170. お泊まり旅行開始

170. お泊まり旅行開始




 そしてGW旅行当日。オレたちは電車に乗って目的の旅館に向かっている。ちなみに旅館の周りには田んぼが広がっており、その先に山が見えるという田舎感溢れる景色が広がるところだ。


「これから行くところに雛山さんは行ったことあるのかしら?」


「あっはい。小さい頃はよく秋兄たちと行ってました」


「そうだったんですね!それなら色々案内してください!千春ちゃん!」


「案内するような場所ないですよ。周りには田んぼしかないですし。あるとしたら旅館近くの唯一のコンビニくらいです」


「まぁ駅近くなら色々あるからな。とりあえず降りて飯でも食おうぜ」


 そんなことを話していると最寄り駅に着いたので降りる。ここから少し歩くのだが、オレたちが泊まる旅館は駅から歩いて20分ほどかかる。まぁ天気もいいし、問題はないのだが。


 というか……よくよく考えてみたらこの状況って端から見たら羨ましいのでは?オレは一応夏帆と付き合ってるが、彼女で後輩の夏帆。同級生の学級委員の黒崎。年下の従妹の千春。これはハーレムと言っても過言ではないのではないか?いや、過言だ。


「あら?どうしたのかしら神原君?」


「え?いや別に……」


「どうせ、この状況って羨ましいよな?みんな可愛いし!とか思ってますよね先輩。顔に出てます」


「うるさい黙れ」


「酷いですね〜もうちょっと優しくしてくれてもバチ当たらないと思いますけど?」


「それは夏帆、お前の態度次第だろうが」


「私は優しいじゃないですか!ほら見て下さいこの笑顔を!!」


「……黒崎、千春行こうぜ」


「あぁ~ん。待って下さいよぉ~」


 こんな感じで会話をしながら歩いているとすぐに旅館が見えてきた。外観は古い建物だが、中はとても綺麗にされている。これなら満足してもらえるかな。受付を済ませて部屋に向かうとそこには和室の部屋が広がっていた。畳の匂いが心地いい。


「ねぇ先輩!部屋に露天風呂ついてますよ!一緒に入りますか!?」


「入らん」


「ずいぶん広い部屋ね。ねぇ神原君。夜枕投げしましょうね!私たち大親友だし!」


「……。」


「なんか大変そうだね秋兄?」


「あぁ。千春はまともでいてくれな」


 こうしてオレたちのお泊まり旅行が始まるのだった。

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