171. お散歩

171. お散歩




「ねぇ先輩?お散歩行きましょうよ!」


「散歩?」


「たまには大自然の中、可愛い彼女とのんびり歩くのも楽しいですよ?」


「可愛い彼女とが余計だが、そうかもな」


 散歩。ただ歩くだけなら別に構わない。むしろ気分転換に丁度良いだろう。


「冬花先輩と千春ちゃんも一緒にいきませんか?」


「私は大丈夫。せっかくだから2人で行ってきたら?元は2人の旅行なんだから」


「気を使わなくても大丈夫ですけど?」


「……あざとい」


「なんか言いましたか千春ちゃん?」


「ううん。なんでもない。私たちはここでゆっくりしてる」


 2人に見送れながらオレは夏帆と一緒に旅館を出る。さて……どうしたものかな。


「どこ行くんですか?」


「特に考えてなかったんだが……」


 行き先を考えていると、ふと旅館の近くに神社がある事を思い出す。


「近くに神社があるから散歩がてら、そこに行ってみようぜ」


「はい!行きましょー!」


 その神社は小高い丘の上にあり、見晴らしが良くとても景色が良い場所だった。


「わぁ……綺麗ですね」


「そうだな。こういう場所は嫌いじゃない」


 しばらくすると、夏帆が立ち止まりこちらを見る。やっぱり夏帆って可愛いよな。オレの彼女なんだもんな……。


「どうかしましたか?」


「ああいや、なんでもない」


「ふーん。私のこと可愛いって思ってましたよね?先輩はすぐ顔に出るので分かりますよ?」


「うるせぇ」


「ねぇ先輩。私たちが出会ってもう1年がたったんですね。早いなぁ……」


「そうだな。早いもんだよな。まぁ出会った頃と比べたら随分と変わった気がするが?」


 最初はただのウザい面倒な後輩だと思っていた。だけどいつの間にか隣にいることが当たり前になっていた。


「確かに先輩の好き好きオーラを感じるようになりました!」


「そんなんじゃねぇし」


「私だって先輩のこと大好きですよ?」


「いちいち言うなよ」


「もう!照れ屋さんなんだから先輩は!」


 夏帆のこの笑顔を見れるだけで幸せな気持ちになれる。やはりオレは夏帆のことが好きなんだ。

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