悪役令嬢に○されそうです。助けてください……

第37話 ここに来た目的......

「アノンさん、話は聞けましたか？」

サルバドールが問う。

1人で飛び出して話を聞きに行ったため、少し心配そうな素振りを見せる。

「はい、聞けました。マルクの城は夕方6時に開くそうです」

私は元気よく伝える。

一歩ずつ目標に近づき、テンションが上がっている。

しかし、未だになぜ結婚式に乗り込もうとしているのかは分からなかった。

たしかに、マリアがマルクと結婚することは納得し難い事実だが、その式を怒りに任せてめちゃくちゃにしたいと言う思いもない。

私は人よりも、消極的であまり友達もできなかった。

でも、サルバドールさんと出会ってからは少しずつ自分が出せるようになって来た気がする。

これはマルクと一緒にいた時も同じだった。

ただ、はっきり言えるのは、私はサルバドールさんが好きだ。

サルバドールさんと会った時から心のどこかで思っていたことだ。

でもマルクが頭に浮かんでしまい、自分の中で押し殺していた。

けど、マルクが結婚するとなった今、私の中で何かが吹っ切れた。

結局、ずっと片想いだったんだ。

ならば、ずっと私を掌の上で踊らせてくれた道化師の結婚を祝ってあげても良いじゃないか。

今、私のマルクへの好意が完全に無くなった。

そう、祝うのだ。親友のおめでたい日、それはこの国にとっても大変な出来事。

親友として、国民としてそれを祝いに行くだけだ。

私は目的のない行動になんとか、理由を作った。

「アノンさん」

「はい？！」

急に呼ばれ、変に声が高くなる。

「式まで結構、時間が余っているんですが、その間少しこの城下町を案内してくれませんか？」

「は、はい。もちろん！」

意気揚々と言う。

「実は、私城下町に来るのが初めてで」

サルバドールは照れた様子で後頭部に手を添えながら言う。

「そうなんですか？じゃあ今から案内しましょう」

私はサルバドールとの2人の時間が続くことに何よりも喜んだ。