読書してる人ほど「本読んでない」っていう話②

<前回のあらすじ>

「本読んでない」っていう人の大体は、世界に認められた名作などの「定番どころ」を読んでるよね! でも私は、言葉の通り読書してない方で、「定番どころ」を履修できてないよ!

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(読書してる人ほど「本読んでない」っていう話①の続き)


 読書をしていない方、とはつまりどういうことか。


 自分に合った本じゃないと、上手く読み進められないのである。

 読むことはできる、情景も理解できる、単純に飽きるのだ。どれほど名作で、これから面白くなりそうだなと思っていても、なんか飽きるのだ。一気にぐわっと読み進められないし、ちょこちょこ隙間時間を狙って読んでいくには気力が必要すぎる。要は途中で疲れてしまうのだ。

 私は自他ともに認める体力皆無のもやし人間なので、体力が残っていないと気力も生み出せないのだ。日々の職務で大体いつも体力は限りなくゼロである。辛うじて創作できるくらいだ。

 不明な単語は調べるし、情景が思い浮かべづらかったら検索をしてイメージを掴むし、読み方の「方法がわからない」というわけではなくて、単純に「心構え」なのだろうと思う。

 教科書で定番の「こころ」でさえ、教科書掲載分しか読めてないのだ、私は。本は借りたりとかしたけど。途中で飽きてしまう。謎。


 それで少し思ったのだけど、そもそも私の「読み方」、ちょっと間違ってるのでは?


 大体、舞台や映画、音楽にしてもそうなのだけど、私は1つ作品を見た時に、製作者の存在を全く無視している気がする。

 例を出すと、「○○」というドラマのタイトルは覚えているが、その脚本が誰かは知らないし、「○○」と言うドラマに出てくるAという登場人物の名前は憶えているが、そのAを演じたキャストは知らない。

 芸能人の名前を言われてもぱっと顔が出てこないのはこのせいで、基本的に「キャラクター」と「演者」を切り離して考えているので、いまいち結び付かないのだ。誰かから指摘されたり、印象深い演技をされた演者さんは「演者」として記憶するのだが。

 小説などについても同様で、「○○」という小説を読んだことは覚えているが、その作家が誰なのかはいまいち把握していなかったりする。さすがに、文体の好みがあるのである程度読んでいる作家は作家として覚えるが、意識して読んでいないと覚えられない。

 ついでに言うと、そうした作品の「中身」についても、一定期間は覚えていられるが、時間が経つとするすると忘れてしまう。

 これは人間の記憶メカニズム的に「そう(※使わない記憶は忘れていく)」なので仕方ない部分もあるが、感想などをどこかに書き留めている場合を除いて、殆ど覚えていないのだ。「○○」と言う作品が好き、という感情だけ残って、その「○○」の何が好きなのかがよく思い出せないみたいな感じ。


 作品に対して不誠実では? と言われたらそれまでなのだけど、それでも私なりに楽しんで作品に触れてきたし、実際にはそういう楽しみ方をしていても問題はないと思う。人それぞれで、楽しみ方に正解はないと思うので。

 ただ、私が「読んだ」と思っている行為は、世間一般には「流し読み」に近く、実は「読めていない」のでは? と最近思うようになってきた。


 あのシーンのこのセリフが、みたいなの、めちゃくちゃ読み込んだ話じゃないと出てこないのだ。

 何度も繰り返し読んだ話も一応あって、そういう作品は印象深いシーンやセリフがある程度浮かんできたりするのだが。

 普段の読書でそういう読み方をしているかと言えば全くしていないし、大体一読したら読み返さない場合が殆どなので、結果、するすると記憶は失われていく。


 「読んでない」と言いつつ「読んでる」人は、定番どころをしっかり読んでいる、というのもあるが、この「読み方」が上手なのだろうな、と、勝手に推測している。

 1回の読書体験が、私のような「流し読み」と比べて重厚なので、その分記憶に残りやすいし、体に馴染んでいるのでは? と。

 実際誰かに聞いたわけでもないので、100%勝手な推測だが、そのように感じている。


 じゃあ、地力を上げたい私がすべきことは何か?

 「重厚な読書体験」を得られる「読み方」を習慣づけるしかない。


 そういうわけで、学生時代とりあえず読んでみるかと買ったものの、読めていなかった本を引っ張り出して読んでみようかな、と、思っている次第。

 ただ何分「流し読み」に慣れている身であるからして、いざ読もうと思っても中々読み進められないのが現状だ。

 読む習慣って難しい。しっかり読むって難しい。読書向いてない気がする(弱気)


 そんな、読書経験が低すぎる私からしてみれば、「読んでない」って言ってる人は大体素晴らしい読書体験をお持ちなので、あまり卑下せず自信を持って「これを読んできました」と主張していただきたいな、と、言う話。

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