第2話
今日は朝から気分が良くなかった。そう、あの件だ。
授業が耳にはいってこない。頭痛はよく起こる。しかしアン子が頭痛薬を常備していたのでその度に飲んでいた。
そんなこんなでやっと昼になった。アン子は早く屋上へ行こうとばかりに袖を引っ張る。
毎日、屋上でアン子が作ってくれた弁当をたべるのだが…今日のはパンチが効いている。
4分の3がソーセージと肉団子、4分の1がご飯、それと申し訳程度のたくあん。
俺が焦っていると、屋上のドアが激しく開いた。例の『すみれ』とか言ってた金髪娘だ。
「オッドアイ君ー!やっと見つけたよ」
駆けつけた金髪に俺が、じと目でつぶやく。
「なんでここが分かった?」
「君のクラスメイトに聞いたわけ‼」また謎のポーズを決めている。
しかし謎のポーズより、手にもってる風呂敷の方に目がいってしまう。
「これ、1流の料理人とビデオチャットして作った、超三段御前!」
風呂敷を取るとやたら分厚い3段重が出てきた。
「もちろん食べてくれるわよね?」
アン子は俺の袖を強めに引っ張りながらお弁当を差し出してくる。
すみれの豪華弁当を食べるか、アン子のいつも通りの弁当を食べるか。
悩み抜いて、頭から湯気がでてしまい、思わず立ち上がって咆哮してしまう。
「あっはは!どっちの弁当も食べてやるよ!」
2人分の拍手に見送られ、とにかくフードファイターのように俺は食いまくった。
その結果───────────
腹はパンパンになり、5時間と6時間目の記憶は飛び、放課後はトイレから出てこれなくなった。
すみれは完食したのに満足したのか次は1段にすることを約束し、アン子はトイレで心配そうに待っているのだった。
トイレで俺は色々考えた──────
朝飯は抜きで、屋上で毎日2つの弁当を平らげないといけない、多分夕食も抜きにしないとな…このどうしようもない気持ちはどういう解決へと結びつけられるのだろうか。
桜が咲くころには抜本的改革をしなきゃな。
トイレから出てきた俺にアン子が反応し、袖を引っ張りながら帰路についた。
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