　色々と手伝ってくれた愛菜さんは仕事があると言って早々に帰ってしまった。

　少し残念だが、正直な所怖かったので、少しだけ助かっている。

　さて...問題はあれだよなぁ...

「君が愛菜さんの言ってた稲荷の神様でいいのかな？」

「は、はい...」

　薄い訳でも無く、只々可愛いだけの狐？人間？狐人間の女の子だ。

　怯えた様子の神様は目を合わせようともせずちらちらとこちらの様子を伺う。

「どうしてくれるんだ愛菜さん...」

「大丈夫よ、私が何とかするから」

　そういい嫁は笑顔を浮かべ神様に微笑みかける。

「この子達と遊びたいんだよね？」

「うん...」

　小さく頷く神様に確証を得た嫁は神様の顔を覗き込む様にしてさらに畳み掛ける。

「遊ぶ？」

「いいの？」

　あからさまに笑顔を取り戻した神様にご満悦な嫁、神様と言っても見た目通り中身は子供なようだ。

「怪我だけしないように見守ってほしいの」

「わかった」

　怪我をしては楽しい思い出も嫌いになってしまうかもしれない、怪我が思い出として残る事もあるが...少なくとも俺にいい思い出は無い。

　真衣と由衣は全てを察してくれたのか笑顔で神様の手を取り周囲の探検に出かけた。

　お茶を飲み遠くから三人の遊ぶ様子を眺める。はっきり言ってしまうと、神様よりも愛菜さんの方がインパクト強いせいで驚きが薄れたというか...かわいいしまぁ...いいかという感情の方が強い。

　それに神様に見守って貰えるならこれほど心強い事はないし、なによりこっちに来て早々友達が出来てうれしい位だ。

　だが、困った事に神様が教える遊びは昔ながらの遊びばかりだ、けんけんぱなどなど...懐かしいなぁと思い返してみても俺にそんな記憶はない...これが小さい頃からゲームをやっていた弊害だろうか...縄跳びも普通のなら飛べるが...二重飛びなんて意味が分からない、神様でも二重飛びは出来ないようだ、そもそも見ていた感じ縄跳び自体出来なさそうだ。原因は単純明白、耳と尻尾が縄に引っかかってしまっているからだ。

　そんな様子を微笑ましく思う。俺は飛べないが嫁は痺れを切らしたのか縄跳びに参加していった。あれは一体何重飛びなんだろうか...縄も見えないし、あれほんとに飛んでるのか？

　それにしても...こっちに来て最初の友達が神様なんて...どう考えても普通じゃない！！