応援コメント

第二膳『カレーの冷めない距離』」への応援コメント


  • 編集済

    おはようございます! 奥森です。ぎりぎりの投稿すみませぬーー(*´Д`)💦
    今回のメニューはエビカレーです!

                 🐛 🐛 🐛
     豪快に腹の鳴った彼女を放っておくことはできない。ずいぶん空腹なようだ。
     目が合うと彼女は恥ずかしそうに腹をさすり、てへへと笑顔を浮かべている。そう、あの大音量を聞けば99パーセントの男はひく。
     だが僕自身は絞り捨てたはずの料理人の血が騒いだのか、不覚にも可愛いと思ってしまった。

     ジェスチャーを交えながらご馳走するよと伝え、キッチンのテーブルに着席してもらい彼女の前にご飯のみを乗せたカレー皿を置く。片手鍋を左手に持ち、彼女の前でまるでシェフのように振る舞った。

     鍋から瀑布のように流れるスパイシーなカレーを見て彼女の笑顔が綻んだ。
     ぽとりと皿に乗った大きな海老の神々しさに心惹かれているようだ。そして、北海道産のジャガイモと玉ねぎ、愛知県産のブロッコリーと続く。
     立ち登る香りに自身の胃袋もまた刺激された。息を吸い込むと脳髄まで海老の香りが満たす……

    続きはこちら。
    『飯テロ開始します! 〜傷ついた訳あり彼女に一膳の飯を〜』

  • こんばんは!
    🍁空草うつを です。

    回答は以下の通りです!

    ◆◆◆

     キッチンに立っている間、弥生ちゃんは昨日座っていた位置に腰掛けていた。隣の席にアノマロカリスのぬいぐるみを置いて、何やら話しかけている。
     これは、見なかったことにするのが正解か?

     カレーをたっぷりかけた皿を弥生ちゃんの前に置くと、ごくっと生唾を飲む音がした。

    「食べようか」

     両手を胸の前に合わせて、ふたりで「いただきます」と声を合わせた。独り身が長いから、誰かと食卓を囲むことはほぼない。過去に付き合った恋人と夕食を共にすることはあったが、それもだいぶご無沙汰だ。実家に帰ることも年に一度あるかないかだから、久しぶりすぎて少し照れる。

     弥生ちゃんは一口分のカレーとご飯をスプーンの上にのせ、ふーふーと息を吐いて冷ましていた。
     カレーライスを口に含んだ瞬間、弥生ちゃんは頬を赤らめてふにゃふにゃに蕩けていった。

    「どうかした?」
    「……おいひぃです……角切の牛肉がお口の中に入れた途端にほろほろと解けていって、辛味と玉ねぎの甘みが絶妙で……こんなカレー初めて食べました。どうやって作ったんです?」

     目を輝かせて聞いてくるから、軽く作り方を教えてあげた。

     ポイントは玉ねぎを飴色になるまで炒めること。焦げないように混ぜた所に、カレー粉を入れれば既にキッチンも部屋もカレーの匂いに包まれていく。
     角切の牛肉を焼き、赤ワインを投入する。肉料理には赤ワイン、とよく言うが——。

     ぐぅー、と腹の虫が鳴った弥生ちゃんは、恥ずかしそうに俯いてしまった。食べる手を止めて一生懸命聞いていたし、なおかつ目の前に湯立つカレーが鎮座していれば仕方ないことだ。

    「食べて良いよ」
    「すみません……」

     申し訳なさそうにスプーンに手を伸ばし、弥生ちゃんは再びカレーを頬張り始めた。

     作り方の続きは以下の通り。
     香りや味の強い赤ワインは、淡白なものよりも脂が乗り肉の味がしっかりついている牛肉との方が相性が良い。
     互いに強いもの同士、赤ワインと牛肉が長所を高め合ってより深い味わいを生み出してくれる。
     アルコールを飛ばし、カレー粉で風味づけした飴色玉ねぎと混ぜて弱火でぐつぐつ根気強く煮る。
     最後に風味を調整する為にバターを入れたら出来上がりだ。

    「んー、美味しかったです!」

     名残惜しそうにほっぺをすりすりして「ご馳走様でした」って蕩けた顔のままで言われたら、作った甲斐がある。

    「ああ、満腹満腹……お店で出てくるカレーみたいでした」

     お店で、ね。元はプロの料理人だったから厨房で作ってたよ、昔は。
     過去の苦い思い出と共に言葉が口から溢れ落ちる前に、弥生ちゃんがぽん、と手を打ち鳴らした。

    「カレーが美味しすぎて忘れてました! これ、昨日のお礼です。心ばかりの品ですが」

     紙袋には『地球史博物館』の文字が見えたような。博物館のお土産屋さんの中に売っているものだろうか。
     もしかしたら、アノマロカリスの形をしたお饅頭とか?
     それともカンブリア紀の生物を模したお菓子のアソート?
     ……まさかな。

    ◆◆◆
    加筆した前半部分と合わせて公開していますのでよろしければ……
    『嗚呼、私の絶滅種!』
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862794085100/episodes/16816927862795162156

  • こんにちわ
    ♪ 一帆です。私は、あまり辛くないおこちゃまカレーが好きです。最近はタ、ク、コの香辛料は常備するようになりました。

    第二膳の回答をやっと書き上げました。
    よろしくお願いします。
    (前半もかなり加筆してます。おまけに挿入話まである(笑))

    ♪♪♪♪♪

    自分のおなの虫に負けた天蓬さんは、しばらくの間うずくまってふるふると震えていた。その様子が外見から想像もできないくらい可愛らしくて、思わず笑いそうになったけれど、ぐっと我慢して、薄焼餅を作るための準備を始める。

     ―― そりゃ、あんな爆音鳴らしたらね……(笑)。

    突然、気持ちを切り替えたのか、天蓬テンポウさんがすくっと立ち上がった。

    「ならば、俺が鳥をさばこう!!」

    ♪♪♪♪

    続きは、「妖術士見習いは愛を学びたい」 で。
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862494687766

  • おはようございます!
    🐹黒須友香です。
    さきほど自作品に投稿いたしました。よろしくお願いいたします。

    ↓🐹

    突然だが、家の前で生ゴミを踏みそうになった。

    「生ゴミちゃいます! ハムスターです!」

     今日も生ゴミ、もといハムスターが喋った。

    ↓🐹続きはこちら!
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862423037971

  • 🎐風鈴

    短くしたかったんだけどw
    プレイも書きたかったんだけど。
    華麗に書きたかったんだけど・・えっ?


    ***

    「お土産って、これかよ!お前、どんだけオレが食いしん坊だと思ってるんだよ!って、ありがとな!独り身には一番有難い」
    「えへへへ、それ美味しいところのだから。有名なんだよ、並んで買ってきたんだからね」

    「おお、そうか!それは大変だったな。で、丁度二人分なんだがな」
    「えへへへ、あれ、そうだっけ?テヘペロ」

    「はいよ、カツカレーだ!カレーで良かったよ。カレーとかじゃなかったら、何を希望してた?」
    「かつ丼!でも、カツカレーも大好きだから。いただきまーす!うんぐうんぐ、えっ?なにこの味?複雑な味。甘いようでいて、辛みもあり、コクもあって、まろやかで。本格的な感じもするけど、スパイシー過ぎないから、どんどん食べれちゃう!本格的お子ちゃまカレー?」

    「おまえ、それ、ナニゲにディスってないか?悪かったな、お子ちゃまで!あんまり辛いのは苦手だからな」
    「えへへへ、わたしも!」
    「なんだよ、お前もお子ちゃまじゃねーか!」
    「えへへへ!」

     オレのカレーは、市販のルーの甘口と中辛の2種類を使っている。
     そして、今回の隠し味だが、①砂糖②インスタントコーヒー③日本酒④すりおろしたニンニク⑤酢⑥すりおろしたりんごを、3人前で①②⑤は小さじ1~2程度、③④⑥は適当に混ぜている。なにせ計って作ってないから、目分量とその時の気分で変わる。
     他には、ミルクチョコレートとか、乾燥桜エビの砕いたモノとか、ビールとか、ガラムマサラとか、ヨーグルトとか、牛乳とか、醤油とか、味噌とか、気分とその時の持ち合わせで変化する。

     隠し味は、とにかく、少しだけで良い。
     主役にしてはダメなんだ。

    「お代わり、ある?」
    「はいよ!カツはもうねーけどな」

    「うんぐうんぐ、うえっ!!なにこれ?」
    「それかーー、あははは、それは当たりだ!それは、ローリエだよ。月桂樹って知らねーか?」
    「えっと、日本酒の種類?」
    「おまえ、ホントにスゲーな」
     ――――月桂カンって言う酒と間違うのかよ!でも、半分当たってるよw

    「そんなに褒めなくても、えへへへ!」

    「あのな、それは月桂樹っていう木の葉っぱだ。でな、その月桂樹の葉っぱがついた枝で冠を作って、競技の優勝者に与えられたんだ。古代ギリシャの話だけどね」

    「そうなんだ!物知り!」

    「だから、明日はヤレルさ、きっと!」
    「うん!」

     ***

     翌日の夕方。

    「えへへへへ、これ、お礼!」
    「えっ、なんかごめんな。そんなモノを貰う義理なんかないのに」

    「だって、ずっと頑張って来れたのも、決勝まで来れたのも、全部コーチのお陰だから」
    「そんな事はないよ。僕は大したことなんかしてないから・・」

     ドンッ!
     急に抱きついてきて、オレの胸に顔を埋《うず》めて来た。
    「おうっ!ど、どうした・・」

    「えっく、えっく、ええええんんんんんん!!」
     オレは、頭を優しく撫でるしかなかった。

    「お前は、よくやったよ。背が低いハンデも持ち前のスピードでカバーしてたし。チームの最高の隠し味になってたよ。お前が出た時には、必ずチームは攻勢に出れたからな。だが、如何せん、相手が・・」

    「ねえ、早く食べないと冷めちゃうよ、カレー!」
    「うん?ああ、食べようぜ!」
     ――――この立ち直りの速さに、いつもしてヤラレルな。しかし、今日もカレーが欲しいとか、おつカレー(お疲れー)だからって、おまえなぁ~。

    「美味しいか?」
    「うん!」

     お土産を開けると、それは二つのマグカップだった。
     ひとつは、ハートに矢が刺さっており、もう一つにはキューピーちゃんが矢を引き絞っていた。
     そして、それから二つのマグカップは、オレの食卓にいつも並ぶことになったのだった。

     了

  • 💐涼月💐です

     第二膳、投稿します! よろしくお願いいたします。

    💐 💐 💐 

     とは言えど、びしょ濡れの色音をそのまま部屋に通すのは無理だ。
     まずは色音の手のひらの花びらを器に入れさせる。緑と雨の匂いがした。
    「桜だね。俺も好きな花だよ。ありがとう」
     その言葉に、色音が安心したような笑みを浮かべた。
     続きはこちらになります
        ↓
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862602812315/episodes/16816927862641981834


  • 編集済

    お邪魔します。
    よろしくお願いします。


    🐚洞貝渉

    「さあ、どうぞ。リコピンとDHAをたらふく摂取するといいよ!」
     その人はいい笑顔で言って、カレーを頬張った。
     ……リコピンと、DHA?
     私は目の前に出されたカレーを凝視する。
     カレーだ。どうということもない、普通においしそうなカレーだ。
     白米特有の優しい甘みのある匂いに、食欲をそそる独特な香りが混ざり合い、より一層腹の虫が主張をしてくる。
     でも、そういえばこのカレー、肉が入っていないような。

    「どうしたの? カレー、あんまり好きじゃなかった?」
    「あ、いえ、その、カレーは好きです、けど……」
     そう? と言ってにっこり笑いかけられた。
     何か言わないと。もしくは、食べないと。
     でないと失礼だとは思うものの、スプーンを持つ気にはなかなかなれない。
     この微妙な胸のモヤモヤをどう伝えたものかと思案していると、その人はおもむろに言った。
    「いやー、やってみるものだよね。万能缶詰の鯖缶には感謝感謝!」
    「さば、かん……?」
    「そ、トマト缶と鯖缶。リコピンとDHA。給料日前のストック消費食材としては、上等でしょ?」
    「はあ……」

     目の前にはほわりと香り立つ、胃袋を刺激する出来立てのカレー。
     その人はハフハフと言いながら、とてもおいしそうにカレーを口に運び続ける。
     実際、おいしいのだろう。たぶん。
     でも、私はなかなかスプーンを持つことが出来ない。
    「おいしいのですか?」
    「うん。おいしいおいしい」
     あれ、このやりとりデジャヴなのだけれど。

     私はため息を吐いた。
     生臭さは特にないし、さっきからグウグウとお腹の主張が激しい。
     ここは、覚悟を決めるべきなのだろう。
     私はスプーンを持つ。

     カレーを軽く白米に絡め、スプーンにのせる。
     その熱々の一口をほおばると、思考がグンと味覚に乗っ取らた。
     汗が噴き出る。ほのかな酸味と、脳に直接訴えかけてくる濃いカレーの味。もはや、カレーを食べること以外には考えることが出来ない。すぐに崩れるこれは、鯖だろうか。牛や豚、鳥のような食感もうま味もないけれど、どことなく不思議な深みがあるような気がする。

    「お粗末様?」
     その人の一言で、自分の食事が終わっていることに気が付く。
     完食するまで、あっという間だった。
     私は空っぽになった皿に、スプーンを置いて、その人を見る。
    「ごちそうさまでした、その……」
     その人はお皿を下げながら、んー? とどこか間の抜けた声で言う。
    「おいしかったです、とっても」

     私の言葉に、その人は一瞬きょとんとする。
     それから、いたずらっ子のようにニヤリと笑った。

  • 春川晴人🌞です。よろしくお願いします。

    🌞 🌞 🌞

    「あのー、さ」

    彼は心底申し訳なさそうにスプーンを置いた。

    「ごめん、実は食べられないんだ」

    その視線の先にはニンジン。子供かっ。心の中で突っ込むけど、苦笑いを返すことしかできない。

    「だったら、よけちゃっていいよ? それとも他に、嫌いなもの入ってる?」

    昨日、ご近所さんにしいたけ狩りに行ったからと、おすそ分けにもらったしいたけが入ってる。きのこは、嫌いな人はとことん苦手だもんね。

    「いや、しいたけは平気なんだけど……」

    もしや?

    「辛いのが苦手? だったっけ?」

    記憶の断片から引き抜いた言葉に申し訳なさそうに頷く彼。

    「わかった。中辛だったけど、それなら工夫してみるね」

    あたしはもう一度鍋の前に立ち、それから冷蔵庫を開けて牛乳と生クリームと板チョコを取り出した。

    「あのっ。本当に気を使わなくていいから」
    「そうはいかないよ。目の前で空腹の人がいるってのに、放っておけませんよ」

    そう言うと、ボールの中に牛乳を入れて温める。少し多めに生クリームを溶かして、その間に刻んでおいた板チョコを混ぜ込む。

    鍋の中に、それらをくるりと円を描くように流し込むと、丁寧にかき混ぜた。おいしくなーれ!!

    スパイスの香りに混ざって、甘い香りが漂ってくる。よしっ。

    リベンジ、とばかりにニンジン抜きの甘口カレーを彼の前に置いた。ダジャレではない。

    「ありがとう。ここまでしてくれるなんて」
    「どういたしまして。ね? 今度は食べられるかな?」
    「いただきます!!」

    彼はおそるおそるスプーンを口に運んだ。瞬間のとろけそうな笑顔に安堵する。

    「おいしい!! おいしいよ、これなら食べられる。ありがとう!!」
    「よかった」

    あたしはまた立ち上がり、中辛カレーの上に甘口カレーをかけて、ミックスにして食べ始める。

    「ねぇ、カレーってさ。作りすぎちゃうのがネックなんだよね」
    「それって?」

    うふふっとあたしは笑う。よかったらまた食べに来てよね。近いうちに。


    おしまい

  • 🐤小烏つむぎです。

    今回も前半に(かなり)手を入れています。
    出来れば前半から読んでいただけると嬉しいです。
    以下は後半の冒頭です。
    よろしくお願いします!

    ********
     
    「うまいか?」
    子どもはコクコクと大きく頷いた。
    さもありなん!
    指南書によると、これは遠国《とつくに》でこぞって食べられる「カリイ」という料理ぞ。

    https://kakuyomu.jp/works/16816927862577875744/episodes/16816927862645252365

  • こんにちは。オーソドックスな日本のカレー、ちょっと辛口です。

    📞📞📞
    とびらが開いたとたんにふしぎな匂いがぶわっとあふれてぼくをつつんだんだ。とおい異国の、熱気をはらんだ風が吹いたような気がした。
    その風にまじっていた匂いがいま、ぼくのまえに置かれたまっしろな皿からぷうんと鼻をつついている。
    魔法がかかっていそうな、魔訶ふしぎな匂い。
    おもわず顔をあげると、むかいに座った男のひとと目が合った。
    おんなじしろい皿と、かたわらにはぼくが持ってきた古ぼけたワインのボトル。たまたま拾ったボトルで、いつもの店に持ちこんでなにか食べものと交換してもらおうと思ってたんだけど、いいんだ。どうせ店のおじさんはいつもみたいに足もと見て、たいしたものをくれやしない。このひとに飲んでもらったほうがよほどいい。

    男のひとの皿にもやっぱりおなじごはんが盛ってある。ぼくがいつまでも食べないでいると、手本を見せるようにスプーンでひとさじすくって食べた。
    それでぼくも意を決してスプーンをにぎったけども、やっぱりあやしい匂いなんだ。ぼくたち孤児は、野生のけものの勘で、本能的にきけんを嗅ぎとる。ほとんど黒にちかいこげ茶のシチューがとびきりきけんな信号を発して、いけない、とぼくをとめるんだ。
    なのに男のひとは平気でぱくぱく食べて、ときどきぼくのようすをぬすみ見ている。
    あやしいシチューに副えられたお米はほくほく湯気をたてている。ひとつぶひとつぶがつやつやひかって、悪魔じみた魅力でぼくを誘う。それにシチューのなかにごろごろ転がっているのは、まぎれもないお肉。これを食べないなんて法はない。そうだよ、このひとがぼくにわるい魔法かけたり毒を盛ったりするわけないし。この家にいると、ぼくのきけん察知の本能はどこか遠くへ飛んで行ってしまうみたいだ。

    こわごわひとくち口にいれると、いくつものスパイスが喉から鼻へととおった。ひさしぶりのお肉がやわらかくて美味しくて、言葉にならない。お米はなんてあまいんだろう。シチューは舌にぴりりと来たけど、そんなこと気にせずばくばく食べて、おかわりまでしてもらった。
    ところがおかわりを待つあいだ、急にぼくは口から舌から喉から、そこらじゅうがひりひり焼けるような痛みがやってきて、おもわずとび上がってしまった。あわててコップの水を飲みほしたけど、そんなものじゃ効きやしない。全身から汗がごんごん流れ出て、洟みずなんかもずびずば垂れてきた。からだがへんだ。全身がかっかして、視界がかすむ。
    目から涙がにじむのに気づいて、はっとした。涙なんかもうずっと流したことがなくって、ぼくのからだに涙は一滴もはいってないんだって思っていたのに、まだのこってたんだ。悲しくても悔しくても出なかった涙が、からだの調子がおかしいからって出てくるなんて、ふしぎだな。

    にじんだ視界のむこうで男のひとはあわてる様子もない。毒でも入れた? なんのために? 信じてたのに。
    とじた目から涙がこぼれるのがわかった。やっぱりおとななんて信じるもんじゃないやってつめたく笑おうとしたけど、でも信じてたいんだよってどこかから声がしてうまく笑えなかった。
    汗と涙と洟みずをぼろぼろ流して、ぼくはもう目をあけるもんかと思った。

  • 一体みんなどんなカレーで攻めてくるんだろう。もちろん私は今回も飯チラで。
    🍏🍏🍏

    その時グーと鳴る地響きのような音が……もちろん僕の腹の悲鳴だ。カレーの誘惑に勝てる者はそうそういない。
     僕は諦めてさっさとキッチンに戻った。
    『一人で食べるより二人で食べる方が美味しいと思う』
     この言葉をあの人に手向けるために、僕も料理をするようになった。なんでもしてもらうばかりではいけない。願わくば一緒に……
     そんな幸せな妄想を繰り広げていると、不意に両脇に気配を感じた。
    「オムカレーがいいなあ」
    「おい、卵はあるだろうな」
     幼子二人がグイグイと詰め寄ってくる。僕は大人しく卵を取り出して手早く溶いた。どうも言いなりになってしまう。
     とはいえ溜息を料理に込めるようではいけない。
     皿に盛った炊きたての古代米を愛情を込めて卵で包み、その周りにこっくりとしたカレールウを回しかけた。

     そして食卓を三人で囲う。

     墨黒の皿の真ん中に黄色い丘。そのてっぺんはルッコラと赤いパプリカで彩りを添えておいた。彼らは意外にも待てができる性分のようで、どちらかというと時間をかけてもいいから美味いものを食わせろというスタンスのようだ。だからあれこれと付け合わせを乗せた白い豆皿を並べる間も、物珍しそうに眺めていた。
    「フルク! これは何だ!」
    「なんなの、コレ!」
     双子のようにそっくりな容姿の彼らは息がぴったりだ。
    「えーっと、左から順に……

    🍏🍏🍏
    さて、話の全貌は『異都奈良の琥珀食堂・俺とオマエのお膳立て』にて
    https://kakuyomu.jp/works/16816410413893461604/episodes/16816927862533591729


  • 編集済

    「誤解のないように言っておきますが、一応この間のお礼に立ち寄っただけで決してあなたの料理が目当てというわけではないですから」

     目の前の青年はそう言いながらも香ばしい匂いを漂わせるスパイススープを口の中に運ぶことをやめようとはしない。

     彼はこう見えても大黒様の化身なのだ。祀られていた社が壊されてしまい、行き場を無くしたのだそうである。力を失いみすぼらしい人間の姿で彷徨っていたところを、先日私が見かねて料理をごちそうしたのが縁だった。私がお茶漬けを「お供え」して多少は神様としての力を取り戻したせいなのか今日は以前よりも身なりも良く、厚手のシャツの上に古風な外套を纏った気難しい書生のような風情だった。

     大黒様もとい大黒天と言えば、商売繁盛の神様であり米俵に乗っている姿が有名であるように食物の神様でもある。料理店を営むのが夢であったが上手くいかずに失敗した私としては、枯れかけた夢を咲かせるために是非とも、彼に居てほしかったのだが先日は機嫌を損ねて帰られてしまった。

     そこで今度こそは彼の胃袋を掴んでそのご利益に預からせてもらおうという腹積もりである。

    「それにしても、このカレーライスは本当に酸味と辛みのバランスが絶妙ですね。それに……コクがある」
    「肉を炒めてからそれとは別に玉ねぎを飴色になるまで炒めて、そこにトマトとヨーグルトも足してある。ジャガイモは味がぼやけるから揚げてから最後に加えたんだ」
    「道理で。御飯がいくらでも進んでしまいます」

     彼につられて、わたしもスプーンでカレーを忙しくすくい続ける。
     どろりとしたスープを口に含めば、スパイスがきいた肉の味わいが口の中に広がる。それでいてヨーグルトのおかげで臭みはない。
     トマトの酸味が味をさらに引き立てて、隠し味の唐辛子とマスタードが食欲をそそる。
     またホクホクの揚げたジャガイモが口の中でほどけて、カレーのスパイスの味とブレンドして舌に更なる満足感を与えてくれるのだ。

     我ながら、会心の出来だ。これならば大黒様も満足だろう。
     そう考えているうちに彼と私の皿の中は空になっていた。
    「ごちそうさまでした。……ところでこのお肉って何の肉ですか?」
    「ああ。牛肉ですよ」

     その言葉に場の空気が凍り付く。
     彼はわなわなと身を振るわせてこちらを睨んでいた。

    「あなた。わたしが何なのかわかっています?」
    「何って大黒様。……あっ」

     大黒様のルーツはインド神話のマハーカーラ神であり、サンスクリット語のマハーが「大きい」カーラが「黒」という意味であることから来ている。そしてそのマハーカーラはヒンズー教の破壊神シヴァの別名なのだ。

     シヴァ神が乗り物にしている牛は神様の使いであり、ヒンズー教徒が多いインドでは牛は神聖な生き物で、食べるなどもっての外なのである。

    「このわたしによりにもよって牛肉を出すなど。……料理を食べさせる相手への配慮がなっていないから店がつぶれたんじゃないですか」
     心の傷口をえぐられるようなことを言われてしまった。だがショックを受けている場合ではない。機嫌を損ねた彼はまたも帰ろうとしているではないか。

     ここは何とか理由をつけて引き留めないと。

    「ま、待ってください」
    「……何ですか?」

     彼はまさに破壊神さながらの憤怒の表情で振り返る。ここでくだらないことを言われたらすぐ帰ると言わんばかりに。

    「カレーライスという料理はあなたがいて初めて完成するんです。ですからあなたにはここにいてもらわないと」
    「その心は?」

     彼は意味が解らず首を傾げた。

    「カレーと言えば福神漬けがつきものです。福神、つまり福の神であるあなたがつきもの。なんちゃって」
    「……帰ります」

     わたしの渾身のジョークも虚しく彼はまたも背を向けてしまったのだった。

    ❄️ ❄️ ❄️

    ❄️雪世明良です。
    連作ということで、話につながりを持たせてみました。

  • 🍻カレーとビールの組み合わせは最高ですね! お話の中では、ビールの代わりに麦茶ですが。というわけで以下、お食事場面のみ抜粋です ↓ ↓ ↓


    「グゥぅ〜、ぐギュルルる」

     凄まじい音がして、わたしは思考の中断を余儀なくされた。
     空になったサラダボウルを前に、カレースプーンを握りしめて今にもよだれを垂らしそうな少年がこちらを見つめ、椅子の下では足がバッテンの形でソワソワと揺れている。
     無理もない。程よく温まったカレーが、えも言われぬ芳香を撒き散らしているのだ。今この部屋は、旨味の王国、スパイスの楽園。

     オリーブオイルとバターで飴色に炒めた玉ねぎ、小さめに切ったにんじんとあえて大きさを不揃いにしたじゃがいもが、数種類のスパイスを効かせたスープに程よく煮溶け甘い香りを放つ。
     カレー粉で下味をつけてカリッと焼いた大ぶりの牛スネ肉が豪快にフランベされ、赤ワインをたっぷり纏ってゴロゴロと投入。鍋の中で野菜エキスと絡み合い芳醇な味わいを醸し出している。
     各種スパイスと二種類のカレールウの黄金比率でそれらをまとめ上げた、究極のカレーシチュー。

     セロリ、にんじん、ハーブソーセージを甘めにマリネした、福神漬けがわりの小皿を添えて、固めに炊き上げた押麦ご飯とカレーをよそう。
     野の花を活けたグラスを挟んで向かい合わせに座り手を合わせると、テンも「あっ」という顔をして急いで手を合わせた。

     声を揃えて、「いただきます」。

     ちゃんと自分でスプーンを握り、ふーふーして、ぱくり。
     その瞬間、ふわふわの明るい髪の下からもふもふの耳がピョコンと立ち、ダブダブハーフパンツの裾から太い尻尾がボムっと現れた。

    「なにこれ美味しーい!」

     大きく掬って、もう一口。

    「あっふ! あれ、あっ、からぁい!」

     旨味の後から辛さが来たらしい。普段より辛さをだいぶ抑えて作ったけれど、やはり初めてのカレーは刺激が強かったみたいだ。尻尾がブワッと膨らんでいる。
     花のグラスに手を伸ばすのでその手を止め、急いで麦茶を持ってきてやる。ごくごくと麦茶を飲んで、また一口。目を潤ませながらも美味しそうに、ふーふーもりもり食べている。

     うんうん。スパイスは効いてるけど、辛味はマイルド。舌の上でとろける野菜の甘み。よく煮込まれた牛スネ肉の筋肉繊維が口の中でほろりと崩れ、スジの部分はプリプリとろりと蕩け、力強い味わいだ。固形ルウを極力減らし、足りないとろみは溶けたじゃがいもで程よく補われている。旨味とコクは濃厚だが油分が少ないため、いくらでも食べられそうだ。
     カレーは飲み物、なんて言葉が一時期流行ったけれど、ほんとにそんな感じ。口直しのマリネに手をつけるまでもなく、あっという間に一皿平らげてしまった。
     テンは自分でもびっくりしたみたいに、不思議そうに空の器を眺めている。
     なんで「あれ? なくなっちゃったよ?」みたいな顔してるんだよ。君が食べたんだよ、それ。

     空になったカレー皿をそーっとこっちへ押して寄越す姿が微笑ましい。

    「テン、美味かったか」
    「うん!」
    「おかわり、いる?」
    「うんっ!」

    🍻
    小狐くんの正体がちょびっとだけ明かされました。続きはこちらでお願いいたします↓
    『ハーフ&ハーフ企画 参加作品集』https://kakuyomu.jp/works/16816452220246177194/episodes/16816927862610822785

  • ☆☆☆ 愛宕 ☆☆☆

     目の前にカレーが出された。
     サラッとしたカレーの海に、皿の幅を逸脱するほどの魚が横たわっている。俗に言うフィッシュカレーというやつだ。この手のカレーは滅多に見かけないが、俺は何度か合間見えたことがある。魚がゴロっと出されたタイプは、あの名店「カマルプール」のスタイルに近い。我が師、五郎先生も唸った絶品の鯖カレーに近い。もちろん俺も巡礼を済ませている。

     しかし、頭から尻尾まで姿焼きされた魚が乗っているのは初めてだ。俺は何の魚か教えてもらうために、頭を上げ、無言で関川くんを見つめた。

    「これは、鯵だよ。骨まで丸ごと食べれるよう、高温高圧調理というやつで焼いたものなんだ。見た目以上に柔らかいよ」

     そういえば関川くん、前はプロの料理人だって言ってたなぁ。最新の調理方法まで取り入れてるだなんて、これは家で作るレベルじゃないぞ。まぁ、それを食わせてもらえる俺としては、ありがたいの一言だ。

     まずは、箸で鯵の頭と身を分けてみる。
     これは凄い! 骨はどこだ? 力を入れるタイミングが全く無かった。せっかくなので、頭から口に入れてみた。こんなホロホロの食感、味わったことがないよ。いいじゃないか、いいじゃないか。高温高圧調理、いいじゃないか。
     しっかりと鯵にもカレーのスパイスが染み込んでいる。鯵にも味が……なんて、全く味な事をしてくれる関川くんだ。サラッとしたスープ状のカレーも味わい深い。少し酸っぱい感じがまた、俺の食欲を促してくれる。

     スープの下で埋もれているお宝は、ジャスミンの香りが高い白飯だ。前に関川くんが出してくれたお茶漬けのようにサラサラとしている。あの時と同じく、噛む必要など無い。カレーは飲み物とは、こういうことを言うのだろう。

     ――ごちそうさまでした。

     言葉には出さず、両手を合わせてお辞儀した。本当なら声を大にして美味さを伝えたかったが、俺が少年になった理由、そして自分の声が子供のものなのか大人のものなのか、どちらも分からない内は静かにしていたい。今日もこれで勘弁してくれ。

     鯵の姿焼きカレー(高温高圧調理)。
     さすがにこれは、関川くんの手にかからないと食べれるものではない。今日の手土産は「うまい棒」だったが、次はもっと良いものを持参することにしよう――。

  • 💎玖珂李奈

    長編にしましたので、一つのお話としてまとめました。
    公開するのが凄く恥ずかしいです。ほんとごめんなさいです……。
    『午前0時の食卓』
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862450734712
    今回のエピソードはこちら
    (合計三千字くらいになっちゃいましたごめんなさいぃぃぃ)
    https://kakuyomu.jp/works/16816927862450734712/episodes/16816927862608618129
    主人公:烈(れつ)
    ごはんを食べる少女:紅子(べにこ)
    主人公の元カノ:美奈(みな)

    *第一膳の描写で一部変更あります。
    「制服」→「セーラー服」

    🍛一部抜粋🍛

     紅子が来た時にカレーを振舞おう、というのは、割と早くに決めていた。だがどんなカレーにしようかで少し悩んだ。

     彼女は「JK」という雰囲気ではない。「女子高生」でも微妙な感じだ。敢えて言うなら「女学生」といった感じ。
     で、「女学生」なら懐かしい雰囲気のカレーがいいかな、という失礼な偏見により、牛すじカレーにすることにした。

     使い込んだ大鍋で、長い時間をかけてじっくり、じっくり牛すじを煮込む。
     硬い牛すじがほろほろに柔らかくなっていく。
     人参と金茶色に炒めた玉ねぎと一緒に赤ワインで更に煮込む。
     懐かしい雰囲気にしたくて入れてみたジャガイモと共にカレーになる頃には、牛すじは輪郭が曖昧になるほどにとろけていた。

  •  🌸悠木柚です。キーマカレーが好きです。


    (やっぱり懐かれちゃったか……)

     俺の人柄というよりは、料理のせいなんだろう。男の子は先日のお礼(※1)にと、わざわざ訪ねてきてくれた。

    「まぁ、上がりなよ」

     そういうと嬉しそうに靴を脱いで部屋の中に入ってくる。それから少し鼻をひくひくとさせ、何とも言えない笑顔を浮かべる。

    「今日はカレーを作ったんだ。また食べてくかい?」

     ちょっとびっくりしたような表情。それから内面で葛藤しているのか、やたらと足元と天井で視線を往復させている。その間に俺はカレーの配膳を始めた。

    「実は多めに作ってしまってね。それに、一人で食べるより二人で食べる方がおいしいと思うんだ」

     お腹がグーと鳴る音が『いただきます』の代わりだった……(※2)


     ◇


    「おいしい、おいしいよ!」
    「まだまだあるからな、ぎょうさん食えよ」
    「わーい!」
    「ところで相談があるんやけど」
    「いいよ、何でも言って!」
    「実はな、君の容姿を画面の向こうにいる読者に伝えなあかんねん」
    「画面の向こうって何?」
    「子供がそんなこと疑問に思うたらあかん」
    「そうなの?」
    「ああ。君みたいなショタに求められるんは『素直で可愛らしい』とか『やんちゃだけど憎めない』くらいや。変にあれこれ質問したら、自分の子供とダブって急に読者が正気に戻るから気を付けるんやで」
    「分かった! 気を付けるよ」
    「うんうん。じゃあさっきの続きやけど、君は獣人ってことでエエかな」
    「ボクは人間だよ?」
    「そんなもん黙っとれば解らんのじゃボケ! お前が今、バラしたからもう獣人属性を付けれんようになったやないか。画面の向こうにいる読者が、どんだけ獣人キャラの登場を待ってると思ってんねん! 内閣が増税案出しても暴動は起こらんけど、物語に獣人キャラ出さんかったら戦争が起こるんじゃ!」
    「ご、ごめんなさい。じゃあボク、獣人でいいよ。人間だと思ってたけど実は獣人だったみたい」
    「いや、そう言ってくれると助かるわ」
    「ううん、大丈夫だよ。それよりこのカレー、美味しいね!」
    「…………なんやて?」
    「(ビクッ)」
    「思い出したようにカレーの話とか混ぜてくんなや! ケモミミとか尻尾とかモフモフの説明させたれやコラ! 世の中は需要と供給なんじゃ。カレーの話を放置しても怒る奴はおらんけど、ケモミミ登場回で脱線したら核飛んでくるからな!」
    「核飛んでくるの?」
    「今ちょうどロシアが戦争しとるやろ。プーチンとかムーミン谷にいそうな名前しとるから、ほぼほぼ獣人やんけ。ヘソ曲げて、ウクライナのついでに日本もいてもたれ! みたいな感じで絶対飛ばしてくるわ」
    「獣人の扱いって繊細なんだね」
    「それだけ重要な立ち位置なんや」

     某月某所。ひょんなことで獣人の男子と中年の男性が交流を持った。ふたりはこの後もカレーの話をスルーして色々と語り合う。そこにはカレー回だからカレーを絡めた話にしようという真面目さなんて微塵もなかった。あったのはただ、話が弾んだときに食べていたのがカレーだったという事実だけ。



     fin



     ---------------------

     ※1 連作形式にしていないので何のお礼なのかさっぱり分からない。『じゃあ勝手に問題文を作り替えれば?』という至極当然な疑問を投げかけてくる輩よ。お前はまだ、キレた時のフタヒロを知らない。

     ※2 きっと10回全てを、このフレーズで締めたいと考えている。

  • 関川さん、予定通りの更新ありがとうございます!
    では、早速

    🍷🍷🍷

     わたしは、程よくとろみがついていることを確認し、煮込んでいた鍋の火を止めた。
     本日の料理は、タンドリーチキンカレーだ。

     先日、行き倒れていた少女を連れ帰ってきた日のこと、わたしはあの日以来誰かのために料理を振る舞った。
     わたしの中で凍っていた時が溶けたかのように動き出し、料理を作る喜びを思い出したかのようだった。

     この1週間というもの、少女がいつ戻ってきても良いように毎日二人分作っていた。

     今日までの作りすぎてしまった料理は、わたしが居候させてもらっているココ、『変態の館』の館長カノーさんにおすそ分けしていた。
     毎食のことで困ったように苦笑いをしていたが、わたしの中で何かが変わったことに気づいたのか、口端が嬉しそうに上がっていた。
     カノーさんは、天を貫かんばかりにそそりたつ摩天楼『変態の館』の主として最上階にあるペントハウスに住み、この界隈では絶大な影響力を持ちながらも慕われている。
     一部の者たちの間では、ウンバチのように畏怖されているそうだが真偽の程は定かではない。

     さて、今日は食事を楽しむ相手が目の前にいる。
     これだけで伸びる食指が押さえられない。
     少女も同様に目を輝かせながらすでにスプーンを握っている。

    「いただきます」

    🍷🍷🍷

    続きはこちらです。

    出っぱなし

    『飯テロリスト関川様、ネコ耳を拾う』

    https://kakuyomu.jp/my/works/16816927862486888667/episodes/16816927862567863268