空蝉

酒よ、そばにいて

など滑稽が過ぎる

辛いシェリーのグラスに浮かぶ

夜半の月の儚さよ


歌よ、導いて

など贅沢が過ぎる

ターンテーブルの針が訳すは

誰とも知らぬ恋心


膝よ、哀しいか

など聞くまでもなし

一人寝をする身の上に

冷えた布団の侘しさよ


朝よ、可笑しいか

うらぶれた身のモノスゴサ

椿の花の散り姿

己の首も並べようか

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