165. 大親友。両成敗にて

165. 大親友。両成敗にて




 今日は土曜日。来週のお泊まり旅行のために黒崎を誘うことになったけど、いざ誘うとなると緊張してくる。この前の件からあまり話していないし……


 なんか夏帆といるから感覚がマヒしてたが、黒崎の反応が正常だよな。事故とはいえ、好きでもなんでもない男に身体を触られたんだから。それにオレはまだちゃんと謝ってないしな。


 オレはスマホで黒崎へ電話する。が電話に出ない。


「メッセージを送るか……いやこういうのはちゃんと伝えるべきだよな」


 それから2時間がたつ。しかし黒崎から折り返しはない。もしかして完全に避けられてるか?そんなことを考えていると、スマホが鳴る。画面を見ると『黒崎冬花』の文字が表示されていた。慌てて出る。


「もしもし!」


 《もしもし。ごめんなさい、電話気がつかなかったわ。どっどうかしたのかしら?》


 黒崎の声からわかるが動揺している。そりゃそうだろうな。いきなりあんなことがあった相手から連絡が来たら誰だって驚くだろう。


「あーそのなんだ。今時間あるか?」


 《えっ!?あっあるけど……どうしたの急に》


「そっか、ならよかった。じゃあ駅近くのカフェに来てくれないか?」


 《わかったわ……》


 そしてカフェに行き、5分ほど待つと黒崎が現れた。相変わらずかわいい。というより綺麗だな。


「そっそれで何か用かしら?」


「ああ。ちょっと話がしたいと思ってさ」


 オレは単刀直入に伝えることにした。


「あのさ……悪かった!許してくれとは言わないけど本当にすまないと思っている」


 オレは頭を下げた。誠心誠意謝罪をする。これで許されなくても仕方がない。


「別に気にしないでいいわよ……」


「でもお前嫌だったろ?普通なら殴ってもおかしくないことだし」


「嫌と言うより、ビックリしただけよ。しかもタイミング悪く夏帆ちゃんも来ちゃうし……私のほうこそごめんなさい」


「なんでお前が謝るんだよ。悪いのは完全にこっちなのに」


「私のせいで変な雰囲気になっちゃったから……私が余計なことしなければこんなことにはならなかったわけだから」


「それは違うぞ。元はと言えばオレがあんなことしたのがいけないんだから」


 とお互い自分の責任だと譲らない状況になってしまった。このままでは平行線のままだ。そして黒崎が言う。


「ふふっわかったわ。こうなったらお互いに自分の責任だと思うってことで決着をつけましょう。」


「そうだな。それでいいと思う」


「でも、少しでも悪いと思ってるならここのジャンボパフェを奢ってほしいわ?私たち大親友なんでしょ?」


「大親友に奢らせるのか?ちゃっかりしてんなお前は。最初からここは奢るつもりだから構わんが」


 そういうと黒崎はいつものように可愛らしい笑顔を見せる。ああ。たぶんオレと黒崎は似た者同士なのかもな。まぁまた少しは仲よくなれたんじゃないだろうか。

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