第42話

クーラーの効いた部屋で、俺はだいのじで寝転がっていた。チョコもなかのアイスが食べたかったが、外に出るのもおっくうだった。


そんな中玄関のチャイムがなり、誰だろうとドアにいくとアン子がいた!腕のギプスが取れてるじゃないか。


「アイス、買ってきたのん」


やはりアン子はわかってる。


「ありがてぇありがてぇ!」


そう言ってソフトクリームを貰った。まだ7月。お互いバイトに勤しむ時期だ。


「アン子のバイト先は、常にクーラーついててうらやましいよな。俺なんて客以外はほぼ無しだぜ」


「でも夏休みだから、ネカフェ席がかなり埋まってるのん」


そっか。そういうシーズンだもんな。


「寝る為だけに来る客もいるのんなー」


そう考えるとネカフェも大変だ。ブザーバックスも冷たい物欲しさに行列ができていた。ラーメン屋のようだ。


「腕はもう大丈夫なのか?」


「うん。もう平気って医者にいわれたの。骨がくっついたのん!」


「よし、その意気で8月は頑張ろうな」


らぁいん通話から、すみれが電話してきた。やはりアン子の事を心配してるようだった。


事情を話すとホッとしたみたいで、スケジュール変更等は無しということで8月某日に決まった。


「アン子、まだ安静にしててくれよな。まだ日にちはあるんだから」


「は~い」


アン子はうれしそうに言った。


「月末は給料日だから、水着を買うん。キョースケも買わないのん?」


そういえば去年履いたので、新しい海パンがほしいところだった。


「すみれと3人で行くか?」


「いいのん」!みんなで新しいの買うのん!」


よし、また3人そろう日までスケジュールを決めなきゃな。


「3人で水着?まぁいいですわ」


すみれにも了承をもらった。


「去年と同じ水着じゃ物足りなかったから」


スケジュールを決め、水着を買う事になった。


水着を買う当日。すみれは護衛の車で迎えにきた。


「それなりの場所で買わないとね。お金はあるから大丈夫よ」


ロールスロイスだ。車内は広かった。


「シャンパンでも飲む?」


「いいのか20未満の俺たちが飲んでも」


「そうね、やめときましょうか。タバコを吸ったりはしてないの?」


「吸う訳ないだろ!大人になっても吸わねーよ!」


「いい心がけね。でもいつか大人になったらさみしさを紛らわすために、頼る日がくるのよ」


なぜかすみれは遠い目をしている。大人のそれだった。


護衛が、


「到着しました」


と言うと、


「ここのモールで買いましょ」


「高そうだなぁ」


思わずため息をもらすと、


「いいのいいの、お金なら沢山あるから気にしないで」


そう言ってモールを3人で歩き回った。


「これなんかアン子にぴったりじゃないか?」


「それ子供用なん!」


「だめか…でも大きい水着はアン子には無理だぞ」


「いいのん厳選するから」


「これ、いいわねぇ」


そう言うのでみると、すごくセクシーな水着を見ていた。


「ちょっと大胆すぎないか…?」


「大丈夫私は似合うと思うから」


自分は良くても見る俺らはなぁ…


アン子も、


「これいいのん!フリフリがついてていい感じなの!」


アン子もいいのを見つけたみたいだ。


よく考えたら男用の海パンがほぼない。


おれのはないのかおれのは…


「みつけたが、黄色いトランクス海パンだった…」


「目立っていいじゃない。これにしましょ」


有無を言わさずすみれが買ってくれた。


「…ありがとう」


3人とも水着を無事購入した。


全員試着もしたから完璧だ。


「はい、往復用の航空チケット。無くさないでね」


そう言ってすみれは2人に往復チケットを渡した。


「あれもこれもすみれのおかげだ。感謝!」


「感謝なのん!」


「そんな事きにしなくていいから、パスポートと一緒に無くさないでね。でないと帰れなくなるわよ」


「…こわい事いうなぁ」


「事実やっかいな事になるから本気で実行してね」


「ほぇ~い」


あとはパラオでのスケジュールや何やら話してると、すっかり夕方を過ぎてしまった。

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