意気地なし

ただ後悔が続く

言葉足らずの意気地なし

井戸の鶴瓶に蓋をして

汲み上げるのは自己欺瞞

穴の空いた柄杓を掲げる

船幽霊のいたわしさ


ただ驕慢に語る

言葉足らずの意気地なし

とげぬ思いを純潔と

ひとの色事笑うのか

我が情念は柳のごとく

付喪神すらかぶりを振る


ただ怱卒であった

言葉足らずの意気地なし

お前の声を聞きもせず

なぜそこまで急いたのか

残雪高く桜は蕾

無情に過ぎる夜汽車に揺られ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る