ソラは僕に「約束してくれる?」といたずらっ子の顔をして言った。

 僕が「どんな約束?」と言うとソラはにやっと笑ってから顔を近づけて僕の耳元でこっそりと『約束』を言った。

 僕は『ソラの約束』を聞いて「うん。いいよ」と答えた。(するとソラはすごく嬉しそうな顔をして僕に抱きついてきた)

 僕は大人になった今も夏がくるとソラのことを思い出す。

 今もあのころのまま。

 十四歳の姿のままでいる君のことを。

 孤独で純粋で、とても可愛くて、好奇心旺盛な、ソラのことを思い出すんだ。

 そしてソラの真似をして空を見上げる。

(空を見ることはソラのくせだった)

 ソラの名前の由来になった青色の場所を見ながら僕は思う。

 あのときの君は本当はどんなことを考えていたんだろう? って、そんなことを思う。

 ソラの笑顔を思い出しながら。

 今でも必ず思い出すんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る