第31話 二人の関係
「え?二人の関係ってどういうこと?やっぱり二人は仲がいいの?」
仮説を立てていながら本当にその通りになりそうで私は焦る。
「ええ、仲が良いというか...」
「何?なんなの!?」
私は言葉を詰まらせるミミックに容赦なく結論を聞こうとする。
そしてミミックは言う。
「二人は結婚していますからね」
まさかの答えに私は声も出ない。私はその言葉を聞いた途端、意識が飛び、膝から崩れ落ちそうになる。
私は力の抜けた体をなんとか壁で支えた。
「あ、ああ...。嘘...嘘でしょ......?」
私はほとんど口を動かさず、真っ白な表情で最後の希望として真実かどうかを確認する。
「いえ、本当ですよ。今、マリアがいないのは明日結婚式があるからですし」
私の崩壊寸前の精神状態とは裏腹に、ミミックは当然のように真実を突きつけてくる。
私はよろよろと歩き、そのまま汚く敷かれた布団に倒れ込み、主に精神面でどっと疲れた体を癒そうとする。
多分本能的な判断だったのだろう。
その後、ミミックは何か話しかけていたのだと思うが、私は一切聞く耳を持たずそのまま眠りに入った。
------------------
深い就寝を終え、私は目を覚ます。
いつもとは違う時間に寝たせいか今が朝なのか夜なのかもわからない。
私は体を横にしたままマルクの件を振り返った。
そうしたら一つの疑問を見つけた。
あの時なんでマルクはマリアに電話をかけたのだろう。
マリアが私を起こしに来なくなったタイミング。それがマリアがマルクの元へ行ったタイミングと同じなのだろう。
そうなればなぜマルクは館にはいないと分かっていながら電話をしたのか。
私は考える。ほとんど機能していなかったであろう脳細胞が一度寝たことによって復活し、どんどん可能性を見つけ出していく。
そしてさまざまな可能性に対する疑問をぶつける。
マルクはまだ、マリアと会っていないのだろうか?-でももうすぐ結婚式があると言うのにそれはありえない。
マリアは道に迷い、目的地にたどり着けていないとか?-でも大金持ちの御令嬢がたった一人でそこに向かうわけないか。
なら、マリアは一度この館に戻ってきたのか?-そうだとするとそれはなんのためだ?忘れ物を取りに帰ったのか?
私の頭の中で激しい議論が繰り返される。
結局、なんの結論も出ないままそれは無意味な議論となった。
そもそもなんの情報も知らないわけだし、なんでマルクがかけてきたとかわかるはずがない。
ただ、私はマルクが電話をした理由を知ることよりもしたいことがあった。
それが実現できるかはわからない。
けど、もう私には何もない。マルクという片思いの相手もいなくなり、恋愛ごっこすらすることができない今、することは...。
「結婚式に乗り込んでやろう」
私はそう言い、不敵に笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます