ポーションのない異世界
るいす
第1話 異世界転生
気が付くと、ただただ暗いだけの場所にいた。
まだ夜かと二度寝に繰り出そうとしていると一人の発光した爺さんに起こされる
「こら。寝るでない。ここは次元の狭間じゃ。お主は死んだんじゃよ」
発光する爺さんなんているわけないと思い、なんだもう夢の中だったかと声に出そうとしたが声が出ないやっぱり夢に中のようだ
なんて考えていると真っ暗だった空間がねじ曲がり、古代ギリシャの神殿のようなものが現れた。爺さんの発光も収まり、ローブ姿になっている。
「これで夢ではないと実感できたか?」
どちらかというと夢の印象が強まったが明るくなったせいで自分が人型ではなく、球体で浮かんでいることがわかりとりあえず話を聞くかと思った。
「まあよい。お主を今から剣と魔法の異世界に転生させる。転生させる理由は、停滞している文化を進めるためじゃ。そのための歯車としてお主には働いてもらう。そのためにこれから3つのスキルを与えるため好きなスキルを選ぶがよい。」
爺さんはどうやら神様の類らしい。完全に思考を読まれている。だがそんなことは後回しだ。ザ・テンプレの異世界転生だ。とテンションが上がった。いったい何度このシチュエーションを妄想したことだろうか。私は今後の安全と楽して稼ぐことができるようにと「鑑定」「ポーション作成」「結界魔法」の3つを選んだ。
「その3つのスキルは問題ないが転移する異世界にはポーションは存在しないぞ」
それを聞いて愕然としてしまった。異世界での傷などは回復魔法かポーションを振りかけるかの2択ではないのか・・・と。
「どこからそんな情報を得たのやら。」と爺さ・・・神様は何かをつぶやき杖を自分に向けた。すると
「なるほど・・・、地球の現世にはライトノベルというもので異世界転生ものがはやっておるのか。最近転生の仕事が捗っとるのはこのせいか。」
「現在お主が行く異世界にはポーションはないが作ることは可能じゃ。異世界には魔力が存在し、それを用いれば現代にない薬も作成可能じゃ。」
ならスキルはそのままでいい。ポーション作成は「回復」、「魔力回復」「スタミナ回復」「状態異常回復」「造血」「消毒」の6種類を生成できるようにしてくれ。
「注文の多い奴じゃのう。ただし、ポーション作成も無制限にはできん。6種類それぞれに1日毎の生成個数に上限を設けさせてもらうぞ。」
楽して稼ぐことはできそうにないが、安全ではあるだろうと思い承諾した。
「そうか、なら転生の説明に移るぞ。最初に行った通り、転生後の使命は停滞している文化を進めること。お主のスキルであればポーションを作り販売することでも多少の刺激にはなるだろう。世界の8割は魔物の支配下にあり、人類の支配権は残りの2割。その2割も魔物との争いで奪われつつある。お主の最終目標は人類の生存圏を6割まで大きくすることじゃな。最後に質問がなければ、街から東に3時間の森の中、肉体は5歳まで若返えさせ転生させる。」
私は問題ないと思うと同時に意識を失い気づくと森の中にいた。
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