143. 相性ピッタリ

143. 相性ピッタリ




「ねぇ先輩?私たち本当に付き合ってるんですよね?」


「なんだよ急に。付き合ってるだろ」


「じゃあ私の好きなところってどこですか?」


「は?」


「いや、昨日友達から『夏帆の彼氏って夏帆のどこが好きなの?』って言われたんで、『身体の相性』って答えたんですけど、実際どうなのかなって思って」


「やめろ。不当にオレの印象を下げるな。そんなの理由にならないだろ」


「私も知りたいんですよ!先輩の好きなところがどこかを!」


 うぜぇ……なんだよ今さら……面と向かって言うのも恥ずかしいしよ……でも言わないともっとウザいだけだしな……。


「まぁなんだ……」


「はい」


「いつも笑顔で明るくて可愛いところだろ。あとは、うまい料理を作ってくれるところとか、意外にちょっとした気遣いができるところとか……」


「ふむふむ。なるほどですねー。つまり私は先輩にとって『可愛い彼女さん』なんですね?」


「お前それが言いたいだけだろ!そういうお前はオレのどこが好きなんだよ!」


「えっ?全部ですけど。具体的に言いますか?」


 そうだ、こいつはこういうやつだよな。もし聞いて色々言われたら面倒だしな。適当に答えておくか。


「お、おう……。そうか……」


「あれれ〜?照れてますぅ?全部なので、もちろん……頑張ってる先輩可愛いですし!」


「うるせぇよ!!もう黙れ!!」


「いやーん。怒らないでくださいよ〜でもすぐ許してくれるのでやっぱり優しいです!愛を感じます!私たち相性ピッタリですね!」


 こうして今日もオレは夏帆に振り回されるのだった。

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