第22話 脱出した後は...?

私の家族は、父と母、そして私の典型的な核家族だ。


まず、そもそも私の両親は、私に対して興味がない。


子供ながらに自分の愛情の注がれなさは気づいていた。


しかし、何年もその生活をすると、それが普通になり、親とはこういうものだと自分の中で結論付けた。


まず父は毎晩毎晩、浴びるようにお酒を飲み、酔ったテンションで私に罵声を飛ばしたり、殴ったり物を投げたりする。


母は、情緒不安定なところが多々あって、急に狂ったように怒りだしだと思ったら急に泣き出したりと、とにかくめちゃくちゃだった。


そして、二人は仲も悪く、目が合うたびに喧嘩をして毎回私が巻き込まれていた。


しかし、私にとってはそれが普通だった。


そして学校でマルクと出会った。


兄弟もいなくて、頼るべき人を持っていない私にとってマルクは、私の心の拠り所だった。


マルクは私に初めて優しくしてくれた人で、この人と結婚できたらいいなと密かに思っていた。


そして私はだんだん家族と距離を置き始めた。


家に帰る時間も遅くなり、毎度母にキレられた。


けど、早く帰って理不尽なことで怒られるよりかは全然マシだった。


家に帰るまでのマルクといる時間だけが私の生きる意味になった。


この監獄に入れられてもなお、ある程度耐えられているのはそういう環境で育ったからなのかもしれない。


そして、その環境だからマルクを好きになったのかもしれない。


もしかしたら、マルクじゃなくてもよかったのか、と自分で思ってしまう。


優しくしてくれる人を心のどこかで探していて、それがマルクだっただけなのかもしれないと自分で思ってしまう。


でも、それでいい。マルクに出会ったという事実さえあれば私はそれでよかった。


自分の中のモヤモヤを払拭しながら過去を振り返った。


ふと、私は今の現状を考える。


今の私には、仲間がいる。


それも3人も。


今までの人生ではあり得ないくらい幸せだ。


今いる場所なんてどうでもいい。


私と関わる人がどんな人かで幸せは決まる。


私はそう思った。


そして、また不安になった。


もし、この後脱出したら私はどうなるんだろう。


アロクスさんやサルバドールさん、そしてマックさんはどこに行くのだろう。


今いる場所から逃げたい一心でここまできたが、今後のことなんて何一つ考えていなかった。


そしてもう一つ、あのパーティーはどうなったんだろうか。


停電になった後、私はここにいた。


パーティーにいた他の人たちは何事もなかったかのように、パーティーを続けていたのだろうか。


そう考えると少し寂しい。


確かに私はマルクが個人的に呼んだだけの人だから、他の参加者は私のことを知らない。


そうなれば、マリアとマルクはその後もずっと何か話していたのだろうか。


そう考えると少し悔しくなってくる。


私なんて結局は昔、仲が良かっただけの人に過ぎないのだろうか。


そうなるのならば脱出した後マルクのところに行こう。


そう思った。


マルクのところに行き、もう一度寄りを戻そう。


私はひっそりと今後について考えてみた。

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