第2話 移動中も普通じゃない
車での移動、都心から田舎まではかなり時間が掛かる。
3時間程高速道路を走ったがようやく折り返し地点といったところだ。
時刻は昼、そろそろ子供がお腹空いたと言い出す頃だろう。
「ママ~お腹空いた~」
「じゃあそろそろ休憩にしましょうか」
最寄りのサービスエリアは、なんと公園付きのエリア出ったのだ。
車のダッシュボードからブルーシートを取り出し、芝生でピクニックだ。
喜びからか走り出すユイとマイを追いかける。周りに人は居ないので、迷惑をかける事はないと思うが、何かあってからでは遅い。
「弁当買ってきたのか?」
「ううん、作って来た」
「え、そんな時間あったか...?」
「危ない!!」
そんな時だった。
マイが足を引っ掛けて転びそうになるのだ、声は出るが流石に間に合わない...。
と...思われた...だが、現実は違う。
俺の後ろに居たはずの嫁はいつの間にかマイを抱えており、マイは泣き出す事無く救出される...あれ?
まぁ今は嫁の異常さよりも、マイの無事を喜ぶとしよう。
「大丈夫か?」
「うん!ママすごい!!」
「せっかくのお出かけだから嫌な思い出にはしたくないもんね」
マイを救い出したスピードも異常だが、さらに異常なのは片手で快を抱えていることだ、左腕で快を抱きかかえながら、超スピードで移動して転ぶ寸前のマイを救った....。やっぱり普通じゃないよな...。
怪我も回避し芝生の上にブルーシートを広げた後、嫁が手作りの弁当を広げる。
いつもより気合が入ってる料理の数々に俺も娘も大興奮だ。ん?今どこから出した?
「ママがんばっちゃった(*´ω`)」
「ママすご~い!」「おいしそう!!」
「豪華だなぁ」
こういう何事にも用意周到な嫁の事を俺は尊敬している。どこから出したか問い詰めたい所だが...。
娘たちが早く食べたそうに俺に視線を送ってくるので早々に手を合わせる。
「じゃあ、頂きます!」
『いただきます!!』
嫁の料理はおいしい。
快が食べるという事もあり、味は若干薄めだが、それでも、食べやすい味付けがなされている。
流石俺の嫁だ。なんて満足気に俺が食べ進めていると視線を向けられる。
「どう?美味しい?」
「あぁ美味しいよ」
「よかった(*´ω`)」
満面の笑みを浮かべる嫁をかわいく思う。
歳をとってないと思うのは俺だけだろうか...。
37歳で同い年なはずなのにいつまでも若い嫁を羨ましく思う、嫁は成長が遅くまだ20代なんじゃないだろうか、そう思ってしまうほど嫁はいつまでも若いのだ。
やっぱり...俺の嫁は普通じゃない。
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