黒魔女さんの恋は叶わない
アカサ・クジィーラ
第1話 黒魔女さんは恋をした
これは限りなく淡い記憶...
とある星の見える丘の上、そこに黒髪ロングの白いワンピースを着た少女が立っていた。顔はよく覚えてない。
『ねぇ、私たちが大人になったらさ...』
僕は彼女と約束した。でも、その内容を今まで忘れていた...
あいつと会うまでは...
■
現在、高校一年の春。
桜が咲き誇る日。
俺は志賀高校に入学した。
そんな大事な日に、俺はなんでこんな失態をしてしまっただろうか。
遅刻。
このままだと、一生言われる入学式に遅刻した奴だって、いじられる!
俺は走る、あのメロスよりも早く全速力で。
チャイムが鳴ると同時に学校の校門。
ああ、間に合わなかった...
こんな絶望の淵に立たされたとき、空から声が聞こえる。
『わぁ〜!誰か〜!止めて〜〜〜!!』
ドスンっ
俺は下敷きになった。
箒とともに俺の上に墜落した彼女。黒髪ロング、
黒い制服、黒い帽子。まるで、黒魔女さんのよう。
『いたたっ...あ!ごめんなさい!』
俺はそのまま、気を失ってしまった。
ああ、なんて最悪な1日だろうか。
■
目が覚めた頃、俺は保健室のベッドで寝転んでいた。おそらく保健室の先生が言う。
『あら、目が覚めたの?大丈夫?』
と、女々しく言う先生。
『あ、はい...』
『あら、そう...災難だったね〜、黒魔女さんが上から降りてきて、ぶつかって、気を失うなんて。その子から、謝罪来てるわ』
寝覚が悪い。
『あ、そうですか...』
『ま、元気なら、早く行ってきなさい!ちょうど、入学式終わって、自己紹介してる頃だから。』
俺は、今すぐ夢へ戻りたかった。理由?そりゃ...
保健室の先生がごりごりの筋肉男だから。口調も女々しいし。あまり、この時代にこんなことを言うのもなんだが、大分悪夢。
俺はそそくさと、保健室を後にした。
『お気をつけてね〜❤︎』
■
俺は逃げるように廊下を歩く。たしか、俺のクラスは3組だったはず。俺の高校は少し変わっていて、入学前からクラスが発表されてる。
だから、俺にはわかる。
このクラスに大親友、幼なじみ、そして俺の好きな人がいることを!!
本当はこの日に告白しようと思ったが、思わぬ災難によりそれは叶わなかった。せっかくいいシチュエーションを考えていたのに。
ガラガラっ...
教室のドアを開ける。
『おー!やってきたぜ!我らがプリンスが!』
そう叫ぶ親友の城之内
『コラコラっ、やめなさい!』
担任が制止しようとしても、何も変わらない。
『もう...ごめんね、桐生くん...』
そういや、まだ俺の名前を明かしてなかったな。
答えよう、俺の名前は...
『いえいえ...どうもー!入学式早々遅刻したプリンス、桐生清光でーす〜!』
なんだか、俺のネジは吹っ飛んだらしい。
俺のことを蔑むように見る幼なじみ、円堂真理恵。
同級生と一緒に笑う彼女、齊藤瑠李。
そして、見覚えのある一際目立つ黒い制服、青い瞳。
➖➖➖黒魔女さんは憶えている➖➖➖
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