第44話

いよいよ明日はパラオ旅行の始まりだ。心躍らせながら小さいバッグに最低限の物だけを入れる。もちろん航空チケットとパスポートは一番奥にしっかり入れておいた。


アン子からのらぁいんからの写メが届いた。バッグを持ったアン子が映っている。すみれからも写メがきていた。泡風呂に浸っている姿だ。護衛にとらせたのか?


とにかく準備は済んだ。今日は明日に備えてゆっくり眠らないといけないのだけど、アン子が今日もバイトと聞いて、たまらず夜にネカフェに自転車で向かった。


アン子は今日はカウンターにいた。


「あ、キョースケなん。いらっしゃいなんー」


「こんな時間なのに眠れるのか?」


「疲れたらすぐに眠れるん。バッグも準備万端なんなー」


俺はひとまず安堵し、


「そうか!じゃあな!」


ライト付きの自転車で必死にこいでいたその時である。電柱に自転車を思いっきりぶつけて、転倒してしまった。おでこと肩を強打した。意外と直後は痛くないのだけど、後から痛みが沸いて来る。


これはすみれたちにバレるとまずい。仕方ないので徒歩でドラッグストアに行き、シップを何枚か貼ると、少しはマシになった。


自転車は新品のを買うか。ちょうどバイト料も入ってきているし。そのままフラフラしながら家に帰って即寝るに限る。しかしケータイのタイマーはしっかりつけておいた。明日の事を考えるだけで、痛みはふっとんでいく。アン子とすみれにメッセージしたが返信がなかった。すでにもう寝ているのだろう。


そうして、俺も次第に眠りに落ちていった。

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