8. 普通に入りましたよ

8. 普通に入りましたよ




 今日は帰りが少し遅くなった。補習とかマジ勘弁だよな……白石のやつ、もしかして待ってるかな……待て待て!あいつが待ってようと別に構わないだろ。


 くそっ。毒されてきている、いや洗脳かこれは?あいつが毎日毎日オレに何かをしているに違いない。そして、オレが家に帰るとなぜか白石がすでに部屋にいた。


「あっ!先輩遅いですよ!私、待ちくたびれてプリンを2個も食べちゃいましたよ!私の明日のおやつなのに。だから先輩買っておいてください。」


「勝手に食べるなよ!そのプリンはお前のじゃなくてオレのだからな?というか鍵閉まってたはずだぞ!?どうやって入った?」


「あっ昨日帰るとき、先輩の部屋のベランダの鍵を開けておきました。だからベランダから普通に入りましたよ?」


 は?ここ2階なんだが?そんな危ないことをしてまで入ってくるのかよ……。ベランダの鍵を確認しないオレもオレだが……。


「不法侵入で訴えるぞお前?」


「いいじゃないですかー。私彼女なんだし!それなら合鍵くださいよ。そしたらベランダからは入りませんよ」


「……張っ倒すぞお前?」


「え……?そんな……強引に押し倒すぞ?いやーん。私を押し倒して何するつもりなんですか?キスもまだなのに、先輩のエッチ!発情期なんだから!」


「言ってねぇだろそんなこと!?」


 こいつ……本当に面倒なやつだな。オレはこの日から必ずベランダの鍵を確認してから眠りにつくようになるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る