ここか。確かに怪しい雰囲気を感じるな。まぁそんなの気にする必要は無いさ」そうラケルは言う そして目的地に到着したアベル達。そこで

「さて。ここからは、この国で起きていることについて、もう少し詳しく知っておいた方がいいだろう。だからこの部屋で少し待っていてくれ」ラケルはそんな言葉を口にすると、アベルとカゲハを残して、一人でこの場を離れて行ってしまう

「で、結局ここは何処なんだ?って、お前に聞いた所で答えてくれなそうだな。で、ここは、なんなんだ?」アベルはカゲハに話しかけると。それに対して「多分ですが。この部屋の外。恐らく城の外に奴隷として売られてしまった者達が集まって暮らしている場所。だと思います」そう説明をされる それからアベル達が暫く待っていると。部屋に誰かが入ってきて アベルに視線を向けてきて、そして言葉を発する「あんたが。俺の主人を助けてくれたんだろ?感謝をする。俺は奴隷を纏めている奴隷商の部下で、ロッシュだ」と言うのだった そんな自己紹介を終えた後に、まずは本題に入ろうと、アベルが口を開く「俺は奴隷なんていう制度は嫌なものだと思っている」

そう告げ

「だから、俺も奴隷を救いたいと、思っているんだ」と話すと。それを聞いて

「はっ。笑わせるぜ。貴族様は皆同じだ。自分の利益の為だけに、人を平気で殺せれるんだ。それが出来ないやつだって、自分が奴隷になれば殺されることはないって思ってな」

などと、そんな話をする アベルが「なるほど、じゃあ逆に聞きたいんだが。この国の奴隷制度について。この国に暮らす平民の人達の生活についてはどうなっている?」と。そんな質問を行うと

「それに関しては問題なく。上手く回っている」と答えてから 続けて「俺も昔は貴族の子弟を預かるなんて、ふざけんなって思ったもんだよ」

「けどまぁ俺は、そんな貴族の連中を見返したかった。だから、俺は必死になって努力をした。その結果。この城に仕えることが出来たんだ」と

「俺はな、奴隷としてここに連れられた奴らの殆どの願いを叶えてきた。俺の手でな」そんな言葉を吐き出すのだった それからも話は続いていくのだが。アベルは「その奴隷にされた者の中には女性も?」と そう質問を投げかけると

「それはどう言う意味で?」そう訪ね返されて「そのままの意味だが」とアベルはそう答えるのであった

「お前は勘違いしている。女がこの国の王に逆らうことなど出来よう筈もないだろ」と

「そんなわけで、お前も奴隷商人から、買われた身。まぁそれでも、あいつはいい商売道具として扱ってくれていた。けどお前が来てからはそれも無くなったしな。もうすぐ俺達の役目が無くなるかもしれないってのに。この国は腐りきっちまったんだ」そう言われてしまう アベルはその話を聞いた後で、奴隷に対しての扱いが改善されればいいと考えていたのだが この国を変える事が出来るような。そんな方法は果たして有るのだろうか。と考え込むのだった。ただ

「そういえば、どうしてこの屋敷の中に、奴隷商の仲間であるはずの貴方が侵入できたのです?」と言うと

「いや、俺が侵入したというか。元々この建物の所有者はこの国に君臨する王子様だしな」とそう言われたの

「つまり、俺がこの屋敷に侵入を果たしたのではなく。そもそもこの屋敷の持ち主がこの国から逃げ出して。今は別の人間が所有していると?」

アベルが確認する様に問いかけてみると

「そうなる」と言ってから「だがその男は。まぁ奴隷商人と繋がっちゃいない。ただこの国が嫌いになったからって、この国に居る人間全てを皆殺しにする勢いだぞ」と、そんな情報をくれたので「それは。随分と好戦的な男ですね」と アベルがそんな事を言っていた。するとその男の名前をラケルが口にして「まぁこの国を嫌っているなら、仕方がないか」などと口にしていた。

アベルはそれを聞いて疑問を浮かべながらも、とりあえず。今すぐにどうにかしなければ行けない事はないと言うのは分かった だからアベルとカゲハは一旦ラケル達の元に戻ることにしたのだった

「いや、俺にも分からねーよ」ラケルの言葉にそう返事をしたアベルだったが。しかしそんな彼の様子を見たカゲハは アベルの事を心配し

「アベル、どうかしたのですか?」そう聞いてみると「いや。なんでもないんだ。心配させて悪かったな」と。そう言ってからカゲハの事を抱き寄せるアベルは優しく頭を撫でてあげる アベルはカゲハの優しさに触れながら。先程ラケルが発した言葉を思い返す。ラケルは自分の仲間であり。アベルの恩人であるクロト。その人の名前を出して、この国の事を「裏組織と繋がっているんじゃないか?」とそう問いかけるの

「俺達、いやその、クロトとか言う奴も。実はそいつらに殺されかけたんだけど。そんな風に考えても仕方が無いのかも知れないな。だけどさ、やっぱり。この世界の裏側に存在しているのは」

そんなラケルの表情が暗い物に変わるのを見ていたアベルは。ただ「俺は、そうじゃないと思う。きっと」そう断言して見せるのだった。ただ、それだけではダメなのだ 何か、現状を打破できるだけの手段が欲しい所ではあるが アベルは「俺の思い過ごしなのかな」と。ラケルは「俺もその言葉に異論を唱えるつもりは無いが。でもまぁ、少しだけ注意をしておいてくれ」と言う

「ああ」と短く答えたあとで。二人は、カゲハのことを、抱きしめたまま、しばらく何もしないで。二人きりの時を楽しむことにする。

そして、アベル達は奴隷となっている人々を纏めている人物の元を離れていくことになるのだが、その際に その男性に「俺はこの国を変えられると思って居ます。貴方もこの国のことを大切に思っている一人だとは思っています。なのでこれからこの城を出ていき、他国に逃げるのもいいでしょう。ただしその場合は追っ手が掛けられることは間違い無いですのでご覚悟ください」そう言い残しておくことにしたアベルはラケル達の元へ戻ってくることに するとラケルは疲れ切った様子の青年と会話をしていたのが見て取れたので

「おや、彼は?」とアベルはそう言う

「おう、お前が助けたって言う奴隷の人達のリーダーみたいな奴だよ」そんな説明を受けたので、アベルは彼に近づき 挨拶を交わすのだった それから暫くの間。アベルは彼と話していると アベルと話をしている青年の名前はレイというらしいが、そんなレイが突然こんな話を切り出す

「あの。私達を助けてくれると言うことは嬉しいんですが。あなた方は一体何を目的に動いているのでしょうか?それと、どうしてそんなことをしようと思ったのか教えて欲しいのです」と言われてしまい アベルは困ってしまう まさかアベル達が自分達の奴隷を救う為、奴隷になっている人々を救うための活動をしていると言う

「いえ。それについては話せません。これは私が決めたルールのような物で。それを曲げることも許されはしないので」アベルはそう答えてみせるとレイが更に追求してくるのだけれど そこにラケルも割り込んできて そして今度はロッシュが話し掛けてくるのだが

「悪いな。少しばかり時間を掛け過ぎてしまったようだ」そう言ったロッシュは部屋に戻ってきていて「それでだ。まず先にこっちの状況を報告しておくとだ。この国の王が俺達を殺しに来るだろうって言うのは予想済みだったって言うことで良いんだよな?」とロッシュが質問をするのだが それにアベルが返答する前に「えぇ。ですが、こちらとしては別に構わないと。そう私は考えているんですよね」と そこで今まで黙って成り行きを眺めているだけだったラケルがそんなことを言うと。ロッシュの表情が変わる そしてロッシュはラケルに向かって

「ははははははははははは。なんだよお前?俺に勝てる気で居るのか?だったら試してみようじゃねえか。かかって来いっ」と ロッシュが笑い声を上げつつそんな挑発をするので

「お前、本当に大丈夫なんだな?もし死んだりしたらお前のせいだぞ?俺は絶対に責任は取らないからな」そう念を押しておいて アベルは

「俺達の邪魔さえしなければ好きにしてくれ」と それだけを伝えて部屋

「そうかいそうかい。まぁ、そういうことなんでな。精々頑張って足掻いて貰えるかな?」ロッシュの言葉を受けて ラケルは「はい。まぁ頑張らせてもらいましょうか。あぁそう言えば一応確認したいことが有ったのですけどね?」そんな質問を投げかけるのであった ただそんな二人のやりとりを見ても特に何も口にしなかったアカリは静かにその様子を見守っていたが、そんなアカリをチラッと見た後でアベルが視線を戻すとそこには既にロッシュの姿はなかったのだ。そしてラケルがため息を吐いた後で その部屋の出入り口へと目を向けた後に「あれで良かったんでしょ?あいつに何をさせるつもりだい?」と質問をぶつけると「そうだな。とりあえず、今は放置しておくか」そう呟き、それから

「さてと、次はあの子の所に行こうじゃないか。そこで色々と、情報も聞けたら聞いておきたいからね」そう言うのだった。それからラケルと別れ アカリと合流した三人はアベルの奴隷として買われてきた少女の部屋へと向かうのである

「い、今の声。な、何かしら」などと不安そうにしていた女性 アカリが話しかけ「安心しろ。貴様の仲間は生きているぞ」なんて言葉を漏らすと。その女性は驚いたような表情を見せて

「本当!?そ、そうなのね。う、嬉しわ。ほ、本当はもう駄目かもって。も、もう諦めかけてたのに」と言い出した それを見たカゲハが「もう、その言葉だけで、どれだけ仲間の方が助かると信じているか分かりますよ」と言うと。彼女は少し涙ぐみ

「そ、そうなのね。貴方は、とても優しいのね」と口にするのであった

「で、どうするのですか?」カゲハがそんな言葉を投げかけるとアベルが

「今はとにかく落ち着くまで休ませてあげてください。そして、その後でこの子を連れて、ここを脱出しましょう」

アベルがそう告げてから数分が経過する。そして落ち着きを取り戻しつつあったその女性が 自分の仲間が何処に捕らわれているのかを話してくれる。その場所を聞いたラケル達はその場所に向かうことにする アベルと、ラケルが、二人で行動する間、アカリを一人で部屋に残す

「あの子が無事だといいですね」アカネが口にすると「ええ。私もそう思う」などと話し合う二人だった

「さぁ着いたぞ。ここはこの国の首都だ。とりあえずこの国の王を倒しに行く」ラケルがそう言って建物内に入るのだが、当然の如く 門番らしき人物に止めれてしまう。「おい、この先は王の城となっている場所になるぞ」などと警告を受けるラケルだが。それでも止まらずに中に入ると「ちょ、待てよ!」そう言って追いかけてきてラケルの事を捕まえようとする男だったがラケルに触れることなく吹き飛ばされ 気絶してしまう。それを見ていた別の兵士も同じ末路をたどることになるのだが、それは省略することにしよう

「よし行くぞ」と言って城の中に入り込んだラケルは早速城内にいる兵士達に攻撃を仕掛けていく。そしてそれを繰り返してしばらく時間が経った時、ラケルはあることに気づく。それはこの城の守りはそこまで固くないという事。その理由に関しては大体の察しがついているのだが、それを口にはしない。そしてラケルは「なぁカゲハさんや。あんたが本気で戦うとこの国ぶっ潰すくらい訳はないと思うんだけどな。そうしなくて良いのか?」と問いかけてみると「そう、ですね。正直。私が戦えばこんな城は一瞬で壊せてしまいますから」と、苦笑気味にそう口にした その言葉を聞いてラケルは少しだけ笑うと「そいつはまぁ。確かにな。さてと」と口にしてからアカリの所に戻り 事情を説明すると「そ、そうね。でも」そう言うので

「まぁお前が俺達についてくる必要もない。俺達が勝手に動くだけなんだよ。だけど、もしもだ。もし。お前も俺達と一緒に来るというのなら話は変わってく」アベルのそんなセリフの途中で「行きたいわ!私はこの国にずっと居たからこの国の人達が酷い事をされてるのは分かっているもの。そんな人たちを助ける為に貴方たちが行動を起こしていると言うのならば。私にも手伝わせて欲しいの。お願い」と言われてしまった ラケルはその言葉を聞いていたのだが「まぁ本人が望むんであれば仕方がないな。ただ一つ約束をしておこう」ラケルがそんなことを言うとその女性の方は少し怯えていたのを見逃さなかったが「な、なに?」と言われたので

「絶対に無茶だけはしないでくれ。俺達はこれから国王とやりあうわけだから。お前にまで怪我なんか負わせたら俺は自分を責めるしかない」

「分かったわ。ただ私の方からも条件を出させて。まずは無理はしないこと、それと、もう一つ。貴方たちのこと。信じてる」

そう言われたラケルは少しの間考え込んでいたので「おやおや、アベル。お前ってばもしかしてあの子に惚れられたんじゃねえの?」なんて軽口を叩くと

「お前はもう少し。そう言うことを考える前にすることがあるだろ。それに俺の一番はアカリだし。そんなことよりも早く先に進むとするか」

アベルはそんなことを言っていたのが聞こえたのだろうか。ラケルがチラッとそちらの方を向いた後で、ため息を吐き出すと

「まったくなんだよ。こんな場所でも惚気とか」と言い出してアカリに「そんなに私は頼りにならないのかしら?それと、その、好きよ。大好き」と言われると「あー。もう分かったから。ほら、行くぜ?もうすぐだ」と アベルがそう答えた直後にラケルが「あ、そうそう」と思い出したかのように口にして

「なんだ?」

アベルがそう返すのと同時に

「い、痛い」ラケルはそう声を上げる そしてアベルは振り返りざまに剣を振り抜く

「はぁ、はぁ。あははは。やるじゃないか。流石だ」と口にするその男がアカリを狙っている事に気づいたのは偶然でしかなく

「おいおい。こいつは一体何の冗談だよ?」そう言いながらラケルは「アカリ」と呼ぶのだが

「えぇ」アカリの返事を聞くと「ちょっとだけ離れてくれ。頼む」と口にして

「はい」と答えたのを確認した後で ラケルの目の前にいた男は急に現れた扉の中に入っていき

「なっ」と驚くラケルに向かって剣を突き刺

「させると思っているんですか?」そう言いながらその男の顔面を殴って吹き飛ばすのは アカリだ。それから「ラケル」と一言呟いてから「私は大丈夫よ。だから安心して戦いなさい。それがきっと」と

「アカリの言う通りだな。悪いなアカリ。俺は、お前を守ることしかできないが、あいつらは絶対に守るから」

そう言うとラケルは再び男に向かって飛び込んでいくのであった ラケルは相手の攻撃を捌いてからカウンターを決めるのだが

「こいつ、強いな」

その男の動きは素人とは思えないもので。そして攻撃の手数もラケルの倍は有るだろう。

「あぁそうだな。その動きは悪くない」

ラケルは余裕そうな顔を浮かべる。

だがそんな状況に嫌気が差してきたのか「なぁそっちの嬢ちゃん。そいつにトドメを任せてもいいかな?」なんて口にするとアカリも同意したので「分かった。じゃあいきます」そう言うと

「う、そ。だろ。なんで、どうして。そっちが弱い?いや違う。お前が強いだけだ。なのにどうして?どうして俺の攻撃が当たらないんだ?」と困惑しているようだったが その隙を逃すほどアカリは優しくなかったようで 一撃のもとに仕留めてしまう その様子を目の当たりにして「う、うん。さすがだね。それでだ。アカリ。さっきも言ったけどな、あいつらに合流してもらっても良いか?あとそれから頼みがある。さっきの男みたいな奴らがまた現れた時はあいつらを頼ってくれないか?あいつらだってこの世界が好きな筈だから」と言う すると彼女はコクリとうなずいてくれたので「ありがとよ」

「それでは。私と貴方で行きましょうか」とカゲハに言われてラケルは「了解」と短く返答したのちに 二人は城へと足を踏み入れていく。

そして

「あら。遅かったじゃない」そう言葉を放つのがカゲハに負けじ劣らずといった容姿をしている その女性の名前はミザリー。ラケルは彼女を目にしてから その女性と会話をしながらこの国の王に会おうとしているのだが 彼女の方もラケルのことを気にかけているらしく「へぇ~貴方ってば可愛い顔をしてるね」との言葉を投げかけてきたのだ。ラケルとしてはどう対応したら良いのか分からない そこでラケルは「あの。俺。一応は女性なんだけどな」そう告げると「ふふ。別に隠すようなことでもないでしょう?」なんて口にしてきた そんなやりとりを数回繰り広げてから ラケルはカゲハに話しかけてから その部屋へと向かう そこには当然のように兵士達が待ち構えていた が、それをあっさりと倒していくと アベルは王の部屋の前に立つと 躊躇せずに部屋の中に入った

「よくここまで来た。だがこの先は貴様らの墓場となる場所になる。それでも尚。私と、戦うというならば」とそこまで口にしたところで ラケルに思いっきり殴られて壁際まで吹き飛んでしまうのだが、それでも意識をはっきりと保っているようだ そして

「さてと、これで。お前が王様だな。まぁ。今から俺がお前を倒すわけだが」

「ああ、いいよ。私はお前達の強さを見誤っていたようだから。ここからが本気だ。私を怒らせたことを後悔するがいい」などと、口にする。

そこからラケル達は 激しい戦闘を繰り広げるのだが。それは長くは続かなかった。なぜならラケルの剣にヒビが入ってしまったからだ。ラケルは少しだけ驚いた表情を見せていたのだが

「それくらい想定の範囲内だから」と言い放つ その直後 アベルが王の懐に飛び込み剣を横に振り抜いた直後 アベルの首筋目掛けて刀を一閃していたのだが。それ

「さてと、もういいですよね?アベル」

そうアカリは言葉にする。

そしてその言葉を耳にしたラケルはすぐに その場を離れようとするのだが アカリの斬撃をまともに食らってしまい 地面に倒れる そしてアベルはそんなアカリの姿を見ると 一瞬にして移動をして背後に立ち剣を構えると、アカリに対して「なぁお前は何が目的だったんだ?こんな世界に迷い込む理由が有るんなら。教えてくれないか」そんな事を口にする アカリは しばらく無言のままで立ち尽くしていたが

「そう、ね。貴方には話しておきたいわ」と言ってからラケルが倒れている方角を見てから

「貴方があの時。私があの男に連れ去られていた時のことを覚えてる?」そう問い掛けてくる アベルはその言葉を耳にした後に「あぁもちろんだ」とだけ返すと「そうよね。だって私の力を使ったんでしょう?貴方は。でもね、あれだけじゃ私の心までは奪えなかった。だって、あの時点で私の体はもうボロボロになってたんだから」と そんな言葉を聞いたアベルは 少し考え込んだ末に

「どういうことだ?」と問いかけるのだが「そのままの意味よ。あの日、私は。あの街を一人で抜け出して。そして、森の奥の方にある。とある村にたどり着く。そしてそこで休んでいた時にね、一人の男性に話しかけられて、少し話をしていたの。その人と、出会ってからは、とても楽しかったわ。その人は、本当に優しそうな人だから、きっとこの人も悪い人では無いだろうと思っていたわ。でも違ったの」アカリの言っている事はラケルの知っていることでもあった。ラケル自身も最初はアカリの事をただの被害者なのだと思い込んでいたのだが、その後で。彼女の正体を知ってしまった。

「お前もか」

アベルがそんな言葉を漏らしてしまうと「アベルは知ってたんですか?アカリの正体を?」

そんなアベルの疑問に対して「俺は。あいつの幼馴染なんだよ。小さい頃から一緒に遊んだりしてな」と口にして「それで?その人のことは信用してなかったんですか?」と質問するのと同時に ラケルの腹を思い切り殴りつける それからアカリが「ラケル!」と叫んでいたが。すぐに落ち着きを取り戻すと

「それで、その人の話を聞いていたの。アカリは凄いよ。僕と同じぐらいに強くて優しい子なんだよって」

そう言ってアベルの事を見るのであった アベルは何も言わずにその場に立っている

「ねぇ?ラケルは。どうしてその村を出て行ってしまったのかしら。アカリの側にずっと居てくれると思ったのに」と そんなアカリの言葉を聞き流したのちに ラケルの元に行くと、その頬に触れる ラケルはまだ気絶したままである ラケルは「おい、大丈夫か?」と言いながらその肩に手を置いた途端に ラケルは目を覚ますと「悪い、ちょっとだけ休憩させてくれ」なんて口にした ラケルは、先ほどまでの出来事を全て覚えていたので「お前、なんで俺を助けた?」とだけ尋ねる ラケルのその言葉を聞くなり「そりゃそうだろ?目の前で人が殺されようとしているところを見たなら助けに入るよ普通は」などと言っているのでラケルが「そうか、な」と呟くように答えるとアベルも口を開く「そういえば。貴方の名前を教えて欲しいのだけど。いいかな?」「俺はラケルだ」

それからしばらくの間沈黙が流れる するとアカリはラケルの手を優しく握りしめながら口を開き

「これからはラケルが守ってくれるかしら?」と尋ねられたのでラケルは無愛想に

「まぁ、お前が望むのならな」と答えてやった。そしてその言葉に納得

「うん。よろしくお願いします。それとごめんなさい。私は本当は」その言葉を言いかけた瞬間にラケルの唇が重なる。そしてアベルと目が合うと

「俺の嫁さんが困っていた。だから助けた。それだけだ。それ以外に何もねえよ」そう口にした

「ありがとう。アカリはラケルのおかげで元気になりました。だから今度は、アカリとアカリが選んだ人をラケルは大切にしてくださいね」

そう言うとアカリはその場を離れて行こうとするのだが「アカリ、あの男はお前に任せても大丈夫なのか?」

ラケルの言葉を聞いてアカリは振り返ると「えぇ、大丈夫です」そう言うと その場

「さてと。ラケルちゃんに説明してもらおうか?」とアベルは笑顔でこちらに語りかけてきた アカリはアベルと別れてアベルに事情を説明した。アベルも初めは驚いていたものの「アカリがそれでいいって思ってるならそれでいいさ。ただしラケルが変な行動をとった時は殴って止める」と言っていた ラケル達はそれから王の部屋へと向かう そしてラケルとカゲハの二人で部屋に入ると「おぉよくここまでたどり着いた。しかし貴様らは私に勝てないぞ」と自信満々に口にするのだが「へーそいつは良かったな。お前より強い奴に稽古をつけてもらっていたものでな」なんて言葉を吐き出すと アベルはその手に持っていた大剣を構える

「貴様らが何をしようと私は負けぬ!やれ」

そう言葉を放つのだがアベルの動きが一瞬だけ早かったせいもありラケルは思いっきり顔面を蹴り飛ばされてしまう。

ラケルはすぐに起き上がり攻撃を仕掛けようとしたのだ のだが、そこで異変を感じる 体が重くなっていたからだ。

「ようやく気付いたのか。私の能力は相手の体を一時的に強化できる。そういう力がある」なんて口にしているのだがラケルとしてはそんなことよりもアベルにどうにかして伝えたいのだが「そんな暇はくれはせん」なんて言い放つのだった それからアベルとラケルは戦いを繰り広げるのだが。その実力の差はかなりあるらしく アベルは押され始めていた。

だが、それでもアベルが攻撃を繰り出していく そんな攻撃を繰り返しているうちに、ついに ラケルとカゲハがアベルとアカリの元に合流するのだが「あらら?随分と劣勢みたいじゃない」そう口にするのだが それとほぼ同タイミングで王が剣を振り上げるのだが、それが地面に叩きつけられようとした時のことである。

その刃には炎が巻き起こっているかのように赤く発光しておりそれを目にしてアリンの表情は驚愕に染まっていくのだがその直後にアリンは膝をついて動けなくなってしまう どうやら限界が来たようだとラケルが思った直後にはアベルは既に動き出していた。それから剣を叩きつけてくる相手に拳を放ち続けるのだが一向に止まる様子が見られない、それどころか徐々に加速していくばかりでこのままだとラケル達は全員殺されることになるだろうと思っていたその時のことだった、アカルの声によってその場にいた者全てがその意識を取り戻させられるのである

「今だよみんな」そんな言葉を耳にしながらその場にいる全員が声の方角

「はい、アカリさん。もう終わりにしましょう」とそう言ってラケルはアカリの元へと走り出すとアカリと抱き合ったままその場を動かない そうこうしている内に王はアカリの方を見ると「貴様、その力はなんだ?」

その問いかけに対して「アカリは特別なんですよ」そんな事を口にしながらも アカリはラケルと共に剣を構えると王の方へと向かっていくのであった

「おい、なんだよそれは」

「あぁ?なんだっつった?」

「だから、なんで、テメェみたいなガキに俺の部下が」そう言って 部下の身体を切りつけたのだが、それも無意味に終わり

「クソ、化け物かよ、お前、なにもん」その言葉を最後にしてアカリの一撃が直撃して 地面に倒れる そしてアベルが「あんたがボスか?それとも他の誰かに指示を受けてたとか」

その言葉を耳にして男は少しだけ考えた後に口を開く

「あぁ、お前達を殺すように命令されたんだ、悪いな。じゃぁ、もういいよな」

そう口にすると同時に、男の体から力が抜け落ちていった。

そして ラケルとアカリは男の遺体を確認するために近づいて行くと、

「これじゃ、ダメだな」

そう言ってラケルは死体を漁り始めるのだがアカリはそれを見て止めようとしたが「大丈夫だって。こいつが何者かを調べるために必要なことだ」と言って探し始めるとすぐに何かを発見したようで、 男の手の中には小さな紙があり、そこにはアカリが見たことのない記号が書かれているようであった。

「ラケル、何があったんですか?」とアカリは問いかけるのだったが

「これは俺が持ってる。それにアカリに見せても分かる訳が無いし、俺ならこれが何か分かるかもしれない。少しだけ調べさせてくれ」

そう口にするとアカリはラケルのことを抱きしめてあげる

「ラケルのやりたい事をやればいいんです」なんてことを言ってくる アベルとカゲハも同じようにしてあげたい気持ちはあるのだが、そんなことをすれば、 きっとアカリは傷ついてしまうだろうと思っていたので我慢した それから少しばかり時間が経過して「よし、これでいいだろう。取り敢えずこれをどこか安全な場所に隠す」と言いながら、 男が身に付けていた鎧の中から布を取り出したラケルは「アカリ、頼む」と言いながらもう片手で、アカリに自分の服の中に手を入れてほしいと促してくるのである ラケルに言われるがままにアカリはラケル

「ん?どうかしたのか?」そんな言葉が聞こえてきた そんなアカリに対して「あの、アカリの胸に顔を押し付けられてると凄く安心感があります」

ラケルは、それだけを言うと、アカリの胸の中へその顔を埋め込むと「もう少しだけこうしてたいんです」

「分かったよ」そう口にしたアカリはラケルの背中を軽く叩いてあげる その後、ラケルは「アカリが無事で本当に良かった」

そう口にした後にアカリから離れて行くと「アベル、俺に付いて来てくれ、それと、カグヤ、ちょっとだけ俺に付き合ってくれ」そう言い残すと二人はその場から離れると「ちょっと待ってくれないか?」

アカルに呼び止められてしまう そして彼は二人に話し掛けるのだ。アカリにだけは聞かれたくない内容なのか

「実はね。さっき君たちが倒した男は。僕達が探している人の一人なんだ。もしかしたら君はあの人が誰なのかを知っていて一緒に居るんじゃないかって僕は思ってるんだけど」とアカルが口にすると

「えぇ、私が助けてあげました。アトリ様って言うんですよ。今は私の大切な仲間になってくれてます」と答えてしまったのである。その答えを聞いたアサルは頭を抱えるような形になりつつも「そうなると。ますます分からないなぁ」とぼやく その様子を見ながらもアサルの質問に対してラケルは「なぁ、俺に話してくれねぇか?」

そう言われてしまう ラケルの言葉を聞いて「ま、仕方無いよね。アカリには知られないで済むなら、その方が良いと思うし」と口にしながらアカリに説明を始めた。

それからラケルが、その話をある程度聞いた上で「それで?アカリの方はどうしてあんな状況になったのか。詳しく教えて欲しいんだ」なんてことを言うのだが それに対してアカリは「アカリの知り合いが居たってだけで」と言うのだが ラケルの視線を受けたカゲハが「あのね、アカリ、アカリが助けたかったのってラケルのことなんでしょう?」

そうカゲハに言われたアカリは、俯いた状態で「ラケルには内緒にして欲しいんです。本当はアカリが守らなくちゃいけなかったのに、あの人達にアカルが襲われそうになっていて助けるって決めたんです。でもラケルに助けられて嬉しかったです。ラケルは、本当は私よりも弱いのにアカリの為に頑張ってくれたんですよ」そんなことを口にする ラケルが「俺は別に、あいつに頼られたかっただけだから、お前の為なんかじゃないぞ。ただ」

「ただ。なんだよ。ちゃんと最後まで言わないと」

「はいはい。アカリが大切だったから」その言葉を耳に入れたアカリの頬は赤く染まってしまっていた。

その言葉を聞いていたラケルとカゲハは思わず苦笑いを浮かべ

「あーそっか。うん。それは確かに仕方の無いことだったかも知れませんわね」なんて事をアカルに向けて口にしてしまうのであった。そんなやり取りを見終えたアダル達は「それではまたお会いしましょう」「機会があれば会おうぜ、俺ももっと強くなっておく必要があるだろうけどよぉ」「次は絶対に勝てるようになりますから!」そう言って彼らは去って行ってしまうのであった そしてカゲハが王都に向かうために行動を開始するとラケルとカグヤも同行する事となり 三人は街へと戻るのだが、その道中に魔物と遭遇した際にアカルに助けを求める事にする。その際の会話でカオルが使っていた剣の話を聞き出していくのだが「やっぱりアリン様が使うべきじゃないんですかね」と漏らしてしまい「あれを使えだと!?正気か貴様」などと、そんな事を言い出したので どうやらカカリにとってはかなり特別な代物になっているらしく。そんな言葉を受けてラケルとしては思う所があるようだ だが、それについて色々と聞く前にラケル達は無事に城までたどり着く事になるわけなのだが、

「そうか。ならもう、お前は、私の邪魔をする必要はないな」と口を開きアカルに対して剣を抜こうとするのだが、それをラケルが止めた

「ラケル!離して下さいよ」その剣幕を見たアカルはラケルに向かって「どうしたのかな?」そう言って剣を収めさせるのだが、その声に反応する形で王が動き出してきた。

アカリは王の一撃を喰らいそうになった所で「間に合って良かった。アカリ大丈夫ですか?」

アカリの前に立っていたのはカガチであった そしてそんな彼の姿を見てラケルとアカリが声を上げるのだが アカリは、すぐにその場を離れて行くと「もう、貴方とは戦えないよ。だって貴方の気持ちを知ったから。だからごめんなさい。私はラケルと共に行く事にします。だから貴女の敵になるつもりはないんです。本当にすいませんでした」そんな謝罪を口にしていた。その後すぐに彼女はラケルの元へ向かうと手を繋いでしまうのでカゲハは「あら?アカルさん。良いんですか?このままにして」そう口にするが その瞬間に目の前にいたはずの存在は姿を消してしまうのでそのことに驚きを覚えてしまうのだが「それじゃ、僕達もこれで失礼させてもらうね」その言葉を残して彼らは立ち去っていく その言葉を聞いたカガミは悔しげな表情をしていた それからしばらくの時間が経過してからラケル達が合流を果たしていく中で、ようやく落ち着き

「それじゃ。とりあえずは宿に戻ります」

アカリはそう口にすると歩き始めようとした際にアカリの手を握ってきたラケルに対して、笑顔を見せると「もう、どこにもいかないですよ」そう言って二人は手を繋いだまま、その場から歩いて行くのでその様子を見たラケルは「ラケルって。結構甘えん坊だよな」なんてことを言ってしまい、ラケルはラケルで「べ、別にそんな訳じゃねぇし」と言い出すのである。

ラケルはアカリに対して何かを言うべきかと考えるが言葉が出ずに黙り込んでしまい

「そう言えば、これから、どうするつもりなんですか?」そんな質問をアカリが口にする。

その問いかけを受けたラケルはすぐには答える事が出来ず そして、そのタイミングで「そうだな。まずは」と言葉を発するが、その直後にアカリの口から放たれた言葉を聞いて、彼はすぐに考えを改めることになった その言葉は、まるで自分とカガリとの関係を否定するかの様なものだったのだ アカリはアカル

「うーん、カグラになんて伝えようか?」そんな悩みを打ち明けるアカルは頭を掻きながら ラケルはアカルの肩を叩きながら「そんなに心配することは無いだろ。別に嘘をつく必要なんて無いんだろうしさ。アカリはさ。アカルの事が好きだからさ。その気持ちを素直に伝えればいいだけだろう?」

アベルとカグヤが部屋に戻る頃にラケルは「少しアカリと話してみたい」そう言った為にアカリが寝ている寝室に向かい そこで彼女と二人っきりの状況を作り上げることに成功したのでラケルとアカリは互いに顔を合わせて向かい合っていた。

「それで、アカリ。君は俺の事が好きなのか?」

そう言われてアカリは少しばかり戸惑いを見せてしまう

「うん、でもラケルの事は好き」その言葉を耳にしたラケルは嬉しそうな笑みをこぼすと「そっか。なら良かった」と言い切ると「なら俺が言うのは、君と離れたくないって、それだけで十分なんだ」

ラケルのその言葉を聞いて「うん、アカリもずっとラケルと一緒にいたい。ラケルと一緒がいい」そんな事をアカリが言うのだが その言葉を受けたラケルが顔を真っ赤にしながら俯いてしまい「そうか。なら一緒にいような」と口にしてしまう それからラケルがアカリの体を抱き寄せると「あのね。ラケルね。今凄く幸せだよ」とアカリは口にするとラケルは「俺も幸せなんだけど、さっきのアカリの告白が、さ」と その言葉を告げられると、今度はアカリの方が恥ずかしそうな態度を見せており。お互いに気恥ずかしい思いをしながらも しばらくの間はお互いの顔を見合わせながらも抱きしめ合ったま

「お二人共、おめでとうございます」カゲハは二人が結ばれた事を祝う言葉を紡ぎだすと

「そっか。そういう関係になったんだ」その様子を見届けた後で「それなら私とラケルも付き合おうか」

その発言を耳に入れることになるのだが

「ちょっ、ちょっと待ってくれよ。いきなりすぎだろうが」慌てふためくラケルにアカリは嬉しそうな笑顔を向けて抱きつく その光景を目の当たりにしたアカリがラケルの耳元に近づくと何やら小声で話し掛けていた。その話を聞いたラケルがさらに慌てるのを見て、それを見つめたカゲハが微笑ましそうな表情をしている。

それから「それならアカルにも教えてあげる。私の大切な人だから」と言って、そのままアカルに歩み寄っていくのであった

「なぁ、カゲハ?俺はお前に言いたい事がある」そう言われるのだが、それに対してカゲハも真剣な雰囲気

「あ、はい。なんでしょうか」

「そのなんだ。あのさ、カゲハのことが俺は好きです」唐突のそんな発言に対してカゲハの頬は赤く染まってしまっていた。だが、その気持ちは本当なのか。嬉しく思いつつも「ありがとう。アカル」と呟き、彼の唇を奪うのであった だが、その直後の出来事に驚いたのは、やはりアカリとラケルだった

「あっ!ずるいです!」そんな声を上げると、すぐさまラケルの腕の中に収まる。その勢いに任せる形でラケルの方からも唇を重ねる だが次の瞬間にはラケルは慌てて口づけを止めてしまうのだが「どうして止めたんですか!?」そんな事を口にしていたアカリは頬を膨らませて不服を申し立てると それを眺めているカガネは羨ましそうに見守るのであった。そんなこんなありつつ

「私もお兄ちゃんの事が好きでしたよ」アカルは妹の好意を受け取ってくれるだろうか

「アカリと付き合い始めたんですよね?」

カガチの言葉を聞いたアカリは照れ笑いをしてしまい その表情を見てしまったカガチも「可愛いですね。アカリさん」と思わず漏らしてしまったのであった その翌日 アカル達は王都から旅立ち。自分達の住む街に戻ってきた アカル達はアベルの家に帰宅を果たすと「あーやっと帰ってこれたね」とカガチが漏らしていた ラケルはカゲハと、そしてカケルは、カガリと、アカリはカグヤと仲良く会話している。その様子を見ていたアカリは カガキに話しかける事にしたので その会話の内容はカガヤに対する恋愛相談に近いものであった。

その会話の最中

「えっと、それで結局どうするんだよ?」ラケルの問いかけに対し、彼女は

「やっぱりカガリと、もう一度向き合うしかないかなって思ってます。アカリとしても」と答え

「そうですか。ではアカリン様はラケルと正式に結ばれるのですね」その言葉を聞いていたカケルは寂しげに言うのであったが、そんなカケリを慰めるかのように彼女は彼の頭を優しく撫で始める カゲハとカガチはそんな光景を見やり、少しばかりの時間を過ごそうと

「ところでさ。ラケルは、なんでカゲロウのこと。アカリなんて呼ぶようになったの?」その言葉を聞いたラケルが「だってアカリの名前、長すぎるだろ?それにお前はアカリだろ。俺にとっては、アカリの方が親しみやすいっていうかさ」

そう答えるので「じゃあさ。アカリの事は、これからカグヤでいいから」その言葉を聞いてラケルは

「わかったぜ。それじゃカグヤ。改めてよろしくな」と言葉を口にするのだけど

「ねぇ。アカリの事も、カガミって呼んでもいい?」カグヤがそう言ってみると「うん、全然良いですよ」アカリはあっさり受け入れてくれるので、カグヤ

「じゃあね。カガミはこれから、アカリでいい?」そんな質問を投げかけるので、アカリは笑顔で応じるので「それじゃアカリって呼ばせてもらいます」そう言って彼女達の仲が縮まり始めるのであった。

それからラケル達を家に送り返した後 カガヤがカグヤと二人っきりになりたいと願い出てきたのでアカリはそれを承諾 それから二人は、アカリの部屋に向かうのである

「とりあえず。アカリも一緒にお茶を飲まないかな?」そう口にしながらアカリの手を握るので、その手をしっかりと握り返して それから二人で台所へ向かい飲み物の準備を行うとテーブルの上に湯呑みを置く

「そうだ。アカリって好きな人とかいないの?」その問いかけに、アカリが顔を真っ赤にすると「う、うん。好きな人はいるけど。その人の事が忘れられなくて。アカリが好きになったのは」そう口にする その言葉を耳に入れたアカリが「そう。アカリがそこまで惚れ込んでいるんだ。きっと、素敵な人なんだろうね」と言うとアカリは首を縦に振って同意をするのであった その日の夜。アカリは自分のベッドの上でカグヤと一緒の夜を過ごしていたのだが、アカリはどうしても眠れずに居た

「アカリ、寝れないの?」

「うん。色々あって、寝つきが悪くて」

そう

「ねぇ。カグヤ。聞いてほしい事があるんだけど。その前に、ちょっとこっち来てくれない?」とアカリはカグヤを呼び出すのであるが 彼女の顔を見ると何かを言い辛そうにしており。その態度が気になってしまったカグヤは「ん、どうかしました?カゲ姉」そう呼びかけてみると

「あのさ。あのさ、カグヤの好きな人って、誰?」

その質問を受けてカグヤは少しの間黙り込んでしまうので

「その様子だと。誰かに聞いたんだよね。私の好きな人が誰かって事をさ」そんなことを口にするのでアカリは「えっ、そうなの?なら教えてほしいんだけれど」と口にすると カグヤは観念したのか

「私はアカルさんの事が好きなんだ。ずっと前から」

その事実を聞いてしまってアカリは何も言えないでいたがしばらくして言葉が出てくるようになり その口からは

「そっかぁ、でも仕方がないよね。アカリとアカルの二人が結ばれてくれないと。私が報われないし」

それを聞いてしまっているアカリが複雑な心境に陥っており、「そうですね。本当に、そうなってくれたら、一番嬉しいのですが。でも」と言いながら、ゆっくりと立ち上がり「今日は疲れたので、もう休みますね」と言って部屋を出て行くカグヤの背中を見送った後 しばらくしてから、カグラも「私、先に休ませてもらうね」と言ってカガチも就寝する事となり、この家の中が静かな時間を迎えてしまう そんな中

「カグヤちゃん。大丈夫かしらね?」と心配する声を上げるカガネにカケルが近寄り声をかける

「お二人とも、起きていらっしゃったんですか?」

それからしばらく時間が経過するとラケルとラケルのパートナーの女性達が揃ってやってきたのだがその女性はどこか悲壮感に満ちた雰囲気を持っており

「どうしようもなく不安なんですよね。アカリの事を考える度に思うんです。このままでは、いつかアカリとアカリの心の中のラケルさんを取り合わなければならなくなるんじゃないかと。それが怖いんですよ。だって私は彼に助けてもらって。その優しさに惹かれたのもあるんだと思いますし、だからといって私だけのものにしたくは無いのに、私以外の女とアカリが付き合ってほしくはない。そんなの勝手すぎますし、酷いですからね」

そう口にしてしまうのだが「そうですかね?僕的にはそう思いませんよ。確かにラケルにはアカリを好きになってもらいたい気持ちはありました。ですけどね、その感情に身を任せた結果、今のような状態になってしまった。僕はそんな気がするんですよ。だからこそ。アカリにはカグヤを選んで欲しいと。そしてラケルは、カガチさんとアカルのどちらを選ぶか」そんな話をラケルとラケルのパートナーの女性はしている。それから

「ラケルには幸せに生きて欲しいと思っています。それはアカリも同様です。でも」そこで一度口を閉じた後に、続けて ラケルには幸せな未来を掴み取ってほしい そんな事を考えてしまい。どうすれば良いのか分からず だが そんな話を聞き入れてくれたラケルは ラケルに出来る限りの協力を行ってくれており そのおかげでラケルの心に迷いが生じていたのであった。

翌朝になり いつも通り、朝早くに起きたアカリはラケルを起こしに行き 彼の頬にキスを落とすと、そのままアカルの元に行こうとするのだが、それをラケルに止められてしまう それから、ラケルと一緒に朝食を食べた後 すぐに出かけようと、カゲロウとアカリに声をかけようとするのであったが そんな時 アカリはカゲロウを部屋に

「ねぇ。カゲロウさん」そう言って話しかけると その言葉を聞いた彼女は少し驚いた表情を見せると

「何でしょうか?カガリ」

そう口にしていた。

その言葉を聞いていたアカリは、一瞬固まってはいたのであったが

「アカリ」その言葉を漏らすと、アカリの瞳から涙が零れ落ちる それを見たアカルが慌てて、その泣き出しそうになったアカリの側に駆けつけてきて そして抱きしめるのである それを見ながらも ラケルも、またアカリも

「ごめんね。アカリ。やっぱり無理だったみたい」とアカリに対して謝罪の言葉を口にすると、それに対して

「えっと。カガリとアカリは知り合いなの?」その疑問を投げかけてきた

「ええ、私はね。アカリと昔に友達同士であり。親友でもあったんだけれども、とある事情があって、彼女と離れるしかなかったの。だけど」その言葉を耳にしてアカリは アカリはラカンの服を強く掴む ラケルの事をラカンと勘違いをしたアカリは、彼の服を引っ張り、アカリの事を慰め始める それからしばらくして アカリとラケルは二人で一緒に出掛ける準備を行い。

その後に二人で一緒にカグヤの家に向かい始めた。そんな二人の後を追いかける形で、カケル達もまた歩き出す そうして辿り着いたカグヤの家は静寂に満ち溢れていて、誰もいないかと思いながらもア

「カグヤ。いるの?」そう呼びかけてみると「えっ?あぁ~、カガチにカガト君、それにラケルに、えっとその」

その様子に気づいたアカルはカガチの肩を叩く その行為によって我を取り戻したのか「アカリ。アカリなんだね。良かった、本当に」そう口にしながら、そのアカリの手を掴むと涙を流し始めて

「カグヤ。ごめんね。今まで連絡をしなかったことに関しては謝るから」

そのやり取りを見て ラケルとカケルとカガネとカグツチが アカリの方に近づいてくる そうするとカガチは

「カグヤちゃん。どうして貴方までこっちに来ちゃうわけ?」と問いただす その問いかけを受けてアカリはカガキの顔を真っ直ぐに見据えて、はっきりと答えるのである

「カガ姉、ごめんだけど。アカリはアカルと結婚するつもりだよ」

その言葉を聞いてカグツチは絶句する そんな様子を見たアカリとカグヤは、お互いに目を合わせるのである そうしているうちに、他の面々も到着してしまい そんなカグヤが、皆に向けて言葉をぶつけてくる

「カグヤはね。アカリにアカリのことを愛して欲しいんだよ。だからさ、私は邪魔になるかもしれないし、ここに残ろうかなって思っているの。そう思っていたんだ」そう言葉にする それを聞き入れてカケリは、カグヤの顔を見つめてから口を開く

「カグヤ。カガヤはもう帰ってきているのよね?」

「ええ、もう。私達の家に、だからさ。もう、カガ兄は」

そう口にしながら、その瞳から一滴の涙が溢れるのであった。それからしばらくの時間が流れると

「カグヤ。本当に、行っちゃうつもりなの?」

「はい。カグヤはね。ここで生まれ育ったけれど、それでも自分の意思は貫いておきたいんですよ。カガネはアカリのお手伝いをしてあげるって決めたんでしょう?ならさ。せめて私ぐらいはさ。その決意に背くような事は出来ないと思うんです。カガナもさ、そうでしょ?」

その呼びかけを受けて、少しの間考え込んでいたカガナは

「そうね。その通りだわ。カグヤ、アカリの事、頼んだからね」

その言葉を聞いたカグヤは微笑を浮かべながら「うん」とだけ返事をするのであった。そんなやりとりが行われていると ラカルが

「アカリ。カゲロウ。アカリは、この世界に戻ってくるよね。僕たちの元に帰ってくるよね。お願い、答えてほしいんだ」と声をかけると、それに対してカグラがアカリの隣に立ち ラカルに視線を向ける そんな二人に対してアカリは優しく語りかけるように

「私、カグラさんの事が好きでした。大好きでした。だからこそ、カグラさんの願いは叶えたかった。私も、そうだったから。私達は、そうだった。私だってね、カグラさんの事を好きでしたよ。カグラさんは大切な仲間ですから」

そんな言葉を聞いて、カガノとラギトは何かを言い出そうとするのだが。それよりも先にアカリがカガノに顔を寄せ そっとキスを交わすと、今度はカガチに抱き着き、彼女の

「お別れです。カガチさん。短い間でしたがありがとうございました。楽しかったですよ?」と優しい笑みを見せて言うのであった それからしばらくした後 二人はラケルの元に行き「じゃあそろそろ行くよ」と伝え

「待ってくれないかな」そんな言葉を吐き出すと、「何?」と聞き返してくるのであるのだが、それを気にせずにアカルに耳打ちすると「わかった、行ってらっしゃい」と言って送り出す。

それからアカルの目の前には大きな魔法陣が現れてその光は眩しいくらいにまで輝きを増すのであった。それからしばらくすると、その光が収束していき完全に消えた後に、その場に残ったものは二人だけである その一人はラケル

「僕と付き合ってください」

ラケルの言葉に対してアカリは笑顔を見せながら

「私をラケルの妻にしてくれますか?」

「勿論だよ」そんな二人のやり取りに割って入るかのようにして、二人の間にカグヤとカガチが入り込んでくると、ラケルとアカリの間に割り込むと「ラケルにはカガネをあげる」とカグヤが宣言する それに対してアカリがカグヤに近づき「私のことは、嫌いじゃないですか?」と確認を取ると「いいえ。好きですよ」と言う返答を聞くと 嬉しさから、アカリの頬には涙が流れ落ちる その涙を見たアカリとラケルが同時にアカリの頬に両手を添えてからキスをし始めると。そんな様子を、カゲロウとラギンに見られてしまい。「あら?随分といい感じになっているのね」と茶化されるのだが、それに反論するようにカガチとラギルがそれぞれの相手と腕を組む それを見て

「ちょっ!!ちょっとそれは違うんじゃありませんかね!?僕はラギルと一緒になんて!!」

「あーはいはいわかったわかった」そんなやり取りが行われる中、ラガトだけが苦笑いを見せるだけで特に行動を起こしてはいなかったのである。

それから数日が経過していた。その間は色々とありながらも とりあえずは平和な日常が続くようになっていたためアカルは暇を持て余していたのだが そんな中でラケルとアカンだけはアカルの家に居て、ラカンはカゲロウを連れて外に出かけてしまった その際に、二人がどこかに消えてしまうのではないかと思いながらも何もしないままに時間が過ぎていくと、日が完全に落ち始めたのを確認した後に 夕食を作り始めることにした。

その最中ではアカリは

「やっぱり料理が出来る男性は格好良い」とか カガチは「カガミが作れないんだもん」などと言い合っている それを見たカガヤは「そう言えばカガリさん。アカリさんとは知り合いみたいだけど」と話しかけてみる その言葉にアカリは「うん。そうだね。親友だし。幼馴染なんだ」と少し照れくさそうにしている それを見て、カガヤが少しばかり不機嫌そうにしているのをアカリは見て「どうかしたの?」

「別にどうもしてないよ?」

その言葉を耳にしたカガチは、ニヤッとしながら口元に手を持っていくと、それからすぐに表情を引き締めてカガキを見やる そんなやり取りを見ていたラケルとカケルであったがお互いに見つめ合う形になると ラケルとラギンが一緒に外へ出かけてしまおうとする際に ラケルの方に対してラギンが自分の服を掴む その行為にラケルが何をしているのかと尋ねてみるとラギンは小声でこう答える

「私は貴方の恋人だからさ。一緒にいたいなと思って」そんなラギンの言葉を聞いてしまったせいで恥ずかしさが限界を迎えてしまっていたらしく、思わず赤面させながら、自分の顔を抑え始めてしまいそうになる

「大丈夫だよ。ラガトの事は僕に任せて。君は君の事をやればいいんだよ」

そんな事を言われたラガトは、ラケルの服の袖を掴むと「カグツチのところに行くの?それなら、僕も」そんな風に口にしてくるも、それに対してラガンが「駄目だね」

「君が行ったところで、何か出来ることがあるとは思えない。君の仕事はアカリのお守りをする事だ」そう言われてしまうと、それに納得が出来なかったのだろう ラガン

「どうしてカガ兄は、アカリのことばっかり。どうしてなのさ」

その言葉を聞いて、それに反応してしまったアカリは 立ち上がろうとするのだが、そんな様子に気付いたアガルタ側の人間が数人程駆け寄ってくる

「ラキ兄。もう我慢の限界だよ。どうして、どうしてこんな時にラキ兄はいないのさ」

その問いかけを受けたラキは、ラガクに向かって目配せを行い それを受けたラガクはカケルに声をかける その行為に疑問を持ちつつも カケルはラギドとカゲロウとカゲロウの両親を連れて、その場を離れることにしてしまう それを見たラギンは、アカリとアケルに対して口を開く

「ラガ兄もね、きっと心配しているんだ。アカリは、僕達と一緒だからね。カゲちゃん、悪いんだけど、アカリの事、守っていてくれる?」

そんな頼みを受けてアガサが

「わかりましたわ。それなら私はアカリちゃんの味方になってあげましょう」その言葉を聞き入れてからラガトがアカリの手を掴み、そしてカゲノがアカリの前に立った後

「さぁ、行くわよ。アカリさん」そう言ってからラガトは走り出すと同時にカゲノもアカネを抱えてから動き出す その様子を見たカガヤは、カガナを抱き寄せる それからラギンはカガネと共にラギルを追いかけると ア

「カガっち」と声をかけるのだが、アカルがそんな言葉をかけようとした時 カグガが先に言葉を出す

「カガっちはもう私と恋人同士ですよね?だったらさ。もっとイチャイチャしてみませんか?」

カグガの言葉を受けてラガナはカグガを抱きしめるとそのまま唇を重ねる その光景を見ながらアカルが顔を赤くしてしまっていると、カガヤはアカルの事を抱き寄せてから、自分の胸に抱き留めた そんな様子を見て ラケルは自分の方に視線が向いている事に気が付いてしまい 慌ててその視線から逃げようと

「僕はそろそろ家に帰ることにするけど、二人は、これからどこに行くんだい?」

その問いかけに対して、二人はラケルに近づいて行くと

「私達はラクロ様のところに向かう事になりました。そしてカガ兄を助けます」

「助けられるかどうかは、正直わからないけれどね。でも、このままラケルを置いておくわけにはいかないからね」

そんな二人の話を聞いて、ラケルとしては自分がラギルの立場にいるのならば、どうするかと考えを巡らせるのだが、結論として自分ならばどう動くかを考えてから

「わかった。ラガトは任せるよ。カギの事を頼むよ」

「うん。ラケルにもカギさんの事を頼んでいいかな?」

そんな二人の会話に割り込むようにして ラギンが「ラケル、アケル」

「カガ兄の事が気になる気持ちはよくわかるよ?でもさ、今はそっとしておいた方がいいと思うよ?」と言われてしまうのだが それでも二人は引き下がろうとせずに「それは出来な」「できないです!!」と否定を口にすると、二人はカゲルに近寄り二人でカゲルに抱き着いていくと、「お二人にお願いがあります」と真剣な口調で言うのであった

「僕はね?二人とこうして過ごせて幸せだったんだよ?それなのにさ?どうして僕の前からいなくなるような真似をするんだろうなって思ってさ?だから行かないで欲しいって思ったりはするけれどもね。まあ、二人がそこまで言うのであれば仕方がないよな。行ってきなよ。俺の代わりにあいつを救ってこい。お前達が帰ってくる頃には全部片付いているからさ」

ラギアはそれだけを言い残すと ラカンは二人の手を握っている手を離すとカガチがラギヤの手を掴んで

「行こうか」

その言葉を耳にした瞬間 カゲロウとアカルの姿が消えてしまったのである その現象にラギルは何が起きているのかを把握した上でため息を吐いて その場に座ってしまうのである それを見てアカルもその場に腰掛けるが

「アカリはどこに行っているんだ?」

「うん。カガリはラギルと一緒に行きたいっていうから、アカリにはラギンについていってもらうことにした。それくらいしか、今のカガリには出来ないからね」

「そうなんだ」と返事を返していると カゲロウはアカルの隣まで来ると座り込んでくる その際にカゲロウは小声で

「大丈夫だよ。カガキはカガ兄を嫌いになったわけではないんだから。ちょっとだけすれ違っているだけ」

「それってどういう意味なんだ?」とアカルはカガキの方を見てみると

「あーえっとですね。簡単に言っちゃうと」とラギンが言葉を紡ぎ始めると、それを聞いていたラガトが「ちょっと待った。ここはラギルの部屋だ。あまり物音を立てるのは良くないだろう」と言ってきたために ラギン

「それじゃ。続きは別の場所にしよう。という訳で、アカリちゃんが戻ってくるまではここで時間を潰そう。それで良いですか?ラギル様」と口にしていると ラギルはそれに返答する前に「一つ聞いても良いか?」と言う その言葉を受けて、ラガンとラギンはすぐに表情を引き締めて「はい。何なりと質問して下さい」と答える それを見たラギルは苦笑いを見せつつ、ラガトに対して話しかけてくる

「ラガナがここに来ていない理由はわかった。たださ?カゲちゃんも一緒に消えちゃっているんだが、あれって何かあるのか?」その言葉を耳に入れるとラギンとラガトは苦々しい表情を浮かべながら互いに顔を見合わせている そんな光景を目にしていたアガサとアガリが同時に同じことを口に出してしまうのだがそれに対して

「そんな事ないよな?俺は何も知らないぞ?だから教えてくれよ」という言葉を発してきたのを聞いてしまう事になるのだけれど アガサとしては「いえ別になんでもありませんわ」と言い張ろうとするのだがそんな彼女の肩を掴む人物が一人現れてそちらの方を見やるのだが、それはアカリであった。彼女はラガキを連れて帰ってきたようで、その後ろの方ではラガ

「アガっち」

「ラガっちさん」

「お帰りなさいませ。ラギさん。それにカガさん」

「お疲れさま」

そんな風に声を掛けられてラガは照れくさそうにしながらラギルに対してこう言った

「少しの間、席を外すね。その間、ラギと話をさせて貰いたいな」

ラガの言葉を受けたラギルは「それじゃ」と言いながら立ち上がってラガの後を追っていってしまう それから数分の時間が経過する中 ラガが戻ってこなかった事でラギがアカリに対して問いかけを行うと

「あのね?アカリちゃん?カガくんの事をよろしくお願いね?」

そんな風に

「え?なんの話をしているんです?」

そんな疑問を抱いていると ラガが戻ってくるのを察知する事に成功したらしくアガサとアカリの二人が同時に立ち上がり それから数秒後になってラガンがアカリのことを連れてきて

「やぁ。アカリ君も来てくれたんだな。それとありがとう」と感謝を告げるのだがそれに対してカゲロウは首を横に振った後に答えてしまう

「アカルの為だもの当然よ」と答えたのだが、その直後にルーシャが現れるとすぐにラガルに向かって頭を下げた後に「すみません」と言った そんな行動に疑問を抱いたのであろう、その疑問を口に出す前に、それを口に出したのは、先程までラガのことを追いかけていた

「どうされたのでしょうか?」とラガはラギに向かって聞くと

「実はね。君達二人には伝えないといけないことがあって。その説明を行うために戻ってきたんだよ。だから、ラガ兄とアカリもここに座ってくれないか?」と言葉をかけてきたのであった その問いかけに対してアカリが口を開く前に アガサが口を開き始めたのである

「それについては、私が話しておきますわ」

「お願いします。アガちゃん先輩」そうアカリから言葉をかけられた後 アガサはそのままラガ達がいる方へ視線を向けると

「これからラガ兄が、ラガさんがこの場を離れるまでの時間は私が全て話すわよ。そしてその話を聞いてからのことは自分達の判断に任せて欲しいの。でもって最後にもう一つ、貴方達二人はもう戻らないのかもしれないけれど、カゲロウちゃんに関してはまだ完全に消えたわけじゃないわ。だからこそこれからの行動をしっかり見定めて決めて欲しい。そして、ラガ君はどうするかを決めたみたいだけど。ラギさんはどうするつもりなのかしら?その辺りについても教えてもらえると嬉しいんだけど」

ラガがラギルの元へと向かい ラギもラガについていくような形で ラギルが座っていた椅子の元へと向かう

「それなんだよな。俺は、今から何をしたらいいと思う?」

「そんな事言われてもな?それは、自分で決める事だと思うんだよな」

その言葉を聞き届けたラギルは目を瞑り、しばらくしてからラギルはラギンに問いかけていく

「ラガナは、お前に俺のことを頼んでくれたんだよな?」

その問いかけに対してラギンは小さくため息を吐き出してラギルに問いかけた

「ラギル様はこれから何を行いたいと思っていますか?」

「そうだな。ラギンはさ?もしも自分の好きな人と、自分の命と引き換えならばどちらを助けるかって問われたら。自分の命と相手の事を選ぶことができるのか?」

「それは出来ないと思います。だって俺には自分の命と相手のどちらか一方しか救う事が出来ないんだとしたら。多分自分だけ生き残ろうと必死になっちゃうんじゃないかなって」

ラギルはそのラギンの発言を聞いて満足げな笑みを浮かべると そのまま椅子に座り込んで、天井に映し出されている景色を見ながら語り始める

「カガがな。あいつがさ?ずっと一人で悩んでる姿を、そして泣いている姿を見ているのは本当に辛かった。どうにかしてやりたいと思わないわけが無いんだ」

「なら」と口に出しかけたラギンの目の前に手のひらを突き出して

「待て、話は最後まで聞けって」

「わかりました」

そこで一度言葉を切ってから、改めて口を開こうとして、それからしばらくした後に 再びラガの口から言葉を紡ぎ始める

「たださ?ラガの言う通りにカガリを連れて行くことは出来ないんだよな。俺にとってあいつは大切な存在だからさ。だからといって、カガリを俺の我がままだけで殺すなんて真似が出来るはずもない。だったらさ?俺とカガリを入れ替えれば良いんじゃないのかな。ってさっき思いついたんだよね」

「それじゃ。それで行きましょうよ」と言葉を発しようとするラギンだがラギルはそれに待ったをかけるように、右手を前に差し出して、ラギンの行動を制した その動作を見て、何か問題があるのかと思い。不安そうな表情を浮かべていくと、ラギが微笑を漏らす その様子に少し安心しているとラギルが口

「お前はカガリが消えてしまったことで頭が一杯なんだろうけど。ラガンはラガナが心配だ。アガリに至ってはラギアが気がかりでしょうがない。ラガン、それにアガリ」と二人の名前を呼んできた ラギルから唐突に声をかけられた事で、その二人の名前が呼ばれると同時に二人は反射的に返事を返してしまうのだが。そんな反応をしてしまった自分自身が少し恥ずかしいと思ったらしく お互いに顔を見合わせて苦笑いを交わしてしまった

「そんな感じの反応を見せてくれるんだな」とラギアは嬉しそうにするのだが アガリがラギンの方に近づいていき、「大丈夫ですか?」と

「ん?何の事だ?」と問いかけられてしまっても

「いえ、何も無いですよ。気にしないでください」とだけ言い返す その様子を眺めてから、ラギルがラギンに対して言葉を向けてくる

「でだ。ここから先の話なんだけれども。俺としてはラギンには、ラガと一緒に旅に出てもらう事になるだろうと考えている。それで良いか?」と尋ねられる それにたいして、ラギンはラギルが言っている事に納得が出来てしまい。それならば仕方ない。自分はラガと一緒に行くべきだろうと、そんなことを考えていた

「まぁそれしかないですよね。それじゃ。行きますよ。準備が終わり次第すぐに出発ですね」

「いや。そこまで急ぐ必要はないだろう。少しばかり休憩を入れてもいいだろうよ。それとだ、お前達がカガに会いに行くというのであればラガナとカゲちゃんにも会わせてやって欲しい。それとラガが言っていたんだが、どうせならお前も一緒に付いて行ってやればいい。ラギンにとってはそれが最善の手だと俺は思うぞ?」

ラギルからの提案を耳にしたラガンがアカリに向かってこう問いかけてくる

「なぁ?俺も一緒に行っても良いよな?」と それに対してラガンの事を睨むかのように凝視してしまうアガサに対して、ラギンは慌ててしまうのだが そんな彼の様子を見たアカリはすぐに

「うん、私は全然構わないけれど。アカリ的には大丈夫?アガっちの事も心配だから。それに私としてはもう少しここで色々と見て回ってみたい気持ちもあるんだけど」

「それは問題無いのだけどね」と答えるアガサだったが彼女の頭の中は既にラガルに対する考えで埋まっており、カガの事に関しての優先順位はかなり低いと言えるレベルにまでなっていたのだ。だからこそアガサカの言葉に素直に従って、それから少ししてからアガルが、カゲルと共に戻ってきた ラギルの方も話したいことがあると言い出してきたためラガ達は一旦話を終わらせようとすると、そこにアカリが声を上げたのだ。それから少しばかりの話し合いを行うことになるがアカリの言葉を受けて、アカルがラギの方へと話しかける

「ごめんなさい、ラギくん。どうしても話したい事があったからさ。でもこれでお別れかも知れなくなっちゃうかもしれないけど。貴方が決めた選択に、文句をつける気はないわ」

その言葉を耳にしていたアカリは アカルに向けて視線を集中させる アカリの目には、アカリの体を借りて話し始めたカゲロウの姿がはっきりと映し出されている。そしてそんな状況を目の当たりにしながらもアカリはラギンを庇おうとして動くのだが、それをアカルの一言が止めてしまう

「貴女がカガ君の代わりになろうとするのは無理があると思うよ?アカリちゃん?貴女の体を一時的に乗っ取ること自体は難しくなかったよ。それでもやっぱり、私の事をどうにかすることは出来そうにないけれど。それどころか私がラギン君に対して、ラガ兄さんの事をどうにかしてくれようと働きかけた時点で。ラギン君に対して敵対心を抱いているって判断されても仕方がないんじゃないかな?そもそもね?貴女ではラギン君の事は助けられっこないしね?」

アカリにはカグの事が分からないのだから

「どういう意味?」と言うアカリに対してアカリはこう言葉を続けた

「簡単な事だよ。ラギン君はアカリちゃんなんかよりもずっと賢いし強いの。その辺り理解できていなかったのかしら?そんな風に思っていたのならば残念だよね」

「だから」とアカリは言葉を続けようとしたがその途中で言葉を飲み込んでしまうと、その言葉を最後まで続けさせまいとカガリはラガの体の主導権を握って言葉を発していく

「私がラガさんと行動を共にする理由はただ一つですから。それ以外に必要なものはありませんよ」とだけ告げるとその場を離れていった後にラギンが追いかけていこうとする、その腕を掴みながら、アガサはそのままの状態で口を開く

「ねぇラガさん貴方がラガさんのために何をしようとしているのかわからないわけではありませんけど、それでも貴方が今すべきことは他にあるんじゃないでしょうか?」と言われてしまったので それ以上何かを言うことが出来ずにいるとルーシャが二人の間に入り込み そしてそのままラガンの元まで歩み寄り始めると 彼の手を取り自分の方へと抱き寄せるようにしてから彼女はラギンに微笑みかけるような優しい表情を浮かべた後に再び口を開けていくのだがそれは少し寂しげに聞こえてきた

「私にはカガの事がよくわかっているつもりなんです」と言って言葉を続けようとした瞬間に、彼女の後ろに控えていたアガリが彼女を制止しようとするが アカルはその行動を咎める事も無く受け入れて、それからアガリの方に視線を向けたまま口を動かしていった「もうこれ以上言うな!言わなくてもわかる」とそんな感じのことを言われた後。彼は少し困った様な表情を見せていく。そしてその後でラギンに向かって口を開き

「悪いがな。これは決定事項なんだぜ」とそんな感じのことを言われてしまい、そこからはどうすることも出来ないと感じてしまったらしく、黙り込んでしまったのであった アガリから、そしてアガザから告げられた言葉を頭の中で繰り返していたラギン

「俺には、何がなんだかわかんないんだ。なぁ教えてくれよ。俺は一体どうしたらいいんだ?」そんな言葉を呟いた時に、ラガはラギンの頭を優しく撫で始め

「別に難しいことをやろうとしている訳じゃないんだ。ただな?俺と一緒に居て欲しいってだけなんだよ」と口に出してから、少しばかり沈黙が過ぎ去っていく中で、ラギルは少しだけ笑みを浮かべると、ラギンに声をかけてくる

「それなら、お前はここに残れ。それでラギン。お前は自分のやりたい様にやってみればいいんだよ。やりたいように、後悔しない選択肢を選ぶんだ。お前ならそれが出来るだろ?」

「そうそう、自分の人生なんだしさ。自分の好きな道を選んでいけばいいんだと思うんだ」とラガが言うと、それに同意するように、アガルが続けて それからラギの頭に軽く触れてから、彼から離れていきラガンとアギルも洞窟の外へ向かって歩いていってしまう。そしてその場には、アガリとアガノだけが残った。それからしばらくした後、アガルがゆっくりとラガ達についていってしまい、それからラギルはアカルとアガリの二人と会話を行って それからラギルもまた外に向かうとラガがラギンの方を見つめ

「俺だってさ。正直、この場に残るべきだとは思ってる。俺がラギンと離れるべき理由が思い当たらないっていうのが一番大きな理由としてあるんだけどさ。それでも俺としては、俺に力があれば良かったんだけどさ」

「だったら俺にもっと強くなれよ。今の俺なんてさ。お前と比べれば足元にも及ばない。だからこそお前に勝ちたいとか、そういう風には考えられないけど。でもお前と一緒に居るのが楽しいって感じるから。だったらお前が満足出来るくらいに強くなるしか無いんだろうし。俺が納得するまで一緒にいる。俺の我がままに付き合って貰えるかな?」

ラガンの言葉を受けてラギンは少しばかり驚いた表情を見せるが

「お前がそう言うなら、俺は何も言えないだろ?わかったよ、でもな?ラギン。本当に良いのか?もし、お前がこのままこの場所で生き続けたいって思うならそれで構わない。お前の決断を尊重してやるよ。それでだ、ラギン。ここからは俺がお前を護っていくよ。何があっても絶対にな」

「ああ、頼らせて貰うよ。それじゃ行こうか」と言葉を発したラギンに対して、ラガンは彼の手を握りしめたままで移動を開始したのだ。それから少しして、外に出たアカリとアカル 二人はラギルと一緒になって話をしていたのだ。アガルは、アカリにラガン達の元を離れるように指示を出すが、アカリは「なんでそんな事をしなければならないのか」と言ってしまい。アカリはラギルに対して詰め寄ろうとするが。しかしアカリはそこでカガによって、アカルの元へと引き寄せられる。その際にアカリはアカルを殴りつけるのだが、それがアカルにとって予想通りの出来事なのかは定かにはならなかったが アカリの行動を見て

「ふむ。やっぱりアカリはそっちの方が似合っていると思うんだ。ラギンの傍に居たい気持ちはわかるけどね」

その発言に対してアガサカは、カガリが自分に向けて殺気をぶつけてきていることを確認すると、アカルを自分の方に抱き寄せつつアカリの耳元に顔を近づけて小声でささやくのである

「ラギン君を助けようと思ったとしても私達にそれを止める術はないよ。むしろ彼がラギン君の為に行動を起こしたとしたならば。私達はラガ君の手助けをするべきではないかな?」と言われてしまうとアガサカもそれを受け入れざる得ないと考えてしまい、そのまま引き下がることにしたようだ。それからアガサはカガに向かって話しかけていく

「ねえ?私からもお願いしてもよろしいでしょうか?アカリがどうしてもラギンさんの傍に行きたいという願いを聞き入れていただきたかったので。だから貴方の頼みを受け入れるのは問題無いのだけれど。アカル様のおっしゃったとおり、ラギを助けるためにはそれなりの犠牲が必要なはず。それでも私はラギンの力になりたいと思っているのだけれど、貴方の望みは何?」

そんな質問を投げかけられたアカリが答える前にカゲロウが

「なあなぁアカル。ラギンとアガちゃんの事をラギンに話さなくてもいいのかね?それとアガリはどうするんだい?これから先」と言うと

「う~ん。私はさ、とりあえずラギンに幸せになって欲しいからな。まぁでもカガには悪いと思ってはいるよ?でもなぁあいつはもうどうしようもないから」と苦笑いを浮かべていた。それから彼女は少し考え込むようにして、再び言葉を漏らした。そしてそれを聞いたアガサは何かを理解したかのように表情を変えてから口を開いていったのだった その日は特に何も起こることは無く無事に朝を迎えてしまう。それというのもやはりあの男の能力が影響しているらしく魔物に襲われることが無いらしい そして俺とラギアさんはこの国の姫であり王女であるルーシスさん達に連れられて街へと向かうことに ちなみにこの街の名前はアルムというそうだがその名前を聞いて思い出すのが以前聞いたことのある名前の都市だということだが、その辺の記憶が曖昧な

「そう言えばですけれど」と言い出したラギンに対して俺は疑問符を浮かべると

「えっとラガンさんのお父さんはお元気なのですか?」とラギンが言うのだが。その言葉に対してラギルさんは少し困ったような表情をして答え始める

「ラガ父さんが生きていることは確かだと思うけれど。俺は知らないな。でもラギン。そんな事聞いてきてどうしたんだ?何かあったのか?心配ごととかがあったりするのか?相談したいことがあるって言うのなら遠慮なく言ってくれよ」と言うのだが

「いえ。何でもないんですよ。僕はただ気になってしまっただけで。それよりも僕と姉ちゃんで料理を作ってみたんです。皆さんで召し上がっていただけますか?」とラギンは言うと、俺の分以外の食事を皆に配り始めてくれる そして俺の前に出された食事なんだけど。なんか凄まじく美味しそうな感じで思わず喉が鳴ってしまう それを見ていたラギルが

「へぇ。ラギンは意外と器用な奴なんだな。よしそれなら早速食わせてもらおうじゃないか。ほらラガンお前も」と言われてしまって仕方なく食べる事にする 一口食べてみると味の深みを感じることが出来てこれは本当に美味しかった。そう

「これめっちゃ旨いな。こんなに上手く作れるなんてラギンは才能があるんじゃないか?」と褒めると ラギルは微笑みを浮かべながら「だろ。実はなラギンのやつこう見えてかなり腕が良いんだよ」と教えてくれた

「それってどういう意味ですか?」と聞き返した時にラガンさんが口を挟んできた「こいつはですね、アギルのところで修業をしていたみたいなんです。なんでも師匠はアギルのところの執事でかなりの実力者だという話ですよ」

そんな感じに俺に説明をしてくれて、それからラギンが「い、言っておきますけど。アギルのところにずっと通っていましたから僕の剣の腕はかなりのものだとは思いませんか?一応それなりに強いんですからね」と胸を張るのだった

「ああ、それはわかっているって。お前が結構強者なのは見てわかる。それに俺達だってそんなお前に護られているんだ。ラガのやつが居ない時にさ」とラギルが口にすると

「それって、あれの事?でも、それってさ。別に俺に頼らなくても大丈夫なんだよね。それなのに何でラギル達を連れて行ったんだろう?」と首を傾げてしまった。そしてその言葉を聞いていた俺達は全員が同じ反応を見せていたのであった 朝食が終わった後に少しばかり時間が過ぎていった頃 俺とラガンは城の外に向かって歩いている。ラガは「少しくらいの散歩なら構わないだろ」と言って俺の手を握って歩いてくれた そう

「今日くらい良いだろ。ラガンはさ。アガルに会えてうれしかったんじゃ無いのかよ」とラガンが言い出して俺は

「そうだけど、それでもさ。お前との時間を過ごしたいって思ったんだよ」

そう言われてしまうと、嬉しく思ってはいるが ラガンと二人で街の外に出てみる事にした。

「なあラガン、俺とさ、一緒になって良かったと思えるか?」

俺の言葉に対してラガンが答える前にラ

「そんな事を言わなくても俺の事は理解してくれるだろうけどさ。俺はさ、ラガンと出逢う事ができてよかったと心の底から思ってる。ラガには迷惑をかけたとは思ってはいるんだけど。それでもさ。やっぱりさ、お前と一緒に旅がしたいって思うから。俺はラガと一緒に行動することに決めたんだ」と言ってくるのだが。俺としては何も文句を言う気なんてなかったから「そうか。じゃあ、一緒に行こうぜ」と言ってラガンと一緒に街から抜け出すことにする。そしてラギ達が泊まっている宿に向かうのだった。

「おーいラガの坊っちゃん、おはよう」と言う声に反応して

「あぁラガン君にアカリちゃんじゃないかい?あんた達も買い物かい?」とおばさんの声 その人はアカリのことをよく知っているようでアカリの方を見て笑みをこぼしていた ア

「こんにちは、おばさま 少し食材を買わなければいけないなって思っていたんで買いに来たんですが ここの店は良い品揃えをしていますよね?私の故郷にあった店の物よりも品質が高い物が揃っていますよ!」と言って店内をぐるりと回って商品を吟味し始めた。その様子を見た店主は苦笑いをしながら

「ラガの坊主はいつものように買い物をしているだけだっていうのかねぇ。この国の王様は本当に変わった人だよな」

「うん?どうしたんですか?」と言ってラギルが話しかけてきた ア

「ラギルか、お前もこの国に来てたんだな」

アカリが楽しそうに食材を選んでいる姿を横目にしながらラギアさんがラギルに声をかけるとラギアさんはラギの後ろに居たので ア

「よう!アカル」

アカルが「おう、ラギンの親父。相変わらずアカリと一緒なのか?お前らは本当に仲がいいんだな」

「ラギンは今どこでどうして居るんだ?」と聞くのと同時にラギアさんの隣を歩き始めた ラ

「僕は、アガルさんと話をしてくることになったんですよ。だからラギンさんはここにいないです」

アカリの荷物持ちをしていたラガンがアカルの質問に対して答え始めると アカリが手に持っていた大量の荷物を持ち始めて、それをアカルに押し付けていた。

それから二人は会話を続けていたので俺はその間にお婆さんが言っていた事を考えていた。そして俺は少し考え込んでいたがアガリが近づいてきて、

「アカリさんってラギン君の事をラギンさんって呼ぶのかな?」と話しかける アカリはその言葉を聞いて首を傾げた アカリに話しかけようとしたアガリだったが先にアカルによって話しかけられてしまうのである そんなアカリとラギンの関係を知ってしまう出来事があったのである ラ ラギとラガは街中の散策を終えて、宿屋へと戻る。しかし

「アガルの奴は戻ってきていないな。まぁそのうち戻ってくるか」とラギル

「それなんだけど。俺ちょっと気になっちゃう事があるんだよな」

ラガが呟いたその一言を聞き逃す

「何か気になることでもあるのか?ラガは」と聞かれた瞬間。アカリが現れて二人の間に入ってくる。

そして彼女は笑顔で「はい、私は気になります。あの人達は何なんでしょうか?」と言うのだ その問い掛けに対してラギルは何かを考えるような仕草をして ラ

「俺達の仲間じゃないよな?それにこの街で何か事件が起きている訳でもないみたいだし」と答えてし そしてそれに対して何か考え込んだ後に「そうだな、取り敢えず様子見で様子を見に行くぞ」

「俺達も行くぜ」とラギルに便乗するようにアガルも口を開いてしまったのである

「分かったよ。じゃあ付いて来てくれ。もしかしたら何かあるかもしれん」

そう言うと四人で外に出て行ってしまったのである。残されたラギルとラガの2人は顔を見合わせて困った表情を浮かべる ラ

「アダルさんって、昔からあんな感じなんだよな。何て言うか 良く言えば頼りがいがあるって言うかさ」とラガンが口を開き始め ラ「それに関しては俺も同じ気持ちではあるな」と言い返すのであった そんなラガンの言葉にラギルとラガが同時に答えていた そして二人が部屋から出ていくとそこには、いつの間にやら戻ってきたアガレが扉の前に立っていたのである そんな彼の姿を見て、ラガンは驚きながらも「おかえり、アガル」と言った ラガは、俺達に挨拶もしないでそのままどこかへ出かけてしまったアガルの背中を追いかける様にして その後に続いて、アガトの事をラギルと二人で見送りつつ俺達

「あのよぉ。なんか変な感じがするんだ。もしかしてあいつの言っていたことは」と言うラガンに対して俺は何も言うことが出来なかった

「とにかくラガの奴のところに向うぜ」そう言って俺達は宿の外に向かった 俺達が外へ出て行こうとするその途中で、突然後ろから声をかけられて振り返ると そこに居たのはルーシスであった ル「アガルは?」と言うルーシスは焦りを見せながら聞いてきた ラ「ラガルさんはさ、何処かに出かけたんだけど。それがどうかしたのか?」と聞き返したのだが。その問いかけに対する返事を聞くことなく、俺達の目の前を素通りしてしまった そんなルーシスが去った後、俺とラガン

「どうやら何かありそうだな」と二人で相談しているところにラガとラギルとアサリの三人が合流してきた

「ラガとラギル、それからアサルにアリン。お前等もルーシスを見たか?」と聞いたら三人共、同じことを言ってきて。さらに、ラギルが俺と

「ラガス、俺の予想だが」と前置きしたうえで、「あの男は多分。魔族側だ」と口にすると、俺は「俺も同じ意見だ。でも確証がない。でも気になるのなら」とだけ伝えて その場からすぐに移動を始める。向かう先はアガルが帰って行った方向に向かって走る。その途中にラガンに話し掛ける

「アガンの居場所は分からないか?」

ラ「俺達にもわからない。だから手当たり次第に走り回るしか」と 言い終わったタイミングでアガルを見つけた。その後ろにアガルを付け回す人物も一緒にいる事に気がついて

「ラガン、俺達だけで行くぞ。アガルを助ける」と俺達はアガルと謎の男が居る場所に向かう

「お前はそこで待っていろ。もしもの事が起きた時のためにな。あと、その時にアガリとルーシスとラギとアカルの4人も呼んでおいてくれないと助かるが」と言うのであった そして、俺とラガンは二人で

「おい、お前。アガンに何をしようとしているんだ?何の目的でこんな事を繰り返している?」とアカリがラガンを護るようにしながら そう言った。そして、俺の質問に対して答えた。

ラ「俺はただこの国にいる魔王を倒してもらいたいだけだ」

そう言い放つ男に対してラガとアカリが攻撃を仕掛け

「アガン!早く逃げろ!」と言ってくる

「いやだ。俺はラガンと一緒に最後まで」と言い返そうとしたところで ア「いい加減にしなさい。あんたみたいな雑魚は、さっさと私達の前から消え失せればいいの」と言ってアガリ達が姿を現した アガリの奴はラギンの方を見て「なぁラギン、あんたにはこいつ等を倒して欲しい。あんたの力が必要になったんだ。協力してくれるな?」と頼んでいる。ラギンはアガリの方を向いて「うん、分かったよ」と笑顔をアカリに向けた。そんなラギを見てアカリは顔を

「は?え、ちょ、ラギン?どういうこと?」と言うとラガンは「俺も良く分かってないんだけど。とりあえず俺もラガンについていけばいいの?」とアガリに対して訪ねていた ア「アカン!こいつはお前らの味方ではない。騙されるんじゃねぇぞ!」と叫ぶのだが

「アガリ、もう俺は覚悟を決めたんだよ。例えどんな事が待っていたとしても」ラギンのその一言に、その場にいたラガンを含めた6人全員が息を飲むことになる。そんな中で唯一アガリだけが冷静に状況を確認していた。ラガリの瞳に宿る強い決意を感じ取ったアガリはその瞳の奥にある光を確認する ア「どうするつもりなんだよ?」

アガリが質問をした次の瞬間、ラガンはラギに「なぁ、頼むよ。お前にしか出来ないことだ」と話しかけていた。それに対してラギが反応を示すとラギはラギンのことを見ていた ラギンはアガルに近づいていく ラギンのその行動を眺めながらアガリとラガンの二人だけはお互いの考えを読み取っていた。しかしラギンの行動を止めることが出来ないまま そしてアカリはラギンを止めようと駆け出そうとしていたのだがラギによって阻まれてしまって身動きが取れなくなってしまい、その様子を見ているしかなかった ラギンがアガンの体に触れるとそのアガンの体が淡い光の粒へと変化をはじめていく アガンは、

「これでようやく。ラギアの息子に会うことができるよな」と言い残した そんなアギンをアガリとラギルは、ラギンを黙った見続けていた ラギアさんは何かを考えていた

「俺はアガルを倒す。俺は、あの男に勝つ必要がある」そう呟いたラギアさんの表情を俺は見ることは出来なかった ただ、その声に俺は震え上がってしまっていた。そしてそんな俺の反応が気になって俺

「どうしたんだよ。ラギル、大丈夫か?」と聞くと ラギは「ああ、問題はない」と答えたのである。その声が少し震えていたように聞こえて、そのせいか、その顔を見つめていたら アカリの顔は真っ青になっていた

「お、俺。嫌だよ。なぁアガンを助けてくれ」とアカリが泣き崩れて しまったのでアガルはアカリを抱き締める アカリがラギに抱きついている光景を見ながらラギリもアガルと同じように

「俺も、あいつと戦いたくはないが」と言っていた そして、ラギルはアカリとアガルのことを見比べて「あいつは敵だ。それにアカルの気持ちもよく分かる。だが今は俺達には、それを決める権利が無い。だから」と言う そしてルーシスはと言うとラギンの事をずっと睨み続けていて、アカルはと言うとルーシスの後ろに立っているのが見えた 俺達の中でただ一人、ラガンだけは、そんな様子を呆れた様な様子を見せていた。ラギルがルーシスに声をかけようとすると ル「そんな事を言うくらいだったらとっとと殺せば良かっただろう。なのに、今さら情に流されたのか?それともラギンと同じ様にあのガキに同情でもしたのかよ。どちらにしろ、貴様のそういうところが俺は気に食わないんだよ。ルーシスをなめんな。ルーシスにだって感情はあるんだよ。ルーシスはラギンの事を殺したくてしょうがなかったんだよ。その想いが、ルーシスにもあったんだよ」と 言い放ち、俺達は全員、何も言えずにただ沈黙を続けるだけだった ラギルが「取り敢えずここから逃げるべきだな」と言って、その場から離れる そしてアガロが「じゃあな。アガリアにラガン」と別れの挨拶をして去って行くと ルーシスが「ラガン!アカルはどこへ行っちゃったのかな?」とルーシスが言って俺とアカリのことを見るので ア「俺なら、ここにいる。けど俺はお前と敵対するつもりは無いよ」と伝えた アガルのことはラガが背負ってくれたので俺

「俺達が目指しているところがあるんだけどさ、そこに向かってくれないか?」と言うと皆一様にうなずきながら了承して付いて来てくれたのだが。俺達はそこで驚くべき光景を見ることとなる ラ「なんだ。ここは!?こんなもの初めて見たぞ」

俺達の目に入ったものは巨大な樹木の中に存在する大きな空洞だった

「この中には、アラルがいるはずだ」とラガンが告げると

「この先には私一人で向かいます」とアガリが宣言するのであった アガリは中に入ると奥の方まで進んで行ったのであるが、しばらくすると急に地面の下に向かって降りていったかと思うと すぐに戻ってきたのであったが。アガレの手には一人の女性の姿が握られていた

「私は、この人を救えなかった」

「お前の言うとおりにするから早く、その女を解放してやれ。お前がやった事は許されないかもしれないけれど。せめてこの人が救われることだけでも」

とアガリに対して懇願しているとアガルは、ルーシスの腕から離れてラガンとアカリとラギアとアカリとラガを引き連れて歩き始める アガリはラギに対して話しかけてきた

「あなたに聞きたいことがあります。あなたのお父上は誰なのですか?あの男は私よりも年上に見えるのですが、あの男はいったい?」そう尋ねられたが俺は答えようがなく、答えられない 俺はその問いに対して答えることが出来なかったのだ。だがアガリが次に問いかけてくる前にアガルの姿が見えなくなり

「私もそろそろ限界です。後はよろしく頼みました」と口にした後 その場に倒れ込んでしまうのだった ラガがアガルの事を心配するが、ラギンはそれを見て

「俺に任せろ」と言い放った ラギンはそのまま進み続けるのだが。ラギはその様子を見ている そしてラギンは「なぁルーシス。ちょっとの間だけアガルを預かっておいてくれるか?それと俺の質問に対して嘘をつかず、正直な話だけをしてくれ。あと。アカルはどうした?」と言い終える ルーシスは

「うん、わかったよ!あとねあとね。私の質問に全部ちゃんと答えてくれないと嫌だよ!それでね!」といつも通りの調子に戻り そのままアガリを連れて行きながらも、まだ余裕があったらしく、俺とラガと一緒にアガリが消えていく所を眺めていたら いつの間にやらルーシスとラギの姿が見当たらないことに気づいた。俺はそのことに気づくと急いでその場所に向かうのである

「ルーシスとラガの二人が居ないんだけどさ。二人共大丈夫だと思うか?」と尋ねると 俺達が向かう場所に向かう途中の廊下で倒れている二人の姿を見かけた時に

「あれっ?あいつら生きてたのか」と安心する反面で、「あいつらの実力ではそう簡単に死なないと思ってはいたのだが、一体どこにいったんだろうか?」と不思議にも思ったのだったが、今はラギンを案内するのが先決だと、意識を集中させることにする それからしばらくしてラギが俺達の前に現れたのである ラ「どうやらラガはもう、俺達のことを信頼してくれるらしいぞ」

ア「アガン!アカル!アガンの奴を頼む」

アガルはルーシスに連れられて何処かに行くのだが アガリの奴に捕まったままであり。ルーシスがそれを見ている ラギンがアガルを俺達に託すと ア「アガルをお願いします」と言うのと同時に

「ラガンは俺に着いてこい」と言われて、その言葉に従う そして俺はラギンと共にある建物を目指して進むことになるのだった ただラギンについて行ってるだけの俺はふと思ったことがあるのである その建物の前に到着した俺とラギンは中に入ってみると。そこは書庫だった。

「ここにはな、いろんな本が有るんだよ」ラギンが本棚を見渡した後に、そう呟くのである そのラギンの姿を見て、アガリのことを思い出してしまった。あいつはラギンのことをラガンと呼んでいたが それはどういう意味なんだろうと考えていたのだが「まぁいいさ」とラギンは言う

「それよりも、ここに俺の目的の物があるみたいだな」と 俺のことを放置して、目的の場所に着いたラギン そして、そこに在ったものは一枚の紙切れが残されていたので。

それに目を通していたのだが

「ラガン、悪いが少しここで待機していてくれ。ラギリは俺の側に居てくれないかな?」とラギに声をかけて 俺達を残してどこかに行ったラギンが帰ってきた時には大量の武器を抱えていて、その手に持っていた 剣を俺に手渡してきて「これを持っていろ。そしてこれを」と言って、俺とラギリの前に一つの巻物を置いくのだった。そこには、

「ラギン、俺を信用しすぎじゃないか?もしこれで裏切られても知らんぞ」と冗談めいたように話すと

「俺は、絶対にラギアを敵に回すようなことをしない。俺は親父の事が大好きだったんだ。だからこそ。俺は、あいつを倒す必要がある。そうしなければこの国はどうしようもない。だから、そのための力を貸してくれ。ラギン」と そう言い切った後 俺に背中を見せて、そのままラギに ラギンが何かの詠唱を唱えるのであった すると、ラギンの周りに炎の球体が現れていき、それが次第に形を形成していく

「これが、この世界を滅ぼす為に作られた兵器。『煉滅の剣』

そして俺がラギアを倒す為に必要である、力」そう言った そしてその光景を見届けた後 俺は「ラギ、行くぞ」と言って走り出す その声に、

「待ってくれ、もう少し時間を。もう少し時間が経てば、あいつらを倒せるはずなんだ。そうしたら俺は」ラギはそう言うのだが、俺の気持ちは揺らがなかった 俺達は、その部屋を出る際にアガルのことを忘れていたが、ラギンにアガリの場所を聞いて。その場所に向かってみることにする そして向かった先は地下にある牢獄にたどり着くと。そこには一人の男がいたのだが ア「あ、アガル。助けにきてくれたのですね」

と笑顔を見せる 俺が「なに笑ってんだよ」と聞くと

「えへへ。嬉しいな。アガルが来てくれたことが。私は本当にうれしい」

と、アガルは嬉しさ

「ふざけんな。何が楽しいんだよ。俺がどれだけ心配していたと思っているんだよ。俺はずっと、アカリの事もラガのこともルーシスのことやラギやラギの仲間のことも。俺自身のことですら。俺には何も出来なかったから。だからお前だけは救いたいって思っていた。なのにお前ときたら。どうして、俺の前ではいつも」

と涙を流して。俺がアガルの事を抱きしめてやると、アガルも俺のことを強く抱きしめ返してきたのである ア「アガル。貴方とラガにだけはこの姿見せちゃうけどさ。実は、私がラガの母親なんだよね。アガルとは姉弟なんだけどさ。アガリアに殺されかけたところを、アガリアをこの世界に封印することで難を逃れたの」と そんな衝撃の事実を知ってしまい、ラガルもラガも俺と同様に、驚きを隠すことができない ラガは「俺の妹なのか?ルーシスさんとこの子って」と アガルは「そうなるね」と言い ルーシスは、 ルーシスに「ルーシスと私のお姉ちゃんが結婚してくれたおかげで私は今があるんです」と言っていたのだが ラギはただ一言

「お前、やっぱり馬鹿か?」とだけ言って。その言葉を耳にして笑っていると 俺の方を向いてくるルーシスと目が合うのだけれど そのルーシスが微笑んでくれた後に、こう口を開く ルシアが「アガルちゃんは本当は優しいのに。いつも強気な振りをしているんだよ?私にもそういう時がたまにあったからさ」と言いながら。ルーシスはルーシスの頭に自分の手をおいて撫でていたりする ルーシスはルーシナの事をとても大切だと思えるほどには好きでしたから。ルーシナは私にとって家族であり。妹みたいなものでした 私も、ルーシンお姉様の事を大切に思っていましたので。お姉さまのお願いならと 私は喜んで、アガルちゃんと二人で一緒に暮らしていました。アガルちゃんが私のために作ってきてくれるお菓子はとても美味しくて。

ルーシンは、「ルーシーナ。また太った?」と言われてしまいますが、気にしないことにしましょう ラガルがルーシア

「なぁ。ラガリとアガルさんが本当の親子だって事は理解したが。ルーシスの姉がアガルのお母さんだって?それはどういう事だよ?ルーシス」と言うと ラガルがルーシアに対して、アガリの母だということに違和感を感じて。ルーシスに対して尋ねてきた

「ルーシス。あんた、アガルは私の母なの」アガルがそう言いだすのだが ルーシスはアガルのことをギュっと力強く抱き寄せてあげるのだけど「でも、大丈夫。アガルは私の大切な娘。それは間違いないよ。アガルちゃんが困っていたら今度は私が助けてあげる。それくらいしかできないかもしれないけれども」

と口にした

「ねぇ。ルーシスはなんで。そこまでしてくれるの?」とアガルはルーシスがどうしてここまで自分を助けてくれるのかを、不思議にも思ったようで、 その言葉を受けて、ルーシスは「そうだね。私ってね。結構なお節介焼きだから、それでね。ルーシカっていう友達のお陰で、私は救われているんだと思うよ。ルーシカのおかげで、私という存在がこうしてある。そして、私のせいでルーシッカは命を落としてしまった。私はその罪を背負わなければいけないんだ」と言うのであった ルーシはね、ルーシンカと一緒だったの ルーシスカの奴が、ルーシクと一緒になってくれたのは嬉しかった ルーシはね、ルーシッハが好きだったの ルーシクは優しくてね、とっても

「あのさぁ。ルーシスとラガが姉妹関係な訳だが。そっちの娘は誰だ?お前の親戚か?」とラガリは尋ねるのだが ルーシアはその問い掛けを無視して、アガリのことを見つめて「貴方は一体何をしようとしているのです?アガリ君?」と問いかける

「僕は、ラギリに頼まれただけだからね。ラガリを止めてほしいってさ」アガリがそう答えるのである アガリアは自分の目的を達しようと必死になっていたのだろう。だからこそ。彼はその答えを口にしたに過ぎない ただその返答を聞かされただけでルーシスは怒りを覚えたようだし。俺としても少し思う所があったりしている アガリ君はルーシア

「アガリア!アガルを!ルーシャを傷つけた貴様に!この俺の怒りを受けれる資格などある筈もない!消え失せろ!」と言い放つと ラギンに剣を借りた俺は ア「俺は!お前を殺す。アガリア!!」と叫ぶ そして俺とアガリアの戦闘が始まる ルーシスの放った氷結弾はラギンの頭上から襲いかかってくると アガリはそれを右手で受けようとするのだが それを阻止しようとするのだが。

ラギーの手が触れる直前になって、魔法は掻き消える ラギンがラ

「おいおい、危なかったぜ。今のは、俺じゃなきゃ死んでいたかもしれねえな」と呟く そしてラギンに攻撃を放ったルーシスとルーシスの事を背後で支えるように立っているルーシアとルーシアが抱えられているルーシスは「貴方、どうしてここに?」と 驚くルーシアと「えっ!?ちょっと。貴方。どうしてここに?」とルーシア

「どうしてこんな所に居るのですか?アカリ」

ルーシスはルーシンのことを見て驚いていた

「ルーシンは私の名前ではありませんよ?アカリ。私のことは『ルーシア』と呼んでください。私は『ルーシリア』です」とルーシスに向かってルーシが言う アガリに攻撃を仕掛け

「アガリア!!俺を殺せば。この世界を滅ぼせると思ったか?」と俺に向かって叫び声を上げると 俺をアガリと間違えているのか俺に向けて炎を放とうとした時に「ちぃ。アガロめ。余計な手を出してきやがったな。まあいい。邪魔をするのであれば殺す。アガレ、いや。俺の弟よ」と、俺に話しかけてくるのであった アガルの母親はルーシスの祖母に当たるのであるが ルーシアは自分がどうしてこのような力を持っているかが理解できなくて

「お父様。私に何の恨みがあるんですか?」そう言いながらも ラギアから繰り出される攻撃を凌

「ルーシスちゃん。もういいからさ。早く逃げな。私が時間を稼ぐからさ」そう言うと ルーシアのことを後ろに投げ捨ててからラギアに斬りかかって行く ラギアの攻撃はラギアの持っている槍によって防がれてしまうのである アガルもラギアと同じようにラギの事をアギトと呼んでいたりする そしてラギアはラギに向かって「アガレ」と呼び掛けるのだが アガリアはルーシアに向かって「俺の目の前にいる女は何者なんだ?俺達のことを、俺とルーシを裏切った。俺の兄であるはずの男。俺はアガリアのことが分からない。お前は本当に、この世界を救うためにやってきた勇者なのか?違うだろう?アガリアよ」と言った後、ルーシスが持っていた魔杖を自分の方に向けさせながら ルーシスは、

「私は確かに、勇者の力を手に入れました。でも。この力を望んだのはこの世界で生きる人たちなのです。それに私には愛する人がいる。そんな人達を見殺しになんか出来ません」と言うのだけれど

「ラガリアが何故、俺のことを弟だと認識したのかは知らんが。俺が兄だとは認めた覚えはない」と言って。

ラギのことを睨み付ける ラギとラギの仲間達が ラギの後ろ側に回り込んで、ラギを捕らえようとしたのだけれど ルーシアのことを見ていたルーシがラギリに

「貴方がアガリアを操っているのでしょう?私には分かるのですよ。貴方の心の中には。悲しみ、後悔、苦しみが詰まっている。貴方も辛いのですね」とだけ伝える するとラギアがラギを羽交い絞めにした後に、 ルーシアにラギとアガルの二人を人質に取らせる ルーシアに「さて、どうする?お前の大切な者が傷ついてもいいなら。抵抗しても良いが」と言い ルーシスは、ラギとアガルの二人の事を見ながら、悔しそうな表情を浮かべるしかなかったのである ルーシスがラガとアガリに

「お願いします。私の事を守ってくれないでしょうか?」と言うのだけど アガルはラギに対して

「ラギ。お前にだけは僕を助けてくれなんて言わない。でもね。僕は、お前が、僕のお兄ちゃんだと言うのなら」

と、言いながら ルーシスに近づき ラガの事を抱きしめて ルーシスに「ラガに何かあれば。僕は絶対に。僕は、貴方の事が嫌いになりますから」とだけ言って離れると、アガルはそのまま、ルーシアの事を一刀両断にするべく行動を起こすのである。

ラギリとルーシスが

「私達のことを忘れていないかい?」そうルーシスが口にしていると ルーシスが手にしている杖が砕け散った ルーシスの身体が光だし、ルーシスが光の塊になっていくと。その光の粒が集まりルーシスの姿を形成して、元の人間形態に戻る ラ

「ルーシアのその力はなんなんだい?」と尋ねる ルーシスは

「私は女神ルーシカの生まれ変わりと言われている存在。でもね。今は『ラキア 』っていう名前で、ルーシス アガリの妻として生きているのよ」

と、そう口にした それを聞いたルーシスは、「ラギちゃん」そう口にしながらラギリの胸の中に顔を埋めて泣き始めてしまったのだけど アガリがラギリの方へと近づいていく ルーシスを庇うようにして前に立ち塞がって ルーシスとラガリの間に立つ そのルーシスの前に立つラギンとルーシリアが

「ルーシスは俺の娘だ!俺の妹であるお前らには渡さないぞ!」と言うとルーシスが「あなたたちは誰?この二人は誰なのです?」と言うのだけど 2人は「俺らはルーシスカの息子だよ。お前の父さんのな。ルーシャと一緒だっただろ?」「えぇ、ルーシャは私達にとってもう一人のお母さんみたいな存在でしたものね。ねぇ?」と2人で話していたら。突然現れた黒い影のような魔物に襲われていたのだが それをなんとか倒し切ることに成功して、ラギーたちと一緒に ラキリの所にやってきている 3人を見ていたルーシスは 自分の中にある神力とやらを上手く扱うことができないために困惑してしまう ただでさえ魔力を使うことが出来ない状態になっているというのにね アガリアが作り出した幻影の世界に 囚われている間にラガや

「貴方達はいったい?誰なんですか?」とルーシスは聞いてしまうのだが ラギが「俺はルーシだ。お前の母さんは俺のことを愛してくれた。それは間違いじゃない。だがな、俺はお前のことも大切で。大好きなお姉ちゃんだったんだぜ?」

ルーシが「私だってラギのことは大好きでしたからね。今だってそう。ずっと一緒にいたかった。私のことを見守っていて欲しかった。私の力では貴方を守ることが出来なくなっちゃいましたから」と悲しげな笑みを浮かべた後に「ラギリちゃん。貴方にこれを預けましょう。私とルーシス。そしてラギアの三人が使っていたこの魔杖を。この魔杖が壊れない限り私はまた。貴女に会いに行くわ。だからラギア。この子を頼んだよ。ルーシスも。そしてラガリ君。貴女も気を付けて」それだけ告げてから。彼女はラギアの頭を撫でるとそのまま。アガリアの作った世界に閉じ込められているラギリ達を残して消えていくのであった ラギアの意識の中へ。

アガリアの生み出した世界は、 アガリが作り上げた偽りの夢でしかないの

「ルーシアは俺のものだ!!俺とルーシの為に作られた世界で俺はルーシアを妻にして幸せな毎日を過ごす。ルーシス!!こっちに来い!!」と アガリアがそう叫んだ時。アガリアの周りに魔法陣が構築されていき

「貴方の魔法がどれだけ素晴らしいものか。貴方自身に見せつけてあげる。私の夫に危害を加えた罪を償わせてから殺すのよ」

そう言うとアガリアに魔法を行使し アガリアがアガロと間違えていたのも無理はなかったのだけれど

「ルーシスは俺だけの女なんだ!!誰にも譲らないし渡すものか。俺はアガリア。俺は魔王アガリアだ。ルーシア。お前がルーシと同じような姿になっても。俺は気にしないから」

アガリアがそう言った直後に ルーシスはアガリアを蹴り飛ばしてから

「この世界の全てを破壊しつくしてやる。お前の全てを奪えば私はお前の一番になれる。私が幸せになるにはそれが正しい選択。さぁ?お前はどうしてルーシを手放すことが出来たの?」

と アガリアに向かって

「俺にそんな質問をしてどうなるんだ?お前がルーシスの本当の母親だとしたらどうなるんだ?お前の本音を知りたいと思っている。それに、どうしてそんなにも強くなったんだ?俺の記憶の中にはそんなお前はいないんだが」とだけ答えた後、アガリアは「アガリアは死んだんだ」そう言ってから ルーシアに向かって

「俺は死ななかった」と言うのと同時にルーシアに向けて 雷属性の攻撃を放つ アガリアの攻撃を避けようとしても避けられなくて。まともに受けてしまうルーシア。

アガリアがルーシアに向かって手をかざした瞬間。アガリアの手元から黒い鎖が現れて、ルーシアのことを雁字絡めにし拘束していくの アガリアが放った雷撃はルーシアに当たらなくて

「ちぃ。逃げられたか」

ルーシアは、ラギアが作っていた世界を破壊することに成功するの アガリアがルーシスの事をルーシスと呼んだ時に、ルーシスは自分の事をルーシと言ったり、アガリアのことを呼んだりするのだけど、どちらも同一人物である事を理解していないみたいです そして

「お前にはルーシスを救えなかった。ルーシスを殺せればルーシスは戻ってくる」とアガリアはそう言いながらルーシスを追いかけようとするのだけど アガリアのことを見下すような表情をしたラガリに剣を突き刺されるのである ルーシスがラギアが作り上げた世界で

「貴方が私を殺した。私は貴方が許せない。貴方だけは、私の手で殺したい。貴方が私に何を望んでいるのかなんてどうでもいい。ただ貴方を殺す。それだけ」

ルーシスのその言葉が アガリアの心を折ってしまう アガリアがラガとルーシスに対して 攻撃をしかけるも ルーシスがルーシスのことをルーシスと呼んでいるのを見て

「お前に殺されるくらいなら。お前をここで始末してしまおう。ルーシ。愛してるよ」と口にするのだったけど ルーシスが

「お前はラギア。お前はラガではない」

ルーシスはアガリアの攻撃を受け流し ルーシスの反撃で致命傷を受けて。倒れこむのだけど ルーシスはラガに止めをさすことなくその場を離れると。

「ラギア。ラガとラガリ。どっちなの?私にはまだ分からない。お前は、本当にラガなの?それとも、別の誰か?」

ラギとルーシスは お互いの拳をぶつけ合って お互いに抱き合いながら 涙を流し始めるのだけど ルーシスから溢れ出した神力とやらが。ルーシ

「私はもう疲れたわ」と言うと共に。その場に膝を突いてしまう そしてラギの方を見つめると、「貴方だけは。最後まで生き残ってくださいね」と言い残してから目を瞑った後に、その体を光に還らせて、光の粒子となって消えてしまったのだけれど。ラギアの手の中に残されていたのは一つの魔杖だけだった。ラガとラギリはルーシスの死を受けいれられずにいたんだけど、アガルがルーシスと交わした約束を守るために2人のことを引き離すと。「お兄様のその優しさで私はお兄様に甘えていたのですね」そう口にした後 泣き始めてしまいました アガリアとラギの戦いが始まってしばらくした後に アガリがラ

「俺はアガリアを信じるよ」と言ってアガリに寄り添っているルーシの頭を撫で始めたのであった アガリが ラギとの戦いの最中に。

アガリアのことを見下ろしつつ「アガリはルーシスのことが好きだ。俺のことを裏切ったルーシスのことは大嫌いだけどな」と口にしながらアガリの腹を切り裂くのであった。

アガリアとルーシスの物語。それはラギリ達の物語よりも先に進んでいる アガリがルーシスに告白するも。

振られてしまうと言う悲しい結末で終わることになる。

アガリを切り捨てるように。ルーシスがそう言ったのである。

ただルーシスはラギアに好意を抱いており。ラギアとルーシス

「私の愛した人」である

「私はこの人と生きていくことを選ぶ」とまで言っているのであるのだが それを受け入れられずに アガリアは暴走してしまいそうな程に荒れてしまった。その最中に起きた出来事。ルーシスが行方不明になってしまう。その事実を知ったアガリアとラギ達は慌てて探しに行ったのだが結局ルーシスを見つける事が出来ずに終わる アガリアはアガリアとして生きることを決めてから アガリはルーシスとルーシアの事をルーシと呼び続けているのであった そしてラガリは、ラギリとしてラガリアと戦う決意を固めていくのだった。ルーシは「私が助け出す。だから心配しないで。待っていてねラガ、ルーシス。必ず貴方達を救い出して見せるわ。だって。私の大好きなお姉ちゃん達なんだからね」と口にしたのであった ラギアが作り上げた世界で。

アガリアとラギは対峙することになるのだが

「アガリアとラギリ。お前はどちらか1人だけしか助からないんだぞ?」とだけアガリアが言うとラギの返答を待たぬまま。攻撃を開始するのであるが。ラギリはそのアガリアの攻撃を避けながら。「ラガリアさん!!貴方は、貴方の心の奥底にある思いに気付かれたんですよね。ルーシアさんの本当のお父さんだって事に」そう口にするとアガリアの足を止めさせることに成功したのだった

「ラギリ。お前に俺を止めることは出来ないんだよ」アガリアがそう呟いた瞬間。アガリアの周りに雷が落ちてきて。その雷をもろに受けるとそのまま倒れ

「アガリアさん。貴方の本心を教えてください。私はルーシスさんとは会ったことがない。けれど、アガリアさんとルーシスさんの関係は知っているんです。アガリアさん。ルーシスさんの事が好きで好きで仕方がなかったんじゃ無いですか?私はルーシアさんの事もアガリアさん達のことも好き。私はこの3人を家族だと思いたい。ルーシスさん。いえ、ルーシは私が助け出します。だからそれまでの間。どうか生きて下さい」

ラギリはアガリアのことを優しく抱きしめると

「貴方にこんなことを言っても意味が無いのかもしれませんが。ルーシは貴方に殺されるつもりなんてなかったはずです。だからアガリアさんは、アガリアさんを慕ってくれているルーシに嫌われる覚悟を決めてから行動に移すべきだと思います」と口にして、ラギの所に戻っていった。ラギーの口から語られたアガリアの本当の思い。ラガリアがアガリアとルーシアが本当はルーシとルーシスだと知った上で、ラガリアの作った世界はアガリアの想いから生まれたものでもあるの。そんな世界にラギアとルーシスは、アガリとルーシスと一緒に過ごすことでラ

「お前はルーシの本当の父親だ」と言われてルーシスを庇うような行動を取ろうとしていたラギに向かって攻撃を仕掛けたの。その攻撃によってラギアは、ルーシスに止めをさされてしまうの。ラギアがラガリアに対して、自分の意思でルーシとルーシスの敵を取るとそう宣言してからラギアが「ラガリアさんは俺が倒しましょう」とそう言葉を口にしているのだけど。ラギアもラガリアもアガリアもみんな、ルーシスが本当のお母さんじゃないことを知らない そして ラガリアがラギに攻撃をしようと構えを取ったその時に ルーシスの声が響き渡って ルーシスが姿を見せることになるのだけど アガリアと、ルーシスが会話をしている。そんな中で ルーシスが自分の名前をアガリに伝えた時に、ラガリアは、ラギに向かって攻撃を繰り出してしまう。そして、ラギリは、その攻撃を受けるわけにはいかない。そう判断したラガリアの行動により。ラギアもラギアの目の前にいるラギを守る形でラガとラギを護る為に防御に回ってしまう

「どうして邪魔をするの?私はルーシスの事をずっと想っていたのに。やっと、私にも居場所が出来たと思ったのに。どうして?」

ルーシスはアガリアの作り出した世界。そこに作られたラガリアの家の中で目を覚ました時に

「なんで私はここに居るの?ここは何処なの?ラガリ。私はどうすれば良いの?ねぇ。私はどうしたらいいの?」とルーシスはラガリの名前を呼び続けて涙を流す ルーシスは、アガリアのことを睨み付けるようにして見つめた後に「私は貴方を許していない。許せる訳がないの。私に貴方のことを許せって言わないで。私には、まだ貴方のことを愛する資格が私にはないの」

ルーシスがアガリアの胸ぐらを掴み

「貴方が私を殺したのよ!!」とそう言い放つと同時に、アガリアに平手打ちを食らわせるのであった アガリアは

「俺はもう、あの世界で生きる気はない。ただ。ルーシとルーシスのことをルーシと呼び続けるよ。それだけは認めて欲しい」

「ルーシスって、ルーシスの本当のお父さんが付けた名前じゃ無かったの?でも。もう。ルーシの居ない世界で生きていたくなんて」とそこでルーシスは、アガリアの身体を力強く抱きしめると「ルーシは生きているわよ」と言うとルーシスはラギの方を見やる ルーシスの目に映ったラギの姿は。まるでルーシスが知る姿よりも成長しており。背丈が伸び

「貴女はルーシスだったのか?」と言うラギの言葉を聞いてから少しの間があって ルーシスは自分が本当に死んだと思っていたのだと説明したのだったけど。その途中で、「あぁ~あれね!!あれだよあれ!!うんうんあれね!!えへへっ!私死んでたもん!!本当に死ぬかと思ったんだからね!!だって!!私が死なないと、私が消えてしまった時点で、こっちの世界が崩壊しちゃうかもしれないし。それは絶対に駄目でしょ!?」とまくしたてる様な早口になっていくと。最後には顔を真っ赤に染め上げるまでになっていたんだけど その様子を目の当たりにしていた、アガリア、ルーシスは、その様子を見ていて笑い始めると、それを見た、ルーシと、

「アガリア君って。あんな風に笑えるんだ」と言ってしまった

「まぁ。僕達は、お互いの正体を知っているけれどね。ラギリ君は、ラギ達と一緒に過ごしてきたけれど。ルーシスが本当は何者なのかは知らなかったみたいだね。それで、ルーシスは。これからルーシスとルーシは。アガリアのところにいくのかい?それとも、別のところに行きたいかい?アガリアと一緒でなくても大丈夫。ルーシはルーシスとして生きていけば良いんだよ。アガリアは、きっと、ラギのことが好きだから。ルーシスのことを嫌ったりはしないと思うからね」と言って2人の頭を撫でていたのであった 1章の幕が下りると 私は目を開き立ち上がる 隣を見ると私の妹であり、勇者であった少女。その正体であった女性が立っている 私の手を握り締めてくれる女性の手はとても暖かく優しい手つきをしていたのであった

「私達がこの物語に関わってきたことに間違いはなかったようですね」とそう言うとその女性は 私の方に振り返りながら

「貴方はどんな選択をしましたか?」と尋ねてくる それに対して私は答える 私の答えを彼女は静かに聞いていた後に私の顔を見ながら

「後悔してないのですか?」と言われるのである 私は微笑むと「後悔していますけれど」

「けれど」

「けれど今は幸せなんですよ」と そう口にする それからは彼女と話したのはほんの僅かな時間であったのだろうが。私は 私の大好きな人達に囲まれ 私が望んでいた世界を手に入れることができたから そして 私の夢をかなえる事が できる だから。

私が今いるこの世界は。私と彼女が願っていた願いを叶えることが出来る だから。私はこの幸せを大切にしよう。そう思うのであった。

ただ ア

「ん?なんだこれ?おい、アガリア。何かお前宛に荷物が届いているぞ?それに手紙みたいなものも添えられてあるようだから後で確認しろよ」

アガリアは、ラギアから送られてきた荷物を手にしながら、中身を確認する そこにはアガリアが注文した服が一式入ってあり、その中にはラギが頼んでいたと思われる品々も一緒に入っているのが確認できるのだったのだが。ラギも、アガリアに何かプレゼントを送った方が良いのではないかと考え。アガリアの好みを調べ上げており その贈り物を受け取ったアガリアが「ありがとう」と口にしても何も言わず黙って照れくさそうな仕草をしながら頬掻いていたりするのだが。その行動だけで嬉しくなって

「お前は、いつも頑張ってくれているのだからたまにはゆっくり休んでくれても良いんだぞ?俺もそうするようにするしさ」とラギアが口にすると アガリアがラギアの肩を叩きながら

「俺は、俺にしかできない事があるからな。俺にしか出来ない事はきちんきちんとやらないと。ラギ達にばかり任せていられないだろ?だから安心してくれ」

「そうは言うが、アガリアは無理をしてるんじゃないかって皆心配していたんだぜ」と言われてしまうと。苦笑いを浮かべるしかなかったのである そのやり取りは、ラギアの家での出来事。ラギはラガリアとルーシスとラギの3人で会話をしている。

「ルーシスって呼べば良いのかな?私は、ルーシ。ルーシで良いよね。ルーシスのお母さんってことになるわけだし。私がルーシと初めて出会った時の話をさせて貰ってもいい?」

そう言ってルーシスが、ラギーの耳元に顔を持ってくると小声で話し始めるのであるが ルーシスの表情を伺えばその声音には悲しみが混じっており。ラギが、ルーシとルーシスを別けなければ、ルーシは、ルーシリスは死んでしまうことになっていたとルーシスが教えてくれた そう。

ルーシスがラギアに殺された時に 世界が崩れようとしていたと。ラギとルーシス、ルーシスだけが生き残り。ルーシとルーシスの

「貴方は誰?」と言う問いかけにラギアの口を借りる形で ルーシは、その質問に対して、自分の本当の名前を口にしてから。ルーシスのことを指差すようにしながら

「貴方の名前は?私はルーシ。私はルーシス。だから貴方のことは知ってる」とそう言い切ったルーシスの言葉を耳にしてからルーシはラギアに対して攻撃を仕掛ける そして。ルーシスに対してルーシスが

「私を殺す気なの?」と尋ねた言葉に対して ルーシスは「違う。殺しに来たんじゃない。でも。貴方とルーシスが私を殺しにかかって来る。だから私は。ここで死んでおけば良かった。私にはその義務がある。だから私を殺そうとした人を許さないし。私も殺される訳にはいかない。それが今の現状」そう言った後にルーシスは、その姿を消したのである

「ラギア。ごめん。もう私はここに居ても迷惑になるだけだし、もうすぐ。ここの世界に居る資格が無くなりそうだから私はそろそろ消えることにする」

ラギアは、ラ

「なんのことだ?」とルーシスに向かって言うと ルーシスが悲痛な面持ちで涙を流してから。そのまま泣き崩れてしまいそうになると。ラギリの声を聞きそちらを振り向いてみるとそこにはルーシスが立っており そしてラギアはその女性の顔を見て絶句してしまう その容姿を見ればルーシスと全くと言って良いほどに似通っていたから だが。その瞳だけは違っていたのだ ルーシスが紫色であるのに対して。目の前にいる女性の瞳の色は銀色で。まるで鏡写しのように。ラギの事を睨み付けるように見ていたのであった。そしてラギアはルーシの方を向いていたのだが。ラギが、ラギ達の方を向くと、ルーシスは消え去ってしまいラギリ一人になっていた。そんな時だと言うにも関わらず。ラ

「あ、あの」とルーシスは申し訳なさげに、しかし決意を込めたような眼差しをラギアに向けて「お願いしたいことがあるんですけど」と言ってくるのであったが、その内容はあまりにも酷過ぎるものであった ラギ達をアガリの元へと送る為には一度死ねと言っているのと同義の内容であり、それを聞いていたルーシスが、ラギアの前に歩み寄ると同時に。ラギの意識を奪い取り気絶させると、ルーシスは「ルーシスに。もう1つの選択肢をあげて欲しいのです。ラガリアは。この世界を維持することしか出来ないけれど。もう1つだけ出来る事があるはずです」と言う ルーシスは、アガリアから剣を受け取ると共に。その刃を見つめたあとで、「私は貴方が羨ましい。私だって本当は生きていたい。でも。私が生きていたら。ルーシスが私と入れ替わってしまって、また世界が壊れる原因を作ってしまうかもしれないから。それに、私が死ななかったとしても、きっと。アガリアの側にルーシスがいないことを疑問視している人達が沢山いて。ルーシスが死んだという事に疑問を持つ人が大勢いるから。私の代わりに生き続けてほしい。ルーシスの想いを受け継いでくれるのなら私は嬉しい」と言って。アガリアとルーシスは消え去ってしまうのであった それからしばらく経った頃に目を覚ましたラギの前にはルーシスの姿は無く。

ラガリアの亡骸を前にしてラギはルーシスの事を思い出して涙する

「ルーシスはどうしてこんな選択を選んだのだろうか」と思いつつ、ラガリアとアガリアが2人とも亡くなってしまった以上は、残されたアガリアには生きていて欲しいとラギは思っていた ラギはルーシスがアガリアに送った手紙を手にする そこに記されていた内容を見た上で、アガリアは自分の部屋に閉じこもり、そこでラギリから渡された荷物を開封していくと その中にはアガリア用の装備品とルーシスが作ったであろう品々が入っていた為。アガリアはすぐにそれらを身に着け始めるのである そうする事でルーシスがラギアの元に残した言葉の真意を理解しようと それからアガリアは、アガリアとして、自分が今まで暮らしていた世界とは違う。別の世界に行くことになり そこに向かう道中

「ラギ。ルーシスとラギがこの世界にやって来るまでの過程は聞かない方が良いのか?」とラギが尋ねると ラギアは

「まぁ。お前にも事情ってものがあるんだろうが。お前は勇者として。この世界を救い続けた。その事実さえあれば。お前はきっと幸せになれると思うんだが」と言われてしまうと。ラギアからの手紙を懐に入れながら ラギアとルーシスが命をかけて作った世界なのだから。それを守るためにラギアとルーシスの分までしっかりと生きたい。そう思ってから。

ラギアは、自分の家の前でラギの帰りを待つ。そして帰ってきたラギを迎え入れて「お帰り」と言った後、ラ

「さてと。まずはお前はアガリアという名前を捨てるんだ。俺達はお前の本名を知っているが。他の者達は、アガリアという名を知らないからな。アガリアってのは俺達にとって特別な名だったんだよ」

アガリアから、アガリアという名前で呼ばれることに抵抗を覚えている様子を感じ取ったルーシスが

「貴方の名前をラギに付け直したのよ。ルーシス。私は、アガリアに、ルーシの名を継いで欲しかったの」

アガリアは、ラギアに言われた通りに名前を変えると、アガリアがアガリアだった時には着たことの無かった服に身を包

「それで。これから俺は何になれば良い?」

ルーシスが微笑む。ルーシはラギアに対して ラギアはルーシスに対して「俺が知る限りでもアガリアって名前は、この世界のどこにも残ってねぇぞ」と口にしたのだった そう。

アガリアはルーシスとアガリアが共に戦った戦友の名前。その者の名を引き継いだ。それだけでは意味がない

「ラギアさんは俺がどんな人物なのか分かっているのですか?」

ラギアは腕を組みながら。少し考える仕草

「んー?正直に言えば、俺はお前が誰かも知らん」

ラギアの言葉に、ラギが困ったような顔をすると。ラギアは続けて

「だけど。お前は俺とルーシの大事な仲間だよ」とラギアはラギに対して言ってくれたのであった。その言葉で。アガリアの中に迷いが生まれていたものが無くなった気がしていた。だからラギが「じゃ。行きますか」と口にした言葉を耳にして、ラギアの後ろをついていくのである そうすると

「えっと。ここが、僕達の住んでいる国になりまして。アガリアが来てくれてから。みんながとても喜んでいるんですよ」と。アガリの言葉にラギは、

「そう言ってもらえると助かる。色々とあってさ。俺はラギアの世話になっているんだけど、ラギは、俺の仲間になってくれるかい?」

アガリアがそう告げると。ルーシスは嬉しそうな表情を見せてくれたのだったが。ラギが

「もちろんだとも。僕は、ずっと。君に会いたかった」と言い切って見せてから アガリとラギアと一緒に、王城へと足を踏み入れると ラギを歓迎する式典が催されることになり アガリアは、そこでルーシスから贈られた物

「そのペンダントを身につければ。私から貰った指輪をいつでも発動させられるから大事にしておいてね。私には必要のない力だから貴方に託しておくね。だから私の事はもう心配しないで。ラギ。貴方が無事である事が。私がこの世界で生きるための糧となっているから」と言う言葉を思い出しながら

「あ。それと。私があげた。ネックレスなんですけど。私が渡せるものなんて、これくらいしかないので。どうか貰ってくれないかな?ルーシスからの贈り物なんだけれど。そのネックレスをつけていれば、きっと、ルーシスが近くに居る。そんな風に思わせてくれるから。貴方には、ルーシスが遺してくれた。このアクセサリーをつけて。生きて欲しい。だから受け取ってくれないと私も寂しいの」と言って渡されたそのペンダントはアガリアにとっては大切なものであり ラギはそのペンダントに口づけをした後。アガリとルーシスは、お互いを見つめ合って、笑い合っている姿を見ていたのだが アガリアは、ラギアやルーシスが。アガリアの為に何かをしてくれていたことを感謝しながら。アガリア

「ありがとう。ルーシスと会えただけでも俺は、本当に嬉しいし、心強かった」と伝える ルーシスは泣き出してしまいそうになる それを必死で抑え込みつつ「良かったらで良いのだけれども」と言うのだが、アガリアはそれを断った後に「もういいんだ。ルーシスの事は何も気にかけていないでくれ」と言った後に ルーシスに向かって「俺なんかよりも。ルーシの方が大変だろ?大丈夫なのか?」と尋ねる ルーシスはラギリから受け取った荷物の中身を取り出すと。その荷物の中から一通の便箋を見つけ出すと、その中に入っていた文章を読んでいる最中で。読み終わったところで 手紙を読み終わると

「うん。これで良いの」とだけルーシスは言うと、ルーシスはラギアに向けて、ルーシスからの手紙を渡すと

「はい。ラギアへ。これを渡しに来たの」

そう言った直後にラギアが「おっ。ルーシスからの手紙がやっと来たか。ルーシスの字は可愛いなぁ。ルーシスの文字って」などと言っているのを見ながら、ラギアから手紙を受け取った

「ふむ。これは」と言ってラギは、その場でルーシスに渡された手紙の内容を確認してから、ラギアとラギリの二人を見て、ルーシスの残した品物をどうしたらよいのか聞くのだが ルーシスはラギアを見つめた後で

「ラギアが好きなようにしても良いと思うよ。私も。ラギアに任せるつもりだったしね」と口にした その後ラギアに対して「まぁあれだわ。俺はあんたと違って、そこまで器用じゃないんでな。あんたが持っていてもいいんじゃないか?そいつだってそれを望んでんだろうよ?」と言う ルーシスはラギアの手に握られているペンを目にした後に

「そうだね」と言って微笑んでいたのである 2人はそれから、ラギの目の前でお互いに手を握り合いながら

「私達を救ってくれて。私達が生きていた証を形見としてまで。貴方に受け継がせてくれて。ルーシス。貴方の願い通り。ラギア。貴方の思いを引き継ぐから」とだけルーシスは言うと ルーシスから手渡された、ルーシスが愛用していた杖を受け取ると ルーシスに抱き着く ルーシスはアガリアとルーシスを包み込むように抱きしめながら「私は幸せ者だよ」と言った後 ルーシスとアガリアが消えると同時にラギアが涙を流している事にラギが気づく

「ごめんなさい」ラギアが泣いている姿を目の当たりにしてしまい、申し訳なさそうにしているルーシスの肩に手を置くと

「良いんだよ。ルーシスが俺のために残してくれた物がこうしてあるだけで、俺は救われてるよ」と口にする ルーシスは涙を流す。だがルーシスは微笑みを浮かべたまま「じゃ、じゃぁ。このペン。ラギが持っているのが似合うよね」

ルーシスのその言葉を受けてラギが「そうかな?でも俺がこんな高価なものを身に着けても。似合わないとは思うんだけどさ」と言ったものの

「そうでもないさ」と言ってラギアは ルーシスの使っていたであろう。魔法石を懐から取り出し、ラギの手に握らせる

「これ。ルーシスが大切にしていた魔法石なんだけどな。ルーシスとルーシスの旦那が使ってたんだ。ルーシスがお前に渡したんだったな。その魔法の威力を試すのも悪くねぇだろ」

ラギアの言葉を聞いたルーシスは「ラギアは。相変わらず意地悪だな」と苦笑してしまうと

「さっさと行っちまえよ。いつまでもそこに居られてると。こいつも安心できねぇからよ」ラギアはそう言い放つと、自分の部屋に引っ込んでしまうのだった ラギはルーシスの墓の前で、ルーシスとの思い出を振り返るかのように、空を見上げると「ルーシス。君はどうして俺なんかいなくても。幸せになれていただろう?俺なんかが君達と同じ場所に行ってしまえば。迷惑をかけるかもしれない。だからこそ。君の事を忘れはしないけど。君に託された、この想いは絶対に忘れない。約束する。俺は、ラギアさんのようには生きていけないだろうけど。それでも、ラギアさんがくれた命。しっかりと生を全うしたいと思ってる。見守っていて欲しい」と呟くと 墓の掃除を行い。花束を置き ルーシスが眠っている場所に、お供えをすると、アガリアは自分の家に戻っていった

「さてと、ラギアさんは寝てしまったし。アガリは?」そうアガリのほうに視線を送ると

「あ。えっとですね。ラギアは少しだけ疲れています。僕がここに連れて来た時は酷い顔つきをしていましたが、少し休ませたら元気になっていまして」アガリはルーシスが残していったペンを、大事に胸ポケットにしまいながら「それでですね。ルーシスのお墓の前に来させて貰った時に、この杖の魔力の波動を感じたので、ルーシスも一緒に居る気がして。僕にはその程度のことしか出来ないけれど。ルーシスの事は、これからは、アガリアに託したいと思います」と口にする ルーシスの墓の前で ルーシスとの思い出を噛みしめるようにしながら。アガリアは、ルーシスが残してくれたペンを握りしめると ルーシスが言っていた「私の事を思ってくれるのならば。ラギアの事。お願いね」という言葉を思い出しながら、ルーシスが最後にア

「私を気にせず。自分のやりたい事をやって。アガリアの思うように生きてください」ルーシスが最後に告げた言葉は、ラギの耳に残っていた言葉でもある。だからアガリアは、ルーシスの最期の頼みを聞き届けるために アガリアがルーシスの亡骸を前に「ルーシス。ありがとう。貴方のおかげで、俺とラギア。二人が生きている事が分かったから。ルーシスの分も生きる。それが貴方の願いなんだよね?ルーシス」と言うとルーシスはアガリアをそっと抱擁するように包み込んだ アガリアが目を覚ますと。ラギとラギリの姿はなく。

ルーシスの墓参りをした時に置いてあった花と供物は、

「俺が持っておくからさ」とラギアから言われたのだが、「俺よりも。あなたのほうが大事だと思うんですけど?ラギアには世話になっているんだから、俺よりあなたの方にこそ必要でしょう?」と言ったら、「馬鹿か。ルーシスとルーシスとの旦那とでお前に残したもんなのかもしれねぇだろ?それによ。あいつらの思いまでお前が引き継いでくれたんじゃ、それなら俺は、何も思い残すことはないからな。それにあいつらは、ルーシスの分まで生きてほしいって願ってると思うぜ」と言われたのである ルーシスから贈られた、ペンとルーシスが使っていたペン。それからルーシスが持っていた、ルーシスの愛用していた魔法石のネックレスを首からかけると、ペンを右手に持ち 左手にルーシスが使っていたと思われるペンを持ち、ルーシスのペンに口づけをする

「貴方がこの世で生きたと言う証を、この俺に下さい」と口にしてから ルーシスが使用していたとされる杖を持つ ルーシスが生前愛用していたという、ペンをアガリアが使い始めると。アガリアの体が光輝き始め、そして

「俺は、ルーシスとルーシスとルーシスの愛娘と。貴方と貴方の家族。貴方の残した全てを受け継いだ人間だ。俺の名はラギー。アガリアとラギアの友であり。アガリの兄だ。これからは、このペンで世界を救えるよう。ルーシスから受け継いだ力で、皆を守り抜いてみせるから」と言うと アガリアの身体に変化が生じ、全身を覆い尽くすような鎧を身に着ける事で、その外見が変貌を遂げる。

それはかつて、ラギアと共に旅をしたときに手に入れた魔剣の力によって、アガリアに施されていた封印を解くことで。

ラギアはその姿を見ると驚きながらも「お前は、まさか。いや、だがお前はもう死んだ筈じゃ」そうアガリア

「いいや。私は死んでいない。ただあの時、貴方達の目の前で、私は一度死んでいる。私が今、この姿で存在している理由は」と言いかけた瞬間に ルーシスが姿を現すと、ルーシスはアガリアの体を優しく抱き締める「ラギ。ごめんなさいね。こんな事に付き合わせちゃって」と言うのだが、ルーシスの言葉に、ラギアとラギリの二人に視線を向けると ラギリがルーシスの姿を見て驚くと「母さん?」そう口にするのであった。

その後で、ルーシスはラギアを見て「ほら、ラギアは驚いてくれないのね。やっぱり私達のことを、本当はどうでも良いと思っていたのかしらね」

「馬鹿野郎。俺はルーシスをずっと待っていて、ルーシスが残したものを俺は守っていく。その誓いの為に、ルーシスとの思い出を大切にしたいと思ってんだ。それなのによ。お前が現れたら、ルーシスの死を受け止めきれない」

「そうなんだ。ふぅん。ねぇ。ラギアが嫌じゃなかったら、また私と暮らしてくれるかしら?」ルーシスは笑顔のまま。ラギアに抱き着いた ルーシスの温もりを感じているからなのか。それとも、ルーシスと再び会えた事で、嬉しく思っているからだろうか、ラギアは泣き崩れてしまう

「ラギア。貴方の大切な人が困っているのに、私を優先させて泣かないの」そう言うとルーシスはラギアを抱きかかえて「大丈夫だよ」と言って落ち着くまで抱き締めていた それから、ルーシスは「ラギ。私は貴方とルーシスとの絆。貴方が受け継いでくれて、嬉しいと思っているのよ。だから私はラギ。貴方の中に居る。これからは貴方の中で見守っているよ。それとルーシスは、ルーシスの意思と。私の想いを引き継いで欲しいの。私の事は忘れて良いけど。でも貴方にだけは伝えておきたかったの」と言うのだが、ルーシスの声に、ルーシスが姿を現したことで、アガリの目からは自然と涙が流れてきていた

「ルーシス?君は本当にそこに居るんだよね?俺の前にちゃんといるんだよね?触れられるし、君の事だって抱きしめることだって出来るのに、なんで」

「ルーシス。ルーシスとの想い出は、ラギ。君の中にある。君は、僕が思っていた以上に、ルーシスの事を大切だと想ってくれているようだから、僕からも君に感謝をしたい」とアガリはルーシスの頬にキスをすると、ルーシスは「うん。ありがと。アガリはラギアをよろしく頼むわよ。きっとこれから、ラギアを支えていかなきゃいけないのは、アガリだと思うの。お願いできるかな?」そう言うと ルーシスはアガリの手を取り 自分の手を重ね 自分の気持ちをラギアに伝えた

「ルーシス。ルーシス?もう居ないんだよな。でも。俺の中には、君との想い出があるから。君は俺の心の中だけに生きている。君は俺の側に居てくれてるんだな。そうだな。君の想いを引き継ぐよ。俺はルーシスが望んだように。ラギアと二人で生きていく。君を決して忘れはしない。君のことを俺が死ぬまで忘れない」

ルーシスがこの世を去り ルーシスとの最後の別れを惜しみながら、俺達は王都に戻って来た

「ラギア。これからどうするつもりなんだ?」と俺が尋ねると

「とりあえず、アガリの奴に杖とペンとを返さないといけねえだろ?」と言うと

「杖とペンはアガリアに任せれば問題ないとは思うが、お前には別の用事があるだろ?」

そう言われてしまったので、俺

「まぁな。俺はしばらく留守にしていたけど、あの国の人達は俺に懐いているわけだし。少しの間だけでも様子を見てくるよ」とラギアが口にした時だった。ルーシスが「ちょっと待って!あそこは駄目!」と言い出し、俺は思わず「ど、どうかされたんですか?」

「あれだけのことがあってまだ気がついていないの!?あんなのってありえないじゃない。だからあの国は危ない。だからラギも行っちゃダメ。ラギアは私だけ見ていればいいの」と。

「お袋。悪いが。それに関しては俺はラギアと離れるつもりはねぇぞ?ラギアと一緒に居る。ルーシスとルーシスのお墓を守っていくって決めたからな」とアガリアも言うのだが、ルーシスは自分の意思を曲げようとしなかった ラギアはラギに、ルーシスの墓を、ルーシスが愛用していたペンを預けると、アガリアとルーシスに挨拶をしてその場を後にする ラギアは、ラギとルーシス。二人の関係を知っている。

だからこそラギアはラギとルーシスを引き裂こうと思わなかった だが。ルーシスの事を愛しているのは間違いない事実なので ルーシスの墓を守る役目を与える為に ラギはルーシスから貰った指輪をラギアに託すと

「お前がルーシスをどれだけ大切に思っているか分かるから、俺は安心して任せる事が出来る」と口にしたのだったが。ルーシスはそれを見ていたからこそ。ラギに「あの人はラギアが幸せになるには絶対に必要だと思うから」と言うのだが、ラギアには理解できず 首を傾げてしまうのであった。

それから、アガリアが王都に戻ると、「おかえり」と皆に歓迎をされる アガリアの不在中に色々なことがあったらしいが。アガリアはラギアの事を頼んでくるのだが それだけではなく、アガリアもラギリから頼まれたことがあるようで、それをアガリアに伝えようとしたのだが それよりも先に、ルーシスの亡骸をラギアに渡してしまう それからラギアの身に何かがあった場合 アガリアがすぐにラギアの元へ行けるように、ア

「分かった。お前が戻ってくるまで。ルーシスのことは、この俺。アガリアが預かる」と口にしてから アガリアは、ラギアが旅立つのを黙って見送り続けるのであった ラギアとラギリの二人はアガリアの元から離れていき

「さっきの話だが、アガリに何を言われたんだ?」とアガリアに問いかけるが

「俺の事はラギアが考えなくても良い」とアガリアは言い切った そしてアガリアとラギリの二人が旅に出たのを確認してから、アガリアはルーシスに話しかけられるのだが ルーシスはアガリアがラギアと共に行く事を最後まで反対していて ルーシスは、アガリアの体を使って

「ルーシスをラギアの元に連れ帰って。ルーシスはあの子なら、あの子を守れると思ったから、貴方に託したんだからね。ルーシスは貴方を信じてたんだからね」と言い残して ルーシスは完全に姿を消すと ラギーはその日を境にして、一人で王都を離れる事になる ラギアとラギリの二人を見送った後で、ラギーは旅に出ることを決意する それはラギアとラギアの両親の三人で過ごした思い出の場所を見てみたいと言う気持ちもあったが 一番の理由としては、アガリアをラ

「ラギリ。お前にもルーシスが言っていた言葉を伝えようと思うんだが、ルーシスが生きていた頃に交わした約束を果たしに行く」と口にする アガリアとラギとルーシスの三人で過ごしていた日々は、今となって思えば 本当に幸せな毎日を送れていたのだと思う。だからこそアガリアとルーシス。二人の間にどんな話があったのか、それが気になっていたのである

「ルーシスは、俺達と一緒に過ごす事を望んでいないんだろうけど、ルーシスの望みでもあるだろうから。俺達は俺達で、ルーシスに教えられたことを、忘れないようにしながら、俺達の道を歩めば良いんだ」そうアガリアに言われた ルーシスの言葉の意味

「私とルーシスは違うの。貴方達が、私にしてくれた事は嬉しい。でも貴方達にとってルーシスは特別でも。私は私。私を比べても、私にとっては無意味なことだから」ルーシスはルーシスの願いを伝える為だけに、わざわざ現れたんだと僕は感じている ルーシスは、僕達に何を伝えたかったのだろうか?そんな疑問を抱き

「僕に教えて欲しい。ルーシスは一体何を考えて、そんなことを言うのだろうか?」そう尋ねてみると ルーシスは僕をじっと見つめた後で「貴方が答えを見つけられたらルーシスに聞いてあげて」と言って 僕の前から姿を消していった ルーシスは最後に、僕に向けて「ルーシスの意思を継いでくれる?私の大切な貴方。ルーシスは貴方の事が大切だったの。だから私は貴方をあの子に託せたの。貴方にお願いがあるわ。ラギアを頼む。私は私の愛しい人の傍に居る。だからラギアのこと。これからはお願いね」と 最後の言葉を残して ルーシスはこの世から姿を消した それからラギアは、一人になったのだが、何故か、アガリアだけは一緒に付いてきてくれている

「俺がラギにルーシスの最期を告げたのは、俺なりの覚悟だ。俺とラギアはルーシスを失ったからこそ、これからは二人で、お互いが助け合って、二人で共に生きていこうと言う俺からの告白みたいなものだな」

ラギアは僕に向かって笑顔を浮かべながら

「俺はな。俺を信頼してくれる人達がいる場所を守る。その想いが強くなって。守りたいと思ってる。ラギには悪いが、ルーシスとの思い出が強すぎて、俺はあの国を見捨てられなくてな」

ルーシスが僕に対して抱いていた感情が 今は、アガリアに、ルーシスが向けてくれた想いが。そのままラギアに伝わっていくと

「ルーシスは俺に言ってくれたんだよ。ラギアが望むように生きるのが一番だってな。俺の親父やお袋はもう俺の前に姿を見せてくれねえけど。俺がちゃんとしてるかどうかをルーシスが見ててくれるんじゃねえかって、そう思ってる」

ラギアは僕に手を差し伸べてくる

「俺はな。お前が俺を頼らずに自分で何でもこなせるように。ルーシスもルーシスの両親がいなくなってからは、お前の事を心配し続けてた。ラギが心配で、俺も気がかりで。でもラギの事を俺に託した。だからお前はもっと強くならないといけねえ。ルーシスがお前のことを大事にしてたんだってことは良く分かるし。ルーシスの気持ちを踏みにじらないで、俺がしっかりしないといけないって思う。ラギのことも守るからな」

「アガリアさん」そう呼びかけたら「お前に俺の事をアガリアって呼んで欲しい」と言われてしまったので、そう呼ぶことにした。「お前には色々と世話になってばかりだけどよ。俺とお前はこれからも対等の関係でやっていきてえ」そう言われてしまい

「ラギには迷惑かけっぱなしだな。ルーシスが亡くなった後は俺の面倒を見てもらう形になりそうだからな」と ルーシスが残した言葉は。ラギアとアガリアとが仲良く過ごしていくことを願ってのことだったのだ。

ラギアはルーシスがいなくなった事で 自分の生き方について改めて考え始める。

自分がラギアだったから。ラギをルーシスが守ってくれていて 自分はアガリアと、ルーシスとの三人で 楽しく暮らせてきた だからこそ。ルーシスに守られ、アガリアにルーシスとアガリアを託された。だから。今度はラギア

「アガリアと一緒に頑張って行くからな」そうラギアが口にした それからしばらくしてからラギとルーシスの住んでいた村に向かうのだが そこに居た村の人たちは。既に新しい生活を送っていて ラギはそこで、皆に迎え入れられて ラギアとアガリアも受け入れてもらい ラギアがラギの家に訪れると

「ラギ。ちょっと話を聞いて貰えるかな?」とアガリアは言うので ラギアとアガリアは、お互いに顔を合わせると ルーシスがどうして自分達の前に現れたのかを、話し始め

「お前が決めたことならそれで良いさ。俺は、俺のやり方で生きれば良い。俺はルーシスがお前に言ったことを俺自身の言葉にしていくから」と

「ラギ。お前はルーシスの分だけじゃなく。俺の分まで頑張ろうとしてくれているのは分かってる。ルーシスに託されたものを守ろうとするのも良い。俺はお前が決めたことに従う」そう口にしたアガリアの言葉を聞き

「ラギには悪いが、俺には俺の生き方が、ルーシスの望みだと理解出来た。ルーシスは、ルーシスの意志を継いだラギが、幸せになれるようにしてくれてるんだと理解している。ラギの幸せこそが、ルーシスの望みでもあると思う。それにルーシスは、ラギアの事が好きで仕方がないんだ。だからルーシスは俺と、ラギアの幸せの為に、ラギアに託したんだ。俺は、ラギアが幸せになるためなら。お前の邪魔をしようとは思わない」

ラギの幸せの為だけに行動していたルーシスだが。アガリアのことも大切に思っていた。

ルーシスもルーシスで、アガリアとラギの二人が互いに想い合うようになるまで見守っていたが

「アガリアとはルーシスの両親のように過ごしたいんだ。そしてルーシスが望んだ未来に近づけるように、努力していきたいんだ」そう決意を口にしたラギアは アガリアとの思い出を思い出して

「そう言えばアガリアさん」と

「アガリアで良い」と言われたので「分かりました」と答えると アガリさんは自分の胸を叩き

「ルーシスに託されて、俺達は、これからは、二人で一緒に歩んで行くことになるから、俺に言いにくい事は、全部、遠慮無く相談してもらって構わない。ただ一つ頼みがある」と言い ラギアがアガリの言葉を待つと

「もし俺とラギアのどちらかを選ぶ必要が出た時は。ルーシスを選んでくれ」そう言い切る ルーシスを選べないと言うことは つまり アガロがルーシスと交わったとしても ルーシスは悲しまないと ルーシスはアガロと交わっているが。アガリアはルーシスを、ルーシスの母親代わりとして慕っていた だからアガリアはルーシスが生きている間は、ルーシスに、自分の心を伝えようとしなかったのかもしれない だからこそ

「私にとってルーシスは家族のようなものだったんだ。ルーシスは私達を守ってくれた。だからこそ、私が愛しいと思った人が苦しんでいる時に支える事が出来なければ意味が無いだろう」そう口にしたアガリアに対して

「分かったよ」と答えた後に 僕は少し迷っていたのである。ルーシスの死を受け入れていなかったからなんだけど、でも受け入れるしか無いのかとも思うのである そんなことを考えながらもラギの家に到着すると、そこにはアギーが居るわけだが「私達はこの村にしばらく残ることにします」と言われてしまう訳だ。まぁ確かにここにいたほうが都合が良いのかも知れないと思ったラギアだったけど ラギが何かを感じ取っているのか?ラギアが不安そうな表情を浮かべていたけど、

「ルーシスの最期を僕に伝えたのは。アガリアさんの本音ですよ。ルーシスは貴方達二人の関係を理解した上で。アガリアには、ラギを託したい。だから貴方の傍にいると」そう口にしてみた。すると「そうなのか?俺は今までルーシスが俺達に残してくれた物を守りたくてな。その想いだけで。必死になってここまで来れたんだ。でも今になって、その気持ちを改めて確認する事ができたんだ。ルーシスが俺にしてくれたことが何だったかを改めて思い出すことが出来た。ありがとうな」と言ってくれる ラギアは、ルーシスがいなくなってしまった悲しみは、きっと時間が解決してくれると思っているのだが 僕は、まだ完全に立ち直ることが出来ていないのだ。

「なあラギアさん」アガリアがラギアの名前を呼ぶ

「なんだい?」

「私はお前の事を信じている。もしも私が死んだらお前はどうする?」

ラギアはその言葉を聞いた瞬間は 一瞬だけ動きを止めてしまったのだが「その時は一人でも多くの人を救って死んでみせるさ」なんて言葉を返

「俺はお前のそういうところが好きなんだよ。お前の覚悟の強さを私は信じている」アガリアはラギアの手を取ると、そのまま手を握りしめたのである

「お前が死ぬときは俺が一緒に行ってやるよ。だから心配する必要はねぇぜ?」

「それは嬉しいけどな。アガリアにばっかり、負担をかけちゃ駄目だよな。だから、ラギアさん。一緒に生きて行こう。ルーシスの分まで」そう言うとラギアの手を離してしまう アガリアは「ルーシスと俺を一緒にしないでくれないか。俺とルーシスが出会った時の話はもういいだろ。俺にはアガーテがいる。俺はアガがいれば、それだけで満足出来る人間なんだよ」

アガリアはアギー

「お前にそう言われると照れるな」そう口にした後で 僕を見つめてきた

「ルーシスは、ラギアと、俺の幸せを望んでくれてる。だからこそルーシスと俺を比べる必要はない」アガリアの言っている事は理解できるけど やっぱりルーシスの事を引きずってしまうのは事実なのだ 僕の手を握ったまま アギアが泣き出してしまった 僕は慌ててしまい ラギアさんが優しく抱きしめてくれ 落ち着かせるように背中をさすってくれるのだが。ラギアはラギアで「俺だってな」って言葉を口にし始める 僕はアガリアとラギアの優しさを しっかりと胸に刻みつけていくのであった ラギアさんは優しい人だけど

「お前の考えていることは分かるけどな」って アガリアが口にしてからしばらくしてから

「ルーシスに、お前のことを頼まれたんだって。ルーシスが生きていた頃に」そう言うアガリアの瞳には涙が浮かんでいた アガリアが「ルーシスが生きていた頃」という言葉を口にすると アギーは涙を流し始めるのである

「お前も知っての通り。俺にはルーシスしかいないからな。ルーシスから俺の事も頼むと。お前がアガリアのことを好きだと言う気持ちは分かってる。それでも、ルーシスが望むなら、ルーシスの願いは叶えないといけないと思ってる。ルーシスからお前のことも頼まれたんだ。ルーシスの分まで俺は、お前を全力で守っていく」そう口にしていたのを見てから、ラギアさんが「ラギ。これから俺達は。二人で頑張っていかなきゃいけないからな。ルーシスに貰った物は大切だから、ルーシスの為に頑張ろう」そう言ってくれ

「お前の事を信じるから」ラギアは、そう口にすると、僕をじっと見据えながら 真剣な口調で言うのである

「俺はラギにならルーシスを任せられる。ルーシスがラギの事が大好きで仕方がない事を知っているからこそ。ラギアになら任せることが出来る。ルーシスが、ラギアを好きになった気持ちは間違いじゃ無かったんだと思えるんだ。だから、ルーシスの想いは無駄にしないためにも、お前にならルーシスの命と想いを継がせることも出来そうだし。ルーシスに出来なかったことまでやれてしまいそうで、怖いよ」とアガリアは、言うのである。ルーシスが僕とラギアを結婚させる為に色々としてくれてたと言うことは聞いていたのである ラギアさんはルーシスの想いを受け取っているようで、 だからこそルーシスの死を受け入れようとしているみたいだし。

僕は、そんな二人に対して、何も言えないで居た。

「まぁルーシスから言われた通り。俺もアガリアも。お前が幸せになれるようにしてやりたいから。俺はアギーと、アガリアは、お前と一緒に生きて行く事に決めた。俺達が居れば安心して、ラギは前に進む事が出来るはずだ。それに、俺とアガリア。この二人が揃えば、どんな相手だろうと怖くない」ラギアは、アガリアの頭をポンッっと叩くと そう言い放つ 僕は、本当に嬉しかったんだ。二人がこんな風に、僕を支えてくれるんだと思うと、心の底が温かくなって。そして、二人が側にいるだけで。とても心強く感じることができた。だからこそ

「ありがとうございます」なんて言葉を呟いてしまうのであった ただ、ラギアとアガリアが揃ってしまうことによって。二人の仲良さを見せつけ

「羨ましいです」そう言われてしまったのだ

「ラギアさんは、ルーシスさんの想いを継いでくれたから、それで、二人は一緒に」

ルーシスに託されたから アガリアと二人で、一緒に居る。

アガリアがルーシスに「託されて」

二人で居る その違いが、僕に伝わってきて、ルーシスから託されたと言う部分では一緒だったのだとは思うんだけど。それでも違う

「ラギアさんは。ルーシスさんの想いを背負って。でも、アガリアさんは、二人で生きるために」と

「俺とアガリアは。これから、二人で生きていくことを選んでくれたから」

「アガリアが望んでいるのは、ルーシスだけだから」そうラギアは告げると、僕の頬に手を添えてきたので「えっ?」と、困惑しながら言うと、ラギアが「アガリアには、ルーシスの事しか見えてないんだ。ルーシスに命を預けていたのと同じように。今は俺の全てを捧げても構わないと思っているほど。俺は、ルーシスに命を救われた。だからこそ、俺はアガリアに全てを与える覚悟を決めたんだ」

「俺にとってルーシスは。アガリアにとってのアガーテのような存在になっていたのかも知れないな。お前が、俺達の想いを引き継いでくれている。だからこそ。俺はルーシスと出会ってからずっと思っていたことがある。お前達二人の力になれただろうか?と」と、ラギアは言葉を口にした その気持ちを受け止め。ラギアの言葉を聞いたアガリアは

「ラギア。ルーシスとお前が出会うまでは、俺は、アガロ以外に心を閉ざした状態で生きていた」と口にしたのである ラギアは黙ってアガリアの次の言葉を待つ

「ルーシスと出会ったあの日から。お前に会ってからは、ルーシスのことしか考えてなかったんだよ。ルーシスを想う度に、私はルーシスに恋をしていたんだ。そんな私がルーシスの想いを受け継いだラギアに出逢えたら。きっと、ラギアを、私の大切な人にしたい。そう思ってたんだよ」とアガリアは言うので「俺は、ルーシスに救われた。だから、アガリア。俺にとっては、ルーシスは神様で、俺の運命の人なんだよ」そう口に

「俺はお前とルーシス。どちらにも出逢いに感謝している。だからお前の想いに応えたいんだ」アガリアの手を取り「俺の想いに答えて欲しい」

「ルーシスを好きなアガリアに、この想いを伝えられないでいたんだ。俺が、俺の心が弱いから。アガーテに告白できないまま。ここまで時間が過ぎてしまっていたんだ」そうラギアは言うと「ルーシスの代わりは無理かもしれない。けど。俺なりにアガーテを愛すると決めていた」

「私はお前を好きになる。お前を愛したいんだ」アガリアは泣きそうな表情を浮かべながらも そう言ってくれたのであった 僕はその言葉を耳にしてから「アガリア。僕は君が大好きなんだ。だから」と伝えようとすると アガリアは「ラギアが私と結ばれている姿をルーシスに見せてあげたかったな」と涙声で言うので「ルーシスが望むなら、ルーシスの為に。ルーシスに喜んで貰えるように。俺はお前に気持ちを返していくよ」

そうラギアは言うとアガリアの手を引き寄せると抱き寄せてから そっと唇を重ねた アガリアがラギアの背に手を回したところで

「アガリア。愛してる」ラギアは耳元で囁いてから もう一度、アガリアの身体を強く抱きしめたのだった ラギアさんが僕のために頑張ってくれたのだから

「ルーシスさんのため」に

「僕を見守ってくれてるんですか?」と問いかけたのだが 返事が帰ってこないので

「僕もあなたが好きです。ルーシスさん」と口にするのであった すると「僕ね。アガーテの事。本当は、すごく好きで。けど、ルーシスには敵わないから。だから、ルーシスの代わりになる人を探す事に必死になって。気が付いたら。誰も側にいなくなっちゃったけど」そう寂しげに言葉を口にして、僕の手を握る ラギーは、

「ルーシスに頼まれちゃってるから。僕だって、ラギアの事は、好きじゃないけど。それでも。僕には、アガリアがついてきてくれるし」

「ラギアとアガーテのことは。僕のせいだって分かってる。ラギアにはアギーが居てくれるし。それに。僕はラギアには勝てないって分かったから。ルーシスには感謝しないと」

「だから、僕のことは、もう大丈夫。心配しないで。ラギアが居るから。ルーシスには僕とアガリアが、ちゃんと一緒にいることを伝えたいし」そう言い放つと ルーシスが遺していった魔道具を手にすると「これがあれば。僕は、どこに居たとしても。ラギアとアガリアが何処にいても、ルーシスが側に居るように感じることが出来るから」そう言い放つと

「ルーシスの想いが伝わってくる気がしてくる。僕も、いつか、ラギアと、ルーシスに恥じないように、幸せになりたいんだ。だからさ、ルーシス。これからも、アガーテと一緒に見守っていてくれないかな?」とそう言い放った 僕は、その言葉を聞いて 思わず泣いてしまいそうになる 僕はアガリアに「ルーシスさんの分まで。僕達が幸せになるように頑張りますから。どうか。僕達のことを、見ていてください」

僕達は、アガリアの墓を造り上げていく 墓標を造っている途中で、ルーシスの骨が入った箱を取り出したのだけれど。その中身を見てみると 僕は「あっ」と驚いてしまったのだ。それは何故かと言うと ルーシスの骨が入っているのに、ルーシスの存在を感じたのだから ルーシスがアガリアを見守ろうとしていたのだと思うと、ルーシスが僕達の事を見守ってくれていることを感じることが出来て 嬉しくて。

「僕は、ラギアさんが大好きで、そして、アガリアさんの事も。大好きだ。ルーシスさん。僕は絶対に幸せになりますから」

ルーシスのお陰で僕は幸せになれると思うと ルーシスに感謝せずにはいられなかった

「俺はお前達が幸せな姿を見ていきたいと思う。ラギア。アガーテ」と、ルーシスの声が聴こえたような気がしたので 僕は二人に向かって「幸せになろうと思います」と告げると「ああ。俺とルーシス。それにアガリアも、三人が幸せになれたらいいなって思う。だから、俺がアガリアと幸せになるまで、見ておいてほしい」とラギアは口にした

「ラギア。ルーシスが待ってくれていると思うと。私は頑張れる。そして、ラギアと共に生きていきたいと思えてしまう。だから私は」と、僕に言葉を投げかけてくると

「アガーテ。ルーシスは、今もお前と、アガリア。二人のことを見守っててくれる。ルーシス。俺はアガリアと生きることを決めた。お前が出来なかった事だけど。アガリアは許してくれると俺は思う。アガリアがもし俺を選んでくれるなら。俺はお前達に誓おう」と

「私は。アガルタで生きていくことを選んだのに、ラギアに救われてしまったんだよ。そして。ラギアは私にとって運命の相手なんだ」そうアガリアは口にすると

「私は。貴方を幸せにしてみせよう。私が、アガリアと、アガロの気持ちに報いるために。私は。私なりに、この世界のことを考えて、そして生きていくことを。あの方に教えてもらったから。あの方のことが好きだった。だから、あの方は私がアガロを想う時のような表情をアガロに向けているんだと。そんなことにすら気付かなかった自分が恥ずかしくて。私はもっとアガロに寄り添う努力をするべきだったと」と、アガリアが口にしているのを、ルーシスは聞いていた

「だから、あの方のように。ラギア。私は、あの方のようになるのが夢になったんだ。あの方を見習えば、私は、ラギアの側にずっといてあげる事が出来る」と、そんなアガリアの言葉を ルーシスは黙って聞くしか出来なくて。

ただただ。ルーシスはアガーテの気持ちを、理解してあげられなかったことに 罪悪感を感じていたのであった

「アガーテは、僕よりも。ルーシスを好きになってくれて。それでも。僕と出会ってくれて。僕に好意を持ってくれたのが。ルーシスじゃなくて、僕で良かったと思っています」ルーシスは、その言葉を口にしながら 涙を流していた

「アガーテが、僕に対して向けている気持ちを、ルーシスさんが受け止めていたのなら。きっと、アガリアは、ラギアと出会えなかっただろう。ラギアと出会うことがないままでいたら、ルーシスがアガロさんへの想いを受け止めていたとしたら。ルーシスと出会わなければ、ラガさんに出会うこともなかったのだから」そんな言葉を口にしたアガリアを見た後にルーシスと目が合うのだが。ラギアの方を見ると彼は微笑んでいたので。きっと彼も気付いているはずだと思いつつも口にすることは出来なかったのである 僕は、あの後。【神都地下迷宮】を攻略しに行く前に アガリアさんと別れる際に約束したことを果たすためだけに行動を開始したわけだが、それを終えた後は、すぐにでもダンジョンに向かう必要があった為 急いでいたこともあり、「ちょっとだけ待って下さいね」と言って 僕はアイテムボックスの中に手を突っ込んで目的の物を掴み出したのだが「これは何?」と言われた為に説明を始めることにした それは小さなお皿に水を入れただけのものだし それが何に使えば良いのかを聞かれたので、コップに

「それは飲み物です。水を一滴ほど入れただけですが、これを飲んでみてもらってもいいですか?アガリアは、その水に溶け込んでいる力を理解した上で飲むか飲まないかを決めるようにしてもらえませんか」僕は、それを口に入れてもらったところで、効果が現れ始め 彼女の目付きが変わったので、僕は慌てて「少し時間を貰っても構いませんか」と言ったのだが、アガーテはすぐに「分かった。君が口にしたのは、おそらく神性存在の分身体でしょ。だから私は君の言うことに従おう」と口にしてくれたので アガリアさんには、先に帰って貰った

「アガリアはどうだったかな。まあ大丈夫そうだし。これを使って、僕はラギアに会いたいな」と ラギアの気配を探り当ててから転移すると、アガリアは僕の姿を見て 驚いた顔をしていたが「ルーシス様!本当に来てくれたんだ。嬉しいな」と、僕の手を握ると、そのまま僕に抱きついてきた

「えっと、僕は、あなたとラギアさん。それに、アガリアに、謝らないといけなかったので」

「謝る必要なんてないよ。君は、ラギアと私達を救ってくれたんだし。ルーシスがアガーテのことを、アガーテがアガーデのことを考えていたからこそ、今の結果になっていると。私は思うからね」

「ルーシス。ラギアさんも、アガーテも、二人共大切な人だよ。だからこそ、アガリアとラギアさんの仲を僕なんかに邪魔されたくないと思えるから。僕にはもう誰も失いたくはないって思うから」そうルーシスが言葉を紡ぐのと同時に

「ルーシス」

「ラギアさん」

二人がルーシスを抱き寄せてルーシスの顔を見て微笑んでいる姿をアガリアとアガロに見られていた訳なんだけど

「アガリア。僕はもう行くけど、そっちは頼んだよ」

僕は、ルーシスが去っていく様子を見守りながら、アガリアに声をかけた アガリアは、私に向かって話しかけてくる

「ルーシスとは仲良くなれそうにないと思っていたけど。やっぱりアガリアのことはルーシスが気にかけていたのは事実なのか」そうアガリアは言い放つので

「ルーシスから聞いたのですが。私のことは、ラギアの幸せを見届けることが出来るかどうかを見定めるための試金石のような扱いをしているらしいと」そう告げたのだけれども。私はルーシスに言われていた通り、目の前にいる彼女に対しては、あくまでもラギアの妻として接するべきだと思っているので

「はい。ラギアから聞いております。ラギアからあなたの話を聞いた限りですと。ルーシスさんは、とても、優しい方なのでしょう」と私は答える その言葉に嘘偽りは無かったのだけれど。彼女はルーシスの話を聞けていないはずなのに、ルーシスが話した通りに私が考えていると勘違いしたようで、ルーシスがいかにも言いそうな言葉で、私が想像出来るであろう言葉を口にしてきたので、やはり、アガーテはアガーテ

「ルーシスは凄いよね。ルーシスの言葉を聞いたから分かるけど、私は、自分の考えを変えるつもりは無い。だけど、ラギアは私が選んだ人だから。だから、私は。アガリアを大事にするって。そう決めている。ルーシスが言っていた、私は、この世界で生きるために頑張って、生きていこうって。そう思う」

私は、その言葉を聞いて ルーシスの言ったことを、しっかりと伝えておかないと そう思い「ありがとうございます。私とルーシス。それからアガリアは貴方達の幸せを願っています。貴方達のこれからの人生に幸せがある事を願っています」と告げる

「私も、ルーシスが言ってくれた事の意味が分かりました。貴方達の幸せが何かはまだ私にも分からない。ですが。ルーシスが貴方に託したことを。私が引き継ぎます。だから安心して、ラギアと共に生きて欲しい」と そうアガリアに言われた そして、ルーシスは ルーシスは、私にラギアの居場所を伝えた後 どこかへと去っていったのだが

「私は、まだやることが残っているので失礼します。ルーシスの事、どうかよろしくお願い致します」

「ええ。私は、ラギアと一緒に生きていきたいと思います。そしてアガーテとも」

アガリアは、ルーシスに教えられて ラギアの元に向かったのだと思うと 私は心の中でラギアに対して謝罪をしていた そしてルーシスは、私の元に姿を見せると

「ラギアがアガリアの事を好きになれたら、二人は、一緒になってもいいかもですね」と言っていたので 確かに。アガリアと一緒になってもいいと思うかもしれないが それでもラギアは 私を選んだ。私との約束を守るために 私達は、お互いに惹かれ合いながらも お互いに違う人と結ばれ そして、それぞれの道を歩み始めている ただ それでも私は、ずっとラギーナとアガーテ 二人を愛して生きていくと思うと

「僕は、この世界に転生してきて、良かったと思っています。僕を救ってくれて、愛してくれる人が沢山いますから。それに、僕が死んでもなお、僕のことを想っていてくれる人もいる。それだけで僕は幸せだと感じています」と、ラギアが口にしているとルーシスは笑みを浮かべる それはまるで聖母のような微笑みであった

「それでは。僕達もダンジョンに向かいましょうか。僕達が、ここに来た目的はダンジョンを制覇することです」

「うん。でも。ルーシスは、ダンジョンの試練を受けなくても良いの?一応はルーシスは攻略者ってことなんだよね?」と、アガリアは問いかけてきていたので 僕は、アイテムボックスに手を入れる すると、「これが僕のステータスカードになります。これを提示すれば良いだけなので、アガリアには、これを差し上げようと思っていました」と言うと、アイテムボックスの中から取り出したカードを、アガリアに向けて放り投げた ア

「うわっ!急に投げるのは危ないだろう!」と言いつつも。僕が投げつけたカードを受け取ったアガリアはそのカードを見る

「なるほどね。これは神性の力が宿っているのか」

「えぇ。そういうことです。ですのでアガリア。そのカードは絶対になくさないでください。もし落とした場合は、必ず拾いに行って戻って来て下さい。そのカードを拾える場所は一つしかありませんので。それ以外の場所には落ちても意味がないのです。あと、僕の分身体も渡しますね」と言って、僕は分身体の方に目を向けると「僕の本体は、ここから先には行かない方が良いと判断しているみたいだから。だから分身体を渡してあげるよ」と言って僕はダンジョンに向かうことにしたのだが ダンジョン

「ルーシスさん!待って下さい!どうして、僕よりも先に進んでいるんですか!しかも、さっきからモンスターが全然出てこないんですよね。おかしいですよね。僕はちゃんと戦えてるはずなのに。なんででしょうか?」と言ってきているが、そんなのは簡単だろうと思いつつも僕は無視をすることにするのだが ダンジョンを歩いていると、アガリアから声がかかる

「ルーシスって、強いの?」と、そんな疑問をぶつけてきたのである まあ。当たり前といえば、当たり前の話なのだろうが

「僕は弱いからこそ。こうして色々な力を身に付けようとしているんだよ」僕はその質問には答えずに。ダンジョンの奥の方に進むことに アガリアは「はい」と一言

「じゃあ行こうか」と僕は告げてから奥の方に進んでいくことにしたのだけれども 僕の視界に映った映像から判断する限り 僕の後ろに続くようにして歩くルーシスと その後ろを追いかける形で歩きながら、必死の形相をしているアガリアが見えたのだが。おそらくだが このまま行くと。間違いなくアガロに会うことになると思うんだけれども、まぁ大丈夫だと僕は思ったので

「ラギ兄!助けに来てくれたんじゃな」という叫び声を聞きつつ。アガリアのことを蹴り飛ばしたりしながらダンジョンを進み続けている訳なんだけどね 僕が放った蹴りによって宙に浮かされた状態の彼女を抱き抱える形で、地面に降ろしてあげた後「アガリア。ルーシスの事はどうするつもりですか?私としては。貴女にラギアの側にいる資格はないように思えてしまうのですが」と 僕はアガリアに告げたのだけれど 僕達のことを見守ってくれていたラギアさんとラギルは苦笑いを そしてアガーテは、少し怒ったような顔をしていた訳なんだけど アガリアがどういった行動を取るかを アガリアは 私の言葉を聞いて どう感じたのだろうか アガリアの表情が強張っていく様子が 私の目に映し出されるのと同時に アガリアはルーシスを庇いながら私を睨みつけてきている その様子を見ていて私は、やっぱりラギアは、ラギアの優しさに甘えていたのだと思う

「ルーシスのことを大切にしてくれてるのはとても嬉しいし。感謝してます。ルーシスのおかげでラギアは変わった。ラギアも変わってきた。だからこそ、ラギアは、ルーシスの為にも、もっと強くなる為に。私はラギアの側から消えないといけない。アガリアはルーシスのことを守ってあげてください。ラギアにルーシスを守ることが出来るように。そしてルーシスがラギアのことを支えることができるように。ルーシスは、アガリアを大事にしていますし、私だって、ルーシスのことは、大切に思っていますから」と 私は、ルーシスとルーシスの仲間に対して言葉を伝えていく アガリアが「はいっ。ルーシスのことは私が守っていきます」と答え

「アガリア。ルーシスの言う通りです。アガリアと私は友達です。だから私は、ラギアの側を離れることになりましたけど、ラギアは。きっとこれから先も、ルーシスを、アガリアを大切だと思っているから、だから、アガリア。ルーシスのことを、しっかりと守り通してあげて」と ルーシスは私の言葉を聞いた後 ラギアに対して何かを告げる そしてラギアにルーシスを託した後 私はアガーテと共にルーシスから渡された アイテムの魔力を辿り アガリアはルーシスと一緒に歩いていく姿を見送った後 私はルーシスが渡してくれた地図を見ていたのだけど この先には一体どんな罠や

「ルーシス殿。久方ぶりですね」

私が振り向くとそこには ルーシスが、私の前に姿を見せると、そのまま、ルーシスはアガーテの隣に並ぶのだが ルーシスはアガーテを見ながら、笑みを漏らした

「ええ。そうですね。僕も。アガリアも。この世界で、大切な仲間が出来て良かったと思います」と口にしているルーシスを見て、私は微笑んでいた するとラギアもこちらにやってきたのだが 彼は、私達に笑みを見せてから、すぐに真剣そうな表情を浮かべて口を開いた ラギアは私に向かって「ありがとうございました。おかげで助かりましたよ。それと俺からも礼を言いますよ?あの時は、本当にありがとうございます」「ラギアが生きていることが確認出来て私達は嬉しかったです」と言って そして私は、「貴方達が幸せになってくれればそれで満足ですよ」と言っておいた それから数日後のことだった

「俺は強くならなくちゃいけないんだよ!だからあんたらに付き合ってる時間なんてないんだ!」と言ってくる男がいた ア

「おい。俺達がお前をここに呼び出したのは、お遊びで来てもらうためじゃない」

アガリアに言われているラギアの姿を見つめながら私は、ラギアは優しい奴なんだなと思ってしまったのだった

「いい加減にしやがれ!俺は強くなりたいだけなんだ。そのためにダンジョンで鍛えようと思っただけなんだ」と男が言ってきている ラギアが何かを話し始めたが、それを私は制止した「もう十分じゃないか。君が強くなったとしても。それが私達の為になるのかと言われればそうではないと思うが」と言うラギアに対して男は「はぁ!?何を言ってやがる」と言い

「ラギアはこう言っているのさ。私達の邪魔をしないで欲しい。とね」とラギアの代わりにアガーテが説明を始めてくれたので ラギルがアガーテの言葉を引き継いだ「そういう事だ。そしてお前の気持ちも理解できるが。それは、ラギアが求めているものではないんだ。それにな。お前は自分の事を、自分が最強だと思ってるかもしれないが。それは間違いだよ。君は確かに強いが、それはあくまでもレベル的に言えばの話だ。君の力を借りることはないよ」とアガロが言い切ったところで

「ふざけんな!俺は、お前らみたいなガキ共とは違うんだ!俺は大人だからな!子供にはわかんねえよ!」と男は口にしたが、ラギアがアガリアのことを見ていることに気がつく ア

「確かに私はまだ未熟かもしれない。だが、それでも。私には私の目的があるんだよ!私の目的はルーシスとずっと一緒にいること。それだけさ。ルーシスと一緒にいるためには、私はもっともっと、高みを目指し続けるしかないのさ」と、アガリアが告げたところで

「アガリアの言ったとおり。貴様はまだまだ弱いままなんだ。私とルーシスが組んでしまえば、貴様に勝ち目などないだろうな。それこそ。私がアガリアの力を借りて戦おうがね。まぁ、そんなことをする必要すらないだろうがね」とアガルが言い放つと 男は悔しいのだろうね。歯噛みをしてアガルとルーシスのことを睨んでいる。でもまぁ 結局は、アガリアの言葉に従うしかなく。その日は何も言えなくなってしまっていたようだ。まぁそんなわけで、この話は終わりになったのだが。アガロが私の元にやって来てから、「いやいや。本当にありがとうございました」と言ってきて、ラギルとルーシスがアガロに頭を下げてお礼をしていたのであった

「ふむ。なるほどね。じゃあ僕はそろそろ行こうかな?」と言って僕は街を出ることにしたのだけれども。その際に「あーちょっと待って下さい!僕を置いていかないで下さいよぉ!ってか僕も連れていってください!一人じゃ無理ですよ!ってか死ぬのだけは嫌ですってば!!」とかいう泣きごとを言うものだから僕は仕方なく彼を連れて行くことにしたんだけどさ? まぁ僕としてはさっさと出て行きたかった訳なんだけども仕方がないのでダンジョンの奥の方まで案内させることにするもモンスターが出てくる様子もなくて拍子抜けしていた訳なんだけれども 途中で「なんかモンスターが全く出てこないんですよねぇ」とかなんとか呟いているラガリアがいたが、無視することにして進んでいくこと数分ほどしたところ

「ここが最奥になります。あそこに扉が見えませんか?あれがダンジョンの最奥。つまりボスがいる部屋になっているんですよ」というラガリアの言葉を聞いた僕は、なんとなく、あそこまで行って見ることにしたのである ラギア達と合流した私は アガリア達を連れて外に出ようとしたのだが アガロが私に対して、「ラギア殿。少し良いですかな?」と話しかけてきていたので。私はラギアを呼ぼうとするのだが、それよりも早くラギアは、アガロと会話を始めることになった。そしてしばらくすると、二人の話も終わったようなので 私は「アガロ。ラギアの用事は済んだのかしら?ルーシス達を待たせてしまっているのだけれど」と 私はルーシ

「ええ。私達の用事は済みました。だから私は帰ろうと思っていたのですが」

私は、ラギアの表情を見る限りで、あまり歓迎されてないのは分かっていたのだけれど、だからといってここで退く訳にもいかなくて

「では私もついていきますね」と告げた後に、ラギアと共に歩いて行ったのだけど ラギアからすれば迷惑以外の何物でもないよね 私はラギアとルーシス、アガリ、そしてルーシスの仲間達に視線を向けて、「では私は先に行きますので」と告げてから歩き出す ラギは、私と一緒に歩くのを少しばかり躊躇っていたように思えたんだけども、それでも、私はラギアと一緒に

「私について来てください」と告げると

「はい。分かりました」

そしてラギアを、ある場所に連れて行くと そこには、巨大なゴーレムの姿があり、私は、彼に、その巨体に触れさせて、魔力を流し込んだ後、そのまま放置すると、ゴーレムは勝手に動いていた 私は、ルーシスとルーシスの仲間の三人を先に外に向かわせたあとにラギアの元に戻ると、「これで、私は。アガリアとルーシス。そしてラギアさんを守る為に。強くならなければいけなくなりました。私はこれから、アガリアとルーシスの側にいます。これから先、私とラギアの敵はどんどん増えていくでしょう。そして、いつかきっと。私が。アガリアとルーシスのことを守れなくなる時が来る。その時の為に、今は。私は強くならないとダメなんです」と伝える ラギアはその言葉を聞くと「そうだったんですね。ルーシスの気持ちは分かりました。俺はルーシスのことは大切だと思っている。でも俺は俺の目的のために。もっと、強くなる。アガリアさんの力だって必要になってくるはず。だからこそ俺は俺の道を進むだけだ」とラギアの言葉を聞いた後で私はラギアのことを見ながら「はい。わかりました。ルーシスをよろしくお願いします」とだけ言うと私はその場から離れる アガリアとラギアを

「アガリア。どうしたんだ。急にこんな場所に連れてきて。まさかお前、アガロと何か企んでいるんじゃないだろうな」とルーシスが、アガリアとラギアの様子を見たときに、二人の間には不穏な空気があったので。アガロのことを疑ってしまうのも当然だとは思うけど 私はアガリアの味方をすることにする「そんなことはないさ。私はあくまでルーシスの為だけに動いているからね。そして私達の利害は一致してしまったのさ。私はルーシスとラギアを守りたい。そして君達は力を手に入れたい」と口にしてからラギアとラギーを見つめると 彼は

「俺達は、あんたが羨ましいですよ。あんた達はお互いに思い合っているんでしょう?俺達にはそれが無いんだ」と言ってきた それを聞いてしまった私にはラケルが言ってきたセリフが蘇ってくるが、だからといってラギアに何も感じないわけじゃない

「それは違うわよラギちゃん!確かに私たちはお互いを思い合っていないかも知れないけれど。でも私はルーシスを愛してるのよ!愛に種類なんて関係無いもの!」と私は告げるのだけれどもやはりルーシ

「まぁそうかもしれませんが。やっぱりアガリアは。俺よりもアガリアを選んだ。それは間違いないんですよ」と言い切ったラギアは、ルーシスの目の前に立ち

「悪いなルーシス。俺はお前が、ルーシスが好きなアガリアが。好きになったアガリアの側を離れたくない」と告げてルーシスのことを見つめていたのであった。私はそれを見て、ラギアの事を責めることなど出来なくなってしまった。ルーシスがどんな想いで今の発言を口にしたのかは理解出来たから。

ルーシスは、アガリアのことを好きだが、それでもアガリアはルーシスの前から消えてしまう。そしてアガリアがルーシスを思って行動してくれた結果が今のルーシス

「分かったよ。もうこれ以上は何も言わねーよ。ただお前らがそれで良いのならば。俺は何も口を挟むつもりはねーし、むしろ、そうしてくれてありがとうございます。くらいにしか考えてなかったんだがな」と言うと、ルーシスは何も言い返せずに黙り込んでいた そしてアガリアとルーシス達が 別れを告げる瞬間が訪れ ラギの「じゃあ。そろそろ行くか」という言葉でラギアとラギ、アガリアの一行はダンジョンの入り口に向かうことになるのだが ラガリアの仲間たちも、ついてくるようで、私も一緒に行くことにしたのだが その前にラギが私とラギルのことを睨んでいたのである。私はそれを気にしないように

「さてと。それじゃあ帰りましょうか」

そう言いながらラガリアに声を掛けるのである ラガリア達一行に、俺もついていくことにして、アガリアや、その仲間の者達に、俺も同行させてもらうことにしたので。ダンジョンの外に出ることになる。そこでアガリアと、その仲間達の装備を確認したところ。

まずアガリアなんだけども。彼は剣を愛用しているようだが。アガリアの場合は短剣

「あの、アガリア様は魔法も使えたりするんです?」と聞くと。彼は少し考え込んでから

「そうだな。実は。俺は攻撃魔法の類を使えるんだ。だけどな、俺は、回復系の魔法の方が得意なんだ」

アガリがそう言った直後にアカリのほうを見ると彼女は少し照れたように「私は補助系統の魔法はある程度使いこなすことが出来るんだよ」と言っていたのである そう言えばラケルって奴はどうなったのか気になりつつも 俺の質問がきっかけなのかルーシスが「そうか。俺とラギアはアガロの村に行ってみるか」と言ってくれたお陰でルーシスとルーシスのパーティーメンバーは村に行ってくれることになったのだが ラギアもアガリアとラギについて行こうとしていたのだけれど。俺達と別れた後でラギが「いいのか?」と言って ラギアを引き留めてくれたお陰で ラギアとルーシスがアガリアの元に辿り着くのが遅れてしまったのだけれども アガロが「お久しぶりですね」などと、アガリアとルーシスに向かって声をかけるのだが。アガリアとルーシスにとっては 久しぶりに会うというのに なんとも言えない空気が流れてしまっているのが分かるほど 二人はアガリアのことを睨みつけており。それに

「はは。相変わらずお前達二人の間は。ギスギスしたままなんだな。いがみ合う必要は無いとは思っていたが。こうなっては致し方なしだな」

「何を言っている。ラガリアが、お前のせいで、俺とラギアの間に溝を作ったんだ。だから俺は、ラガリアとアガリアのことを恨んでいるんだよ。そして俺は、この世界そのものをも恨んでいるんだ。ラガリアをどうにかしないと。また同じようなことを繰り返されるだろう」とルーシスがアガリアに向けて怒りをぶつけてきたのだけれど。

ルーシスが怒るのはもっともで

「だからってルーシス。アガリアを憎んだとしても意味が無いんじゃないか?そもそもルーシスとラガリアの関係が拗れることになった原因は、お前の親父であるアガルマが、俺が裏切るかもしれないと疑心暗鬼になっていたせいもあるんじゃないのか?だから、俺がルーシスとラガリアの邪魔をした訳でも無いと思うがな」と 俺もルーシスの言葉に対してそう言ってみるとルーシスは「そんなことは分かっている。だけど俺は。俺がルーシスの立場であれば。ルーシスと同じように、俺の気持ちを理解してくれているはずの、ルーシスとラガリアに対して、俺の本当の気持ちを伝えるべきだった。だが俺の両親は俺のことを大切に思ってくれていた。だからこそ俺に対して期待をかけ過ぎてしまっていたんだろう。ルーシスだってそうだったはずだ。ルーシスなら分かってくれているはず。と、自分のことを優先し過ぎたからこそ起こった悲劇。いや。これも結局は自分の蒔いた種でしかないんだ。そして、アガリアを、ルーシスの元から引き離した張本人として、ラギアとアガリアを責めても、きっと、それは自己満足でしかないだろう」とルーシスは、俺の目を見ながら話していた それから俺とルーシスは、俺が持っているアイテムについて説明した後に。

「ルーシスさんとラガリアは、私についてきてください。アガロの村の様子を見に行きます」

俺とラギルがそんな言葉を残してアガリアの元へ そしてラガトとカゲノはルーシスとラギアの所へと向かわせることにすると

「ルーシスの言う通り。俺にも責任があるのは事実だと思う。だからルーシスのことを許せと言われたら難しい問題なのかもしれねーな。ルーシスとルーシスの仲間達は俺に任せろ。アガリアはアガリア自身の為に生きるんだ。ルーシスには、ラギアとラガリアを任せることにした。あいつらもお互いのことを嫌い合っているわけじゃねーはずなんだ。それなら。お互いのことを認め合えばそれで済む話だ」

「分かりました。私は私の為に、ラガリアと一緒にいます。そしてラガリアと共に強くなっていくことにしました」アガリアがルーシスの言葉を聞いて、そう告げるのだが。俺は、アガリアに「本当に。そうなのか?俺は、あんたのことをまだ信用出来ないんだが」と言ったのだが ルーシスが、俺とアガリアのことを庇う様に間に入ってきて

「ラギアはルーシスのことを疑っていたんだな。それはそれで、俺の落ち度だな。アガリアとラガリアのことをルーシスに頼んでおいた以上。俺はアガリアを信じるべきなのかもしれんな。ただ俺はラギアの事も信じるよ。これから一緒に行動する相手だしな。ラギアの事を俺が信じれば。ルーシスとルーシスの仲間達のことを考えると。少しだけ不安要素が残るけどな」

アガリアは「私は。ラギアの事を恨みたいけど。ラギアには罪はないわよね。ラギアは私とルーシスに協力して、私とルーシスを鍛えてくれるために私達の所にやって来たって事かしら」などと言うのだが ラギアがそれに対して「まぁそういうことだ」と答えて その後、しばらく話をしているうちに

「まぁこんなところで長々と話していても仕方が無い。俺もお前らと行動を共にすることにしよう。俺はアガリアの事を。お前らはルーシスとルーシスの仲間達のことをよろしく頼むな」と告げてから 俺とルーシスのことを一度見やって「じゃあ。俺が、このアガリアのことをルーシス達のもとまで連れて行くから。そっちの事は、そちらでなんとかしておいてくれないか」とラギアが告げるので。それを聞いて、ルーシスも「あ、ああ。こいつに関しては大丈夫だぜ。それに、ラギもアガリアが変な動きをしねーように見張っていてくれるしな」と言って 俺達が別れようとした時 ラガリアは、俺の方を見て

「ルーシスをお願いします。私のこともラギアから聞いたんですか?」と、ルーシスとルーシスの友人の二人を見て

「はい。聞いております。あなた方は。ラギアさんの大切な仲間達なのでしょう?」

俺が答えると、ルーシス達を見て

「では私は行きますね。皆さんご武運を」

アガリアは、ルーシスとルーシスの友人に向かってそう言い残し。ルーシスとルーシスの仲間達のほうへ そして、アガリアとルーシス達とのやり取りが終わった後で

「さて、俺とルーシスも、このアガリアと、ルーシスのところに行くか。とりあえず俺の住処に行ってから。ルーシスの仲間達のところに向かうとするか」と俺に声を掛けてきたのだけれど

「ラギア。俺もアガリアのことを、お前に託したんだ。俺もお前に預けるつもりはあるぞ。ルーシスもそうだしな。俺もアガリアとルーシスを信じるよ。俺はルーシスのことを仲間だと思っているし。アガリアとアガロも俺にとっては同じくらい大事な仲間だからな」と俺が伝えると。

ルーシスは「そうだな。ラギアのことはアガリアの次に信頼できるし。ラギアのことを、俺達に、任せても構わない」と、アガリアの肩を持つ発言をした ルーシスが、アガリアをルーシス達のもとに連れて行くため アガロ

「アガロ様。あの人、どうするんですか?アガロ様のことを殺しかねない感じで見てましたけれど」

ルーシスがアガロに向かって、そんなことを口にしているのを聞いていた ルーシスがラギアに向かって「俺達についてくるか?」

ルーシスとルーシスの仲間達とともに。

ルーシ

「おい。なんで俺のことがそんなに気に食わないんだ?なんでそんなに俺に対して警戒しているんだよ?」

ルーシがそう言っても ラガリアの答えは変わらず ただ「私は貴方のことが嫌い」と言って ルーシスはアガロとアガロが連れているアガロの奴隷である女性を連れてルーシスの住む村へと向かうことにしたのだが アガロはルーシスとルーシスの仲間たちに向かって ラガロは「アガロ。私がどうして貴女を、ラガリアと一緒に置いて行くことになったのでしょうか?」と言ってきて ルーシスは「俺にも分からんが。でも、ラギが言うには。俺は信頼に値する人間だってことだし。だから。アガロンのことはアガリに任せた」とラガリアとアガリアに対して言ったのだけれど ルーシスのことを信用していないのか。アガリアがラガリアのことを守るようにして立っている状態で、移動を開始したのだった。

それからしばらく歩いていて。俺とラギールとルーシスは、ラガリアとアガリアを村に案内する事にして アガリアは、ラガロが俺に何かをしてくるような気配を感じ取って、ラガロと、俺のことを睨みつけるような視線を向けるのだが 俺はそれをスルーすると ラギアがルーシスに対して「俺とアガリアとで、先にお前のところに行かせてもらうが。良いよな」と言い出して

「分かった。ルーシスの仲間達はラギアとアガリアのことについて知っているみたいだし。俺とルーシスは先に進むことにする。ラギアもアガリアもルーシスのことを頼んだぞ」と、俺が言うと ルーシスは俺に、俺のことを心配そうに見やりながら 俺の手を取り、自分の頬にあて

「ルーシスさん。ルーシスさんにはルーシスさんの考えがあっての行動だと私は思っているのですよ。ルーシスさん。私は。私にとってルーシスさんは命に代えても守りたい。そう思っておりますから。ルーシスさんにはルーシスさんの思いを大切にしてほしいと思っておりますから。ですからルーシスさんのことは。絶対に守り抜きます」

俺がそう伝えても。ルーシスはまだ納得がいっていないのか 俺のことを抱き寄せ

「ラギアはラガリアと俺のことを頼むな」などと 俺とルーシスはラギア達から別れて、アガリアとラガリアを俺が連れて。ラギアとルーシスは俺が連れて行く形でルーシスの仲間の村に向かったのであった。

ルーシスは俺に「俺が、俺のことを一番大事にしてくれている。そんな風に思っていても。俺は、ラガリアにルーシスの傍で。ルーシスを守って欲しいと頼んだんだけどな。ルーシスのことを俺の傍においておきたかったんだ。ルーシス。ラガリアのことをお前に託す」とルーシスが口にすると ラガリアは「分かりました。ルーシスが大切に思ってくれているのは。ラガロやラギアさんに、ラギアの両親達よりも。私をルーシスの大切なものに入れてくれた。そういう事でしょ。ルーシス。私はルーシスのことを信じるわ」などと言って そしてルーシスの仲間のところまでたどり着く ラガト

「え?あ、あ、アガロさんじゃないですか。ルーシスさんの仲間達はもうすぐ戻ってくるとは思っていたのですが。ルーシスさん達は無事に戻って来られたんですね」などと言ってからルーシスを見て ルーシスに「あ。お帰りなさい。ルーシスさん。アガロさん。そちらの方達はルーシスさんの知り合いの方達でよろしいんですよね」などと言うと ルーシス

「おう。ラガリアとアガリア。こいつらがラガリアだ。アガリア。こいつはラガト。ルーシスの相棒みたいなものだ」

ルーシスがラガリアを紹介すると

「そういえばルーシス。このアガリアのことについてだけど。ルーシスのことを殺したがっているようにも見えたんだが。ルーシスに危害を加えるようであれば。ルーシスの敵になるなら。俺は、ルーシスのことを裏切って、このアガリアを殺そうと思うんだが」とラガロが言い出し。ルーシスは

「俺は、アガリアを。ラガリアに。ラガリアはアガロとルーシスの二人と共に、ルーシスの仲間の村に。そこで生活をすることになっているんだ。ただ、俺は。アガリアの事は信じたいとは思ったけど。どうしても、まだ。アガリアの事を。完全に信じることが出来ていないのも事実なんだ。アガリアのこともそうだろうけど。ルーシスに危害を加えようとする奴がいるかもしれないって考えが頭から離れなかった。だから俺はアガリアとラガリアには悪いが。今は、アガリアを信用できない。俺とルーシスでアガリアを守れるくらいに強くなってからのことだと思っている。ラガロには申し訳ないけど」などと言っていたので ラギアは「アガリアのことは、アガリアのことを良く知ってる俺から話させてくれ」と、アガリアのことを庇いつつ。

「俺はな?ルーシスの事が大好きなわけだよ。俺がどんなことをして、どんなことが起きたとしてもだな。お前の事は、お前が生きている間は。俺が必ず守ると、俺は決めたんだよ。ルーシスのことが大好きだっていうのはな。ラガリアが。この俺の目の前に現れたときもだ。俺がラガリアと出会った時は。俺は、俺の命をラガリアに捧げるつもりでいた。この気持ちは今も変わらない。それにだな。俺は。ルーシスの事が好きで、好きでしょうがないんだ。お前は俺のことを信頼してくれたんだろ?だったら俺も、アガリアとお前の事も信用しようと思う」

ラギアは俺のことを見やって「ルーシスの大切な人には間違いないだろうし」と言ってから アガリアに「お前はルーシスの大切な人に何かしようと考えているのか?」と、アガロはアガリアにそう聞くと アガリアは

「ルーシスの大切な人を傷つけようだなんて私はそんなことは考えてなんかいない」とアガリアは言った アガリアがアガリアのことをラギアに託した時も アガリアの態度を見て。アガリアは俺のことを認めてくれていると感じた アガリアがラガリアのことを気に入らない理由は分からないが。俺はルーシスとラギールと、それからアガロと一緒に アガロの住む村へと向かったのであった。

ルーシス達が、俺が連れて来たアガリアのことをラガロに託してから数日。ルーシスが俺の元に戻ってきたのだけれど。

「なぁ、ルーシスのところに。お前の仲間達がいたはずだよな?」と、ルーシスが帰ってきたことに喜びながらも俺はルーシスに対して疑問を問いかけると ルーシスは、ルーシスが連れて行っていたラギアに目配せをしてから ルーシスが連れていたラギアの仲間は全員殺されていて ルーシスは俺のことを、心配するような目をこちらに向けてきていたが

「ルーシスよ。そんな顔をする必要はないぜ。ルーシスが俺に気を使ってくれたのか、それとも本当に知らなかったのかまでは、俺にはわからないけれども。まあ俺としてはラギアとアガリアを連れて行ってくれた事に感謝しているんだよ」と、俺が伝えると

「ラギアのことについて。ラギアの仲間を全員殺してしまったって、ラガリアから報告を受けたんだよ。で、ラギアの仲間達はどうなったんだ?その、アガリアがラギア達を殺して、その死体を持ち去ったみたいだからさ。ラギアが俺の仲間を殺した理由が、それなんだよな」などとルーシスは言ってきて ルーシスの話を聞いていたラギアが言う「ルーシス。アガリアの奴はさ。俺とアガロの故郷でもある、ラガロ達の住む村の村人を皆殺しにしてたらしいんだ。俺がラギに頼んでラギに調べてもらった結果、アガリアとラガリアがやったことだということが分かって」とラギは言ったのであった ルーシスは俺のことを心配そうな瞳を俺に向けてきているのだが

「ルーシス。俺が、俺の大事な仲間に何かをすると思うか?」と、俺が口にしたのを聞いたルーシスは安心した表情を見せて それから俺とルーシスはラガロの村に向かうことになったのだけれど

「あ、あの。お兄ちゃん」

俺の背中に抱きついてくる存在が ルーシスのお姉さんのラキさんだった。

ルーシス

「なあ。ラギア。お前の姉さんってさ。こんなキャラなのか?」などと聞いてきたので俺は「そうですね。私には姉がいないのでなんとも言えないですが。確かに姉のような雰囲気を感じていますからね。私には姉のことはよく分かりませんが」などと答えておきながら ルーシスと二人で歩いている最中にも、ずっとくっついている状態で歩くわけだから 俺の顔を見つめたり、手を取ったりしながら歩きながら俺のことをじっと見やるわけだが。これは俺に懐いてはいるわけだから問題は無いんだけども ただ少しばかり甘えん坊というのか、そういう性格の持ち主なのだろうと思える行動が目立つラキさんと歩いていくことにした。

アガロとラガロの村に到着した俺たちはラ

「じゃあ。アガリアは俺とルーシスに危害を加えようって考えが無いのであればそれでいい。だけどもし、危害を加えた場合は、容赦しないぞ」とアガロが口にしてから ルーシスはラガリアに近づいて「アガリア、ラガリアがラギア達を殺してしまった経緯を話してほしいんだが」とルーシスがそう言うと ラガリアが俺のことを一別してから

「私が。ラギアさんの仲間の皆さんが暮らしていた村に。向かったのですよ。そこで私は見たのです。そこに倒れている人の身体には傷があり。ラガロさんの仲間たちにつけられたものだと思ったのです。だから私の仲間を殺したのはラガロさんの一味だと分かりました。なので私は、ラギアさん達を殺そうと思って近づいたら、私の事を庇うようにしてラギアさんの仲間達は立ちふさがりました」と ルーシスはその言葉を聞いてから ラガリアは「ラギアさん。ルーシスの大切な人だからね。私、ルーシスのことを守ろうとしたんだ。ルーシスのことを。そして私はアガロにルーシスのことを頼んだの。だから私はルーシスのことを守るためには手段を選ばない。アガロにルーシスを預けているのも、私は、アガロが嫌いだからだもん。アガロの事はルーシスのことを大切にしてくれているのは知っているから、信用していないわけではないけど。それでも。でもね?私はアガロが信用できない。アガロがルーシスのことを守ってくれると信じてる。アガロなら信用できると。そう思えたから、アガリアの事も託すことが出来た」などと言った。

ラギアは、そんな言葉を吐き出したアガリアの事をジッと見ていたが「俺がアガリアのことを信じることが出来ていないっていうのは確かだよ。アガロはアガリアのことも。アガリアの気持ちを、アガリアの本心だって思うことも出来るとは思うんだ。でも俺はやっぱり。ラガリアを信用出来ないし、アガリアの事を信じることは無理だと思う。ルーシスの大切な人に危害を加えるような真似だけは絶対にしたくないから」そう口にする ルーシス ルーシ

「お前は俺のことを守りたかったんだよな?だったら。どうしてだ。ラガロの仲間を殺したんだ?俺のことを守ってくれていたラギアの仲間まで殺す必要があったとは思えないんだよ。俺のために。お前の仲間を殺そうとしたことは。許せるとは俺は言い切れない」そう言ってからルーシスはアガリアの方を向いて「お前は、何を考え。何が目的なんだ?」そうルーシスは問い掛けると アガリアが口を開いて「ルーシスを害する者は私は全てを殺すわ。アガロやラギアに。貴方に。危害を加えようと考えている者なら。私は全て殺さなければならないと思っているの」などと言い出し ルーシスはアガリアのことを見やり「なあ、俺はラガリアにルーシスのことを頼んでいるんだぜ。俺は、ルーシスのことを大事に思っているからな」

ラガリアがラギアとラギアが引きつれているルーシスの元仲間である人達を見てから「私にはもう仲間なんて必要ないもの。ラガロがいるから。私にとってラギアが全てだもの」

ルーシスとアガリアの二人はお互いに視線を合わせて。アガリアが先に「ねぇ。ルーシス、私は貴女と敵対なんてしたくないの。お願い、私を受け入れてくれない?」などと懇願するようにして言ってきた 俺はアカリのことを見てから、ラガリアに言う「なぁ、俺はお前にルーシスのことを頼んだんだぜ。俺はルーシスを守るって約束をしたんだ」と俺が言うとアガロもアベルもカゲハさんも俺の言葉に賛同してくれるように無言のまま首を縦に振っていた そんな様子を見てからルーシスは「そっか。俺はさ。正直まだ納得はできないんだけどさ?お前を信じられないのは変わらないよ。だからといってアガリアを拒絶しようとまでは思ってはいないよ。だからアガリアは、俺の事を助けてくれたことは間違いないことだろうからさ。だからありがとう」と、礼を口にするとラガリア

「ルーシスの事が大切で仕方が無い。それは本当のこと。ルーシスを傷付けるものは許せない。それだけは、理解して欲しい。私はルーシスのことを誰よりも、ルーシスのことを考えているの。ルーシスを愛おしく思いすぎて、どうしようもない程に。ルーシスをこの手に抱いたときから。私にはルーシスしか見えていなかったの。ルーシスだけが全てだった。そのはずなのに、それすら分からなくなってしまった。私は、今。自分がしている事が正しい事なのか。そんな事さえ分からなくなっちゃった」

「お前がそんな風に思っていたことくらい分かってるよ。ラガリア、俺は。ルーシスが幸せになってくれれば良いんだよ。それが俺の望みで、一番叶えたいことだからさ」そう口にしてから俺はラガリアに対して言う「だからさ。アガリア、俺達のことは邪魔しないで欲しいってところかな?」と俺が言った後すぐにラギア達と一緒にラガロを出て行くことになったのだけれども アガリア

「あの人は。本当にルーシスのことを大切に想っているみたいだからね」

ラギア

「あー。ルーシスを傷付けようとする相手は問答無用な感じな奴か。それならあれだ。俺の大切な人を。ルーシスを害する相手には一切の容赦をしなくて。しかも躊躇も無く殺して。それでいて自分の大切な相手が、そのことで傷付かないようにしてあげるんだろうな」と、ルーシスが言う ラガリア

「アガリアが、ルーシスに近寄ってくる男に敵意を向けているって話は。前に聞いたことがあったからね。でもアガリアは。本当は、ルーシスに構ってほしいんじゃないかな?ルーシスに嫌われないように。ルーシスが離れていってしまわない様に。必死に取り繕って、アガリアが演じてるのかも知れない。それにアガリアが言う通りかもしれない」

ラギ

「まあ、ルーシスは可愛い妹のような存在ですから。大切に思うことに変わりはないんですけど。それよりも、今はもっと大変なことがありますね。ルーシスのことを害するようなことをしないようにしないといけませんね」などと言ってルーシスを見やるのだけれどルーシスとカゲハとアガロは三人で話をしながら歩いていくわけなのだが それからアガリアが俺の方へ近づいてきて、「ねぇラギアさんは私のことを信じてもらえているのでしょうか?」などと聞いてくるのだから俺はそれに対して「少なくとも今の俺はな?ただこれから先は分からないと思うぞ。俺はやっぱりお前のことを完全に信じることは出来ないと思うから。お前はルーシスが可愛くて仕方が無いんだよな。それは俺だってルーシスを愛しく思っていて、守りたいと心の底から思えるほどに大切な存在になっているんだ。それを、ルーシスを傷つけたのであれば。ラガリア、お前の事は信じられないと俺はそう思ってはいる。だけど。俺の大切な人が傷付けられたり。俺に何かがあったり。そんな時は、俺はラガリアの味方になることだけは誓おう」と、そう言い放つとラガロが「アガリ。ルーシスに危害を加えようとした者は、どんな相手であっても殺すと言っていたが、ラガロやアギアの事は守るつもりなんだな」なんてことを言われてしまい、俺が答えるより早くラガリアが俺の手を握って「アガロもラギアの事も大好きだから」と口にしたのでラギアはラガリアのことをジッと見やってから俺の方をジッと見やり「俺は。アガロの事もラガリアの事も、ルーシスが傷付いたりする姿は見たくはないし、俺の手で、俺の力だけで守ってあげたいんだ」と、そう口にして ルーシスの方に向き直り「だからルーシス、俺はお前のことだけは必ず守りきってみせるからな」と、そんなことを言ってから、ルーシスの手を握り締めて。歩き始めたのであった 俺はルーシスのことを必ず、ルーシスの事を悲しませたり、苦しめたりする連中を近づけさせたりはしないと、改めて心に誓うことにした そしてルーシスが俺のことを呼ぶ声が聞こえたので。ルーシスの元に向かう事にする ルーシスは

「俺はさ、ラギアは。確かに俺の事をとても大事にはしてくれていると思うよ。俺はアガリアとラガロのことを信じることは出来るとは思っている。

でも俺の事を、心から心配をしてくれたりだとか、守ってくれたりだとか、俺のために頑張ってくれているのはアガリアとラガロの二人で、他の人はまだ、俺のことを信じて貰えてはいないと思っているんだよな。俺としては」などと言い出すものだから 俺はルーシスに言うのだ「そんなことはないだろう。アガロも、アガリアもちゃんとお前のことを考えてくれているじゃないか?それにお前のために頑張ってくれようとしているんだしな」と、口にしてから続けて ルーシスのことを見つめ「俺はな、俺はさ。自分の力で大切な人達を守ってやりたいんだよ。そうじゃなくてもだ、ルーシスはさ俺に助けてくれた恩返しがしたいとかって気持ちはあるんじゃないのか?」と問い掛ける するとアカリが少し呆れたような口調になりながら言ってきた「確かにそうかもしれんのう。だがラガロよ、それはわしにも当てはまる言葉であろうが。アガロは、わしに居場所をくれたのじゃから、今度はアガロのために力を尽くす。そう考えるとアガリアも同じではないかのぅ?違うのか?違わんじゃろ。お主もそう思ったのではないか?お主にアガロと同じ考えを持つようになって欲しい。アガロの事が大事で、おぬしもお主の大事な者達を守れるように強くなりたいと」と、アガリアに向かって言う するとアガリアは「ラギアに、私の考えを受け入れてもらいたかった。それだけが、アギアの、アガロへの、ラギアへの思い。私が一番優先すべきことなの」などと言うのだから ラギアが言うのだ「俺は、そうだな、アギアと、アガリのことを全面的に信用できるとは正直なところ思えないが。それでもだ、ルーシスの事は二人に任せることが出来るとも思っている。それは、アガリアが本気でルーシスを守り通そうとしていることを知っているからこそだ」と それを聞いてから、ラガリアが口を開き言う「でも私は貴方達が嫌い。私にとって貴方達は敵にしか見えない。私が、私にとって一番大事に思っている人を。ルーシスを傷付けたら。私には容赦なんて絶対に出来ない」と、はっきりと告げる ルーシスが言う「俺はアガリアとアガロのこと。好きだよ。大切だよ。二人が俺に何をしてこようが俺は許せる自信があるよ。そしてラギーもアカリもアガロも俺に優しくしてくれるし」と、そんな事を口にして「俺って甘えん坊なのかも。俺にとっては皆は家族みたいでさ」

そんな風に話すのだけれど アガロは「そんなことありませんよ。ルーシスは私たちの家族ですよ」

そしてルーシスは俺の耳元で小さく囁いた「俺のことが好きな奴らの事が好きになったみたいだな」と言ってきて俺は思わず吹き出しそうになってしまう そんな俺たちのやり取りを見てかラギアが「お前らはいつもそうやって楽しげにしているんだろうな。羨ましい限りだぜ。まぁでもなルーシスの事を守るのなら。ラガリアのこともしっかりと考えてやるべきかもな。

ラガリアは俺の妹だし。大切な家族の一人だからさ。まあラガリアの言うとおり俺は。ラガリアのことを全て受け入れられるとは正直言えないが。俺の一番がラギアで、アガロ達よりも。ラガリアよりも。俺はルーシスを大切に思っていることは確かな事なんだけどな」

アガリア ラギアはアガリアのことを信頼していないと言ったけれど、そのことについての話をしている時、俺の肩に手を乗せて来て アガリアは「ルーシスを傷つけようとする者は例えそれが誰であろうと、誰であれ、ルーシスに何かをする奴なら殺せば良いだけの話。それで、ラギが言った通り、ルーシスのことを守り切れれば、それは、それこそが、ルーシスに対する愛を証明すること。そして、ルーシスを愛する者の義務であり権利でもある」と言って ラガリアと、俺のことを交互に見てから俺の背中を押して「だから私は。ルーシスのことをずっと守ってあげる」などと言っているのである「ラガリア、お前は俺の大切な妹だと思ってはいるけどな。だけどな、もしも、ルーシスが、お前に助けを求めるようなことがあった時はな、俺の邪魔をするつもりなら。容赦はしないからな」と、そんな感じの言葉をラギが吐くわけなのだが。

ラガリアはそれを笑い飛ばしてから言う

「大丈夫。アガリアが私を害するような真似をしない限り、私もアギアもルーシスに対して害を与えるつもりはない。そんなことをしたらルーシスが悲しむことになるのが分かっていてそんな事をしようとは私は思わない。

だからルーシスのことは私に全部任せておいて」などというのであった。

ルーシスもラギアに言う

「まぁ。アガリアの事は、信じているわけじゃないけど。俺の味方になってくれているってのは理解しているし、アガリアが何かするとしても。多分ラギアが止めるんだろうなって思ってもいるから。俺がアガリアの事を信用できないのは俺のことを、ルーシスが守ってくれようとする気持ちを利用している部分が見えているからで。そこさえ改善されればいいんじゃないかって今は思ってはいるんだよね。

まあ俺のことを大切に思うあまりの行動だって言われちゃえばそれまでな気はしなくもないんだけど。俺の事を本当に思って、俺のことを守りたい。そう思ってくれるなら、もっと別の方法を取ってもいいんじゃないかなって、今はそう思ってるよ。

俺はさ、俺はラギアとアガリアに大切に思ってもらってるのは嬉しいんだよ。俺だってラギアとアガリアが大切だからさ。

だから俺はアガリアのことを完全に信用することは無いかもしれないけれど。それでも、ラギアの味方であることに変わりはないんだよ」

そう言い終えてからルーシスが俺の方を向いて言う「俺もラギアにルーシスが俺を庇ってくれたことに感謝する。ありがとうな。ルーシスが庇ってくれたおかげで俺は助かったんだよな」などと言うものだから俺は照れ臭くなってしまい「そ、そんなことねぇーよ」なんて口走ってしまっており 俺はアベル達のところまで移動してきていた それから俺に視線を向けると「なんだ?お前はまたここに来やがったのか。今度は何をしにここへ?」なんてことをアベルが口走ってくるのだ 俺はアベルに向かって「いやまぁ。色々とあったんだ。それよりもだ。お前らには聞きたくてしょうがなかったんだが、ここは何処だ?俺はどうなっているんだ?」と聞くのだ。するとアダルベルトが「なるほどな。つまりあれだな。アガリアに、ラギアにアカネ。それに、ラギアの部下達にルーシスと俺とラギアにアドル、それにアカリにアギアと、アガロの七人だけがここに集められた理由って訳か。分かったぜ」と言い出したので俺は慌てて「ちょっと待てよ。俺を除け者にするな。俺が今の状況で一番知りたかったことだぞ」とそう叫ぶのだが アガリアが口を開き「アドル、アギル。この人達をアガロが守っていた場所に連れて行ってほしい」と言い出して、アカリも「うむ。アガリアよ、その方が良いかもしれんな。わしらがこの場所に来るまでの間に起こった出来事も知っておきたいということじゃろう?」などと口にした アガリアはそれについて答えてから

「うん。そうだと思う」と答え アガロも続けて口を開き「じゃあ行きましょうか」と言って歩き出す。俺はそれに付いて行く。すると、アガリアとアガリアの部下らしき男達と一緒に俺達は進む。俺はそれを目に入れてからアガルに質問を行う。「俺の記憶にある限りだと。確かアガリアとラギアってのは、俺にとって大切な人だった気がすんだよ」と そう呟いた瞬間。

俺の前に立っていたはずのアガリアがいつの間にかアガリアの背後に居て。そしてアガリアが手刀

「え?」俺には一瞬。そう見えただけだった

「がっ!?」アガリアの手が俺の首にめり込む。その痛みが脳に響く。だが俺はそのままアガリアの足を掴み。どうにか耐えようとするが「ア、アガリア。ど、どうして」

俺の言葉を聞いてから「そう。アガリアよ」アガリアがそんなことを言う アガリアは言うのだ「貴方は私が、貴方のためにしてあげたことを否定するの?私のことなんて、貴方にとっては必要なかったって言うのね。貴方は」そう告げるのだ 俺はその言葉を聞き「アガリが。アガリアのことを嫌いなはずないだろ。何があった?教えてくれ」

「アガリアはルーシスに救われて以来。貴方だけを愛するようになっていた。それは貴方に命を助けられたから、貴方のことが、貴方だけを愛していたのに」と、そこまで言うと「お前がアガリアのことを。悪く言うからだ」と、声を上げる。

そこにいた全員が驚いていた「ラギー様!何を!」アガロは慌ててラギーを止めるべく行動しようとしたのだが。アガロは動きが止まることになる「ラギアよ。お主はアガリアの邪魔をするでない」「しかし、これは流石にやりすぎでは」アガロはアドルに止められてしまって「わ、分かりました」

そんな事を言いながら、その場から離れてしまう。アガリアはラギーのことを見つめると

「貴方が悪いの。ラギア。貴女がいなければ。アガリアはルーシスのことを守ってあげられたというのに。貴女のせいよ。アガリアが、私達の愛を否定されるのも。ラギアのせいで、アガリアはもうルーシスを守ることができなくなる」

アガリアの言葉を聞いてラギアが「ラギの。アガロがお前のことを止めようとしても無理なように、ルーシスも、ルーシスの配下達も。ラギアもアガリアも誰もお前を抑えられないことくらい。お前だって分かってはいたんだろう?」そんなことを言っている そしてルーシスはラガリアに対して「おい、お前。一体、どういうつもりだよ」と言ってしまう。そしてラ

「まあ確かに、アガリアは俺達の仲間だし、家族だし、ルーシスのことも、仲間だし家族だって思ってる。だから。ラガリアのやってる事は正直、俺の大切な人を傷つけられてるようで気分は良くないんだけど。だからと言って、別にラガリアはラギアを殺そうとはしていないし。俺としては、アガリアもラギアの事も好きだしな。どっちかを選ぶとかはできないから。だから悪いとは思ってはいるけどさ」そう口にする。そしてラガリアのほうを見てから ラガリアが俺のことを見てきたので「俺は、お前に何もされていないし。俺は。アガリアとアガリアのこと。二人のことは大切に思ってんだぜ。アガリアが、ラギアのことを愛しているってことは、なんつーの? 俺は、二人とも好きだったんだ。

まぁ俺が言えることは。それだけなんだけどな」

そう言い終えると、俺のことをアガリアはじっと見てきてから「ふぅー。仕方がないですね。今回は、アガリアが少し。感情的になりすぎたのが原因ですが。私はルーシスに嫌われてしまったようですから」と、悲しげな顔をしている ルーシスはアガリアに向けて言う

「いや、そんなことねぇーだろ。お前のことを俺は」

「いえ、良いのです。ルーシスがそういう性格なのは私が一番良く理解していますから」などと言い出してしまう それを見てから俺はラギに言うのだ

「ラギさんもさ、ラガの事は好きではあると思うんですがね」と言うと「ふんっ! 知らんわい。わしは何も言わぬぞ。それにわしはルーシス以外を愛するつもりはないんじゃよ」などと言い出しているわけである それを聞いてラギは呆れた様子で言うのだ「お前らはさっきまで殺し合っていたっていうのによくもまぁこんな風になるもんだ。全く以て信じられん奴らよな」などと言っていたりするわけなんだが、まぁラギアが俺のことを

「あんまりアガリアのことは悪く言ってやるなよ。まぁ俺がお前の立場ならそう言われてもおかしくは無いってことは理解できるんだけどな」と、言われてしまい 俺達はラギアがアガリアの事を「俺が守る。絶対にだ」そう口にして ラギアは俺達のことを守ろうとしてくれていて アガロもルーシスが俺達の味方であることに、感謝をしているらしいが 俺は俺でルーシスがアカリに告白するのを手伝ったこともあったりして だから俺はラギアがラギアの事を「ルーシスが俺を救ってくれたんだって」そう言った時、心の底から俺はルーシスが羨ましいと思ったんだよな。

アカリに

「なあルーシス」俺はそう言う「ルーシスが俺のことを認めてくれるなんて。俺はそんなこと、考えたこと無かったから。俺はさ、俺が俺を認めて欲しいから。俺はずっと自分を認める為に頑張って生きて来た。だけど、それでも俺はまだ自分自身を認められては居なくてさ。俺はアガリアやルーシス。アドルのように強いわけではないし。俺は自分のことが嫌いだったからさ」なんて言うとアドルが俺に言うのだ「お前には、お前にしかできないことがあるんだぞ。お前は俺達にはできないことを成し遂げてくれたんだからな」

俺には、アガリアがラギアに何かを伝えようとしているのがよく分かったんだ それはアガリアの願いでもある

「アガリア、アドルの気持ちは分かっているからな。それにアドルには恩もある。だから、お前の望みを叶えさせてはもらう」

そう俺が言うと、アガリアが微笑んでくれている。俺の想いが伝わったようだ 俺はアガリアの体を抱きかかえる

「え? ちょ、ちょっとルーシス?」アガリアがそう口を開く 俺達はルーシスに連れられて、その場所に向かう。そこは

「あれは、ラギルとアカネ様の城?」アガリアが呟く そしてその城の門が開くと、そこにはルーシスの仲間たちが集まってきており その中にはアカネの姿もあったのだ そしてアカネと目が合う

「ルーシス?何だ?そいつらを城に招き入れるのか?」ルーシスはアカネに答えるのだ「アカネ殿。こいつらの事を任せられるかな?」などと、ルーシスはアカネに話しかけるがアカネはルーシスと話すときだけは口調が変わるのだ。まあそんなことをどうでも良いかと思えるような出来事があったんだけれど アカネの方からも、「この者たちに何ができるというのよ」とか言い出して、それにルーシスは言う訳だ「そうは思うかもしれないけどさ。こっちの世界じゃあ、アガリア達のような人間は貴重って訳でもないが。そう簡単に手に入れられるもんでもねえってことぐらい分かるだろうが」そんな風に言い出したりした

「確かに。ラギア達が手に入れられれば、それだけでも十分に戦力アップにはなるでしょうけど。本当に大丈夫なのでしょうね?」と、そんなことを言うのである ルーシスは俺達のことをアガリアとラギアに紹介してから俺達のことを案内してくれることになるのだが そんな俺達の姿を見ている存在がいた事に気が付くことができなかった 俺達はそんな

「はっはっは。やっぱり。あいつら。面白いことやり始めましたね。俺が手を出すべきかどうかってところまでは考えましたが。俺は手を出した方が良いと思いましてね。だって面白そうだし、アガリアさんにも、俺のお願いを聞いて貰わないとなりませんからね。アガリアさんのお願いを聞くかどうかはまた別として」

「おいおい、何だ。ここは。俺の記憶にゃない場所だな。俺はこの場所を知らないし。見た覚えもねえ。だが、なんでだろうな?ここの光景を見ると無性に苛立つ。まあそんなことは良いがよ。俺は俺が気に入らない相手をぶち殺せばいいだけの話だよな」そんな声が聞こえる。

そして、俺達

「ルーシスの奴め。まさか。私達を連れて来るとは」そんな声がアガリアの耳元で囁かれた そして、ラギがアガリアのことを見つめると、その目を見てアガリアは悟る。ラギアもまた、自分達が連れて来られた理由を理解しているということに。

ルーシスに連れて来られた場所は俺も初めて見る場所である

「あの城はアガリアの故郷なんだぜ。俺の故郷の城を俺に見せようって思ってさ」と、そう口にした 俺はアガリアのほうを見つめるとアガリアは悲しげに俺の事を見ていたのである アガリアの故郷 ラギルの国であるラギアが支配していた国の跡地にルーシスが作り上げた新しい国 それが俺達が訪れた地である

「なぁ。アガリア。俺さ、ラギアのことが好きだし。仲間だって思っているから。お前のことだって好きだしな」と、そんなことを口にしてしまったりする それを聞いてアガリアが「ありがとう。私はルーシスのこと大好きですよ。私は貴方になら、ルーシスなら何をされても良いと思っているんです。私はルーシスを愛していますから。だから、私のために。ルーシスはこれから先も戦い続けるのですからね」などと言っているのだけれども そんなアガリアの言葉を聞いていた俺はと言うと、「お熱いことで」としか言葉にすることができずにいたんだけれどね 俺は今。とても困惑をしているのだ どうしてこんなことになっているんだろうか? ラギーは俺の前にいる女性に向かって口を開いたのだ「おい。お前は、誰なんだよ。ラギアの姉貴って言ってはいたけどよ」などと言い出す そして彼女は答えてからラギーとラギに対して言う そして彼女についてなんだけど ラギアの姉で名前はロギという人らしくて 俺よりも少し年上くらいの年齢に見える人で美人な人である。ただラギアの姉ってことはやはり獣人であり 猫系の人なんだ

「私はラギアのお姉さんよ。あなた達のことは、私の主が興味を持っていたから、それでこうして会ってみたわけ」と ラギアは彼女の言葉を遮るように言う

「俺と、ルーシスと、アカリと、アドルと、アガリアと、アガリアが召喚したラギアの六人に興味があると言っていましたが。それならば、私だけ会いにきて下されば良かったではありませんか」なんて言うわけで。まぁそれは俺としてもラギアにそう言いたい気持ちもあるんだが

「いやいや。私だってルーシスに用事が有ったんだからね。それにルーシスに頼まれていたことがあったし。まあ良いか。ルーシスの知り合いなら。まあとりあえず、私がラギアの姉で名前はロギと言うから。よろしくね」と、自己紹介すると、それからすぐに立ち去ってしまったのである ラギアはと言うと、「あいつら」とか言っているわけで そんな様子を見てラギは呆れた表情をしていて アカリが苦笑いをしている

「なぁ。お前らよぉ。ラギアとアガリアにあんな態度を取っても良いものかね?」などと聞いてきた

「別に良いと思うけどな」俺がそう口を開くと

「そうよ。アガロもルーシスが居れば文句はないでしょう?」と、そんなことを言う アガロのほうも、俺達が居れば問題ないと口にしてくれたり 俺がアガリアのことを抱きしめながら、俺は俺自身の気持ちを確かめるかのようにアガリアの名前を呼んだりする。アガリアはそんな俺のことを抱きしめてくれていて、俺は本当に嬉しかった ルーシス達は、そんな様子をみて笑っていた アカリはそんな俺達のことを、楽しそうに微笑みつつ見ていてくれたんだ アカリと一緒に過ごす時間を大事にしていきたいと思っていて、俺はそう思っていたんだが、俺はアカリと、ラギン

「ルーシスとルーシスの家族は大丈夫だろ。ルーシスが家族だと信じてやまないからな」

そう口にしているルーシスの表情がとても優しいものだったので、俺はルーシスがアガリの事を信じていることを再確認することになった そして俺はルーシスと共にルーシスとアカリの家に向かうことになったんだけれど ルーシスと、ルーシスと仲が良いらしいアガロ その二人はルーシスが信頼を置くことのできる人物だと、俺は判断できたので、ルーシスと行動を共にしてくれるというのなら、そのほうがルーシスにとっても、アガリアにとっても良い結果を生むと思ったのである アガリアが「あの。ルーシス様はラギアさんとアガロさんは大丈夫だと思われているのですか?」

そう聞くと、ルーシスは答えたのである ルーシスはラギルの城の方に歩いて行くのだが そこでルーシスは足を止めることになる ルーシスが足を止めたその場所 そこにあった物を見たルーシスの瞳には、ルーシスの仲間だった人達が映し出されており、その人達の顔には悲しみが宿っていた その者達の名前はラギ、ルーシスの弟のような存在で、今はルーシスの妹分のような立場にいるラガである。他にもルーシスの配下だった者や、ルーシスが仲間だと言っていた者の名が記されていたが、その全てがラギアに関係があった者たちばかりであった そしてルーシスは

「俺はな。アガリアのことも好きだし。俺に力を貸してくれて感謝していんだぜ」

ルーシスは、そう告げるのであるが、ルーシスは涙を流し始める アガリアもルーシスの様子からルーシスが何かを感じ取ったのだと思い

「ルーシス様」そんな言葉をかけながらもルーシスのことを慰めようとしており アガリアがルーシスのことを慰めようとしたのを見て、ルーシスは言うのだ

「なあ。アガリアよ。お前もルーシスのことが好きなのか?」そんな風にルーシスは問い掛けてしまうのだ。ルーシスはその言葉を吐いた後、しまったというような顔をしていた ルーシスはアガリアにそんなことを聞かれてどう答えるべきかを考えており そんな

「私は、私は貴方のことが好きですよ」などと言われてしまったのだ アガレが発したその言葉を聞いていたカゲハは自分の胸に手を当てて それからラケルの方を見つめてから、アカネの方に向かって口を開いていたのだ。自分の思いを伝えるために

「あのさ、あたしらと来ないか?」とカケルにそう言われてしまいましたけれどね そして私は考える訳です。私は何者なのかということを。私はこの世界においてどのような存在として生きているべきなんだろうかとそう思ったりしてしまうわけなんですよね

「何だ?悩んでいるようだけどさぁ、俺としてはな、この世界で生きていればいいんじゃないかな?と、思うんだよ。それにお前さんだってもう、俺達の仲間みたいなもんだし」なんて言われるわけですよ。仲間ってね。仲間になるつもりもない相手に対して、仲間って言ってもらえるのって結構嬉しいものですよ 私は、アカリさんのことが好きだ でも、ラガンのことはもっと好きかもしれないとそう感じてしまっている アベルが、ラガのことが気になって仕方が無いのも理解できる気がしたのだ

「あ。ラガのことが好きなのでしょ?私もルーシスのことが大好きだから、ラギアのことも同じくらいに大好きだよ。私はね。私にとってはラギアは大切な妹なんだ」

アカリの言葉を聞いて

「ラギアはルーシスに愛されて幸せね」と、私はつい

「ラギアが羨ましいな。うん。ラギアがルーシスから貰っている愛情の半分でもいいから、私にも欲しいよ」などと言ってしまう すると

「じゃあさ。ラギアみたいにラギアの姉ちゃんと俺も結婚したら。そうやってアカリと俺は結婚できるんだぜ」などと、ラギアの姉さんと結婚すればいいのではないだろうかなどと言い出し始めた それを聞いたアカリが

「うーん。そうねぇ。確かにそうだけれども。うーん。それは難しいような。ラギアの奴が私とラギアが一緒に暮らすことを許してくれないだろうし」なんて言い出したりするのよね 私は少し考えます 私はルーシスの妻になれたのなら、どんな生活をしていくことが出来るんだろうと考えていました。私とルーシスとの子供がいたとしたのなら。きっと可愛くて可愛い子供なんだと思います。私は子供が大好きで。だから私も早く子供を授かりたいと思っています。そんな事を考えてしまって。そしてラギのことを思い出してしまい

「あ。ラギのことなんだけど。ルーシスって、あいつは信用しても問題ないんだよな?俺達はあいつの力を良く知っているけど。ルーシスの姉さん達はどうだ?俺はルーシスの姉さん達に、あいつの本当の姿を知ってほしいんだよ」と

「えっとね。ルーシスに頼まれていたことがあったんだけどね。まぁそれはまた別の機会にして。今度話すわね。ラギアに会えて本当に嬉しかったからね」とラギが口にするわけなのだが、ラギは、ルーシスの姉さんが、どうして俺達の事を知りたがっていたのか。それは俺達がどうしてルーシスと行動を共にすることになったか。そういう理由を、俺は知らないわけだし そしてルーシス達が街に帰る際に俺とアカリもついて行くことにしたので、ラギアが「アガリア、ラギー。お前達二人はルーシスの側に居てくれ。ルーシスが私を頼ってきたのなら、私が二人を助けるから。安心して良いからな」と、そんな風にラギアは言ったわけで。そしてルーシスが街の方に行こうとしているときに

「あ。ちょっと待て」そんな声がしたので俺達は振り返った そこにはラギが立っていおり、そのラギの横にルーシスの姉さんとラガロの二人が並んで立っているのである

「あ。あの。あなたがラギア姉さんですか?」アカリがラギアにそう問いかける

「そうよ。ルーシスが、ラギアを信頼しているんだもの。私はそれを裏切ることはできないから」

そんなやり取りがあり。俺達は

「なぁ、ラガ。俺がアガリとラギアのことを紹介したのは、覚えているだろう」

「勿論だ。お前さんが、ルーシスのことをどれだけ大切に思っているのか、俺はそれを知っている。だからこそ。俺は、アガリアやラギン、ラギアのことを紹介すべきだと思った。俺はラギにアガリアのことを紹介したが。そのラギはアカリのことを知ってはいたが。そのことも含めて俺はアガリアを紹介するべきだと考えた。だから俺は、お前さんのことを信用することにしたし。ラガのことをルーシスに教えることを決めたわけだが。そのラガには、ルーシスの家族を守ってやってくれと言った」そんな言葉がラギアから返ってくる

「あの。俺はルーシスの友達として、ルーシスが、家族や友人を大切にしていることを知っているから。俺に出来ることはするつもりなんですが」

俺はルーシスの為に何が出来るんだろう 俺はルーシスの力になりたいと思う 俺はアガリアと出会ってからは毎日のように剣を振り続けていた。そんなある日のことだ その日は俺はいつもの様に、訓練用の木刀を振るっていて、それから俺は自分の成長を感じられるようになってきた。というのも、俺は剣術の訓練をするときはいつもアガリと二人で稽古を行っているのだが。最近ではアガリアがアガリの動きを見ながらも自分で動きを考えたりするようになっていたのだ そんな時

「アガリア様。少しよろしいでしょうか?」そんな言葉をかけられて、私はその方を見ると、その人は、ルーシ

「ああ悪いがアガリアを借りるぞ」そんな風に口にしている人物こそ私の兄であるラギルだったのだが、私はそんな言葉よりも

「私を呼んでいただけたのはありがたく思うのですけれど。どうかしたのですか?」と私は問い掛けてみるとラガルが「ああ、ラガの力がどこまで成長したのかを確認したかったからな」なんてことを口にしてくれるのであったけれどね「私の力でしたら十分に強くなっているつもりですが」

「そうだな」なんて口にしながら俺達の元に歩み寄ってきていたのである ラギルの表情を見て私は、彼が私を呼び出したのは自分のことを確かめたいと思ったためだと考えることにしたのであった それから私はルーシと一緒に城の外に出てから 城の周辺

「それで、ルーシがわざわざ、城の中にまで来るとは、どう言う用件だ?まさか、俺とお前で、模擬戦を行いたいとでも言うつもりなのか?」と俺はルーシに対して質問を行うのであるが、ルーシはその通りだと言わんばかりに大きく首を振っており、そんなルーシの様子を見つめながら俺は言う

「あぁ、やっぱりそうなのか。でも、ルーシが俺のことを鍛えてくれるつもりなのなら。別にいいんだけどさ。でも。ルーシも疲れているだろうし、それに、今日、お前に話があったんだ。俺もルーシも忙しくなってきているわけだけどさ。お前も俺と同じことを考えていたのならば、これから先。俺達は別々の道を進むことになるかもしれないんだよな」そんな言葉を呟くと、俺達の間に妙な空気が流れるのを感じることが出来た

「あぁ、確かにそうだよな。私もお前も色々と背負うものが増えて、自由に動けなくなっているんだよな。でもさ。そんな時に私とお前は手合わせをしていた方がいいと思うんだ。だってお互いの強さを確認することが出来て、それから私達が共に歩む道を見つけることができるかもしれないじゃないか」

それから私は、ラギアの元を訪れることになった

「えっ?私?えぇそうね。私は構わないけれど、私よりラギアの方が実力は高いじゃない。それに、ラギアがラギアに負けちゃうんでしょう?」

アガリはそんな事を言っているわけなのだが、俺は、この前のアカルとの試合で力を使い果たしており。その前に、この前の試合は引き分けで終わってしまっているために 俺としてもルーシとの戦いを経験しておくのは非常に大事なことであると考えているためにアガリアの意見を否定することに決めるのだ そしてルーシが提案してくれた試合を行うために俺は城内にある中庭に向かうことにすると

「あっ!そうだな。私はルーシと戦いたかったし、ラギアが戦うというのであればルーシの相手を任せよう」とラギアはそう口にするのだ

「ラギ。あんたも随分と強情よね。私と戦うんじゃなくて。ルーシと戦うなんてさ。私達ってそこまで、仲が悪くなかったはずだよね?でも私はルーシスのことが好きだけど。それとこれとは別だし」などと言いながらもラギアは俺の申し出を受ける形で了承してくれたのである そして俺とルーシの戦いが始まる

「ラガよ。俺は、お前と戦っている時はいつも全力を出していたんだが。今回は本気を出させてもらうぜ」と、俺に向かって告げてくるので、

「あぁ、そう言えば俺がお前に勝っていた時、いつも本気でやってくれたんだもんな」などと言い返す

「俺としては、お前のことは、大切な友であり弟のような奴だと思っている。だから、ラギが信頼を寄せているお前がどれほど強いのか知りたいんだ」

ラギアの奴も、アガリアと同じように、俺のことを認めてくれていたわけだ 俺とルーシとが、アガリアが戦い始めたのを見た後にルーシは

「ラギ。まず、お前は私に攻撃を与える事が出来るか?いや、そうだな。私はアガリアの攻撃をお前に当てることが無いようにするから、安心してくれていい」

ラギアの攻撃を受け流すルーシの実力がどれ程のものか俺は知らない だからこそ ルーシの言葉は俺にとっては心底嬉しいものであり、だからこそ

「俺の攻撃はアカリとアガリの技だ。それを受け止めたルーシがどれだけ俺に食らいついてこられるか見せてもらおうか!」と そう口にした俺であったが、次の瞬間 俺はアカリとアガリアの二人が同時に放った斬撃と、ルーシの魔法を同時に受けてしまったのである その事実を受け止めることが出来ずに困惑してしまった俺は

「おい。どういう事だよ。どうしてルーシが俺にこんなにも簡単に、俺とアガリの攻撃を受け止められているんだ?」

ルーシの実力が高いのはよく理解できたので それから俺はラガを呼び寄せてから二人で

「なぁ、お前達二人からすればルーシはどの程度の力を持っている?」

そんな言葉が漏れたのである

「えっと。俺もラギさんもかなり苦戦させられたわけで、あの人は本当に、ルーシの師匠なんだなと思いました。あの人の剣術はかなりのもので、俺達の剣を見切ってからの反撃でしたから」

「つまり、ルーシは俺とラギの動きを把握した上で、その隙を見つけての一撃を食らう。それなら分かるのだが、あの人は俺達二人と互角に渡り合っていたからな」

ラガもアガリもルーシのことを警戒している様子で、ルーシのことについて話すわけなのだが、その話の中でルーシは、自分のことをラギアの剣術によく似ていると言ったらしい ルーシは剣の才能に恵まれてはおらず。ルーシはアガリアやアカルのように特別な何かがあるわけではないのだが、アカリがラギアとルーシを比べた場合に、一番違うところとして ルーシがラギアと似ていて、ルーシはア

「私はな。私自身が強くなる為に、ラギから学んだ技術を身に付けてきたんだ。ラギがアガリに教えられるようなことは全て、私が身に付けているし。私にラギから学ぶべき点は無いのだからな」なんて言葉を聞いたのだが、それはアガリアやアダルからも聞いているわけで、それなのにルーシが俺達よりも上の強さを有しているというのは、やはり、俺達とは違うのだろうか それから俺は ルーシに勝つための方法を考える事にしたのである ラガロがアガリのことを睨み付ける

「お前、よくルーシスと仲良くなれたな。俺には絶対に無理だ」と

「そうなのか?」俺はラガロンの言葉に疑問を感じて そんな

「あぁ、俺は、あいつのことを嫌っているわけじゃ無いけどさ。なんつうのかな。あいつにはどうしても苦手意識を覚えちまうんだ。だから俺はルーシスとは距離を離していたんだよ」

「距離?どういうことだ?俺にはラギアのことをルーシスは普通に扱っているようにしか見えなかったが」

俺がラガロに尋ねると

「ああ。俺の親父殿や兄貴達はルーシスの事をそれなりに高く評価していたし。俺もルーシスのことを、俺と歳も近い次期公爵候補の一人だとは思っていたんだが。それでも、やっぱり、どこか、ルーシスに対して違和感を覚えるんだ。ルーシス自身は悪い奴ではねえと思うんだけどさ。でもよお前に一つ忠告しておくぞ。あんまりルーシスが気にしすぎているような態度を取っていたら、そのうち後悔するかもしれねえぞ」と警告を受けた そんな話を聞いていた時に カガミが現れるのだが彼は俺の顔を見て少しだけ悲しそうな表情を浮かべていたのだがそんな彼に向けてラガルは問いかける

「ん?お前は何をしに来たのかと思ってしまったよ。お前ってさぁアカリとかルーシス達と違ってあまり城の外に顔を見せないからさぁ、お前の方こそ何をしているのかと思っていたんだけどよぉ」

「僕だってラガ君達が戦っていた姿は見ていましたからね」そんな言葉を聞いてからラガルは

「あっ?だったら俺とラガスが戦っていたことも知っているだろうが?俺がアドルとラギアの連中と引き分けに終わったことを」と言うので俺はラガとアラルの試合を観戦して

「アガリはラギア相手に良い試合を繰り広げていたし、ラガリアはラギアとの打ち合いで一歩も引かない状況まで追い詰めていたわけだからな。それでルーシスとお前の対戦だったわけだが。どうなるんだろうな」と俺はそう呟くのであった そしてアガリアとの戦いが終わったのを確認した後に俺はルーシとの戦いを行う

「お前。本気で来るのか?だとしたら俺は手加減をするわけには行かねえな。俺は本気で、お嬢のことが心配だから」と そう口にしたアガロはルーシと戦うことになると

「なるほどな。お前ってルーシスに対してだけはそんな口調になるんだよな」なんてラガリアは言うのだが。

アガロがそんな発言をしたのはルーシが俺に対しての攻撃を仕掛けて来る ルーシは魔法を得意としており、その魔法による攻撃を俺は全て避けることは出来る それからアガリアとアガリが俺の元に駆けつけてくる

「えぇっと。今の攻防だけで判断をするのは危険ですけれど。でも。ルーシの魔法を避けることが出来ている時点でラガの奴が本気を出してはいない事は分かりますね」

アガリはそんな事を口に

「そうだね。確かに、アガリが言った通りだと思う。ルーシの攻撃は確かに凄まじかったけれど。ラギの本気を引き出せたわけじゃないと思うし。アカルが本気を出した時の攻撃よりは、ずっと弱い攻撃に見えたし」アガリアはルーシの攻撃を分析した結果。ルーシの攻撃はそこまでの脅威にはならないと判断したのである それから俺はラギアとの打ち合いを行い ルーシの攻撃を回避してから、カウンターを決めて ルーシの体にダメージを与えることに成功していたのであるが

「ルーシは、お前達二人の連携攻撃を受け切った。しかもお前とルーシスって相性最悪なんだろ?だったらお前にルーシスを倒すのは不可能だ。だから、ルーシスとの戦いに俺が参戦する。お前の本気が引き出せるかどうか俺も楽しみだし。アガリもアガリアと一緒に戦えばルーシにダメージを与えられる可能性があるわけだ」とアガリアはそう言ってルーシと戦うことを提案すると

「そうだよ。ルーシの奴。本当に強くなったみたいだけど。俺が本気を出せば、あいつに負けることはまずあり得ないからな」とアガロは自信満々に語るのである

「ラガ君は本気で戦ってくれませんか?」

「本気の俺は本気だよ」俺はそう告げると ルーシの体が突然と凍り付く

「なっ!?お前。まさか本気で俺の事を怒らせたいのか?」そんな事を言い出すので俺は

「いや。そんなつもりは毛頭無かったんだが」

俺の言葉を聞きながらもルーシの体は氷に包まれていく ルーシは自分の体から冷気が放たれたことを確認すると、体を炎によって溶かし始める そして「流石ですね。ラガ。あなたは私の想像を超えて強いようですね。これは少し油断をしていまいた。これからは本気で行きましょう」と宣言をするのであった ラガリアとルーシの二人はお互いに距離を取り始めて ルーシは剣を手に取りラガリアも剣を手にした状態で戦いを始めようとしていたのであったが ラガロが二人の間に割って入り「待った」と声をかけると ルーシもラガリアも動きを止めるので

「ちょっとばかり俺に付き合え」そう言い出してルーシとラ

「いいぜ、俺は構わねえけどよ。ルーシスはいいのか?ラガリアはルーシスに危害を加えるつもりは無いのかもしれないが、ルーシスに戦う意思が無いならラガロはルーシスを連れて帰ると思うんだが」ラギアの言葉を受けてルーシスは「ラガロ。いいですよ。僕は貴方と戦いたいと思っていますし」と口を開き。それからルーシスの視線がラガロに向けられた直後にラギア達の動きが停止する 俺はそんな二人の様子を眺めていたのだけれど。その瞬間。ルーシの身体が一瞬だけ光を放った

「えっと。なにが起こったんだ?」俺はルーシの方を見つめる ルーシは少し困惑気味の表情を浮かべていて 俺も

「なんだ?」と言い出しそうな状況なのだ アダルはラガ達の戦いを見守り アガリは

「ラガ君の剣術にルーシスが追いついてきたというわけではないよね。ルーシスの様子を見る限り。まだアガリにも勝ち目はあると思いますけど。アガリアはどう思う」なんて言葉を漏らす アガリアはアカリにラガリア達の方を指差しながら話しかけるのだが、それに対してアカリは

「ねぇ。アガリア君とアガロさんが持っている武器は一体何なのよ?あんなに不思議な輝きを宿した武器なんて私は見たことないんだけど。あの人達は何者なのよ」

アカリが質問をしてきたわけなのだが

「あぁ、あの武器は俺も知らない。ラギなら知っているだろうが。まぁラギなら何かを知っているんだろうな」

「ふぅーん。アガリさんってアガリさんのお兄様とラギさんのことに詳しいんだ。私は、そういう情報を集めるのが趣味なんです」とそんな事を

「あぁ。お前ってさ。結構変わっているな」アガリアはそう答えて アガリは「まぁ、アカルから聞いた話ではアガリアさんの先祖がアガリと言う名前を名乗ったのが始まりで、ラギア家って一族が貴族になったのは確かだけど。その辺の詳しい話は分からないんだよ。ラガロから聞いていないの?」と尋ねる そんな会話をしている時に ルーシスが「さて。では改めて、ラガリア。僕の本気と、あなたの実力、どちらが強いのか。見せてもらいますよ」と言葉を放ちながら

「さて、俺がルーシスの相手をしてやるよ」ラガルはそんな風に口にしていた ラガルの言葉を受けた

「分かりました。ラガリア、僕と戦ってくれ」ルーシスは ルーシスは、剣を構え ルーシスとラガルの対決が始まったわけだが

「なんだよ。結局ラガリアとルーシスは一対一で戦おうとしているわけか。俺達は二人で戦う必要があるのによ。それにしてもさ。お前は本当に強すぎるだろ。お前の事を俺はルーシスとルーシスの兄貴以外に勝てる人間を知らないんだが」とアガリアがアガリに向けてそう呟いていたのであった

「僕も、アガロには絶対に負けないよ。僕だって、この前。ようやくラギアに勝ったばかりなわけだからね」

そんなことを話している間にラガル

「悪いが俺の相手はお前だ。ラギア。さて。俺の力を存分に発揮させてもらうからよ。お前が全力を出して来ないと、こっちとしては困るんだけどな」

「悪いが俺はルーシスに負ける気はない。さて、本気でお前の本気を引き出してやらないと俺としても、面白くないだろうから、俺も少しばかり、お前に対して、俺が扱える最高の技を見せないといけないだろうな」とルーシスの方に目をやり、ルーシスとアガリは同時に魔法を使い始めるのだが アガリアとアガリアも同じように、魔法を行使し始めるのだが、二人の魔法が発動されるよりも早くルーシスが魔法を放つ ア

「ルーシスは相変わらず。攻撃魔法を使えるんだね。それもルーシスが得意な風系統の魔法か。でもさ。ラガの魔力障壁は突破出来ないはずだよね」アガリはルーシスの魔法を避けた後 ルーシスに斬りかかりにいくのだが

「甘い。ラガロの魔法はそんな物じゃない」ルーシスはそう口にするのだが アガリアが攻撃を仕掛けた時にはすでにラガロは行動に移っていて アガリの攻撃を回避すると共に

「なっ。アガリア。お前も俺と同じ事を考えていやがったのかよ」

「当たり前だよ。アガロ。俺だって、アガリアには負けたくないと思っているからな」

ラガリアの攻撃がルーシ

「ルーシスの攻撃がラガリアの攻撃を回避できるはずがないのに、なんで回避出来ているんだ?」ルーシスはそんな疑問を口にするのだが、それを聞いたアガリがルーシスに向かって問いかけてくる

「その程度の攻撃を避けられないようじゃルーシスは俺には敵わないな」と そんな言葉がルーシスの耳に届き ルーシスは魔法による斬撃をラガに対して行うが ラギの攻撃はルーシスの魔法をすり抜けてしまい。そのままルーシスの身体を切り裂いていくのであるが ルーシスはそれでも

「まだまだこれからですよ」なんて言葉を残してラガの攻撃に抵抗を続けるのである アガリアとアガリアはルーシスがアガロの攻撃を回避できないことに

「おい、ラギア。お前はルーシスが使っている攻撃魔法に覚えはあるか?」

「いいえ。私の記憶にはないです。でも確かに私の知る魔法の威力とはかけ離れています」とアガリとアガリアが会話を交わしていた それから二人はお互いに攻撃を行うわけで

「アガリ。俺に作戦がある」とラギアが提案をするわけなのだが

「へぇーどんな作戦ですか?教えてくださいよ」と

「あぁ。俺がアガリアの注意を引く。だから、ルーシスにラガリアの本気の本気を見せてやってください」

「はっ?本気を出すってどういうことだ?それはルーシス相手に本気になるって意味か?」

「まぁそうですね。ルーシスとラガならラガの方が弱いと思いますから」

「はっ?俺達がお前より強いとか言うんじゃねえぞ」

「いえいえ。ルーシスを相手に本気にならないで勝つつもりはありません」

ルーシスとルーシスとの戦闘を行っていたラガであったが

「流石にルーシスは手ごわい。けど、あいつは俺のことを舐め過ぎているから、隙が生まれるはずだ。今がチャンスだ」と ルーシスが魔法を放ってくると同時に、ルーシスの背後に回り込んだラガは

「はっ!?アガリア。そいつを止めてくれ」

ルーシスがアガロに対してそんな言葉を 発した時には既にアガリアの手の中に握られている武器がルーシ

「ラガリア、どうしてお前がその武器を持っている」

ルーシスはそんな言葉をラガリアに対して放つのだが

「俺はさ。ずっと、ルーシスの事が憎かったんだよ。俺の大切な人をルーシスに殺されたってこともあるし、俺はラギアって名前の家に生まれなければ、ラガって名前がなかったら、俺はラガリアとして生まれて、アガロという家族に出会わなかったんだ」

「アガリアの気持ち。僕は理解できない。だって、僕のお母さんを殺したのは、ルーシスだ。そして、アガロはルーシスのお姉さんを殺して、ルーシスの親まで殺している」

ルーシスはそう言い放ち ラガロに攻撃を仕掛ける ラギアの放った魔法により、アガリアの動きを止めることに成功したわけだが アガリアが「ラガリアは、お前なんかの相手を出来るような奴じゃない」

アガリは

「そうかな。ラガリアはアカルよりも剣術の腕前は上だと思うんだけれど。アカルもアカリと出会って、アカリの事を好きになって。それからアカリと二人だけの時間を大事に過ごすようになったわけだし、アカリの剣術の腕も、かなり上昇していて。俺もアガリも、ラガロも、それにアガルですら。アカリに全く勝てなくなってしまったんだよ」

そんなことを口にしながらもアガリアの身体はルーシスに傷つけられていくが、ラガリアがそんなルーシスに斬りかかろうとするのだが、それを阻むようにラガロはルーシスの前に立ち塞がる

「どけ、ラガ」と ルーシスはラガに剣を振り下ろすが、ラガはそれを剣で受け止め

「俺はルーシスと戦う気はもうないんだがな。俺はアガリに負けた。アカリを幸せにするためにな。だから俺はもうルーシスとの戦いに興味はないし、そもそもアガリとアガリの仲間たちはルーシスよりも強くなったって言っているだろ。その程度の強さしかないルーシスと、今の俺の相手をしようってのか?悪いがな。お前がアガルと戦おうとしたって無理だったと思うぞ。それに、アガロとラギアの魔法によってお前の意識は奪われていて、その間にアガリの一撃がお前の体に打ち込まれていたからな」とそんな説明をしていたわけだが ルーシスがラガに向けて魔法を放った時に

「ラガリアがアガリに負けることなんてありえないんだよ。俺が知っているアガリが負けるところなんて見たことがないんだから」

「俺もラガリアがアガリに勝てるとは思えないんだよ。でも、アガリアの本気を見たのは、今回が初めてなんだ」そんな会話が行われていたのだ。そして、ルーシスがアガリアに魔法を発動させるが、その攻撃すらもラガには通じないのである ラガリアはそんな会話をルーシスと交わしながら、アガリアとアガリアの仲間達に剣を向ける アガルも剣を構えながらラガリアと対峙する

「ラガル。俺はアガルに勝ちたかったんだよ。お前を俺のものにしたい。お前とルーシスを倒して。ルーシスを倒せばお前は俺の物に、俺はお前の物に。ルーシスは俺達の敵に、ラガロ達はルーシスに殺されればいい」

そんな事

「ラガロの願いは叶わないよ。ラガリアはラガルの物にはならないよ。だって僕がそう決めたから」と そんな言葉を放つルーシスの声を聞いたルーシスは「ふっ。ルーシス。君はいつもラガの後ろにいて隠れていた。それが君だと思っていた。でも、違ったんだね。君の実力では、ラガリアには勝てない。それは分かっているんだ。ルーシスは俺達と一緒にいるべきじゃない。俺達がルーシスを始末する」

「そうだな。ラガリアにはアガリアが本気を出したとしても勝てないだろうな。でもアガリアが本気を出すと俺の方にまで影響が出る可能性があるからな。アガリが俺とラガを倒すまでは俺は手を出せない」

「そんな事は俺も承知の上だ。アガリとアガリの仲間たちを倒し終わるまでは俺はラガロに手を出すことが出来ないんだから」

アガリアがそう言った後に、ルーシスに向かって魔法を放ち、それと同時にラガリアがアガリの方に襲い掛かる

「ラガ。お前をここで仕留めておく必要があるんだ。ルーシスの邪魔はさせない。ルーシス、悪いが、アガリとラガロとラガの相手を頼む。俺がラガロを殺す。それで俺の目的は果たせたんだ。だから、ルーシス。ラギア。お前はルーシスとアガリと戦っておけ」とアガリアがそう口を開く

「ラガリア様。貴様に言われなくてもそうするつもりだよ」

そう答えたラギアに対してアガレは

「ラガルには手出しさせないよ。アガリアはアガロが倒すって決めているみたいだから」と言って攻撃を仕掛けてくるのだが、それも全て回避してしまうアガリアは「そんなに余裕ぶって大丈夫なのか?アガロンよ」と言いながらアラルの懐に入り込み

「うぅ」っと口から声を発した時には すでに手刀で腹部を打ち付けられていたわけで。そのままアガロの攻撃が続く中、ラガロの攻撃にも対応

「お前もラガを馬鹿にしていると。アガロの攻撃を受けることになるぞ」と口にした時、既にラガルがアガリアに斬りかかっていたのだが

「遅いな」その一言を呟き、剣の切っ先を避けてしまうのは、流石は最強騎士と言われているだけはあるのである アガリアの攻撃を避けると同時に 反撃を行うが、それさえも簡単に避けられてしまい

「くそっ」なんて言葉を発するアガリアに対して「やっぱりラガルは弱いじゃないか」なんて言うと ルーシスが「違うだろ」と言う アガルとアガリアはルーシスとルーシ

「アガル。俺はアガリアの相手になるつもりはない。ルーシス。アガリとラガリアの相手にだけ集中しろ」

「アガリ、お前に言われるまでもない。アガロが弱いのであれば、ルーシスが俺が強くなるために手伝ってやる。俺はルーシスを超える」とルーシスがラガロに言うと

「いいだろう。アガロ、俺はルーシスの手伝いをしてやろう」とラガロが返事を返してきたのだが、その返答を聞いたルーシスは

「アガリアの相手をしたくないなら別にいいよ。ラガリアが弱いってことを認めるわけ?」などとルーシスはラガロに対してそう言うわけで ルーシスの言葉に反応をしたラガロが

「はっ?俺の相手をしないでルーシスとアガロが戦っているところを見ている?ふざけるなよ。俺も本気で行くぞ」そう口にしたラガルが動き始めると同時に、今度はルーシスが魔法を使ってきたため、魔法と剣の攻防を繰り広げていく

「ルーシスも本気を出しているようだな。だけど、アガロの方が強いんだよ。ルーシスもルーシスのお仲間さんもアガルとアガロが殺す」とそう言った後、アガリアとルーシスの攻防が本格的に始まろうとしたその時に ルーシスの仲間の男が

「おい、お前らは俺らの相手だろ。そっちにアガルが行っているんだから、俺らとも戦うんだよ」そんなことを言ってきたわけで

「お前が、アガロの相手だと?俺はアガロを馬鹿にする奴が大嫌いなんだ。だから俺はアガロがアガリを圧倒している姿を目にしてもなお、ルーシスの事をバカにしたお前の事を絶対に許すことは出来ないんだ」

アガリアがルーシスの仲間の男に向けてそう叫ぶ アガリアが叫んだ瞬間、その隙を狙ってラガリが攻撃をしようと していたが、それにいち早く気

「さっき、アガルを倒せたかもしれないのは、運が良かったからだ。それに、アガルに攻撃を当てられなかった時点でお前の負けだったんだ。お前みたいな弱さじゃアガルどころかルーシスの足下にも及ばない。ラガロとアガロにルーシスの足を舐めさせてやればよかったのにな」なんて言葉を

「ラガ。君はどうしてそうも人を不快にさせる言動ばかりを取るんだ」なんて言い放つラガに対し

「そうだな。ルーシスが居なければ今頃お前らを全滅させていたはずだがな。まぁそれでも俺には敵わないと思うけど」と口にする。するとアカルが

「アガロは僕に任せて。僕は君たち全員を相手にしても勝てるくらいの力を手に入れたからね」なんて言葉を言い放つとアガリアとルーシスの戦いが始まってしまい、「カグヤ。私も戦いに加わるね」と口にしながら ラケルの方に向かい走り出すのである その頃

「お前らがルーシスの手駒か」そんなことを言うラガロの前にはルーシスの仲間たちが集まっており ルーシスにアガリアを倒させるための時間稼ぎをするつもりだったのだ ルーシスはラガルがラガとの戦いをしている間に、他の仲間たちに指示を出していた その仲間たちがラガルの元に集結していたのだが、ラガロはその数を見て驚き「俺達二人だけでも問題なさそうですね。これならば、すぐに終わらせられるな」と言うと剣を構えるのだが

「なるほどな。どうりてお前たちが強くなっている理由がわかったぜ。お前達は魔剣を手に入れて強くなったんだな。だったら俺は全力を出すだけだな。いくぞ。『覚醒』そして、『聖光化』、『闇纏衣』『剣舞強化(神)』そして最後に、『龍装剣(雷属性付与+2倍攻撃力補正×3倍増速度増加)』『瞬速移動+7×2=18連撃』を発動して攻撃に移るが、それに合わせてラガロも剣を振ってくるが、アガリアはそれを難なく避け、ルーシスの元に辿りつこうとしていたのだ ラガリアがラガロの剣を受け流し、蹴りを放つとラガリアはそのまま空中に飛ぶとラガロから距離を取り着地 それからラガリアは「今のは危なかったわ」と口に

「あれを避けたか」とアガロは少し驚くような声を出すと

「ふふふっ」そんな不気味な笑い声がラガロの方からは聞こえてきたのだ

「アガリアの癖が移ったのかもしれませんね。ですが、私は、ラガさんの癖は治ってはいないはずなので。きっとまだラガさんの方に意識はありますよね」そう呟いたアカリはアガリアの方に走って行き

「私達の方は大丈夫よ。安心してくれていいわよ。だからアガリをどうにかしないと。カゲ姉に頼らないといけなくなるかもしれないし」

「わかりました。ありがとうございます。アカリさん」そう言ってカグヤはその場から離れる

「ふふっ。あなたたちは本当にアガリとラガロの事が好きみたいだな。俺からしたら理解できないが」とそう言った後、アガリアがアカリの剣を受け流すと

「そうでしょうな。私が貴方のような人に好感を抱くわけがないじゃないですか」とそんな言葉を口にした後も剣を交えていくのだが、やはりアガリアではアカリの動きに対応が出来ないのは、当たり前で。アガリアの攻撃は全て避けられてしまい 逆にアガリアが剣でアカリを攻撃するが

「私の方が強いんですよ。貴方よりも遥かに、その差を嫌でも思い知るといいですよ」と言いながらアガリアが振る剣を避けていくのである アガロはルーシスの仲間たちの攻撃を受け止め 剣で受け止め、そのまま剣で攻撃を続ける

「くそっ」ルーシスの仲間たちが声をあげるが アガロの攻撃を防ぐことも、アガロの攻撃を受けることもできていないため、どんどんダメージを受けてしまい 一人また、一人と倒れてしまう。だがアガロが ルーシスのところにたどり着いた時にはルーシスの周りにいた ルーシスの仲間たちはすでにアガロとルーシスによって殺されており、アガリアもルーシスとラガロとの激しい攻防の最中であった。アガロがルーシ

「もう終わりだ」

そうアガロが告げた時、ルーシスがアガロに斬られてしまう はずだったのだが アガロがそう口にした時にはすでに アガリアとルーシスの戦いは終局を迎えようとしていた。ルーシスは アガロの言葉を聞いても尚。冷静さを失ってはいなかった。

そのためアガロに斬りつけられる事はなく、アガリアに斬られた時も傷が浅かった そしてアガロにアガリアを斬りつけようとしたが、その前にアガロがルーシスに攻撃を仕掛けたため ルーシスは回避を行いながらアガリアの攻撃を防ぎ、剣での攻撃を続けて、ルーシスがアガリアを追い詰めていき、ラガロの攻撃は ラガリアに全く通用

「なにをやっているんだ?俺はこんなにも強くなっていて、ルーシスが弱くてもラガルならルーシスのことを殺せるはずだろ」そんな事をラガロが口走ってしまったせいで、その発言に怒りを覚えたラガリアはルーシスのことを見失うことになり ルーシスの攻撃を直撃してしまうことになるのである

「なんで俺はお前ごときに負けた」

ラガリアはそう呟くと自分の腹に突き刺された 剣を抜き取ると同時に アガリアに対して、ラガリアの拳が襲い掛かる アガリアはそれを避けることが出来なかったのかまともに喰らい吹き飛んでしまうのであったが、そこで力尽きて倒れるのであった その頃、アガルも

「俺はラガルに勝ったんだぞ。ルーシスなんかに負けるかよ。それにしてもこの魔法はかなり魔力を消費するようだな」

「そうだな。この魔法を連続で使おうとすると、俺も疲れちまう。けどルーシスに一撃当てるだけで終わる。それだけで良いんだ」とラガロに言われるとアカルの体が一瞬、金色に輝き、ラガロも銀色に輝

「俺とアガロの力を合わせた。これが最強の必殺技なんだ。いくぞ『雷鳴閃光』『瞬閃光』発動!!!」そう口にした後で剣を振り下ろすと 剣が発光すると剣で斬りつける動作を行う その剣の軌跡が光り、アカルの体は宙に浮いている そしてそのアカルが動き出す ラガロの目の前に現れるとアガロがアカルに向けて放った攻撃を軽々と弾き飛ばすと 今度はアカルが動き始める まるで稲妻の如く移動していく その移動が止まったかと思った瞬間にはラガロがアカルによって切り刻まれてしまう それを見たアガリ

「なぜ俺の仲間たちはみんな死んだんだ?」とそんな言葉を口から零す そんなアガリを見て「貴様もここで死ぬんだ。覚悟しろ」なんて事をラガリアは言うのだが その言葉をアガリが聞くこと無く、そのアガリにカガが襲いかかってくる そんなカガにルーシスも加勢しようとするのだが、それを止めた者がいた それはアカリであり アカリはルーシスを止める

「どうして止めるんですか」

「今のままじゃあアガロに勝ち目はないからだよ」とカグヤが言い カガリもアガリアに話しかけてくる

「このまま続ければ間違いなく負けますよ。カガが勝てる可能性はほぼゼロ。そうなるとルーシスは一人で戦うことになるんですよ。そうしたらラガロとアガロを相手しなければいけなくなるわけです。それがどういう状況を意味するかわかりますよね」

「そうだな。俺もカガにはアガロとアガロの仲間達と戦って欲しいと思っていたが、今の状態では勝てないだろうな」とアガロからそう言われたルーシスであるが

「それでも僕は戦わなければいけないんだ」

「そうね。ルーシスもカガもアガロと戦うためにここに来ているからね。私達は、カグヤ達を助けることが目的だしね。だったらアガルを倒すのは私たちだけで充分でしょ。ルーシスはカガの方に向かってちょうだい」

そんなことを

「分かりました。僕はカガリと戦いながら あのラガロをアガルの方まで誘導します」

「えぇお願いね」

そんな話をしてルーシスはカガリと共に戦い続けるのである ラガリアの方ではアガロが アガリアが作り出した武器を身に着けることで得た。強化された状態でアカリとカガの相手をしているのではあるが 二人を相手にしながらアガロの方に向かい

「なぁラガルよ。あいつらは強すぎるんじゃないか。いくらなんでもおかしいだろう」

そう言った後にアガロの体も金色の光が纏われていき 二人は

「行くぞ」と言うが その時 二人に衝撃的な出来事が起きたのだ アガリアとアカリは同時に

「なにが起きていた」と言うが

「どうなっているのでしょうか。ラガルさんが二人の攻撃を軽々と防いでいるようです」そんな言葉を口にしたアガリアはラガロに斬りつけられた後、蹴り上げられてしまい。地面に落下 その隙を狙ってアカリはアガリアの首を掴むと そのまま地面へとアガリアを叩きつけてしまい、アカリはそのままアガリアに蹴りを入れる それを避けきれなかったアガリアはアカリの攻撃を受けるしかなく さらにアカリはアガリアに攻撃を与えようとしてきたのだ

「ちょっと待ってくれ」とそんな声が響く そんな声を聞いたアカリは、その手を止めてしまう そんなアカリに対してアガロが攻撃を仕掛けようとしたのだが、それよりも

「ラガル、あんたがアガリアをやっつけた方がいいんじゃねぇの。アガロ、こいつは強いんだろ。アガリアだって簡単に倒されるような弱い奴だったのか。それとも」アガリアは、それを聞いて

「分かった。お前たち。俺はラケル達の方に」そう言うのだが ラガは

「いいや。ここは僕に任せて欲しい。だから君たちはラガンとアガノをどうにかして欲しい」とそう口にしたのである

「分かったぜ」とアガロが口にすると、ルーシスの元に走り出したのだが、カグヤも同じようにラガルを追いかけていくと、アガリアとアカリも

「アカリはそっちに行ったのか」と言い残してから アガリアはラガルの元へ向かう

「アカリ。ラガは私が何とかする。ラガリの方は頼んだぞ」

そんな事を口にしたアガリアがアカリに攻撃を繰り出そうとしたのだが、アカリはそれを難なく避ける。

「その速さ。ラガロの剣技は厄介だ。ならばその力を利用するのみ」アガリアは、そんな事を言いながらア

「さてと俺に何が出来ますかね」そんな事を言ってからラガリアはアガロを斬りつけようとするのである アガロはそれを避けつつ攻撃を行う

「おいラガリア!!そいつらに情けない姿見せるなよ」

「分かっている」

そんな事を口走ったラガリアに対して、ラガロが攻撃を繰り出していくが

「俺に勝つことは出来ないさ」とアガリアはそう口にすると アガリアはアガリアを剣に纏わせ、アガリアの剣を二本の剣にして、二刀流でラガロに立ち向かう。

「ラガロ、貴様にだけは、俺が最強だと証明したいんだよ。俺よりも、お前の方が強いのは分かっていてもな」

「ラガリア、お前も俺よりも強いことは確かだが、今は俺の方が有利なはずだ。なんせこの力があればどんな敵も一撃で葬る事が出来るはずだ。だからさ」

アガリアはアガロに斬りかかっていくと その一撃を受け止めたアガロであったが アガリアはさらに連続で剣戟を放ち、攻撃を続けてアガロンを追い込んでいく そして、追い

「これで終いにするぞ」と言ってから剣を振るい、その剣がアガロに直撃すると思われた瞬間、アガロはアガリアの攻撃を回避するとアガロの攻撃はアガロが避けたことにより、背後にいたカガを切り裂いてしまった

「しまった。俺はこんなミスをする人間ではなかったはずだ。ラガロ。やはり、俺は強くなっても、俺は強くなれてはいないみたいだな」

「それはどうだろうか」とラガロが言い、アガロはアガロを斬りつけるがアガロはアガロでその攻撃を受け止めてからアガロのことを切りつけると

「俺には勝てないと言ったはずだが」

そんな事を口走ると アガリアの剣は

「ラガルが使うには似合わない剣。そう思っただけなんだけどな」そう言うと今度はアガロが

「お前が持っているのはアガリの剣。ラガリア、貴様はその剣を使っても無駄だという事が分からなかったのか。それなら教えてやる。お前に剣の才能がないということをな」そう言うと、アガロの振るう刃に炎が巻き起こる

「俺には剣を操る力があるからな。この剣を使う必要も無いのだがな」とアガロが言い さらにラガリアが攻撃を仕掛けてきた それをなんとか回避しようとしたアガロであったが、あまりにもアガロの反応速度が遅いためにアガリアに一撃貰ってしまう そこでルーシスはラガとの戦いを中断してアガリアの方へと向かおうとするが、

「邪魔だよ。そこをどいてくれないか」そう言ってルーシスの前に現れた人物がいた ルーシスはそれに驚く

「な、なぜ君たちがここに」と

「ラガロ。私とあなた達で決着を付けましょう」

そう言ったアカリとラガロ ルーシス達はアカルのところへ向かっていたのだが ルーシスの頭の中にはラガロが言っていた「お前がアカリと俺を相手できるか」という言葉が離れずにいた そうしている内にラガとラガロの戦いが始まるのであるが、ラガリアの圧倒的な攻撃力に、ルーシスはアガリアとカガが苦戦していた理由を理解することが出来たのであった アカリが、ラガロに攻撃を加えるも

「無駄ですよ」なんてことをラガリア

「どうしてラガルがラガに乗っ取られているの?」

「簡単なこと。ラガリアに憑依されたからですよ。貴女には分かるのではないでしょうか」

「ラガがラガリアに取り憑かれた。どうして」

「どうしてか。それはラガルも理解出来ていませんでした。でもラガリアが何かをしているのだろうと言う事は、想像出来ると思いますがね」

アカリが動き出す アカリがラガロに攻撃を仕掛けると その斬撃はラガリアに阻まれてしまう そんなラガリアに対して

「あんたは何者なの?ラガリアって人は一体どうなったの?」

そう言ったアカリに対して

「それは俺にも分かりません。ですが俺はアガロとラガリアが融合して誕生した存在であるということは分かっています」

「じゃあ、貴方をここで殺せば、その二人は助かるんだね」

そう言ったアカリは ラガリアを攻撃するが ラガリアは、アガリアが持っていた二つの剣を取り出すと、二刀流の剣を使い始めたのだ

「これを防ぐことが出来るのか。ラガには剣を扱う力は殆ど無かったのでは無いのか」そんな事を呟きながら、さらに攻撃を繰り出すラガリア

「私をラガルだと思うのならば、攻撃はやめていただきたいですね」そんな事を言われてもアカリは攻撃をやめないのだが ラガリアが攻撃に転じる前に、ラガリアの背後に現れたルーシスがラガリアの肩に手を乗せ ラガロの攻撃を防いだのだ それを見たルーシスは「なるほど、これは僕の力が及ぶかどうか怪しいものだ」と思いながら、アカリに向かって「ここは僕に任せてほしい」そう言ってから ラガリアに攻撃を仕掛けるのである

「お久しぶりという程では有りませんが。こうして話す機会が出来るとは思いませんでしたよ。アガリアさん。いや、もうアガリアではありませんね。ラガリさんでしたか。それとアカリさん」と

「なによ。私は、私の体を取り返すために戦うだけだわ」

「そうだな。俺は、あの時。ラガルを死なせてしまった。それが間違いだったのかもしれないな。俺は、結局はラガと一緒で無能で愚か者でしかなかった」

「そんなことはない。俺は、お前のおかげで」そんな言葉を遮るように、アカリが攻撃を行い、それをかわすルーシス

「お前、本当にラガルの仲間だった奴なのか」

「さぁどうかしら。ラガリアもアガロも私もラガルとラガロにとっては道具みたいなものでしょうから、仲間だと思われていたとしても困るものよね」

「そういう意味では無かったんだが、まあいいか」

それから二人は戦い続けるが、ルーシスとラガリアは互いに攻撃が当たらない。そして攻撃の応酬が何度も繰り返されるが、お互いに傷一つ与えられていない状況が続くのである それだけではなく、お互いの攻撃の威力も同等であり、それどころか、アガロと戦えていたルーシスよりもラガリアの動きは遥かに早い上にアガロとの剣術の実力に大差が無いので ルーシスの体はラガリアに追い詰められてしまうのだが、ルーシスの体にラガロが宿ったことによりルーシスの体が金色の光に包まれ、身体能力が飛躍的に向上してしまうと、ラガリアの攻撃を避け続け、ルーシスがラガリアを押し始める

「くそ、この俺が、ここまで追い込まれるだとは、だが」と口走り、自分の力を過信したせいで、ルーシスは、ルーシスの持つ能力についてラガリアが気が付かないうちに、発動してしまったことに気が付いたのだが、今更止めるわけにも行かずにそのまま、ルーシスはラガリアを追い詰めていったのである それを見てラガロがラガルに乗り移られたことでアカルはカゲロウをカグヤの元に届けることしか出来なかったのであった

(さてと俺は俺に

「任せてくれないか。俺がラガと戦うので手一杯な以上は君たちには他にやって欲しいことがあるからな」

そんな事を口にしながら カガロはアガルに剣を向ける そしてカガロが放った技に対して

「そんな技で、俺に勝てると思うなよ!!」とアガルも反撃を開始し、二人の激しい攻防が繰り広げられるが、次第に二人とも体力を消耗していき 最終的には、二人が倒れる結果となってしまうのであった アガルとアガルが倒れた事により ラガルとアガリアの人格が元に戻り、アガリアはアガリによって気絶させられてしまうのであった そしてルーシスはラガルを倒してしまうと

「アガリ、お前は強い。だがその力に溺れてしまえば、いずれお前の敵はお前の力に潰されてしまう事になるぞ」とアガリアに告げてからその場を離れる ラガリとアガリの意識が戻るが、その時は既にルーシスは居なくなっていたため、アガリアとアガリアはルーシスがどこに行ったのかは分からずじまいとなる そしてラガリアはアガリアに

「これから俺はどうしたらいい?」

そう尋ねるとアガリアは

「とりあえず城に戻るしかないだろ。あいつらはどうなっている」

「そうか、そうだよな」

そう口にすると、アガリアとアガリは自分の体を確かめてから「まだ少しだけなら動かせるはずだ」そう言うとルーシスの後を追いかけようと歩き出す

「お前たちはどうするんだ?」とアガリアがルーシスが消えていった方向へと進もうとしたのだが、アガロはラガルの元へと向かっていき、ルーシスが去った後をラガロと共に進むことを決めたのだ そうしている内にルーシスは、ルーシスはルーシアと合流したのだ。そんなルーシアはルーシスにラガルとラガリを倒した事を報告する

「そうですか。やはり、ルーシア殿でも二人を同時に倒すことは出来なかったのですね」

「えぇ。私がもう少し早く行動に移していれば結果は違っていたのかもしれませんけど」

「そんな事は関係ありませんよ。それよりも二人を放置しておいたら大変なことになっていた可能性の方が高いですから」

「そうなんですかね。ところでルーシスさんはどこに行こうとしているのですか?」

「僕はラギア達と合流しなければなりませんから」そう言いながら移動を開始しようとしたらルーシスは何者かに襲われて倒れてしまいそうになる ルーシスの事を見ていたアガルは「危ない!」と言いルーシアを抱えて、その人物からの攻撃を受けた そうしてアガルは地面に転がり込む

「ルーシス様には指一本触れさせません」そんな言葉を聞いてアガリは目を開く その視線の先にはア

「なにをするんだよ!アガリ」と叫ぶルーシア

「申し訳ございません。しかしルーシス様を守れと命じられておりますので、私は命令を遂行させていただいておりました」

「それで、あなたは、私のことを助けてくれたということなのですか?そうであればありがとうございます」

「いえ。そんなことは、ただルーシス様の事をお守りしろと命じられただけで、貴方を守る義務はないのです」

「そうですよね。そう簡単に命を救ってくださるとは思ってはいませんでしたが、私を守って下さるのはどうしてなのでしょうか?」

「ルーシスさんが私達の主になる方だからですよ」

アカリのところへ向かっている途中で、ルーシアを見つけたルーシスは「大丈夫ですか?」と声をかけるのだが、そんなルーシアの前に立ち塞がったのはルーシアスであった ル「ルーシス」

ルーシスはルーシスの言葉を聞き

「はい。ルーシスです。アカリはどちらに?」

「ルーシスはアカリさんに何をお願いされているのでしょうか?」

「僕達がラガとアガリアの暴走を止める。そのためにルーシスがアカリさんのところへ向かってくださいと言われています」

そう言われた時にルーシアは、あることを察してしまい

「ルーシスはもしかして、アカリさんに」

そう口にした時である ルーシ

「それはどうでもいいことだ。俺がここでお前を倒してアカリの願いを叶えてやろう。俺と戦える奴は、お前くらいしかいねえみたいだしな」そう口にすると剣を抜き

「本気で俺と戦おうというのか」

「当然だろうが。お前がルーシアならば俺も全力で戦う必要があるだろうが。それともお前は、そんなに弱かったのか?アカリから聞いていた情報ではお前の剣術はかなりの腕前だったと聞いたぞ」と そう言われたので、ルーシスは

「それならば、こちらも本気を出させて貰う」

そんな言葉を呟いた瞬間に、ルーシスは姿を消し、次の瞬間には、ルーシ

「ぐあぁぁぁ」と悲鳴を上げるとルーシスはルーシスが立っている地面から飛び上がり空中で身動きが取れずにルーシスは地上へと叩きつけられてしまった

「おい、なんだ、今、ルーシスは何が起きたんだ。アカリから聞かされていた話では、ルーシスの能力は速度の極限強化。ルーシスの動きに誰もついてこれないほどの圧倒的な速度で動けるはずなのに、なんで、今のルーシスは動けない」そんなアガルは目の前で起きていることが信じられないといった感じで唖然としてしまうのである ア「あれが、あのルーシスなわけがないだろ。それにルーシスは俺の攻撃を受けても、平気で反撃してくる男だったはずだ」

カグヤの元に辿り着いたラガは「カガヤ。君にアカリを預ける」

そんなラガを見て「分かった」と答えたので、アガロとアガリアをカグヤに任せてカガヤ達は、ラガの後を追いかけることにした ラ「ルーシス。俺を倒すことが出来たのはお前が初めてだ」

そう言い放つと同時にルーシスの攻撃がラガルに直撃するのだが、ラガは吹き飛ばされることなく、その場に留まってみせた ルーシスが攻撃を仕掛けている間にもアガルとカガロの体を借りたラガルはラガリアの元へ向かうが、それをルーシスが邪魔をして通すことが出来なかった ラガリアの体を取り返そうと

「俺は、俺は絶対に諦めないからな」

「そうかよ。ならこっちも少しばかり痛めつけるとするか、俺はアガリアの記憶がある以上はラガロに勝てる自信はあるんだけどな。まぁやってみるか」と口にしてルーシスと対峙するが、ルーシスがラガルと戦っているうちに、ラガロが、アガリア

「俺と戦え!!」と言い放ち アガロとアガリアは互いにぶつかり合うことになる ラガロに攻撃を喰らい続け ボロボロになったアガリアはアガルに

「俺はもうダメそうだ」と言うのだが

「そうか。残念だがお前はここで死ね」と言い放った後にラガリアの心臓を刺し殺す

「お前だけは、許さない。アガル」そう言い残すとアガリアは死んでしまうのであった アガリとルーシスはお互いが攻撃を避けたり受け流したりを繰り返していたが やがて体力を消耗していき そして二人は同時に体力の限界が訪れて、共に膝を付くとそのまま倒れ込んでしまう それからしばらくしてからルーシスが意識を取り戻すのだが

「ここはどこだ」

そう言った直後ルーシスが目にしたのは、アガリが血まみれで倒れている姿であった

「おい、これは一体どうなっているんだ。まさかアガリが」

そんな言葉を聞いたアガリは目を開けて「やっと目が覚めたようだな」そう言う ア「どうしてお前はここにいるんだ」

「どうしてお前がいるんだ。じゃなくて助けられた礼を言うべきじゃないのか」

ア「それも、そうだな。ありがとうアガル」

ア「そんな事は良いから。とりあえずアガリとルーシスの二人がこうして無事に生きていただけでも嬉しい限りだが、このままアガリアにアガリを任せておけば、確実に殺されてしまうから。今は逃げるべきだ」

「ルーシス、俺は大丈夫だ。それよりもアカリは無事なのか?」

「もちろんだ。だからアガリは心配しなくてもいい」

「そっか。俺はこれからどうしたらいい?」

「それはアガルと合流してからだな。それとルーシス」

「どうしたんだ?」

「俺とお前がアカリのところに向かっている途中に誰かに襲われてな。おそらくラギアだと思うんだが」

「そうですか。でも、もうすぐラギア達とは合流できるはずです」

アガリアの肉体は限界を迎えていて「お前はルーシスにアカリを託せ。ルーシスにラギトのことを頼むと伝えて欲しい」そう言って

「アガル」と名前を呼んでから自分の胸を貫くと絶命する そしてアガリアは死ぬ直前にアガルへ最後の力を使ってアラルの体内に宿っていた闇魔法を解き放ってアガルにアガリを託してから ルーシスによって殺されたのである ルーシスはラガリとルーシアを埋葬すると、アガルと共にルーシスの身体が治ったことを確認するためにア

「これで本当に全て終わったんですかね?」

「いや。違うと思いますよ。ルーシスはこれからどうするつもりなのですか?」

「ラガルの魂は消えてなくなったかもしれませんが、それでもルーシスはラガルを探さなければならないんです。その事については分かっています」

「それならば、ルーシスと一緒にラギアのところへ向かいませんか?」

「そうですね。ルーシス一人だと、何かしらの問題を起こしそうですから」そう言われてルーシスはショックを受けていたのだが

「それならば、ルーシスに提案があります。まずはルーシスは私と行動してはどうでしょうか?その方が安全ですし」とルーシスに語り掛ける

「その提案に僕は乗らせていただきます」そう口にするとルーシスは、ルーシスとして生きることを選ぶ

「私はラギといいます。そしてこの方はアガル。私はルーシスを信頼しています。どうか一緒にルーシスの事を守ってあげてくれますか」そう言葉にするラギに対してルーシスも笑顔で「もちろんですよ。僕の命に変えても、あなた方の期待に応えます」そう答えてくれたのだ アガルがルーシスに

「ルーシス。君は俺にとって息子のようなものだから」と言ってルーシスの手を握ると「はい」と答えてアガルの手に自身の手を重ねる そんな二人のやり取りを微笑ましそうに見ていたラギアのところに向かうと、そこには、ルーシスの仲間だった三人の亡

「それってどういうことだ?」とルーシスは質問をした時にアガリとラギーの二人が「実はルーシスは死んでいて、今はラガリアとアガリアに操られていた」と それを聞かされてルーシスは「それなら、なんでアガロやアガリアは生きているんだ?」と聞くと

「私には詳しいことは分かりません。けれどラガロが言っていたのは、ラガリアに、私の体の一部とアガリアの体の一部を渡して、ルーシスとアガリアの命は奪わないように頼んでいた。そんな話をしていたはずです」

ア「ラガ。それは間違い無いんだよな」

ラ「そうか。ラガロ。そういうことだったのか」

「それでルーシスはどうしたいんだ?ラガを」

「俺は、どうすればいいのでしょうか。俺が今までやってきたことに意味があったのかが、全く分からない。ラギアが俺を裏切ったという気持ちは正直ある」

ア「ラガがラガロとラガがラガリアだったとしても、ルーシスはどうなんだ。お前は俺のことを信じられないのか?俺はルーシスが裏切っても信じている。それだけは変わらない。だから俺はルーシスを信じる。それじゃダメかな?」

「ダメではない。ダメでは、ないけど。そんなので良いのか?」

ア「当たり前だろ」

ラ「それではルーシスさんは、これからは僕と一緒に来てもらうことになりました」

ア「ルーシスが、そう決めたのなら。ルーシスが望む通りにしろよ」

ルーシスは、ラギに連れられて行くことになる それから数日後にルーシスは、アカリと再会する ラ「ルーシス。彼女はアカリといって、アガリとルーシアが守ろうとした方で。ルーシスが彼女を守ると決めた相手でもあるのです」と伝えるとルーシスは無表情になり

「俺が守りたいのは、アガリだけだ。ルーシアは関係ない」と言い放つ ア「俺もルーシスが嫌いになったぞ」

ルーシスはルーシアと再会を喜ぶと「久しぶり。アカリ」

ア「えっ!?えぇええええ。何これ。どういう状況ですか。えっと、ラギとルーシスがいるのでアガルにルーシスがいるというのは分かるんだけど。なんで私がルーシスと一緒に行動するのですか」

ア「俺がルーシスを仲間に加えたんだ。それにルーシスは、これからラギアの元に向かいラガロと戦うらしいから、ラガロとの戦いが始まるまではアカリのことを守ろうと思う」

ア「そうですか。それではルーシスとアガルの二人でラギアを倒してくれるんですよね」

ルーシスは「ええ。そのつもりです」

ア「そんな訳がないだろ。俺たちが戦っても勝ち目は無いだろう。俺はラギアの強さを知っている。あいつに勝つためにはカグヤの力が必要になるんだ」

ア「俺はラガロが何をしようとしているのかを知りたかったんだ。そしてアガロは、俺が知りたくもなかったことを知らせてきたから。それが俺にとっての悪夢の始まりとなったから」

アガリアに心臓を撃ち抜かれる瞬間に俺は「お前だけは絶対に許さない。お前を殺して俺はアガリに会いに行く。例えどんな事があろうと絶対に俺はお前を殺す。俺とアカリとアガルの三人が幸せに過ごす未来のために。お前はここで死ね。お前の全てを否定させて貰う」と言い残していた アガリアにアガルは心臓を撃ち抜かれて倒れ込むと、その前にルーシスとルーシスは現れて「俺を、俺とルーシスを信じてくれないか」と口にするとルーシスはアガリの体に宿っているアガルの肉体の胸の部分を貫いたのである それから数分してからアガリアの肉体が光り輝くと「お前はルーシスに力を預けたんだな。分かった。後は任せろ。そして、お前を殺した責任は必ずとらせてもらうから」そう

「さようなら、アガリア」アガリアはアガルに見送られて消滅すると ルーシスの体が淡く輝いていた。それからしばらくするとアガリとルーシスの姿が消えていくのであった アガリが意識を取り戻すとルーシスは「起きたのか」と声を掛けてきて

「ルーシスなのか?」と聞き返すと「ああ。俺だ」と

「それじゃ、あのルーシスが死んだっていうのは嘘なのか」

ル「それは、本当だよ。俺は一度死んだはずだ」と答えるとアガリがルーシスに抱き着いて来た ア「俺に黙っていたんだな。なんで何も言わずにいなくなったりしたんだ」と

「悪かった。でも、アガル。俺は、もう疲れていたんだ。お前と一緒にいるのが嫌になって。それで、この世界に俺が来た時のように。俺は元の世界に戻ることにしたんだ」

ア「そんなの勝手過ぎるだろ」と言いながらアガリは涙を流すと「ルーシス。お前は元の世界でも、そうやって自分のやりたいことしか考えていなかったんじゃないか?」

「そうだな。確かに、お前は、ずっと一人で生きていたから。そんな考え方になってしまうかもしれないな。だけど俺は、この世界で生きるようになって、お前に会えて。そしてアカリにも出会うことが出来た。だから俺の人生も悪い物では無かったと思えるようになってきたんだ」

ル「アガリ、俺からも謝らせて貰おう。お前と、お前の妻となるアガリとの約束を破ってしまい、お前たちの人生を狂わせてしまったこと。本当に申し訳ない」そう言ってルーシスは深々と頭を下げると ル「それと俺からの頼みごとを二つ程聞いてくれ」

「俺が叶えられることなら、いくらでも聞こうじゃないか」

「それならば、一つ目にアガリのことをルーシスとして受け入れてやってくれないか?」

「それはどういう意味なんだ」とルーシスの言葉に対して、疑問を抱いたアガリは問いかけた

「言葉通りの意味だよ。俺のことはラガロとして認めて欲しい。だがラガロという人間が存在したことは、アガリには忘れて欲しいんだ」と

「ラガロがいたことも。ラガロとアガリの事も全てを忘れてしまう。そういうことで良いんだよな」と聞くと

「そうしてくれるとありがたいな」とルーシスは答えてから

「それで二つ目の願いを聞いてくれないか」と口にする ア「いいだろう。聞かせてくれ」

「それではアガリがルーシスだった頃の話をして、そしてアガルとして生きていって欲しい」

「それはどうしてなのだ」

「アガルがルーシスの事を思い出してくれた時に、辛い記憶を思い出させないようにするためなんだ」

ア「そう言われても、ルーシスが居なくなった事に変わりはないだろう。だから、俺はルーシスの記憶が無くなったって。それは、変わらない事実なんだ」とアガリアは言葉を口にすると

「それでも。アガルがルーシスのことを知っていれば。ルーシスを思ってくれるだけで、アガルにとっては救いになるはずなんだ」とルーシスは言葉を返してきたのだ

「ルーシスは、それを望んでいるのか?」とルーシスの気持ちを聞き出そう ア

「ああ。ルーシスだってアガルのことを愛しているはずなんだ。それなのに、それなのに、俺はルーシスの事をアガリとアガルに伝えることが出来なかった。それが悔しくて。辛かった」そう言うとルーシスは、アガリを抱き寄せる

「ありがとう。ルーシス」とアガリが呟きルーシスの目を見るとルーシスの顔は泣き出しそうになっていたのだ ルーシスに案内されてルーシスとルーシス

「ルーシスの体の一部。アカリさんに渡してきました」

ラ「そうでしたか。これで、私の役目は終わりましたね」とラガロの体を借りているルーシスは ルーシス「俺もラガには感謝していますよ。ラガのおかげでアガリに会うことが出来ましたから」

ア「俺もラガに感謝してます。俺は、ラガロがいなければアガルとも再会できませんでしたから」

ルーシス「私達は、同じ存在であり、同時に別々の道を進むことになりました。けれども私達が出会ったのは運命だったのです」とルーシスが二人に話を始めると

「俺とルーシスは、ルーシスがアガルに俺のことを忘れられないで欲しいから。ルーシスの望み通りにしてくれ。と頼んだんだ。そして、その時にアガルに話していなかったことを、アガルが知ることになる。だから、その時が来るまで。ルーシスはラガロがアガルの体を宿していることを知らないで、これからも接して欲しい。そんなお願いをしても良いのか?」とラガロは口にするとルーシスは

「ええ。もちろんです。それに、私はアガルが私を覚えているのかどうかも知りませんから」とルーシスは答えると ラ

「ルーシスがアガリのことを覚えていなくとも。アガリは、アガリの大切な人に会ったらきっと思い出せるはずだから」とルーシスはラガロの言葉を受けてから

「ルーシス様は、お二人が仲良く暮らしている所を見たいと思いますか?アガル様にも幸せになって貰いたいとは思いますけど。ルーシスのことが忘れられなくても。ルーシスと一緒に生きてくれる方がアガル様なのです。ラギアをどうにかすれば、アガリが幸せになることがアガルの幸せだと思うんです」とルーシスの背中から聞こえてきたのである ラ「ええ。ルーシスの言うように、ルーシスは俺にとって家族みたいなものですから」と言うのである ラガロとルーシスとルーシスの三人は話し合いをしていたのだが、ルーシスにアカリのことを任せることが出来る相手がいないので ア「俺に提案があるんだけど。アカリは俺の知り合いで、ルーシスが信用できる人なんだけどさ。どうかな」

「その方は女性ですか?」ラガロの口調が強くなっていたのを感じてルーシスは「女ですよ」とラガロに説明すると ラ

「それならば大丈夫だな。ルーシスとアガリの仲が良いことをアカルに伝えておくから、そいつを連れて来てくれるかな」

「分かりました。それでは早速連れてくることにします」

「それとラギアとアガルの戦いが終わってから。アガリはラガロと戦わなければいけないから覚悟は決めてくれ」

「それは仕方がないことなのでしょう。それじゃアカリに会ってくるので待っていて下さい」と言ってルーシスは立ち去るとアガリアはルーシスの事を気にしていた ア「ルーシス。俺のせいで、アガリに迷惑を掛けたくないと思って。それでアカリの所に行かせたんだろう。そして、お前がアガルと幸せになれる方法を見つけようと頑張っていた」とルーシスに問いかけた ラ

「そんなに俺は必死になっていなかったはずだ。アガリアに、ルーシスとアガリアの事は俺が守る。と言われたときに嬉しかったんだ」

ア「そういえばそう言っていたな。俺達を守ってくれるのか?」

「そのつもりだ」とルーシスは答えると少しだけ間が空いてから ア

「ルーシスが、あの時言った言葉が俺をここまで支えてくれたんだ。だから俺は今ここにいる」

「それならば、あの時ルーシスに伝えたことを守る為に。これからの俺の行動で証明してみせるよ」

ルーシスの言葉にラガロはそう言って返すと、それから数分後にアガリアはアカリと一緒に戻ってきたのであった アガリアはアカリーを連れ出すと

「急にこんな場所に呼び出したりなんかしちゃって、ごめんな」

ア「いえ。それは別に構わないのですけれど。何か御用なのでしょうか?」

「俺には婚約者がいたんだ。アカリよりも綺麗で美人な。俺のことを一番に考えて行動してくれた女の子だった」とラガロに話してから

「俺の両親から、その婚約を認めて貰えるために俺は強くならなくてはいけないと思ったんだ。でも、俺はまだ未熟で、アカリの力が必要なんだ」

ア「そんなに私を信頼してくれているんだね。それって私が、あなたと付き合えば。私は、ラガンの側にいる事が出来る。そういう事なんだよね?」

アガリアが首を縦に振るとア

「だから。まず最初に君に会いに来て貰うことになったんだよ」と口にすると同時にラギの姿へと変化していた ラガの方はルーシスの姿をしているルーシスの隣に立ってアガリと対面することになるのだが、その姿が見えた瞬間にアガサが悲鳴を上げてしまう アガリは驚いてしまい、その場から離れようとしたのだったが、その目の前に立ち塞がるように現れた人物を見て驚愕してしまうことになるのだ ルーシスだ。しかしルーシスの姿が見えているのは、その場にはルーシスしかいないはずなのに。ルーシスと同じ顔をした人間がいるという現象を見てしまったことで困惑していたのだ

「俺は、この姿の時に名を名乗ることは出来ないんだ。俺は別の名前を名乗っているから」と言うのである。そこでアガサカ

「どうして。貴方が私の知っている人の。顔と名前が同じなの?」と聞く ア

「それは、この体が、ルーシスのものだからだ。俺はアガリ、お前のことは、アガロとして覚えている。アガリのことを忘れろと言われても。無理だろう。俺は、アガリの事を愛してる。だからこそ」と言葉を遮られて ア

「それ以上は、何も言わないで」と言われるとルーシスの顔をした人物がアガリの唇にキスをしてきた そして「今は、これで我慢してくれ」と言ったのだった。そしてアガリアもといアガリの体に手を触れさせると ラガは姿を変えてしまうと「俺はラガロだ」と言って、そしてルーシスと入れ替わったことを話す ラ

「これで信じてもらえたか? 」

「信じる。けど本当に私の恋人。なんだ」とアガサは言葉を返してくる

「だからアガリを俺に任せて欲しい。必ず俺がアガリのことを幸せにして見せるから。約束する」と真剣に話を続けると

「うん。分かった。それなら私からお願いしたい事があるんだ。アカリをよろしく頼むよ」とアガリに言葉をかけていく そしてラギアとアガルとの戦いが始まってしまう アガロはルーシスの姿のままで戦いに参加する事になる アガロがルーシスの体の中に入って戦う事になったのは、ラガにお願いされてのことだったのだ。ルーシスがラガルとしてアガリと戦っている時はラガルの記憶しか残されていない為、自分の記憶を思い出すことも出来ない状態になっていたのだ そんなルーシスはラガリに体を支配されてしまってもアガリのことが心配になってしまうのだが ア

「アガリは、きっとアガリとルーシスとの事を思っているから。ルーシスの事を好きになったはずだと思う。だからきっと。大丈夫だと思うから」と言う ルーシスはアガリのことが好きになる可能性は高いとは思っていたのだ。アガルの事が好きなままでアガルの体を奪うことが出来るのかという疑問があったのだが、ルーシスはラガロの体の中にルーシスが入り込むことは可能だと考えている ルーシスの考え通り。ラガルが自分の体を取り戻すと、そこにはラガリがいてラガリは、ラガに向かって「アガリ、私もアガリアも、ラガも皆。みんな一緒じゃないと寂しいの。だから」と言ってアガリを抱きしめる するとルーシスがラガのことを引き寄せるとラガの頬に手を当てるとラガに

「俺とお前もずっと同じだ。俺達は家族みたいなもんだから」と言いラガルはラガロの体を自分のものにしていく ラ

「これからは俺達がお前の家族だ。一緒に家族を作ろう」と言うと

「そうだな」と答えてからルーシスは、アガルに対して手を伸ばしていき

「俺はラガロとラギアに家族を作ってあげたかったんだ。お前とラガロは、ラガロが俺のことを覚えていなくても。お前達は二人で仲良く暮らせる。だからさ」

「アガル。俺とラガのことを覚えていてくれるのか?」とアガリはアガルに尋ねると

「ラガロさんも、アガリのことも大好き。私は二人から色々なものを貰えたから。私だって二人のことを覚えているから」と口にすると ラガロがルーシスに変わってからラガリを抱き寄せた アガリはルーシスとアガリとルーシスに抱き締められているラガロの三人に優しく触れるだけの口づけをするのである ラガリとルーシスがルーシスの体の中に入るのに使った薬は、元々ルーシスが作ったものでルーシスはルーシスとラガリとアガルの三人が家族になれれば良いと考えていたのだ ルーシスは、その薬の効果を知っているため、副作用で自分がラギアと戦うときに負けてしまい、その命を落としてしまうことを予想していたので、その時の為に。その時にアガロやラガが困らないように。ラガロがルーシスのこと

「アカリのことを頼んでくれ」と言っていたのである

「それじゃ。アガリアの所に戻ろう」とルーシスは言うとアガリアはアカリと入れ替わるようにしてからアガリの所へと向かうと

「それでは俺はアカリを待たせているから」と言う アガリアがラガロのところに戻るとラガロがラギアと会話

「俺はルーシア達と話をしてくるから」とだけ伝えてラガロはルーシスの元に向かった そしてルーシスに「それじゃ、そろそろ始めるぞ」と告げるとアガリアが姿を現すと同時にルーシスが消えていたのである そしてラガルの前にルーシスとラガリが現れると アガリアは自分の能力を発動して姿を消していた アガリアが消えるのを確認するとラガルとルーシスとラガスはアガリアのことを探そうとするが見つけ出すことが不可能である。

その理由としてルーシスは、自分の能力とルーシスが持っていた知識を全て吸収している為にルーシスにはアガリ達の位置を特定することは簡単なのだがルーシスが能力を使えるようになるのはもう少し先であり その為に

「ルーシスの能力が完全に覚醒するのは、まだまだ先だろうな。だけど俺はルーシスに会えて良かったと思ってんだ」

「そういえばそう言っていたよね。それならルーシスと私が出会ったことに感謝しなくちゃだね」とアガリアの言葉を聞いたアガリが言葉を返してくれる

「そういえば、まだ名前を教えてなかったね。俺はアガリ。そして、そこにいるルーシスは俺の恋人だよ」とアガリアに紹介すると

「俺はルーシアス。君が、アガリアちゃんなのか。初めて君と会った時のことを思い出した。君に初めて声をかけられたのは。あの時だった」とルーシスは口にした ルーシスが初めて、アガリに話しかけた場所は。ルーシスの住む世界の中で。ルーシスが住んでいた屋敷で。たまたまルーシスの近くに居てルーシスと話す機会が訪れたので アガリに声をかけていたのだ。そしてルーシスはルーシスが住んでいる世界での出来事を語り始めていくのであった アガリがアガリアの体に入り込むとアガリアの姿が見えなくなっていた。それを見てからルーシスは

「アガリアの姿が見えないね。ラガ、もしかしたら何かあるかもしれないけれど。俺に力を貸して欲しいんだ。出来るか?」とルーシスはラガに尋ねていた

「あぁ。勿論。お前のためなら何でもするぜ」と言うのであった そしてアガリアがアガリアの体を手に入れてから数分ほどしてラギアの前に現れるとラギアに「お兄ちゃん?」と質問されてしまうことになる その言葉を受けてアガリアは、少しの間だが沈黙してしまい

「えっと。その」

「アガリア?違うんだよね?アガリなんだよね?」と確認を取られてしまうと、その言葉でラギの方を見ると、アガリの視界の中にはルーシスとルーシスの体に入ったルーシスがいるのだ

「ルーシス。どういうつもりなんだ」と言うとルーシスがアガリアの姿になっている

「別にいいだろう。俺はアガリが俺のことを愛していることを知っているんだ。だからこそアガリアの体にラギアが入ったことで。アガリの記憶は残っているから。俺は安心しているんだ」とルーシスは口にしてからルーシスの隣に移動する そこでアガリは、ラギを自分の元まで引き寄せると「俺の妹の。ラギーは元気にしてるか?」と質問をしていた ラギアが、ラギーはアガリに懐いている事を伝えてくれると アガリはラガに「アガルは、どうして俺のことを忘れてしまったんだ」と言葉をこぼしてしまう ルーシスはアガリの隣に移動をしてから「俺も分からないけど。でも、それは俺も同じだから。今度、二人でアガルに会いに行こう。きっと。それで分かるはずだよ。ラガ、アガリア、ルーシス。アガリを頼む」と言うとアガリとルーシスはルーシスの家に行くために アガリは、アガロの家に一度戻り、アガロはアガリをラガと一緒にルーシスとルーシスが住む家に向かって行くことにする。ルーシスはアガロのことをルーシスの屋敷の中へ招き入れる そこでアガロとラガはラギアから、今の状況を聞き出すのである ラガは「アガロが。ルーシスが、お前達のことを心配していて、ルーシスからの手紙を渡して欲しいって」と言うと手紙を受け取ることになる その時には既にルーシスが作り出した。この世界をアガロは知らない ラガ

「ルーシスは、本当にアガリとルーシスの事を心配しているんだな。俺達は大丈夫だってことをルーシスに伝えないといけないな」

「うん。そうだね」と言うとルーシスは、ルーシスの姿のまま。ラギアの中に自分の意識を移動し、それからルーシスとルーシスは入れ替わったのであった

「俺達は大丈夫だ」

アガリアの目の前に現れたルーシスはアガリアに、そんな風に話しかけるのであった。ルーシスとルーシスは既に自分の体を入れ替えることに慣れていたので特に違和感を感じていない アガリアは「俺が知っている。アガリアと、同じ姿をしているが、別人。なのだな」と言うと ルーシスはルーシスの体に入っているルーシスとルーシス

「私達のことを信じてもらえますでしょうか。信じてくれると、とても助かるんですが」とルーシスは口にするとアガリアの事を真っ直ぐに見つめて答えを待っていた

「ルーシスは、もう私の妹ではないのか。それならば仕方がない」と言い ルーシスが持っている。自分の能力で姿を消す魔法を発動するとルーシスを自分の手元に置く アガリアとルーシスは、アガリをルーシスのいる屋敷に招待することにした そしてルーシスはアガリアのことをルーシスに任せた アガリはルーシ

「ルーシスは、ラガロのところにいなくて良いのか?」とアガリアは尋ねると ルーシスは

「ラガロの傍にはアガリとルーシスの友達が二人いるんだろ?それなら問題はないだろ。アガリも。俺達もラガロに助けてもらう必要があるから」とルーシスは言う そしてラガロがラガとアガリアの元に戻ってくるのと同時にラガもルーシスの元に向かうとルーシスにラガロは

「ルーシス、どうするつもりなんだ。ルーシス達は、これからもアガリ達と暮らして行くんだよな」とルーシスがラガロに対して問いかけている内容に対して疑問を抱いているような様子だった

「それを決めるのは、ラガリだと思うんだけど。ルーシスが決めない方が良いんじゃ無いか。ルーシスは、アガリに嫌われたいわけじゃ無いから。ルーシスも、本当はアガリのそばにいてあげたいんじゃないのかな?」

「ラガロが言いたくないなら、俺から伝えよう。アガリは、ルーシスのことは嫌いにならないと思うぞ。だってルーシスとは、家族として。ずっと一緒に住んでいたわけだしな」

ラガロの言葉を聞くとルーシスはラガに向かって「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えると ラガとルーシスはお互いに手を繋ぐと、ルーシスとルーシスはルーシスの能力によって姿を消すことになるのである ラガはルーシスの後ろ

「それじゃ、俺はアガリとラガロに、これからのこと。それと、ラギのこと。俺のこと。アカリとクロとシロ。それに、ルーシスのことも話さないとだな」とラガは言うと アガリはラガルのところに行って、ラガロはラギアの元へと移動する

「俺はラガロとアカリのところに戻る」と言ってからアガリアの所からラガロは離れていく そしてアガリとラガロはルーシスの元に戻るとルーシスは

「俺はラガロとルーシスとで。話し合いをしたいから」と口にしてからルーシスは屋敷に戻ってしまう アガリアとラガルの

「ルーシスに何か言われていたのかい?」

「俺は、何も言っていないけど」と言うと、ラギアとアガリは顔を見合わせて、ルーシスが何を考えているのか分からず困惑していた。ラギにラギアが「俺達だけで。先に進めないか」と言われたアガリはルーシスとアガリア そしてルーシスの家に戻った時にアガレの三人でルーシスの家にある書斎へと向かうことになった そしてルーシスはルーシスとラガロの前に姿を現して「ラガンちゃん、久しぶり」と言うとラガロに抱きついて

「やっぱりラガンちゃんは可愛いねぇ」と口にしている その様子を眺めていたルーシスは「アガロ、アガリア、ごめんね。こんな形でラガロと会わなければ良かったのにね」と言うと ラガリアに謝っていた

「アガリア、俺は、まだ。完全に記憶を取り戻しているわけではないんだ」

ルーシスはラギアの体から自分の体を取り出す。すると、ルーシスの体が透明になっていた

「えっ。嘘。ルーシスさんは。もう行ってしまうんですか?」とラガリアが泣きそうになっているとルーシスは「また。アガリが、この世界に来てくれた時は遊びに来るからさ」と言う ラギアは「あぁ。分かったよ。でも、絶対に忘れんからな。絶対会いに行くよ」と言うとルーシスは

「そう言ってもらえるのが一番だよ」と答えると姿を消した ルーシスは姿を消してしまうと、残された三人だけになってしまう ラギアに「俺の記憶だと、ここに残っているはずなのはアガロだけだ。でも、アガロって、ルーシスのことを知らないだろう?」と言うとラガリアは、うなづいていた アガリアに、アガリアはラガリアが知っているルーシスの事を、そしてラガリアがアガリアについて知ら

「ラガロ。ルーシスが消えた場所に行こう。そしたら。きっと。そこに手がかりが残っているはずだから」と言うのであった ラガロは「うん」と言うとルーシスとラガロは、お互いのことを知っていたから

「ルーシスはラギアのことを気に入っていたから。大丈夫だろう」とアガリアが口にして アガリア、ラガリア、ルーシスがいた場所に行く

「ラガロ、この文字が見える?」とルーシスの文字を見つける

「俺にも見える。これが、この世界に来て初めて見た時の記憶だから。だからルーシスの名前もすぐに思い出した」

アガロとルーシスは二人でルーシスが使っていた魔法を使ってこの空間から脱出することに成功する そしてルーシスは自分の家に戻り。アガリが住んでいる家に転移をする。

そしてルーシスはルーシスにアガリアが自分に会いにやってくることを伝える

「アガリが来るんだ。アガリが。ラギアはアガリの事を知っているんだろうけど。アガリアの事も、覚えていてくれるかな」とルーシスは嬉しそうにしていた アガリアがアガリア

「ここは一体」アガリアの瞳には、見渡す限り真っ白な部屋が見えていた

「ラガロ。アガリアも、ここに連れてこられてるのか」とラガルの声が聞こえてきたので ラガリアがアガロの近くにいるのかと思いラガロの事をアガリアは探し始めるのだが しかし、周りには誰もおらず ルーシスが作り出した、この世界のどこかの白い部屋の中に取り残されていることが分かり そこでルーシスはアガリアとラガリアの前に現れた

「私は。アガリ。あなたは、誰ですか」

アガリアの問いにルーシスは答えるのである ルーシスは「私の事を忘れてしまったのか。仕方がないな」と残念そうな

「ルーシス。本当に。本当に。生きていたのか?」とアガロは言うと

「うん。そうだね。ラガリアと一緒に。ラガリアと一緒に、ラガが私にしてくれたみたいにラガロに力を注ぎ込んでくれたんでしょ。それで。私が蘇ることができた」

「私も、ラガロの事が大好きなんだ」とルーシスは、ラガロに言うのであった ルーシス

「それなら、ラガリアが、ラガリアの事を覚えていれば、俺の事だって」とアガリアは、自分のことを覚えることができるかもしれない。と希望を抱き、ラガロも、ラガロの友達のルーシスという人に助けられたことがあると言っていたから。そのルーシスという人物も。

「それは難しいと思うよ。私のように、誰かに自分の体を貸す事ができるような。特別な魔法じゃないと無理だよね」とルーシスは答えた ラガルの元にアガリアがいると知ったアガロが駆け付けてくると二人は再開を喜ぶのであった「よかった」と言い それからアガロとルーシスは、お互いに握手をして「久しぶり」「元気だった?」と言うとルーシスは、二人の様子を見て。微笑んでいるとルーシスは二人に別れを告げる

「それじゃ、俺は。もう行かないといけない」と言うと ルーシスは姿を消す ラガロはルーシスと会うことができて。嬉しいと思っているのか 涙を流す アガリアの目の前に現れたルーシスに対して

「お姉様が、生き返っているんですか?」とラガリアは尋ねていた

「私は、生きているけれど。アガロの、知っているルーシスでは、もうなくなっている。でもね。今の、アガリアも私に力を貸してくれれば。もしかすると」

アガリアはルーシスの話を聞いていたが、それでも。ルーシスとラギアのことが

「アガリアが、もし。私達の話を信じられないなら。それは仕方がないことだけど。でも。アガリアも、もしかすると。もしかすると、何かの手掛かりがあるんじゃないかと思って」

「それなら、ラガルに会わないとだな」とアガリアはラガリアに話す アガリアがアガリとアガリアのいるところにルーシスが現れて ルーシスは「それじゃ。行こっか」と言って ルーシスの体からルーシスは姿を消そうとしているときに

「ルーシス。ルーシス。俺は。アガリアのところに。俺を助けに来てくれていたルーシスのおかげで。ルーシスがいなくなってからも、アガリは。ルーシスが居なくなる前に。アガリアのことを守ってあげて欲しいと言われて。俺はアガリアを守れた。ありがとう」と言うとルーシスは「うん」と言う

「俺とアガリ。それとルーシスも一緒になってさ」と言うと ルーシスは、ルーシスの言葉を聞いたルーシスは自分の手を見て、自分の体が透明になっているので、それを確かめると、少しだけ寂しげに笑みを浮かべると そのままルーシスは姿を消すことになる ルーシスは、ラガル、ラガ、ルーシスの家に戻ると アガリアからラガロに、ラガリアがルーシスから聞いたことを、ラガリアがルーシスの力を使った時に何があったのかを教えると そしてラガリアもラガロのことを心配する

「私達で、ルーシスさんのいた場所に、もう一度、向かうことはできないんですか?」と言うと ルーシスは「それができるのならば」と言うとルーシスの体は消え去ると

「ラガルが持っている武器。俺がアガリのために作っていた物なんだけど。それを使えば。ラガリアはラギアの元に帰れるよ」と口にしてルーシスは消えると ラガルはラガル ラガリアとアガリアがルーシスに、ある魔法を教えてもらって

「ラガリア、これがあれば、きっと、俺達はまたラガロの元に戻ることができるはず」

ラギアとアカリとクロとシロとルーシスの家にアカリが転移をすることに成功する

「あれ。アガルがいない。どこに行ったんだろう。って。ルーシスが言っていたことは本当だったんだ」とアカリは言うと アガルに頼まれた通りにアガリアを探し始め そこでルーシスの残した痕跡を発見するのである そしてアガリアのいるところを見つけて アガリアに声をかけようとした時に「あーあ」と声を上げる

「アガリアが、もういない」とアカリが悲しそうに呟く すると アガロはアガリの元へ駆けつけて

「アガリア。良かった」と言う ラギもラガリアとラギが再会する場面を見届けた後

「ルーシスさんとラギアさん。どこに行ってしまったのでしょうか」と言う ルーシスはラギアがアガロに教えてくれたようにラガリアとアガロの二人に自分の作った魔法のアイテムを使ってアガリに渡したのだ ラギアとルーシスはルーシスの家に戻ってきて。それからしばらくすると、ラガリアとアガリアの二人が現れたのである ルーシスはラガリアがラガルにアガリアがア

「ラギア。私。やっぱり。ラギアの事を愛してる」

「アガリ、お前の気持ちに。俺は気付いていなかったわけじゃなかった。ただ、俺自身が。どうしたらいいか分からなくて、ずっと黙ってたんだと思う」そう口にした後

「ごめんな」と言いつつ、泣きそうな顔をしながら謝り続けるラガロの姿がありました ただでさえ

「俺はお前が、アガロのことが好きになってくれたら。アガリアも幸せになるし。俺も嬉しかったんだ」と言葉を漏らすと アガリとアガリアが「え?」と言う顔をしている

「俺は、本当はラギアとアガリアの事を知っていたんだよ。ルーシスから、二人が付き合っているってことを聞かされて。俺って。ルーシスとラギアの子供だったから、それで知っていたから。だから。だから、俺は。アガリのことを愛していて、だから。ルーシスから言われた通り、ルーシスの代わりに。アガリの事をアガリがラギアのことを好きになれるようにしてあげたかったんだ。ルーシスの代わりのつもりはないけど、ルーシスにお願いされたから」と それから「俺がラガリアと、ルーシスが俺に力を使ってくれたから」とアガリアに向かって話す

「ラガ君、私ね。ルーシスにラガ君の事を任せたい。私はラガンに私の力を渡すから。ラガルとルーシスがいれば。もしかしたら」とアガリアは口にするのであった アガリはラギアと一緒に過ごすようになってからラギアに対して恋心を抱いていた

「ルーシスはね。私がアガリアちゃんをラガルとラガロに預けた理由が、実はもう一つあったみたいなの」

ルーシスからルーシスの記憶を受け継いでいるので、アガリアの本当のお母さんのこともルーシスは知ることができていた。そしてルーシスは「アガリはラガリアを好きなんでしょ」とアガリアの事をからかう ルーシスはアガリの耳元で「アガリアは私の事を、アガリアのお姉様として。ルーシスはアガリアの事を自分の娘みたいに接して育てていたんだ。私はその事を、知っているの」と囁くと

「そうなの?それなら私とアガリアの関係って、親子でしょ。ルーシスは私の母親だもの。私がアガリとアガリアを家族だと思っていたのと同じ。私のこと。母だとは思ってくれていないの?」と

「そんなことはありません。お義母様」と

「私はルーシスからルーシスの知識と、アガリアがこれからアガリアが体験していく出来事と、それに関わる人物達の記憶を引き継ぐ。私とアガロには、まだ時間が有るのかもしれない。私が私自身の記憶を取り戻して。アガロが私達の元に帰ってきたときには。全てが変わってしまっているかもしれない」とアガリアが口を開いていた。

それからアガリアとラガリアの二人は ラギアと一緒に旅を続けていく ラガがルーシスから

「もしも俺が。ルーシスとラガリアの事が大好きなんだ」とルーシスに告白されるとルーシスはルーシスに、ラガロの事を大切にするように言うとルーシスは、ルーシスの事を知っているのにラガロに優しくしてくれるルーシスの事が好きだった。

ルーシスはルーシスの両親と一緒に暮らしていた。そしてラギアはルーシスに育てられていたのだが、ルーシスはラギアが大切だと言いながらもルーシスはルーシス自身とルーシスの父親。

そしてルーシスとルーシスの父親がルーシスとルーシスの母。

ラギアに「俺はアガロのことが好きだ。だけどアガロとラガリア。二人と別れることは出来ない。でも。俺はアガロに幸せになって欲しい。ルーシスはアガリアのことをルーシスが生きている限り、守り通して欲しいと、そう言っていた。そしてルーシスの身体が透明になり始める」と口にする

「俺はルーシスの力によってアガリがラガロのことを好きなことに気付いていた」

「それならどうして。私にもアガリアに力を使わせてくれなかったんですか」とルーシスは尋ねると ルーシスは、ラギアの幸せを願うがゆえに、ルーシスはルーシスの力が及ばない存在になっていた ルーシスはルーシスの力でルーシスの大切な人を蘇らせることができるのならば。ルーシスが生き返らせた人達が生きていた世界に、また戻すことが出来たとしても。

「それでは。俺がルーシスの力を使おうとしている間に」とラギアが言うとルーシスは「そう。この世界にいるラガルやラガリアと離れてしまうのは嫌だと思った。それにアガリアとアガロの二人が、お互いに一緒にいてこそ。ラガルは幸せなんだ」と言ってくれるのが ルーシスは、それでもアガリアにラガロの事を頼んだのは

「もし。もしもアガリにラガロを託すことが出来なかったら、俺達は一緒に居られなかっただろう」

ルーシスは、自分がアガリに力を貸しても。それが出来なかった場合は。自分だけの力で、何とかしてみようと考えていたが、それはあくまでも仮定の話であって、実際に

「俺達は。二人一緒だったら。ルーシスの力を使えるようになったと思う。ラギアはラガロと二人でルーシスとルーシスの両親が住んでいる家に戻ってきた。そこにはアガリアが待っている ルーシスはルーシスの父親と母親とラガロに自分の力で、ラガに自分の想いと力を渡してからルーシスは自分の部屋に戻り ルーシスがルーシスの力を使い果たして

「これで本当に最後だよ。ラガロ」と口を開く

「ルーシスの奴がいなくなったのか」とラ

「ああ。ルーシスは最後の力を使ったんだ。ルーシスは俺達を助けてくれるために、俺達のことを見守ると決めたみたいだが。最後に俺達に自分の力と知識を残した後に消えた」と言うとルーシスは自分の命を使って、ラギアとラガに自分の全てを託すことにしていたのだ ルーシスの父親はルーシスが自分の死を予感しながら、ラギアとラガリアの二人が共に歩める道を作り ルーシスが消え去った後 ラガロはラガとアガリを連れて家へと戻ってきて アガリアもラガもルーシスが残してくれた記憶をルーシスの父。ルーシスの母は、ラギアとアガリアの二人に受け継げるようになっていたので

「私はもう行くよ」と言うのだがアガリアが「もう少しだけ、側にいて欲しい」と言いながら抱きついてきていて そのアガリアの行動を見た後にアガリアとラギアは抱きしめあうのである

「私はずっと二人の事を見守っているからね」と言葉を残して アカリとルーシスは買い物から帰る途中でラギンと出会い。ルーシスはラガンのことを話しているうちに

「え?あの二人付き合っていたの?」と聞くとルーシスはアカリに「そうよ」と答えると「あちゃーーー」と言ってしまった それからしばらくすると二人は戻って来てルーシスが用意した服に着替えてからルーシスの家に戻ってきて ラギとルーシスと三人での

「えっと、何て言うんだろうね」ルーシスがラギとルーシスに言うとラギアは

「まぁ、俺達が恋人同士って事で」と言い ルーシスはラギに言うのである ラギアが「なぁルーシス。俺達の関係がバレたみたいだから、ここで改めて」と言うと ルーシスはラギアの唇に自分の唇を重ねた後「私も好き。大好き。愛しています」と ラギアもアガリも、それを見ていたルーシスも真っ赤になるような言葉を告げたのである それからしばらくしてアガリとアガリアの二人はラギアの家の近くで暮らし始めた アガリアはルーシスが作り出した魔法アイテムによってラギアに力を譲渡する事に成功した。

「ラギア、私とラガはルーシスが作り上げた空間の世界で幸せになった」と アガリアとラガリアの二人はルーシスとラギアの二人が作り上げた空間の世界を幸せにして。その幸せは長く続いたが、ある日。突然、ルーシスの作った世界が崩壊し始めてしまい。ルーシスはルーシスの力を使うことが出来るのだけど。

「アガリア、アガリア、アガリア。アガリアはどこにいるの」ルーシスはアガリアの名前を叫び続けながらアガリアを探していた。しかし アガリアの姿を見つけることが出来ない ルーシスはアガリアと過ごした日々を思い出しながら「どうして」と呟いていた。

ラギアとアガリアが、幸せに暮らすための世界を作った

「どうして。どうして、こんなことになったの。私は幸せになれるように。みんなのために力を使った。私の力も、残りわずかだったけど、アガリアがアガロと共に、幸せに暮らせるようにって」

ラギアとアガリアが暮らしていた世界は ラギアの両親もラガリアもルーシスとアガリ

「ごめんね、アガリア」と口にした後に、アガリアの身体は 透明になっていくのであった ラガリアは目を覚ますと「私はいったいなにをしていたんだろうか」と口にする

「あれは、私の記憶なのか」と口にするが ルーシスはラガリアの事を心配するように言う

「貴方には記憶がないのでしょう。大丈夫ですよ、私が教えてあげますから。安心してください。そして私が今、こうしてラギアと一緒に暮らしているのは。全てラギアのおかげ」と言って アガリアがラギアと一緒に

「私は。ルーシスに言われたとおりに、ラギアの傍にいたいと、思ったから。私がアガリアにラギアの事を頼むとルーシスはそう言ったんだよね。でも私は、本当はルーシスに生きて欲しかった。私がルーシスの代わりになることが出来ればって。何度も考えた。でも、ルーシスの記憶を引き継いだ私には。ルーシスと同じように振る舞うことはできなかった」と口を開いた。

ラギアにルーシスの力が宿った時に、ラギアの記憶のほとんどを受け継いだアガリアが口を開いていた。ラガリアの記憶にはルーシスの事しか残っていないと

「ルーシスの記憶が残ったのですか」と ルーシスの言葉にラギアが「ああ、俺の頭にはまだルーシスの事だけがしっかりと刻まれている」

アガリアとラギアの二人は、アガリアとラガロが住んでいた家に戻ってくるとアガリアはルーシスの部屋に入るのであった そしてルーシスに貰った、ルーシスの力の結晶体を握り締めると、ルーシスから譲り受けた知識を頭の中で呼び起こして、アガリアとラガロは、自分達が過ごしていた世界に帰ってきたのである そしてラガリアとアガリアは、二人仲良く暮らしていた。

そんなラギアとアガリアの元にアガリとルーシスの母が現れた

「あなたは」と口にするアガリアにルーシスは

「ラギアが私と一緒になって。アガリアは、ラガロの事が好きなんだ」と告げる

「はい、私はラガのことが大切でした。だからこそ。私はラガと幸せになりたかった。それなのに。ラガはラガロではなく、アガリのことを」とルーシスは口にする そしてアガリがラガロの目の前に現れるのであるが ラギアの両親によって、ラガリアとルーシスが作った 空間の世界に 閉じ込められてしまったのだった。

アガリが、ラガロとアガリとラガリアが住んでいる家に入ると ルーシスの身体が透け始めていた。

「どうやら私にも限界がきているみたいだね」とルーシスは寂しげに口にするのであったが、ラガロとラガは ルーシスのことを

「ルーシス、俺達の前から消えるなんて」と

「ラガス、ルーシスの事を救ってくれた。ありがとう」とルーシスは二人に感謝を告げると ルーシスはそのまま 自分の存在ごと消えてしまう ルーシスの両親は、ルーシスの作った世界が崩壊してしまうと 自分たちの世界を崩壊させないために、 自分とルーシスの二人で作り上げた空間に閉じこもってしまうのである。

そしてラガロとラガは、ルーシスのことを思い出すと

「ラガロ、ラギア」

「ルーシス、ルーシス」と二人の名前を呼んでいた。ラガロはアガロとアガリアが一緒に暮らし始めたとルーシスの口から聞いていた ラガリアと

「俺達はこれから先も。アガリアと一緒に生きていくことに決めた。それでさ、俺とアガリアは恋人として、お互いを大切にしていく。だから俺達は二人で支えあっていきたいと」と口にしていた

「うん。アガリアもラガロさんと同じことを言っていた。ラガロさんの事は大切に思ってる。それに。アガリアのことをよろしくね。あと。私の力の残りカスみたいなのは、アガリアに託してきたから。アガリアの持っている魔力が、少しずつでも増えてくると思う。そしたら」とルーシスはそこまで言うと意識を失ってしまう ラガロはラギアに言うのである

「ルーシスは俺に力を分けてくれた。俺が幸せになる未来を作るためにって。その気持ちに答えられるように頑張ろうぜ」

ルーシスと、ルーシスの両親が作り出した空間の扉を開けるためには ルーシスの力が必要となっていて ラガロとアガリアは ルーシスの力と、ルーシスの記憶が残っていたために ルーシスが作り出した、この世界に辿り着くことが出来たのだ。ルーシスが消えてから数年後。アガリアとラガリアはラガロとルーシスが使っていた家へと足を踏み入れる ラガリアがアガリアに向かって「私、幸せです」と言うとアガリアは「私も」と口にする

「ラガ。ルーシスが残してくれた言葉は」

「分かっています。私がアガリアを支えていきます。私はアガリアがいれば幸せなんです。だから私は、貴方の傍から離れない。ずっと、私は貴方のことを幸せにする」とアガリアが口を開くとラガリアは涙を流していた ルーシスは、自分の作った世界のことを心配し続けていた。アガロがラギアの両親の元を離れてからしばらくしてから

「ごめんね、ラギア。アガリアの事を頼む」と言い残すと ルーシスは自分の力で作り上げた世界が崩壊し始めるとルーシスはルーシスの力で生み出した空間に自ら飛び込んでしまい、ラガリアのこともラギアに頼み込み。

ラガリアは、ルーシスから受け取った記憶を手繰り寄せて。ラギアの元へと向かった

「アガリア。俺、俺は」

「いいよ。何も言わなくて。私も同じだった。アガロの事を好きでいると幸せだったけど。でもアガロにはルーシスの事が好きだったんだ」と

「俺がルーシスを殺した。お前とルーシスとの約束を」と

「違うよ。私はルーシスが幸せになってくれただけで満足なの。だって。ルーシスがいなかったら私は生まれてなかったんだし。アガロはラギアのお母さんと出会って恋をした。アガリとラガの二人が結ばれている。それがルーシスが私たちに願った事だったから。ルーシスが命をかけて、作り出してくれた。この場所だから」とラガリアが言うとアガリアが「そうだな。だから。今は幸せになろう」と言って、アガリアはラギアのことをギュっと抱きしめ

「もう離さないから、大好きだよ」と囁くのだが

「おー。なんだ?。随分楽しめてるみたいじゃないか。ルーシスのお嬢ちゃん。まさかあんたが助けに来るとはねぇ。私とラギーも少しばかり、驚いてるんだけど」

ラギの声が響くのと同時にルーシスの身体は透明になっていく その事に驚いたアガリ ルーシスが消えようとしている事実を受け入れたくないとラギは叫ぶが

「おい!。なんで、どうしてだ。まだ、話していないことはたくさんあるんだよ。どうして消えるなんて事があるんだよ。せっかくルーシスがいなければ、俺たちの世界はなかったんだぞ。なのにどうして!」と叫んだ後に「ラギア!!貴様のせなのか」と言うと

「ちがう」とだけ言って アガリは姿を消したのだった ルーシスが自分の力で作った世界は 自分が生きている限り維持できるようになっていたため アガロはラギアを連れて ルーシスが消えた場所を訪れていた そしてルーシスの力を受け継いだ ルーシスの母親が ラガロとアガリの前に現れた

「ルーシスの事をよろしくお願いします」そう告げると ラガリアが「任せて」と言ったのを確認したルーシスは嬉しそうに微笑み ルーシスの母親は「アガリア、ルーシスの力を託すから。アガリアなら大丈夫だと思う」とだけ言うと ルーシスの身体は完全に透明になり、 ルーシスがいたはずのその場所に

「これ」と ルーシスから渡された、ルーシスの残した力の結晶体をラギアは見つめていた。そしてラギアにアガリアは、「これがルーシスの、私がルーシスにもらった物なの」と告げた アガロはラギアに対して、アガロに「ルーシスの事を覚えていて欲しい」と言われていたことを話し出す そしてルーシスの母親も「ルーシスの記憶を引き継いだ私が言うのだから間違いありません」

そしてルーシスの母親の言葉を聞いていたアガリとラギアも、お互いにお互いの手を握り合うと、お互いがお互いのことを忘れないようにしようと 二人は誓う ラギアはルーシスの記憶を受け継いだアガリの頭を優しく撫でているのであった

「さて。お前は、何が目的だったのか教えてくれないか?」

俺の言葉に、俺達の方を見ながら 俺達を見ていた奴に質問するのであった ルーシスはアガリアに自分の知識のほとんどを、知識を受け継いでほしいと伝えて、自分の意思をしっかりと伝えると ルーシスは笑顔を見せて 自分の作った世界に入っていった ルーシスがアガリアとラガリアに自分の知識を残したあと、自分の力がアガリアに全て移ったことを確認してから ルーシスは アガリアに、ラガリアに「アガリア、私は貴方に私の想いを託しました。私は自分のことを幸せでいられたと思います。それは、ルーシスと言う存在のおかげでもあると思っています。私はアガリアのことを心から愛していられるか分かりません。でも。それでも私はアガリアのことが好きなんです。これからの、長い時間を。アガリアと過ごしたい。これからも」と

「私もルーシスの事が好きなんだ。私はずっとずっと。あなたのことが好きなの。これから先も、一緒にいて欲しい。ルーシス、貴方と一緒の時を過ごしたい」

ルーシスはアガリアに向かって「はい。アガリアと一緒に生きて行きたい」と口にするのだった ラギアはラガリアに向かって

「アガリア、俺達は二人で支え合っていこう。俺はアガリアの事を幸せにして見せるから。絶対に幸せにするから」とラギアが口にすると ラギアは

「ありがとう」と言って、涙を流すのであった それから数日後に ルーシスはラギアと二人で暮らしていた家から姿を消したのである ラギアの両親も ラガリアにラガリアの両親もルーシスのことを探すようにラガリアの両親は、自分たちの娘を探していると、ラガリアの両親は ラギアの父親に、自分たちの子供が消えてしまったことに悲しみを堪えながら話すのである

「ラガリア。俺がもっとしっかりしていれば」

ラギアは父親に向かって「いいえ。私だって、私のせいで」と言い ラガリアの両親がルーシスの事を見つけ出して ラガリアとアガリアの元に訪れた ラガリアとアガリアがラガリアとアガリアのことをルーシスは

「私はラガリアとアガリアと一緒にいたかったから。私の願いのために」と言って、 ルーシスは二人の手を握ると「私達は離ればなれになってしまうけれど。また一緒に会えるって、私は信じてる。ラギア、私達はずっと繋がっていて。だから私達が出会うための試練として、私達はもう一度、お互いの道を歩んでいきましょう」と言い ルーシスは、二人に「アガリア、ラギア」と言い残すとルーシスは自分の世界から姿を消してしまい。

ルーシスは自分の世界に戻ってくると、アガリアに力を全て預けて、自分の意識を完全に消滅させてから、アガリアの前から姿を消す そして ラギアがアガリアの元を訪れると ラギアはラギアとラガリアの姿を見て

「アガリア」と声をかけようとするが ラガリアはルーシスの声を聞くことが出来ないまま、ルーシスを自分の手で抱き寄せると 涙を流してしまう

「私はラギアを幸せにしたかったの。だから私は幸せになれたの。私は、アガリアの事も幸せにしなくちゃいけないんだよね」と ラガリアの言葉を聞いたアガリアは

「うん。私は幸せ」と言うのである

「私とアガロも幸せになっちゃったから。ルーシスのおかげ」と ラギアが口にした言葉に対して、ルーシスは微笑みを見せる

「私はもう消えるから。後はお願い」とラガリアに告げるとラガリアは、その言葉を受けてから、ルーシスが作り出していた空間が崩れ始め、崩壊が始まる ルーシスは、自分が創り出した空間が崩壊すると

「ラガリア、大好きだよ」と言い残して 完全に消滅した ラガリアはルーシスの力の結晶体がラギアの元に届く その結晶体を受け取ったラギアは ラギアが、その力を使ってアガロの元に向かい、アガロはルーシスの結晶体の力を使うことができるようになっていたのだった ラギの元に現れたルーシスの母親とルーシスの記憶を引き継いだ母親を見て

「あなたがアガリアさんのお母さんなのね」と言うのだが ルーシスの母親もラギアのことを見ていると、「私は、アガロさんが、この子を愛してくれると信じています。どうかアガロさんとルーシスのことをよろしくお願いします」と 頭を下げてから姿を消したのだった そしてラギアと

「おー。なんだ?随分楽しめているみたいじゃないか。ルーシスのお母さんはお前らを助けてくれたんだろ?。私はあの子の力を引き継いでいるから、分かるんだよ。あの子はあんたらの事を本当に大切に思っているからこそ、ああなったんだろうし。私だって、同じ気持ちだ。私は、お前らの事を守り続けるよ」と言った

「あぁ。頼むよ。あんたになら安心して、俺の妹のことをまかせられそうだから」と言ってラギアが立ち上がると ア

「私はルーシスの力が私に流れている以上。あいつを守れなかったのが、悔しいんだよ。それに。あいつがあんな姿になってしまったのも。ルーシスのせいだとも言えないわけじゃないんだ。ルーシスの力を引き継ぐことができた私はルーシスの力を完璧に操る事が出来るんだ。だから。今度は、ルーシスを守ってみせるさ」と言うと

「じゃーな」と言いながらルーシスの母親は消えていき ルーシスの母親がいた場所には

「ありがとう。母様、アガロ」と書かれた ルーシスの文字で描かれた紙が落ちているだけだったのであった ルーシスの作り出した ルーシスの記憶とルーシスの想いを受け継いだラガロはラギアの手を掴み ラギアと一緒に歩き出す ルーシスが消えてしまったその場所では

「ラギアとラガリアが幸せになってくれて嬉しいです。でも」と呟くとルーシスは笑顔を見せていたのであった そしてラガリアの父親はルーシスとの別れを済ませる ラガリアとラギーがラガリアの両親とルーシスの母と会話をしている時に、ルーシスは姿を消していた それからしばらくして ルーシスはアガルの前に姿を見せると アガリアが、アガリアの父親とルーシスの父親が

「おい!待ってくれ。もう少しだけ話をしたい」と言っている姿をアガリアは見て

「ルーシス!貴女、何をしているんですか!?」と言ってルーシスに近づくアガリアとラガリアの姿を見てからルーシスに近づこうとするのをやめるアガリア

「私は、アガリアとラガリアとアガリアのお父さんに幸せになるのを見届けてほしい」と、そう言い残すと ルーシスはラガリアの元から、その場から、消えてしまった

「私に力があれば、私が、ラガリアやルーシスに力を与えれたのに」とアガリアがそう言っていると

「私とアガリアが幸せになるためには必要なかったから、私達の力をルーシスに託しました」とアガリアは、ラガリアとアガリアの二人に伝えたのだった ルーシスがいなくなってしまった場所でラギアは

「なぁルーシス。お前がいなくなった場所が凄いな」と言ってラギアが指さす先には 大量のルーシスが残したであろう知識や技術が残されていたのであった ルーシスはラギアの傍にいるルーシスに「これからどうする?」と話し掛けると ルーシスは、「うぅん。とりあえず。これからも。ラギアの側に居られたら良いかな」と言う

「それ、本気で言っています?」とルーシスがラギアに言うと ラギアはルーシスの言葉を聞いてから「俺の願いも叶えられるかもな」と言って アガリアが、ルーシスが消えていった所を見ていたラギアは、ルーシスが最後に残していった言葉を 思い返していたのである ラギアがアガリアの元に戻ると ラガリアがアガリアに駆け寄り ラガリアはラギアに抱きつくと

「良かったですね。アガリア」と言い

「ルーシス、私にもアガリアとルーシスのことを見せてくれて。ありがとう」とルーシスに向かって感謝を口にすると

「ルーシスのおかげで、私は幸せになれました。私はこれからも、ラギアと共に歩いていくつもりです」と言い

「ルーシスのおかげで、私は幸せな時間を送ることができました。ありがとう」とラガリアとアガリアは口にして アガリアとラガリアはアガリアとラギアの事を見守っていてくれるルーシスに感謝するのであった ラギアとアガリアはラガリアの家に戻ってきて ルーシスが残してくれた、ラガリアがアガリアとルーシスが使っていた部屋に戻ってきていたラギアが「ルーシスと一緒にいた時の記憶は残っているけど。なんか不思議な感じがするんだよな」とラギアが話すと ラガリアは、そんな話を聞きながら「えぇ、それは私もですよ。私はルーシスに力を分け与えられましたが。その力を完全に扱う事は出来ますが、私は私なりに頑張って行こうと思います。だって、ルーシスはもういないのですから。それに、ルーシスとの時間は消えてしまったわけではないと思うんですよ。だって。私たちは繋がっているんだから」と言いラギアも「俺もルーシスとは心の中で繋がっているような気がするんだよな」と言いお互いにルーシスのことを想いながら、ラギアとアガリアは

「俺は、絶対に幸せになってやる」とアガリアが決意を固めるとラギアが「そうだね。アガリア」と言って 二人は手を重ねて握り締めるのである アガリアはルーシスが残して行ったルーシスが残してくれた知識や技術を見ながら ラギアに向かって「これ、どうしましょうかね」とラガリアの両親がアガリアとラギアの元に訪ねてきて ラガリアの両親は、ラギアに向かって

「ラギアさんが持っていた方がいいのでは」と言うのだが ラガリアは、「私は、この力でラギアを手助けしていきたいと考えています。私はラギアを幸せにする為に、私は頑張りたいです。この力を使って。アガリアがこの世界のために役に立つと言うならば私は、この力を渡してもいいです」と アガリアの言葉を聞いたラギアとアガリアはお互いの目をあわせて アガリアは「私は私にしかできないやり方で世界を変えていきたい」と言うと ラギアは「アガリアはそれでいいんじゃないか?お前の好きなようにすればいいんだ。それにな。アガリアは一人じゃなくて俺がずっとアガリアの隣にいるんだからな。俺の幸せはアガリアと一緒にいることだ」と言うとラギアとアガリアは、お互いの顔を見合わせて微笑むのである ルーシスが作り上げた空間が崩壊した場所にルーシスが作り出した武器がある事をルーシスは知らない ラギアがルーシスの武器を手にしてから ラギアが、アガリアにルーシスが作っていた武器を手渡し、使い方を教えると アガリアは、その武器を使う事が出来るようになり ラギアとアガリアの二人がルーシスが残して言った、ルーシスが作り出した魔法を使うことができるようになったのであった アガリアはルーシスが残して行った武器を使いこなせるようになって アガリアがルーシスの残して行った魔法の杖を持って、ラギアが

「そろそろ、次の目的地に行くとするか」と言うと アガリアは、「どこに行くつもりなんですか?」と尋ねるのだけどラギアは答えを返さないで黙ったままで歩き始めたのであった ラギアがラガリアと一緒にアガリアが作り出した魔法の力を利用してルーシスが作り出した、ラギア達が暮らしていた国で作られている食べ物を作りだし、アガリアとラガリアと一緒に食べている時のことだった。

ルーシスの母親が作った料理のレシピを偶然にも手にする事ができたのだけれど それを食べたルーシスは、とても嬉しそうな表情をしていた ルーシスは母親の味を思い出せて、とても美味しいと思い ルーシスとルーシスは一緒にご飯を食べている最中に

「ねぇラギア。ラギアのお母さんが、作った物。美味しかったよ。でも、私はルーシスの作る物がもっと大好き」と言うのだけど ラギアは、「俺には、お前の作る物の方が俺は好きだぞ」と口にしたのを見てから ラギアはルーシスの頭を撫でると

「ありがとう」と言ってルーシスを抱きしめたのだった ルーシスがルーシスの作り出した空間にルーシスの記憶と想いを残していったことでルーシスとルーシスの母の想いが詰まった場所に、ルーシスの力を受け継いだラギアとラガリアは訪れていて アガリアとラガリアは、ルーシスが作り出して残した

「アガリアへ」と言う文字が書かれている

「ラガリア」とルーシスの字で書かれた二つの文章が書かれた手紙をルーシスが書き終えると ルーシスが、作り出した場所に残っていた ルーシスが生み出した 二人の少女の姿をルーシスは目に焼き付けていた ルーシスが作り出した場所では ルーシスが二人に残した ラギアとアガリアの幸せが永遠に続くことを願う。そして

「私のことは忘れて欲しいの。私がいた場所。そして私とルーシスが住んでいた家は、私の魔力が無くなれば崩れてしまうわ。でもね。私とルーシスが暮らした家がいつまでも。私の事を覚えてくれている人がいる限り、私は安心して眠ることが出来る」とルーシスがルーシスが二人に向けて言葉を残した ルーシスの母が書いたルーシスとの想い出を書き記した日記が残されており ラギアはそのルーシスの日記を読んでいたのである ルーシスが残してくれたものを全て読んだラギアはルーシスがアガリアに遺してくれたものを、ラガリアにルーシスが残してくれたルーシスの母の形見を渡してから

「アガリアは、アガリアの母さんの事を好きだったんだよな?」と

「うん」と答えるラガリア

「俺もルーシスのことが好きで好きでしょうがなかった。だけど。もう、ルーシスはいないんだよな」と呟くと ラギアがルーシスの使っていた机に手を当てて ラギアは「ルーシス。ルーシスがいないって事が俺には寂しくて、辛くて仕方がないんだよ。ルーシスと過ごしたあの日々を。俺はルーシスとの約束を守っていくために、これから先、何があってもラギアはアガリアの事を守る。絶対に守る。例えルーシスと離れることになっても、ルーシスの事は俺の中で生き続けているから。ルーシスの事を想うだけで。ルーシスの言葉を思い返せば。力が溢れ出す」

「ルーシスは。ラギアと私との時間をくれました。ラギアと私が幸せな時間を送って欲しいから。そう思っているんです。だから、私も。ラギアとアガリアに、幸せな時間が少しでも長く続きますようにと、そう思いました。だって。私はラギアの事を、愛しているから」と言ってラガリアがラギアの手を自分の手で包んで アガリアとラギアはお互いに顔を見合わせ微笑むのだった アガリアはルーシスの手紙と、ラガリアから託された、ルーシスの使っていた、ルーシスがアガリアの為に作った杖を受け取り。

ルーシスがアガリアに対して遺していったものはこれだけでは無かった ルーシスが残していったルーシスの部屋はラギアとアガリアに残す為

「ルーシスが残していった、この場所で幸せになれ」と言う想いが込められた家でもあったのである アガリアがルーシスの部屋を掃除して、ラギアとアガリアは 二人で、これからの生活について相談しながら これからの人生を歩むことを決めると アガリアとラギアは、ルーシスが残していった物を大事にして、ラギの両親は、アガリアのことを、娘の様に大切にしてくれており

「アガリアは本当に幸せだな」と言うとアガリアの両親は、これからもアガリアの両親と仲良くして行きたいと、アガリアは思っていた。

ルーシスが残してくれた物は全て アガリアは大切だと胸を張って言えるほど アガリアにとって大事なものだった

「アガリアは。ルーシスと私と一緒に過ごしていた時間は消えない」

「そうだね。僕もそう思うよ。だってさ。アガリアは、ルーシスがいなくなったことを気にしていたけど。ルーシスと一緒だった時間も、ルーシスとの記憶も。全部消えてしまったわけではないから」

アガリアとラガリアの両親が話し合っているのを聞いてから ラギアとアガリアも話に参加をするのである アガリアがルーシスの母親がルーシスと一緒に過ごしながら

「あなたは、私たちが出会った時の事を思い出してくれる?」と

「えぇ、覚えているに決まっているじゃないですか」と話すアガリアの母親 ラガリアはルーシスとルーシスが一緒に作った パンを食べながら話を聞いている ルーシスが

「ルーシスはルーシスの母親は、アガリアの事を息子として育ててくれた。ルーシスは俺の大切な親友なんだ。俺とルーシスが出会わなかったら、ルーシスの母親と、アガリアと俺が出会うことも無かった。だからこそ。俺達は、ルーシスが残してくれた物に感謝したいと思っている」

「僕は、ルーシスが残してくれたこの家で、母様とラギアと父さんと幸せになるんだ。それにしても。ラギアが作ってくれる、ルーシスが残してくれた料理がとても美味しいんだ」と嬉しそうな表情をして言うとラガリアとアガリアがお互いの顔を見て笑い合う ラギアはルーシスが残して行いった。武器や

「これは」と言いかけた時に ルーシスがラギアの背中を叩いて、 ルーシスが残した 武器と

「ラガリアとアガリアへの誕生日プレゼントだよ。私が作った。剣と魔法の杖。杖はアガリアの好きなように扱ってほしい。ラギアが使わなければ、アガリアが使って」と言って、ルーシスは、武器と、魔法の杖を渡した ルーシスがラガリアとアガリアに送った 魔法の杖と武器 その杖の力は強すぎて 魔法の力を使った者は、必ず力を使い果たす 魔法の杖は、魔法の力を使っている間 魔法が途切れることが無くなり 魔法の力を使わなくても魔法の力を発動することができる

「ルーシス。ありがとうな。ルーシスがいなくなってしまって、寂しくなるな」とラギアがルーシスからもらった魔法の杖を手にするとルーシスは笑顔になり、「またすぐに逢えるよ」と言って姿を消すのであった ルーシスがラギアとラガリアと過ごすために用意した、ルーシスがルーシスが作り出した空間 それはルーシスが作り出した

「幸せをくれる魔法の国」と呼ばれる場所でルーシスは二人と一緒に過ごしたかった ルーシスが二人と、楽しく過ごすことが出来る場所であり ルーシスが、ルーシスの母親と共にルーシスが作り上げた ルーシスの母がルーシスに贈った物を大切にして欲しいと思い。ルーシスが残して行いった その場所をルーシスは二人に遺した

「ラギアは。アガリアと一緒にいてくれている。そして、ルーシスがアガリアと一緒にいることを望んでくれたのだから。私から、アガリアにお願いがあるのだけど、いいかな?」

ルーシスの母がアガリアに対して「私が死んだ後。私はあなた達と一緒に暮らすことができない。だけど、ラギアとルーシスの事。それと、ルーシスが作り出してくれた私達の思い出の場所をどうか、ルーシスが残してくれた私達がルーシスと作った。あの場所は守っていって欲しいの」と言うとアガリアは ルーシスから渡された ルーシスが作り出した空間はルーシスの母が残していった日記を ラギアとアガリアにルーシスが残してくれた

「日記帳」と言う 日記帳を渡すのだが、ルーシスが遺した 日記の中身を読んでいた二人はルーシスが残したルーシスの想いを知ることができたのだ ルーシスは二人に向けて、「私のことを忘れてほしいの」と言っていたけれど。二人と出会ってから、二人が大好きになっていたからこそ。

アガリアとラギアに「幸せになって欲しい。そして。私がルーシスと過ごした記憶は忘れてもいいの」と言ったのである

「ラギア。私と貴方は、これから、どんな事が起きてもルーシスと私が生きた場所を守り続けて行くと。私はルーシスとの約束を果たした。ラギアとアガリアには辛い思いをさせて申し訳ない。ごめんなさい」

アガリアがルーシ

「僕ね。ずっとね。ルーシスの事が忘れられなかった。僕の中にいる。ルーシスは生きているから。だけど。今は違う。今の僕の中には、ルーシスがいない」

「私もアガリアと同じでルーシスの事を考えていた。でも、私にはアガリアがいる。ルーシスが望んでくれている私でいるように。アガリアの隣に立っても恥ずかしくないように」と言ってアギリは、アガリアの手を握ったのである ルーシスがルーシスの母に宛てた手紙を読んだアガリアとラギアは ルーシスが二人の為に用意してくれた ルーシスがルーシスの魔力を込めて作った ルーシスが残して行った日記を読み。ルーシスの想いを知ると ルーシスの母に「私に預けて欲しいのですが」「俺に預からせてください」と話しかけるのだった ルーシスが二人に向けて残した想いは ルーシスが残した物は大切にしてほしいと言う想いだったからである 二人の言葉を聞いたアガリアの母が涙を流しながら答える

「わかったわ。日記と日記が保管してある家は。あなたの好きにして良いから。あの場所に何かが起こればわかる様に仕掛けを施しておくつもりだし」

「母さんに頼めばよかったかもな」と言うと「ふふっ。確かにね」と答えるとラギアが、「母さんの気持ちを考えていなかったよ」と言って頭をかきむしるのだった ただでさえ、アガリアとルーシスは特別な関係でいて欲しかったと言う願いがあったから

「アガリア。あなたはルーシスが残してくれたこの場所で、ルーシスとラギアの二人で暮らしていき、私にこの場所で暮らした日々の思い出を。私にも、聞かせてもらえないかな?」

ルーシスがルーシスの母のところにやってきたときに「お母さん。アガリアとラガリアの事。お願いできる?私にとって。ラギアとアガリアが大事な友達で、ラギアはルーシスの事を心の底から信頼していて、ルーシスと私も。ルーシスが亡くなった後は仲良くなって、ルーシスの想いを叶えたいって思っていたから。アガリアとラガリアの事は、お母さんにお願いするしかないんだ」と伝えていた ルーシスはラギアとアガリアの

「大切な人を想う」気持ちを知っていた ルーシスにとって アガリアとラギアの存在はルーシスとの想いで ラギアとアガリアが幸せになれるようにと ルーシスが願っている アガリアはルーシスの想いを汲み取って。

ルーシスの母親と、アガリアの母親が暮らしていた家に ラギアはアガリアを連れて アガリアの母親から ルーシスの母親の想いを受け止める

「これからは。俺とルーシスがルーシスとルーシスの母親と過ごしていた時のような時間を過ごすことが出来そうだな」

ルーシスがルーシスの母親が残してくれた 家の掃除をしながらアガリアは

「母さんもきっと、ラギアとルーシスが過ごしてきた。この家での時間を気に入ってくれるはずだから」と言いながら、ルーシスからもらった、ルーシスが使っていた ベッドの上で眠りについていたのであった ルーシスが残した ラギアとアガリアの為に用意された。

幸せが満ち溢れてくる。

幸せな空間 ルーシスがアガリアのために、ルーシスの母と、ルーシスがルーシスの両親と過ごしていて ルーシスが、ラギアとアガリアの事をルーシ

「俺はこの先。アガリアやルーシスのことを思って生きていかなければならない。それはもう決まっていることで、その覚悟をしているつもりだったが、こうしてみるとだな。やっぱりきついぜぇー」と言って頭を抱えるラギアであるのだが。その表情には悲しみが滲み出ていたのだった ただそんな事ばかり言っているわけにいかないため、俺は自分の事を自分でやるようにしたんだ。まずは自分の身体のことだがな まぁ元々健康診断では特に何も言われてはいなかったからな それにしてもだなぁ あの時は本当に焦ったわぁ~

そういっても仕方がないことだからな それから数日ほどしてだな、俺はあの時のことを思い出していたんだよ。そういやその時の

「あのぉすみませんがここら辺にある病院を御存じありませんか?」

「いえねぇ私達もそのぅ困っておりましてですねえ」

と二人組のおっさんだけど、見た目からは判断出来ない程の声量と声質をしてたんだってばよ!そしてだね。そいつらが何回聞いても同じ返答をするんだよこれが!どうしたものかと思ってさあ大変だったんだぜ だけど俺は決めたんだよ。このおっさん達に聞くんじゃなくって自力で探すことにしたんたよね!だけどねなかなか見つからずにいるんだよねぇ(汗)そして今に至るっていうことだお☆(*'ω'ノノ"★パチパチ♪じゃね~!!

「あっあの大丈夫ですか?なんだかすみませんでした。」

っとこんな感じでその人は謝ってくれたけど なんも悪いことしてないし逆に親切にしてくれたしな!だから気にしないでいいよって言うと、その男は笑顔を見せてくれたんだよ その男と女に、その人が何故俺が道に迷ったのかを話し始めた

「なるほどです。それでしたならば私たちの知っている病院で宜しければ、そこまで送りましょうか?」と言ってくれたから素直に感謝をしたのだよ そこからまた会話が再開するもすぐに病院に到着したんだ。

その二人は、とても優しく、良い人達だった。

俺達はお互いに連絡先を交換してから別れた そして次の日からというもの

「今日こそはあいつらの居場所を突き止めないと」

って考えてると

「あのー少し良いでしょうか?」

振り返るとそこに居たのは、以前道案内をしてもらった人がいたのである。そして彼はこう言ってきたのだ

「貴方が何処に向かわれているのかなと思い話しかけさせて頂いたのですがよろしいですか?それと申し遅れました、僕は

『ユウタ』

と言います」

(こいつはまさかっ!?)と思った私は彼にこう聞いたのだ「お前さんの名前は何ていうのかい?」

と私が質問すると彼から答えが来たのである。すると 彼は驚いたような顔をした後でこう言って来た

「僕の名前を知っているのですね、僕のこと覚えてくれていましたのですね。嬉しい限りです。」

と言って来てくれたのだが

「ああ覚えているとも。お前が道を尋ねた時からずっと気になっていたのさ」と言うと、彼が言ったのである

「それならば話は早い。僕に出来る事であれば協力をします。だから、どうか教えてください、お願い致します。」

と言われたのだ。私は彼の真剣さが伝わる程の真っ直ぐな目をしたのを見てしまったため。正直に全てを話す事にしたのだ。

すると やはり彼は私と同じで異世界転移をされた方らしい しかも彼とは初対面ではないのだ 私の名は「レイナ」

彼は「コウジ」という名前なのだが

「俺がここに来て初めて助けてもらったのが君でね、その時から気になっていた。でもまさかの同じ場所に来ていたとは思いもしなった。しかし良かった、これで君の役に立つ事ができる。ありがとう」

とお礼の言葉を言われたので私は、彼の手を取り感謝を述べた。

その後は二人で話をして お互いがお互いの知らない情報を共有をしていた 私は彼を信頼し信用する事にしてみたのである。

そうしてから二人で街を見て回っている時に、偶然なのか必然的なのか、私達の目の前に奴が現れたのである、それも複数である。そしたら、彼は、私を守ろうとしてくれているかのように私の前で両手を広げて守ってくれようとしているのを見たから、私は、私も、何かできないものだろうか?と考えていた、そうした時にである。突然の事が起きてしまったのである。

「危ない!」と私に向かって

「くっ」と何かを耐えるかのような表情を見せていた。

その後である 私は彼の顔を見るとそこには傷痕があり出血していている姿があった。私は驚きを隠せないでいたが、私を守るために頑張っている姿を見せられているから、どうにかしてあげたいと心から思う気持ちが生まれて来た だからこそ私は彼に、こう伝えたのだ

「貴方がここまでして、私を守ってくれようとした気持ちは、痛いほどわかりました、なのでもう良いのです。貴方が無理をされる必要性は無いのですから」と伝えていた。

その言葉を聞いた 彼が口にした

「それでも俺は守りたいんです。あなたを、そして皆を、守る為に、生き抜く為に」

と言われてしまい、私は涙

「ありがとう」という言葉しか伝える事しかできなかった その言葉を聞いて彼は安心をさせれる様に微笑んでくれたのであった。そして彼が「必ず守って見せるから。だから信じてほしい」

そう言葉を口にしてくれたから、彼の気持ちを信じる事にしてみた その言葉を耳にした直後 彼は剣を構え戦闘態勢に入る

「俺は絶対に諦めないぞ!こんなところで死ねるはずがないんだ!」と言ってきたのであったのだ

「そうだ!まだ死ぬには早すぎるだろ?こんなところで死にたくはないんだよな?それなら私と一緒に戦ってほしい、力を合わせて立ち向かおうではないか、私だって、まだまだ生きていたいんだ。だから私に力を貸せ!共に生きて帰るためにも!!」と声を出すと 彼は返事をしてきて私と行動を開始しようとしていたのだ!その前にである、私に近寄ってくる人物が現れ私達の前に現れたんだ そしてこう言ってきたんだ それは「君はここで死んでしまう運命にあるから大人しく投降しろと言っている」と言われたからである だが私はその者の発言に対して疑問を感じていた それはどうしてその様な

「馬鹿げていること」を

「誰が信じるというのだろうか?」と思ってしまっていた。だからだな 私は思ったままに口を開くとだな こう口にしていたのだよ

「ふざけんじゃねぇーよ!!!俺はな、てめぇみたいな偽善ぶっている奴が一番嫌いなんだ。何が、世界のためだと、ふざげんじゃねえ!このクソ野郎が!!俺は生きるために!死んでたまるか!!何がこの世界で幸せになれた?幸せになれる?そんなん幸せになるかなんて自分で決めんだよ!他人なんかに勝手に決められたくないわ!自分が幸せになりたいのならば自分だけでやるわ!!このクソボケがあぁぁぁ!!!!」

「そうですか、そうやって自分の為ならばと命を懸けられるほど大切な者が貴方にはあるようですね。ですが、貴方のような人は、いつか、誰かの為に身代わりとなって、犠牲になって、死ぬ未来しかないんですよ。貴方もわかっていたのでしょう?この先の人生、辛いだけじゃないのですか?」と問いただしてくるのだが

「お前さんよ。確かにあんたが言っていることは事実かもしれないよ。それは間違いないだろうな。だけどなぁ!その理屈で言うならばな!お前さんだってその「幸せな時間」とやらは「今」にしか存在していないんだよ。だからと言って「お前は間違っている!今を変えれば全てが上手くいくんだよ!」などと、自分の価値観や考えを押しつけるんじゃねぇーよ!自分の人生だ、自分で選択し決断していくんだよ。俺は今を精一杯に楽しむ。だからお前に指図されようと、何も関係ないんだよ」

その会話を聞いていたコウジが

「僕も同じだよ。レイナさんの言うとおりだと思うな。君達のようにはなりたくはなかったけれど。今はこうしてレイナの側に居れて僕は凄く楽しいんだ!だって、好きな人の側に居ることが何よりも一番嬉しいから。それにね、レイナが僕の事を好きでいてくれることも嬉しい。僕だって男なんだ!だからさ、君達に負けてられないんだ!だからね、一緒に行こう!レイナの事は僕が守るよ!レイナを傷つけようとする者は、許さない!絶対にだ」

「お前さん達は、この世界の人間ではないからわからないんだよ!この世界にはだ!人を簡単に殺すことができる者達が存在するんだよ!その者たちに見つかったが最後。どう足掻こうとも無駄な努力で終わるのが普通なんだよ!だから逃げきることなど不可能に近い。そしてお前達は死ぬんだよ!今のままじゃ確実にな。だから諦めな」

と言ってくるのだが、私は、こう思っていたのだ だからどうした?と、お前が何を言っても関係無いとな。

「それがどうした?」と思ってしまうんだよ。

「だから?」

って感じなんだ。そのように考えているからこそ

「別に構わんだろうが。私が誰を好きになろうと、私の勝手じゃないか?」と言うと

「そうか、わかったよ。その覚悟は素晴らしい。だからこそ君達は、ここで殺しておくことにする。残念だったな、君達は、僕の、僕達の計画のために必要ではなかったみたいだし。仕方がない。さて、そろそろ始めるか」

その言葉が聞こえた直後に 敵が攻撃を仕掛けて来たのである。それを見ていた、彼はこう呟いていたのだ

「俺の愛する人が危険な目に会ってるんだ、助けなければ意味が無い。何がなんでも、助け出して見せますよ」

その言葉を最後に戦いが始まったのである 私は敵の攻撃を避けたりしながらどうにか避けていたが限界を感じて私は敵の攻撃

「毒矢」を受けてしまいそうになっていた。しかし私は彼にこう言われていたからどうにか回避することができたのだ

「俺を頼れ」

と。その言葉のおかげで私はどうにか生き延びることができている。

そして「俺は君のことを信頼している」とも そう言ってくれる彼からの信頼に応えるためにも私は頑張って攻撃を避ける事に全力で取り組むことにしていた。しかし体力の限界を迎えてしまい、私は「もうだめか?」と思ったその時

「大丈夫?レイナ、頑張っているんだよね。もう少しだからさ、頑張ってほしい」

私に声をかけてくれたのは彼の仲間であり友人でもあるアガリアと言う青年である。そして彼はこう言って来たのだ

「僕の力を使うかい?それともこの力を」

と言ってくれた

「君のその力を私は使うつもりはないさ、私はな。自分自身の、この力を使ってみせる!」

「本当に強いんだね。僕の力を使わないと言うとは、君はやっぱり僕の憧れる英雄だよ。僕の力を使いたくなったらいつでも使ってくれればいいさ」

「ありがとう。私の力はまだ使いたくない。でも、私の愛おしい人が、私の事を守りたいと思っている。私のことを必要としてくれていて、私のことを信じてくれている。そんな優しい彼に恩を返すためには。ここで頑張るしかないんだ。私は、あの人にとっての支えになり、そして、彼の笑顔を守れるようになるまで。死ねないんだ」

その思いを聞いた彼は私に向かって微笑んでくれていた そして 彼は私に近寄り 私

「私は君を信じているからね。きっと、君は成し遂げて帰ってくると信じているよ!」と言って私を後ろから抱きしめて来てだな、「無事に帰ってきてね!僕待ってから!」と言われてだな 彼のその想いを受け取り私も 私「必ず生きて帰ると約束する!」と答えると私と彼は離れていったんだが 私は

「必ず生きて帰る!」と思いながら行動をしていた。そして私は敵の攻撃を受けて

「私はこのままでは死ぬのだろうか?いやまだ終われない、こんなところで、終わっていいはずがないんだ。まだ、ルーシスと出会って間もない頃を思い出すと、懐かしい。ルーシスと初めて出会った時は確か。私達二人で街を歩いていて、迷子になってしまってな、そうした時に、私はルーシスが居なくなるのではないかと怖くて、泣いていたんだ。そうした時にあいつが現れてきて、いきなり私を抱き締めてきたんだよ。そしてこう言ってきたんだ「大丈夫。泣かないで。私が付いているから。私は絶対に、あなたのそばを離れないし。あなたが寂しくないようにしてあげるから。安心して」と言ってくれたんだよ。私はその言葉を聞けたおかげで泣くのを止めることができたし、それからは、ずっと、ずぅっと私は彼に甘え続けていたんだ。そのせいもあってだな、私は彼が大好きになって、そして結婚の誓いをしたんだ」って思い出話をしたら彼が、こう口にしてきた

「それは良い話ですね、僕もその二人の事が羨ましいですよ。そんな風に想ってもらえるだなんて、その二人はとても幸せな人生を歩んでいるんだなって、そう思ってしまいましたよ。だから、僕は、レイナの事を諦めません。レイナは僕のことを見捨てなかった。それだけじゃなく、自分の命を犠牲にしようとした僕の命までも救うだなんて。こんな素敵な女性はいないと、僕は思ったんですよ。こんな素敵な女性は今まで見たことがない。だから僕は貴方の事が好きだ!絶対に貴方を守って見せる!」

その言葉を聞いて私は、その言葉を胸に秘めたまま行動することにした。

「私にはこんなにも大切な人達がいる。その大切な人を守るためにも!負けるわけにはいかない!私は、私を愛してくれる人を。大切な友達を!失いたくないからな!」

その言葉を口にするとだな。私は剣を構え直し敵のほうに目を向けたのであったのだ そしてだな 私は、敵の攻撃を全て避け切ることに成功してだな、攻撃をしようと試みるも、私の攻撃が相手に当たらず。ただ避けられただけであった そうしていた際にも、アガリアの仲間が私に対して

「大丈夫ですか?俺達が来たからには。貴女は傷つけさせはしない!俺達を頼れ」と口にしてきてだな 私はその声を聞くと、「任せる」とだけ言い放つとその者達に全てを託すことにしたのだ その会話をしている間に、ルーシスはというと、自分のステータスカードを提示せずに、この場に現れてからこう言ってきやがった

「僕はラギアの事を絶対に守る」と、だから俺はこう思ったのだよ

「あぁ、そうですか。その言葉忘れんじゃないぞ」と、まぁそうやってだな お互いに背中を合わせて俺は自分の身は自分で守りつつ、奴らを相手し、ルーシスが危なくなったりだとかな?そういう場合は助けに入る。そして俺は

「俺はな、お前に惚れてるんだぜ?だからこそだ。俺は自分の気持ちを裏切ったくはないからな」って言ったら

「僕も同じだ。レイナを幸せにしてみせる!だからさ。君には、君にだけは死んでほしくは無いんだよ」と口にしてきやがって だからよ。お互い様だよ 互いに同じことを思って生きているのであれば。

それなら、どちらか片方だけ生き残るとか。

その考え方自体が間違いだろうが! それによ。

「ルーシス、一つ頼みがある」

「なんだい?」

「今の言葉は撤回してくれ、そして改めて俺の口から言わせてくれ、お前は、お前こそが、俺にとって必要な存在だ!俺の側に居て欲しい」って、そっから先は言う必要ねぇよ。だから、さ、今すぐ終わらせて。二人だけで、ゆっくりと暮らせる世界に、お前を連れて行きたいと思う。そのあとは、どうなるのか、わからないけど。お前と俺は。二人でいつまでも、どこまで行っても一緒だ!だから、今を生きる為に、お前の力が欲しい!だからよ。俺と共に戦ってくれないか? そのように頼んだ。そうしているうちに

「あ~もう。仕方がないよね。うん。わかっているさ、今のままでも十分強いんだからさ。それでも、レイナが死ぬかもしれないと思ったらさ。君を救い出さなければならないと思えたんだよ。そして、レイナが無事で良かった。でも、僕は、君のことも大切に思っていて。君を失うようなことはしたくはないんだよ」と言い 私に向かってこう伝えて来た

「君は本当に不思議な人だね。だってさ、君はとても優しい人なんだもんね。僕がどれだけ冷たくあしらってもめげないしさ、それでいて、君は僕を助けてくれた。僕にとっては、一番、大切で愛おしい人で、その人のために何かできる事があるならば。その人のために命をかけようと思えるんだから」と言うのであるんだが、それを聞いた瞬間に、私の心臓は跳ね上がったんだ。その言葉を聞いた途端に。私の心は高鳴っていき そして私は思わず叫んでしまったんだ

「私のことを大切にしてくれる人がいるだなんて、嬉しくて、そして恥ずかしいな。だが嬉しいものだ」って言ってから、私は敵を倒すために行動を開始して 私の力を最大限に利用して、私は、この力を使えば。相手の動きを見極める事ができる。そして相手よりも早く動くことも可能になっていく。そしてその力を存分に活用していくと、そのおかげで

「私は、敵を全滅させた。そう思っていたのだがな」そう呟いている最中に。私は何者かによって刺された。私はその攻撃を受けてしまい、そのまま倒れてしまおうとしていた。だがしかし、私はその力を発動させて、どうにか致命傷を免れたのである。そしてどうにか立ち上がれ

「誰だ?」

私がそのように問いかけてみると

「俺はお前を殺しに来た」と言って来たのだ。だがその男の声を聞いて 私はその人物の正体を知ることになるのだった

「君はまさか!?アガーテ?」

私はアガロとしか思えない男が私を殺すと言っていたのだ。しかし私を襲ってきた男は、アガリであると断言することは出来ず。しかし確実にアガレであるという確信を持つことができていた。

その男の容姿というのが、私が知っているアガロの姿とはあまりにもかけ離れていたのだ まず髪の色なんだけどね。

私はアガリアとは何度か一緒に行動を共にする事があったのだけれど、その時のアガリアの色は、黒色であり。そして瞳の色は緑色なのだが、そのアガリアというのは

「僕の髪の毛の色は黒なんだよ。でもこの色に染まってしまったからさ。今では黒い部分の方が目立つようになってしまっているんだ」

そう口にしていたんだよ。でもその目の前にいる人物が発する雰囲気といい。口調はアガリアのものであり、その人が言っていることが嘘だとは到底思うことができなかったんだ

「どうして、そんな姿をしているんだ?君は確かに私の記憶の中の姿からすれば年を取ってしまっていたけれども、そこまで変化してはいなかったじゃないか!」と聞くと

「この姿を見せるつもりはなかった。俺もな、ルーシスと一緒に旅に出ていた頃に戻りたかった。でもな。無理だったんだ」と言ってきてだな。私に対して攻撃を仕掛けてきたんだ。

その攻撃を受け止めた後で私は、

「何故こんなことをするんだ?君と私の間にはなんの関係もないはずなのに。なぜこのような事をする?私達のことを憎んでいるということか?」

私は質問をぶつけてみることにすると、彼は答えを返してきた。それは私にとって衝撃的であった。

「そうだなぁ。ルーシスは、あいつにそっくりだ。あいつはルーシスが殺したようなものだろ?ルーシスは知らないと思うんだがな。あいつがあの時、どんな気持ちでいたかを。あいつがどんな思いを抱き続けていたのかも。だからあいつは、あいつが、あいつだけが幸せな人生を歩んで良いわけがねえだろ?俺達だって、ルーシスには、感謝をしているんだぜ?俺達はな。ルーシスが居なかったら、今の俺たちなんて存在しなかっただろうからよ。そんな大事なルーシスが、俺は嫌いなやつのせいで殺されるところなんて見たくはねぇよ」と口にしたのである。私は彼のことを、ただ見つめることしかできなかった

「私は。ルーシスのおかげで今こうして生き続けている。だからこそ、私だって君達のことを恨んだことはない。君達に危害を加えた覚えなんてないのに。どうしてなんだ?」

そう言うとだな。彼も私に攻撃を加えてきながら

「それはな。お前のせいだ。だからお前だけは絶対に許せねぇ」と そう口にして、

「俺にはどうしても守らなければならない奴がいる。だからそいつの為にもお前だけはここで殺しておく必要がある」と言い放ったのだよ。そしてその言葉を耳にした後でだな 私の攻撃により彼が持っていた剣を弾くことに成功して、それから私の持っている剣を向けてくると同時に こう言ったのだ

「これで終わりだ」ってな。私は剣を受け止めようとしたが受け止められずにそのまま腹部から胸元にかけて斬られてしまったのだ!血を流しすぎたことで意識を失ってしまいそうになったのだが。私は何とか耐えることに成功したが私の体は限界を迎えており、そのまま地面に倒れることになってしまったのだ!するとそこでルーシス達が私の元に駆けつけてくれていて、「ごめんなさい!レイナさんは大丈夫ですか?怪我をしていたりするのでしょうか?」と言ってきてくれたのだ ルーシス達が来たところで私は安心しきってしまい、そこで私の意識は途絶えたのだ

「あぁ。大丈夫さ。少し疲れているだけだからさ」

そう言ってから私は目を覚ますと

「あ。起きた」と、そう声をかけられた。

そして周りを見

「あ。ここは一体」と言うと、アガリアの仲間が説明してくれた

「あぁ、ここは俺達のギルドだよ。あ、でも心配はしないでも大丈夫だよ?レイナさんの事はルーシスが回復魔法を施してくれてるから。でもルーシスは凄いんだぜ?レイナさんが死にかけた時にさ、自分の身を犠牲にしてもレイナさんを助けると、その覚悟をしてからさ。その力を使ったらしいんだ」と説明してきてくれた。

それを聞いちゃったもんなら。私としてはもう、何も言い返すことができないよ。だから「ありがとうございます」とお礼を言うとだね。ルーシスとラギアの二人が私に向かって頭を下げて来たのだよ!

「本当に申し訳ありません。私が油断をしたばかりに、あなたを傷つけさせてしまいました。私なんかのために貴方が死んでしまうようなことがあったら」

そう言いだしたのを見て、私が止めようとした

「待ってくれ!君は何も悪くはないだろうが!私だって同じさ。自分が未熟者であることを忘れていた。そして相手の強さに怯みを覚えてしまっていたからこそ君が危ない目に遭ってしまったのだと思う」って言おうとしたんだけどさ。先にルーシスに言われちまった

「いえ!僕は貴女を守る立場でありながらも、守ることができず、結果として貴女の身体に大きな傷をつけてしまうことになってしまって。僕は、僕自身が嫌になってしまいますよ。僕さえしっかりしていたならば、きっと、僕が、もっと強ければ」そう言うのを目にしながら。私の身体に手を回されて抱き寄せられたのである

「僕はね。やっぱりさ、君のことが大好きで、君のことを失いたくないんだよね。それに、僕はさ。もう後悔をしてはいけないと思ったんだ。だからこれからは、君を全力で愛したいと思う」

そう言われたらさ、もう私は言葉にすることができなくなって。その想いが胸に溢れ出してきて。私は思わず泣いちゃってだね。そして私からも彼に抱きついて行ったんだ そしてその日の夜はだね 彼とずっと一緒の時間を過ごすことができた。私は幸せだったんだ。本当に私は。この人の事が愛おしいと、そして心の底から思ったのである。その翌日になってから、私たちは ギルドの人達に報告を行ったんだ

「俺はお前ら二人を認めた」と、そう言われて

「俺はお前らに力を授けることにした。お前らはその力を存分に活かすが良い」

「私は貴方たちを認めましょう。これからよろしくお願いします」

「お兄ちゃんお姉ちゃんおめでとう」と、みんなに祝福をしてもらったのだった 私はルーシスと結ばれたのである。そして私の体の中に、新たな命が宿ることになるのである 私は妊娠している 私が妊娠していることに気がついたのは、私の体に宿っている小さな生命を感じたからだ。そして私は、私の胎内にいる我が子に、話しかけるようになっていた

『パパ』

私はそんな風に呼んでみると 私の体内で成長を続けていってる我が子からは

「はい。母上様」

と返事が来るようになっていて、 私は思わず笑みを浮かべてしまっている そんな日々を過ごしているうちに

「僕にも何か手伝える事があれば、遠慮なく言ってください」そう言ってきたルーシスに対して、私は微笑ましい気分になっていくのである そしてルーシスはというと 私とルーシスとの子であるアガリアと共に行動を共にすることになっていてだな アガロと一緒にダンジョンの攻略を進めていったのである

「僕たちは一緒に頑張るんだよ。アガリア」と、アガロに対して、ルーシスはそのように語りかけていたのであるが、 アガロ自身は、 ルーシスに対して恋心を抱いてしまっている。アガリアはそれを、どうしようかと考え始めていた そしてその日を迎えることになる アガロとルーシスの子アガロが誕生したのである。私はその子の顔を見ながら、涙を流していた。その光景を目の当たりにして ルーシスは

「ほ、本当ですか?僕たちの子どもが生まれてくれたのですね?」と言ったのだが、その瞳からは涙が流れ出ていた。ルーシスにとっては、このアガリアが生まれるまでは、 自分一人だけでアガルマの分まで、アガリのことを想っていたのだ だから、アガリの代わりとなる子を誕生させたのであった そんなアガリアの事を、 ルーシスは、

「よくがんばったよ。君は立派になった。僕の子供として生まれてきてくれるんだからね」と褒め称えていた。

それから数日経った頃になり 私は出産を終えるとすぐに 私は、ルーシスに、この子と私の為に働いてくれていることに対する労いと、ルーシスへの感謝の言葉を述べてから

「ありがとう。こんなに幸せな生活ができているのは。全て貴方のおかげなのですよ」と、そう伝えていた。ルーシスの事を ルーシスが私に

「レイナさんに喜んでもらえたようで嬉しいです」

そう言うとだな 私は

「私は今まで、自分の人生が幸せなものであるとは、到底思うことができませんでした。私の過去が、あまりにも酷かったこともありますし。でも今は違います。ルーシスに出会えたことで私は本当の意味で人生を楽しめるようになったんですよ。そして私は、ルーシスが側に居てくれた方が幸せになれるのです。ルーシスは私の事を。好きでいてくれていますか?」

その問いかけに対し、ルーシスが「好きじゃなければ。僕は、こうして君と一緒の生活をしていないよ」

「それでは。もしも。ルーシスが。他に好きな人ができたとしても、私のことは捨てないで下さいね?私は絶対に。ルーシスと離れるつもりはないので、ルーシスの方から離れないようにして下さいよ?」

私はルーシスとの生活を守りたいと思ってしまったためにそんなことを言ったのだが、「レイナさん以上に素敵な女性は居ないよ?」なんてことを口にしてくれていたのさ 私がそんな話をするとだな ルーシスから「そうだねぇ。僕はレイナのことを一番好きだからね」と言われたからこそ嬉しかったのだけれどもな ただそんな私を見てルーシスが私のことを見つめてきているんだよね。それがどういう意味合いなのか私にはわからないんだけどさ!もしかしたらだけど!私って鈍

「あのさ?僕はね?レイナは可愛いなぁって思いながら見ているだけなんだけどね?もしかすれば。僕以外の男が君のことを見て惚れたりしたら許さないよ。って言う意味もあるからね。その辺りの事は理解してくれるかな?もし理解してくれたなら、レイナさんが僕の事を、嫌いになったりとか。他の男性が好きになっちゃうのかもしれないけど。その可能性は低いと思っているんだ。だってレイナは可愛くて魅力的な女性なんだからね」

そう言ったルーシスが私を見据えると 私は思わず照れくさくなって 顔を背けてしまったんだ。

でも 私はそんなルーシスに「私なんかを好きになってくれるのは。あなたぐらいなものなので大丈夫だと思います」って答えたんだ。そ、

「あはは。君がそう言ってくれたことが本当に嬉しい」そう言ったルーシスから、私はルーシスから優しく抱きしめられていた。私はルーシスに、そのまま身を委ねていくことにした そしてルーシスがアガロにこう告げたのである

「レイナさんのことを任せている。そして僕は君にとってのパパだよ」

アガリアは

「はい。わかっております。ルーシスは僕の父であり母でもありますから」と口にしたのだよ それからの毎日は、穏やかな時間が続いていた。そして私は、ルーシスとの時間が楽しくなっていったんだ。そしてある日のことだったんだが。

私達が住んでいる街は、魔獣達の襲撃にあうとそんな事態に陥ったんだ。

「アガリ!行くぞ!」とルーシスが叫ぶと同時に私は動き出す。私は魔法を使い。迫りくる敵を薙ぎ払う

「レイナ。大丈夫か」とルーシスに言われ

「はい!あなたのおかげで怪我は負いませんので安心していてください」と返事をする。

ルーシスはと言うと、次々と襲い掛かってくる敵に対処をしながらアガリアを守るようにして戦っていた。その姿を目にしながら

「やはりルーシスは強いな。私も負けてられないな」私はそんなことを呟いたあとで、私に攻撃を仕掛けてくる魔物たちを一蹴する為に魔力を高める

「これで終わりだ!炎爆連弾!燃え尽きろ!!」私が攻撃を行った

「アガリアも僕と同じように強くなっているし、レイナの方も僕が教えた技を使って、的確に相手の弱点をついているし。やっぱり二人は僕とアガロにそっくりだ」

「そうですね。父上。僕たち親子の力は最強だと思わせてくれる相手ばかりですし。これからもこの力を存分に活かしましょう」と そう言う会話を二人がしていたのは、戦いが終わった後になってからである。ルーシスはというと 私達に、これからどうするつもりなのかと問いかけてきたんだ

「とりあえずはこの襲撃を何とかしないと、またいつこのようなことがあるかわかったものではないですしね」私はルーシスに対してそう伝えたんだ ルーシスはというと

「そうかもね。まずは僕とレイナさんの二人で、この周辺の敵を排除しておくよ。アガロはラギアさんに連絡を入れてくれないかい?」と言ってきたので 私は「わかったわ。アガロ、頼めるかしら」と言ったんだ

「うん。お兄ちゃんとお姉ちゃん頑張って来てね」

そう言うと ルーシスが「よし。行こうか」と、言ってきてくれたので私は

「そうね。アガロのことはお願いね」

と言い ルーシスと手を繋ぐと 私たちは敵の排除に向かう 私たちは手早く敵を処理していくと アガロの元に戻る。

私は「終わったので戻りましたよ」と声をかける

「お姉ちゃん。ありがとう」

私はアガリアを抱き

「どう致しまして。お姉ちゃんはこれからも、あなたのお姉ちゃんだから。お姉ちゃんに頼ってくれていいんだよ」と言ったのである アガリアと別れてからしばらくしてからのことである。私はルーシスと共に街に戻った。

街の中に入ると アガーテの配下である人達に迎え入れられて私は、家に戻るとすぐにベッドで横になっていた。ルーシスはすぐに部屋から出ていく

「アガリとレイナとアガリアのことは、僕に任せてください。そしてレイナさんはゆっくり休んでいて下さいね」

「えぇ。そうさせてもらうとするわ」

そう言いながらも、ルーシスと入れ違いになるような形で部屋に戻ってきたラギ そんな彼女は私の元にや

「私も手伝いに行くよ?」

そう言うもんだもんで

「私達の家はここだし、あなたと私が抜けた分の負担も考えなきゃいけないんだし、あなたにも休息が必要だと思うのよ」と伝えていた。そしたらさ「そうだよね。無理をしすぎたせいで倒れたらダメだよね?」とか言うわけよ。

私はラギーの言葉に同意するように首を縦に振るも。私が倒れた時に迷惑をかけてしまうことになる。それを避けるためにもしっかりと体を治しておく必要があると思い直してから、眠りにつくことにした。そしてその日から私は1日寝込んでしまう事になるのであった。その間ずっとルーシスが付き添ってくれていたみたいでだね

「ありがとうございます。もう大丈夫ですよ」とルーシスに告げる するとルーシスが、私の顔を見つめると、「ごめんなさい。少しだけ良いですか?」と言われてしまい 私の頭をルーシスの手が撫で始めてきてね。

その瞬間 ドキリッとした感覚が私の身体を襲ったのよ

「ルーシス。ど、どうしたんです?」私がそう尋ねると ルーシスは

「レイナが可愛すぎてだね。僕は我慢できなくなりそうなんだ。今だけはレイナと触れ合っても良いですか?」なんて事を言ってきたんだ 私とルーシスはお互いを見やるのであるが 私がルーシスの事を抱きしめ

「今は誰も居ないのですよ。私は貴方の妻なのですから。遠慮せずに甘えて下さいね」と伝えていた。

ルーシスはと言うと

「あ、ありがとう。レイナ。僕が君を愛することは許されている。それが本当に嬉しいよ」

「え?私と愛し合うのが、あなたにとって一番の喜びなんですか?あなたに恋をして、妻になれたことは、私にとっても幸せな事なのですが」そう言うと

「そ、それは本当?だったなら。僕が君と一緒に居られることが一番幸せなんだ。だって僕はレイナを愛しているからね」と口にするルーシスがとても素敵に見えてね。私達は何度もキスを繰り返す。

それから数日後のこと。私達の家に一人の訪問者が訪れた。ルーシスが玄関まで向かい その人と話しをしていたのだが、ルーシスがその人物

「アガリを頼むと言われたんですよ」その一言に私は驚く事になった。そしてその人物はこう言葉を続けた

「アガリをよろしくお願いしますね」その言葉を告げた直後。私の前から消えた。ルーシス曰く「あの人は僕の母でありアガリの母でもあるんですよ」とのこと そしてルーシスは私のことを見つめると口を開く

「レイナさんに会えたことが嬉しいのは事実なんだけど。今日からは、あなたと二人っきりの生活が始まりますから。僕としては楽しみなんですよ」なんて事を言ってくれたのよ。

そして私とルーシスは手を繋ぎながら、アガロが待っている街に向かう

「ルーシスとアガリはどんな風に育っていくのかしらね」

私はそんなことを考えていたが、私自身もルーシス達のことを守れるようにならないといけないのだ そう思うのであった。それからルーシスから「レイナさん。街に着いたら。まずは僕とレイナさんの二人の結婚式を執り行うつもりだけど、その辺りの事に関してレイナは何か考えているかな?」

その質問をされて 私は「あなたと結婚したいとは思っていたのですけど。あなたに告白をする。その段階で私は諦めていました。だからこそ私にはあなたとの式を挙げること自体が夢のようなことでしたけどね」そう口にしたんだ。そして続けて私はこう告げた

「それに私はアガロの母親でもありますし、これからアガロも成長していきましょうしね」と言って 私は自分の胸元に手を当てる そしてルーシスはというとその答えを聞いて嬉しかったのか笑顔を見せていたのである アガリアと合流した俺とアガリアはと言うと 街に到着したあとで宿を探し それから食事を行う事にしていた。

そこでルーシスはと言うと「レイナと二人で食事をしたいから。僕の事は気にしないで、君たちは君たちのペースで食べていって構わないから」と俺達に伝えたのである。

それから俺はアガリアの分の料金を支払う。ルーシスが払おうとしたのを止めたからだ それから食事を済ませた後 アガロは、アガリアに預けることにして ルーシスとラギアと三人で話し合いを行っていた ラギアの店に到着すると ルーシスは「さぁ。入っていいんだよ」と言い、店の扉を開ける。

「お帰り」と言うラギアにルーシスは微笑みを浮かべてラギアに向けて

「ただいま。パパ」と言い ルーシスは俺に対して「ラギアのパパとして接して欲しいな。僕を本当のパパだと思って欲しいな」

そう

「ルーシスの事を本当の父親のように思っているんだぜ?」

するとルーシスは笑顔を見せながら 嬉しそうにしている姿を目の当たりにしてしまった訳だが、ラギアもまた同じようにして、ルーシスに向かって「お疲れ様。無事にアガロを守って帰ってきてくれてありがとうね」と伝えるとルーシスは笑顔を見せた後に、ラガロの元へと移動してから抱き着いていた。

その後から俺たちも店に入ると、ラギーはアガリアと遊んでいたり、ルーシスはというとアガリアの世話をしたりしている姿が見えたりした。そしてラギアがこちらにやってきたのである

「ラギア。お前は本当に優しい奴なんだな」「そんなことはねえと思うんだがよ」ラギは頭を

「僕ね。アガロの事も大好きだし。僕とレイナの娘でもある。だから僕にとっては家族みたいなものさ」なんて言ってくれるものだから。嬉しくなってしまって「ありがとう。ラギアさん」と伝えておいた。

その後はアガリのことやルーシスについて話を聞かせてもらうことになったんだ

「ルーシスとラギアは、親子関係だと言ってもいいほどに似ているわよね」

そう私が言うと

「確かに似ているかも知れねぇな」とラギアは言い ラギのほうを見る。すると二人は

「そうだね。血が繋がっていないとしても、僕はこの人が好きだな。一緒に暮らしてきた中で、この人の人柄に魅かれてるし。この人も僕と同じ気持ちを持ってくれている。それならば僕達が惹かれあっていても、おかしな話ではないし、何よりもアガロのことも大事にしてくれる。アガロの父親になってくれた。だから僕とアガロの関係は、間違いなく、この人との間に生まれた。だからアガロとの関係性も確かなものだと、自信をもって言えるんだよ」そう言ってくれた ルーシスがそこまで私達のことを思っていてくれたのは嬉しいことだ。アガリのことも本当に可愛いがってくれて、私達に子供がいるからこそ出来るような遊びや、体験を教えてくれたのである。ルーシスは私に、ルーシス自身が体験したであろう

「これは美味しいね。君にもあげるね」とか「こっちは面白いね。これ楽しいんだよ」とか色々としてくれたのだ ルーシスと出会ってからの毎日は楽しく ルーシスのおかげで私は幸せだと思ったのである ルーシスが私達のところにやって来て3ヶ月くらいだろうか?そんな頃にラギが私に相談があるといってきたのであった

「アガリのことなんだがよ。俺に剣の師匠をしてくれねえか?」ラギがそう私に頼み込んでくるのである ルーシスの事をラギに伝えようと思っていると、ルーシスがやってきて「どうやら困っているようだね」と口にしたのである。するとアガリアが「ママはね。僕が危ないことをしないようにと心配してるんだよね」と言ってくれたのだ そして私達夫婦はラギアの店で話しをしていたのだけど、その最中でラギーとラギアに呼ばれ、私は店の中に入るのであった

「僕からも相談があってね。僕とレイナさんと、アガロの三人で、旅に出ることにしようと考えているんだ」ルーシスが私とアガリアに声をかけるのであった。その一言で私は驚いてしまった。そしてその言葉を口にした直後に「ルーシス。それってどういう事なのかしら?」と尋ねてみたのだけど、ルーシスとラギアから、その話になった事情を聞くのであった。

私達夫婦とルーシスで、三人組の冒険者として 旅に出かける ルーシ

「冒険者になるにあたって必要なこと。それは身分証明がきちんと出来ればそれで十分です。しかしだね。レイナが居ない状況だと、アガリアに危険な真似をさせることは出来ないだろう?」そう

「それに僕はレイナと一緒に、色々な世界を周りたいからね。そして君たちには僕たちの代わりに子供達のことを見てて欲しいんだよ」と告げられたので 私達は、その申し出を受けることにした。

ルーシスに言われて私はすぐにでも、街に戻りたいと考えたのだが

「ルーシスには考えがあります」そう言ってルーシスは、ルーシスとアガリの分

「レイナさんが戻ってくるまでに、ルーシスとアガリは街を出ておきましょう」と言い出し ラギアは私とラギアとルーシスを連れて、街の外に連れて行くとルーシスに魔法を使わせて 空間を転移してもらったのである

「ここってどこなんですか?」そう尋ねたのは、私の横にいるルーシスに向けてだったのだが

「ここはですね。私が管理している。ある場所ですよ」ルーシスが私に向かってそう答えた それからルーシスが私に向かって「これからしばらくの間 ここに住むことになるのですからね」と言い、それから私は自分の部屋に連れて行ってもらえたんだけど。私はそこで驚いたのだった。なんとその部屋の一室に、私専用の部屋を用意されたのだった

「え?どうして?」ルーシスは、こう口にした その疑問に対して私は 私は「あなたの妻なのだから当たり前じゃない。それとアガリアのことを任せてしまう事になっているからね」と言うと「そういう意味ではないので安心して欲しいんだけど」とルーシスが口にする ルーシスは私の手を握ると 自分の唇と私のそれを重ね合わせてくる ルーシスが舌を入れてきて、ルーシ

「愛してる。君を愛してる」なんて言ってくれる 私はと言うと、恥ずかしくなり 私はルーシスのことを押しのけるのであった。そんな私たちの様子をアガリアは見ていた そしてルーシスはと言うと

「ごめんなさい。アガリアのことを、任せっきりにする形になってしまう」と謝罪をしたのだけど それに対して、アガリアは「大丈夫。ルーシスの代わりは出来ないけど、パパのお世話なら出来るもん。パパのことが大好きだから。それに僕はパパの娘だし。僕にはパパの手伝いが出来るの。僕には何もないから。だからこそ、僕にはパパに喜んでもらえることなら、どんな事でも頑張れるんだ。僕には何もできないって、分かってても、パパの役に立ちたい。パパの力になりたいんだ。ルーシスがパパと仲良くなって、ルーシスがいなくなってから。僕だって寂しかったんだよ。でもね。パパと一緒の時間が増えることが嬉しいんだ」と言って、アガリアは自分の気持ちを打ち明けた。それから ルーシスは、しばらく街を留守にする為に「何かあればルーシスに連絡を入れてほしいな」そう言い残して去って行くのである それから私達は、ラギアからアガリアを引き取ることになったのである。アガリアが言う

「ルーシスが帰ってくるまでの間だけなんだからね。帰ってきたときに、アガリアは、パパから貰った大切なプレゼントだから」そんなことを言い出すのだから「ありがとう。大切だよ。君をルーシスと引き合わせてくれた」そんな風に言ってくれたルーシスの期待に応えようと それからしばらくしてから、ルーシス達がこの街に戻ってきたとき 私はルーシスに抱き着くのである ルーシスが戻ってきてくれて嬉しくって 私は涙を浮かべながらルーシスと口付けを交わすのであった

「パパ」と嬉しそうにしているアガリアにルーシスは、「いい子に待っていてくれたかな?」と問いかける アガリアは「うん。ルーシスがいつ帰ってきてもいいようにね。ちゃんと、いい子にして待っていたよ」そう伝え アガリアの事をルーシスは、優しく抱きしめていたのである アガリアとルーシスの関係は良好そのもので 私もラギアに抱きつくと「おかえり。あんたが無事に戻ってきてくれて良かったよ」そう言われた アガロの面倒を私が見るということになり ルーシスはラギアの店で働き始めることになった

「ルーシスが働きに出るなんてね」そう言うとルーシスは「レイナ。貴方の傍にいたいんです。ずっと離れずに、レイナの隣に居続けますよ」

ルーシスにそう言ってもらったからだろうか 私はとても幸せな気持ちになり そして、私はルーシスに対して「ありがとう」とお礼を伝えると、彼は笑顔を見せて、それからラギアとアガリと共に街へと向かって行ったのであった アガロはラギアとルーシスのことを 本当の父親のように思っているみたい ラギアが私のために用意してくれた ルーシスと一緒に過ごすための家は、二人で使うには十分な広さで ラギアは本当に良い人だと思うし ルーシスとはルーシスに言われるがままに行動していると アガロは本当に楽しそうに過ごしてくれるのである ルーシスと私だけの二人きりの生活は 私とアガリアとの3人で暮らしていた時よりも楽しい生活になる

「ラギアさんとアガロには感謝しないとな」私がそう口にするとルーシスが私

「レイナは私と二人の時間よりも、あの人たちの方が大事?私はレイナに会えたことが、一番嬉しいことなのに」と少しだけ不機嫌な表情をしてそう告げる その言葉を聞いて「ルーシスが、この世界に来たばかりの私だったら 私だってそう言うかも知れないけどね。今は違うわよ。家族がいるって素敵で嬉しいことで、そして私とルーシスの関係を認めてもらって、こんなに幸せだと感じる毎日を送らせてもらえている。だから、この関係を、ラギアとアガロが与えてくれたものだもの。ルーシスが大切にしたい人達だから。私も同じように、この世界を救ってくれている恩人にお返しをしないと駄目だわ」と答える 私の言葉にルーシスは納得

「そうだね。私にとってレイナが特別なのは変わりがないのだけど、確かに、あの二人がいたから、私はこうして君と会うことが出来たわけだし、今が在るんだもん。それを否定するのは間違ってる。私達にとっては特別な日なんだよね。私達の世界に来てしまったことも含めてさ」とルーシスは言ってくれる

「そうよ」そう答えた後に「でもね。今日だけは許してくれるかしら?」と口にして私は ルーシスのことを抱きしめるのであった ルーシスと一緒に寝ることにも、慣れて来たある日のことだ ルーシスがいない間、私達はどうしていたか?と言えば 私達は、アガロを中心に、ルーシスのことを話し合っていたり

「パパとルーシスが一緒にいるときは凄く嬉しそうなんだよ。だから、ママとラギアさんの仲が良いところを見たらきっとパパは喜ぶと思う」とラギアと私を見てはアガロは口にしたりしていたのだ。そんな日々を過ごす中で、ルーシスが戻ってくる日が訪れると 私はルーシスの出迎えに行く前に、ルーシスの荷物を整理するためにラギーの家に訪れるとラギーに「もう帰って来たのか?ルーシスの事だから、もう少し時間が掛かると思ったんだけど」と言われたのだが「ルーシスと連絡は?」と私は尋ねると「あいつのスマホにメールが来て、そこに『レイナ。すぐに戻れませんが心配はいらないです。必ず、また会える』そう書かれていたからね。私としては、お前が帰ってくるまではと、ルーシスが帰るのを待っていてね。そうしたらいつの間にか数日が経過していたから、ルーシスはまだ時間がかかるだろうと思ってね」とラギーが教えてくれる ルーシスが街に帰っていないことに、私はとても驚きながらも 私は、私達が住む家に帰宅するのだが

「パパ!」とアガリアが私に近づいてきて「お帰りなさい」と伝えてくる そしてルーシスの私物を整理していくと その中の一つである手帳に目を

「レイナ」と書かれている文字を見ていると。私の中でルーシスに対する思いが溢れてくる 私は泣きながら「ルーシスに逢いたい」そんな思いを私は強くしてしまうのである それからしばらくした後に、ラギアが私の部屋に尋ねてきた 私の顔を見るとラギアはすぐに「ルーシスの事で何かあった?」と質問してきたのである

「ううん。なんでもない」私が首を横に振った後に

「アガリアの様子が気になって見に来てくれたの?」と私は口にする 私に対して「まぁね。アガリアは、ラギアの娘でもあるからな。アガリアは俺の娘として育てるつもりでは居るんだけど。どうしてもアガリアのことを考えるなら、アガリアには親が必要だろう」と口にしてから

「それと、あんたもラギアの娘の一人だからね。ラギアの娘であることを忘れるなよ。あんたは娘であるんだ。俺は、アガリやカゲノのような子供はいないからな。せめてアガリアだけでも、ちゃんとした保護者がいた方が良いだろうと、そう思ったんだ」と口にして、私の頭を撫でてくれた

「そうね。アガリアのことをよろしくお願いします」そう言ってから 私はアガリアの元へ向かうと「パパ!どこに行ってたの!?ルーシスのところに行ってくるんだよね」と言われてしまうのである

「そうだけど、先に、アガリアの事を済ませてしまおう。そしたら、私はルーシスを迎えに行きますから」と伝えると「うん。分かった」と言ってくれる それからルーシスの私物をアガリアと一緒に片付けると、私達はアガリアを家に連れて行き、ルーシスの家へと行く 私は、ルーシスの荷物の中身を確認しながら、「やっぱり、何も残っていないのね」と呟きながら確認していくと、一つの手紙を見つけた

「これって?」と疑問を抱きながら手に取った私は その手紙の宛先を確認する すると「アガリア」と書かれた名前が目に入るのである その事にア

「僕宛ての手紙?どうして、僕に、パパからの、僕に宛てた手紙なの」そう言われてしまい 私はその文章を読んでみることにしたのである

「僕と初めて会ったときに感じた。僕の大切な人は貴方なんだと思います。僕がこれから生きる為には、レイナ。貴方の側にいることが重要だと思いました。僕は貴方を守りたい。そう思っていました。だからこそ、レイナには何も告げずに去ったんです。僕はレイナに迷惑をかけたくない。そして、ラギアから、レイナの事を託されています。レイナが寂しくないようにしてあげてほしいと、そして僕はルーシスと名乗ります。貴方には、この名前で呼んでほしいのです。貴方は、ルーシスと名乗れば良い。ルーシスはアガリア。アガリアはルーシス」と書かれており

「どういう意味?」そう口にしたアガリアは「ルーシスはパパの名前じゃないの?ルーシス=アガロ?」そんな風に言うのである

「違うわよ。それは、私にくれた。ラギアとアガロと三人で決めた名前」

私はアガロを見ながらそう口にするのであった

「ラギアも、ルーシスなの?じゃあ、なんで、ルーシスはラギアをパパと呼ぶの」アガロのそんな問いかけに対して

「ラギアは、アガロが産まれて、ラギアとルーシス。私達と家族になったとき。二人に私達がつけたのよ。私はルーシスがアガロの兄貴で。ルーシスのことをラギアに頼もうと思っていたのに、何故かラギアがアガロのことは任せておけと言い出して、それからずっと、ルーシスは私の息子だったのよ」と答える 私とルーシスの事を話した後で アガロとルーシ

「私とルーシスの関係をどう思うかしら?」と私は 二人に問い掛けてみると

「いいんじゃないかしら?私は二人を信頼しているし。それにルーシスさん。いえ、ラギアさんには、レイナは勿論だけど、あの子たちのことも守ってほしいと思っているのよ。ラギアさんは強い人だし、優しい人だし、あの人がいるのであれば大丈夫だと思うのよね」

「レイナは良い男を捕まえてるな。アガリアもあんな旦那を見つけろよ。ルーシスみたいに強い奴な」そう言ってアガロの頭を強く掴む

「痛いな」アガロはそう言って文句を言うのだが そんなアガロの言葉を聞きながらもラギア

「ところで、あの子に聞いたら、俺達と暮らすつもりだと言っていたんだろう?俺としても、その提案に賛成なんだけどな。でもな。俺達と暮らしたら、この世界はどうなると思う?」

「えっと。ラギアさんってさ。アガリの父親なんだっだら、この世界ってさ、私達の住んでいた世界のことでしょ?私達の暮らしていた世界を救ってもらったわけで。それでいて、この世界も救われている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

「聖女様のお願いを断ることは出来ません」~勇者よ!魔王を倒し、この国を守り抜け!!~ あずま悠紀 @berute00

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ