応援コメント

第十膳『とっておきのデザートをキミに』」への応援コメント

  • ♪一帆です。

    やっとこさ第十膳の回答を書きあげました。

    企画を立てていただいた関川様、参加したみなさま、本当にありがとうございました
    とても勉強になりました。あと、エピローグを書く予定ですが、もう少しかかりそうです。ここ数日でなんとかしたいと思っていますが、どうなることやら。


    *****

    第十膳は天蓬視点です。最後、主人公変えてみました(笑)


    桂皮シナモンのスーッとした独特の香り。
    奇麗に盛り付けられた皿。
    目の前に置かれたデザートを前に俺は戸惑っていた。

    ―― クリームや、花や、果物が奇麗に飾られているが、どうみても餃子の皮を使っているよな? ということは餃子料理?? いや、しかし、焦がした砂糖の甘い匂いと桂皮シナモンの香りがする。

    俺は、首をかしげるしかない。

    「これは?」
    「こっちの半月型のが甘蕉バナナ餃子。で、こっちの俵型のが林檎の揚げ餃子。そこに、桂皮シナモンと砂糖をふりかけてあるわ」


    *********

    続きは、「妖術士見習いは愛を学びたい」で。https://kakuyomu.jp/works/16816927862494687766


  • 編集済

    皆さま、こんにちは!
    ラストは何とか周回遅れを回避できましたー笑
    飯テロとても楽しかったです🐛
    このような機会を下さった関川さん&皆さまに御礼を! 本当にありがとうございます!

           🐛 🐛 🐛

    「この吉野葛が美味しいんだよね」

    僕は箸できららと光る葛切りを一本持ち上げた。
    樹液のように輝く黒蜜を纏い、絹のようになだらかに垂れている。
    原材料は奈良県産の本葛と鹿児島産の黒糖だけというシンプルなもの、材料のポテンシャルを最大限に引き出した究極の甘味といっていい……

    続きはこちら
    『飯テロ開始します! 〜傷ついた訳あり彼女に一膳の飯を〜』

  • 🐹黒須友香です。
    どう結ぼうかあれこれ考えて、遅くなりましたがようやく完結まで漕ぎ着けました。
    とても楽しく実り多い時間を過ごせたことを、関川さんはじめ皆様に感謝いたします。
    ありがとうございました♡

    ラストメニュー①・②・あとがきの三話投稿です。
    ハムと達月に、お別れの時が迫っています。
    ぜひ、最後まで見届けてくださいね🐹
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862423037971

  • 💎玖珂李奈

    とうとう最後。寂しいです〜。
    関川さん、参加されているみなさま、本当にありがとうございました!

    全文はこちら
    『午前0時の食卓』
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862450734712

    二話、お題にないエピソード『想いは巡り、重なり合う』が続いた後、最終お話となっています。

    主人公:烈(れつ)
    ごはんを食べる少女:紅子(べにこ)
    主人公の元カノ:美奈(みな)
    主人公の幼馴染:桔梗(ききょう)

    💎一部抜粋💎
     アーモンドクリームの入った小ぶりのタルト台を取り出す。元気な色に焼け、甘く香ばしい香りを漂わせて、これだけでも美味しそうだ。
     そこにカスタードクリームと生クリームを合わせた、ディプロマットクリームを絞り出す。バニラビーンズをまるごと使ったクリームは、幸せの香りを振りまきながら、アーモンドクリームの上にふんわりとろりと広がっていく。

  • やっと投稿できました!
    前後編とエピローグ、計3話です。やっぱり長くなっちゃった…

     🍻

    「どうぞ、召し上がれ」
    「ほあぁぁぁ〜……」

     デザートの皿を見たテンは、瞳をキラキラさせて声にならない歓声を上げた。皿の上には、油揚げのガレットと油揚げのひとくちミルフィーユが美しく盛られている。

    「あぶらげなのに、甘いにおいがするぅ。なんで? なんでぇ?」

     ふふふ。サプライズは大成功!

    「アイスが溶けちゃうから、ガレットから食べようか」

     四角く開いた油揚げの内側にバターを塗り、フライパンへ。輪切りにしたバナナを並べて四つ角を内側に折りこみ、油揚げをパリッと焼き上げる。中央にバニラアイスを載せ、砕いたナッツを散らしてキャラメルソースをたっぷりかければ出来上がり。もちろんキャラメルソースも手作りだ。

    「ん〜〜〜、あまくて冷たくって、カリッとふわっとで、美味し〜〜〜い!」

     ナイフとフォークを握ったまま、グーにした両手でほっぺたを押さえた瞬間。ふわふわのライトブラウンの髪から狐の耳がピョコンと飛び出した。
     最近では耳も尻尾も滅多に出さなくなっていたのに、珍しい。それだけ驚いたのだろう。

     瞬く間にガレットを平らげ、ミルフィーユを指差す。

    「これ、なあに?」
    「油揚げミルフィーユ。ひとくちサイズにしてあるから、いっぺんに…」

     説明しているそばから、大きな口でパクッ。

    「ん〜〜〜、こえもおいひぃ〜〜〜」

     今度はハーフパンツの裾から尻尾がボムッ! ピコピコ揺れるふわふわの尻尾が、言葉よりも雄弁に美味しさを物語っている。早起きして作った甲斐があるというものだ。
     一口大に切った油揚げをトースターでカリカリに焼いて粉砂糖をまぶし、カスタードクリームとスライスしたイチゴを挟んで層にしていく。仕上げにイチゴと生クリームを飾れば完成だ。

    「ミルフィーユは冷蔵庫にまだ入ってるから、取っておいで」
    「やったぁ! おかわりー!」

     椅子から飛び降りてお皿を大事に抱え、テンは尻尾を振りながら小走りにキッチンへ。おいおい、そんなに急いだら転ぶぞ。

     油揚げ自体は味が強くないから、油抜きさえしっかりすればデザートにも使えるのだ。テンが来てからというもの、油揚げレシピのレパートリーが急激に増えた。将来は油揚げ料理専門店でも開くかな……


     🍻

    全文はこちらからお願いいたします。
    「第十膳『とっておきのデザートをキミに』
    https://kakuyomu.jp/works/16816452220246177194/episodes/16817139555862152192

    ついに、終わってしまいました。寂しい……
    皆様の作品を読みにいきたいところですが、残念ながら力尽きました。もうヘロヘロですw
    なので、ヨムヨムは明日以降にさせていただきます〜
    ペコリ。


  • 編集済

     🎐風鈴
     遂に最終回。やはり長めになっちゃいましたw
     関口ヒトヒロ26歳は、事故前に同棲していた沢口エリカ26歳の記憶を取り戻そうとデザートで奮戦するのだが・・・・。

     ◇
    「どうだ、わっしょい!このデザートスムージーは!」
    「うん、美味しい!」
    「だろ?で、想い出したか?」
    「こ、これって?」
    「うんうん!」
    「これは、もしかして?」
    「うんうん!」
    「バナナミルクよね?すぐ出来て幸福ホルモンのトリプトファンが出来るって誰かが言ってた?」
    「誰かわかるか?」
    「わかんない」
    「うん、まあ、最後まで飲んでみろよ!」

     さあ、例の罠にかかれ!

    「ごっくんごくごくごっくんこ!えっ、なにこれ!」
     涙を流してるぜ!
     よし!ついに、オレとの想い出が蘇ったか!
     オレは、直ぐに用意していたお水を差しだす。

     このデザートスムージーであるバナナミルクには、隠し味が仕込んである。
     先ずは前日に冷凍した皮を剥いたバナナとミルク適量をミキサーで混ぜ混ぜ。
     次に隠し味としてコショウをほんの少々と七味唐辛子を少しだけ、ホントに少しだけ入れてゆっくりと攪拌する。
     コショウは問題ないのだが、この七味唐辛子、ちょっとダマになる。ミルクに比してバナナを多めに入れているのと、振りかける時にちょっとだけって感じにして大きく振り掛けないので部分的に多目にかたまって出てしまうのだ(容器の問題?)。なのでそれがねっとりしたバナナにくっついてダマとなり、底の方へ沈むことが多い。
     つまりはこの突然襲った辛さってのは、絶対に記憶に残ってるハズ!

    「うんぐうんぐうんぐ、ぷはーー!!なにこれ?イタズラ?うん、もう、ホントに子供の頃から可愛い私にイタズラするんだから!もう、止めてよね、大人なんだし!」

    「あのさあ、最後の辛いヤツ、なんか思い出さない?」
    「バカね、唐辛子か何かでしょ?それがナニ?」

     くぅーーー、奥の手だったのに!
     これもダメなのかーー!!
     人間は舌の記憶は忘れないって言うんだけどな。
     昨夜からオレは記憶喪失について調べたのだ。
     解離性健忘症。
     事故などがトラウマとなって、その原因と関係した事などを忘れてしまうのだ。
     奥の手は失敗したが、まだ奥の手の奥の手を用意してるんだよ、オレは!

     オレ達は、事故から帰って来たオレの愛車で想い出のカフェへ行った。
     そこで想い出のケーキを注文する。
    『サンセットビーチ』というケーキ。
     イチゴのショートケーキの上に生クリームが山盛りにかけてあるだけだが、人気のケーキだ。

    「どうだ?ちょっとは何かを思い出した?」
    「そうね、確かにこのケーキ、懐かしいような味かも?」
     オレには、苦い味だったがな。
     っていうのは、このケーキの但し書きに、『夕陽が海に沈む時、人は哀しくも懐かしい大自然を想う。そして、人はイヤな事をリセットして静かに眠りにつく。』なんて書いてあり、それが詩的でステキだねと話し合ったから。
     その夜、ベッドの上にお互い寄り添って寝た。
     いよいよだと思った時、エリカは静かに寝息を立てて寝てしまった。

    「で、その懐かしいって?」
    「わたし、想い出したことがあるわ」
    「うんうん」
    「ベッドに横になっていて、直ぐに夢を見たの」
    「うんうん、それで?」
    「わたし、人魚になって、海の中を泳いでいたのね。綺麗なサンゴが踊ってたり、お魚達が歌っていたり。そこへイケメンの一郎君がやって来てお姫様の私と踊るの。それにヤキモチを妬いたイケメンの次郎君が私に求婚して。でも、私は一郎君が好きって言って、大きな玉手箱を持って帰って行く一郎君の後を追うの。陸には上がれない私は、一郎君が他の女性と結婚するのを見て涙を流して泡となって天国へ行くのでした。おしまい」

     なんか、いろいろとごっちゃになってるような話だな。

    「えっと、その一郎君って誰に似てた?」
    「えっと、後藤君の友達?」
    「ちっ!まあ良いよ。だったら、オレは登場してなかったのか?」
    「あっ、そう言えば、ヒロちゃんに似てたのが居たよ」
    「おっ、それ大事だから!そいつはナニをしてた?」
    「えっと、一郎君を乗せてきたカメに似てた!」
    「うん?カメ?」
     なんだよ、それ?
     うん?でも待てよ。これは意味深発言だぞ!カメでもかめへん(構わない)かも!
     オレは寛大な心の持ち主だからな!

    「じゃあさあ、エリカは寝てたんだろ?だったら、隣りとか、誰か居たのを覚えてないか?」
    「うんと、えっとね、次郎君だっけ?三郎君だったかな?」
    「だから誰それ?」
    「一郎君のお友達のお友達?」
     はあ、まあ、エリカは彼氏がやたらと居たから、そこはオレも寛大な心で!
    「くっ、だったらオレは?」
    「だから、デバガメ?」
     ぶちっ!!
     オレの脳の一部の血管が切れた音がした。

     コイツはバカだ!
     たぶん、デバガメ(痴漢、覗き魔、変態などなど)の意味も分からずに言ったのだろう。
     だが、オレの寛大な心は砕け散った!
     オレは、もうエリカを諦めた。
     コイツの可愛さで男の遍歴とか、全て考えない事にしていたが、もう限界だ。
     エリカ、お前って、所詮オレの事をそんな風にしか思ってなかったって事だよな!
     記憶喪失とか、もうどうでもいいや!
     お前の相手はオレでなくても良いってことだよな。
     バカらしいぜ!
     オレ、夢を見てたんだな。
     長い夢を。

     こうしてそのカフェを出て、エリカを実家へと送ったのだった。

     おしまい

     ☆エピローグ
     実家へ送る車内で、オレは絶唱していた。
     もちろん、ヒトヒロさんば、だ!
     隣りのエリカなど、もう眼中に無いから遠慮なくオレは熱唱した。
     どうせ、エリカなんか耳にいつもイヤホンをしてるし。
     車内には重低音のリズムが響く。
    「エリカ、着いたぜ!・・うん?寝てるのか?」
     エリカが突然歌い出した。
    「オーレ―、オーレ―、ヒロちゃんサンバ!オーレ―、オーレ―、だだだ、だいすきーヒロちゃん!」
     そう言って、鼻をすするとオレに抱きついて来た。
     オレの寛大な心が再びエリカのムネの膨らみの感触の元に再構築された。
     そして、オレとエリカは熱いキスを交わした。
     よく見ると、エリカはイヤホンを左耳にはしていなかった。
     そして、この時のキスの味は、ちょっぴり塩味だった。
     料理も人生も、つまるところ塩味が決め手になるのかもしれないと、その時思った。

     THE END

     ◇
     すいません、長かったですw
     これでも端折りましたが、もっとハチャメチャ度を出したかったですw
     そして、私には、なかなか短編の間合いというモノがまだ分かっていないようです。
     反省はともかく、関川さんには長きにわたりありがとうございました!
     また、皆様には有難いご感想を頂き、チャレンジした甲斐がありました。
     この経験を糧に、お料理関係のお話も少しは書けたらなと思いました。
     皆々様には感謝しかありません!ホントにありがとうございました!!

  • こんにちは。久里琳📞です。
    とうとう最終話。素晴らしい企画を運営してくださった関川さん、いっしょに走ってくださった皆さま、ありがとうございました! そして、おつかれさまでした!
    皆さんの最終回、ゆっくり読ませていただこうと思います。

    📞 📞
    これが最後なんだって、そんなわけないだろうとだれかに異議を申したてたくなったけど、いったいだれに言えばいいんだろ。
    なによりぼく自身の胸のなかに、予感があるのがいけない。

    もう帰っちゃいけないと、彼は言った。この前ここでごはんをつくったときのことだ。しょうじき味はひどいものだったけど、それでもぼくとしたら相当おもいきったことだった。

    けがして寝ていたとき、いつ死ぬかも知れないなっておもったら、彼のことを思い出したんだ。こんなに美味しい、いろんなごはんがあるんだって教えてくれた。人のぬくもりがうれしいんだって教えてくれた。
    なのにぼくはなんにも彼に返してないって気づいたつぎのしゅんかん、ぼくは彼の前に立っていた。
    ・・・・・・

    📞つづきはコチラ📞
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862534372546


  • 編集済

    いよいよ最終回。ここまで辿り着いてほっとしています。最後、皆様の作品をゆっくり読んで回りたいなと思います。🍏蒼翠琥珀です。

    🍏🍏🍏
     カウンター席に腰を落ち着けた薬師如来の向こう側で、六科は黙々と作業を続けている。特に言葉を交わすでもない。
     並んで腰掛ける普賢菩薩は、一体何が出来上がるのかと、ずらりと並んだグラスを不思議そうに見つめている。
     六科はご機嫌だ。
     グラスごとに賽の目にした色とりどりの寒天ゼリーを詰め込み、それぞれの色に合わせたシロップを少しばかり。受け皿にはレースカットの薄い紙コースターを乗せ、カチャカチャと柄の長いスプーンを添えている。

       (中略)


     今日は特別な日。そういう日にはデザートがぴったりだ。
     亀石の旅の充実を祈願して、あらためてお祝いをしようというのだ。たまたま店に居合わせたフルクたちやわたしも、ついでに混ぜてもらうことになった。

     六科はまず、二つのグラスにクラッシュアイスを追加し、サイダーを注いだ。
     それぞれストロベリーレッドとエメラルドグリーンがすうっと引き上げられる。その上にバニラアイス。フレッシュミントを添えて、アイスの頭にはホイップクリームをひと絞り。その上にさくらんぼを乗せた。
     赤は翠嵐の前に、緑は翡翠の前に。互いの瞳の色でもあるその色を見て、二人は同時にほうっと吐息を漏らした。

     次に薬師如来と普賢菩薩の前には、それぞれミントソーダとレモネード。頭に乗せるものは、みな同じらしい。
     爽やかな淡いグリーンとほとんどクリアなそれらを、二人は合掌して受け取った。

     咖喱菩薩にはオレンジの寒天にジンジャーシロップのサイダー割りを、チェスナには鮮やかな濃いピンク色の青じそソーダを。二人共感嘆の声を上げたが、咖喱菩薩は慌てて合掌を付け足した。

     フルクと私の分は、ちょっと趣向を変えて炭酸ではないものらしい。それぞれ少し色味の違う、ブラウンがかったクラッシュアイスが追加される。
     フルクの元へはアイスコーヒーが注がれた方を届けられた。わたしの前にはアイスティーだ。
    「玉木さん、いつも居てくれてありがとうな」
     と六科が声を掛けたところで、その場に居た面々は、ようやくわたしの存在に気づいたらしい。まあ、いつものことだ。静かすぎるからだろう。
     わたしはもう一つのボックス席の中で、有り難くグラスと六科に頭を下げ、心の中で礼を述べた。

     最後は桜シロップと花弁の塩漬けをつかった桜ソーダ。
     もちろんバニラアイスが盛られ、さくらんぼも乗せられる。最も統一感のある作品かもしれない。
     そこで、そうか、と合点がいった。
     このデザートは全て、桜井鉄兎のために仕組まれたものだったのだ。桜の塩漬けも、さくらんぼも、きっと夏を待ちわびる味がすることだろう。
    🍏🍏🍏

    一応、ハッピーエンドのつもりです。
    https://kakuyomu.jp/works/16816410413893461604/episodes/16817139555274758569

  • 春川晴人🌞です。この場をお借りさせていただき、どうもありがとうございました。みなさまにも、感謝の気持ちで一杯です!!

    🌞 🌞 🌞

    「デザートは、カラメルたっぶりのプリンだよぉー。きみ、好きだったでしょう?」
    「……うん」

    おれは、返事に困る。アスカ、もうどこにも行かないでくれ、そんな言葉をかける権利が、おれにあるだろうか?

    「実は、もう一つだけ、ちょっとしたサプライズがあるんだよね」

    そう言うと、アスカは玄関の扉を開けた。そこに立っていたのは――!!

    「母さん!?」
    「ただいまぁー。世界情勢に振り回されちゃって、帰ってくるのが遅くなっちゃった。ごめんね」

    はい、と目の前に差し出されたのは、キラキラした岩の塊。

    「さすがに岩塩だけ持って帰ろうとしたら税関で取り上げられちゃって。二度手間」
    「それにしたって、連絡ぐらいしてくれたっていいじゃないかっ!!」

    叫んだおれの口へと、懐かしい味のプリンが放り込まれる。

    「母さんの、プリンだ」
    「どうよ? 懐かしいでしょう?」
    「実はね、漁師さんから連絡があって、お母さんらしき人が漁港で働いてるって聞いて」
    「はぁ? なんで漁港にいたの?」
    「だって、帰るお金なくなっちゃったから」

    おれはためていた息を吐き出した。

    「二人ともおかえり。それで、これからはどこかに行く時はちゃんと行き先を教えること。特に母さん!! 親父が待ってるから」
    「あら。後回しにしちゃった」

    あらって、おい。でも、こんな時でもないと、な。

    「アスカ」
    「なに?」

    おれは、押入れの中から、アスカの名前が彫られた包丁セットを取り出した。これが、婚約指輪の代わりだ。

    「おれと、結婚してください」
    「うん。あたしも。結婚してください」
    「あらあら」

    こうして、母さんの食材探しは終わりを告げた。今は、ゴンも連れて、実家に戻って、みんなでワイワイ暮らしている。

    けど、あの時アスカと食べたプリンの味に勝るものは、今のところないかもしれない。

    おしまい。ありがとうございました。


  • 編集済

    🌸悠木柚です。短期間にたくさんの作品を拝読でき、幾つもの感性と知識に触れることができました。この場にて、お礼を申し上げます。デザートはそれを踏まえてリンゴにしました。この詩を皆さまへ、もしくはあなたに向けて。


    あなたから
    りんごをひとつ貰ったの
    がまんできずに食した後で
    とっさにうしろを振り返る

    うきよ離れしその歌舞伎
    さらさら流れる黒い髪
    よぎりのようなその瞳

    うなじに迫る艶めきし牙を
    なすすべもなく受け入れる

    らせつと知ってなおも愛おし


    fin

  • 🍁空草 うつを です。
    遂に最終回、振り返れば感慨深いものがあります……。
    ここまで企画を運営してくださった関川様、拙作を読んでくださった皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました!

    最後のお題の一部分を載せます。

    🍁🍁🍁

    「そろそろ時間だな」

     貴重品だけを手に取って、家を出た。

     飛行機の離発着の轟音が響く、国際空港。俺は、国際線の出口の前でそわそわと待っていた。周りには、英語で名前のような文字が書かれた看板や子供連れの客が俺と同じように出口に視線を注いでいる。

     今か今かと待ち侘びていれば、大荷物を抱えた人達が堰を切ったようにゾロゾロと流れ込んできた。
     迎えに来た家族と抱き合うサラリーマンといれば、颯爽と去っていく人もいる。英字の書かれた看板に走り寄ってきて覚えたての日本語で挨拶をする学生に、長時間のフライトで疲れ切った顔をする人もいた。

     その中に、待ち焦がれていた人の姿があった。

    ……つづく。

    🍁🍁🍁

    続きは連載中の『嗚呼、愛しの絶滅種!』にて公開しております。

  • 🐤小烏つむぎです。
    十話まで、ありがとうございました。
    とても勉強になりました。そして、とても楽しかったです。
    来週から気が抜けてしまいそうです。
    皆さんの作品をワクワク読ませていただきました。
    最後のお話しも楽しみにしています。

    さて、時代劇で進めてきましたが、最後は現代です。
    お楽しみいただけたなら嬉しいです。


    今回のチラ見せ。

    **************

    こんにちは。
    さようなら。
    私たちはどちらを選ぶのだろう?あれからずっと考えていた。



     うちは代々料理屋をしている。

    祖母ばあさんが体を悪くして店に立てなくなったとき接客を引き継いでくれたのは、子育てが一段落した妻の久子だった。久子は元々店の常連で、ここの餃子を毎日食べたいから嫁に来たのよと、よく笑って客に話している。それを聞いた初めての客はたいていその餃子を注文してくれる。接客上手な妻なのだ。

    私たちには息子が一人いる。春には高校を卒業するのだが、ずいぶんと進路に悩んでいたようだった。

    それが先日、料理屋を継ぐと言った

    ************

    https://kakuyomu.jp/works/16816927862577875744/episodes/16817139555510404081

    よろしくお願いします。


  • 編集済

    「良いのかな? 悪いねえ。こんなサービスしてもらっちゃって」
     その年配の客は嬉しそうに顔をほころばせた。
    「構いませんよ。それに他に客もいませんし、あなたが最後のお客様になりそうです。ただ本日は開店した記念の特別な日なので、わたしも一緒に食べながら話でもさせてもらって良いですかね」
     構わないよ、と彼は飄々とした風情で肩をすくめてみせる。
     
     あの大黒様と過ごした日々から数年が過ぎていた。わたしはその後、親戚に頭を下げて金を借り集めてどうにか自分の店を立ち上げたのだった。もちろん最初は良い顔をされなかったのだが、わたしが丹精込めて作った料理を食してもらうことで「これなら繁盛するだろう」と納得してもらうことができた。

     店と言っても十人も客が入ればいっぱいになる小さな洋食店だ。しかし、わたしなりに美味しさを追求した料理が口コミで広がり、客足も順調に伸びていた。経営も軌道に乗っており、借金もいずれは全て返済できそうな状況である。

     週末などの混雑時はもう一人雇っているバイトの大学生がいるのだが、今日は平日なのでわたし一人で切り盛りしていた。

     目の前のカウンターに座っているこのくたびれた雰囲気の中年男性は、秋ごろにだけふらりと現れる変わった常連客である。しかし、どういうわけかいつも「わたしが本当に客に味わってほしいと思っている、その時の力を込めたメニュー」を注文してくる。そしてあれやこれやと批評しながらも、最後は全部平らげる変わった客なので印象に残っていた。

     もうラストオーダーを過ぎた今の時間帯では客も来ないだろうし、今日はこの風変わりな常連と一緒にサービスとして作ったデザートを食べながら話をするのも悪くはないだろうと考えたのだ。

     私たちの前に置かれているのはココアパウダーで覆われた二つの層に別れたスポンジケーキ。かすかに匂うのは甘いコーヒーシロップの香り。そう、ティラミスである。

    「それじゃあ遠慮なくいただくよ」
     彼はそう言いながらフォークで小さく切って、ティラミスを口に入れる。わたしも「どうぞ」と言いながら同じように食べる。
     口の中でココアとチーズクリームの味がふんわりと混ざった。それに遅れてコーヒーシロップを染み込ませた下の層のスポンジケーキが口の中でとろけて舌を喜ばせてくれる。
     目の前の男性も「たまらない」という表情で目を細めていた。
    「素晴らしいね。チーズのコクのある甘味とコーヒーシロップの甘みが合わさって、幸福感が頭を突き抜けそうだ」
    「そう言ってくれると嬉しいです」
     ティラミスというのは本場イタリアでは「私を元気づけて」「ハイにして」という意味があるそうだが、その名に違わない味になったと思う。試作品のつもりで作ったがこれならばメニューに採用しても良いだろう。

    「いやあ、大した腕だよ。……きっと作っている人の気持ちがこもっているんだね」
    「あはは……」
     満更でもない気持ちでわたしは頷き返す。
    「ところで、あれは何だい? 洋食がメインの店で内装も洋風なのに珍しいね」
     その男性はキッチンの奥の壁を指さした。そこにあるのは小さな神棚だ。
    「飾ってある像からして、大黒様を祀っているのかい?」
     社の隣に置かれた木像を見やって、彼は続けざまに問いかける。

    「ああ。実はですね。……わたしは昔、本物の大黒様に会ったことがあるんです」
     冗談と受け取ったのか、わたしの突拍子もない話を彼は驚きもせずに「ふうん」と受け入れる。
    「それはさぞ、貴重なありがたい経験だったろうね」
    「いいや、とんでもない」
     わたしはしかめ面で首を振ってみせる。
    「なんせ、行き場所を無くして困っていたところを御馳走したのに、ただ飯ばかり食べてご利益をろくにくれやしなかったんですよ。おまけに鈍感で気まぐれで、人がさりげなく願いを伝えようとしても知らんぷりでしたからね」
     悪態をつくわたしに「ほほう……」と中年男性はあいまいに笑った。

    「でも、私の作った料理をなんだかんだで美味しいって言っていつも満足そうに食べてくれました。そのおかげで自信を持つことができて、もう一度店を開く決心がついたのですよ。まあそれが結果的にご利益になったと言えなくもないですが」
     その言葉にその中年男性は「そうですか」と応える。

     ふと、わたしは「おや」と口調が変わったことに違和感を覚えた。そして同時になぜか電灯が切れて部屋がうす暗くなる。
     また室内なのにどこからか生暖かい風が吹き始めたではないか。
     唐突に漂う不気味な雰囲気に何が起きているのかとわたしが戸惑いを隠せずにいると、あの男性客がうつむきながら「ヒヒヒ」と声をもらしながら立ちあがった。
    「ところで……その大黒様っていうのはこんな顔じゃあありませんでしたかぁ?」
     そこには、あの初めて会ったときの清廉な狩衣を纏って打ち出の小槌を持った大黒様の姿があった。
    「ああ、はいはい。そんな二枚目気取りのふてぶてしい顔でした」
    「……驚かないんですね」
     なぜわざわざ、そんな怪談風の演出をするのか。
     わたしは呆れながら切れた電灯のスイッチを入れる。明るさが戻ったところで彼に向きなおって答える。
    「ときおり変に味にうるさい割に、最後まで食べてくれる偏屈な客がいるなーと思っていたので、もしかしたらと思っていました」
    「なるほど。つまり私の神々しさは姿を変えても隠し切れなかったというわけですね」
    「人の話、聞いて?」

     まったく。あれから店を出してもなかなか姿を現さないので、こちらはいつ約束を守るのだろうとやきもきしていたのに。そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、彼は笑顔で語り始める。
    「まあ、本当はもう少し頻繁にお邪魔したいのですが、神の身としては神社をあまり離れるわけにもいかなかったのです。……でもこの時期は神同士の集まりが出雲であるので、出かけた帰りに寄り道するつもりで客として来ていたのですよ」
     ああ、神無月には日本中の神様が集まって会議をするのだったか。それで毎年この時期だけ現れたわけだ。

     とその時、目の前で彼のお腹がまたも「ぐぅ」となった。わたしは出会った時のことを思い出して苦笑いする。
    「夜の定食とデザートだけでは足りませんでしたか。どうしましょう? ……まだ何か、めしあがりますか?」
     折角、本当の姿になった彼と再会できたのだ。また料理を囲んでいろいろ話がしたかった。
    「おや、良いんですか? 既にラストオーダーの時間を過ぎているようですが」
     そういいながらも彼は嬉しそうに身を乗り出している。

    「構いませんよ。……なんならお茶漬けでも、カレーでも何でも作ります。なにせ、お客様は『神様』ですから」
     わたしの冗句に彼は一瞬「きょとん」とした後で、クスクスと笑ってみせたのだった。

    おしまい。

    ❄️ ❄️ ❄️

    ❄️雪世明良です。
     最後までお付き合いいただきありがとうございました。

     前半のお題編の主人公のモノローグは「薄々『風変わりな客』の正体に気が付いていた『わたし』が最後に別れたときのことを思い出していて心の中で呟いていたもの」と想像で補完していただけると幸いです。

     主人公「わたし」は最初、男性のつもりで書いていましたが、読んでくださった方の反応を見ていて「女性でも成立するかな」と思いどちらでも解釈できるようにまとめたつもりです。

     もし楽しんでいただけた方がいましたら嬉しく思います。それでは。

  • 💐涼月💐です

     いよいよラストですね!
     関川さん、楽しい企画をありがとうございました。
     皆さん、素敵な作品をありがとうございました。
     今回はなんとか間に合いましたので、早めにあげさせていただきます。
     一緒に駆け抜けることができて感謝です。お疲れ様でした。

     💐 💐 💐

     俺がとっておきのデザートに選んだのは、艶やかな焼き色とクリーム色のコントラストが絶妙なベイクドチーズケーキ。

     砕いたクラッカーと溶かしバターを混ぜてケーキ型の底に敷き詰める。
     クリームチーズとサワークリーム、卵や砂糖を混ぜ合わせて上へ流し入れてオーブンへ。焼きあがったら冷蔵庫で冷やしておくとコクが増す。

     続きはこちら  3話構成になっております。お時間のある時に。
        ↓
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862602812315/episodes/16817139555480380737

  • 🍷出っぱなし

    ついに最終回ですね。
    関川さん、最後までお題と企画運営お疲れ様でした。

    🍷🍷🍷


     わたしたちの前にはバームクーヘンが置かれている。
     実にシンプルな見た目だから、最後のデザートとしてはインパクトにかけるかもしれない。
     タマは首を捻って不思議そうに見つめている。

    「ここでバームクーヘンなんて、相変わらずロマンチスト、ね?」
    「さすが鈴月、気が付いてくれたようだね? そう、バームクーヘンには『幸せが続きますように』という意味があるんだ。わたしたち家族はもちろん、これから再構築される世界にも、ね」

     わたしが説明をすると、タマはまるで宝物を見つめるように目を輝かせた。
     鈴月と目を合わせ、お互いに目を細める。

    「へん! 何が幸せに、だ、くだらないよ! この世は一部のクソ野郎共が牛耳っている、畜生共はこき使われて搾取されるだけなんだ! ささやかな幸せで良いって? そんなもん自分の気持ちに嘘ついてごまかしているだけだ! 何をしても報われない、こんなクソッタレな世界で幸せになれるもんか!」

     出刃が家族団欒に乱入してきて吠え立てる。
     ここはムー大陸の核の中だ。
     タマと同じく同化している出刃ならこの空間に侵入することは可能だ。
     わたしは冷静だったが、この尊い時間を邪魔されて怒り心頭の者がいた。

    「ウニャー!」
    「アベシ?!」

    ・・・・

     日本国首都某所、高層ビル群が森の樹々のようにそびえ立つコンクリートジャングルだ。
     そこからやや郊外のベッドタウン、そこにわたしはいた。

     『お食事処 タマの鈴』の暖簾をかけ、表の看板を準備中から営業中にひっくり返す。
     住宅兼の店内に戻るとすぐにドアの引かれる音に振り返った。

    「ただいま! ごめん、パパ! 部活で遅くなっちゃった!」
    「ああ、おかえり、《《タマミ》》。急がなくていいからゆっくり着替えてきなさい」
    「はーい!」

     一人娘のタマミは、セーラー服のスカートをはためかせながら、住居部分の階段をドタドタと駆け上がる。
     高校生になったが、まだまだ子供っぽさが抜けきれていないところに思わず笑ってしまう。

     再び、引き戸の引かれる音が聞こえてきた。
     今度こそ、お客さんだろう。

    🍷🍷🍷

    続きはこちらです

    飯テロリスト関川様、猫耳を拾う
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862486888667/episodes/16817139555653662386

  • ☆☆☆愛宕☆☆☆

     目の前に焼き上がったカステラパンケーキが出てきた。
     男同士のデザートタイムに、皿などは使わない。パンケーキを焼くのに使っていたスキレットを、そのまま厚みのあるカッティングボードに乗せるだけで十分だ。とは言っても、俺の体は子供のまんまだけどね。

     おほー!
     自慢気に「三十分かけてじっくりと焼いたんだ」と言う関川くんには返事をせず、俺はパンケーキをマジマジと眺めた。スキレットからはみ出るふっくらとした姿は、実に華やかで美しい。上に乗ったバターもスライスチーズみたいで、ペロッと剥がしてそこだけ先に食べたくなる。

    「生クリームやシロップは別の器で用意したから、好きなだけ取っていいからね」

     さすがは関川くん。
     できたてのパンケーキは、まず何もつけないで味わうのが作法だ。俺はナイフを入れて一口サイズにカットしてみた。うーむ、何という柔らかさだ。これは、口に入れた瞬間に溶けてなくなってしまうタイプだぞ。

    「おぉ! とろけるっ!」
    「だろう! 焼く前、焼いてる時、焼いた後、どれもタイミングを外したら失敗作となるスペシャルパンケーキなんだ。粉にも拘りをもってるんだよね」
    「パンケーキミックスではないのか?」
    「ミックスには違いないけど、リリコイの粉末も入ってる特別なやつさ」
    「なっ! リ、リリコイ……」

     リリコイと洒落た言い方をしているが、パッションフルーツのことだ。俺の大好物でもあるパッションフルーツ……だから甘さの中に、ほんのりと酸味が漂っているのだな。いいじゃないか、いいじゃないか。

     生クリームとメープルシロップを足し、キンキンに冷えたブルーベリーを数粒散らして、第二回戦へと突入だ。

    「スキレットの熱で、シロップがジュージュー鳴いている」
    「ずいぶんと渋い表現をするね。前から思っていたけど、君は子供を姿をしていても大人の雰囲気を持っているな」
    「そのことなのだが……」

     俺は、自分の体に起きていた不思議な現象を正直に話した。
     気が付いたら子供の体になっていたこと。関川くんの料理に「美味い」と叫んだ日の夜には、一度大人の体に戻ったこと。もしかしたら、今日もこうして話している影響で、大人の体に戻るかもしれないということ。どれも関川くんは、真剣な表情で「ふむふむ」と聞いてくれた。

    「と、いうわけだ。なので、食べてる途中で元に戻ってしまっても驚かないでくれ」
    「実際に目の当りにしたら驚くかもしれないけど、まぁ面白そうだね。あと、美味いと言ってくれて嬉しかったよ。ありがとう」

     関川くんは、ナイフとフォークを置いて深々と礼を述べた。いやいや、礼を言うのは俺の方だ。何もお返ししてあげてないのに……今日は皿でも洗って……ん? あれれ?

    「本当だ……急に大人になった……」
    「おいおい、マジかよ。勘弁してくれよなぁ。できれば子供のままでお別れしたかったのに。関川くん、ほんと申し訳ない!」
    「あははっ! 構わないよ。面白いものを見せてくれて僕も嬉しい。どういう仕組みなのかわからないけど、さっきまでジャージ姿だったのに、今はスーツ着てるんだね」
    「そうなんだよ。それに着ていたもののサイズだって変化してるはずなのだが、下着までピッタリなんだ」
    「ふーん。でもまぁ、そんなこともあるんだろうね。貴重な瞬間を見ることができて、僕はラッキーだ」
    「ふっ、前向きだな。関川くん」
    「それが美味い料理を作るコツなのさ」

     俺たちは世界の『過去』を語り合い、『今』を語り合い、『未来』を語り合った。そして、生きてゆくに欠かせない『飯』についても語り合った。気が付けば、ふわふわのパンケーキも平らげていた。

    「今日も美味かったよ。ごちそうさま」
    「こちらこそ、楽しい時間をありがとう。また来てくれるかい?」
    「こんなムサイ親父の姿でも良ければ……」
    「わからないよ。また子供の姿になってるかもしれない」
    「かもしれないなぁ……」

     爽やかな優しい風が俺たちの間を抜けて行った。さぁ、ここらでお暇(いとま)しよう。俺は「じゃあ」と軽く手を挙げて、関川くんに背を向けた。振り向かなくてもきっと彼は、あの角を曲がるまで見送ってくれていることだろう。



     さぁて、明日は浅草だ。何を食べようかなぁ――。



     ハーフ&ハーフ企画掌編/『子独のグルメ』
     お立ち寄りいただき、誠にありがとうございました☆