美しくあれ

あゝ、悲しみこそ美しくあれ

夜霧に霞む山辺を

懐かしむ月見草よ

みじめたらしく泣くがいい

さても今夜は朔の月

流れる夢も見えようか


あゝ、別れこそ美しくあれ

朝靄に霞む家並を

慈しむ宵待草よ

健啖に食らうがいい

さても今夜は小望月

欲深なのも隠せよう


あゝ、再会こそ美しくあれ

夕靄に沈む海岸を

惑わしめる椰子の実よ

漂泊の旅へ発つといい

さても夜光虫が騒ぎ立つ

指輪だけは見られまい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る