ドラゴンになりたかった少年はドラゴンになりました!?
永久燿
第1話
第1話〜プロローグ〜
日本の内側〜我が家の部屋の中〜
「どうしたらいいんだ。どうしたら...」
俺は現役高校二年生にして誰よりもドラゴンを愛する自称ドラゴン愛好家の龍ケ
そして今、絶賛悩んでいる。
何に悩んでいるかと言うと、それはどうしたらドラゴンになることができるかと言う問題についてだ。
まず大前提として俺はドラゴンが大好きだ。
切っ掛けは母親が読んでくれた本だった。
その作中にいたジーク何とかさんが、ドラゴンの返り血を浴びて半人半竜になったと言う話を聞いた俺は憧れた。
しかし高校一年生にもなって何故こんなことを未だに目指しているのかと言われ、俺は諦めようと思った。
一旦は諦め他のものに熱中しようとしたが結局は長続きしなかった。
そんな時あるゲームにドラゴンをモチーフにしたキャラクターが追加された。
それを見た瞬間、俺は幼いころの憧れが再び蘇ってくる。
これにより俺はドラゴンになるためにあることを考えた。
それはジーク何とかさんの話に登場するドラゴンには、血の一滴だけでも復活するだけの回復能力があると仮説を立てた。
しかしこの仮説が正しい答えかどうかは分からない。
でもやってみないことには仮説の証明のしようがない。
そして仮説のもとに行動を起こした。
その日から回復能力を高めるためにトレーニングを開始したのだ。
ドラゴンを目指すという目標はとても遠いが一歩一歩努力していこうと思う。
まず第一に毎日筋トレ千回、ランニング五時間程を行い毎日ヘロヘロになりながらも筋肉を回復させ回復能力を高めることに成功した。
今では手首を切られても勝手に治るくらいだし、高所から落ちようが無傷だ。
しかし...俺はドラゴンにはなれなかった。
考えたのだがこれではトカゲでないだろうか。
そのため俺はほかの仮説を立てることにした。
それはゲームに追加された新規キャラクターには筋肉以外にもあらゆる耐性を持ち合わせ、何よりも魔力を保有していた。
よって俺はこの日からあらゆる耐性を得るために自分の体を使った実験を繰り返し行った。
また魔力を得るために山に登ったり滝行したりと、仙人のような修行をこなした。
そうして修行を開始してからはや一年が経った。
俺の体はあらゆる耐性を得たが魔力だけは得ることが出来ず少しガチムチになっただけだった。
今ではタランチュラの毒も平気だし病気にも一切なっていない。
しかしまたもや俺はドラゴンはなれなかった。
これでは何というか少し皮膚の硬いトカゲではないだろうか。
そんなこんなで俺は高校二年生となりクラスメイトからは筋肉の塊と馬鹿されたが、成績は優秀なので脳筋と言われないだけマシだろう。
そんなごく普通の毎日を過ごしていたある日の帰り道、俺は魔力についての本を読みながら信号を渡ろうと少し早歩きをしていた。
するとちょうど信号の中盤くらいの位置で周りの人達が突然騒ぎ出す。
俺が「何だぁ?」と振り向いた瞬間、俺の体は鉄のようなものに弾き飛ばされ激しい痛みが全身を駆け抜けた。
すると視界には赤い血(・)のようなものが覆いかぶさり、辺りりが見えなくなる。
その視界に映っている光景はまるでかの英雄のジーク何とかさんのようにも見えた。
こうして俺はトマトを運んでいたトラックに轢き殺されたのだった。
〜???〜
ふと目が覚めと、俺は真っ暗闇の中で倒れ込んでいた。
いや、正確に言えば、倒れているのかも分からない状況だった。
その暗闇はとても寒くまるで氷の中にいるかのように感じた。
「さ、さみぃ...」
しかし場所や寒さなど今はどうでもよかった。
俺は結局ドラゴンになれなかった、それだけが悔やんでも悔やみきれなかった。
だがもう遅いのだ。
なぜならば俺はもう死んでしまっているからだ。
こんな時だけは神にも頼りたくなるのが人間の本能なのかもしれない。
もしもう一度生まれ変わることが出来たとしてもこの記憶も肉体も別のなにかになってしまうだろう。
それは俺であって俺ではない別の何かだろう。
俺は暗闇の中、1人で閉じこもりじっとして、ただただ薄れていく意識を失わないように懸命に堪える。
すると突然どこからともなく声が聞こえてきた。
「ああ、人の子よ。何がお望みですか?」
「え? 誰かいるのか? 誰かいるならもう一度喋ってくれ!」
その声は俺を包み込むように優しく、そして心の底から求めていたものかのように感じた。
まるで産まれてくる赤子に戻ったようだった。
すると先ほどの声が再び俺を包んできた。
「もう一度問いましょう。何がお望みですか?」
「...望み? そんなもんドラゴンになりたいに決まってんだろ」
俺は嘘偽りなく本心を心の中で叫んだ。
これ以上なく強く物凄く強く願った。
「良いでしょう。わかりました」
「え!?」
「貴方のイメージするドラゴンに転生させてあげましょう」
そう言い終えると激しい光が目の前に現れて、俺は再び気を失った。
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