第7話 黒電話が普通じゃない
黒電話。
2037年ではほとんど見かける事は無くなった。
逆に今ではプレミアがつく品物であり、所持者なんて物好き位だ、そんな物を持っている嫁は娘達にこの黒電話を説明する。
嫁曰く、この黒電話は異界と繋がっている。
嫁曰く、この黒電話は現世では使えない。
嫁曰く、この黒電話は限られた者しか出ない。
嫁曰く、この黒電話を使うと面倒事が起きる。
嫁曰く、この黒電話からの電話は安易に出ない方が良い。
嫁の説明に一同は固唾を飲み込む。
つまりこの黒電話は異界と繋がっているので、普通の電話としては機能しない、その代わり異界のある一定の基準を超えた人は電話に出る事が出来る、そしてこの黒電話は出ると面倒な事が起きるから異界からの電話は出ない方がいい...。
そんな危なっかしい代物を部屋に堂々と置くことは出来ない、娘達、ましてやまだ小さい快が居る今、置くべきではないだろう。
俺は紙とペンを取り出し大きく【使用禁止】と書きテープで黒電話に張り付けようとした。
その瞬間...チリリリリリリリ!!
真剣に取り組んでいたが故、黒電話が鳴った事に驚き良い大人が悲鳴を上げてしまった。
「はいもしもし~」
俺はその瞬間驚きと共にツッコミを抑えた。
(いやお前はでるんかい!!)
まさかとは思ったが嫁はワンコールで即座に対応して見せた。今まで培った職業での神業とでも言うべきか...。
娘たちと顔を見合わせ溜息をつく。あれだけ恐ろしい事を言っていた癖に電話に出るや否や始まったのはただの世間話...はぁ...。
「え?キーラちゃんの所の子もう反抗期なの??え...今何歳だっけ?」
「・・・」
「6歳?!6歳で反抗期って...只の我が儘じゃなくて?」
「・・・」
「たはーッ親父を超えるって...それは反抗期っていうか...失われた風習というかなんというか...」
「・・・」
「ふーん。え?あぁ...無いけど入学式は着ると思うよ」
「・・・」
「え?あぁまぁいいけど...三日後だけど大丈夫?」
「・・・」
「は~いじゃあね~ばいば~い」
がちゃ...
嫁は笑顔で受話器を置くと表情を曇らせる。
「どうしよう...三日後にキーラちゃんが家に来る...」
「なんで断らなかったんだよ...で、用件は?」
「なんかキーラちゃんの所の子も学校に入学するらしくて、制服が見たいんだって...」
「んーさっき聞いた感じ6歳だろ?別に変らないんじゃないか?」
「それがね...相手は王族...こんな辺境に来てもらうなんて...」
ん???
今の電話どこかの王城にでも繋がっていた感じ?!
この黒電話...分かってはいたけど...普通じゃない!!
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