第12話 新任教師が普通じゃない...
入学式が終わっても娘たちの興奮は褪めなかった。
真衣は落ち着いてきたが由衣は家に帰った後でもランドセルを背負っている。
気に入ってくれるのはありがたいが壊されてはたまったもんじゃない...頑丈なタイプを購入してあったのが功を奏し多少乱暴に扱っても壊れる事は無いだろう。前転をしている由衣...のランドセルを心配そうに俺は見つめた。
寝る時までずっと背負い続け、やがて疲れたのかランドセルを下ろし眠りにつく。
そんな娘をかわいく思い、俺は現実...身だしなみを整えている、嫁に視線を戻した。
「で、どこ行くんだ?」
「面接よ」
「面接?仕事でもするのか?」
「ちょっとね」
意味深に微笑み目を光らせる。
大体何を考えているかわかるけど....。
「学校だろ...?」
「よくわかったね」
「まぁ、教師が足りないとは俺も思っていたしな」
「一応教員免許持ってるし、落ちる事は無いと思うから」
「そうはいってもなぁ...」
俺の嫁は頭がいい。
小中の勉強位ならば全然余裕で教えられるだろう、俺が教えられる所は少ないが嫁であれば問題はない、不安な要素はあるが...。
案の定というか嫁は面接に受かり新任教師として学校に通う事になった。
毎日の様に真衣と由衣の二人と共に学校へ通った、そして一週間後...夜遅くになってから飲み会が開かれる事になった。
俺は呼ばれてない...それは当然だが...宅飲みは野口さんのお宅で行われ、俺は迎えに行く事になった...。
野口宅のインターホンを押すと男性が玄関から顔を出す野口さんのお父さんだろう。
「あっどうも佐藤といいます、嫁が失礼してます」
「あぁこれはこれは。うちの家内がお世話になっております」
ん?お世話になってる??
世話になってるのはうちの嫁のはずじゃ...
旦那さんの後についていくと酔い潰れた二人の姿があった。
俺の姿が見えるや否や俺に抱き着いて来る嫁。
「くっさ」
思わず心の声が漏れてしまう。
「あによ~!しぇんぱいにむかって~!!」
「どれだけ呑んだんだよ..まったく...」
嫁はフラフラしとてもではないが歩ける状態ではない。
仕方ないので嫁をおんぶし家路についた。
初めての飲み会で、しかも先輩の家で呑んでるというのに...酔い潰れる程呑む新任教師が居る訳がない!
この新任教師は普通じゃない...
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