♪一帆です。
周回遅れですが、やっと、餃子の回答をあげました。(すみません)
*****
「じゃ、私は生地を作るから、天蓬テンポウさんは私の隣に来て、餡を作ってくれる? 餡は鳥と玉葱で作ろうと思うんだけど、大丈夫?」
保冷箱から鳥肉と玉葱を取り出しながら、天蓬さんに声をかける。
―― 椎茸もいれたいところだけど、天蓬さんが茸はNGだからやめておこう。
続きは「妖術士見習いは愛を学びたい」で。
https://kakuyomu.jp/works/16816927862494687766
追伸:
お題も木っ端みじんに切り刻んでしまいました。みなさんからのコメントの返信も滞っています。ほんと、いろいろごめんなさい。 周回遅れを取り戻したい。わーん( ノД`)シクシク…
🎐風鈴
リアルが忙しくて、遅くなりました。
今回は、涼月さんのお祝いの意味を込めて、丹念に書きました!
ご賞味いただければ幸いです。
尚、このお話についての一切の質問、疑問等、お答えしかねますので予め申し添えておきます。
尚、またしても長くなって申し訳ありません、ぺこりん。
☆
「なんでこのオレがお前なんかと?!」
カランコローン!!
その時、ドアベルが鳴った。
「こんにちわんこ!こちらは関川亭でおよろしいでしょうか?」
関川氏とエプロンを着けさせられた男が彼女に目線を向けた。
「ま、まぶしいいい!!」
男は、それでも彼女から目線を外せないようだった。
「これはこれは、涼月先生!いつも、眩いばかりのお美しさですね!」
関川氏は、やはり二人だけでは不安なので、助っ人を呼んだのだった。
彼女は、超のつく美人だった!
彼女から放たれる気品のある神々しいオーラは辺りを浄化し、もし仮に暗殺集団がここに居ようものなら、即座に今までの犯した罪を悔い改め、彼女に許しを請うであろう!
「も、申し訳ない!オ、オレは!」
ま、まさか、この男、暗殺者、しかも凄腕のアサシンなのだろうか?
「およろしくってよ、そんなカタイご挨拶など」
機先を制して彼女はそう言うと、女神の微笑みを浮かべた。
「本当に申し訳ないです。こんな所までお越しいただき、そしてあろうことか庶民の料理にお付き合い頂いて」(関川氏)
「ひとつ、およろしいですか?料理に貴賤など存在しませんことよろ!」
「はい、申し訳ありませんこう花火!」(関川氏)
こうして、庶民、もとい、みんな大好きな餃子を、お美しい涼月先生と共に作ることになった!
皮は、市販の皮が各種用意してあるので、餡作りからだ。
「餃子は、餡が全てだと言っても過言ではございません。ですから、今から作る餡は、ちゃあ~んとしましょうね?」
「はい!!勿論であり魔王!」(男)
涼月先生と関川氏は、一瞬、動きが止まった。
まるで、時間が止まったかのように!
この男、外したなと関川氏は思った。
その時、男と涼月先生との目が合った。
「うふふふふ、面白い方ですね!」
「ええ、ホントに、コイツはちょっと変なところがありまして、ハハハハハ!」
仏頂面だった男の顔が赤くなり、唇の端が上がっていた。
餡、餃子は餡に始まって餡に終わる、こう言った人が昔居た。
涼月先生直伝の餡作りが始まり、終わった。
ここでその詳細を発表出来ないのが残念である。
私(作者)には、彼女の知的所有権を侵害するなどの愚行をする勇気がないので。
でも、他の所で、お優しい涼月先生は、レシピを公開されておられます。そこを熟読して頂きたい!
下にリンクを!
https://kakuyomu.jp/works/16816927862602812315/episodes/16816927863198492570
さて、これから餡を皮に包み込むという、誠に繊細な仕事に入る。
皮包み、餃子はこの皮包みに始まって皮包みに終わる、こう言った人が昔居た。
「餃子は、この包む作業が全てと言っても過言ではございませんのよろぴく」(涼月)
「先生、その手つき、流石です!」(男)
「うふふふふ、ちょっと、やってみてください」
「こうですか、先生・・えっ?」
「こうするのですよ」
涼月先生の白く、ビロードのような肌触りの指が、そして手が男の手を包み込む。
「はふん!」
男は思わず、声が出てしまった。
「どうされましたか?」
「いえ、その、ここはこうでしょうか?」
「ええ、とてもお上手に指先が動けるようになりましたね!」
「ありがとうございます、指先遊びは、得意ですから」
「うふふふふ、面白い、お・か・た!」
関川氏は、男の頑なな心が和み、顔も血の気が通ったように生き生きとしたモノになってるのを見て、料理を一緒にして良かったと思った。
そして、ついに餃子が見事に焼きあがる。
外はパリッと、中は熱々のジューシーな肉汁が咬むと溢れて、口内を喜ばす。
タレは、酢醤油のシンプルテースト!
「はい、あ~~ん!」
「あ~~ん!あつつつつ!」
いつの間にか仲良しになった男と涼月先生は、お互いの口にお互いの箸で餃子を入れっこしていた。
そう、この餃子は、一口サイズの餃子で、まさに、イチャイチャするにはもってこいの餃子なのだった。
なぜこのチョイスを先生はしたのだろう?
「じゃあ、行こうか、姫」
「はい、マオウ様」
「はい??あの~、いったいどういう事なんでしょうか?」
「あれ?わかんなかった?まあ、君は人間だからな。オレは土星の若き王マオウ、彼女はこの地球の月の姫ルナ。さっき、ダジャレを言った時に、スベッタのかとテレパシーを飛ばしてわかった。お互い、幼馴染だが、この地球では変装してるからわからなかったのだ」
「うふふふ、私、なまじっか有名になったモノだから、月に帰れなくて」
「だが、これで二人とも踏ん切りがついたよ。関川、感謝する」
「関川さん、またいつかとり線香!」
こうして二人は、満月のその夜に、月からの迎えの船に乗り、帰って行った。
たくさんのお土産(餃子)を抱えて。
翌日の夜、関川氏は月を見上げて、呟いた。
「今晩は月のウサギが餃子に見えるんだよな?」
彼は、昨晩の突っ込みどころ満載の出来事の記憶が無くなっていたのだった。
めでたし!
編集済
💎玖珂李奈
全文はこちら
『午前0時の食卓』
https://kakuyomu.jp/works/16816927862450734712
今回のエピソードはこちら
https://kakuyomu.jp/works/16816927862450734712/episodes/16816927863014168395
今回は全三話、計八千字弱になってしまいましたごめんなさいいぃぃぃ。
下手なくせに長いとか本当に本当にスライディング土下座でごめんなさいですm(__)m
主人公:烈(れつ)
ごはんを食べる少女:紅子(べにこ)
主人公の元カノ:美奈(みな)
🥟一部抜粋🥟
餃子を大鍋で茹でる。ぐらぐらと沸く湯の中に、餃子が我先にと飛び込んでいく。
底の方でじっとしていたかと思うと、ゆらりゆらりと踊りだし、一つまた一つと浮かび上がる。
皿に移すと、餃子たちは湯上りの艶やかな肌から湯気を立てて、心地よさそうにしている。
味はしっかりめにつけたつもりだが、たれも作っておいた。醤油や酢、ラー油に、みじん切りの長ネギを混ぜただけなのだが、主張の強い香りが混然一体となって、どうだ旨そうだろうと煽ってくる。
「ここ、これは……っ!」
香りと初めて見るビジュアルに圧倒されたのか、漫画のようなリアクションを取っている。わたしはドヤ顔を押し殺し、余裕の笑みを向けた。
「召し上がれ、冷めないうちに」
みなさま、GWお疲れ様でした!
やっと書き込みできた〜♪ みなさまのところへは、今からお邪魔いたします〜
🍻
ホットプレートの一角では、既に餃子がジリジリと音を立てている。包んだ餃子に蓋をして蒸し焼きしている脇で、キクさん考案の平べったい「挟み餃子」が香ばしく焼けていた。皮からチーズがはみ出してパリパリになっていて、これはこれで美味しそうじゃないか。
両面をこんがり焼き上げたら、取り皿へ。さあ、食べてみよう。
「おーいし〜い!」
「うん、ジャンクな味でビールが進むな」
たしかに。子供は大好きな味だし、大人もつまみとして充分イケる。パリパリとした食感も楽しめるし、黒胡椒を少し挽いてみたらさらに美味い。
お次はテンの作った「お野菜餃子」。小さく切った野菜を色々詰め込んであり、皮がパンパンに膨らんでいる。さて、お味は……
「……あじがない」
「うん、野菜の味だけだな」
見た目でわかってましたけど、師匠。そんなハッキリ言わなくても。ちょっとテンががっかりしてるじゃないですか。
皮の中から、茹でたブロッコリーとアスパラの欠片、ミニトマトやコーンがポロポロとこぼれ落ちた。
「何か、ソースを作ってみようか」
餃子の味変用に作っておいた酢味噌ダレに、マヨネーズを混ぜ合わせてソースを作成。これでよし。
「……おいしくなった!」
「野菜の味だけでも美味しかったけどな」
師匠、それはテンへのフォローのつもりですか。そう言いながらソースべったりつけてるじゃないですか……ま、テンも嬉しそうに食べてるからいいんだけど。
と、蒸し焼きにしている餃子の音が変わってきた。
「そろそろ焼けたみたいだね」
蓋を取ってみると、ふわりと湯気が立ち上り香ばしい餃子の香りに包まれた。この匂いだけで美味しさを確信できる。フライ返しで上下を返してみれば、こんがり狐色の焼き目が美しい。
「「おおおお」」
感嘆の呻きをBGMに、各種餃子をそれぞれの取り皿へ……
🍻
全文はこちらになります↓
第四膳回答『餃子と共同作業』https://kakuyomu.jp/works/16816452220246177194/episodes/16816927863152048452
よろしくお願いいたします。
餃子と共同作業って、なんだか早口言葉みたいですね。3回言えなかった……
🐹黒須友香です。餃子回アップしました!
GW中はバタバタでしたー。ゆっくりではありますが、これから皆様の回答を読みに伺います。
よろしくお願いします♬
🐹
突然だが、「ひとり猛烈反省会」の真っ最中である。
前回までは、どんな料理も喜んで食べてくれた。
自分が手ひまかけた自信作なら、今回も間違いないだろうと思い込んでいた。
だが、間違っていた。ただの思い上がりだった。
🐹↓続きはこちら!
https://kakuyomu.jp/works/16816927862423037971
🐤小烏つむぎです。
今回も前半から加筆しています。
前半から読んでいただけると嬉しいです。
なかなか飯テロにならなくて、みなさんの作品を読んでよだれを飲み込んでおります。
🐤🐤🐤
後半のチラ見せです。
「ソレナラ明日、準備シテクル。
コノ料理場デイイノカ?」
リーは、細い目をもっと細くして笑いやがった。コイツ、こんな笑顔も出来たんだな。
「ソレカラ、『餃子チャオズ』チガウ。『餃子バンシー』ダ。
『チャオズ』ハ漢人ノ食物。」
なんて釘も刺して行きやがった。
🐤🐤🐤
前半のURLです↓
https://kakuyomu.jp/works/16816927862577875744/episodes/16816927863045834508#end
💐涼月💐です
餃子回、リクエストを取り上げてくださりありがとうございます!
今回もよろしくお願いします。
💐 💐 💐
「キャベツとニラとニンニク、ショウガと豚肉。餃子の中身は色々だけれど、今日はこれで作っていこうと思っているんだ。苦手なものあるかな?」
俺の問いにジーっと食材たちを見つめた色音。不思議そうな顔のまま俺に視線を戻した。
以下↓
https://kakuyomu.jp/works/16816927862602812315/episodes/16816927863198492570
こんにちは📞
盛況ですね。凄腕の競演で、今度はどんな物語が生まれるんだろうと毎回たのしみにしています。
今回もさわりだけ、ここに。今回のお客さんは孤児の男の子です。
――また来てしまった。
このまえはみっともないとこを見せてしまったから、なるべくなら顔を合わせたくなかったのに。
それはあちらもおんなじなのかな。かれは腫れものにでも触るみたいにぼくをそおっと見ている。
もうぼくは、毒を盛られたなんて思っちゃいない。すこし考えればわかることなのに、あのときどうしてそんなふうに疑ってしまったのだか、でも口じゅうしびれてめまいはするし、尋常じゃない量の汗がだくだく出るし、もうおしまいだ、ってそう思いこんじゃったんだ。
・・・・・・・
📞つづきはコチラ📞
https://kakuyomu.jp/works/16816927862534372546
編集済
🌸悠木柚です。一生懸命書きました!(子供かw)
・
・
・
そう。二人でたくさん話そうよ。何が好きとか嫌いとか。
どうしたいとか、したくないとか、なんでもいい。
「……今日は二人で究極の餃子をつくろうよ!」
◇
彼女と一緒に作りたい、彼女と一緒に美味しい物を食べたい。とにかく彼女を傍に感じたい。僕の真摯な想いに彼女も微笑みを返してくれ、そして――
「究極の餃子を、アンタと?」
「う、うん……」
「ねぇ、フタヒロ。私が誰だか言ってみて」
「涼子……だよね?」
「違うでしょ。【料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテスト】でカクヨム賞を受賞した、涼月涼子『先生』でしょ?」
「う……っく」
そうだった。僕の彼女、涼月涼子は【料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテスト】でカクヨム賞を受賞した小説家。そして創作料理を毎日ブログに上げ続けてきた努力の料理人でもある。その道を頓挫して料理から逃げた僕とは違うんだった。
「ごめん……餃子は諦めるよ」
これが賢明な判断だ。一流と三流、そんな凸凹コンビが並んで作っても、究極とは程遠いものになるだろう。
「諦めるの?」
「だってもう、君には敵わないと思うし」
「どうしてそう簡単に諦めるのよ! アンタはいつもそう。日本料理店を辞めたときだって『働きながらじゃ【料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテストのカクヨム賞】に入選できるような物は書けない』みたいな理由だったじゃない!」
「――っ」
「ねぇフタヒロ、私を見て! 今の私を見てよ! アンタが働かなくなっても私はずっと働いてきたわ。小説を書きながら、料理の研究をしながら、アンタと出会ったあの《大きな赤ちゃん倶楽部》でずっと!」
「そ、それは本当に偉いと思う……」
「偉くなんてない、当たり前のことなのよ! 何かを理由にして逃げなかっただけ。【料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテストのカクヨム賞】はそれに応えてくれただけ!」
「僕だって、僕だって――」
「言いたいことがあるのなら言ってみなさいよ、この負け犬!」
「僕だって色んなコンテストに応募してきたんだ! それこそ魂を削って書きまくって! でも、僕の筆力じゃ……」
そう。僕の筆力じゃ届かないんだ。考えてみれば当然のことだ。【料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテストのカクヨム賞】に限らず、コンテストに入賞するような人間は中学・高校と文芸部に所属して、そこから文系の大学に進んで本格的に文章の勉強をした猛者たちばかり。寝ても覚めても小説のことしか頭にないようなガチ中のガチ。年季が違う、思い入れが違う。何より才能が違――――!
刹那、温かさに覆われた。
「そうじゃないでしょ? アンタの才能は私が一番よく知ってるわ。アンタが本気を出せば私なんて敵わない。だから、ね、もう逃げないで」
彼女に背中から抱きしめられ、その優しさが沁み込んでゆく。
「フタヒロ、アンタは具。凄く美味しくて凄く刺激的で、でも凄く脆くて壊れやすい未知の具なの」
僕が、未知の具……
「未知だから取り扱いも難しいし、下手したらダメになっちゃう。でも今の私ならアンタを包める。【料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテスト】でカクヨム賞を受賞した私なら。【料理研究家リュウジ×角川食堂×カクヨム グルメ小説コンテスト】でカクヨム賞を受賞した私なら!」
「なんで二回言ったの?」
「アンタは私が包み続けてあげる。アンタが賞を取るまでずっとずっと。だからそのときがきたらアンタが私を――」
「涼子……」
「究極の餃子、作るんでしょ? ふたりで」
「ああ、ああ! 作るよ、作るとも! 僕はいつか絶対に君を――」
迷い込んだ一片の桜が、足元でくるりと舞い始めた。
fin
🍁空草 うつを です!
以下回答部分になります。
◆◆◆
弥生ちゃんのことだから、アノマロカリスかウミサソリのアップリケでもついているエプロンなのかと勝手に思っていたけれど。
可愛らしい苺柄のエプロンだった。
弥生ちゃんはやる気満々のようだ。同じ苺柄のバンダナをきゅっと結び、意気揚々と俺の隣に立った。
「まず何をすれば良いですか?」
「材料を切る所から始めようか」
だがこの指示が間違いだったことに、俺はすぐ気付かされる。キャベツを切る弥生ちゃんの手つきが、今にも自分の手を切ってしまいそうで危なっかしくて。見ていられなかった。
「……切るのは俺がやるから、弥生ちゃんはひき肉をボウルに入れてくれるかな?」
「分かりました!」
危うく流血騒ぎになる所だった。こういうのは役割分担が大事。
キャベツを微塵切りにし、軽く塩を振って揉む。しっかりと水気を切ってから、弥生ちゃんが用意してくれた挽肉の入ったボウルへ入れた。
挽肉とキャベツ、調味料はシンプルに塩胡椒と醤油、風味づけにごま油を少々加えた。
「流石、手際が良いですね!」
褒められると気恥ずかしい。昔はもっとキャベツとか切るの早かったから。
「そんなことないよ」
なんて言って誤魔化した。
定番の餡の材料を混ぜ終えたら、ここからは弥生ちゃんスペシャルだ。
「よし。好きなものを包もうか」
キッチンに並べられたのは、弥生ちゃんが好きだと言っていた具材と、俺がチョイスしたそれらに合う食材。
「はい! じゃあ遠慮なく……」
弥生ちゃんがまず最初に手をつけたのは、キムチとチーズ。それを餃子の皮に豪快に乗せていた。わんぱくかってほど、溢れるくらいに乗せたせいで包むことができずに手こずっている。
「そういう時は、必殺。二枚綴じ」
二枚綴じ、とは俺なりの呼び方。ただ二枚の餃子の皮で餡をサンドするだけなんだけど。弥生ちゃんは「すごい!」って拍手なんてしてくれた。
あとは端っこをフォークで潰せば完成なのだが、何を思ったか弥生ちゃんは端っこだけでなく真ん中辺りにもフォークを押しつけ、模様をつけ始めた。
「見てください! 三葉虫餃子です!」
……つづく。
◆◆◆
続き、並びにお題部分を加筆(大筋は変わりませんが大規模加筆しています、すみません関川様)したものは連載中の『嗚呼、愛しの絶滅種!』にて更新します。
編集済
「……なかなか難しいですね」
彼はわたしより大きな手で四苦八苦しながら餃子の皮であんを包んでいた。一見すると端正な容貌の青年だが、その正体は大黒様の化身なのだ。住んでいた社を追われ、みすぼらしい姿で行き倒れていたところを私が見つけてここ数週間で何度か料理をご馳走していた。
料理というお供えをし続けたわたしの信仰心の効果なのか、今日の彼はカジュアルながら上品な白い長そでシャツに高級な布地のパンツという欧米のブルジョワジーのような格好だ。
わたしは一度つぶしてしまった料理店を再起させるべく、彼のご利益でもって繁盛させてもらうつもりだった。しかしこの間は料理人として成功したいという願いがちゃんと伝わらなかったので目的を達することができなかったのだ。
数日の間、失意にとらわれていたわたしは「こういうときには無心で手を動かす作業に限る」と夕飯のために餃子の材料を買いに行こうとしたところで幸運にも街中で彼を見かけたので、声をかけて連れてきたのだった。
豚のひき肉に、ニラとゆでた白菜のみじん切り。ニンニクとしょうがのすりおろしを加えて、さらにゼラチンとごま油も入れてジューシーさを増す。味付けは醤油と日本酒に黒コショウを少々。これを一生懸命にこねてから、大判の餃子の皮に包むのだ。
包む際には皮の端っこを水で少し湿らせながら指で密着させてくっつける。ひだを綺麗に整えるように左右にくっつけていけば上手く包めるのである。
だが彼はなかなか上手くできないようで、綺麗な三日月型になったわたしの餃子といびつな自分の餃子を不思議そうに見比べていた。
「……どうしたらそんな風にできるのでしょう。何かコツがあるんですか」
「『相手に美味しく食べてほしい』という思いやり。その気持ちも一緒に包み込むんですよ」
もっともらしいことを言ってしまったが要は食べやすい大きさと食感を損なわない分量でバランスをとって、あんを皮に乗せていくことが大事ということだ。
それが美味しく食べてもらえることに繋がっている。餃子は精神的な気遣いが美味しいものを作る技術に関わっているわけだ。
食べてくれる相手に対する思いやり。相手の立場を配慮する心遣い。あなたにご馳走するうちに教わったことだと感謝するつもりで言いかけたが、ただ飯ばかり食われているのも事実なので黙っておくことにした。
「さて、包みあがったところで焼くとしましょう。後はわたしがやるのであなたは手を洗って待っていてください」
「……はい」
彼は洗面所から戻ってくると大人しく食卓の椅子に座っている。まるで餌が出るのを待ってお座りをしている犬のようだと思いながら、フライパンに大目に油をしいた。
餃子を並べて、中火で焼き色をつける。パチパチと音を立てながら香ばしい匂いがキッチンに広がっていく。まんべんなく餃子の底がきつね色になったところで水をいれて蓋をしてから蒸し上げるのだ。
最後にパリッと焼き上げるためにごま油を垂らし、水分が飛んだら完成である。
フライパンに皿をかぶせて、そのままひっくり返しフライパンを取れば、皿の上に餃子が美しく並ぶ形になる。
「さあ、いただきましょう」
「……はい!」
彼は待ちきれないとばかりに箸で餃子をつまんで、タレにつけていく。タレのほうはポン酢しょうゆにラー油、ナンプラーとしょうゆ、柚子胡椒と四パターンほど用意した。
パリパリの皮を噛めば、中からはジュワっとした肉汁がはみ出してくる。ニンニクとニラの香りが食欲をそそり、ラー油や柚子胡椒などの辛みが白いご飯をさらに美味しく食べさせてくれる。彼の方も「美味しい、美味しい」と夢中になって頬張っていた。
やがて皿の上の餃子が残り少なくなってきたところで、わたしは今度こそ彼を引き留めてご利益にあやからなくてはと思考を巡らせる。
だが待てよ。わたしはすでに相手の立場を考えることの大事さを学んだところだ。
例えばここで「実はあなたの力でわたしの商売を大成功させてほしいんですよ。そりゃもう客がジャンジャン入ってきてガッポガッポ儲かって、ウハウハな暮らしができるくらいに! たのんますわあ! デヘヘヘ!」などとニンニク臭い息を発しながら迫ったら流石に嫌な顔をして帰ってしまうのではなかろうか。
そう。ここは餃子のように「生臭い本音」を「白く美しい大義名分という皮」で包みこんで伝えるべきだろう。目の前にある餃子のように、だ。
私は「オッホン」と咳払いをして口を開く。
「お、美味しかったですか」
「はい。とても」と彼は満足そうに腹をなでていた。
「そうですか。そんなに喜んでくれたのなら料理人を目指す身として冥利に尽きます。……是非また、ご馳走したいですね」
「本当に! それは嬉しい」
目を細める彼に対してわたしは大げさに嘆くように頭を抱えてみせた。
「ああ、しかし!」
「どうしました?」
「最近は物価も上がって、つぶれた店を再起させるための資本金を貯めながら生活している身としてはなかなかそれも苦しいかもしれません」
「そんな!」
悲しそうな顔をする彼にわたしはたたみかける。
「豚肉も野菜も最近は高くなって。お金がなければなんともならないんです。……ああ、誰か何とかしてくれないかなー。どこかの優しい神様が助けてくれないかなー」
言葉の最後でちらりと彼の様子を窺うと、美青年の姿をした大黒様は「わかりました。そういうことならこのわたしの神通力でなんとかしましょう」と胸を叩いて見せた。
心の中で「やったね。チョロいぜ、大黒」と心の中でほくそ笑んでいると彼は目を閉じて何やら念じ始める。やがて彼の体から神々しい光が放たれ、数十秒後にそれは静かに消えた。
「これで大丈夫です」
「おお!」
金運が上がって宝くじでもあたるのかな、それとも商売を始めるにあたってお金を融資してくれるスポンサーでも現れるのかなと思っていたら「ピンポーン」とインターフォンが鳴る音がする。
何だろうと思って玄関先に出ると「お届け物です」と宅配業者が立っていた。受け取りのサインをして彼の持ってきた冷蔵宅配便の箱を開けると中には「大量の豚肉と野菜」が入っていた。
そこで唐突にポケットの携帯電話が鳴ったので、通話ボタンを押すと実家の母からである。話を聞けば「ふるさと納税でお肉と野菜がたくさん手に入ったのでおすそ分けするわ」とのことだ。
大黒様はニコニコと「これで餃子をたくさん作れますね!」と笑ってから「ご馳走様。それでは今日はこれで」といそいそと去っていった。
そういうことじゃあねえんだわ、と心の中で呟きながらその場に崩れ落ちる。
いっそ自分の欲望に正直に願えばよかった。つい格好つけてしまった自分の見栄が憎い。肉料理の話なだけに。
心の中で悔やむわたしであった。
❄️ ❄️ ❄️
❄️雪世明良です。よろしくお願いします。
☆☆☆ 愛宕 ☆☆☆
おいおいおいおい。
どうして俺までエプロンしなきゃいけないんだよ。餃子作りを手伝ってくれって、無しだろう。
でも、無し寄りの有り。関川くんの作るものなら、近くで手順を見ておくのも悪くない。元の体に戻れたら、俺も家で作ってみようと思う。やっぱり、餃子は一から作るのが一番美味いんだよ。
そういえば、巡礼した店の中で面白いメニューを出すところがあったよなぁ。店の名前は『みゆき食堂』って言ったっけ。昔ながらの食堂って雰囲気で、壁に貼られたメニューの黄色い短冊が圧巻だった。その中の一枚に「ジャンボ餃子ハーフ」って書かれていたものがあったのを思い出した。
ジャンボな餃子でハーフ? ハーフ&ハーフ? 現物を見るまでは意味も分からなかったが、何のことは無い。大きめの餃子が皿に三個乗っているだけだった。きっと本来は、六個で一人前だったんだろう。手作りの懐かしさを感じさせる、ギュッと餡が詰まったジャンボ餃子……関川くんの用意した餡は、どことなくソレに似ている。
「包む手際が上手いじゃないか。家でも手伝ってたりしたのかい?」
「この餡は、キャベツと白菜を一緒に入れてるんだ。普通はどっちかなんだけどね」
「じゃあ、そろそろ僕は焼きの方に入るから。もし飽きちゃったら、途中で終わらせてもいいからね」
一つ一つ語り掛ける関川くんの言葉は、とても温かみがあった。何も答えなかった俺に苛立つこともなく、淡々としたペースで餡を皮で包んでいき、三個ほど包み終えたら新たな話題を振ってくる……ずっと無言放置で申し訳ない思いだが、そんなのは関係無いと言わんばかりの無邪気さで話し続けていた。
きっと関川くんは、こんな俺みたいな黙りん坊でも、誰かと一緒に料理を作るっていう行為が好きなんだろう。
「さぁ、第一弾ができたよ。食べよう、食べよう!」
大皿に見事な焼き色の餃子が大輪の花を咲かせている。パリッとした薄い羽根まで付いているじゃないか。
関川くんは、取り皿のほかに醤油と酢と辣油を持ってきてくれた。黄金比率は「五(醤油)・四(酢)・一(辣油)」と言われているが、俺の好みはちょっと違う。勝手ながら申し訳ないが、俺は席を立って調味料のある棚から必要なものを取り出し、それを両手で掲げて「使わせていただきます」とお辞儀した。
「胡椒を使うのかい? 珍しいね」
俺の師である五郎さんは、餃子を酢と胡椒だけで食べていた。番組が終わった後、すぐに冷凍の餃子をチンして試したものだよ。それ以来、俺は餃子と言ったらこの組み合わせで食べることにしている。酢を皿にたっぷり入れたら、胡椒をドバドバ。これが俺の黄金比率……いや、絶対比率なのだ。
「美味しいの? 僕もやってみるとしよう」
そう言って、関川くんは新しい小皿を持ってきて、同じように酢と胡椒だけのツケだれを作り始めた。慣れないと、最初は胡椒の粉末で咽せてしまうよ。
「おっ! 美味いね、こ……ゲッホっ! ゲホゴホっ!」
ほぅらね。
でも、気に入ってくれたようだ。なんとなくだけど、今までのご馳走に対し、少しだけお礼ができたような気がする。今日の関川くんは、いつもより楽しそうだ。
こうやって、コミュニケーションをとりながら、人との距離感を縮めようとするのは、何年振りだろうか。そう言えば、この酢ゴショウ餃子を気に入ってくれた涼子ちゃんは、今頃どこで何をしているだろう――。
🍷出っぱなし
番外編で溶けていた脳みそを元に戻して本編の回答です(笑)
涼月さん(20)からのリクエストということですが、登場人物とご本人とは関係ありません。(笑)
🍷🍷🍷
「まずは皮から作ろう」
わたしは薄力粉、強力粉の小袋をテーブルの上にドンと置く。
それぞれ適量ずつ量り、ボールに入れて塩を少々振りかける。
「さて、これを混ぜてくれないか?」
わたしはタマに菜箸を渡し、タマは緊張しているのかぎこちなく頷く。
「フニャン!?」
タマは料理が初めてなのだろうか、何がどうなったのか、粉が自分にかかって白猫のようになっている。
わたしはお湯が沸いたので火を止め、笑いながら手本を見せてあげる。
「ハハハ。貸してごらん? こうやってサッとやるんだ」
………
わたしは辛口のロゼ、タマはハチミツでほんのり甘みをつけた菊花茶で飲茶を楽しもう。
お腹がグーと鳴る音が『いただきます』の代わりだった……
🍷🍷🍷
全文はこちらです。
出っぱなし
『飯テロリスト関川様、ネコ耳を拾う』
https://kakuyomu.jp/works/16816927862486888667/episodes/16816927863140950069
お、いっち番乗りかな?
お題をねじ曲げ、天の邪鬼に答えていくことで、お仕置き部屋行きにならないかヒヤヒヤしています。
では。
🍏🍏🍏
自分が好きだからと言って、相手も好きとは限らない。
そう。恋の話であり、人間関係の話でもある。まあ、食べ物の話もそうだ。
自分が美味しいと思ったものをあの人に食べさせたい。自分が作った料理で感動させたい。
……
🍏🍏🍏
サブタイトル、ふんわり回収回
『俺とオマエのお膳立て』
https://kakuyomu.jp/works/16816410413893461604/episodes/16816927862816201838
こっそり、こんばんは! と、周回遅れになりながら連載続けております(*´Д`)
皆さまのレシピ、実際につくってみたりしながら楽しませていただいております。
飯テロ楽しいですね!
🐛 🐛 🐛
「餡はさ、作っておいたから二人で包んでいくんだ。分かる? 包む、だよ」
パオパオといいながらジェスチャーしてみせる。彼女はそれを理解したらしく、皮を一枚手に取った。
オーソドックスだが餃子の餡には牛豚の合いびき肉を使っている。塩もみした白菜と手抜きするために生姜とニンニクのチューブをふんだんに。細かく刻んだニラを入れて、湯戻しした春雨を入れて食感をよくしている。
餡は限界までたっぷりとが合言葉。見本を手際よく作るとそれを彼女が真似始めた。慣れない手つきでひだの数まで合わせようとしているがそこまでこだわらなくていい。ひだが一つ二つ減ったところで餃子は餃子だ……
続きは『飯テロ開始します! 〜傷ついた訳あり彼女に一膳の飯を〜』にて。