第1話 引っ越しが普通じゃない
「マイ~ユイ~ちょっとお手伝いして~」
『は~い』
引っ越しも大詰め、大きな荷物は昨日トラックで運んで貰ったので、残っているのは細かい物ばかりだ。積み上げられた段ボールを見て思った...もう少しトラックの方に積んどけばよかった...と。
段ボールに詰めた衣類や食器の類を車に積んでいく、大きい車でよかったとしみじみ思う、だけど圧倒的に収まりきらない...。
快を抱っこしながら嫁が荷物をまとめるのを見守る。そしてふと、思い出したことがある、近所の挨拶回りをしていなかったなぁ。
ガサツな俺に片付けは向いていないので嫁に任せる。
「じゃあ俺、ご近所さんに挨拶してくるよ、快も暇してるみたいだし」
「そう?ならこれ皆に渡してきてもらえる?」
そういい渡されたのは粗品が入っていると思われる大きめの紙袋だ。
それから、快を連れ近隣住民の世話になった方々に配って回った。
車に入りきらなかった箱がどうなっているのかも気になったので、俺と快は足早に挨拶回りをこなす。
そして30分程が経過し最後に自治会の組長さんの家への挨拶回りが終わった俺と快は家に戻った。
家に戻った俺は驚愕することになる。
積み込みは既に終わっており、明らかに入りきらないはずの段ボールも既に綺麗になっており、家には何も残されていなかった。
「あれ?全部入ったの?」
「気にしない、気にしない」
「パパ!パパ!ママすごかったよ!!」
「すごかった!!」
「それは知ってるけど...ママ...どんな事してたの?」
「ママがね!手で触った段ボールがね!パって消えちゃったの!!」
「へ...へぇやっぱママはすごいね~へへ....」
喜ぶ真衣と由衣、二人の笑顔を見て幸せそうな嫁、まぁいいか。
「パパも出来る?」
「出来ないよ...(´;ω;`)」
「そうなんだ...」
少しショックを受けたような真衣....違うよ...パパが出来ないんじゃなくて...ママがおかしいんだよ...
「いいか真衣...普通は出来ないんだ。ママが凄いだけだ」
「ママすごい!!」
納得してくれた。子供って純粋だ。
「そろそろ出発しよ?」
「あぁそうだな」
俺たちは車に乗り俺の運転で新たなる家に向かった。
俺の嫁は普通じゃない...
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