213. 夢であるように
213. 夢であるように
そして修学旅行3日目。窓から差し込む日差しに目が覚める。昨夜は寝る前に色々考えてしまったせいでなかなか眠れなかったな。おかげで寝不足気味だが、まあ仕方ない。
「……ん?」
ふと隣を見ると、黒崎はまだ寝ているみたいだ。時間は……は?もう10時!?完全に寝坊なんだが!?
「おい!起きろ!」
オレは慌てて黒崎の肩を揺さぶるが、全く起きる気配がない。こいつどんだけ熟睡してんだよ……。あの黒崎がこんなに朝が弱いなんて意外なんだが。
「おーい、起きてくれよ」
今度は耳元で囁いてみるが反応なし。これならどうだ?
「早くしないと遅れちまうぞ〜」
するとようやく反応があった。しかしまだ眠そうだな。よし、もう一押しか。
「早くしないとオレ行っちまうぞ〜?」
その言葉を聞いた途端、黒崎はいきなりオレに抱きついてそのままベッドに引きずり込む。ちょっ!何やってんだこいつは!?
「おい!やめろって!」
なんとか引き剥がそうとするも、意外にも力が強くて離れられない。くそっ!このままじゃまずいぞ!寝ぼけるにも程があるんだが!?
そうこうしているうちに黒崎の顔がどんどん近づいてくる。まさかキスでもするつもりなのか!?そしてそのまま……唇が触れる。マジか!?と思った瞬間。
「痛ったぁ……」
あれ?なんか頭がガンガンするし体中が痛いんだが……それになんでベッドから落ちてるんだ?しかも目の前には床があるし。えっと……これはどういう状況なんだ?
とりあえず状況を確認しようと周りを見渡すと、黒崎が布団を被って丸まっている。やっぱり夢だったのか。という事は今のは全て夢オチって事だよな。良かった……危うく一線を越えるところだったぜ……。
ひとまず安心したところで時計を確認すると、時刻は既に10時10分を過ぎている。嘘だろ……寝過ごしたどころの話じゃないんだが……。
「ふわあぁ。おはよう神原君」
「おはようじゃねぇ!急いで用意するぞ黒崎!」
「……ええ。最後のターンだもの。もっと頑張らないとね……」
「なんだって?」
「ふふっなんでもないわ。私は気分がいいの。今日も楽しみましょうね神原君?」
よくわからんが、オレと黒崎は急いで用意をして京都の街に繰り出していくのだった。
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