第2話 借り物の脳

私の脳は借り物の脳だ。


私は活字中毒である。その活字達から思考を日々摂取しなければいけない。活字を読む以外の時間は、読んだ活字について考えている。何かあれば活字に問い、全てを活字にゆだねていた。片時も活字を手放さなかった。


ある日、私の脳には自我が芽生えた。自分の脳が、活字を読まずに自分自身で考えると決めたのだった!

ヨチヨチ歩きをはじめた脳は、もう借り物の脳ではなかった。爽やかな自分を、軽やかに動かしはじめたのだ。そう、自分自身で!!


春の緑たちはキラキラと私の脳を称えているかのように、煌めきはじめた。


……。


そこまで読んで、私は『借り物の脳』というページを閉じた。

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