第30話

「なぁすみれ。夏休みもどこかへ連れってってくれよ」


弁当を食べながら、俺はすみれに頼んでみた。すみれは考えながら、


「そうねぇ…次行くとしたらハワイかパラオでしょうね」


「なに⁉」


パラオは『最後の楽園』と言われてる最高に綺麗な海がある場所だ。


すみれは続ける。


「パラオへの直行便は無かったんだけど、少し前に直行便ができたのよ」


「パラオかー。行きたいなぁ~」


アン子は分からず自分の弁当をモグモグしている。


「ハワイはほとんど日本語が当たり前のように飛び交っているから、あまり海外旅行


してる感じがしないようね」


「じゃあパラオ!」


「グァムよりもいい海があるのん?」


「透き通って下が見えるくらいよ」


「すごいのん!いきたいのん」


すみれは呆れながら


「あのねぇ。パラオは世界最後の楽園って言われてて、2泊3日するだけでもすごいお金がいるのよ」


「すみれなら問題ないんじゃないのか?」


「まぁそうだけど…キョースケと一緒の時間が増えるなら、行ってもいいわよ」


「…構わないけど、アン子もいくからな?」


「慣れたからいいわよ、もう。それより一緒の時間を増やしてくれるんでしょうね?」


「わかったわかったから、行こうぜパラオ」


がぜん夏休みが楽しくなった!


「飛行機に乗る時間がハンパないから気をつけてね」


「すみれは行った事があるのか⁉」


「もちろんよ。パスポート無くさないでね」


すみれの目がハートマークになっている。アン子は不安でキョースケを見るが、


(安心しろ)


俺はアイキャッチでアン子を理解させる。


「パラオは本当、最高の場所よ!夏休みだから思いっきり遊びましょう!…でもアン子、あんた変なトラップ作ったら容赦しないわよ」


アン子はキョースケの背中に隠れた。


「本気だからね!」

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