142. お昼寝モード
142. お昼寝モード
何も変わらぬ春休みのある日。いつものように夏帆と一緒にいると、夏帆は突然あることを言ってくる。
「ねぇ先輩?こう暖かいとお昼寝したくなりませんか?」
「確かにそうだな。」
「じゃあ、お昼寝しましょう!」
「はぁ!?今からか!?」
「そうですよ。ほら、私の隣にどうぞ」
「ちょっ……まっ……」
強引に腕を引っ張られオレはベッドの上に横たわると、夏帆も一緒に横に寝転がった。
「おい!何してんだよ!」
「いいじゃないですかー。それに今日は私の日ですよね?」
「なんだよ私の日って?」
「だって、この前私のお願いを叶えてくれるって言ったじゃないですか。」
「いや、あれはお前が勝手に決めたことだろうが!」
「むぅ〜。先輩のいじわる〜」
頬っぺたを膨らませて不機嫌アピールをする夏帆だが、それがまた可愛いくて抱きしめたい衝動に駆られる。なんでコイツこんなにも可愛いんだ?春の陽気のせいか?
「まあいいですけど……。先輩、ちょっとだけギュッとしてもいいですか?」
「えっ?あっああ……そのくらいなら別にいいけど……」
すると夏帆は嬉しそうな表情を浮かべると、そのままオレの腕の中に入ってきた。そしてお互い抱き合う形になる。
「わぁ……なんかこれいいですね……。先輩の匂いに包まれてる感じがします……」
「そっそうか……」
なんだか照れ臭くなってつい素っ気ない返事をしてしまう。しかし、夏帆の方からも甘い香りが漂ってきて、オレまで幸せな気分になってしまう。
「ねぇ先輩?キス……したいです……」
「んなこと急に言われても困るだろ……」
「ダメ……ですか?」
上目遣いでそんなこと言われたら断れるわけがない。オレはゆっくりと顔を近づけていくと、夏帆も目を閉じて受け入れてくれた。
それからどのくらい時間が経っただろうか。お互いに無言のまま、ただ唇を重ねていた。そしてしばらくしてから、どちらからともなく離れる。
「ふふっ。やっぱり先輩とのキス気持ちいいですね。幸せです……」
「そういうこと言うなよ!」
「どうしてですか?本当のことですもん。好きな人とキスするのってすごく幸せなんですよ?先輩は違うんですか?」
「それは……」
もちろん好きだからこそキスをしたのだが、改めて言われると恥ずかしくなる。でもそれを言ってしまえばきっと夏帆は調子に乗るに違いないと思い、ここは黙っていることにした。
「先輩、もっとギュッとしてください。あと頭撫でて欲しいです」
甘えん坊モードになったのか、さらに密着度が増してきた。まるで猫みたいだと思いながら、優しく頭を撫でてやる。すると夏帆はさらに笑顔になってオレに言ってくる。
「あの先輩?私気づいちゃったんですよ?」
「なにを?」
「私が甘えると先輩何でもしてくれますよね?そんなに私が可愛いですか?」
「うるさい黙れ」
「はーい。黙ってるので、もう少しこうしてますね」
結局この後いつの間にかそのまま2人で昼寝をすることになった。やっぱりオレは夏帆には甘いよな……。まぁ彼女だからしかたないんだけどさ。
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