面影

夜ごとに歌う思い出よ

終わった明日が哀しいか


夜ごとに歌う思い出よ

尽きるこの日を嘆くのか


夜ごとに歌う思い出は

  車に残した煙草の如き

  お前の肉の芳しさ

過ぎゆく日ばかり美しく


夜ごとに歌う思い出は

  安香水の染みるが如く

  揃いの指輪に耳飾り

易く消えゆくものでなし


夜ごとに歌う思い出に

  こぼす雫の白白と

  知らぬ心と夜半の月

望月さえも簾の向こう


夜ごとに歌う思い出に

  畳の黄ばんだ安普請

  発つ鳥跡を濁さぬと

さらば愛しいケロイドよ


夜ごとに歌う思い出よ

終わった明日が哀しいか


夜ごとに歌う思い出よ

心済むまで泣くがいい

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