第7話 朝食でのイレギュラー
まず条件として一つあるのが、マリア以外の人間とのコミュニケーション。
この対象に当たるのが、いつも食事を運んでくれている執事的な人。
食事は一日二回でおそらく朝と夜なのだろう。
この予想が当たっていれば起きてすぐにくる方が朝なのでいまが大体いつぐらいかが把握できる。
そして私はこの作戦のためにずっと観察していた。
そしたら気づいたことがあった。
食事を運ぶ人は少なくとも4人はいる。
深く帽子を被り、マスクもしているのでわかりづらいが、私が見る限り4人はいる。
小柄の男性と小柄の女性、眼鏡をかけた男性と体の大きい男性、この4人だ。
今のところ他にはいないはずだ。
そしてもう一つ、運ばれる料理の種類と運んでいる人の関係も観察してみた。
すると、トーストや目玉焼きなどの当たりの料理を運ぶ人は体の大きい男性以外だ。
今のところ体の大きい男性以外からは運ばれたことがある。
マリアが料理を決めていない時に、自分が運んでいる料理を自分が決めているのだとしたら体の大きい男性には話さない方が良さそうだ。
そしてもう一つの根拠として料理を渡されるときに、体の大きい男性以外からは何かしら声をかけられる。
「ごゆっくりお食べください」
「おはようございます。こちら朝食になります」
と、様々だ。
無機質だがこの言葉に感じる温かみはなんだろうか。
私が人を恋しがっているだけなのだろうか。
そうには思えない。
だから、この3人の誰かにしよう。
だが、迂闊に話しかけるのはよした方がいい。
まだその3人がこちらの味方と確定したわけではない。
ただ少しの良心を感じただけだ。
そして私はこの作戦のために試してみたいことがある。
今日のところは一旦寝ることにしよう。
次の日
パンッパンパンッ!
「!!?」
いつものようにマリアのおもちゃの銃で起こされる。
そしていつものように飽きたらマリアはどこかに去っていく。
そして朝食が運ばれる。
まずは執事を確認。
眼鏡をかけている。
体の大きい男性ではないとわかり私は安心する。そして運んでいるのは、ベーコンサラダだ。
素材一つ一つが多いのでちょうどいい。
私は受け取った瞬間、サラダを派手にぶちまけた。
「アノン様、今片付けいたします」
すると眼鏡をかけた執事は丁寧にレタスを拾い始めた。
完璧だ。私は心の中でガッツポーズをする。
おそらくマリア側なら拾わずにすぐさま帰っていくだろう。
これは良心がある証拠だ。
そして拾うことによっていつもは数秒のチャンスしかないが、今は時間もかなりある。
長い時間執事がいてもこぼしたものを片付けていたからと、言い訳もできる。
どうしようか、今言ってみるべきか。
もし、今後二度とこの人が来なかったらいつチャンスがあるか、わからない。
ここは声をかけよう。
そして私が声をかけようとしたその時、
「ここから出たいですよね?」
「え?」
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