ワルキューレの眠る寝台
くもの すみれ
星屑と少女にて
薔薇の咲き乱れる場所
花園にひとつの命が落ちて
天蓋付きのベッドに眠ってる
人々は争い
人々は自分より劣るものを卑しさで傷つけ
人々は嗤い
人々は嘆き悲しんだ
ふわふわふかふかのベッドは純白で
可愛いうえに愛らしい
薔薇は綺麗にまたたいて真っ赤とピンクに染まってる
素足でベッドから草を踏み締めて
簡単な吐息を漏らして
少女は首を傾げた
自由を望んで
欲のまま生き抜いて
汚さも純真な真似事も出来るようになって
そうして命が尽き果てる
過去を悔い
生きたいと抗い
願いは叶わない
少女は薔薇の花を一輪
手折った指先からは鮮やかな赤の塊
ぴりぴりと痛む指先
治してくれる人は誰もいない
自由を望んで
欲のまま生き抜いて
孤独と虚しさを感じるようになって
争って
悲しんで
抗って
生きたいと望んで
願いは叶わず命が尽き果てる
かなしいね
むなしいね
ゆるせないね
言葉は刃となり
心は破壊を好ましく思い
全てが無に還る
その前に
ピンクの薔薇を少女は降り注ぎ
花びらがひらひらと舞っている
一つひとつの花びらをそっと拾い上げ
ピンクの薔薇を再び咲かせ
小さくともたしかに在り続ける幸せや歓びを
いつくしんで
愛して
少女は眠る
天蓋付きのベッドにねむる
争わず
卑しさを捨て
本当のきれいな花を咲かせるために
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